JP2005228525A - 燃料電池システム及びその発電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムを効率よく安定して運転できると共に、燃料電池における水素分離金属層に劣化が生じないようにして、水素分離金属層の耐久性を向上させることができる燃料電池システム及びその発電方法を提供すること。
【解決手段】燃料電池システム1は、改質器2、燃料電池3及び制御装置を備えている。燃料電池3は、水素分離金属層311とプロトン伝導体層312とを積層してなる電解質体31、アノード流路32、カソード流路33及び冷媒流路34とを有している。制御装置は、アノードガス調整器5を操作して、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの上限値Tmaxを超えたときには、アノード流路32における圧力を増加させ、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの下限値Tmin未満になったときには、アノード流路32における圧力を減少させるよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素含有ガス中の水素を利用して発電を行う燃料電池を有する燃料電池システムに関する。
改質用燃料等を利用して発電を行う燃料電池システムは、改質用燃料等から水素を含有する改質ガスを生成する改質器と、上記改質ガスから高純度の水素を取り出すための水素分離膜装置と、水素をプロトンの状態にし酸素と反応させて発電を行う燃料電池とを備えている。上記改質器は、例えば、改質用燃料と水とによる水蒸気改質反応及び改質用燃料と酸素とによる部分酸化反応等を行って、上記改質ガスを生成している。また、上記水素分離膜装置は、パラジウム又はバナジウム等からなる水素分離膜を備えており、この水素分離膜は水素のみを透過させる性質を持っている。また、上記燃料電池は、上記水素分離膜を透過した水素が供給されるアノード流路と、空気等が供給されるカソード流路と、これらの流路の間に配設されたプロトン伝導体(電解質)とを有している。
また、上記水素分離膜装置は、上記水素分離膜の両側に、上記改質ガスが供給される改質ガス側流路と、上記燃料電池に連通される透過側流路とを有している。そして、上記透過側流路には、上記アノード流路から排出されるアノードオフガス又はカソード流路から排出されるカソードオフガス等をパージガスとして流し、上記水素分離膜を透過した水素を上記燃料電池のアノード流路に送り出している。
そして、上記燃料電池システムにおいては、アノード流路に供給した水素をプロトンの状態にして上記プロトン伝導体を透過させ、カソード流路において、プロトン状態の水素と空気中の酸素とを反応させて水を生成しながら発電を行っている。このような燃料電池システムとしては、例えば、特許文献1、2に示すものがある。
ところで、上記水素分離膜に用いるパラジウム又はバナジウム等は、例えば300〜600℃の作動温度範囲においては、良好な水素透過性能を発揮するが、上記作動温度範囲を外れると性能劣化を引き起こすことが知られている。そのため、上記改質器において行う反応の量を調整したり、あるいは上記水素分離膜装置における透過側流路に流すパージガスの流量を調整したりして、水素分離膜における温度が上記作動範囲内になるよう制御している。
しかしながら、上記水素分離膜における温度は、例えば上記改質ガス側流路へ供給される改質ガスの組成、流量等の変化によって急激に変化することがある。そして、このように水素分離膜における温度が急激に変化した場合には、上記制御を行うだけでは十分ではなく、水素分離膜における温度が上記作動温度範囲を外れてしまうおそれがある。
特開2003−151599号公報 特開2001−223017号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、燃料電池システムを効率よく安定して運転することができると共に、燃料電池の電解質体における水素分離金属層に劣化が生じないようにして、水素分離金属層の耐久性を向上させることができる燃料電池システム及びその発電方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、水素を含有する水素含有ガスを利用して発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、
上記燃料電池は、上記水素含有ガスが供給されるアノード流路と、カソードガスが供給されるカソード流路と、該カソード流路と上記アノード流路との間に配設された電解質体とを有しており、
上記電解質体は、上記アノード流路に供給された上記水素含有ガス中の水素を透過させるための水素分離金属層と、該水素分離金属層を透過させた上記水素をプロトンの状態にして透過させて上記カソード流路に到達させるためのプロトン伝導体層とを積層してなり、かつ、上記電解質体は、上記プロトン伝導体層における上記アノード流路側の表面に形成したアノード電極と、上記プロトン伝導体層における上記カソード流路側の表面に形成したカソード電極とを有しており、
上記アノード流路には、該アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は当該アノード流路における圧力を調整するアノードガス調整器が接続されており、該アノードガス調整器は、制御装置により制御可能に構成されており、
上記制御装置は、上記電解質体の温度が所定の上限値を超えたとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて上昇したときである過度温度上昇時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記電解質体の温度が所定の下限値未満になったとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて低下したときである過度温度低下時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システムにある(請求項1)。
本発明の燃料電池システムは、上記水素分離金属層と上記プロトン伝導体層とを積層してなる電解質体を備えた燃料電池を有している。そして、本発明の燃料電池システムにおいては、上記プロトン伝導体層は水分を含浸させずに用いることができるため、上記燃料電池を、例えば300〜600℃の高温状態で作動させることができる。
ところで、上記燃料電池のカソード流路においては、このカソード流路に供給したカソードガス中の酸素と、上記アノード流路から上記電解質体を通過して上記カソード流路に供給されたプロトン状態の水素(H+、水素イオンともいう。)とが反応し、水が生成される。この水の生成反応は、2H++1/2・O2+2e-→H2Oとして表される。そして、上記反応を行うと共に上記電解質体におけるアノード電極とカソード電極との間から電力を取り出すことにより、上記燃料電池システムは発電を行うことができる。
そして、上記アノードガス調整器を用いた燃料電池の温度の制御は、上記燃料電池の電解質体の温度が上記所定の範囲を外れたとき又は上記所定の範囲を外れることが予測されるときの緊急状態に行うことができる。
ところで、上記燃料電池における発電特性を示す指標として、上記アノード電極とカソード電極との間から取り出される電流密度(I)と電圧(V)との関係を示すI−V特性がある。そして、このI−V特性においては、電流密度が増加したときには、燃料電池の内部の各損失抵抗が大きくなり電圧が減少するという性質があることが知られている。
そこで、本発明は、上記緊急状態において、上記I−V特性における性質を利用して、燃料電池の電解質体における水素分離金属層の温度を変化させようとするものである。特に、本発明は、上記アノード電極の電圧損失(アノード過電圧)は、上記アノード流路における水素分圧に依存することに着目し、上記アノード過電圧に伴う発熱量を変化させることにより、上記水素分離金属層の温度を変化させることができるものである。
すなわち、上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させる。これにより、アノード流路における水素分圧が増加し、上記アノード過電圧(電圧損失)が減少する。そして、上記アノード電極とカソード電極との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が減少したことによる電圧の増加に伴い、電流密度が減少する。
そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の減少により発熱量が低下して、燃料電池の温度上昇が抑制され、燃料電池の電解質体における水素分離金属層の温度を低下させることができる。これにより、上記水素分離金属層において、劣化が発生することを抑制することができる。
一方、上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させる。これにより、アノード流路における水素分圧が減少し、上記アノード過電圧(電圧損失)が増加する。そして、上記アノード電極とカソード電極との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が増加したことによる電圧の減少に伴い、電流密度が増加する。
そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の増加により発熱量が上昇して、燃料電池の温度低下が抑制され、燃料電池の電解質体における水素分離金属層の温度を上昇させることができる。これによっても、上記水素分離金属層において、劣化が発生することを抑制することができる。
それ故、本発明によれば、燃料電池システムを効率よく安定して運転することができると共に、燃料電池の電解質体における水素分離金属層に劣化が生じないようにして、この水素分離金属層の耐久性を向上させることができる。
第2の発明は、水素を含有する水素含有ガスを利用して発電を行う燃料電池を備え、該燃料電池は、上記水素含有ガスが供給されるアノード流路と、カソードガスが供給されるカソード流路と、該カソード流路と上記アノード流路との間に配設された電解質体とを有しており、上記電解質体は、上記アノード流路に供給された上記水素含有ガス中の水素を透過させるための水素分離金属層と、該水素分離金属層を透過させた上記水素をプロトンの状態にして透過させて上記カソード流路に到達させるためのプロトン伝導体層とを積層してなり、かつ、上記電解質体は、上記プロトン伝導体層における上記アノード流路側の表面に形成したアノード電極と、上記プロトン伝導体層における上記カソード流路側の表面に形成したカソード電極とを有してなる燃料電池システムの発電方法において、
上記水素含有ガスを上記アノード流路に供給し、上記水素含有ガス中の水素を上記アノード流路から上記水素分離金属層を透過させた後、プロトンの状態にして上記プロトン伝導体層を透過させて上記カソード流路まで到達させ、該カソード流路において、上記プロトン状態の水素と上記カソードガス中の酸素とを反応させて上記発電を行い、
かつ、上記電解質体の温度が所定の上限値を超えたとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて上昇したときである過度温度上昇時には、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記電解質体の温度が所定の下限値未満になったとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて低下したときである過度温度低下時には、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させることを特徴とする燃料電池システムの発電方法にある(請求項14)。
本発明の燃料電池システムの発電方法は、上記発明と同様に、上記水素分離金属層と上記プロトン伝導体層とを積層してなる電解質体を備えた燃料電池を用いて、この燃料電池を、例えば300〜600℃の高温状態で作動させて発電を行うものである。
そして、上記発明と同様に、上記緊急状態においては、上記制御装置は上記アノードガス調整器を用いて電解質体の温度を制御することができる。
それ故、本発明によっても、燃料電池システムを効率よく安定して運転することができると共に、燃料電池の電解質体における水素分離金属層に劣化が生じないようにして、この水素分離金属層の耐久性を向上させることができる。
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1の発明において、上記燃料電池は、該燃料電池を冷却するための冷媒が供給される冷媒流路を有しており、上記冷媒流路には、該冷媒流路を流れる上記冷媒の流量を調整する冷媒流量調整器が接続されており、該冷媒流量調整器は、上記制御装置により制御可能に構成されており、上記制御装置は、上記電解質体の温度が所定の範囲内に維持されるように上記冷媒流量調整器を制御するよう構成することが好ましい(請求項2)。
