JP2014019643A - 水素含有の混合ガスから水素を分離する方法、および水素含有の混合ガスから水素を分離する装置 - Google Patents

水素含有の混合ガスから水素を分離する方法、および水素含有の混合ガスから水素を分離する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可能な限り薄い壁である水素透過性の膜を使用し、そのことが、膜から出ていく水素の純度に、またはその摩耗性に、不利な影響を及ぼすことがない、水素含有の混合ガスから水素を分離する方法及び装置を提供する。
【解決手段】水素含有の混合ガスから水素を分離する方法及び装置であって、水素が水素透過性の膜(8)によって残りの混合ガスから分離されるものにおいて、その膜(8)の透過側(20)は、膜の供給側における混合ガスの圧力以上に高いパージガスの圧力による作用を受ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、請求項1に記載された構成要件を有する、水素含有の混合ガスから水素を分離する方法に関するものであり、および、請求項6に記載された構成要件を有する、水素含有の混合ガスから水素を分離する装置に関するものである。
潜水艦では、艦内電力ネットワークへの電流供給のために、そこで使用される燃料電池に、燃料としての水素をメタノール改質器によって供給することが従来技術として知られている。燃料電池に供給される水素は非常に高い純度を有していなければならないため、改質物に含まれる他のガス成分から水素が分離されるように、水素透過性の膜(隔膜)がメタノール改質器の下流に配置されているのが普通である。
このような膜は、膜の入口側におけるほぼ30バールの比較的高い改質物圧力が、膜での漏れおよび/または損傷につながらないように製作されている。この関連で知られている1つの方策は、比較的大きい壁厚の選択によって膜に十分に高い機械的安定性(たとえば、強度)を与え、膜が高い改質物圧力に耐えられるようにすることにある。しかし、その欠点となるのは、壁厚の増加にともなって膜の透過性能が低下していくことや、たとえばパラジウムのような膜材料が比較的高価であるために膜のコストが上昇することである。このような観点から、壁厚ができる限り小さい膜を使うように努めることが好ましい。こうした方向を目指す1つの解決の取組みは、非常に薄い膜に、たとえばセラミックの支持構造を設けることにあり、この支持構造が所要の機械的な安定性を与える。しかし、この解決法は、満足のいくものではないことが判明している。なぜならば、膜材料と支持構造材料の熱膨張係数の違いが、しばしば支持構造から膜の一部が剥離することにつながり、これに伴って、膜を透過した後の水素の許容されない品質低下につながるからである。
このような背景に対し、本発明の目的は、可能な限り薄い壁である水素透過性の膜を使用し、そのことが、膜から出ていく水素の純度に、またはその摩耗性に、不利な影響を及ぼすことがない、水素含有の混合ガスから水素を分離する方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、この方法を実施するための装置を提供することにある。
本発明のうち、方法の発明に関しての部分的課題は、請求項1に記載された構成要件を有する、水素含有の混合ガスから水素を分離する方法によって解決される。また、本発明のうち、装置の発明に関する部分的課題は、請求項6に記載された構成要件を有する、水素含有の混合ガスから水素を分離する装置によって解決される。請求項1に記載の方法の好ましい発展例、ならびに請求項6に記載の装置の好ましい発展例は、これらに関わる従属請求項、以下の説明、ならびに図面から明らかとなる。
水素含有の混合ガスから水素を分離する本発明の方法は、水素を分離するために使用される水素透過性の膜のその透過側、換言すると、その膜のうち、膜を透過した後のもの(混合ガスから分離された水素)が存在する側に、パージガス(flushing gas)の圧力が作用し、そのパージガスの圧力は、膜の供給側、換言すると、その膜のうち、膜を透過する前のもの(水素分離前の混合ガス)が存在する側における混合ガスの圧力以上であることを特徴としている。すなわち膜の透過側で、水素を含んでいないことを有利な点とするパージガス(換言すれば、洗浄ガス)により、膜の供給側の圧力以上のすることにある。本発明のさらに別の課圧力が生成される。膜が損傷したときに、このような高い圧力は、水素ではないガスが膜の供給側からその透過側へ到達できるようになるのを防止する。膜の損傷は、膜の漏れ箇所で、パージガスが膜の透過側から供給側へ通過してしまうという結果を生じる。このようにして、膜で分離される水素の高い純度が保証されるという利点がある。さらに、膜の透過側でのパージガスの利用は、このような方法において、膜の透過側で水素分圧が下がるという有利な効果を有し、混合ガスから取得可能な水素量が多くなるという結果を生じる。膜の透過側でのパージガスの作用によって生成される、膜の透過側と供給側との間の圧力差は、比較的小さく抑えられるのが特別に好ましく、それにより、膜は比較的低い機械的負荷しか受けないことになる。こうした低い負荷は、比較的薄い壁の、それに伴って低コストの膜を使用することを可能にする。
