JP5136958B2 - パワーソースシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車載用として好適な水素生成機能を有する燃料改質装置を備えたパワーソースシステムに関し、更に詳しくは、パワーソースシステムを流通する流体の流体エネルギーを利用して、水素の生成効率を向上させたパワーソースシステムに関する。
近年、地球環境問題への関心の高まりから、燃料電池の利用が検討されている。燃料電池は、水素を燃料とし、酸素又は酸素を含む空気を酸化剤として電気化学的反応により発電するものである。
燃料電池を車体に搭載する場合は、燃料電池システム全体の体積(容積)は、可能な限り小さくすることが好ましい。そのため、燃料源として水素ガスよりもエネルギー密度の高い液体燃料を用いることが望ましい。
燃料電池の燃料源として液体燃料を用いる場合は、この液体燃料を改質し、得られた改質ガスから水素のみを選択的に透過させることのできる機能を有する燃料改質装置が必要となる。
また、燃料電池に限らず、燃費や排気浄化処理を向上させるために、水素を燃料や排ガス処理に使用する検討がなされている。燃料改質装置は、このような水素の供給源としても用いられる。
液体燃料から高純度な水素を得るための燃料改質装置は、改質部、シフト反応部、CO除去部などを設けている。このような装置は、構造が複雑で、小型化が容易ではない。
装置を小型化するために、シフト反応部、CO除去部などを必要としない、水素を分離する膜を利用した燃料改質装置も用いられている。
特許文献1には、水素を分離する分離膜を備え、水素の生成量を向上させるために、更に水蒸気発生手段を備えたガソリンエンジンが提案されている。
このガソリンエンジンは、水蒸気発生手段で発生させた水蒸気をスイープガスとして利用し、水素が分離抽出される前の改質燃料が存在する1次空間と、分離膜で分離抽出された水素が存在する2次空間との間に圧力差を発生させて、水素生成量を増大させている。
特許第3773437号公報
しかし、上記特許文献1のガソリンエンジンは、水素を反応場から引き抜くためのスイープガスとして、水蒸気を利用しているために、水蒸気を発生させるためのボイラーやポンプなどの装置が必要であり、システムが大型化する懸念がある。また、スイープガスとして利用する水蒸気の凝縮を防止するために、水蒸気を流通させる配管やバルブなどを加熱又は保温する必要もあり、装置が大型化することが推測される。
上記特許文献1に記載されているように、水蒸気発生手段として、例えばボイラーを利用した場合には、起動性や過度応答性が低い可能性もある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、システムを大型化することなく、内燃機関、燃料電池、燃焼式ヒータなどのパワーソースに水素を供給する燃料改質装置の水素の分離を促進させて、水素の生成効率を向上させることのできるパワーソースシステムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、パワーソースと、燃料改質装置とを備えたパワーソースシステムにおいて、このパワーソースシステムを流通する流体の流体エネルギーを利用することによって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明のパワーソースシステムは、水素分離機能を有する燃料改質装置と、パワーソースと、上記燃料改質装置又はパワーソースに供給又は排出される流体の流通経路を備えたパワーソースシステムであって、上記燃料改質装置で生成された水素を、上記流体の流体エネルギーを利用して上記燃料改質装置から分離させて、水素リッチな改質ガスとして上記パワーソースに供給する改質ガス供給手段を備え、上記改質ガス供給手段が、上記燃料改質装置から排出された流体を駆動流とし、上記燃料改質装置で生成された水素を被駆動流とするエジェクタであり、駆動流となる流体をエジェクタに供給する流通経路と、被駆動流となる水素をエジェクタに供給する流通経路に、それぞれ熱交換器を設けたことを特徴としている。