ところで、上記燃料電池は、上記反応を行って作動することにより発熱している。そのため、上記制御装置は、上記冷媒流量調整器を操作して、上記冷媒流路を流れる冷媒の流量を調整することにより、電解質体の温度が所定の範囲内に維持されるように制御することができる。これにより、例えば、上記燃料電池システムにおいて何らかの異変等がない燃料電池システムの定常状態、すなわち上記燃料電池システムが上記過度温度上昇時又は過度温度低下時に至らない定常状態においては、制御装置は、冷媒流量調整器を用いて電解質体の温度の制御を行うことができる。
また、上記定常状態においては、上記アノード流路に供給する水素含有ガスの流量及び上記カソード流路に供給するカソードガスの流量等は、できるだけ少なくかつできるだけ一定の量になるよう制御することができる。そのため、上記燃料電池における発電量を安定させることができ、燃料電池システムを効率よく安定して運転することができる。
なお、上記過度温度上昇時又は過度温度低下時である燃料電池システムの緊急状態においても、上記冷媒流量調整器と上記アノードガス調整器とを併用して、電解質体の温度の制御を行うことができる。
また、上記緊急状態においても、上記冷媒流量調整器だけを用いて電解質体の温度の制御を行うことも考えられるが、上記冷媒流量調整器を操作して上記冷媒流路を流れる冷媒の流量を急激に増減させることは、燃料電池内の温度分布(温度の偏り)を拡大することになってしまい、好ましくない。
また、上記燃料電池は、上記電解質体の温度を検出する温度検出部を有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記燃料電池内に設けた温度検出部により、上記電解質体の温度を直接的又は間接的に検出することができる。そして、上記制御装置は、上記温度検出部により上記電解質体の温度を認知することができる。
また、上記燃料電池システムは、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの温度と上記アノード流路から排出されるアノードオフガスの温度との一対の温度、又は上記カソード流路に供給する上記カソードガスの温度と上記カソード流路から排出されるカソードオフガスの温度との一対の温度のうち、少なくともいずれかの一対の温度から上記電解質体の温度を推算するよう構成することもできる(請求項4)。
この場合には、上記制御装置は、上記燃料電池に上記温度検出部を設けることなく、電解質体の温度を認知することができる。
また、上記燃料電池システムは、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの温度と上記アノード流路から排出されるアノードオフガスの温度との一対の温度、上記カソード流路に供給する上記カソードガスの温度と上記カソード流路から排出されるカソードオフガスの温度との一対の温度、又は上記冷媒流路に供給する上記冷媒の温度と上記冷媒流路から排出される上記冷媒オフガスの温度との一対の温度のうち、少なくともいずれかの一対の温度から上記電解質体の温度を推算するよう構成することもできる(請求項5)。
この場合にも、上記制御装置は、上記燃料電池に上記温度検出部を設けることなく、電解質体の温度を認知することができる。
また、上記燃料電池システムは、上記燃料電池に供給するための上記水素含有ガスを、改質用燃料から生成する改質器を有していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記のごとく、上記燃料電池は例えば300〜600℃の高温状態で作動させることができるため、上記改質器から上記水素含有ガスを燃料電池に直接供給することができる。
また、上記カソード流路から排出されるカソードオフガスは、上記燃料電池の作動温度に近い高温の状態で上記改質器に直接送ることができる。そのため、上記燃料電池システムにおいては、改質器において水素含有ガスを生成する温度と、燃料電池における作動温度とをかなり近づけることができる。
また、上記改質器は、上記改質用燃料から上記水素含有ガスを生成する改質反応流路と、該改質反応流路に隣接形成され燃焼を行って該改質反応流路を加熱する加熱流路とを有しており、上記燃料電池システムは、上記改質反応流路から上記アノード流路に上記水素含有ガスを供給するための改質ガス供給ラインと、上記カソード流路から排出されるカソードオフガスを上記改質反応流路に送るためのカソードオフガスラインと、上記アノード流路から排出されるアノードオフガスを上記加熱流路に送るためのアノードオフガスラインと、上記冷媒流路から排出される上記冷媒オフガスを上記加熱流路に送るための冷媒オフガスラインとを有していることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記改質器に上記改質反応流路と上記加熱流路とを形成することにより、上記改質器において行う上記部分酸化反応の割合を少なくすることができる。そのため、上記改質反応流路においては、上記改質用燃料を上記水素等を生成する水蒸気改質反応にできるだけ多く用いることができ、改質器への改質用燃料の供給量を少なくすることができる。そのため、燃料電池システムにおけるエネルギー効率を一層向上させることができる。
ところで、上記カソード流路において反応が行われた後に、このカソード流路から排出されるカソードオフガスは、上記反応に使用されなかった残存酸素と、上記反応によって生成された生成水と、上記燃料電池の高温作動による熱量とを有している。
そのため、上記カソード流路から上記カソードオフガスラインを介して上記改質反応流路に上記カソードオフガスを送ったときには、改質反応流路においては、カソードオフガスが有する上記残存酸素及び上記生成水と上記改質用燃料とを反応させることができるだけでなく、カソードオフガスが有する高温の熱エネルギーを利用して反応を行うことができる。これにより、上記燃料電池システムのエネルギー効率を一層向上させることができる。
また、上記アノード流路から排出されるアノードオフガスは、上記電解質体における水素分離金属層を透過せずに排出される水素及び上記水素含有ガス中に含まれる一酸化炭素、メタン等の可燃性ガスを有しており、かつ燃料電池の高温作動による熱量を有している。また、上記冷媒に空気等の酸素含有ガスを用いた場合には、上記冷媒流路から排出される冷媒オフガスは、上記冷媒中に含まれる酸素を有しており、かつ上記燃料電池を通過して加熱された熱量を有している。
そのため、上記アノード流路から上記アノードオフガスラインを介して上記加熱流路に上記アノードオフガスを送り、また、上記冷媒流路から上記冷媒オフガスラインを介して上記加熱流路に上記冷媒オフガスを送ったときには、加熱流路においては、アノードオフガスが有する上記水素等の可燃性ガスと冷媒オフガスが有する酸素とを燃焼させることができるだけでなく、アノードオフガス及び冷媒オフガスがそれぞれ有する高温の熱エネルギーを利用して燃焼を行うことができる。これにより、上記燃料電池システムのエネルギー効率を一層向上させることができる。
また、上記アノードガス調整器は、上記アノードオフガスラインに配設した圧力調整弁を有しており、上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記圧力調整弁の開度を小さくして上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記過度温度低下時には、上記圧力調整弁の開度を大きくして上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記制御装置は、上記燃料電池システムの定常状態においては、上記圧力調整弁の開度を最適に調整しておくことができる。そして、上記制御装置は、上記圧力調整弁の開度を小さくして上記アノード流路における圧力を増加させることができ、一方、上記圧力調整弁の開度を大きくして(例えば全開にすることもできる。)上記アノード流路における圧力を減少させることができる。そのため、上記制御装置は、上記アノード流路における圧力を容易に増減させることができ、上記アノード過電圧に伴う発熱量を容易に変化させることができる。これにより、上記緊急状態において、上記電解質体の温度を一層容易に制御することができる。
また、上記アノードガス調整器は、上記改質ガス供給ラインに配設した三方調整弁を有しており、上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記圧力調整弁の開度を全開にすると共に、上記三方調整弁を操作して、上記改質ガス供給ラインを流れる上記水素含有ガスの一部を上記改質器における上記改質反応流路に戻すことにより、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記圧力調整弁の開度を全開にすると共に上記三方調整弁を操作して、上記アノード流路における圧力を減少させることができる。そして、上記アノード流路に供給しない水素含有ガスは上記改質反応流路に戻して、再びアノード流路に供給する水素含有ガスとして使用することができる。
そのため、上記制御装置は、上記アノード流路における圧力を容易に減少させることができ、上記アノード過電圧に伴う発熱量を容易に増加させることができる。これにより、上記緊急状態において、上記電解質体の温度を一層容易に制御することができる。
また、上記アノードガス調整器は、上記改質ガス供給ラインに配設したガス加圧器と、上記改質ガス供給ラインに配設したリリーフ弁又は三方調整弁とを有しており、上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記ガス加圧器における出口圧力を増加させて、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記過度温度低下時には、上記ガス加圧器における出口圧力を減少させる又は上記ガス加圧器を停止させると共に上記リリーフ弁又は三方調整弁を開いて、上記アノード流路内の上記水素含有ガスの一部を上記改質器における上記改質反応流路に戻すことにより、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成することもできる(請求項10)。
この場合には、上記制御装置は、上記アノード流路における圧力を容易に増減させることができ、上記アノード過電圧に伴う発熱量を容易に変化させることができる。これにより、上記緊急状態において、上記電解質体の温度を一層容易に制御することができる。また、この場合にも、上記アノード流路に供給しない水素含有ガスは上記改質反応流路に戻して、再びアノード流路に供給する水素含有ガスとして使用することができる。
なお、本発明において、上記ガス加圧器とは、ガスを加圧して送り出すことができる装置のことをいい、例えば、ポンプ、ファン、圧縮機(コンプレッサー)又はエジェクター等のことをいう(以下同様)。
また、上記燃料電池システムは、上記アノード流路から排出される上記アノードオフガスの一部を上記改質ガス供給ラインに送るための再供給ラインを有しており、上記アノードガス調整器は、上記再供給ラインに配設したガス加圧器と、上記改質ガス供給ラインにおいて上記再供給ラインが接続された位置よりも上記水素含有ガスの流れの上流側に配設した逆流防止弁とを有しており、上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記ガス加圧器を作動させて、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させるよう構成することもできる(請求項11)。
この場合には、上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記制御装置は上記ガス加圧器を作動させる。そして、上記逆流防止弁により、上記ガス加圧器から送り出されたアノードオフガスが上記改質器に逆流してしまうことを防止した状態で、アノードオフガスを再び上記アノード流路に送り、このアノード流路における圧力を増加させることができる。
そのため、上記制御装置は、上記アノード流路における圧力を容易に増加させることができ、上記アノード過電圧に伴う発熱量を容易に減少させることができる。これにより、上記緊急状態において、上記電解質体の温度を一層容易に制御することができる。
また、上記アノードガス調整器は、上記アノードオフガスラインに配設した三方調整弁を有しており、上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記三方調整弁を操作して、上記アノードオフガスラインを流れる上記アノードオフガスの一部を排気することにより、上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることが好ましい(請求項12)。
この場合には、上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記三方調整弁を操作して上記アノードオフガスの一部を排気することにより、上記アノード流路における圧力を減少させることができる。
