以下、本発明の一実施形態に係るバルブモジュールについて、図面を参照しながら説明する。バルブモジュール1は、供給源から供給された流体を利用し、利用した流体を排出する装置である流体利用装置に接続され、流体の供給および排出の制御を行うものである。本実施形態において、流体利用装置は、燃料電池である。バルブモジュール1は、図1に示すように、車両に搭載された燃料電池システムFの酸素系2に適用されている。燃料電池システムFは、バルブモジュール1、酸素系2、燃料系5、燃料電池6、動力系7、冷却系8および制御装置9を備えている。
燃料電池6は、燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電するものである。燃料電池6は、これに限定されるべきものではないが、複数の固体高分子型の単セルが積層されて設けられている。複数の単セルは電気的に直列に接続されている。各々の単セルは電解質膜と、これを挟むアノード極およびカソード極(いずれも図示なし)を含んでいる。
また、単セルのアノードセパレータ(図示なし)には、アノード極に対して燃料ガスである水素ガスを供給するためのアノード流路61が設けられている。カソードセパレータ(図示なし)には、カソード極に対して、酸化剤ガスである空気(本発明の流体に相当)を供給するためのカソード流路62が設けられている。
酸素系2は酸素系供給配管21a、酸素系排出配管21b、第一接続配管21cおよび第二接続配管21dを備えている。酸素系供給配管21aは、燃料電池システムFの外部(本発明の供給源に相当)から燃料電池6のカソード流路62に向けて空気を供給する流路である。
酸素系供給配管21aの第一端は、燃料電池システムFの外部に向けて開口している。酸素系供給配管21aの第二端は、カソード流路62の第一端と、バルブモジュール1および第一接続配管21cを介して接続されている。第一接続配管21cは、バルブモジュール1とカソード流路62の第一端とを接続する。酸素系供給配管21a上には、第一端から燃料電池6に向けて順に、エアフィルタ22、エアコンプレッサ23およびインタークーラ24が配置されている。
酸素系排出配管21bは、燃料電池6にて利用された空気を、燃料電池システムFの外部に向けて排出する流路である。酸素系排出配管21bの第一端は、カソード流路62の第二端と、第二接続配管21dおよびバルブモジュール1を介して接続されている。第二接続配管21dは、カソード流路62の第二端とバルブモジュール1とを接続する。酸素系排出配管21bの第二端には、排出ガス希釈器56(後述する)が接続されている。
バルブモジュール1は、第一流体制御弁3a、第二流体制御弁3b、および、第一流体制御弁3aと第二流体制御弁3bとを接続するバイパス配管4を備えている。
第一流体制御弁3aは、燃料電池システムFの外部からの空気を燃料電池システムFに向けて供給するものである。第一流体制御弁3aは、第一流路3a1と第二流路3a2とを切り替えるように構成された三方弁である。
第一流路3a1は、燃料電池システムFの外部から供給された空気を導入して燃料電池6に向けて空気を導出する流路である。第一流路3a1は、具体的には、酸素系供給配管21aと第一接続配管21cとを接続する。第二流路3a2は、燃料電池システムFの外部から供給された空気を導入してバイパス配管4に向けて空気を導出する流路である。第二流路3a2は、具体的には、酸素系供給配管21aとバイパス配管4とを接続する。第一流体制御弁3aは、第二流路3a2の空気の流量を調整することにより、第一流路3a1の空気の流量を制御する三方弁である。第一流体制御弁3aの詳細は、後述する。
第二流体制御弁3bは、燃料電池6によって利用された空気を燃料電池システムFの外部に向けて排出するものである。第二流体制御弁3bは、第三流路3b1と第四流路3b2とを切り替えるように構成された三方弁である。
第三流路3b1は、燃料電池6から排出された空気を導入して外部に向けて空気を導出する流路である。第三流路3b1は、具体的には、第二接続配管21dと酸素系排出配管21bとを接続する。第四流路3b2は、第一流体制御弁3aからバイパス配管4を介して供給された空気を導入して燃料電池システムFの外部に向けて空気を排出する流路である。第四流路3b2は、具体的には、バイパス配管4と酸素系排出配管21bとを接続する。第二流体制御弁3bは、第三流路3b1の空気の流量を調整することにより、燃料電池6内の空気の圧力を制御する三方弁である。第二流体制御弁3bの詳細は、後述する。
バイパス配管4は、空気を流通させる管である。バイパス配管4は、燃料電池6を迂回して、第一流体制御弁3aと第二流体制御弁3bとを接続する。すなわち、バイパス配管4は、第一流体制御弁3aと第二流体制御弁3bとを直接接続する。
燃料系5は、燃料系供給配管51aを備えている。燃料系供給配管51aの第一端は、水素タンク52が接続されている。燃料系供給配管51a上には遮断弁53が配置されている。燃料系供給配管51aの第二端は、燃料電池6内のアノード流路61の第一端と接続されている。アノード流路61の第二端には、燃料系排出配管51bが接続されている。
燃料系排出配管51b上には、燃料電池6に近い側から順に、気液分離器54、排気排水弁55および排出ガス希釈器56が配置されている。排出ガス希釈器56には、上述した酸素系排出配管21bの第二端が接続されている。
また、気液分離器54は燃料系循環路51cを介して、燃料系供給配管51a上の遮断弁53とアノード流路61との接続部との間の部位に接続されている。燃料系循環路51c上には循環ポンプ57が配置されている。循環ポンプ57は、気液分離器54からアノード流路61に向けて水素ガスを循環させている。
動力系7は、車両を走行させるための電動モータ71を備えている。電動モータ71は燃料電池6の正極および負極と接続されており、燃料電池6の発電によって駆動される。
冷却系8は水冷ポンプ81を備えている。冷却系8は、燃料電池6内に冷却水を循環させて燃料電池6を冷却している。
制御装置9は、エアコンプレッサ23、第一流体制御弁3a、第二流体制御弁3b、遮断弁53、循環ポンプ57および水冷ポンプ81と電気的に接続されている。制御装置9は車両の走行状態に応じて算出された燃料電池6の必要な発電量に基づき、これらの各構成要素の作動を制御している。
上述した構成により、車両が運転開始すると、制御装置9はエアコンプレッサ23を作動させてカソード流路62へ空気を供給するとともに、遮断弁53および循環ポンプ57を作動させてアノード流路61へ燃料ガスである水素ガスを供給する。これらによって、燃料電池6において発電が行われる。
