JP3934928B2 - 水素分離改質ガスタービンシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンの排熱を用いてガスタービン燃料を水素含有ガスに変換する改質器を備えた水素分離改質ガスタービンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水蒸気改質反応により炭化水素から水素リッチなガスを生成する技術については、良く知られている。例えば、天然ガスの主成分であるメタンは、(1)、(2)式の反応により、水素を含むガスに転換される。
【0003】
CH+HO ⇔ CO+3H (水蒸気改質反応)……(1)
CO+HO ⇔ CO+H (水性ガスシフト反応)……(2)
(1)式の反応は吸熱反応であり、数気圧程度の低い圧力であれば、600℃でも50%程度転化する。
【0004】
特開2000−80927に開示されているように、(1),(2)式の反応を用いると、図7に示すようなガスタービン排熱回収発電システムを構成することができる。
【0005】
図7に示すように、例えば大気圧の空気14を加圧して圧縮空気を生成する圧縮機12と、メタン等のガスタービン燃料3を化学的に改質して水素等の改質ガスを生成する改質器1と、圧縮機12からの圧縮空気によって改質器1から送られてくる改質ガス6を燃焼させる燃焼器9と、この燃焼器9で発生した燃焼ガスの流入により動力を得て、図示しない発電機を駆動するガスタービン13とを備えている。
【0006】
上記改質器1には、ガスタービン13からの排ガス15とガスタービン燃料3とが混合されて導入されると共に、蒸発器2によって水4を蒸発させた水蒸気5aが導入される。改質器1では、タービン排ガス15の熱で(1)、(2)式の反応を生じ、その水素含有ガス6が改質ガスとして燃焼器9へ導入される。
【0007】
このようなガスタービン排熱回収発電システムにあっては、上記(1)、(2)式の反応で生じた水素含有ガス6が吸熱反応によりタービン排ガス15から熱を回収して燃焼器9へ導入されるため、システムの発電効率を向上させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようにガスタービンの排熱を多く回収すれば、発電効率を向上させることができる。また、改質器による改質反応により排熱回収するシステムにおいては、水素への転化率を向上させることで多くの排熱回収を達成することができる。
【0009】
そこで、水素への転化率を向上させるためには、改質器の温度を高くするか、あるいは水蒸気とメタンのモル比(以下S/Cと称する)を大きくすることが効果的である。
【0010】
しかしながら、改質器での温度はガスタービンの排ガス15の温度以上にすることができないため、必然的にS/Cを大きくしなければならない。
【0011】
一方、圧力の低い気体のガスタービン燃料を改質器へ導入するには、圧縮機などの昇圧機器が必要となるが、その必要動力は改質器の水素含有ガス流路の圧力損失に大きく影響される。
【0012】
また、S/Cを大きくすれば、蒸気が増えて流量が増大するため、蒸発器2および改質器1での圧力損失は大きくなる。特に、改質器1には触媒が充填されて流路抵抗も大きいので、改質器における圧力損失は非常に大きくなる。
【0013】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、排熱回収量を多くし、且つ改質器の圧力損失を低減することができる水素分離改質ガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により水素分離改質ガスタービンシステムを構成する。
【0015】
請求項1に対応する発明は、燃焼用酸素を含む流体を圧縮機と、水素を選択的に分離する水素分離膜で改質室と掃気室の2種類の室に分けられ、且つ前記改質室に触媒が充填され、燃料ガスを化学的に改質して改質ガスを生成する改質器と、前記圧縮機により圧縮された流体を前記改質器で改質された改質ガスとともに流入して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器で発生した燃焼ガスの流入により動力を得て発電に供するガスタービンとを備え、前記改質器の掃気室に蒸気を流通させるとともに、改質室に水蒸気と燃料ガスとの混合ガスを導入して前記ガスタービン排ガスを熱源として水素含有ガスに転化させ、前記掃気室に流入する蒸気に水素含有ガス中の水素の一部を前記水素透過膜を通して引き込んで水素含有蒸気とし、これら水素含有ガスと水素含有蒸気とを混合した水素リッチな改質ガスを前記燃焼器に流入させる構成として、前記改質器の改質室内の蒸気と燃料ガスとの混合ガスの圧力を前記燃焼器内の燃焼ガスの圧力と同一またはそれより大きくするとともに、前記改質器の改質室に導入される燃料ガスに対する水蒸気のモル量比を改質反応の当量比以下とする。
【0016】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質器の掃気室および改質室の圧力を、前記燃焼器の圧力よりも高く設定する。
【0017】