そのため、上記制御装置は、上記アノード流路における圧力を容易に減少させることができ、上記アノード過電圧に伴う発熱量を容易に増加させることができる。これにより、上記緊急状態において、上記電解質体の温度を一層容易に制御することができる。
また、上記燃料電池システムは、上記燃料電池を複数有していると共に、上記アノードガス調整器は上記各燃料電池毎にそれぞれ配設されており、上記制御装置は、上記各燃料電池毎に上記アノードガス調整器を制御するよう構成されていることが好ましい(請求項13)。
この場合には、上記制御装置は、上記複数の燃料電池において、上記緊急状態になった燃料電池のみに対して、上記アノードガス調整器を用いた温度の制御を行うことができ、上記緊急状態に迅速に対応することができる。また、上記制御装置は、残りの燃料電池に対しては、上記冷媒流量調整器のみを用いて温度の制御を継続することができ、上記緊急状態における燃料電池システム全体の発電効率の低下を抑制することができる。
また、上記第2の発明において、上記燃料電池は、該燃料電池を冷却するための冷媒が供給される冷媒流路を有しており、上記発電を行う際には、上記電解質体の温度が所定の範囲内に維持されるように上記冷媒流路に供給する上記冷媒の流量を制御することが好ましい(請求項15)。
この場合には、上述したように、上記燃料電池システムの定常状態においては、制御装置は、冷媒流量調整器を用いて電解質体の温度の制御を行うことができ、燃料電池システムを効率よく安定して運転することができる。
また、上記燃料電池システムは、上記燃料電池に供給するための上記水素含有ガスを、改質用燃料から生成する改質器を有していることが好ましい(請求項16)。
この場合には、上述したように、改質器から上記水素含有ガスを燃料電池に直接供給することができ、改質器において水素含有ガスを生成する温度と、燃料電池における作動温度とをかなり近づけることができる。
また、上記第1、第2の発明において、上記制御装置が上記冷媒流量調整器を用いて温度制御を行う上記電解質体の温度の所定の範囲は、燃料電池において良好に発電を行うことができる許容作動温度範囲とすることができる。この許容作動温度範囲は、例えば、300〜600℃とすることができる。この場合には、上記燃料電池の電解質体における水素分離金属層の温度を、水素透過性能を発揮することができる温度に維持することができる。また、この許容作動温度範囲は、400〜500℃とすることがさらに好ましい。この場合には、上記燃料電池の電解質体における水素分離金属層の温度を、水素透過性能を発揮する最適な温度に維持することができる。
また、上記電解質体の温度の所定の上限値は、上記許容作動温度範囲の上限値とすることができる。また、この電解質体の温度の所定の上限値は、例えば、上記水素分離金属層を構成する金属の拡散が発生する温度よりも若干低い温度に設定することもできる。また、上記電解質体の温度の所定の下限値は、上記許容作動温度範囲の下限値とすることができる。また、この電解質体の温度の所定の下限値は、例えば、上記水素分離金属層を構成する金属の水素脆化又は水素の被毒が発生する温度よりも若干高い温度に設定することができる。
また、上記改質器においては、例えば、改質用燃料と水とから水素及び一酸化炭素等を生成する水蒸気改質反応と、改質用燃料の一部又は水素と酸素とを燃焼させる部分酸化反応とを行うことができる。そして、水蒸気改質反応により水素を生成する一方、この水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、上記部分酸化反応としての発熱反応を行って、改質器における反応温度を高く維持することができる。
また、上記改質用燃料は、例えば、炭化水素燃料又はアルコール燃料等とすることができる。上記炭化水素燃料としては、例えば、メタン、エタン等の燃料ガス、プロパン、ブタン等の液化石油ガス、オクタン等のガソリンがある。また、上記アルコール燃料としては、例えば、メタノール、エタノール等がある。
以下に、図面を用いて本発明の燃料電池システム及びその発電方法にかかる実施例につき説明する。
(実施例1)
図1、図2に示すごとく、本例の燃料電池システム1は、炭化水素燃料からなる改質用燃料Fから水素を含有する水素含有ガスGaを生成する改質器2と、この改質器2において生成した上記水素含有ガスGaを利用して発電を行う燃料電池3とを備えている。
上記改質器2は、上記改質用燃料Fから上記水素含有ガスGaを生成する改質反応流路21と、この改質反応流路21に隣接形成され燃焼を行ってこの改質反応流路21を加熱する加熱流路22とを有している。
また、上記燃料電池3は、上記改質反応流路21から上記水素含有ガスGaが供給されるアノード流路32と、カソードガスGcが供給されるカソード流路33と、このカソード流路33と上記アノード流路32との間に配設された電解質体31と、当該燃料電池3を冷却するための冷媒としての冷媒ガスGrが供給される冷媒流路34とを有している。
また、図2に示すごとく、上記電解質体31は、上記アノード流路32に供給された上記水素含有ガスGa中の水素を透過させるための水素分離金属層(水素透過金属層)311と、この水素分離金属層311を透過させた上記水素をプロトンの状態にして透過させて上記カソード流路33に到達させるためのセラミックスからなるプロトン伝導体層312とを積層してなる。そして、上記電解質体31は、上記プロトン伝導体層312における上記アノード流路32の側の表面に形成したアノード電極321と、上記プロトン伝導体層312における上記カソード流路33の側の表面に形成したカソード電極331とを有している。
また、図1に示すごとく、上記燃料電池システム1は、上記冷媒流路34に供給する上記冷媒ガスGrの流量を調整する冷媒流量調整器7と、上記アノード流路32に供給する上記水素含有ガスGaの流量又は上記アノード流路32における圧力を調整するアノードガス調整器5と、上記冷媒流量調整器7及び上記アノードガス調整器5を制御する制御装置とを有している。
そして、上記制御装置は、上記電解質体31の温度Tが所定の範囲(燃料電池3の許容作動温度範囲Tp)内に維持されるように上記冷媒流量調整器7を制御する。
また、上記制御装置は、上記電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tpの上限値Tmaxを超えたときである過度温度上昇時には、上記アノードガス調整器5を操作して、上記アノード流路32に供給する上記水素含有ガスGaの流量又は上記アノード流路32における圧力を増加させるよう構成されている。
一方、上記制御装置は、上記電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tpの下限値Tmin未満になったときである過度温度低下時には、上記アノードガス調整器5を操作して、上記アノード流路32に供給する上記水素含有ガスGaの流量又は上記アノード流路32における圧力を減少させるよう構成されている。
以下に、これを詳説する。
図1、図2に示すごとく、本例の燃料電池システム1は、上記改質反応流路21から上記アノード流路32に上記水素含有ガスGaを供給するための改質ガス供給ライン42と、上記カソード流路33から排出されるカソードオフガスOcを上記改質反応流路21に送るためのカソードオフガスライン46と、上記アノード流路32から排出されるアノードオフガスOaを上記加熱流路22に送るためのアノードオフガスライン45と、上記冷媒流路34から排出される上記冷媒オフガスOrを上記加熱流路22に送るための冷媒オフガスライン47とを有している。
そして、上記改質器2は、その改質反応流路21において、上記改質用燃料Fと上記カソードオフガスOcとを反応させて上記水素含有ガスGaを生成するよう構成されている。また、上記改質器2は、上記加熱流路22において、上記アノードオフガスOaと上記冷媒オフガスOrとを燃焼させて上記加熱を行うよう構成されている。
図1、図2に示すごとく、上記電解質体31は、上記アノード電極321及び上記カソード電極331を上記プロトン伝導体層312に接合した接合体と、上記水素分離金属層311とを積層接合してなるものである。
また、本例の水素分離金属層311は、パラジウム(Pd)とバナジウム(V)との積層金属からなる。なお、水素分離金属層311は、パラジウム単体から構成することもでき、パラジウムを含有する合金又はパラジウムと他の金属との複合体とすることもできる。また、水素分離金属層311は、3気圧のアノードガス供給条件下において、電流密度に換算して10A/cm2を超える水素透過性能(水素分離性能)を有している。こうして、水素分離金属層311の仮想導電抵抗は無視できる程度に小さくしている。
また、本例のプロトン伝導体層312は、セラミックスとしてのペロブスカイト型酸化物からなる。そして、プロトン伝導体層312の導電抵抗は、固体高分子型電解質膜の導電抵抗と同じくらいになるまで小さくしている。また、ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、BaCeO3系のもの、SrCeO3系のものがある。
また、図2に示すごとく、上記電解質体31は、上記プロトン伝導体層312における上記アノード流路32の側の表面に形成したアノード電極321(陽極)と、上記プロトン伝導体層312における上記カソード流路33の側の表面に形成したカソード電極331(陰極)とを有している。また、アノード電極321とカソード電極331との間には、上記燃料電池3から電力を取り出すための電池出力線36が接続されている。
また、本例のプロトン伝導体層312におけるアノード電極321は、上記水素分離金属層311を構成するパラジウムにより構成している。また、本例のプロトン伝導体層312におけるカソード電極331は、Pt系の電極触媒により構成している。なお、アノード電極321も、Pt系の電極触媒により構成することもできる。
本例においては、図1に示すごとく、上記カソードオフガスライン46には、これを流れるカソードオフガスOcを2つに分岐して流すことができるカソードオフガス用三方調整弁61が配設されている。
そして、上記燃料電池システム1は、上記カソードオフガス用三方調整弁61を介して、カソードオフガスライン46を流れるカソードオフガスOcの一部を排気すると共に、その残部を上記改質器2における改質反応流路21に送るよう構成されている。また、カソードオフガス用三方調整弁61は、上記排気するカソードオフガスOcの流量と、上記改質反応流路21に送るカソードオフガスOcの流量との分配比率を調整することができる。そして、上記カソードオフガス用三方調整弁61により、上記カソードオフガスライン46から上記改質器2における改質反応流路21に送るカソードオフガスOcの流量を調整することができる。
これにより、カソードオフガスOc中の酸素量(燃料電池3における反応に使用されなかった残存酸素量)が、改質反応流路21に必要な酸素量よりも多いときには、カソードオフガス用三方調整弁61を介してカソードオフガスOcの一部を排気することにより、改質反応流路21に送るカソードオフガスOc中の残存酸素量を適切な量に維持することができる。
なお、本例において用いる各三方調整弁は、ガスを流入させる入口ポートと、ガスを流出させる出口ポート及びリリーフポートとを有する分岐弁である。そして、本例の分岐弁は、出口ポートとリリーフポートとに分岐させて流すガスの流量の分配比率を調整することができるものである。以下の各実施例に示す各三方調整弁についても同様である。
ところで、上記アノード流路32への水素含有ガスGaの流量、上記カソード流路33へのカソードガスGcの流量等が変化し、カソード流路33におけるプロトン状態の水素量に対する酸素量の比率(カソードストイキ)が変化したときには、プロトン状態の水素との反応に使用されなかったカソードオフガスOc中の残存酸素量も変化する。このとき、特に、この残存酸素量が、改質反応流路21に必要な酸素量よりも多いときには、上記カソードオフガス用三方調整弁61を介してカソードオフガスOcの一部を排気することにより、改質反応流路21に送るカソードオフガスOcの流量を減少させることができる。これにより、改質反応流路21に送るカソードオフガスOc中の残存酸素量を適切な量に維持することができる。
また、上記燃料電池システム1においては、上記アノード流路32への水素含有ガスGaの流量、上記カソード流路33へのカソードガスGcの流量等を変化させて、上記カソードストイキを意識的に変化させることができる。このときには、カソードオフガスOc中におけるプロトン状態の水素と酸素との反応により生成した水の量(水分量)と、上記残存酸素量との比率を調整することができる。そして、このときでも、上記カソードオフガス用三方調整弁61を介してカソードオフガスOcの一部を排気することにより、改質反応流路21に送るカソードオフガスOc中の残存酸素量を適切な量に維持することができる。
また、上記改質器2の改質反応流路21において、改質用燃料F中の炭素(C)のモル量に対するカソードオフガスOc中の水(S)のモル量を示すS/Cは、例えば、1.5〜2.5とすることができる。また、上記改質器2の改質反応流路21において、改質用燃料F中の炭素(C)のモル量に対するカソードオフガスOc中の酸素(O)のモル量を示すO/Cは、例えば、0.05〜0.6とすることができる。