酸素系2において、燃料電池システムFの外部からエアフィルタ22を介して吸引された酸素を含んだ空気は、エアコンプレッサ23において圧縮された後、インタークーラ24によって冷却される。バルブモジュール1においては、第一流体制御弁3aが、燃料電池6の発電量や燃料電池6の温度に基づいた制御装置9からの制御指令によって後述する弁体33の位置を変位させ、インタークーラ24から供給された空気を分流してバイパス配管4へ逃すことにより、燃料電池6への空気の流量を制御している。さらに、第二流体制御弁3bが、制御装置9からの制御指令によって後述する弁体33の位置を変位させ、燃料電池6内に残存した空気の排出量を調整することにより、燃料電池6内の圧力を制御している。
アノード流路61から排出される水素オフガス(燃料ガスオフガス)には発電に使用されなかった水素ガスと発電によって生成された水(水蒸気)が含まれている。気液分離器54は水素ガスと水を分離する機能を有している。気液分離器54で分離された水素ガスは循環ポンプ57により燃料系循環路51cを介して燃料系供給配管51aに供給され循環される。
一方、気液分離器54で分離された水(液状)は排気排水弁55が開状態になったとき、水素ガスとともに排出ガス希釈器56に送られる。気液分離器54から排出ガス希釈器56に排出された水素ガスは、排出ガス希釈器56において、酸素系排出配管21bから供給された空気により希釈化された後、水とともに外部へと放出される。
次に、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bについて詳細に説明する。本実施形態において、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bは、同じ構造の三方弁である。以下、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bとして設けられた流体制御弁3について説明する。
なお、本明細書中においては、説明を簡単にするために、図2における上側および下側を、それぞれ流体制御弁3の上方および下方とし、図2における右側および左側を、それぞれ流体制御弁3の右方および左方として説明する。これらの方向は、車両における流体制御弁3の実際の取付方向とは無関係である。
流体制御弁3は、図2に示すように、ハウジング31、駆動装置32、弁体33、スプリング34およびダイヤフラム35を備えている。
ハウジング31は、空気を流通させる弁室31cを内側に設けられたものである。ハウジング31は、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されている。ハウジング31は、第一ハウジング31aおよび第二ハウジング31bを備えている。第一ハウジング31aは、ハウジング31の下側を構成するものである。第二ハウジング31bは、ハウジング31の上側を構成するものである。第一ハウジング31aと第二ハウジング31bとは、例えばネジ等によって結合されている。ハウジング31は、弁室31c、第一ポート31d、第二ポート31e、第三ポート31f、第一弁座31g、第二弁座31hおよびシャフトリテーナ部31iを備えている。
弁室31cは、ハウジング31の内側に設けられ、空気を流通させるものである。弁室31cは、第一ハウジング31aに設けられた上方を開放する凹部31a1と第二ハウジング31bに設けられた下方を開放する凹部31b1とが組み合わさることによって形成される。弁室31cは、断面方形状に設けられている。弁室31cは、ダイヤフラム35によって第一ハウジング31a側(下側)の第一流体室31c1および第二ハウジング31b側(上側)の第二流体室31c2に区画されている。
第一ポート31dは、第一流体室31c1に接続するものである。第一ポート31dは、流体制御弁3の外部と第一流体室31c1とを接続する。第一ポート31dは、第一端を第一ハウジング31aにおける第一流体室31c1の下側面に開口し、上下方向に沿って延びるように設けられている。
第二ポート31eは、第一流体室31c1に接続するものである。第二ポート31eは、流体制御弁3の外部と第一流体室31c1とを接続する。第二ポート31eは、第一端を第一ハウジング31aにおける第一流体室31c1の右側面に開口し、右方に向けて延びるように設けられている。
第三ポート31fは、第二流体室31c2に接続するものである。第三ポート31fは、流体制御弁3の外部と第二流体室31c2とを接続する。第三ポート31fは、第二ハウジング31bにおける上側壁に左方に向けて延びるように設けられている。
第一弁座31gは、第一流体室31c1に、弁体33と接触可能に設けられている。第一弁座31gは、具体的には、第一流体室31c1の下側面における第一ポート31dの開口部の周縁部に、平坦な円環状に設けられている。第一弁座31gは、弁体33が第一位置P1に位置する場合、弁体33と接触することにより、第一ポート31dと第一流体室31c1との間の空気の流通を規制する(詳細は後述する)。
第二弁座31hは、第二流体室31c2に、弁体33と接触可能に設けられている。第二弁座31hは、具体的には、第二流体室31c2に設けられた下方を開口する筒部31b2の開口部に、平坦な円環状に設けられている。筒部31b2は、第二ハウジング31bの上側壁から第二流体室31c2内に下方に向けて突出するように設けられている。
また、筒部31b2の上側部は、筒部31b2の内部と第三ポート31fとが接続するように設けられている。すなわち、第三ポート31fは、筒部31b2を介して第二流体室31c2と接続する。第二弁座31hは、弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、弁体33と接触することにより、接続路33f(後述する)および第二流体室31c2と第三ポート31fとの間の空気の流通を規制する(詳細は後述する)。
シャフトリテーナ部31iは、筒部31b2の内側にて筒部31b2と同軸に筒状に設けられたものである。シャフトリテーナ部31iは、後述するバルブシャフト32cを第一方向(本第一実施形態においては上下方向)に沿って移動可能に保持するものである(詳細は後述する)。
駆動装置32は、弁体33を移動させるように駆動するものである。駆動装置32は、弁体33を第一方向に沿って移動させる。駆動装置32は、第二ハウジング31bの上側に配置されている。駆動装置32は、ケーシング32a、モータ32bおよび柱状のバルブシャフト32cを備えている。
