JP2014015699A - 織機の耳形成装置 - Google Patents

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    • D03C7/00Leno or similar shedding mechanisms
    • D03C7/06Mechanisms having eyed needles for moving warp threads from side to side of other warp threads

Abstract

【課題】織機の高速化に対応する耳形成装置を提供する。
【解決手段】
第1の耳糸16a,16bと第2の耳糸16cとにより絡み耳組織を形成する耳形成装置1であって、耳形成装置1は第1の耳糸16a,16bの経路を織幅方向に変位させる耳糸経路切換装置2と、第2の耳糸16cの経路を上下方向に変位させる耳糸開口装置3とを含み、耳糸経路切換装置2は、第1の耳糸16a,16bが挿通される目孔4を有する耳糸案内部材5と、目孔4の位置を第2の耳糸16cを挟んだ左右の2位置間で切り換える駆動装置8を有し、耳糸開口装置3は、第2の耳糸16cと係合して変位することにより第2の耳糸16cの経路を上下方向に変位させる係合部9を含み、係合部9は、第2の耳糸16cを耳糸案内部材5の位置で上下方向に関し目孔4よりも第1の駆動装置8側を通す位置及び耳糸案内部材5の先端よりも反第1の駆動装置8側を通す位置を含む周回軌道上を周回する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ボビンから引き出される少なくとも2本の耳糸によって耳組織を形成する織機の耳形成装置に関する。
織機で製織される織布の織端において緯糸を複数本の耳糸により絡めて拘束し、耳組織を形成する装置としては特許文献1に記載された装置がある。
その装置では、3本の耳糸によっていわゆる絡み耳組織を形成している。3本の耳糸は2本の旋回糸と1本の固定糸とからなり、2本の旋回糸と1本の固定糸とは緯入れごとにその経路が上下反転して開口を形成するとともに、2本の旋回糸はひとつ置きの緯入れ後に固定糸の左右で位置を入れ換えられて、緯糸を拘束している。
かかる耳糸の動作を実現するために、特許文献1の装置は、固定糸を案内する1本のスリーブ状の案内針を上下方向に揺動させる第1の揺動装置と、旋回糸を案内する2本のスリーブ状の案内針を上下方向に揺動させるとともに2本の案内針の中間位置で案内針と平行な軸線周りに2本の案内針を旋回させてその位置を入れ換える旋回機構を備える第2の揺動装置とを有している。
そして、特許文献1の装置では、第1の揺動装置の案内針と第2の揺動装置の案内針とをともに上下方向に揺動させることにより、第1の揺動装置の案内針を第2の揺動装置の2本の案内針の間に侵入させて第1の開口を形成し、第1の開口に緯入れ後、第2の揺動装置の2本の案内針の間から第1の揺動装置の案内針を離脱させて第2の開口を形成し、さらに、第2の開口の位置において旋回機構により第2の揺動装置の2本の案内針を旋回させて位置を入れ換えることにより、2本の旋回糸の経路を織幅方向に関して入れ換え、その後、第2の開口に緯入れしている。以上の動作を繰り返すことにより、特許文献1の装置は、絡み耳組織を形成している。
特表平11−505298号公報
特許文献1の装置の場合、耳糸による開口を形成すべく、第1の揺動装置の案内針と第2の揺動装置の案内針とをともに上下方向に揺動させている。このように、部材を往復運動させると、その運動方向(揺動方向)の反転時において、慣性の影響で駆動装置に負荷が掛かる。
第1の揺動装置は、案内針を上下方向に揺動させるのみであり、案内針自体は軽量な部材であるため、その揺動量が小さければ、駆動装置に掛かる負荷は小さい。一方、第2の揺動装置は、2本の案内針とともに旋回機構にも上下方向に揺動運動を行わせているため、重量物である旋回機構の慣性による影響が大きく、駆動装置に掛かる負荷が大きくなり、連続的な装置の稼働にともない、第2の揺動装置を駆動する駆動装置の破損を招く可能性が高い。
特に、織機の主軸回転数を高速化すると、前述した慣性の影響で駆動装置に作用する負荷も増大するため駆動装置がより破損し易くなり、特許文献1の装置では織機の高速化に対応できない。
なお、特許文献1の装置において、前述した慣性による駆動装置の破損の問題を解決するために、旋回機構を有する第2の揺動装置に上下方向の揺動運動を行わせないようにすることも考えられる。すなわち、第2の揺動装置の案内針には旋回機構による旋回運動のみを行わせるものとし、開口の形成はもっぱら第1の揺動装置における案内針の揺動運動によって行われるようにすることが考えられる。