また、図1に示すごとく、本例においては、上記アノードオフガスライン45には、これを流れるアノードオフガスOaを2つに分岐して流すことができるアノードオフガス用三方調整弁51が配設されている。
そして、上記燃料電池システム1は、上記アノードオフガス用三方調整弁51を介して、アノードオフガスライン45を流れるアノードオフガスOaの一部を排気すると共に、その残部を上記改質器2における加熱流路22に送るよう構成されている。また、アノードオフガス用三方調整弁51は、上記排気するアノードオフガスOaの流量と、上記加熱流路22に送るアノードオフガスOaの流量との分配比率を調整することができる。そして、上記アノードオフガス用三方調整弁51により、上記アノードオフガスライン45から上記改質器2における加熱流路22に送るアノードオフガスOaの流量を調整することができる。
これにより、アノードオフガスOa中の水素(燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311へ透過されなかった残存水素)、一酸化炭素、メタン等の可燃性ガス量が、加熱流路22に必要なガス量よりも多いときには、アノードオフガス用三方調整弁51を介してアノードオフガスOaの一部を排気することにより、加熱流路22に送るアノードオフガスOa中の上記可燃性ガス量を適切な量に維持することができる。
また、図1に示すごとく、本例においては、上記冷媒オフガスライン47には、これを流れる冷媒オフガスを2つに分岐して流すことができる冷媒オフガス用三方調整弁71が配設されている。
そして、上記燃料電池システム1は、上記冷媒オフガス用三方調整弁71を介して、冷媒オフガスライン47を流れる冷媒オフガスOrの一部を排気すると共に、その残部を上記改質器2における加熱流路22に送るよう構成されている。また、冷媒オフガス用三方調整弁71は、上記排気する冷媒オフガスOrの流量と、上記加熱流路22に送る冷媒オフガスOrの流量との分配比率を調整することができる。
そして、上記冷媒オフガス用三方調整弁71により、上記冷媒オフガスライン47から上記改質器2における加熱流路22に送る冷媒オフガスOrの流量を調整することができる。これにより、冷媒オフガスOr中の酸素量が、加熱流路22に必要な酸素量よりも多いときには、冷媒オフガス用三方調整弁71を介して冷媒オフガスOrの一部を排気することにより、加熱流路22に送る冷媒オフガスOr中の残存酸素量を適切な量に維持することができる。
また、図1に示すごとく、上記燃料電池システム1は、上記改質器2における改質反応流路21に、上記改質用燃料Fを供給するための燃料供給ライン41を有している。そして、上記カソードオフガスライン46は、上記燃料供給ライン41に接続されており、この接続部には、カソードオフガスライン46を流れるカソードオフガスと燃料供給ライン41を流れる改質用燃料Fとを混合する反応流路用混合弁881が配設されている。そして、上記改質器2における改質反応流路21には、改質用燃料FとカソードオフガスOcとの混合気が供給される。
なお、上記カソードオフガスライン46は、上記改質反応流路21に直接接続することもでき、改質反応流路21内において、カソードオフガスOcと改質用燃料Fとを混合することもできる。
そして、改質反応流路21においては、改質用燃料FとカソードオフガスOc中に含まれる水(高温の水蒸気)とにより水蒸気改質反応が行われ、水素と一酸化炭素等が生成される。また、改質反応流路21においては、改質用燃料FとカソードオフガスOc中に含まれる酸素とにより部分酸化反応が行われ、水、一酸化炭素、二酸化炭素等が生成される。こうして、上記水蒸気改質反応及び部分酸化反応により、水素及び水等を含有する上記水素含有ガスGaが生成される。
また、上記水蒸気改質反応は吸熱反応である一方、上記部分酸化反応は発熱反応であり、部分酸化反応により改質反応流路21内の温度の低下を抑制することができる。
また、図1に示すごとく、本例の燃料電池システム1においては、上記アノードオフガスライン45と上記冷媒オフガスライン47とは、上記改質器2における加熱流路22に連通する加熱用ガス混合ライン451に接続されている。そして、この接続部には、アノードオフガスライン45を流れるアノードオフガスOaと冷媒オフガスライン47を流れる冷媒オフガスOrとを混合する加熱流路用混合弁882が配設されている。そして、上記改質器2における加熱流路22には、アノードオフガスOaと冷媒オフガスOrとの混合気が供給される。
なお、上記アノードオフガスライン45及び冷媒オフガスライン47は、それぞれ上記加熱流路22に直接接続することもでき、加熱流路22内において、アノードオフガスOaと冷媒オフガスOrとを混合することもできる。
そして、加熱流路22においては、アノードオフガスOa中の水素等の可燃性ガスと冷媒オフガスOr中に含まれる酸素とにより燃焼反応が行われ、水等が生成される。
こうして、上記加熱流路22において燃焼反応を行うことにより、上記加熱流路22から上記改質反応流路21へと熱量を伝達することができ、改質反応流路21内の温度が高く維持されるようにすることができる。本例においては、改質反応流路21における水蒸気改質反応及び部分酸化反応による熱量と、上記加熱流路22における燃焼反応とによる熱量とをほぼつり合わせることにより、改質器2において生成する水素含有ガスGaの温度が所定の温度範囲内に維持されるようにしている。
また、上記加熱流路22において燃焼反応が行われた後の燃焼オフガスは、加熱流路22の出口に接続された排気ライン49から燃料電池システム1の外部に排出される。
また、上記改質器2に加熱流路22とを形成したことにより、改質反応流路21において行う部分酸化反応の割合を少なくすることができる。そのため、改質反応流路21においては、改質用燃料Fを上記水素等を生成するための水蒸気改質反応にできるだけ多く用いることができ、改質反応流路21への改質用燃料Fの供給量を少なくすることができる。
また、図1に示すごとく、上記改質器2における改質反応流路21と上記燃料電池3におけるアノード流路32とは、改質反応流路21において生成された水素含有ガスGaが流れる改質ガス供給ライン42を介して接続されている。
また、上記燃料電池3におけるカソード流路33には、上記カソードガスGcをこのカソード流路33に供給するためのカソードガス供給ライン43が接続されている。本例のカソードガスGcは空気であり、カソードガス供給ライン43には、カソードガスGcとしての空気を加圧して送り出すカソードガス加圧器60が配設されている。本例のカソードガス加圧器60はポンプ60とした。これに対し、カソードガス加圧器60は、ファン、圧縮機又はエジェクター等とすることもできる。
なお、上記カソードガスGcとしては、空気以外にも、例えば酸素を用いることができる。
また、上記燃料電池3における冷媒流路34には、上記冷媒ガスGrをこの冷媒流路34に供給するための冷媒ガス供給ライン44が接続されている。本例の冷媒ガスGrは空気であり、冷媒ガス供給ライン44には、冷媒ガスGrとしての空気を加圧して送り出す冷媒ガス加圧器70が配設されている。本例の冷媒ガス加圧器70はポンプ70とした。これに対し、冷媒ガス加圧器70は、ファン、圧縮機又はエジェクター等とすることもできる。
また、上記燃料電池システム1は、上記改質器2における改質反応流路21から上記燃料電池3におけるアノード流路32へは、熱交換器又は凝縮器等を介さずに、上記水素含有ガスGaを直接供給するよう構成されている。また、燃料電池システム1は、燃料電池3におけるカソード流路33から改質器2における改質反応流路21へも、熱交換器等を介さずに、上記カソードオフガスOcを直接供給するよう構成されている。
なお、図1においては、上記改質器2における改質反応流路21及び加熱流路22は、それぞれ1つずつ形成した場合を示している。これに対し、上記改質器2は、改質反応流路21と加熱流路22とをそれぞれ複数形成し、これらを交互に配置して構成することもできる。
また、図1、図2においては、上記燃料電池3におけるアノード流路32、カソード流路33及び冷媒流路34は、それぞれ1つずつ形成した場合を示している。これに対し、上記燃料電池3は、アノード流路32、カソード流路33及び冷媒流路34をそれぞれ複数形成し、これらを交互に配置して構成することもできる。
また、図2に示すごとく、上記燃料電池3は、その電解質体31の温度Tを検出する温度検出部35を有している。そして、上記制御装置は、温度検出部35からの温度信号を受け取って、上記カソードガス調整器6を制御するよう構成されている。本例の温度検出部35は温度センサ34であり、この温度センサ34を燃料電池3内に埋設している。また、本例の温度センサ34は、冷媒流路34内に埋設されており、制御装置は、冷媒流路34内の温度を測定することにより、電解質体31の温度Tを間接的に検出することができる。
なお、温度センサ34は、カソード流路33、又はカソード流路33と冷媒流路34との間に形成したセパレータ340の内部等に埋設することもできる。また、温度センサ34は電解質体31に直接設けることもでき、制御装置は、電解質体31の温度Tを直接的に検出することもできる。
また、上記温度検出部35としての温度センサ34は、アノード流路32、カソード流路33及び冷媒流路34の内部にそれぞれ埋設することができる。そして、制御装置は、各温度センサ34のうちの最も高い温度から上記過度温度上昇時を認知することができ、各温度センサ34のうちの最も低い温度から上記過度温度低下時を認知することができる。
また、上記電解質体31の温度Tは、上記アノード流路32に供給する水素含有ガスGaの温度とアノード流路32から排出されるアノードオフガスOaの温度との一対の温度、上記カソード流路33に供給するカソードガスGcの温度とカソード流路33から排出されるカソードオフガスの温度との一対の温度、又は上記冷媒流路34に供給する冷媒ガスGrの温度と冷媒流路34から排出される冷媒オフガスOrの温度との一対の温度のうち、少なくともいずれかの一対の温度から推算することもできる。この場合には、上記制御装置は、上記燃料電池3に上記温度検出部35を埋設することなく、電解質体31の温度Tを認知することができる。
具体的には、図3に示すごとく、上記水素含有ガスGaの温度とアノードオフガスOaの温度とは、上記改質ガス供給ライン42内に配設した温度計351と、上記アノードオフガスライン45内に配設した温度計352とから検出することができる。また、カソードガスGcの温度とカソードオフガスOcの温度とは、上記カソードガス供給ライン43内に配設した温度計353と、上記カソードオフガスライン46内に配設した温度計354とから検出することができる。また、上記冷媒ガスGrの温度と冷媒オフガスOrの温度とは、上記冷媒ガス供給ライン44内に配設した温度計355と、上記冷媒オフガスライン47内に配設した温度計356とから検出することができる。
また、上記各温度計351〜356は、それぞれアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量、カソード流路33に供給するカソードガスGcの流量、冷媒流路34に供給する冷媒ガスGrの流量を調整するときに用いるものを兼用することができる。
図1に示すごとく、本例の冷媒流量調整器7は、上記冷媒ガス加圧器70としてのポンプ70である。本例のアノードガス調整器5は、上記アノードオフガスライン45に配設したアノードオフガス用圧力調整弁52と、上記改質ガス供給ライン42に配設した改質ガス用三方調整弁53とを用いて構成されている。本例のアノードオフガス用圧力調整弁52は、その内部の流路を絞ることができる絞り弁である。また、改質ガス用三方調整弁53により、上記改質ガス供給ライン42から上記燃料電池3におけるアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量を調整することができる。
また、改質ガス供給ライン42に配設した改質ガス用三方調整弁53におけるリリーフポートと、カソードオフガスライン46とは、改質ガス混合ライン48Aにより接続されており、この接続部には、改質ガス・カソードオフガス混合弁88Aが配設されている。そして、本例では、改質ガス供給ライン42を流れる水素含有ガスGaの一部を、カソードオフガスライン46に分流させることができ、このカソードオフガスライン46を流れるカソードオフガスOcに混合することができる。
本例においては、上記制御装置は、上記燃料電池システム1において何らかの異変等がない燃料電池システム1の定常状態においては、冷媒流量調整器7を用いて燃料電池3の温度の制御を行う。そして、上記アノードガス調整器5を用いた燃料電池3の温度の制御は、上記燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tpを外れたときである燃料電池システム1の緊急状態に行う。