ケーシング32aは、第二ハウジング31bの上側にネジ等によって取り付けられている。ケーシング32aは、収容部32a1およびシャフトガイド部32a2を備えている。
収容部32a1は、内側にモータ32bを収容するように中空に設けられている。
シャフトガイド部32a2は、バルブシャフト32cを第一方向に沿って移動させるように案内するものである。シャフトガイド部32a2は、収容部32a1から下方に突出する筒状に設けられている。シャフトガイド部32a2は、シャフトリテーナ部31iと同軸に配置されている。シャフトガイド部32a2の下側には、回転規制部(図示なし)が設けられている。回転規制部は、ケーシング32aに対して、バルブシャフト32cの回転を規制するものである(詳細は後述する)。回転規制部は、所定幅離れて互いに向き合う一対の平面である対向面(図示なし)によって形成されている。
モータ32bは、収容部32a1の内側に、出力軸32b1が第一方向に沿って下方に延びるように配置されている。モータ32bは、ステッピングモータである。モータ32bの出力軸32b1には、下方に向けて開口する駆動孔32b2が、シャフトガイド部32a2と同軸となるように設けられている。駆動孔32b2の内側には、所定の長さの雌螺子が形成されている。所定の長さは、後述する弁体33の移動量より長くなるように設定されている。
バルブシャフト32cは、柱状に設けられ、シャフトガイド部32a2と同軸に、第一方向に沿って延びるように配置されている。バルブシャフト32cは、ステンレス等の金属材料にて形成されている。バルブシャフト32cは、上側から下側に向けて順に、雄螺子部32c1、二面幅部32c2、円柱部32c3、第一溝部32c4、第二溝部32c5および連結部32c6を備えている。
雄螺子部32c1は、バルブシャフト32cの外周面に設けられ、出力軸32b1の駆動孔32b2に形成された雌螺子と結合する雄螺子が形成された部位である。雄螺子部32c1の雄螺子と駆動孔32b2の雌螺子とは、ともに台形ネジによって形成されている。また、雄螺子部32c1の雄螺子と駆動孔32b2の雌螺子とは、バルブシャフト32cと出力軸32b1との間の逆効率が、ゼロとなるように設定されている。
これにより、バルブシャフト32cと出力軸32b1との間の動作の伝達が不可逆的に形成される。このため、例えば第一位置P1に位置する弁体33が第一弁座31gと接触している状態で、バルブシャフト32cから出力軸32b1に向けて戻し荷重が作用した場合、出力軸32b1が、弁体33を第一位置P1より上方に移動させる方向に回転しない。
二面幅部32c2は、回転規制部の対向面にそれぞれ対向する、二つの平面である二面幅形状に形成された部位である。二面幅部32c2が回転規制部によってシャフトガイド部32a2に対する回転を規制され、かつ、雄螺子部32c1が雌螺子と結合しているため、出力軸32b1が一方向に回転した場合、バルブシャフト32cが第一方向に沿って上方に移動する。一方、出力軸32b1が一方向と反対方向の他方向に回転した場合、バルブシャフト32cが第一方向に沿って下方に移動する。
円柱部32c3は、第一方向に沿って延びる円柱状に形成されている。円柱部32c3の外周面は、上側にてシャフトリテーナ部31iの内周面と、第一方向に沿って摺動可能に設けられている。
第一溝部32c4および第二溝部32c5は、円柱部32c3の外表面に、周方向に沿って環状に設けられた溝である。第一溝部32c4および第二溝部32c5には、OリングR1,R2が配置されている。第一溝部32c4に配置されたOリングR1は、円柱部32c3とシャフトリテーナ部31iとの間を気密かつ液密にシールする。これにより、シャフトリテーナ部31i内ひいては収容部32a1内への空気および水等の浸入が抑制される。
第二溝部32c5に配置されたOリングR2は、円柱部32c3と後述するシャフト取付部33bの中径部33b2との間を気密かつ液密にシールする。これにより、中径部33b2内ひいては連結部32c6への空気および水等の浸入が抑制される。
連結部32c6は、バルブシャフト32cの下端部に設けられ、弁体33と連結する部位である。連結部32c6は、外周面において対向する一対の平坦面32c7を有する二面幅形状に形成されている。また、連結部32c6は、第一方向に直交するボール孔32c8が形成されている。ボール孔32c8は、一対の平坦面32c7に直交してそれぞれ開口するように、連結部32c6を貫通する。
ボール孔32c8には、鋼球32dが配置されている。鋼球32dの直径は、一対の平坦面32c7同士の距離(二面幅の厚み)よりも大きく設定されており、鋼球32dはボール孔32c8の両端部から突出している。また、鋼球32dの直径は、ボール孔32c8の直径よりも僅かに小さく、鋼球32dはボール孔32c8内において回転可能、かつ、ボール孔32c8内をボール孔32c8の軸方向に移動可能に収容されている。
弁体33は、弁室31cに配置され、第一位置P1と第一位置P1と異なる第二位置P2との間を第一方向に沿って移動可能に設けられたものである。第一位置P1は、弁体33と第一弁座31gとが接触する弁体33の位置である。第二位置P2は、弁体33と第二弁座31hとが接触する弁体33の位置である(図5参照)。第二位置P2は、第一位置P1より第一方向に沿って上方に位置する。弁体33は、図3に示すように、本体部33a、シャフト取付部33b、第一シール部33c、第二シール部33d、ダイヤフラム保持部33eを備えている。
本体部33aは、第一方向を軸線方向とする筒状に設けられるとともに、第一端(下端)にて第一流体室31c1側に開口する第一開口部33a1と、第二端(上端)にて第二流体室31c2側に開口する第二開口部33a2とを設けられている。本体部33aは、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されている。また、本体部33aは、フランジ部33a3および内壁部33a4を備えている。
フランジ部33a3は、第一開口部33a1の周縁部に径方向外側に向けて、全周に亘って突出する鍔状に形成されたものである。
内壁部33a4は、本体部33aの内側に設けられ、本体部33aの内側を上側と下側とに区画するように設けられた側壁である。内壁部33a4は、筒壁部33a5および接続壁部33a6を備えている。