本発明によれば、パワーソースシステムの稼動中に常に存在する流体の流体エネルギーを利用して、燃料改質装置で生成された水素を分離させて、水蒸気改質反応などの平衡反応を水素の生成側にシフトさせて、水素の生成効率を向上させることができる。この際、熱交換器により流体を冷却し、流体を密度の高い状態にしてエジェクタに供給することにより、燃料改質装置における水素の生成反応をより促進させることができる。
また、本発明によれば、パワーソースシステムの稼動中に常に存在する流体の流体エネルギーを利用するため、システム中にスイープガスを発生させるための手段を設ける必要がなく、システムを小型化及び簡素化することができる。
以下、本発明のパワーソースシステムについて、図面に基づき詳細に説明する。
本発明のパワーソースシステムは、以下に説明する実施形態に限られるものではない。
図1は、本発明のパワーソースシステムの実施形態の第1の例を示す概念図である。
図1に示すように、本例のパワーソースシステム1は、燃料改質装置2と、パワーソース3とを備え、燃料改質装置2又はパワーソース3に供給又は排出される流体の流通経路4,5を備えている。パワーソースシステム1は、加熱により燃料の改質を行う機能を有する改質器6を備えている。
燃料改質装置2は、改質ガスから水素を生成する改質層2aと、生成された水素を選択的に透過させる水素分離体2bと、透過された水素を一時的に蓄える水素透過層2cとを備えている。
本例のパワーソースシステム1は、燃料改質装置2の水素透過層2cに透過させた水素を、水素透過層2cから引き抜き(分離抽出させ)、燃料改質装置2における水素の生成反応を促進させる改質ガス供給手段7を備えている。この改質ガス供給手段7によって、燃料改質装置2の水素透過層2cに蓄えられた水素は、パワーソースシステム1に常に流れる流体の流体エネルギーを利用して、燃料改質装置2から分離され、水素リッチな改質ガスとして水素利用装置8に供給される。
水素利用装置8は、パワーソース3自体であってもよく、パワーソース3以外の水素リッチな改質ガスを利用する機器やパワーソースの付属装置であってもよい。
本明細書においてパワーソースとは、システム内を流通する流体燃料の供給により駆動源となる内燃機関や燃料電池、又は、熱源となる燃焼式ヒータなどを意味する。
以下に示す実施形態では、主に内燃機関(エンジン)をパワーソースに用いた例について説明しているが、パワーソースは、内燃機関(エンジン)に限らず、燃料電池であっても、燃焼式ヒータであってもよい。
改質ガス供給手段7としては、燃料改質装置2から排出される流体(例えば改質ガスや加熱ガス)、パワーソース3(例えば内燃機関)に供給される流体(例えば燃料)、又は排出される流体(例えば排ガス)を駆動流とするエジェクタや燃料噴射弁が挙げられる。
改質ガス供給手段7として、エジェクタを用いた場合は、例えばパワーソース3から排出された流体を駆動流とし、この流体がエジェクタのノズルから減圧膨張される際に、水素透過層2cに一時的に蓄えられている水素が、被駆動流(吸引流)としてエジェクタ内に吸い込まれ、水素透過層2cから分離される。エジェクタに吸い込まれた水素は、エジェクタ内で駆動流として利用された流体と混合され、水素リッチな改質ガスとして水素利用装置8に供給される。
本例のパワーソースシステム1は、改質ガス供給手段7を備えたことによって、パワーソースシステム1に流通している流体の流体エネルギーを利用して、水素透過層2cから水素を分離させて、水素の生成効率を向上させることができる。
本例のパワーソースシステム1に用いる燃料改質装置2及び改質器6について説明する。
燃料改質装置2の改質層2a又は改質器6は、燃料から水素を得る反応を行う部分である。なお、改質層2aに改質器6の機能を持たせる場合は、触媒を担持させた改質層2aに熱を供給するための加熱層が必要となる。
一般的に水素は、水蒸気改質反応により生成される。水素の生成は、水蒸気改質反応に限らず、脱水素反応、部分酸化反応、オートサーマルリフォーミング反応、分解反応などの反応を利用してもよい。これらの反応を利用する場合は、改質層2a又は改質器6には、水素の生成に適した触媒を配置し、水素を得るための燃料や、反応に必要な水蒸気又は空気などを供給する必要がある。例えば水蒸気改質反応を利用する場合は、燃料及び水蒸気を改質器6又は改質層2aに供給する。脱水素反応を利用する場合は、燃料のみを供給すればよい。