そして、本例の制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記アノードオフガス用圧力調整弁52の開度を絞って上記アノード流路32における圧力を増加させることができる。
一方で、制御装置は、上記過度温度低下時には、上記アノードオフガス用圧力調整弁52の開度を全開にすると共に上記改質ガス用三方調整弁53を操作する。そして、この改質ガス用三方調整弁53を介して、上記改質ガス供給ライン42を流れる水素含有ガスGaの一部は、カソードオフガスライン46に送られ、カソードオフガスライン46を流れるカソードオフガスと混合されて、上記改質器2における改質反応流路21に戻される。これにより、制御装置は、上記アノード流路32における圧力を減少させることができる。
次に、上記燃料電池システム1を用いて発電を行う方法及び燃料電池システム1における作用効果につき詳説する。
本例においては、上記改質器2の改質反応流路21においては、上記燃料供給ライン41から送られる改質用燃料Fと、上記カソードオフガスライン46から送られるカソードオフガスOcとが反応して、上記水素含有ガスGaが生成される。一方で、上記改質器2の加熱流路22においては、上記アノードオフガスライン45から送られるアノードオフガスOaと、上記冷媒オフガスライン47から送られる冷媒オフガスOrとが反応することにより発熱し、加熱流路22は改質反応流路21を加熱する。こうして、改質反応流路21においては水素含有ガスGaを生成する一方、これを加熱流路22から加熱することにより、改質反応流路21から上記燃料電池3におけるアノード流路32に送り出される水素含有ガスGaの温度を300〜600℃の高温に維持することができる。
なお、燃料電池3に供給する水素含有ガスGaの温度は、300〜600℃とすることができるが、400〜500℃にすることが一層好ましい。この場合には、上記燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311の温度を、水素透過性能を発揮する最適な温度に維持することができ、水素分離金属層311に劣化等が発生することを容易に抑制することができる。
また、上記改質器2の改質反応流路21において生成された上記水素含有ガスGaは、上記改質ガス供給ライン42を通過して上記燃料電池3におけるアノード流路32に供給される。そして、アノード流路32に供給された水素含有ガスGa中の水素の多くは、上記電解質体31における水素分離金属層311を透過して、電解質体31におけるプロトン伝導体層312に到達する。そして、上記水素は、プロトンの状態になってプロトン伝導体層312を通過する。
そして、上記カソード流路33においては、上記プロトン状態の水素と、上記カソードガス供給ライン43から供給されたカソードガスGc中の酸素とが反応して水が生成される。本例においては、この燃料電池3における反応が300〜600℃の高温状態において行われ、上記生成された水は高温の水蒸気となる。
また、上記反応を行うと共に、上記電解質体31におけるアノード電極321とカソード電極331との間から上記電池出力線36へと電力を取り出すことにより、上記燃料電池システム1は発電を行うことができる。
本例の燃料電池システム1は、上記水素分離金属層311と上記プロトン伝導体層312とを積層してなる電解質体31を備えた燃料電池3を有している。そして、本例の燃料電池システム1においては、上記プロトン伝導体層312がセラミックスからなり、このプロトン伝導体層312は水分を含浸させずに用いることができるため、上記燃料電池3を、例えば300〜600℃の高温状態で作動させることができる。そのため、上記改質器2から上記水素含有ガスGaを上記燃料電池3に直接供給することができる。
また、上記カソード流路33から排出されるカソードオフガスOcは、上記燃料電池3の作動温度に近い高温の状態で上記改質器2に直接送ることができる。そのため、上記燃料電池システム1においては、改質器2において水素含有ガスGaを生成する温度と、燃料電池3における作動温度とをほとんど同じにすることができる。
そして、上記カソード流路33において反応が行われた後に、このカソード流路33から排出されるカソードオフガスOcは、上記反応に使用されなかった酸素(残存酸素)と、上記反応によって生成された水(生成水)と、上記燃料電池3の高温作動による熱量とを有している。
そして、上記燃料電池3のカソード流路33における生成水は、例えば300〜600℃の高温の水蒸気となっており、この生成水は、上記プロトン伝導体層312に含浸されることがほとんどなく、また、上記水素分離金属層311が水素のみを透過させる性質を有することにより、上記生成水は、カソード流路33からアノード流路32へと通過してしまうことがない。そのため、上記カソード流路33から上記カソードオフガスライン46を介して、上記生成水の全量を回収することができる。
これにより、上記燃料電池システム1においては、上記改質器2の改質反応流路21における反応に必要な水を、上記燃料電池3の発電により生じた生成水を含むカソードオフガスOcから容易に確保することができ、上記改質反応流路21には十分な量の水を供給することができる。また、燃料電池システム1においては、上記カソードオフガスOc中の全量の生成水を利用して、上記改質反応流路21に供給する水分量を調整することができる。
そのため、燃料電池システム1の運転条件の設定が容易になり、燃料電池システム1の運転を容易に安定させることができる。
また、上記燃料電池3においては、上記プロトン伝導体層312を非含水(液)状態で使用するため、プロトン伝導体層312内の成分が気化し、これがカソード流路33内における上記生成水に溶出してしまうことがない。そのため、上記改質器2に送るカソードオフガスOc中の上記生成水の純度を低下させてしまうことがなく、上記改質器2の改質反応流路21内に配置した上記水蒸気改質反応を行うための改質触媒に被毒等の問題が生じることがない。
そして、上記燃料電池システム1においては、上記改質器2の改質反応流路21において、上記改質用燃料FとカソードオフガスOcとを反応させて水素含有ガスGaを生成するときには、この改質反応流路21においては、カソードオフガスOcが有する残存酸素、十分な量の生成水を利用することができるだけでなく、カソードオフガスOcが有する高温の熱エネルギーも利用することができる。そのため、改質反応流路21においては、改質用燃料Fと、高温の熱エネルギーを有するカソードオフガスOcとを反応させて水素含有ガスGaを生成することができ、この改質反応流路21におけるエネルギー効率を向上させることができる。
また、上記アノード流路32から排出されるアノードオフガスOaは、上記電解質体31における水素分離金属層311を透過せずに排出される水素及び上記水素含有ガスGa中に含まれる水素以外の物質を有しており、かつ燃料電池3の高温作動による熱量を有している。また、上記冷媒流路34から排出される冷媒オフガスOrは、上記冷媒ガスGr中に含まれる酸素を有しており、かつ上記燃料電池3を通過して加熱された熱量を有している。
そのため、アノード流路32から上記アノードオフガスライン45を介して上記加熱流路22にアノードオフガスOaを送り、また、冷媒流路34から上記冷媒オフガスライン47を介して加熱流路22に冷媒オフガスOrを送ったときには、加熱流路22においては、アノードオフガスOaが有する水素等の可燃性ガスと冷媒オフガスOrが有する酸素とを燃焼させることができるだけでなく、アノードオフガス及び冷媒オフガスOrがそれぞれ有する高温の熱エネルギーを利用して燃焼を行うことができる。これにより、加熱流路22におけるエネルギー効率も向上させることができる。
また、本例の燃料電池システム1においては、上記のごとく改質器2において水素含有ガスGaを生成する温度と燃料電池3における作動温度とをほぼ同じにすることができる。そのため、本例においては、改質器2と燃料電池3との間に、これらにおける各温度の違いから必要となる熱交換器や凝縮器等を設ける必要がない。そのため、これらを用いたことによるエネルギーロスが生ずることがなく、また、燃料電池システム1の構造を簡単にすることができる。
それ故、本例の燃料電池システム1によれば、その構造を簡単にすることができ、カソード流路33から生成水の全量を回収することができると共に、カソードオフガスOc、アノードオフガスOa及び冷媒オフガスOrがそれぞれ有する高温の熱エネルギーを利用して、燃料電池システム1のエネルギー効率を向上させることができる。
なお、図示は省略するが、上記燃料電池システム1の運転を開始するときには、上記改質器2における改質反応流路21には水及び酸素(空気等)を直接供給することができ、上記改質器2における加熱流路22には燃料及び酸素(空気等)を直接供給することができる。
そして、上記燃料電池システム1の運転を開始した後には、改質反応流路21に必要な水及び酸素は上記カソードオフガスOcのみから供給することができ、加熱流路22に必要な燃料としての水素と、酸素とは上記アノードオフガスOaと上記冷媒オフガスOrとのみから供給することができる。
また、改質器2における改質反応流路21においては、上記高温のカソードオフガスOcにより、改質反応流路21に供給した改質用燃料Fの気化をスムーズに行うこともできる。
また、本例の燃料電池3は、例えば、300〜600℃の高温で作動させているときには、上記水素分離金属層311が一酸化炭素等による被毒の影響をほとんど受けない。そのため、上記高温作動時には、燃料電池3のアノード流路32に、水素以外にも一酸化炭素等を含有する水素含有ガスGaを直接供給することができる。
ところで、水素分離金属層311における温度が所定の温度よりも低くなったときには、水素分離金属層311を構成するパラジウム等の金属が水素を吸収し、この吸収された水素により水素脆化等が起こって、水素分離金属層311が破壊されてしまうおそれがある。また、このときには、水素分離金属層311を構成するパラジウム等の金属に水素含有ガスGa中の一酸化炭素や二酸化炭素が吸着して被毒の問題が生じ、水素透過性能が劣化してしまう。一方で、水素分離金属層311における温度が所定の温度よりも高くなったときには、水素分離金属層311を構成するパラジウム、バナジウムの金属が拡散してしまい、このときにも水素透過性能が劣化してしまう。
そのため、上記水素分離金属層311の水素透過性能を良好に維持するためには、水素分離金属層311における温度を許容作動温度範囲Tp内に維持することが必要である。
また、図4に示すごとく、上記燃料電池3における発電特性を示す指標として、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出される電流密度I[A/cm2]と電圧V[V]との関係を示すI−V特性がある。同図は、横軸に上記電流密度Iをとり、縦軸に上記電圧Vをとって示すグラフである。
そして、このI−V特性においては、電流密度が増加したときには、燃料電池3の内部の導電抵抗、すなわち上記電解質体31における水素分離金属層311及びプロトン伝導体層312の導電抵抗、上記アノード電極321の構造に依存する分極抵抗、上記カソード電極331の構造に依存する分極抵抗等により、電圧損失Vrが発生するという性質があることが知られている。そして、この電圧損失Vrが、燃料電池3の発熱量を増大させてしまうことが知られている。
そこで、本例の燃料電池システム1は、上記緊急状態において、上記I−V特性における性質を利用して、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311の温度を変化させようとするものである。特に、本例は、上記アノード電極321の構造に依存する分極抵抗による電圧損失(アノード過電圧)は、上記アノード流路32における水素量又は水素分圧に依存することに着目し、上記アノード過電圧に伴う発熱量を変化させることにより、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311の温度を変化させることができるものである。そして、これにより、本例は、上記水素分離金属層311の温度を適切な温度の範囲内に維持し、水素分離金属層311の水素透過性能を良好に維持することができるものである。
次に、上記燃料電池3の温度の制御を行う方法及びこれによる作用効果につき詳説する。
上記燃料電池システム1は、上記のごとく上記冷媒流量調整器7と上記アノードガス調整器5とを有しており、これらを上記制御装置によって制御可能である。
そして、上記燃料電池3は、上記反応を行って作動することにより発熱しており、上記制御装置は、上記冷媒流量調整器7におけるポンプの吐出流量を操作して、上記冷媒流路34に供給する冷媒ガスGrの流量を調整することにより、燃料電池3の電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tp内(本例では300〜600℃の範囲内)に維持されるように制御する。これにより、上記燃料電池システム1の定常状態においては、制御装置は、冷媒流量調整器7を用いて電解質体31の温度Tの制御を行うことができる。