筒壁部33a5は、第二開口部33a2側に向けて開口する筒状に形成された有底のものである。弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、筒壁部33a5の周側壁は、筒部31b2の周側壁より径方向外側に位置するように設けられている。筒壁部33a5の周側壁には、第一開口部33a1と第二開口部33a2とを連通させる複数の連通穴33a7が設けられている。また、筒壁部33a5の底壁には、第一方向に沿って貫通する貫通穴33a8が設けられている。
複数の連通穴33a7の各々は、筒壁部33a5の周側壁に設けられているため、空気が第一方向と交差する方向に流れる(図2の矢印参照)。連通穴33a7の各々の流路断面積(開口面積)を合計した値は、第二流体室31c2と第三ポート31fとの間の流路断面積の最小値より大きくなるように設定されている。
接続壁部33a6は、筒壁部33a5の周側壁の一部(本第一実施形態においては上端部)と本体部33aの周側壁の一部とを全周に亘って接続するものである。後述するように、貫通穴33a8には、シャフト取付部33bが取付けられているため、内壁部33a4において第一開口部33a1と第二開口部33a2とを連通させる流路は、連通穴33a7のみである。
シャフト取付部33bは、ステンレス等の金属板がプレス成形されることによって形成されている。シャフト取付部33bは、弁体33においてバルブシャフト32cに取り付けられる部位である。シャフト取付部33bは、下方から上方に向けて順に、取付部33b1、中径部33b2、大径部33b3および鍔部33b4を備えている。
取付部33b1は、弁体33がバルブシャフト32cに取り付けられた場合、バルブシャフト32cの連結部32c6を内側に収容する袋状のものである。取付部33b1は、図2に示すように、固定壁33b1a、嵌合部33b1b、および、かしめ部33b1cを備えている。
固定壁33b1aは、バルブシャフト32cの連結部32c6が収容された場合に、内側面が連結部32c6の一対の平坦面32c7とそれぞれ対向するように形成されている。嵌合部33b1bは、固定壁33b1aから径方向外側に向けて突出するように形成されている。嵌合部33b1bは、バルブシャフト32cの連結部32c6が収容された場合に、鋼球32dを収容可能に形成されている。また、取付部33b1には、固定壁33b1a同士をつなぐように、対向した一対の接続面部(図示なし)が形成されている。
バルブシャフト32cに弁体33が取り付けられる場合、ボール孔32c8内に鋼球32dを配置した状態で、平坦面32c7から突出した鋼球32dが、嵌合部33b1b内に収容されるように、連結部32c6が取付部33b1に挿入される。さらに、鋼球32dに対して、双方の固定壁33b1aがかしめられることにより、かしめ部33b1cが形成される。これらにより、取付部33b1が鋼球32dに固定される。
中径部33b2は、図3に示すように、取付部33b1より径方向長さを大きくする円筒状に形成されている。中径部33b2は、内側に第二溝部32c5が位置するように形成されている。
大径部33b3は、中径部33b2より径方向長さを大きくする円筒状に形成されている。大径部33b3は、本体部33aの貫通穴33a8に圧入されている。これにより、シャフト取付部33bが本体部33aに固定される。
鍔部33b4は、大径部33b3の上端部から径方向外側に向けて全周に亘って突出するように形成されている。鍔部33b4の下側面が筒壁部33a5の底壁の上側面に接触するように、シャフト取付部33bが本体部33aに配置されている。
また、シャフト取付部33bが弁体33に取り付けられた状態において、中径部33b2の内周面と、バルブシャフト32cの円柱部32c3の外周面との間には、バルブシャフト32cの径方向に隙間εが形成されている。隙間εは、中径部33b2の内周面と円柱部32c3の外周面との間において全周に亘って形成されている。この隙間εによって、弁体33がバルブシャフト32cに対して傾斜可能に取り付けられている。
第一シール部33cは、環状に設けられ、フランジ部33a3の外周縁部を覆うように配置されている。第一シール部33cは、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。
第一シール部33cの周縁部には、下方に向けて突出するシールリップ33c1が設けられている。弁体33が第一位置P1に位置した場合、シールリップ33c1の先端部が第一弁座31gと接触する。この場合、弁体33と第一弁座31gとが接触して、第一ポート31dと第一流体室31c1との間の空気の流通が規制される(詳細は後述する)。
シールリップ33c1は、断面リップ状に形成されている。シールリップ33c1は、半径方向内向きに形成されている。これにより、燃料電池6内が負圧になった場合においても、シールリップ33c1が、この負圧によってセルフシール可能となる。燃料電池6内の負圧は、例えば、発電停止時に、燃料電池6内に残留した水素ガスと酸素との反応や燃料電池6の温度低下による残留水蒸気の凝縮などによって発生する。
第二シール部33dは、環状かつ平板状に設けられ、筒壁部33a5の底壁に配置されている。第二シール部33dは、具体的には、シャフト取付部33bの鍔部33b4の上側面に配置されている。第二シール部33dは、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。
弁体33が第二位置P2に位置した場合(図5参照)、第二シール部33dの上側面が第二弁座31hと接触する。この場合、弁体33と第二弁座31hとが接触して、接続路33f(後述する)および第二流体室31c2と第三ポート31fとの間の空気の流通が規制される(詳細は後述する)。
ダイヤフラム保持部33eは、弁体33にダイヤフラム35を保持するものである(詳細は後述する)。ダイヤフラム保持部33eは、ステンレス等の金属板がプレス成形されることによって形成されている。ダイヤフラム保持部33eは、上側から下側に向けて大径部33e1、段部33e2、小径部33e3および鍔部33e4を備えている。
大径部33e1および小径部33e3は上端および下端をそれぞれ開口する筒状に形成されている。段部33e2は、大径部33e1と小径部33e3とを接続する段状に形成されている。小径部33e3が第二開口部33a2に圧入されることにより、ダイヤフラム保持部33eが本体部33aに固定される。
鍔部33e4は、小径部33e3の下端部に径方向内側に全周に亘って突出する鍔状に形成されている。鍔部33e4の下側面が接続壁部33a6の上側面に接触するように、ダイヤフラム保持部33eが本体部33aに配置される。
