JP5154174B2 - 燃料電池システム及びその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池スタック、改質部、原燃料供給部及び水供給部を備える燃料電池システム及びその運転方法に関する。
通常、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この固体電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した電解質・電極接合体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、通常、電解質・電極接合体とセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
上記の燃料電池に供給される燃料ガスは、通常、改質装置によって炭化水素系の原燃料から生成される水素ガスが使用されている。改質装置では、一般的に、メタンやLNG等の化石燃料等の炭化水素系の原燃料から改質原料ガスを得た後、この改質原料ガスに水蒸気改質や部分酸化改質、又はオートサーマル改質等を施すことにより、改質ガス(燃料ガス)が生成されている。
例えば、特許文献1に開示されている固体高分子型燃料電池発電装置用燃料ガス供給装置では、図8に示すように、燃料ポンプ1の下流側には、燃料ガス供給ライン2が接続されるとともに、この燃料ガス供給ライン2には、燃料処理装置3を構成する改質器4に接続されている。燃料ガス供給ライン2には、脱硫器5と流量計6とが下流側に向かって、順次配置されている。
ここで、脱硫器5は、調圧器として構成されており、この脱硫器5に導入された都市ガスは、整流されて排出されている。このため、燃料ポンプ1から供給される都市ガスの脈動による圧力変動及び流量変動を、脱硫器5によって抑えることができる、としている。
特開2006−260874号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、燃料電池において、例えば、急激な高負荷運転が必要となって燃料処理装置3に多量の燃料の要求がなされた際、脱硫器5の調圧作用によって燃料ポンプ1の負荷が高くなるため、燃料を迅速に改質器4に供給することができないという問題がある。このため、燃料ポンプ1自体を大型化して対応することも考えられるが、実際上、適用することができない。
しかも、燃料電池を停止する際、脱硫器5が調圧機能を有するために、燃料ガス供給ライン2中に、燃料ガスの残圧が存在してしまう。この残圧により、燃料ガスが不要に改質器4側に供給されてしまい、燃料電池を迅速に停止することができないという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、原燃料供給装置を有効に小型化するとともに、運転状況に応じて原燃料を安定して且つ効率的に供給することが可能な燃料電池システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池スタック、原燃料を改質して燃料ガスを生成し、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する改質部、前記原燃料を前記改質部に供給する原燃料供給部、及び、水を前記改質部に供給する水供給部を備える燃料電池システムに関するものである。
原燃料供給部は、改質部に連通する原燃料供給通路を有するとともに、前記原燃料供給通路には、原燃料を供給する原燃料供給装置と、前記原燃料に含まれる硫黄分を除去する脱硫器と、前記原燃料の流量を検出する流量計とが、上流側から順次配置されている。
そして、原燃料供給通路は、原燃料供給装置の上流側を構成する第1通路領域と、前記原燃料供給装置の下流側から流量計の上流側を構成する第2通路領域と、少なくとも前記原燃料供給装置をバイパスして前記第1通路領域と前記第2通路領域とに両端が連通するバイパス通路と、前記第1通路領域の圧力と前記第2通路領域の圧力とに基づいて、前記バイパス通路を開閉する開閉弁と、前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力と等しい、もしくは前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より大きい際に、前記開閉弁を介して前記バイパス通路を閉塞する一方、前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より小さい際に、前記開閉弁を介して前記バイパス通路を開放するための制御部とを備えている。
さらに、改質部は、原燃料と水との混合蒸気を得るための蒸発器と、前記混合蒸気を改質するための改質器とを備えることが好ましい。水蒸気改質により燃料ガスを生成するためである。
さらにまた、原燃料供給部及び水供給部は、蒸発器内で連通することが好ましい。水蒸気改質により燃料ガスを生成するためである。