膜の透過側の圧力作用に基づき、膜の透過側には、典型的な場合、水素とパージガスからなる混合ガスが存在する。したがって、高い純度の水素を得るために、水素とパージガスを再び互いに分離することが必要である。このような分離は、本発明の方法の1つの好ましい発展例に準じて、パージガスとして水蒸気が用いられることが意図されていると、とりわけ簡単に可能である。このような場合に、水蒸気からの水素の分離は、水が、凝縮(凝結)し、蒸気の状態から液体の状態へ移行することによって達成される。特に、膜で分離された水素がPEM燃料電池のための燃料として利用される場合には、燃料電池の膜が水蒸気によって湿潤されるのがさらに有利なことが判明している。
パージガスは、膜の入口側、つまり、膜の供給側、の混合ガスの流れに対して反対方向の流れ、換言すれば、カウンターフローで案内されるのが好ましい。それに応じて膜の透過側は、膜の供給側での混合ガスの流れに対して反対方向に、パージガスの流れを有するのが好ましい。このような方式は、混合ガスから分離される水素量のいっそうの増大をもたらし、最善の場合、混合ガスからの水素の完全な分離を可能にする。
すでに述べたとおり、高い純度の水素を得るためには、パージガスを水素から分離することが必要である。便宜上、この分離は、膜に隣接する透過側空間部の出口側(流出側)で、すなわち、膜からある程度の距離をおいて、達成される。好ましい例のようにパージガスが水蒸気である場合、便宜上、この分離は水素と蒸気の混合物の冷却によって行われ、これによって蒸気として存在している物質が液体状態になり、このようにして、依然として気体として存在している水素から容易に分離することができる。
パージガスは、水素からの分離後に、膜の透過側への圧力作用のために再び利用されるのが特に有利である。それに応じて、パージガスは水素から分離された後に、好ましくは閉じた循環路の中で、再び膜へと戻すことが意図され、それにより、膜の透過側は循環プロセスにおいて、繰り返し、同一のパージガスにより圧力を受ける。典型的な場合、この関連においては、水素からの分離のときに液化したパージガスを気化と加熱によって再び安定した気体の状態へ移行させ、そして、パージガスにより膜の透過側に及ぼされる圧力が、混合ガスにより膜の反対側に及ぼされる圧力以上となるように、パージガスをそのような圧力レベルまで加圧することが必要である。
水素含有の混合ガスから水素を分離する本発明の装置は、膜装置(膜分離装置)を有している。この膜装置では、好ましくはパラジウムまたはパラジウム合金で構成される水素透過性の膜(隔膜)が、閉じた供給空間部を、同じく閉じた透過側の空間部から、好ましくは分離している。供給空間部には、混合ガスのためのガス取込部と、残留物のためのガス取出部とが形成されている。透過側空間部には、膜を透過する水素のためのガス取出部が形成されている。本発明によると、膜装置は膜の透過側に、パージガス取込部と圧縮ガス源とをさらに有している。その圧縮ガス源からパージガスが、膜の供給側に作用する混合ガスの圧力以上の圧力のもとで、パージガス取込部を介して、膜の透過側に形成された膜装置の空間部へと導入される。圧縮ガス源は、パージガスが相応の高い圧力のもとで蓄積された圧縮ガス蓄積器、また、好ましくは、コンプレッサや気化装置のような圧縮ガス生成器を備えることができる。
本発明による装置では、膜装置の透過側の一部(透過側部分)はパージガス循環路の一部であるのが好ましい。このような場合、水素がパージガスとともに膜装置から導出される透過側のガス取出部は、膜装置のパージガス取込部とライン接続、換言すると、パージガスがガス取出部から再びガス取込部に循環できるように接続され、パージガス循環路を形成する。
水素含有の混合ガスから水素を分離する本発明の方法では、好ましくは、水蒸気がパージガスとして用いられるので、本発明による装置のパージガス循環路は、これに対応して水循環路、つまり、パージガスとして水(水蒸気)を用いた場合の、その水(水蒸気)の循環路となる。