改質層2a又は改質器6に用いられる触媒としては、例えば燃料改質用触媒、脱水素反応用触媒、水性ガスシフト反応用触媒などが挙げられる。
具体的には、白金、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属や、銅、コバルト、鉄などの遷移金属を、アルミナ、セリア、シリカ、チタニアなどの無機多孔体に担持したものを用いることができる。
このような触媒としては、例えばペレット状の触媒を、改質層2a又は改質器6に充填したものであってもよく、触媒成分となる粉末を含むスラリーを改質器6に備えられたフィンなどに塗布してもよい。
また、触媒は、1種に限らず、2種以上を利用してもよい。改質する燃料や利用する水素生成反応の違いにより、例えば、改質層2a又は改質器6の流入口側には、水蒸気改質反応の活性の高い触媒を用い、流出口側には、シフト反応の活性の高い触媒を用いてもよい。
燃料改質装置2若しくは改質器6で改質される燃料、又は、パワーソース3に供給される燃料としては、例えば、ガソリンなどの液体炭化水素や、エタノールなどのアルコール、アルデヒド類又は天然ガスなどの水素生成反応によって水素が得られる種々の炭化水素系燃料を用いることができる。なお、これらの燃料が硫黄分を含有するものである場合は、パワーソースシステム1中に、脱硫器を設け、脱硫された燃料を燃料改質装置2又は改質器6に供給することが望ましい。
燃料改質装置2の水素分離体2bは、水素を選択的に透過させる水素透過膜及びその他の部材によって構成される。水素透過膜としては、Pd、V、Nb及びZrから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属系合金の膜や、シリカ系、ゼオライト系の分子ふるい機能を有するものなどを利用することができる。
水素透過膜は、その膜厚が薄いほど透過させる水素の量を増大させることができ、装置を小型化することができ、高価なPdなどの貴金属の使用量も低減するため、水素透過膜を薄膜化することが種々検討されている。
薄膜化された水素透過膜を補強し、支持するために、水素分離体2bには、その他の部材として、水素透過膜を透過した水素の流れを妨げない、多孔体プレートなどが用いられる。
多孔体プレートとしては、セラミック製又は金属製のものを用いることができる。金属製の多孔体プレートを用いる場合は、この金属製多孔体プレートと水素透過膜が合金化してしまう場合がある。そのため、多孔体プレートに、水素透過膜との合金化を阻止する保護層を設けた多孔体プレートを用いることが好ましい。具体的には、保護層としてアルミナやジルコニアなどを表面(水素透過膜と接触する表面)に設けた金属製多孔体プレートが用いられる。
燃料改質装置2の水素透過層2cは、水素分離体2bで選択的に透過された水素を一時的に蓄える機能を有する。
燃料改質装置2において、改質層2aと水素透過層2cとの分圧差が大きい程、即ち、改質層2aの分圧よりも水素透過層2cの分圧が小さい程、水蒸気改質反応の平衡反応が水素を生成する側にシフトされ、水素の生成効率が向上される。そのため、水素透過層2cに一時的に蓄えられた水素は、水素透過層2cから出来るだけ素早く分離されることが望ましい。
本例のパワーソースシステム1は、改質ガス供給手段7によって、水素透過層2cに一時的に蓄えられた水素を水素透過層2cから引き抜き(分離抽出)、水素の生成反応を促進させる。
次に、図2に基づき、本発明のパワーソースシステムの好ましい実施形態の第2の例を説明する。
図2(A)に示すパワーソースシステム20は、燃料改質装置21と、パワーソースとして内燃機関(エンジン)22と、燃料改質装置21に燃料を供給する燃料タンク23と、蒸発器24を備えている。
また、パワーソースシステム20は、燃料改質装置21の改質層21bから排出された改質ガスを流通させる改質ガス流通経路a、燃料改質装置21の水素透過層21dから排出された水素を流通させる水素流通経路b、及び、後述するその他の流体の流通経路c〜fを備えている。