また、原燃料供給部は、流量計と蒸発器との間に位置して逆止弁を配置することが好ましい。このため、蒸発器から原燃料供給部に原燃料及び水が逆流することを阻止することができる。
さらに、水供給部は、改質部に連通する水供給通路を有するとともに、前記水供給通路には、水を供給する水供給装置と、前記水の流量を検出する流量計と、逆止弁とが、上流側から順次配置されることが好ましい。これにより、所望量の水を良好に供給するとともに、蒸発器から水供給装置に原燃料及び水が逆流することを阻止することが可能になる。
さらにまた、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池スタック、原燃料を改質して燃料ガスを生成し、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する改質部、前記原燃料を前記改質部に供給する原燃料供給部、及び、水を前記改質部に供給する水供給部を備え、前記原燃料供給部を構成し前記改質部に連通する原燃料供給通路には、前記原燃料を供給する原燃料供給装置と、前記原燃料に含まれる硫黄分を除去する脱硫器と、前記原燃料の流量を検出する流量計とが、上流側から順次配置される燃料電池システムの運転方法に関するものである。
原燃料供給通路は、原燃料供給装置の上流側を構成する第1通路領域と、前記原燃料供給装置の下流側から流量計の上流側を構成する第2通路領域と、少なくとも前記原燃料供給装置をバイパスして前記第1通路領域と前記第2通路領域とに両端が連通するバイパス通路とを有し、前記第1通路領域の圧力前記第2通路領域の圧力と等しい、もしくは前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より大きい際に、前記バイパス通路を閉塞する一方、前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より小さい際に、前記バイパス通路を開放している。
さらに、バイパス通路の開閉制御は、少なくとも燃料電池スタックの起動時、停止時又は負荷変動時のいずれかに行うことが好ましい。このため、起動時、停止時又は負荷変動時に、迅速且つ良好な原燃料の供給が可能になる。
本発明によれば、例えば、第2通路領域の圧力が第1通路領域の圧力よりも高い時には、バイパス通路を開放して前記第2通路領域から前記第1通路領域に圧力を逃がすことができる。このため、原燃料供給装置は、容量を大きくする必要がなく、例えば、原燃料ポンプの回転数の制御だけで、原燃料を安定して供給することが可能になる。
しかも、バッファタンクとして機能する脱硫器が配置されている第2通路領域では、前記脱硫器により残圧が発生している。従って、第2通路領域の残圧は、バイパス通路により第1通路領域に解放されるため、燃料電池スタックの停止時間を短縮することができる。さらに、専用のバッファタンクが不要になり、設備全体の簡素化が図られるとともに、原燃料供給装置の脈動を抑制して原燃料を安定して供給することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池システム10の機械系回路を示す概略構成説明図であり、図2は、前記燃料電池システム10の回路図である。
燃料電池システム10は、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。燃料電池システム10は、燃料ガス(水素ガス)と酸化剤ガス(空気)との電気化学反応により発電する燃料電池モジュール12と、前記燃料電池モジュール12を昇温させる燃焼器(例えば、トーチヒータ)14と、前記燃料電池モジュール12に炭化水素を主体とする原燃料(例えば、都市ガス)を供給する原燃料供給部16と、前記燃料電池モジュール12に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部18と、前記燃料電池モジュール12に水を供給する水供給部20と、前記燃料電池モジュール12で発生した直流電力を要求仕様電力に変換する電力変換装置22と、前記燃料電池モジュール12の発電量を制御する制御装置24とを備える。
図3に示すように、燃料電池モジュール12は、図示しないが、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される固体電解質(固体酸化物)をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体28とセパレータ30とが積層される固体酸化物形の燃料電池32を設ける。複数の燃料電池32は、鉛直方向に積層されることにより、固体酸化物形の燃料電池スタック34が構成される。
燃料電池スタック34の積層方向下端側には、酸化剤ガスを前記燃料電池スタック34に供給する前に加熱する熱交換器36と、脱硫原燃料と水蒸気との混合燃料を生成するために、水を蒸発させる蒸発器38と、前記混合燃料を改質して改質ガスを生成する改質器40とが配設される。蒸発器38及び改質器40は、改質部41を構成する(図1参照)。