本発明による装置では、透過側空間部に形成され、膜装置と接続されているガス取出部で、膜装置からパージガスと水素とは排出される。したがって、このガス取出部の出口側(流出側)では、水素をパージガスから分離することが必要である。このために、膜装置のガス取出部(透過側空間部に形成されたガス取出部)の流出側には、凝縮器が配置されているのが有利である。この凝縮器では、水は液体の集合状態へと移行し水素は引き続き気体として存在する程度まで、水素と水蒸気からなる混合物が冷却される。
液体の水から水素を分離するために、本発明による装置は、水取出部と水素取出部とを備え、凝縮器の流出側に配置されたセパレータをさらに有していることが有利である。このセパレータは、1つの特別に簡素な実施形態では、閉じた中空円筒状の容器を形成し、その中で、重力方向で下側に位置する底部に液体の水が集まり、その上方に水素が集まる。この容器では、便宜上、水取出部は底部に配置され、好ましくは、そこでもっとも低い場所に配置される。特に有利なこととして、水素取出部は、底部と反対側である、容器の上部に配置されている。
水をセパレータから循環路で、再び膜装置の方向へ戻すために、便宜上、セパレータの取出部の出口側(流出側)には送出ポンプ(昇圧ポンプ)が配置されている。すなわち、水はセパレータを起点として、まず送出ポンプによって液体の状態で膜装置のパージガス接続部の方向、換言すると、セパレータの流出側から膜装置のパージガス取込部方向へ送出され、さらに、膜の透過側に対して作用する圧力に必要な圧力レベルまで加圧される。
ただし、水が膜装置へ導入される前に、これを再び蒸気の状態に戻すことが必要である。このために、送出ポンプの出口側(流出側)には気化装置が配置されていることが有利である。気化装置では、気化装置の出口側(流出側)で水が過熱状態の水蒸気として存在するために十分な熱が、水に供給されるのが好ましい。
次に、図面に示されている実施例を参照しながら、本発明について詳しく説明する。図面は、著しく簡略化した原理図として、水素含有の混合ガスから水素を分離する装置が示されている。
本発明の一実施形態における水素含有の混合ガスから水素を分離する装置を示す図
図1に示す、水素含有の混合ガスから水素を分離する装置(水素分離装置)2は、少なくとも1つの燃料電池4に水素を燃料として供給する役目を果たすものである。装置2の主要な構成要素は、膜装置(膜分離装置)6である。この膜装置6は、パラジウムなどで構成される水素透過性の膜(隔膜)8によって、閉じた供給空間部(供給室)10と、同じく閉じた空間部(室)12とに分割される。
供給空間部10にはガス取込部(gas inlet)14が備えられている。ガス取込部14を介して、水素含有の混合ガスが供給空間部10の中へ案内される。供給空間部10では、混合ガスに含まれる水素が膜8を通り抜け、そのようにして空間部(透過側空間部)12に到達する。混合ガスのその他の成分は膜8を通り抜けることができず、残留物として供給空間部10の中に残り、そこから供給側のガス取出部16(gas outlet)を介して排出される。
透過側の空間部12にはパージガス取込部(パージガス流入部)18が備えられている。このパージガス取込部18は、パージガスとしての水蒸気を空間部12の中へ案内し、そこで膜8の透過側20に、供給空間部10で混合ガスにより膜8に及ぼされる圧力よりも高い圧力か、またはこれに等しい圧力を作用させるようにする。水蒸気が供給空間部10の混合ガスの流れに対して反対方向の流れ、換言すれば、カウンターフローで空間部12を通して案内されるように、パージガス取込部18が配置されている。空間部12に備えられた透過側のガス取出部22を介して、膜8で混合ガスから分離された水素が、水蒸気とともに膜装置6から取り出される。
水蒸気から水素を分離できるようにするために、透過側ガス取出部22の流出側には凝縮器24が配置されている。凝縮器24の出口側(流出側)にはセパレータ26が配置されており、その中で、凝縮器24で液化した水が水素から分離される。そのためにセパレータ26には、重力方向にある底部28に水取出部30が備えられるとともに、底部28と向かい合う上部32には水素取出部34が備えられている。
水素取出部34の流出側に、水素が供給されるべき燃料電池4が配置されている。燃料電池4への水素の供給圧力を制御するために、水素取出部34と燃料電池4との間の配管には圧力制御弁36が介装されている。
セパレータ26の水取出部30に、その流出側で、送出ポンプ(昇圧ポンプ)38が接続されている。送出ポンプ38の出口側(流出側)には気化装置40が配置されている。気化装置40は、その流出側で、膜装置6のパージガス取込部18とライン接続され、つまり、パージガスが流通可能に接続されている。
図示した水素含有の混合ガスから水素を分離する装置2の機能形態は、次のとおりである。