また、上記定常状態においては、上記アノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量及び上記カソード流路33に供給するカソードガスGcの流量等は、できるだけ少なくかつできるだけ一定の量になるよう制御することができる。そのため、上記燃料電池3における発電量を安定させることができ、燃料電池システム1を効率よく安定して運転することができる。
また、上記定常状態においては、上記アノードオフガス用圧力調整弁52の開度は全開にし、上記改質ガス用三方調整弁53におけるリリーフポートは閉鎖して、水素含有ガスGaの全量を燃料電池3におけるアノード流路32に供給することができる。
また、上記燃料電池システム1の運転を行う際には、上記アノードオフガス用三方調整弁51、上記カソードオフガス用三方調整弁61、上記冷媒オフガス用三方調整弁71における出口ポートへの流量とリリーフポートへの流量との各分配比率を調整しておき、各オフガスライン45、46、47を流れる各オフガスOa、Oc、Orの流量を調整しておくことができる。
そして、上記燃料電池システム1において、例えば上記改質器2における改質反応流路21に供給する改質用燃料Fの組成、流量等が急激に増加したとき等の異変が生じたときには、燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内を外れ、許容作動温度範囲Tpの上限値Tmax(本例では600℃)を超えることがある。
このとき、制御装置は、燃料電池3が過度温度上昇時にあることを認知し、上記アノードオフガス用圧力調整弁52の開度を絞る。これにより、アノード流路32の出口部の背圧が増加し、アノード流路32における圧力が増加する。
そして、アノード流路32における水素分圧が増加し、上記アノード過電圧(電圧損失)が減少する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が減少したことによる電圧の増加に伴い、電流密度が減少する。すなわち、図4において、I−VカーブL0がI−VカーブL1へと変化する。なお、同図において、ラインLは、理論電圧を示す。
そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の減少により発熱量が低下して、燃料電池3の温度の上昇が抑制され、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311の温度を低下させることができる。これにより、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311において、上記水素脆化、被毒等の発生を抑制して、水素透過性能の劣化が発生することを抑制することができる。
なお、上記アノード流路32における圧力を増加させたときには、上記改質反応流路21内の圧力も上昇することがある。このときには、例えば、上記カソードガスGcのカソード流路33への供給流量又は供給圧力を増加させることにより、カソードオフガスライン46における圧力が改質反応流路21における圧力よりも低くなることを防止して、カソードオフガスOcを安定して改質反応流路21に供給することができる。また、上記アノード流路32における圧力を増加させたときには、上記改質用燃料Fの供給量を増加させることもできる。
また、上記燃料電池システム1において、例えば上記改質器2における改質反応流路21に供給する改質用燃料Fの組成、流量等が急激に減少したとき等の異変が生じたときには、電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内を外れ、許容作動温度範囲Tpの下限値Tmin(本例では300℃)よりも低くなることがある。
このとき、制御装置は、燃料電池3が過度温度低下時にあることを認知し、上記アノードオフガス用圧力調整弁52の開度を全開にしたままで、上記改質ガス用三方調整弁53におけるリリーフポートを開け、改質ガス供給ライン42を流れる水素含有ガスGaの一部をカソードオフガスライン46に送る。そして、アノード流路32に供給される水素含有ガスGaの流量が減少し、アノード流路32における圧力が減少する。なお、水素含有ガスGaの残部は、上記アノード流路32に供給される。
こうして、アノード流路32における水素分圧が減少し、上記アノード過電圧(電圧損失)が増加する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が増加したことによる電圧の減少に伴い、電流密度が増加する。すなわち、図4において、I−VカーブL0がI−VカーブL2へと変化する。
そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の増加により発熱量が上昇して、燃料電池3の温度の低下が抑制され、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311の温度を上昇させることができる。これにより、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311において、金属拡散等の発生を抑制して、水素透過性能の劣化が発生することを抑制することができる。
また、カソードオフガスライン46に送られた水素含有ガスGaは、カソードオフガスライン46において、カソードオフガスOcと混合され、この混合された混合気が改質器2における改質反応流路21に供給される。これにより、改質反応流路21における水素濃度を向上させることができる。
それ故、本例の燃料電池システム1によれば、燃料電池システム1を効率よく安定して運転することができると共に、燃料電池3の電解質体31における水素分離金属層311に水素透過性能の劣化が生じないようにして、水素分離金属層311の耐久性を向上させることができる。
図5に、上記燃料電池システム1において、燃料電池3の温度の制御を行うフローチャートを示す。
同図において、ステップS101においては、燃料電池3に要求される要求電力、冷媒ガスGrの温度等の検出を行う。そして、S102において、制御装置に予め設定されたアルゴリズムに従い、上記冷媒流量調整器7から燃料電池3の冷媒流路34に供給する冷媒ガスGrの流量を調整する。こうして、燃料電池システム1の定常状態においては、上記冷媒流量調整器7を用いた燃料電池3の温度の制御(冷媒温度制御)を行い、燃料電池3における電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tp内に維持されるように制御する。
次いで、ステップS103においては、上記制御装置は、上記温度検出部35により電解質体31の温度Tを検出する。そして、S104において、上記検出を行った電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tpの上限値Tmaxよりも高いか否かを判定する。この判定がYesの場合は、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの上限値Tmaxよりも高い場合であり、制御装置は、燃料電池システム1が上記緊急状態における過度温度上昇時にあるとしてS105を実行する。そして、S105においては、制御装置は、上記アノードガス調整器5を用いた燃料電池3の温度の制御(アノードガス温度制御)を行って、燃料電池3のアノード流路32における圧力を増加させ、再びS103を実行する。こうして、電解質体31の温度Tを低下させることができる。
一方で、S104における判定がNoの場合は、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの上限値Tmax以下の場合であり、制御装置は、S106において、上記検出を行った電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの下限値Tminよりも低いか否かを判定する。この判定がYesの場合は、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpの下限値Tminよりも低い場合であり、制御装置は、燃料電池システム1が上記緊急状態における過度温度低下時にあるとしてS107を実行する。そして、S107においては、制御装置は、上記アノードガス調整器5を用いた燃料電池3の温度の制御を行って、燃料電池3のアノード流路32における圧力を減少させ、再びS103を実行する。こうして、電解質体31の温度Tを上昇させることができる。
一方で、S106における判定がNoの場合は、電解質体31の温度Tが許容作動温度範囲Tpにある場合であり、制御装置は、燃料電池システム1が上記定常状態にあることを認知し、再びS101を実行する。
そして、上記燃料電池システム1の定常状態においては、S101〜S103を繰り返して、冷媒温度制御を行うことができ、上記燃料電池システム1の緊急状態においては、S103〜S107を繰り返して、アノードガス温度制御を行うことができる。その後、燃料電池システム1の運転の終了に伴い、適宜上記燃料電池3の温度の制御を終了することができる。
なお、S102においては、S103における電解質体31の温度Tの検出が行われた後であれば、燃料電池3に要求される要求電力、冷媒ガスGrの温度、電解質体31の温度T等に基づいて、上記冷媒ガスGrの流量を調整することができる。
また、S105においては、必ずしも燃料電池3のアノード流路32における圧力を増加させなくても、燃料電池3のアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量を増加させるだけによっても対応することができる。また、S107においては、必ずしも燃料電池3のアノード流路32における圧力を減少させなくても、燃料電池3のアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量を減少させるだけによっても対応することができる。
また、上記制御装置は、上記電解質体31の温度Tが所定の温度変化率を超えて上昇したときに、上記過度温度上昇時を認知し、上記電解質体31の温度Tが所定の温度変化率を超えて低下したときに、上記過度温度低下時を認知することもできる。この場合には、制御装置は、燃料電池システム1が緊急状態になるおそれがあることを予測することができる。そして、制御装置は、電解質体31の温度Tが上記上限値Tmax又は下限値Tminに到達する前に、上記アノード流路32における圧力を増減させることができ、迅速に上記燃料電池システム1の緊急状態に対応することができる。
(実施例2)
本例は、図6に示すごとく、上記アノードガス調整器5を、上記改質ガス供給ライン42に配設した改質ガス加圧器54と、この改質ガス加圧器54を迂回して上記水素含有ガスGaを上記アノード流路32に供給するためのバイパスライン541と、このバイパスライン541に配設した開閉弁542と、上記改質ガス供給ライン42に配設したリリーフ弁543とを用いて構成した例である。
図6に示すごとく、本例の改質ガス加圧器54は圧縮機54である。また、上記リリーフ弁543は、入口ポート、出口ポート及びリリーフポートとを有している。そして、リリーフ弁543は、入口ポートと出口ポートとを連通させる通常位置と、入口ポートとリリーフポートとを連通させるリリーフ位置との間で切替可能である。そして、入口ポートと出口ポートとが改質ガス供給ライン42を連通させている。
また、リリーフ弁543におけるリリーフポートと、カソードオフガスライン46とは、改質ガス混合ライン48Aにより接続されており、この接続部には、改質ガス・カソードオフガス混合弁88Aが配設されている。
本例においては、燃料電池システム1の定常状態においては、上記開閉弁542を全開にすると共に上記リリーフ弁543を通常位置にし、上記圧縮機54は停止した状態にする。
そして、燃料電池システム1において、電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内(300〜600℃の範囲内)を外れ、許容作動温度範囲Tpの上限値Tmax(本例では600℃)を超えたときには、制御装置は、燃料電池3が過度温度上昇時にあることを認知し、上記開閉弁542を閉じると共に上記圧縮機54を作動させる。
これにより、アノード流路32への水素含有ガスGaの流量が増加し、アノード流路32における圧力が増加する。そして、アノード流路32における水素分圧が増加し、上記アノード過電圧(電圧損失)が減少する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が減少したことによる電圧の増加に伴い、電流密度が減少する。そのため、アノード過電圧及び電流密度の減少により発熱量が低下して、燃料電池3の温度の上昇が抑制され、電解質体31の温度Tを低下させることができる。