燃料電池スタック34の積層方向上端側には、前記燃料電池スタック34を構成する燃料電池32に積層方向(矢印A方向)に沿って締め付け荷重を付与するための荷重付与機構42が配設される(図2参照)。
改質器40は、脱硫された都市ガス(燃料ガス)中に含まれるエタン(C26)、プロパン(C36)及びブタン(C410)等の高級炭化水素(C2+)を、主としてメタン(CH4)を含む燃料ガスに水蒸気改質するための予備改質器であり、数百℃の作動温度に設定される。
燃料電池32は、作動温度が数百℃と高温であり、電解質・電極接合体28では、燃料ガス中のメタンが改質されて水素が得られ、この水素がアノード電極に供給される。
熱交換器36は、図3に示すように、燃料電池スタック34から排出される使用済み反応ガス(以下、排ガス又は燃焼排ガスともいう)を流すための第1排ガス通路44と、被加熱流体である空気を排ガスと対向流に流すための空気通路46とを有する。第1排ガス通路44は、蒸発器38に水を蒸発させるための熱源として排ガスを供給するための第2排ガス通路48に連通する。この第1排ガス通路44は、排気管50に連通する。空気通路46の上流側は、空気供給管52に連通するとともに、前記空気通路46の下流側は、燃料電池スタック34の酸化剤ガス供給連通孔53に連通する。
蒸発器38は、互いに同軸上に配設される外管部材54aと内管部材54bとを備える2重管構造を採用し、この2重管は、第2排ガス通路48内に配置される。外管部材54aと内管部材54bとの間には、原燃料通路56が形成されるとともに、前記内管部材54b内には、水通路58が形成される。蒸発器38内では、原燃料通路56と水通路58とが連通する。これは、あとで説明するが、原燃料と水蒸気とが蒸発器38内で混合されることになる。この蒸発器38の第2排ガス通路48は、主排気管60に連通する。
外管部材54aには、改質器40の入口部に連結される混合燃料供給管62が接続される。改質器40の出口側には、改質ガス供給路64の一端が連結されるとともに、前記改質ガス供給路64の他端は、燃料電池スタック34の燃料ガス供給連通孔66に連通する。
図1に示すように、原燃料供給部16は、改質部41の原燃料通路56に連通する原燃料供給通路70を有するとともに、前記原燃料供給通路70には、原燃料を供給する原燃料供給装置(ガスコンプレッサを含む)72と、前記原燃料に含まれる硫黄分を除去する脱硫器74と、前記原燃料の流量を検出する流量計76とが、上流側から順次配置される。
原燃料供給通路70は、原燃料供給装置72の上流側を構成する第1通路領域70aと、前記原燃料供給装置72の下流側から流量計76の上流側を構成する第2通路領域70bと、前記第1通路領域70aと前記第2通路領域70bとに両端が連通するバイパス通路78と、前記バイパス通路78に配置され、前記第1通路領域70aの圧力P1と前記第2通路領域70bの圧力P2とに基づいて、前記バイパス通路78を開閉する開閉弁(電磁弁)80とを備える。
バイパス通路78は、一端が原燃料供給装置72と脱硫器74との間に連通するとともに、他端が前記原燃料供給装置72の上流に連通することにより、前記原燃料供給装置72をバイパスする。原燃料供給装置72の上流には、第1通路領域70aの圧力P1を検出する第1圧力計82aが配置され、前記原燃料供給装置72の下流には、第2通路領域70bの圧力P2を検出する第2圧力計82bが配置される。
水供給部20は、改質部41の水通路58に連通する水供給通路84を有する。水供給通路84には、水を供給する水供給装置(水ポンプを含む)86と、前記水の流量を検出する流量計88とが、上流側から順次配置される。
図2に示すように、酸化剤ガス供給部18は、酸化剤ガス供給装置(ガスポンプを含む)90を備え、この酸化剤ガス供給装置90は、空気供給管52に接続される。空気供給管52の途上には、切換弁92が設けられるとともに、前記切換弁92には、空気分岐通路94が接続される。この空気分岐通路94は、燃焼器14に接続される。燃焼器14は、例えば、トーチヒータを備えており、空気及び電流が供給される。
原燃料供給部16、酸化剤ガス供給部18及び水供給部20は、制御装置24により制御される。制御装置24は、第1通路領域70aの圧力P1が第2通路領域の圧力と等しい、もしくは前記第1通路領域70aの圧力P1が前記第2通路領域70bの圧力P2より大きい際に(圧力P1≧圧力P2)、開閉弁80を閉塞する一方、前記第1通路領域70aの圧力P1が前記第2通路領域の圧力より小さい際に(圧力P1<圧力P2)、前記開閉弁80を開放するための制御部として機能する。電力変換装置22には、例えば、商用電源96(又は、負荷や2次電池等)が接続される。