請求項3に対応する発明は、請求項2に対応する発明水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質室の圧力を前記掃気室の圧力よりも高く設定する。
【0019】
請求項に対応する発明は、請求項1に対応する発明の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質器の改質室と掃気室へ流入する水蒸気量比は、1:1から1:4の範囲内である。
【0020】
請求項に対応する発明は、請求項1に対応する発明の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記水素分離膜の水素の選択率は、10以上10000以下である。
【0021】
請求項に対応する発明は、請求項1に対応する発明の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記水素分離膜の水素透過速度は、1.0mol/s/m2/MPa以上である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第1の実施の形態を示す構成図で、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0024】
ガスタービンシステムは、図1に示すように燃焼用酸素を含む流体、例えば大気圧の空気14を1.0MPa〜1.2MPa程度に加圧して圧縮空気を生成する圧縮機12と、メタン等のガスタービン燃料3を化学的に改質して重量あたりの発熱量の多い(高カロリーの)水素等の改質ガス6を生成する改質器1と、圧縮機12からの圧縮空気によって改質器1から送られた改質ガス6を燃焼させる燃焼器9と、この燃焼器9で発生した燃焼ガスの流入により動力を得て、図示しない発電機を駆動するガスタービン13とを備えている。
【0025】
上記改質器1には、ガスタービン13からの排ガス15とガスタービン燃料3とが混合されて導入されると共に、蒸発器2によって水4を蒸発させた水蒸気5aが導入される。改質器1では、ガスタービン燃料3と、蒸発器2から供給される蒸気とが排ガス15からの熱により反応し上述したような高カロリーの改質ガスが得られる。
【0026】
このようなガスタービンシステムにおいて、本実施の形態では改質器1として次のような構成とするものである。
【0027】
図1の改質器1は概略構成を示し、図2は改質器1の構成を模式的に示す斜視図である。
【0028】
図1及び図2において、改質器1内は水素分離膜10により改質室1aと掃気室1bの2室に分離された構成となっている。
【0029】
改質室1aには、ガスタービン燃料3のほか、蒸発器2において生成された蒸気の一部が改質蒸気5aとして導入され、内部に充填されたNi,Fe,クロム等からなる触媒の効果で(1)式の水蒸気改質反応を生じる。
【0030】
生成した水素の一部は、水素分離膜10を通して掃気室1b内に透過水素11として浸入する。
【0031】
掃気室1bには、蒸発器2で生成された蒸気の一部が掃気蒸気5bとして導入される。そして、透過水素11は掃気室1bに導入された掃気蒸気5bと混合され、水素含有蒸気7となって掃気室1bから排出される。
【0032】
改質室1aから出た改質ガス6には、蒸気と未改質の燃料のほか、水素や一酸化炭素および二酸化炭素などが含まれ、イジェクター16にて水素含有蒸気7と混合され、水素リッチガス8として排出される。
【0033】
燃焼器9でのノズル圧力損失などにより水素リッチガス8の圧力が燃焼器9よりも低圧力となった場合には、これらの圧力差により水素リッチガス8の燃焼器9への導入効率が低下する。
【0034】
そのため、このような圧力関係になった場合、高温昇圧機17で水素リッチガス8の圧力を高くしてから燃焼器9へ導入し、発電に供することになる。
【0035】
一方、改質室1aでは、透過水素11を補うように更に水素を生成する反応が促進される。
【0036】
従って、ガスタービン排熱の回収量も多くなり、発電効率が向上する。この場合、最大排熱回収量は、蒸発器2で発生した蒸気すべてをガスタービン燃料3とともに改質室1aに通じた場合の理論値まで増大する。
【0037】
従って、S/Cを大きくする場合は、改質器1を上述した構成にすることが有効な手段である。
【0038】
なお、図では2室分離を示したが、例えば積層構造の改質器の場合は、多数の室に分離される。上述した2室とは、その機能の差によって改質を行う室と、透過水素を掃気する室との2種類の室に分離するということであり、室数が2つに限定されることを意味するものではない。
【0039】
このように本発明の第1の実施の形態によれば、ガスタービン排熱の回収量も多くなり、発電効率を向上させることができ、また蒸気の一部を改質室1aに比べて流路抵抗の小さい掃気室1bに通すことで、圧力損失を大幅に低減することができる。
【0040】
図3は本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第2の実施の形態を示す構成図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0041】
第2の実施の形態は、図3に示すように燃焼器9よりも上流側に配置され、水素リッチガス8を燃焼器9に導入する改質器1の改質室1aおよび掃気室1bの圧力を燃焼器9の圧力よりも高く設定するようにしたものである。