燃料改質装置21は、加熱層21aと、改質層21bと、水素分離体21cと、水素透過層21dとを備えている。水蒸気改質反応を行う場合は、加熱層21aで燃料と空気とを燃焼させて、水蒸気改質反応に必要な熱量を有する加熱ガスを改質層21bに供給する。改質層21bは、燃料の改質を行う改質器として利用される。
加熱層21aには、燃料や水素を燃焼させて加熱ガスが得られる燃焼触媒を設けてもよい。燃焼触媒としては、例えば白金、パラジウムなどの貴金属や、銅、コバルト、鉄などの遷移金属をアルミナ、セリア、シリカ、チタニアなどの無機多孔体に担持したものを用いることができる。また、加熱層21aの代わりに、加熱用ヒータを用いてもよい。
改質層21bには、実施形態の第1例の改質層に用いた触媒と同様の触媒を用いることができる。
また、加熱層21a及び改質層21bには、ガスの流れの偏りを減らし、熱の伝わりを良くするために、フィン等を設けてもよい。
本例のパワーソースシステム20は、改質される燃料を改質層21bに供給する燃料供給経路cと、熱源として利用される燃料を加熱層21aに供給する燃料供給経路cを備えている。燃料は、燃料タンク23から燃料供給経路cを流通して、蒸発器24で昇温加圧された後、改質層21bに供給される。また、熱源として利用される燃料は、燃料タンク23から燃料供給経路cを流通して、加熱用燃料供給弁25から加熱層21aに供給される。
燃料経路cから供給された燃料は、改質層21bで改質される。そして、この改質ガス中から水素分離体21cによって水素が選択的に透過され、透過された水素が水素透過層21dに一時的に蓄えられる。
本例のパワーソースシステム20は、改質ガス供給手段として、エジェクタ10を備えている。図2(B)は、エジェクタ10の拡大図である。
図2(B)に示すように、エジェクタ10のノズル11は、改質ガス流通経路aと連通され、エジェクタ10の流入ポート12は水素流通経路bと連通されている。
エジェクタ10は、燃料改質装置21の改質層21bから排出された改質ガス(流体)を駆動流として利用している。
改質ガス供給手段としてエジェクタ10を用いた場合は、駆動流として利用される改質ガスがノズル11から減圧膨張される際に、水素透過層21dに一時的に蓄えられている水素が、吸引ポート12から被駆動流(吸引流)としてエジェクタ10内に吸い込まれて、水素透過層21dから分離される。
エジェクタ10に吸い込まれた水素は、エジェクタ10のディフューザー13内で、CO、メタンなどを含む改質ガスと混合されて、水素リッチな改質ガスとして、改質ガス流通経路dから直噴弁26を通じて、水素利用装置であるエンジン22に供給される。
本例のパワーソースシステム20は、エジェクタ10によって、改質層21bから排出される改質ガスの流体エネルギーを利用して、燃料改質装置21の水素透過層21dから水素を分離させ、水素の生成反応を促進させることができる。即ち、燃料改質装置21の水素透過層21dに一時的に蓄えられた水素が、エジェクタ10により水素透過層21dから分離されることによって、改質層21bと水素透過層21dに分圧差を生じさせて、平衡反応である水蒸気改質反応を水素の生成側にシフトさせて、水素の生成量を増大させる。
本例のパワーソースシステム20は、システムの稼動中に常に存在する流体(例えば改質ガス)の流体エネルギーを利用しているため、スイープガスの発生手段を別途設ける必要がなく、パワーソースシステムを小型化及び簡素化することができる。
また、本例のパワーソースシステム20は、エンジン22から排出された排ガスの流通経路eを備え、この排ガス流通経路eを通じて排ガスの熱を蒸発器24の熱源の一部として利用している。
また、本例のパワーソースシステム20は、排ガス流通経路eから分岐された排ガスバイパス経路f0とfを備えている。この排ガスバイパス経路fを通じて、排ガスの一部を、EGR(Exhaust Gas Recirculation)として加熱層21aに供給し、加熱層21aの熱源として利用している。
本例のパワーソースシステム20は、パワーソースシステム20に常に流通する流体の流体エネルギーを水素透過層21dに一時的に蓄えられた水素の分離に利用するだけではなく、EGR、熱源などに利用することによって水素の生成効率を向上させると共に、燃費や排気浄化を向上させることが可能である。