このように構成される燃料電池システム10の動作について、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、原燃料供給部16を構成する原燃料供給装置72の駆動作用下に、原燃料供給通路70には、例えば、都市ガス(CH4、C26、C38、C410を含む)等の原燃料が供給される。この原燃料は、脱硫器74を通過することにより、脱硫原燃料が得られ、この脱硫原燃料が原燃料通路56に供給される。
一方、水供給部20を構成する水供給装置86の駆動作用下に、水供給通路84を介して水通路58には、水が供給される。さらに、空気供給管52には、酸化剤ガス供給部18を構成する酸化剤ガス供給装置90を介して酸化剤ガスである、例えば、空気が供給される。
図3に示すように、蒸発器38では、原燃料通路56と水通路58とが連通することによって前記原燃料通路56を流れる脱硫原燃料が水蒸気と混合されて混合燃料が得られ、この混合燃料は、混合燃料供給管62を介して改質器40の入口部に供給される。混合燃料は、改質器40内で水蒸気改質され、C2+の炭化水素が除去(改質)されてメタンを主成分とする改質ガスが得られる。この改質ガスは、改質器40の出口部に連通する改質ガス供給路64を通って燃料電池スタック34の燃料ガス供給連通孔66に供給される。このため、改質ガス中のメタンが改質されて水素ガスが得られ、この水素ガスを主成分とする燃料ガスは、アノード電極(図示せず)に供給される。
一方、空気供給管52から熱交換器36に供給される空気は、この熱交換器36の空気通路46に沿って移動する際、第1排ガス通路44に沿って移動する後述する排ガスとの間で熱交換が行われ、所望の温度に予め加温されている。熱交換器36で加温された空気は、燃料電池スタック34の酸化剤ガス供給連通孔53に供給され、図示しないカソード電極に供給される。
従って、電解質・電極接合体28では、燃料ガスと空気との電気化学反応により発電が行われる。各電解質・電極接合体28の外周部に排出される高温(数百℃)の排ガスは、熱交換器36の第1排ガス通路44を通って空気と熱交換を行い、この空気を所望の温度に加温して温度低下が惹起される。
この排ガスは、第2排ガス通路48に沿って移動することにより、水通路58を通過する水を蒸発させる。蒸発器38を通過した排ガスは、主排気管60を介して外部に排出される。
この場合、第1の実施形態では、燃料電池スタック34の起動時、停止時及び負荷変動時に、制御装置24を介して開閉弁80の開閉制御が行われる。なお、上記の起動時、停止時又は負荷変動時の少なくともいずれかの時に、開閉弁80の開閉制御を行ってもよい。
先ず、燃料電池スタック34の起動時では、原燃料供給装置72を起動させて原燃料を改質部41に送り出す必要がある。ここで起動時とは、燃料電池スタック34を発電状態とするために最初から立ち上げる通常の起動を意味するだけでなく、前記燃料電池スタック34の一時停止(アイドル)状態から再起動させることも含む。その際、第1通路領域70aの圧力P1と、第2通路領域70bの圧力P2とが、圧力P1<圧力P2であると、原燃料供給装置72を有効に作動させることができず、原燃料の圧送不良が惹起するとともに、この原燃料供給装置72が破損するおそれもある。
このため、制御装置24では、起動時に、第1圧力計82aと第2圧力計82bとから得られる圧力P1、P2を監視している(図4中、ステップS1)。そして、圧力P1≧圧力P2であることが検出されると(ステップS1中、YES)、ステップS2に進んで、開閉弁80が閉じられるとともに、原燃料供給装置(ガスコンプレッサ)72が起動される。従って、原燃料は、原燃料供給装置72を介して脱硫器74で脱硫された後、改質部41に圧送される。
一方、ステップS1において、圧力P1<圧力P2であると検出されると(ステップS1中、NO)、ステップS4に進んで、開閉弁80が開放される。このため、高圧側の第2通路領域70bは、低圧側の第1通路領域70aに連通し、圧力P1=圧力P2の状態に至るまで、前記第2通路領域70b側の圧力P2が降圧される。そして、圧力P1=圧力P2となった後、開閉弁80が閉塞されるとともに、原燃料供給装置72がONされる(ステップS2及びステップS3)。
これにより、原燃料供給部16では、圧力に応じて通路切換処理が行われ、第2通路領域70bの圧力P2を迅速に降圧した後、原燃料供給装置72を介して原燃料の供給が簡単に且つ良好に遂行可能になる。
しかも、原燃料供給装置72は、下流側である第2通路領域70b側に残圧が存在することがないため、必要以上に大型化する必要がなく、消費電力の低減が図られ、例えば、ガスコンプレッサの回転数の制御だけで、原燃料の供給を効率的に且つ安定して行うことができるという効果が得られる。
また、燃料電池スタック34の負荷変動時には、起動時と同様に、図4に示すフローチャートに沿って開閉弁80の開閉制御が行われる。すなわち、燃料電池スタック34の圧力が変動する場合、負荷変動に伴って原燃料の送り出し量(圧力)が変更される。その際、圧力P1<圧力P2であると、原燃料供給装置72から原燃料を圧送することができず、開閉弁80を開放することによって、圧力P2を降圧させる。従って、負荷変動に応じた原燃料の供給が、簡単且つ良好に遂行可能になるという効果が得られる。