ガス取込部14を介して、水素含有の混合ガスが膜装置6の供給空間部10の中に案内される。この混合ガスは、たとえばメタノール改質器による改質物であってよい。膜装置6では、混合ガスに含まれる水素が膜8を通り抜けて、膜装置6の透過側の空間部12に到達する。混合ガスの残りの成分は膜8により抑留されて供給空間部10の中に残り、そこからガス取出部16を介して排出される。
混合ガスが供給空間部10を流れている間、パージガスとしての水蒸気がパージガス取込部18を介して透過側の空間部12の中に流入し、そして、膜装置6の透過側の空間部12を通って流れている。空間部12では、膜8の透過側20が水蒸気により圧力の作用を受ける(押圧される)。この圧力は、混合ガスによって膜8の反対側、つまり、供給側に及ぼされる圧力以上であり、その帰結として、混合ガスの成分のうち水素ではないものが、場合により存在する膜8の漏れ箇所のところで、そこを通って供給空間部10から空間部12へ到達することができない。
ガス取出部22を介して、混合ガスから分離された水素が水蒸気とともに膜装置6の空間部12から導出されて、凝縮器24へと案内され、その中で、それ以前には蒸気として存在していた水が液化する。凝縮器24の流出側に配置されたセパレータ26で、セパレータ26に備えられた水素取出部34を介して、気体水素が燃料として燃料電池4へと案内される。セパレータ26の底部28に集められた液体の水は、そこに備えられた水取出部30を介してセパレータ26から排出され、セパレータの流出側に配置された送出ポンプ38によって気化装置40へと送られ、そこで過熱状態にされた水蒸気が生成されて、これがパージガス取込部18を介して循環路によって戻され膜装置6の空間部12に再び導入される。
2 装置
4 燃料電池
6 膜装置
8 膜
10 供給空間部
12 空間部
14 ガス取込部
16 ガス取出部
18 パージガス取込部
20 透過側
22 ガス取出部
24 凝縮器
26 セパレータ
28 底部
30 水取出部
32 上部
34 水素取出部
36 圧力制御弁
38 送出ポンプ
40 気化装置

Claims (12)

  1. 水素含有の混合ガスから水素を分離する方法であって、水素が水素透過性の膜(8)によって、残りの混合ガスから分離されるものにおいて、
    前記膜(8)の透過側(20)には、パージガスの圧力が作用し、該パージガスの圧力は、前記膜(8)の入口側に作用する混合ガスの圧力以上であることを特徴とする水素分離方法。
  2. 前記パージガスとして水蒸気が用いられることを特徴とする請求項1に記載の水素分離方法。
  3. 前記パージガスは、前記膜(8)の入口側における前記混合ガスの流れに対して反対方向の流れで案内されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の水素分離方法。
  4. 前記水素は、前記膜(8)に隣接する透過側空間部(12)の出口側で前記パージガスから分離されることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水素分離方法。
  5. 前記パージガスは、水素の分離後に前記膜(8)の透過側(20)へ圧力を作用させるために再び用いられることを特徴とする請求項4に記載の水素分離方法。
  6. 水素含有の混合ガスから水素を分離する装置(2)であって、水素透過性の膜(8)を有する膜装置(6)を備えるものにおいて、
    前記膜装置(6)は前記膜(8)の透過側にパージガス取込部(18)と圧縮ガス源とを有していることを特徴とする装置(2)。
  7. 前記膜装置(6)の透過側の一部はパージガス循環路の一部であることを特徴とする請求項6に記載の装置(2)。
  8. 前記パージガス循環路は水循環路であることを特徴とする請求項7に記載の装置(2)。
  9. 前記膜装置(6)の透過側ガス取出部(22)の流出側には凝縮器(24)が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の装置(2)。
  10. 前記凝縮器(24)の流出側には、水取出部(30)と水素取出部(34)とを備えるセパレータ(26)が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置(2)。
  11. 前記水取出部(30)の出口側には送出ポンプ(38)が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の装置(2)。
  12. 前記送出ポンプ(38)の出口側には気化装置(40)が配置されていることを特徴とする請求項11に記載の装置(2)。
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