【0042】
このようにすれば、常に水素リッチガス8の圧力が燃焼器9よりも高くなるので、水素リッチガス8を圧縮する高温昇圧機が不要になる。
【0043】
この高温昇圧機は、水素リッチガス8の圧縮効率および耐熱性の点を考慮すると、経済的に不利である。すなわち、改質器1での圧力が小さいと水素リッチガス8への転化率は高いので、排熱回収量も多くなるが、高温昇圧機の動力は無視できないくらい大きいので、効率向上の点で問題がある。むしろ、改質室1aおよび掃気室1bの圧力を燃焼器9よりも高く設定した方が、高価な機器を省略できて効率を向上させることができる。
【0044】
次に本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第3の実施の形態を説明する。
【0045】
第3の実施の形態は、図1または図3に示す改質器1において、水素分離膜10として透過係数の大きい水素分離膜10を用いて、掃気室1bおよび改質室1aに分離するようにしたものである。
【0046】
このようにすれば、改質器1を小さくでき、経済的に有利である。以下その理由について述べる。
【0047】
透過水素11の透過流量は、改質室1aにおける水素分圧Pと掃気室1bにおける水素分圧Pの差圧に影響を受け、一般的に(3)式で表される。
【0048】
F=C(T)・(P−P) ……(3)
ここで、C(T)は、透過係数を意味し、温度に依存する。すなわち、温度上昇に応じて透過流量が多くなることを意味する。
【0049】
水素分離膜として、水素分子を吸排出する機能を有する金属膜、そして分子が透過可能な程度の径を有する管によりガス分子として最も小さい水素分子を抽出する分子ふるい的構造を有する膜などが用いられる。
【0050】
まず、水素分子を吸排出する機能を有する金属膜として、パラジウム膜を用いた場合について説明する。
【0051】
パラジウム膜は、数百℃で水素分子が金属中を透過することで知られているが、その透過係数は温度Tのべき乗の増加関数として表される。
【0052】
一方、分子ふるい的構造を有する膜の場合は、温度Tが上がれば分子運動が活発になるので、通常は透過係数は小さくなる。
【0053】
(P−P)xは、圧力への依存項を意味し、分圧の差圧が大きいほど透過流量は大きくなることを示す。
【0054】
xは、圧力項の効果の度合いをべき乗で表したパラメータを意味し、パラジウム膜の場合は、1/2となり、分子ふるい的構造の場合は1となる。
【0055】
(3)式により明らかなように、P>Pでなければ改質室1aにおける反応促進効果はない。
【0056】
掃気室1bの蒸気は、透過水素11を回収しながら流れるため、掃気室1b内は出口に向かって水素分圧が増大する。掃気室1bと改質室1aが同じ全圧でも、部分的には各室間の水素の分圧差があるため、上述の水素分子の透過流量はゼロではなく促進効果はある。
【0057】
しかしながら、所定の分離膜面積で効果的に水素分子の透過量を多くするには、必然的に分圧差すなわち全圧差を大きくする必要がある。
【0058】
従って、改質室1aの圧力を掃気室1bよりも高く設定すれば、高価な水素分離膜10の必要面積を小さくできると共に改質器1を小さくでき、且つ水素分子の透過量を多くできるので、更に経済性が向上する。
【0059】
以上のことより、システム構築上、圧力の大きさの順は改質室1a > 掃気室1b > 燃焼器9となるのが最も好ましい。
【0060】
本実施の形態により、掃気室1bの圧力よりも改質室1aの圧力を高く設定することで、コンパクトな改質器1を実現することができる。
【0061】
本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第4の実施の形態を説明する。
【0062】
(1)式および(2)式に示したように改質ガスには、COおよびCOが含まれるが、S/Cが化学量論比付近では、450〜550℃で炭素が析出することがある。
【0063】
炭素析出反応には種々の反応があるが、最も起こり易い反応として(4)式で表されるBoudouard反応がある。
【0064】
2CO ⇔ C + CO …… (4)
本システムの場合、改質室1aの触媒表面に炭素が析出する恐れがあり、炭素が析出した場合には著しく触媒活性が下がって改質反応を阻害する原因となる。
【0065】
炭素析出を回避するには、蒸気量すなわちS/Cを増加させることで対応できるが、蒸気量の増加はすなわち触媒充填層における圧力損失も増加させることになる。
【0066】
図4は、図1で示した水素分離膜10をもつ改質器1を用いて、メタンを燃料としてS/C=2.0の条件で水素リッチガスを生成した場合の改質後の成分を示すものである。
【0067】
横軸に温度(℃)を示し、縦軸に構成比率(mol%)を示す。
【0068】
本実施の形態の水素分離膜をもつ改質器では、改質室1aで生成される透過水素を補うように(2)式の反応も水素生成側へ促進されるため、図4に示すようにCO量は非常に小さくなる。
【0069】
従って、(4)式の反応も起こりにくくなり、低いS/Cであっても炭素の析出が抑えられる。
【0070】