次いで、燃料電池スタック34の停止時には、図5に示すフローチャートに沿って制御される。先ず、燃料電池スタック34が停止されると(ステップS11中、YES)、ステップS12に進んで、開閉弁80が開放される。
すなわち、原燃料供給装置72が停止される際、脱硫器74がバッファタンクとして機能するため、第2通路領域70b内の圧力の低下が遅延する。このため、原燃料供給装置72が停止された後にも、脱硫器74から改質部41に原燃料が流れ易くなる。従って、コーキング等を防止するために、水供給部114から改質部41に水を流す必要があり、燃料電池スタック34を完全に停止させるために時間が必要である。
そこで、第1の実施形態では、燃料電池スタック34の停止時に、開閉弁80を開放することにより、脱硫器74内の圧力を低圧側である第1通路領域70aに戻して前記脱硫器74内の圧力を下げている。これにより、改質部41側に原燃料が流れることを抑制し、燃料電池スタック34を迅速に停止することができるという利点がある。
さらにまた、脱硫器74は、バッファタンクとして機能するため、専用のバッファタンクを用いる必要がない。このため、設備全体の簡素化が図られるとともに、原燃料供給装置72の脈動を抑制して、原燃料を安定して供給することが可能になる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池システム100の機械系回路を示す概略構成説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池システム10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
燃料電池システム100は、原燃料供給部102を備える。原燃料供給部102は、バイパス通路104を備えるとともに、このバイパス通路104は、一端が脱硫器74と流量計76との間に連通するとともに、他端が原燃料供給装置72の上流側に連通する。
従って、第2の実施形態では、第1通路領域の圧力P1と第2通路領域70bの圧力P2とに基づいて、バイパス通路104を開閉することにより、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池システム110の機械系回路を示す概略構成説明図である。
燃料電池システム110は、原燃料供給部112と水供給部114とを備える。原燃料供給部112は、流量計76と蒸発器38との間に、前記流量計76側への流れを阻止する第1逆止弁116aを配置する。水供給部114は、流量計88と蒸発器38との間に、前記流量計88側への流れを阻止する第2逆止弁116bを配置する。
このように構成される第3の実施形態では、原燃料供給部112が、流量計76と蒸発器38との間に、第1逆止弁116aを配置するため、前記蒸発器38から前記流量計76側に原燃料及び水が逆流することを阻止することができる。同様に、水供給部114は、流量計88と蒸発器38との間に、第2逆止弁116bを配置することにより、前記蒸発器38から前記流量計88側に原燃料及び水が逆流することを阻止することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池システムの機械系回路を示す概略構成説明図である。 前記燃料電池システムの回路図である。 前記燃料電池システムを構成する燃料電池モジュールの要部断面説明図である。 前記燃料電池システムの運転方法を説明するフローチャートである。 前記燃料電池システムの運転方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池システムの機械系回路を示す概略構成説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池システムの機械系回路を示す概略構成説明図である。 特許文献1の固体高分子型燃料電池発電装置用燃料ガス供給装置の説明図である。
符号の説明
10、100、110…燃料電池システム
12…燃料電池モジュール 14…燃焼器
16、102、112…原燃料供給部 18…酸化剤ガス供給部
20、114…水供給部 22…電力変換装置
24…制御装置 28…電解質・電極接合体
30…セパレータ 32…燃料電池
34…燃料電池スタック 36…熱交換器
38…蒸発器 40…改質器
41…改質部 44、48…排ガス通路
46…空気通路 56…原燃料通路
58…水通路 66…燃料ガス供給連通孔
70…原燃料供給通路 70a、70b…通路領域
72…原燃料供給装置 74…脱硫器
76、88…流量計 78、104…バイパス通路
80…開閉弁 82a、82b…圧力計
84…水供給通路 86…水供給装置