次に、本発明のパワーソースシステムの実施形態の第3の例を図3に基づき説明する。
図3に示すパワーソースシステム30は、改質ガス供給手段として、エンジン22に燃料を噴射する燃料噴射弁31を用いている。図3において、図2に示すパワーソースシステムと同様の部材には、同一の符号を付し、説明を省略する。
本例のパワーソースシステム30は、燃料タンク23からエンジン22に燃料を供給する燃料供給経路cと、改質層21bから排出された改質ガスを蒸発器24に供給する改質ガス流通経路aと、水素透過層21dから排出された水素を流通させる水素流通経路をbを備えている。
図3(B)は、燃料噴射弁31の一部の概略構成を説明する拡大図である。燃料噴射弁31の燃料噴射ノズル31aは、燃料供給経路cと連通され、燃料噴射弁31の吸入ポート31bは、水素流通経路bと連通されている。
図3(B)に示すように、燃料供給手段及び改質ガス供給手段である燃料噴射弁31は、燃料タンク23から燃料供給経路cを通じて供給された燃料を駆動流として利用している。
改質ガス供給手段として燃料噴射弁31を用いた場合は、駆動流として利用される燃料が、燃料噴射ノズル31aから噴出される際に、水素透過層21dに一時的に蓄えられている水素が、吸引ポート31bから被駆動流(吸引流)として燃料噴出弁31に吸い込まれて、水素透過層21dから分離される。燃料噴出弁31に燃料と共に吸い込まれた水素は、水素リッチな改質ガスとしてエンジン22に供給される。
改質ガス供給手段としても利用する燃料噴射弁は、パワーソース(エンジン)の筒内に燃料を直接噴射する直噴弁であってもよい。
本例のパワーソースシステム30は、改質ガス供給手段として燃料噴射弁31を用いたことによって、エンジンに供給される燃料の流体エネルギーを利用して、燃料改質装置21の水素透過層21dから水素を分離させ、水素の生成効率を向上させることができる。
本例のパワーソースシステム30は、水素流通経路bに熱交換器33を設けている。この熱交換器33により、水素が冷却されて、密度が高められて燃料噴射弁31からエンジン22に供給される。
なお、図示を省略したが、水素流通経路bには、燃料噴射弁31への水素の供給を停止又は開始させるバルブを設けてもよい。
また、本例のパワーソースシステム30において、加熱層21aによって加熱され、改質層21bから排出されるCO,メタンなどを含む高温高圧の改質ガスは、改質ガス流通経路aを通じて蒸発器24に供給され、蒸発器24の熱源として利用される。
改質層21bから排出されるCO、CO、メタンなどを含む改質ガスは、その改質ガスの組成によって、エンジン22から排出された排ガスと混合し、排ガスの浄化に利用してもよい。
エンジン22から排出される排ガスの排ガス流通経路eには、例えば三元触媒などの触媒32を設け、排ガス中に含まれるNO,CO,メタンなどを無害なガスに浄化する。
本例のパワーソースシステム30は、パワーソースシステム30に常に流通する流体の流体エネルギーを、水素の分離、EGR,熱源などに利用することによって水素の生成効率を向上させると共に、パワーソースシステム30の燃費や排気浄化を向上させることが可能である。
次に、本発明のパワーソースシステムの実施形態の第4の例を図4に基づき説明する。
図4に示すパワーソースシステム40は、改質ガス供給手段として、加熱層21aから排出される加熱ガスを駆動流として利用し、水素透過層21dから排出される水素を被駆動流(吸引流)とするエジェクタ41を用いている。図4において、図2又は図3に示すパワーソースシステムと同様の部材には、同一の符号を付し、説明を省略する。
本例のパワーソースシステム40は、改質層21bから排出された改質ガスを燃料噴射弁31からエンジン22に供給する改質ガス流通経路aと、加熱層21aから排出された加熱ガスをエジェクタ41に供給する加熱ガス流通経路gを備えている。
エジェクタ41のノズルは、加熱ガス流通経路gと連通され、エジェクタ41の吸入ポートは、水素透過層21dから排出された水素を流通させる水素流通経路bと連通されている。