また、弁体33には、接続路33fがさらに設けられている。接続路33fは、連通穴33a7を介して第一開口部33a1と第二開口部33a2とを接続する空気の流路である。接続路33fは、弁体33が第一位置P1に位置する場合に第一ポート31dと第二流体室31c2とを接続し、弁体33が第二位置P2に位置する場合に(図5参照)、第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する。また、接続路33fは、弁体33が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合に(図4参照)、第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する。
また、弁体33が第一位置P1に位置する場合(図2参照)、第一ポート31dと第一流体室31c1との接続が遮断される。弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、接続路33fおよび第二流体室31c2と第三ポート31fとの接続が遮断される。したがって、弁体33が第一位置P1に位置する場合(図2参照)、第一ポート31dと第三ポート31fとが接続する。弁体33が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合(図4参照)、第一ポート31dと、第二ポート31eおよび第三ポート31fとが接続する。弁体33が第二位置P2に位置する場合(図5参照)、第一ポート31dと第二ポート31eとが接続する。
スプリング34は、弁体33を下方に向けて付勢するものである。スプリング34は、コイルスプリングである。スプリング34は、筒部31b2の径方向外側に、第二ハウジング31bの上側壁と鍔部33e4との間に配置されている。
ダイヤフラム35は、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられている。ダイヤフラム35は合成ゴム材料にて一体的に形成されている。ダイヤフラム35は、中央部に第一方向に貫通する貫通穴35aが形成されている。
貫通穴35aの内周縁部は、本体部33aの上側面とダイヤフラム保持部33eの段部33e2の下側面とによって挟持されている。これにより、ダイヤフラム35が弁体33に気密かつ液密に保持される。また、ダイヤフラム35は、弁体33が第一方向に貫通するように配置される。
ダイヤフラム35の外周縁部は、第一ハウジング31aの上側面と第二ハウジング31bの下側面とに挟持されている。これにより、ダイヤフラム35がハウジング31に気密かつ液密に保持される。このようにダイヤフラム35が配置されることにより、ダイヤフラム35によって弁室31cが第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画される。
このように、ダイヤフラム35は、弁体33が第一方向に沿って貫通するように配置され、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、弁室31cを第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画するように配置されている。
また、弁体33は、図2に示すように、第一受圧部33gを有している。第一受圧部33gは、弁体33が第一位置P1に位置する場合、第一ポート31dの空気の圧力が作用する部位である。第一受圧部33gの有効受圧面積は、シールリップ33c1と第一弁座31gとが接触する部位における径方向内側の範囲を、第一方向に直交する平面に投影したときの面積である。第一受圧部33gの有効受圧面積は、本第一実施形態において、直径をAとする円の面積である。
さらにダイヤフラム35は、第二受圧部35bを有している。第二受圧部35bは、第二流体室31c2の空気の圧力が作用する部位である。第二受圧部35bの有効受圧面積は、ダイヤフラム35における屈曲している部位の最下点を結んだ径方向内側の範囲を、第一方向に直交する平面に投影したときの面積である。第二受圧部35bの有効受圧面積は、本第一実施形態において、直径をBとする円の面積である。また、本第一実施形態においては、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが、同一の面積となるように設定されている。
また、バルブモジュール1においては、図6および図7に示すように、第一流体制御弁3aの第三ポート31fと第二流体制御弁3bの第三ポート31fとがバイパス配管4によって接続されている。
そして、第一流体制御弁3aの第一ポート31dには、酸素系供給配管21aの第二端が接続されている。第一流体制御弁3aの第二ポート31eには、第一接続配管21cの第一端が接続されている。すなわち、本実施形態において、第一流路3a1は、第一ポート31dから空気を導入して、第二ポート31eから空気を導出する流路である。第二流路3a2は、第一ポート31dから空気を導入して、接続路33fを介して第三ポート31fから空気を導出する流路である。
また、第二流体制御弁3bの第一ポート31dには、酸素系排出配管21bの第一端が接続されている。第二流体制御弁3bの第二ポート31eには、第二接続配管21dの第一端が接続されている。すなわち、本実施形態において、第三流路3b1は、第二ポート31eから空気を導入して、第一ポート31dから空気を導出する流路である。第四流路3b2は、第三ポート31fから空気を導入して、接続路33fを介して第一ポート31dから空気を導出する流路である。
次に、バルブモジュール1の動作について説明する。各流体制御弁3a,3bにおいて、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触して、第一ポート31dと第一流体室31c1との間の空気の流通が規制されている状態を、第一閉弁状態とする。また、各流体制御弁3a,3bにおいて、弁体33が第二位置P2に位置することにより第二弁座31hと弁体33とが接触して、接続路33fおよび第二流体室31c2と第三ポート31fの間の空気の流通が規制されている状態を、第二閉弁状態とする。
燃料電池6の発電が行われない場合、燃料電池6に空気が供給されない。すなわち、この場合、バルブモジュール1においては、図6に示すように、各流体制御弁3a,3bが、それぞれ第一閉弁状態となっている。