90…酸化剤ガス供給装置 92…切換弁
94…空気分岐通路 116a、116b…逆止弁

Claims (7)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池スタック、原燃料を改質して燃料ガスを生成し、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する改質部、前記原燃料を前記改質部に供給する原燃料供給部、及び、水を前記改質部に供給する水供給部を備える燃料電池システムであって、
    前記原燃料供給部は、前記改質部に連通する原燃料供給通路を有するとともに、
    前記原燃料供給通路には、前記原燃料を供給する原燃料供給装置と、前記原燃料に含まれる硫黄分を除去する脱硫器と、前記原燃料の流量を検出する流量計とが、上流側から順次配置される一方、
    前記原燃料供給通路は、前記原燃料供給装置の上流側を構成する第1通路領域と、
    前記原燃料供給装置の下流側から前記流量計の上流側を構成する第2通路領域と、
    少なくとも前記原燃料供給装置をバイパスして前記第1通路領域と前記第2通路領域とに両端が連通するバイパス通路と、
    前記第1通路領域の圧力と前記第2通路領域の圧力とに基づいて、前記バイパス通路を開閉する開閉弁と、
    前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力と等しい、もしくは前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より大きい際に、前記開閉弁を介して前記バイパス通路を閉塞する一方、前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より小さい際に、前記開閉弁を介して前記バイパス通路を開放するための制御部と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムにおいて、前記改質部は、前記原燃料と前記水との混合蒸気を得るための蒸発器と、
    前記混合蒸気を改質するための改質器と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項記載の燃料電池システムにおいて、前記原燃料供給部及び前記水供給部は、前記蒸発器内で連通することを特徴とする燃料電池システム。
  4. 請求項又は記載の燃料電池システムにおいて、前記原燃料供給部は、前記流量計と前記蒸発器との間に位置して逆止弁を配置することを特徴とする燃料電池システム。
  5. 請求項のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、前記水供給部は、前記改質部に連通する水供給通路を有するとともに、
    前記水供給通路には、前記水を供給する水供給装置と、前記水の流量を検出する流量計と、逆止弁とが、上流側から順次配置されることを特徴とする燃料電池システム。
  6. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池スタック、原燃料を改質して燃料ガスを生成し、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する改質部、前記原燃料を前記改質部に供給する原燃料供給部、及び、水を前記改質部に供給する水供給部を備え、前記原燃料供給部を構成し前記改質部に連通する原燃料供給通路には、前記原燃料を供給する原燃料供給装置と、前記原燃料に含まれる硫黄分を除去する脱硫器と、前記原燃料の流量を検出する流量計とが、上流側から順次配置される燃料電池システムの運転方法であって、
    前記原燃料供給通路は、前記原燃料供給装置の上流側を構成する第1通路領域と、前記原燃料供給装置の下流側から前記流量計の上流側を構成する第2通路領域と、少なくとも前記原燃料供給装置をバイパスして前記第1通路領域と前記第2通路領域とに両端が連通するバイパス通路とを有し、
    前記第1通路領域の圧力前記第2通路領域の圧力と等しい、もしくは前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より大きい際に、前記バイパス通路を閉塞する一方、
    前記第1通路領域の圧力が前記第2通路領域の圧力より小さい際に、前記バイパス通路を開放することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  7. 請求項記載の運転方法において、前記バイパス通路の開閉制御は、少なくとも前記燃料電池スタックの起動時、停止時又は負荷変動時のいずれかに行うことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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