本例のパワーソースシステム40は、加熱ガス流通経路gと水素流通経路bに、それぞれ熱交換器44,45を設けている。この熱交換器44,45によって、流体(加熱ガス又は水素)が冷却されて密度の高い状態でエジェクタ41に供給される。
改質ガス供給手段としてエジェクタ41を用いた場合は、駆動流である加熱ガスがエジェクタ41のノズルから噴出される際に、水素透過層21dに一時的に蓄えられた水素が、エジェクタ41の吸引ポートから被駆動流(吸引流)として吸い込まれ、水素透過層21dから分離される。
エジェクタ41に吸い込まれた水素は、エジェクタ41のディフューザー内で混合され、水素リッチな改質ガスとして、エジェクタ41から改質ガス供給経路dに供給される。
エジェクタ41から改質ガス供給経路dに供給された水素リッチな改質ガスは、改質ガス流通経路aを流通する不活性ガス,CO,メタンなどを含む改質ガスと混合されて、燃料噴射弁31からエンジン22に供給される。
改質ガスを流通させる改質ガス流通経路aは、改質層21bで加圧された改質ガスの圧力を調整するための調圧弁42と、改質ガスを冷却して密度を高めるための熱交換器43を設けている。
また、本例のパワーソースシステム40は、燃料タンク23からエンジン22に燃料を供給する燃料供給経路cと、排ガス流通経路eから分岐する排ガスバイパス経路fを備えている。
燃料は、主に燃料供給経路cから直噴弁26を通じて、エンジン22に供給される。エンジン22が希薄燃焼で運転される場合は、エンジン22から排出される排ガス中に、多量の酸素が残存している。この排ガスの一部を、排ガス流通経路eから分岐している排ガスパイパス経路fを通じて、燃料改質装置21の加熱層21aに供給し、酸素供給源として利用する。
なお、排ガスバイパス経路fには、排ガスバイパス経路fを開閉するバルブ46を設けている。本例のパワーソースシステム40は、このバルブ46によって、加熱層21aから排出された加熱ガスをエジェクタ41の駆動流として利用する場合と、排ガスバイパス経路fから排ガスを排ガス流通経路eに供給する場合の流通経路の選択を可能としている。
本例のパワーソースシステム40は、パワーソースシステム40に常に流通する流体の流体エネルギーを、水素の分離、EGR、熱源、酸素供給源などに利用することによって、水素の生成効率を向上させると共に、パワーソースシステムの燃費や排気浄化を向上させることが可能である。
次に、本発明のパワーソースシステムの実施形態の第5の例を図5に基づき説明する。
図5は、例えば水とエタノールなどの混合燃料を用いる場合のパワーソースシステム50を示している。本例のパワーソースシステム50は、水タンク52を備え、燃料タンク23と水タンク52は、それぞれのタンクに貯留された流体(燃料、水)の供給量を調整するためポンプ23a,52aが備えている。また、本例のパワーソースシステム50は、図2〜4において図示を省略したコントロールユニット58を備えている。図5において、図2〜4に示すパワーソースシステムと同様の部材には、同一の符号を付し、説明を省略する。
本例のパワーソースシステム50は、燃料タンク23からエタノールなどの燃料を改質層21bに供給する燃料供給経路cと、水タンク52から水(水蒸気)を改質層21bに供給する水(水蒸気)供給経路hとを備えている。
エタノールなどの燃料は、燃料タンク23から燃料供給経路cを流通して、蒸発器24で加圧された後、流量調整弁53によって燃料の一部が、燃料供給経路cから分岐された燃料バイパス経路cを通じて、改質層21bに供給される。また、加圧された燃料の一部は、流量調整弁53によって、燃料供給経路cから分岐された燃料バイパス経路cを通じて、熱源として燃焼器54に供給される。燃焼器54で発生した熱は、燃料改質装置21の加熱層21aを加熱する熱源として利用される。
水は、水タンク52から水(水蒸気)供給経路hを流通して、蒸発器24で加圧された後、改質層21bに供給される。
改質層21bに供給された燃料及び水蒸気は、改質層21bで改質される。そして、この改質ガス中から水素分離体21cによって水素が選択的に透過され、透過された水素が水素透過層21dに一時的に蓄えられる。
本例のパワーソースシステム50は、改質ガス供給手段として、エンジン22から排出される排ガスを駆動流とし利用し、水素透過層21dから排出される水素を被駆動流(吸引流)とするエジェクタ51を用いている。