なお、図4では、メタンの場合を示したが、C2以上の炭化水素系燃料では、S/Cという尺度よりも(1)および(2)式に相当する改質反応式により蒸気と燃料の量論比(モル比)が決定される。
【0071】
本実施の形態では、S/Cを数値規定するものではなく、従来は炭素析出により不可能であった化学量論比以下の蒸気量でも炭素を検出することなく改質運転が可能となる。
【0072】
たとえば、燃料がジメチルエーテルの場合は、(5)および(6)式により、量論比は3である。
【0073】
(CHO+HO ⇔ 2CO+4H ……(5)
2CO+2HO ⇔ 2CO+2H ……(6)
通常は、水蒸気を多めにして量論比を3.5〜5.0程度に設定するが、本実施の形態では量論比は3.0以下でも炭素を析出することなく改質運転が可能である。
【0074】
次に本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第5の実施の形態を説明する。
【0075】
蒸発器2から2系統に分岐して供給される水蒸気5aと5bの各蒸気量は、システムと蒸発器の制限からメタンのモル数の概略10倍程度が上限である。
【0076】
ここで、水蒸気5aと5bの各蒸気量がメタンのモル数の概略10倍程度を上限としているのは、次のような理由によるものである。
【0077】
例えば都市ガス(殆どんがメタンガス)の低位発熱量は46000kJ/kg、燃料1kg=56molを燃やしてガスタービンにより電力への変換を30%とすると排熱は46000×0.7=32200kJとなる。
【0078】
水の蒸発線熱潜熱を2123kJとすると15.2kgとなり、8444molの水を蒸発させることができる。
【0079】
これらを判断するとS/Cは、15程度まで行くが、実際には改質器で回収する熱があり、さらに加熱や常温水の沸点までの加熱分もあるので、10程度がMaxである。
【0080】
また、改質室1aのS/Cは、メタンの場合の下限は2.0である。
【0081】
S/Cを大きくすれば排熱回収量と圧力損失が増大するので、設計上の問題からS/Cは5.0程度までの範囲が妥当である。
【0082】
一方、掃気室1b側は、改質室1aのS/Cが2.0であれば、その4倍程度水素を流すことができる。
【0083】
また、S/Cが5.0であれば、それと同量流すことができる。すなわち、水蒸気5aと5bとの比は、1:1から4:1になる。要するに、(10-2)/2:2が4:1、(10-5)/5:5が1:1と言うことである。
【0084】
この水蒸気5aと5bの流量配分は、燃料の種類、改質器1の圧力損失、燃焼器圧力などのシステム条件設計により決定される。
【0085】
そして、到達可能な転化率は、水蒸気を全量改質室1aに供給した場合のS/Cにおける平衡転化率に等しい。
【0086】
本実施の形態により適正に流量配分された改質器は排熱回収量を増大させ、圧力損失の増大を抑えることができる。
【0087】
次に本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第6の実施の形態を説明する。
【0088】
分子ふるい的構造を有する水素分離膜は、完全に水素だけを透過させることは困難なため、メタン等の他の成分分子も改質室1aから掃気室1bに混入してくる。
【0089】
ここで、この水素の透過量と他成分の透過量との比を選択率と定義する。
【0090】
たとえば、対メタン選択率100とは、水素100分子の透過に対して、メタンが1分子混入することを表す。
【0091】
各成分は分子の大きさや極性によって水素に対する透過量が異なり、選択率も違うが、本システムで問題になるのは、被改質成分のメタンなどに対する選択率である。
【0092】
よって、ここで説明する選択率とは、主にメタンに対する選択率とする。
【0093】
水素分離膜10のコストとして、選択率がほぼ無限大のパラジウム膜は貴金属を用いるとすると非常に高価であり、その他の無機膜であっても選択率が大きいほど製造が困難でコストも高く透過係数も小さい。
【0094】
従って、水素分離膜10は、排熱回収量が変わらなければ選択率が小さい膜を用いるほうが良い。すなわち、最終転化率=排熱回収量であり、排熱回収量が同じであれば効率のマージンが同じである。
【0095】
図5は、選択率に対するメタンの転化率の関係を示す対応図である。横軸に選択率を示し、縦軸にメタン転化率を示す。
【0096】
図5によると、選択率が比較的小さい10程度の膜でもメタンへの転化促進効果はほとんど変わらず、むしろ選択率が小さい方が多少良くなっている。
【0097】
しかし、選択率を10程度より小さくすると、水素分離膜としての機能が低下し、急激にメタン転化率も下がる。
【0098】
また、10000以上の選択率を実現するためには、コストのみならず改質室1aから掃気室1bへの水素の透過速度も犠牲になる。すなわち、排熱回収量を多くするためには、10から10000程度の選択率が適正な範囲であることが必要であることが分かる。
【0099】
本実施の形態により、選択率を10から10000である水素分離膜を用いたシステムでは、排熱回収量を多くすることができると共に分離膜にかかるコストが低いため安価に改質器を製造することができる。
【0100】