また、燃料電池システム1において、電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内を外れ、許容作動温度範囲Tpの下限値Tmin(本例では300℃)よりも低くなったときには、制御装置は、燃料電池3が過度温度低下時にあることを認知し、上記圧縮機54を停止させると共に上記リリーフ弁543をリリーフ位置にする。これにより、リリーフ弁543のリリーフポートからアノード流路32内の水素含有ガスGaが上記カソードオフガスライン46に送られ、アノード流路32における圧力を改質反応流路21における圧力に近い圧力まで減少させることができる。
そして、アノード流路32における水素分圧が減少し、上記アノード過電圧(電圧損失)が増加する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が増加したことによる電圧の減少に伴い、電流密度が増加する。そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の増加により発熱量が上昇して、燃料電池3の温度の低下が抑制され、電解質体31の温度Tを上昇させることができる。
そして、その後、上記開閉弁542を開けることにより、再び改質反応流路21からアノード流路32へと水素含有ガスGaを供給することができる。また、カソードオフガスライン46に送った水素含有ガスGaは、カソードオフガスOcと混合して、再び改質反応流路21に供給することができる。
なお、上記リリーフ弁543の代わりに三方調整弁を用いることもできる。
本例においても、その他は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例3)
本例は、図7に示すごとく、上記燃料電池システム1が、上記アノード流路32から排出される上記アノードオフガスOaの一部を上記改質ガス供給ライン42に送るためのアノードオフガス混合ライン(再供給ライン)48Bを有しており、上記アノードガス調整器5を、上記アノードオフガス混合ライン48Bに配設したアノードオフガス加圧器55と、上記改質ガス供給ライン42において上記アノードオフガス混合ライン48Bが接続された位置よりも上記水素含有ガスGaの流れの上流側に配設した逆流防止弁551とを用いて構成した例である。
また、上記アノードオフガスライン45には、上記実施例1と同様に、アノードオフガス用三方調整弁51が配設されている。また、本例のアノードオフガス加圧器55は圧縮機55である。
また、図7に示すごとく、アノードオフガスライン45と改質ガス供給ライン42とは、アノードオフガス混合ライン48Bにより接続されており、この接続部には、アノードオフガス・改質ガス混合弁88Bが配設されている。そして、本例では、アノードオフガスライン45を流れるアノードオフガスOaの一部を、改質ガス供給ライン42を流れる水素含有ガスGaに混合することができる。
本例においては、燃料電池システム1の定常状態においては、上記アノードオフガス用三方調整弁51におけるリリーフポートから排気するアノードオフガスOaの排気量が調整してあり、上記圧縮機55は停止状態にある。
そして、燃料電池システム1において、電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内(300〜600℃の範囲内)を外れ、許容作動温度範囲Tpの上限値Tmax(本例では600℃)を超えたときには、制御装置は、燃料電池3が過度温度上昇時にあることを認知し、上記圧縮機55を作動させる。このとき、圧縮機55は、アノードオフガスライン45を流れるアノードオフガスOaの一部を、アノードオフガス混合ライン48Bを介して上記改質ガス供給ライン42に送る。そして、上記圧縮機55から送り出されたアノードオフガスOaは、上記逆流防止弁551によって上記改質器2に逆流してしまうことが防止された状態で、上記アノード流路32に再供給される。
これにより、アノード流路32への水素含有ガスGaの流量が増加し、アノード流路32における圧力が増加する。そして、アノード流路32における水素分圧が増加し、上記アノード過電圧(電圧損失)が減少する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が減少したことによる電圧の増加に伴い、電流密度が減少する。そのため、アノード過電圧及び電流密度の減少により発熱量が低下して、燃料電池3の温度の上昇が抑制され、電解質体31の温度Tを低下させることができる。
また、燃料電池システム1において、電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内を外れ、許容作動温度範囲Tpの下限値Tmin(本例では300℃)よりも低くなったときには、制御装置は、燃料電池3が過度温度低下時にあることを認知し、上記圧縮機55を停止させると共に上記アノードオフガス用三方調整弁51におけるリリーフポートから排気するアノードオフガスの排気量を増加させる。
これにより、アノード流路32における水素分圧が減少し、上記アノード過電圧(電圧損失)が増加する。そして、上記アノード電極321とカソード電極331との間から取り出す電池出力電力が一定になるよう制御した状態においては、上記アノード過電圧が増加したことによる電圧の減少に伴い、電流密度が増加する。そのため、上記アノード過電圧及び電流密度の増加により発熱量が上昇して、燃料電池3の温度の低下が抑制され、電解質体31の温度Tを上昇させることができる。
本例においても、その他は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例4)
本例は、図8、図9に示すごとく、上記燃料電池システム1が上記燃料電池3を複数有していると共に、上記アノードガス調整器5を上記各燃料電池3毎にそれぞれ配設した例である。
また、上記温度検出部35は各燃料電池3毎に配設されており、本例の制御装置は、各燃料電池3の電解質体31の温度Tをそれぞれ認知することができるよう構成されている。また、本例の制御装置は、上記各燃料電池3毎にアノードガス調整器5を制御するよう構成されている。
また、図8、図9に示すごとく、本例の冷媒ガス供給ライン44は、燃料電池3の数に合わせて複数の冷媒ガス分岐ライン441に分岐しており、各冷媒ガス分岐ライン441には、各燃料電池3における冷媒流路34に供給する冷媒ガスGrの流量をそれぞれ調整可能な冷媒ガス用流量調整弁76が配設されている。そして、本例の冷媒流量調整器7は、上記冷媒ガス供給ライン44に配設した冷媒ガス加圧器70としてのポンプ70と上記各冷媒ガス用流量調整弁76とにより構成されている。
また、本例のカソードガス供給ライン43もまた、燃料電池3の数に合わせて複数のカソードガス分岐ライン431に分岐しており、各カソードガス分岐ライン431には、各燃料電池3におけるカソード流路33に供給するカソードガスGcの流量をそれぞれ調整可能なカソードガス用流量調整弁66が配設されている。
なお、本例の燃料電池3の数は3つであり、制御装置は3つの燃料電池3の温度をそれぞれ制御することができる。
そして、本例においては、各燃料電池3に配設されたアノードガス調整器5の構成の違いにより、2つのバリエーションの燃料電池システム1を示す。
すなわち、図8に示すごとく、上記燃料電池システム1のバリエーションの1つとしては、各燃料電池3に対応した各アノードガス調整器5が、上記実施例1に示したように、それぞれ上記改質ガス用三方調整弁53と上記アノードオフガス用圧力調整弁52とを用いて構成されている場合である。そして、この場合には、上記改質ガス供給ライン42は、燃料電池3の数に合わせて複数の改質ガス分岐ライン421に分岐しており、この各改質ガス分岐ライン421には、各燃料電池3におけるアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量をそれぞれ調整可能な改質ガス用三方調整弁53が配設されている。また、各アノードオフガス用圧力調整弁52は、各燃料電池3のアノードオフガスライン45にそれぞれ配設されている。
この場合においても、上記燃料電池3に何らかの異変等がない定常状態においては、制御装置は、上記冷媒流量調整器7におけるポンプ70を制御すると共に、上記各冷媒ガス用流量調整弁76の開度を操作して、各燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内に維持されるように制御することができる。また、上記各カソードガス用流量調整弁66の開度を調整することにより、各燃料電池3におけるカソード流路33へのカソードガスGcの流量をほぼ均等にして、各燃料電池3における電流密度がほぼ均等になるようにすることができる。
一方、制御装置は、上記複数の燃料電池3のうちのいずれかが何らかの異変等により上記緊急状態になったときには、この緊急状態になった燃料電池3のみに対して、上記アノードガス調整器5を操作して温度の制御を行うことができ、緊急状態に迅速に対応することができる。また、制御装置は、残りの燃料電池3に対しては、冷媒流量調整器7のみを用いた温度の制御を継続することができ、緊急状態における燃料電池システム1全体の発電効率の低下を抑制することができる。
また、図9に示すごとく、上記燃料電池システム1の他のバリエーションとしては、上記実施例2に示したように、アノードガス調整器5は、上記改質ガス加圧器54としての圧縮機54、上記バイパスライン541及び上記開閉弁542を有しており、上記改質ガス供給ライン42を分岐させた改質ガス分岐ライン421に、各燃料電池3におけるアノード流路32に供給する水素含有ガスGaの流量をそれぞれ調整可能な改質ガス用流量調整弁56を配設した場合である。また、この場合には、燃料電池3の各アノードオフガスライン45に、上記アノードオフガス用三方調整弁51をそれぞれ配設している。
この場合においても、各燃料電池3に何らかの異変等がない定常状態においては、制御装置は、上記冷媒流量調整器7におけるポンプ70を制御すると共に、上記各冷媒ガス用流量調整弁76の開度を操作して、各燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記許容作動温度範囲Tp内に維持されるように制御することができる。
一方、制御装置は、上記複数の燃料電池3のうちのいずれかが何らかの異変等により、このいずれかの燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記上限値Tmaxを超えた過度温度上昇時になったときには、上記圧縮機54を作動させる。そして、上記各改質ガス用流量調整弁56の開度を操作して、緊急状態になった燃料電池3におけるアノード流路32の圧力が増加するようにする。また、いずれかの燃料電池3の電解質体31の温度Tが上記下限値Tminよりも小さくなった過度温度低下時になったときには、上記各アノードオフガス用三方調整弁51におけるリリーフポートから排気するアノードオフガスOaの排気量を調整し、緊急状態になった燃料電池3におけるアノード流路32の圧力が減少するようにする。
これにより、緊急状態になった燃料電池3のみに対して、上記アノードガス調整器5を操作して温度の制御を行うことができ、迅速に対応することができる。
また、この場合にも、制御装置は、残りの燃料電池3に対しては、冷媒流量調整器7のみを用いた温度の制御を継続することができ、緊急状態における燃料電池システム1全体の発電効率の低下を抑制することができる。
なお、本例において、上記冷媒ガス用流量調整弁76及びカソードガス用流量調整弁66は、それぞれ冷媒ガス供給ライン44及びカソードガス供給ライン43に1つずつ配設しておくこともできる。
本例においても、その他は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例5)
本例は、図10に示すごとく、上記燃料電池システム1の緊急状態において、上記実施例1〜4に示したアノード流路32における圧力も変化させて燃料電池3の温度の制御を行うだけでなく、上記カソード流路33における圧力を変化させて燃料電池3の温度の制御を行う例を示す。
すなわち、本例の燃料電池システム1は、上記カソード流路33に供給する上記カソードガスGcの流量又は上記カソード流路33における圧力を調整するカソードガス調整器6を有しており、本例の制御装置は、このカソードガス調整器6を制御することもできるよう構成されている。
また、上記カソードガス調整器6は、上記カソードガス加圧器60としてのポンプ60と、上記カソードオフガス用圧力調整弁62と、上記カソードオフガス用三方調整弁61とを用いて構成されている。
そして、上記燃料電池システム1の緊急状態における過度温度上昇時には、制御装置は、上記カソードガス調整器6におけるポンプ60の吐出圧力を増加させる。また、このとき、上記カソードオフガス用圧力調整弁62の開度を絞ることができる。これにより、制御装置は、上記カソード流路33における圧力を増加させることができ、燃料電池3の温度を低下させることができる。
一方、制御装置は、燃料電池システム1の緊急状態における過度温度低下時には、上記カソードガス調整器6におけるポンプ60の吐出圧力を減少させる。また、このとき、制御装置は、上記カソードオフガス用三方調整弁61におけるリリーフポートから排気する排気量を増加させることができる。これにより、制御装置は、上記カソード流路33における圧力を減少させることができ、燃料電池3の電解質体31の温度Tを上昇させることができる。