各流体制御弁3a,3bがそれぞれ第一閉弁状態である場合において、モータ32bが非通電であるとき、弁体33がスプリング34によって第一ポート31d側に付勢され、かつ、モータ32bのディテントトルクによってバルブシャフト32cの回転が規制されている。これらにより、弁体33の位置が第一位置P1に保持される。
このとき、弁体33には、第一ポート31dの空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって生じる力(以下、第一作用力とする。)が作用している。さらに、この場合、弁体33には、第二流体室31c2の空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって生じる力(以下、第二作用力とする。)が作用している。そして、接続路33fによって第一ポート31dと第二流体室31c2とが接続しているため、第一ポート31dの空気の圧力と第二流体室31c2の空気の圧力とがおよそ同一となっている。よって、第一作用力と第二作用力とは、弁体33に対して互いに反対方向に作用する。したがって、第一作用力の大きさは、第二作用力の大きさによって抑制される。
さらに、上述したように、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが同一となるように設定されているため、第一作用力の大きさと、第二作用力の大きさとは、およそ同じである。すなわち、第一ポート31d、第一流体室31c1および第二流体室31c2の各部位における空気の圧力によって弁体33に作用する力(第一作用力と第二作用力との合力)がおよそゼロになっている。
したがって、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触している第一閉弁状態から、第一弁座31gと弁体33とを離して開弁状態とする力である第一開弁力は、スプリング34の付勢力と、バルブシャフト32cとシャフトリテーナ部31iとの間などの摺動抵抗によって弁体33に作用する力の合力のみとなる。
また、各流体制御弁3a,3bにおいて、弁体33が第一位置P1に位置する場合、接続路33fを介して第一ポート31dと第三ポート31fとが接続されている。よって、この場合、第一流体制御弁3aにおいて、エアコンプレッサ23が駆動されることにより、酸素系供給配管21aから第一ポート31dに導入された空気は、図6に矢印にて示されるように、接続路33fを介して第三ポート31fからバイパス配管4に導出される。
さらにこの場合、第二流体制御弁3bにおいて、バイパス配管4から第三ポート31fに導入された空気は、接続路33fを介して第一ポート31dから酸素系排出配管21bに導出される。このような、各流体制御弁3a,3bにおいて弁体33が第一位置P1に位置する場合のエアコンプレッサ23の作動(以下、バイパス配管掃気動作とする。)は、燃料電池6の起動運転開始時または停止運転終了時に実行される。
バイパス配管掃気動作が燃料電池6の起動運転開始時に実行されることにより、起動運転が開始された場合に燃料電池6に残存していた水素ガスが、排出ガス希釈器56にて、バルブモジュール1から導出された空気によって希釈される。また、燃料電池6の発電により生成された水が第二流体制御弁3b内および酸素系排出配管21b内に付着している場合、バイパス配管掃気動作が燃料電池6の停止運転終了時に実行されることにより、この水が燃料電池システムFの外部に排出される。
燃料電池6の発電が行われる場合、各流体制御弁3a,3bにおいて、第一弁座31gと弁体33とが第一閉弁状態から開弁状態にされることにより、空気が燃料電池6に供給される。具体的には、制御装置9からの制御指令によって、駆動装置32が一方向に回転されることにより、バルブシャフト32cひいては弁体33が第一位置P1から第一方向に沿って第二位置P2側に移動する。
この場合において、第一流体制御弁3aにおいて、弁体33の位置が第一位置P1と第二位置P2との間に位置するとき、図7に矢印にて示されるように、酸素系供給配管21aから第一ポート31dに導入された空気は、第一流体室31c1を介して第二ポート31eから燃料電池6に向けて導出され、かつ、第一流体室31c1および接続路33fを介して第三ポート31fからバイパス配管4へ導出される。
一方、第二流体制御弁3bにおいて、弁体33の位置が第一位置P1と第二位置P2との間に位置するとき、バイパス配管4から第三ポート31fに導入された空気は、第二流体室31c2、接続路33fおよび第一流体室31c1を介して第一ポート31dから酸素系排出配管21bに導出される。燃料電池6から第二ポート31eに導入された空気は、第一流体室31c1を介して第一ポート31dから酸素系排出配管21bに導出される。
また、このとき、第二流体制御弁3bにおいては、接続路33fによって第一流体室31c1と第二流体室31c2とが接続しているため、第一流体室31c1の空気の圧力と第二流体室31c2の空気の圧力とがおよそ同一となっている。よって、第一流体室31c1の空気の圧力と第二流体室31c2の空気の圧力との差によって弁体33に作用する作用力がおよそゼロである。したがって、弁体33には、第二流体室31c2側から第一流体室31c1側に向けてスプリング34の付勢力が作用している。
このような状態において、第二流体制御弁3bより下流側の所定部位(例えば車両のマフラー)における圧力損失が比較的大きい場合、空気の流量が多くなるにしたがって、酸素系排出配管21bひいては第二流体制御弁3bにおける第一ポート31dおよび第一流体室31c1の空気の圧力が高くなる。
この場合、空気の流量が所定流量以上となったとき、弁体33に対して、第一流体室31c1側から第二流体室31c2側に向けた力がスプリング34の付勢力に抗して作用するため、弁体33(連結部)とバルブシャフト32cとのスキマや駆動装置32の各構成要素間のスキマによって、弁体33が、図8に一点鎖線にて示すように、ねらいの移動量から、これらのスキマの量だけ上方に変位した状態になることが考えられる。さらにこの場合において、空気の流量が所定流量付近にて変動する場合、弁体33の位置が第一方向に沿って変動することが考えられる。弁体33の位置がねらいの移動量と異なる場合、第二流体制御弁3bの調圧性能が低下する。