エジェクタ51のノズルは、エンジン22から排出された排ガス流通経路eから一部の排ガスを流出させる排ガス流通経路eと連通され、エジェクタ51の吸入ポートは、水素透過層21dから排出された水素を流通させる水素流通経路bと連通されている。
改質ガス供給手段としてエジェクタ51を用いた場合は、駆動流である排出ガスがエジェクタ51のノズルから減圧膨張される際に、水素透過層21dに一時的に蓄えられた水素が、エジェクタ51の吸引ポートから被駆動流(吸引流)として吸い込まれ、水素透過層21dから分離される。そして、吸い込まれた水素は、エジェクタ51のディフューザー内で混合され、水素リッチな改質ガスとして、エジェクタ51から改質ガス供給経路dに供給される。
改質ガス供給経路dに供給された水素リッチな改質ガスは、燃料噴射弁31からエンジン22に供給される。改質ガス供給経路dには、熱交換器55を設けている。この熱交換55によって密度が高められた水素リッチな改質ガスが、燃料噴射弁31からエンジン22に供給される。
本例のパワーソースシステム50は、燃料改質装置21の改質層21bから排出された改質ガスを貯留する貯留タンク56を備えている。改質層21bから排出される改質ガスは、高温高圧状態である。この高温高圧の改質ガスを貯留タンク56に貯めておき、改質ガスの流体エネルギーを利用して、直噴弁26から改質ガスを膨張させてエンジン22に供給させてもよい。
改質ガス流通経路aには、熱交換器57を設けている。この熱交換器57によって、改質ガスの密度を高めて貯留タンク56に貯留してもよい。また、図5においては、図示を省略したが、改質ガス流通経路には、改質ガスの圧力を調整する調圧弁を設けてもよい(図6の調圧弁65を参照)。
本例のパワーソースシステム50は、パワーソースシステム50に常に流通する流体の流体エネルギーを、水素の分離、EGR、熱源、酸素供給源、直噴弁の圧力などに利用することによって、水素の生成効率を向上させ、パワーソースシステム50の燃費や排気浄化を向上させることが可能である。
本例のパワーソースシステム50は、流体の供給量を調整するためのポンプ23a,52a、流量調整弁53、直噴弁26、燃料噴射弁31は、エンジン22の運転状況に合わせて、コントロールユニット58によって、スロットル開度などが制御される。
例えばコントロールユニット58により直噴弁26の開度を制御し、貯留タンク56に貯留された高温高圧の改質ガスをエンジン22に供給することが可能である。また、燃料の供給量が多く高圧負荷の運転状態において、粒子状物質の発生が予想される場合には、コントロールユニット58により燃料噴射弁31のスロットル開度を制御し、水素リッチな改質ガスを多量にエンジン供給することが可能である。
次に、本発明のパワーソースシステムの実施形態の第6の例を図6に基づき説明する。
図6は、過給機62を備えたパワーソースシステム60の例を示している。なお、図6において、図2〜5に示すパワーソースシステムと同様の部材には、同一の符号を付し、説明を省略する。
本例のパワーソースシステム60は、エンジン22から排出された排ガスを過給機62に供給する吸気管63と、過給機62の下流側に吸気フィルタ64を設けている。
過給機62が設けられたパワーソースシステム60は、排ガスによって過給機62が駆動され、吸気管63内を流通する排ガスが加圧されるため、過給機62に供給される前の吸気管63を流通する圧力の高い排ガスの流体エネルギーを有効利用することが望ましい。
本例のパワーソースシステム60は、改質ガス供給手段として、過給機62に供給される前の圧力の高い排ガスを駆動流とし利用し、水素透過層21dから排出される水素を被駆動流(吸引流)とするエジェクタ61を用いている。
エジェクタ61のノズルは、吸気管63から一部の排ガスを流出させる排ガス流通経路eと連通され、エジェクタ61の吸入ポートは、水素透過層21dから排出された水素を流通させる水素流通経路bと連通されている。