本例の燃料電池システム1によれば、上記緊急状態において、一層迅速に燃料電池3の温度を制御することができる。
本例においても、その他は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例1における、燃料電池システムの構成を示す説明図。 実施例1における、燃料電池の構成を示す説明図。 実施例1における、他の燃料電池の構成を示す説明図。 実施例1における、横軸に電流密度Iをとり縦軸に電圧Vをとって、電流密度Iと電圧Vとの関係であるI−V特性を示すグラフ。 実施例1における、燃料電池の温度制御の方法を示すフローチャート。 実施例2における、燃料電池システムの構成を示す説明図。 実施例3における、燃料電池システムの構成を示す説明図。 実施例4における、燃料電池システムの構成を示す説明図。 実施例4における、他の燃料電池システムの構成を示す説明図。 実施例5における、燃料電池システムの構成を示す説明図。
符号の説明
1 燃料電池システム
2 改質器
21 改質反応流路
22 加熱流路
3 燃料電池
31 電解質体
311 水素分離金属層
312 プロトン伝導体層
32 アノード流路
321 アノード電極
33 カソード流路
331 カソード電極
34 冷媒流路
35 温度検出部
42 改質ガス供給ライン
45 アノードオフガスライン
46 カソードオフガスライン
47 冷媒オフガスライン
5 アノードガス調整器
51 アノードオフガス用三方調整弁
52 アノードオフガス用圧力調整弁
53 改質ガス用三方調整弁
54 改質ガス加圧器
541 バイパスライン
542 開閉弁
543 リリーフ弁
55 アノードオフガス加圧器
551 逆流防止弁
7 冷媒流量調整器
70 冷媒ガス加圧器
71 冷媒オフガス用三方調整弁
F 改質用燃料
Ga 水素含有ガス
Oa アノードオフガス
Gc カソードガス
Oc カソードオフガス
Gr 冷媒
Or 冷媒オフガス
T 電解質体の温度
Tp 許容作動温度範囲
Tmax 許容作動温度範囲の上限値
Tmin 許容作動温度範囲の下限値

Claims (16)

  1. 水素を含有する水素含有ガスを利用して発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、
    上記燃料電池は、上記水素含有ガスが供給されるアノード流路と、カソードガスが供給されるカソード流路と、該カソード流路と上記アノード流路との間に配設された電解質体とを有しており、
    上記電解質体は、上記アノード流路に供給された上記水素含有ガス中の水素を透過させるための水素分離金属層と、該水素分離金属層を透過させた上記水素をプロトンの状態にして透過させて上記カソード流路に到達させるためのプロトン伝導体層とを積層してなり、かつ、上記電解質体は、上記プロトン伝導体層における上記アノード流路側の表面に形成したアノード電極と、上記プロトン伝導体層における上記カソード流路側の表面に形成したカソード電極とを有しており、
    上記アノード流路には、該アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は当該アノード流路における圧力を調整するアノードガス調整器が接続されており、該アノードガス調整器は、制御装置により制御可能に構成されており、
    上記制御装置は、上記電解質体の温度が所定の上限値を超えたとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて上昇したときである過度温度上昇時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記電解質体の温度が所定の下限値未満になったとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて低下したときである過度温度低下時には、上記アノードガス調整器を操作して、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1において、上記燃料電池は、該燃料電池を冷却するための冷媒が供給される冷媒流路を有しており、
    上記冷媒流路には、該冷媒流路を流れる上記冷媒の流量を調整する冷媒流量調整器が接続されており、該冷媒流量調整器は、上記制御装置により制御可能に構成されており、
    上記制御装置は、上記電解質体の温度が所定の範囲内に維持されるように上記冷媒流量調整器を制御するよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項1又は2において、上記燃料電池は、上記電解質体の温度を検出する温度検出部を有していることを特徴とする燃料電池システム。
  4. 請求項1又は2において、上記燃料電池システムは、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの温度と上記アノード流路から排出されるアノードオフガスの温度との一対の温度、又は上記カソード流路に供給する上記カソードガスの温度と上記カソード流路から排出されるカソードオフガスの温度との一対の温度のうち、少なくともいずれかの一対の温度から上記電解質体の温度を推算するよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  5. 請求項2において、上記燃料電池システムは、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの温度と上記アノード流路から排出されるアノードオフガスの温度との一対の温度、上記カソード流路に供給する上記カソードガスの温度と上記カソード流路から排出されるカソードオフガスの温度との一対の温度、又は上記冷媒流路に供給する上記冷媒の温度と上記冷媒流路から排出される上記冷媒オフガスの温度との一対の温度のうち、少なくともいずれかの一対の温度から上記電解質体の温度を推算するよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、上記燃料電池システムは、上記燃料電池に供給するための上記水素含有ガスを、改質用燃料から生成する改質器を有していることを特徴とする燃料電池システム。
  7. 請求項6において、上記改質器は、上記改質用燃料から上記水素含有ガスを生成する改質反応流路と、該改質反応流路に隣接形成され燃焼を行って該改質反応流路を加熱する加熱流路とを有しており、
    上記燃料電池システムは、上記改質反応流路から上記アノード流路に上記水素含有ガスを供給するための改質ガス供給ラインと、上記カソード流路から排出されるカソードオフガスを上記改質反応流路に送るためのカソードオフガスラインと、上記アノード流路から排出されるアノードオフガスを上記加熱流路に送るためのアノードオフガスラインと、上記冷媒流路から排出される上記冷媒オフガスを上記加熱流路に送るための冷媒オフガスラインとを有していることを特徴とする燃料電池システム。
  8. 請求項7において、上記アノードガス調整器は、上記アノードオフガスラインに配設した圧力調整弁を有しており、
    上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記圧力調整弁の開度を小さくして上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記過度温度低下時には、上記圧力調整弁の開度を大きくして上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  9. 請求項7又は8において、上記アノードガス調整器は、上記改質ガス供給ラインに配設した三方調整弁を有しており、
    上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記三方調整弁を操作して、上記改質ガス供給ラインを流れる上記水素含有ガスの一部を上記改質器における上記改質反応流路に戻すことにより、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  10. 請求項7において、上記アノードガス調整器は、上記改質ガス供給ラインに配設したガス加圧器と、上記改質ガス供給ラインに配設したリリーフ弁又は三方調整弁とを有しており、
    上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記ガス加圧器における出口圧力を増加させて、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記過度温度低下時には、上記ガス加圧器における出口圧力を減少させる又は上記ガス加圧器を停止させると共に上記リリーフ弁又は三方調整弁を開いて、上記アノード流路内の上記水素含有ガスの一部を上記改質器における上記改質反応流路に戻すことにより、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  11. 請求項7において、上記燃料電池システムは、上記アノード流路から排出される上記アノードオフガスの一部を上記改質ガス供給ラインに送るための再供給ラインを有しており、
    上記アノードガス調整器は、上記再供給ラインに配設したガス加圧器と、上記改質ガス供給ラインにおいて上記再供給ラインが接続された位置よりも上記水素含有ガスの流れの上流側に配設した逆流防止弁とを有しており、
    上記制御装置は、上記過度温度上昇時には、上記ガス加圧器を作動させて、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  12. 請求項7〜11のいずれか一項において、上記アノードガス調整器は、上記アノードオフガスラインに配設した三方調整弁を有しており、
    上記制御装置は、上記過度温度低下時には、上記三方調整弁を操作して、上記アノードオフガスラインを流れる上記アノードオフガスの一部を排気することにより、上記アノード流路における圧力を減少させるよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項において、上記燃料電池システムは、上記燃料電池を複数有していると共に、上記アノードガス調整器は上記各燃料電池毎にそれぞれ配設されており、上記制御装置は、上記各燃料電池毎に上記アノードガス調整器を制御するよう構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
  14. 水素を含有する水素含有ガスを利用して発電を行う燃料電池を備え、該燃料電池は、上記水素含有ガスが供給されるアノード流路と、カソードガスが供給されるカソード流路と、該カソード流路と上記アノード流路との間に配設された電解質体とを有しており、上記電解質体は、上記アノード流路に供給された上記水素含有ガス中の水素を透過させるための水素分離金属層と、該水素分離金属層を透過させた上記水素をプロトンの状態にして透過させて上記カソード流路に到達させるためのプロトン伝導体層とを積層してなり、かつ、上記電解質体は、上記プロトン伝導体層における上記アノード流路側の表面に形成したアノード電極と、上記プロトン伝導体層における上記カソード流路側の表面に形成したカソード電極とを有してなる燃料電池システムの発電方法において、
    上記水素含有ガスを上記アノード流路に供給し、上記水素含有ガス中の水素を上記アノード流路から上記水素分離金属層を透過させた後、プロトンの状態にして上記プロトン伝導体層を透過させて上記カソード流路まで到達させ、該カソード流路において、上記プロトン状態の水素と上記カソードガス中の酸素とを反応させて上記発電を行い、
    かつ、上記電解質体の温度が所定の上限値を超えたとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて上昇したときである過度温度上昇時には、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を増加させ、一方、上記電解質体の温度が所定の下限値未満になったとき又は上記電解質体の温度が所定の温度変化率を超えて低下したときである過度温度低下時には、上記アノード流路に供給する上記水素含有ガスの流量又は上記アノード流路における圧力を減少させることを特徴とする燃料電池システムの発電方法。
  15. 請求項14において、上記燃料電池は、該燃料電池を冷却するための冷媒が供給される冷媒流路を有しており、
    上記発電を行う際には、上記電解質体の温度が所定の範囲内に維持されるように上記冷媒流路に供給する上記冷媒の流量を制御することを特徴とする燃料電池システムの発電方法。
  16. 請求項14又は15において、上記燃料電池システムは、上記燃料電池に供給するための上記水素含有ガスを、改質用燃料から生成する改質器を有していることを特徴とする燃料電池システムの発電方法。
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