これに対して、第二流体制御弁3bは、接続路33fによって第一流体室31c1と第二流体室31c2とが接続しているため、第一流体室31c1の空気の圧力の変化に応じて、第二流体室31c2の空気の圧力が第一流体室31c1の圧力と同じとなるように変化する。これにより、上述したように、第一ポート31d、第一流体室31c1および第二流体室31c2の各部位における空気の圧力によって弁体33に作用する力(第一作用力と第二作用力との合力)がおよそゼロになるため、弁体33には、第二流体室31c2側から第一流体室31c1側に向けてスプリング34の付勢力のみが作用する。したがって、第二流体制御弁3bより下流側の所定部位における圧力損失が比較的大きい場合においても、第二流体制御弁3bにおいて、上述した弁体33の移動または変動の発生が抑制される。
また、各流体制御弁3a,3bにおいて、弁体33が第二位置P2に位置することにより第二弁座31hと弁体33とが接触する第二閉弁状態である場合、接続路33fおよび第二流体室31c2と第三ポート31fとの間の空気の流通が規制される。よって、この場合、第一流体制御弁3aにおいて、酸素系供給配管21aから第一ポート31dに導入された空気は、第一流体室31c1を介して第二ポート31eから燃料電池6に向けてのみ導出される。一方、この場合、第二流体制御弁3bにおいて、燃料電池6から第二ポート31eに導入された空気は、第一流体室31c1を介して第一ポート31dから酸素系排出配管21bに導出される。
なお、この場合、第二閉弁状態から第二弁座31hと弁体33とを離して開弁状態とする力である第二開弁力は、スプリング34による第一流体室31c1側への付勢力、バルブシャフト32cとシャフトリテーナ部31iとの間などの摺動抵抗によって弁体33に作用する力、および、第三ポート31fの空気の圧力と第一流体室31c1との差圧によって弁体33に作用する力の合力となる。
第二弁座31hと弁体33とが第二閉弁状態から開弁状態にされる場合、制御装置9からの制御指令によって、駆動装置32が他方向に駆動されることにより、バルブシャフト32cひいては弁体33が第二位置P2から第一方向に沿って下方に移動する。
また、第一シール部33cと第一弁座31gとの間、または、第二シール部33dと第二弁座31hとの間において、平行度の精度にばらつきがあった場合において、弁体33が第一位置P1または第二位置P2に位置するとき、弁体33は、バルブシャフト32cに対して隙間εの分だけ傾斜する。これにより、第一シール部33cと第一弁座31gとの間、または、第二シール部33dと第二弁座31hとの間のシール性が確保される。
本実施形態によれば、バルブモジュール1は、燃料電池システムFの外部から供給された空気を利用し、利用した空気を排出する装置である燃料電池6に接続され、空気の供給および排出の制御を行う。バルブモジュール1は、燃料電池システムFの外部からの空気を燃料電池6に向けて供給する第一流体制御弁3aと、燃料電池6によって利用された空気を外部に向けて排出する第二流体制御弁3bと、第一流体制御弁3aと第二流体制御弁3bとを接続するバイパス配管4と、を備えている。第一流体制御弁3aは、燃料電池システムFの外部から供給された空気を導入して燃料電池6に向けて空気を導出する流路である第一流路3a1と、燃料電池システムFの外部から供給された空気を導入してバイパス配管4に向けて空気を導出する流路である第二流路3a2と、を備え、第二流路3a2の空気の流量を調整することにより、第一流路3a1の空気の流量を制御する三方弁である。第二流体制御弁3bは、燃料電池6から排出された空気を導入して外部に向けて空気を導出する流路である第三流路3b1と、第一流体制御弁3aからバイパス配管4を介して供給された空気を導入して外部に向けて空気を排出する流路である第四流路3b2と、を備え、第三流路3b1の空気の流量を調整することにより、燃料電池6内の空気の圧力または燃料電池6内の空気の流量を制御する三方弁である。
これによれば、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bは、共に三方弁である。また、バイパス配管4は、第一流体制御弁3aと第二流体制御弁3bとを接続している。よって、従来技術のようにバイパス配管4が第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bの一方と配管部材とを接続している場合に比べて、バイパス配管4と配管部材とを接続する接続部材が不要であるため、部品点数を低減することができる。したがって、本発明のバルブモジュール1は、従来技術のように弁の種類が互いに異なる複数の流体制御弁を備える場合に比べて、低コスト化を図ることができる。
また、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bは、空気を流通させる弁室31cを内側に設けられたハウジング31と、弁室31cに配置され、第一位置P1と第一位置P1と異なる第二位置P2との間を第一方向に沿って移動可能に設けられた弁体33と、弁体33を移動させるように駆動する駆動装置32と、弁体33が第一方向に沿って貫通するように配置され、弁体33の移動に応じて撓む膜状に設けられるとともに、弁室31cを第一流体室31c1と第二流体室31c2とに区画するように配置されたダイヤフラム35と、第一流体室31c1に接続する第一ポート31dおよび第二ポート31eと、第一流体室31c1に設けられ、弁体33が第一位置P1に位置する場合、弁体33と接触することにより、第一ポート31dと第一流体室31c1との間の空気の流れを規制する第一弁座31gと、弁体33に設けられ、弁体33が第一位置P1に位置する場合に第一ポート31dと第二流体室31c2とを接続し、弁体33が第二位置P2に位置する場合に第一流体室31c1と第二流体室31c2とを接続する接続路33fと、第二流体室31c2に接続する第三ポート31fと、第二流体室31c2に設けられ、弁体33が第二位置P2に位置する場合、弁体33と接触することにより、接続路33fおよび第二流体室31c2と第三ポート31fとの間の空気の流れを規制する第二弁座31hと、を備えている。第一流路3a1は、第一ポート31dから空気を導入して、第二ポート31eから空気を導出する流路である。第二流路3a2は、第一ポート31dから空気を導入して、接続路33fを介して第三ポート31fから空気を導出する流路である。第三流路3b1は、第二ポート31eから空気を導入して、第一ポート31dから空気を導出する流路である。第四流路3b2は、第三ポート31fから空気を導入して、接続路33fを介して第一ポート31dから空気を導出する流路である。