次に本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第7の実施の形態を図6を用いて説明する。
【0101】
図6は、管長2.8m、そして選択率10の条件での透過速度に対するメタン転化率の関係を示すものである。
【0102】
図6において、横軸は透過速度mol/s/m2/Mpaを示し、縦軸にメタン転化率を示している。透過速度が14mol/s/m2/Mpaから1.4mol/s/m 2 /Mpaに低下するとメタン転化率は8%も低下する。
【0103】
さらに、1.4mol/s/m2/Mpaから0.14 mol/s/m 2 /Mpaになっても、メタン転化率は2%程度の低下である。
【0104】
メタン転化率の低下は排熱回収量の低下に直結するので、透過速度は概略1.0mol/s/m2/MPa以上あることが好ましい。
【0105】
選択率が同じであれば、分離膜10の透過速度が大きければ、改質器1をコンパクトに設計することができ、改質室1aの圧力損失も小さくなるので、システムの効率も向上する。
【0106】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ガスタービン排熱の回収量を多くして発電効率を向上させることができる共に、蒸気の一部を改質室に比べて流路抵抗の小さい掃気室に通すことで圧力損失を大幅に低減することができる水素分離改質ガスタービンシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同実施の形態における改質器の構成を模式的に示す斜視図。
【図3】本発明による水素分離改質ガスタービンシステムの第2の実施の形態を示す構成図。
【図4】本発明の第4の実施の形態における水素分離改質による水素リッチガス組成を示す図。
【図5】本発明の第6の実施の形態における転化率と選択率の関係を示す図。
【図6】本発明の第7の実施の形態における転化率と透過速度の関係を示す図。
【図7】従来の水素分離改質ガスタービンシステムを示す構成図。
【符号の説明】
1…改質器
1a…掃気室
1b…改質室
2…蒸発器
3…ガスタービン燃料
4…水
5a、5b…水蒸気
6…改質ガス
7…水素含有蒸気
8…水素リッチガス
9…燃焼器
10…水素分離膜
11…透過水素
12…圧縮機
13…タービン
14…空気
15…タービン排ガス
16…イジェクター
17…昇圧機

Claims (6)

  1. 燃焼用酸素を含む流体を圧縮機と、水素を選択的に分離する水素分離膜で改質室と掃気室の2種類の室に分けられ、且つ前記改質室に触媒が充填され、燃料ガスを化学的に改質して改質ガスを生成する改質器と、前記圧縮機により圧縮された流体を前記改質器で改質された改質ガスとともに流入して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器で発生した燃焼ガスの流入により動力を得て発電に供するガスタービンとを備え、
    前記改質器の掃気室に蒸気を流通させるとともに、改質室に水蒸気と燃料ガスとの混合ガスを導入して前記ガスタービン排ガスを熱源として水素含有ガスに転化させ、前記掃気室に流入する蒸気に水素含有ガス中の水素の一部を前記水素透過膜を通して引き込んで水素含有蒸気とし、これら水素含有ガスと水素含有蒸気とを混合した水素リッチな改質ガスを前記燃焼器に流入させる構成として、前記改質器の改質室内の蒸気と燃料ガスとの混合ガスの圧力を前記燃焼器内の燃焼ガスの圧力と同一またはそれより大きくするとともに、前記改質器の改質室に導入される燃料ガスに対する水蒸気のモル量比を改質反応の当量比以下としたことを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
  2. 請求項1記載の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質器の掃気室および改質室の圧力を、前記燃焼器の圧力よりも高く設定したことを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
  3. 請求項2記載の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質室の圧力を前記掃気室の圧力よりも高く設定したことを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
  4. 請求項1記載の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記改質器の改質室と掃気室へ流入する水蒸気量比は、1:1から1:4の範囲内であることを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記水素分離膜の水素の選択率は、10以上10000以下であることを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の水素分離改質ガスタービンシステムにおいて、前記水素分離膜の水素透過速度は、1.0mol/s/m 2 /MPa以上であることを特徴とする水素分離改質ガスタービンシステム。
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