改質ガス供給手段としてエジェクタ61を用いた場合は、過給機62に供給される前の圧力の高い排ガスがエジェクタ61のノズルから圧縮膨張される際に、水素透過層21dに一時的に蓄えられた水素が、エジェクタの吸引ポートから被駆動流(吸引流)として吸い込まれ、水素透過層21dから分離される。吸い込まれた水素は、エジェクタ61からの水素リッチな改質ガスとして、改質ガス流通経路dに供給される。水素リッチな改質ガスは、改質ガス流通路dに設けられた熱交換55によって密度が高められて、燃料噴射弁31からエンジン22に供給される。
実施形態の第1〜6例に示すように、本例のパワーソースシステムは、システム内を流通する流体の流体エネルギーを利用して、燃料改質装置から水素を分離させ、水蒸気改質反応などの平衡反応を水素の生成側にシフトさせて、水素の生成効率を向上させ、燃焼、発電効率などを向上させることができる。
また、本例のパワーソースシステムは、システムの稼動中に常に存在する流体(例えば改質ガス)の流体エネルギーを利用しているため、小型化及び簡素化が可能であり、車載用のパワーソースシステムとして好適に用いることができる。
本発明のパワーソースシステムの第1実施形態を概念的に示す説明図である。 本発明のパワーソースシステムの第2実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明のパワーソースシステムの第3実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明のパワーソースシステムの第4実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明のパワーソースシステムの第5実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明のパワーソースシステムの第6実施形態を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1,20,30,40,60 パワーソースシステム
2 燃料改質装置
2a 改質層
2b 水素分離体
2c 水素透過層
3 パワーソース
4,5 流通経路
6 改質器
7 改質ガス供給手段
8 水素利用装置
10,41,51,61 エジェクタ
11 ノズル
12 吸入ポート
13 ディフューザー
21 燃料改質装置
21a 加熱層
21b 改質層
21c 水素分離体
21d 水素透過層
22 内燃機関(エンジン)
23 燃料タンク
24 蒸発器
25 加熱用燃料供給弁
26 直噴弁
31 燃料噴射弁
31a 燃料噴射ノズル
31b 吸引ポート
32 触媒
33,43,44,45,55,57 熱交換器
42 調圧弁
52 水タンク
53 流量調整弁
54 燃焼器
56 貯留タンク
56a 圧力調整弁
58 コントロールユニット
62 過給機
63 吸気管
64 吸気フィルタ
65 調圧弁
〜a 改質ガス流通経路
〜b 水素流通経路
〜c 燃料供給経路
,c 燃料バイパス経路
〜d 改質ガス流通経路
〜e 排ガス流通経路
0〜f 排ガスバイパス経路
加熱ガス流通経路
水(水蒸気)供給経路

Claims (2)

  1. 水素分離機能を有する燃料改質装置と、パワーソースと、上記燃料改質装置又はパワーソースに供給又は排出される流体の流通経路を備えたパワーソースシステムであって、
    上記燃料改質装置で生成された水素を、上記流体の流体エネルギーを利用して上記燃料改質装置から分離させて、水素リッチな改質ガスとして上記パワーソースに供給する改質ガス供給手段を備え
    上記改質ガス供給手段が、上記燃料改質装置から排出された流体を駆動流とし、上記燃料改質装置で生成された水素を被駆動流とするエジェクタであり、
    駆動流となる流体をエジェクタに供給する流通経路と、被駆動流となる水素をエジェクタに供給する流通経路に、それぞれ熱交換器を設けたことを特徴とするパワーソースシステム。
  2. 上記改質ガス供給手段から供給される水素リッチな改質ガスを、上記燃料改質装置から排出された流体と共にパワーソースに供給する燃料噴射弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパワーソースシステム。
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