これによれば、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bにおいて、弁体33が第一位置P1に位置することにより第一弁座31gと弁体33とが接触している第一閉弁状態である場合、弁体33に設けられた接続路33fによって、第一ポート31dと第二流体室31c2とが接続される。このため、第一ポート31dの空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧によって弁体33に作用する力が、第二流体室31c2の空気の圧力と第一流体室31c1の空気の圧力との差圧よって弁体33に作用する力よって抑制される。よって、この場合、閉弁状態から第一弁座31gと弁体33とを離して開弁状態とする力である開弁力(第一開弁力)を抑制することができる。
また、第二流体制御弁3bにおいて、弁体33が第一位置P1と第二位置P2との間に位置する場合、接続路33fによって第一流体室31c1と第二流体室31c2とが接続されている。このような状態において、上述したように第一流体室31c1の空気の圧力が高くなることにより、弁体33の移動または変動が発生することが考えられる。これに対して、接続路33fによって第一流体室31c1の圧力の変化に応じて第二流体室31c2の圧力が第一流体室31c1の圧力と同じとなるように変化するため、上述したように、弁体33の移動または変動の発生が抑制される。
バルブモジュール1が適用される流体利用装置は、燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池6である。燃料ガスは、水素ガスである。また、流体は、酸化剤ガスである空気である。
これによれば、バルブモジュール1が燃料電池6に適用される場合においても、バルブモジュール1は、上述した効果と同様の効果を有する。
なお、上述した実施形態において、バルブモジュールの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、本発明のバルブモジュール1は、燃料電池システムFに使用されているが、燃料供給系システムあるいは油圧ブレーキシステムといった、車両用のバルブモジュールとして広範囲に使用することが可能である。また、本発明のバルブモジュール1は、家庭用機器もしくは一般産業機械用のバルブモジュールとしても使用することが可能である。
また、上述した実施形態において、バルブモジュール1と燃料電池6とが各接続配管21c,21dを介して接続されているが、これに代えて、各接続配管21c,21dを廃止して、バルブモジュール1と燃料電池6とを直接接続するようにしても良い。また、酸素系排出配管21bを、バルブモジュール1の構成部材としても良い。
また、上述した実施形態において、第二流体制御弁3bは、燃料電池6内の空気の圧力を制御しているが、これに代えて、燃料電池6内の空気の流量を制御するようにしても良い。
また、上述した実施形態において、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが同一となるように設定されているが、これに代えて、第一受圧部33gの有効受圧面積と第二受圧部35bの有効受圧面積とが異なるように設定しても良い。例えば、第一受圧部33gの有効受圧面積より第二受圧部35bの有効受圧面積を大きく設定した場合、第一開弁力を大きくすることができる。
また、上述した実施形態において、シャフト取付部33bおよびダイヤフラム保持部33eは、金属材料によって形成されているが、これに代えて、合成樹脂材料によって形成するようにしても良い。また、この場合、シャフト取付部33bおよびダイヤフラム保持部33eと本体部33aとの結合を、溶着によって行うようにしても良い。
また、上述した実施形態において、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bは、図2乃至図5に示す流体制御弁3を用いているが、これに代えて、第一流体制御弁3aおよび第二流体制御弁3bの少なくとも一方を、図9に示す流体制御弁13を用いるようにしても良い。
以下、本変形例の流体制御弁13について、上述した実施形態の流体制御弁3と異なる部分を主として説明する。本変形例の流体制御弁13は、上述した実施形態の流体制御弁3のダイヤフラム35を備えていない。また、本変形例の流体制御弁13は、上述した流体制御弁3の弁体33に代えて、弁体133を備えている。
弁体133は、シャフト取付部133b、第一シール部133cおよび第二シール部133dを備えている。各シール部133c,133dは、上述した実施形態のシール部33c,33dと同様に設けられている。
シャフト取付部133bは、上述した実施形態のシャフト取付部33bと同様に、バルブシャフト32cに取り付けられる部位である。また、シャフト取付部133bは、上述した実施形態のシャフト取付部33bの大径部33b3および鍔部33b4に代えて、鍔部133b5を備えている。
鍔部133b5は、中径部133b2の上端部から径方向外側に向けて全周に亘って突出するように形成されている。鍔部133b5の外周縁部には、第一シール部133cが配置されている。鍔部133b5の上側面には、第二シール部133dが配置されている。
本変形例の流体制御弁13を第一流体制御弁3aとしてバルブモジュール1に適用する場合、第二ポート131eと酸素系供給配管21aの第二端とが接続され、かつ、第一ポート131dと第一接続配管21cとが接続される。すなわち、この場合、第一流路3a1は、第二ポート131eと第一ポート131dとを接続する流路である。また、第二流路3a2は、第二ポート131eと第三ポート131fとを接続する流路である。
また、本変形例の流体制御弁13を第二流体制御弁3bとしてバルブモジュール1に適用する場合、第一ポート131dと第二接続配管21dとを接続し、かつ、第二ポート131eと酸素系排出配管21bの第一端とを接続する。すなわち、この場合、第三流路3b1は、第一ポート131dと第二ポート131eとを接続する流路である。また、第四流路3b2は、第三ポート131fと第二ポート131eとを接続する流路である。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、流体制御弁3におけるハウジング31の形状、弁体33,133の各構成要素の形状および材質、ダイヤフラム35の形状を変更や、各流体制御弁3a,3bの燃料電池6への取付位置および取付方向するようにしても良い。