しかし、第1の揺動装置における案内針の揺動運動のみによって開口を形成しようとすると、必然的に第1の揺動装置の上下方向の揺動角度を増大させる必要が生じる。そして、そのような第1の揺動装置の揺動運動のみによる開口動作を、第1、第2の揺動装置双方の揺動運動による開口動作に要する期間内で行うためには、第1の揺動装置の揺動速度をより速くしなければならなくなる。その結果、前述した慣性による駆動装置への影響が大きくなり、それによって第1の揺動装置を駆動する駆動装置に作用する負荷が増大し、今度は第1の揺動装置を駆動する駆動装置の破損を招く可能性が高くなり、やはり織機の高速化に対応できない。
そこで、本発明の課題は織機の高速化に対応できる耳形成装置を提供することにある。
前記の課題の下に、本発明は、ボビンから引き出される少なくとも2本の耳糸によって耳組織を形成する織機の耳形成装置を以下のように構成した。すなわち、織機の耳形成装置は、経糸方向に関し織前よりも経糸送出側に配置される耳糸経路切換装置と、経糸方向に関し前記耳糸経路切換装置よりも経糸送出側に配置される耳糸開口装置とを含み、前記耳糸経路切換装置は、少なくとも上下方向に延在する棒状の耳糸案内部材であって先端に第1の耳糸が挿通される目孔を有する耳糸案内部材と、織機のフレームに対し固定配置される支持部材と、前記耳糸案内部材を支持するとともに前記耳糸案内部材の織幅方向の位置を切り換え可能とするために前記支持部材によって織機のフレームに対し変位可能に支持される変位部材と、織機のフレームに対して固定配置されるとともに前記変位部材に連結される第1の駆動装置であって前記目孔の位置を第2の耳糸に対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で周期的に切り換えるように前記変位部材を駆動する第1の駆動装置とを備え、前記耳糸開口装置は、上下方向と交差する方向に延在する回転軸線周りに回転可能に織機のフレームに対して固定配置された被回転部材であって、前記回転軸線から離間して設けられ第2の耳糸と係合して第2の耳糸の経路を変位させる係合部を含む被回転部材と、前記被回転部材を前記回転軸線周りに一方向へ連続的に回転駆動する第2の駆動装置とを備え、前記耳糸開口装置は、前記第2の駆動装置が前記被回転部材を回転駆動することにより、前記係合部を、経糸方向における少なくとも前記耳糸案内部材の位置で第2の耳糸の経路が上下方向に関し前記目孔よりも第1の駆動装置側の位置を通る経路となる位置、および経糸方向における少なくとも前記耳糸案内部材の位置で第2の耳糸の経路が上下方向に関し前記耳糸案内部材の先端よりも反第1の駆動装置側の位置を通る経路となる位置、を含む周回軌道上で周回させる。
ここで、「耳糸案内部材」について、「少なくとも上下方向に延在」とは、上下方向にのみ延在するものに限らず、その延在方向に上下方向の成分を含むもの(例えば、斜め方向に延在するものや屈曲した形状のもの)であれば、上下方向に変位する第2の耳糸の経路に対して、第1の耳糸の経路を織幅方向に変位させて切換可能であることから、そのような全ての方向を含めるものとする。
「固定配置」とは、配置が固定されていることを示すものであり、その配置においてその部材が回転可能であるか回転不能であるかは問わないものとする。
「変位部材」について、「支持部材によって織機のフレームに対し変位可能に支持」とは、変位部材が支持部材に対し固定的に支持されて支持部材の動作によって変位部材が変位するもの、および変位部材が支持部材に対し変位可能に支持されているものの両方を含む。
「被回転部材」について、「上下方向と交差する方向に延在する回転軸線」とは、被回転部材の回転軸線の方向が、鉛直方向以外の全ての方向に延在する場合を含めるものとする。すなわち、被回転部材の回転軸線の方向が鉛直方向以外であれば、前記被回転部材を回転駆動することにより前記係合部を上下方向において変位させることができ、第1の耳糸の経路に対して、係合部が第2の耳糸の経路を上下方向に変位させて切換可能であることから、そのような回転軸線の全ての方向を含めるものとする。
なお、本発明の織機の耳形成装置において、前記被回転部材は、前記第2の駆動装置によって回転駆動される本体部と、前記係合部として前記本体部から織幅方向に関し経糸列側へ突出して設けられた係合ピンであって第2の耳糸の上下方向における一方側で第2の耳糸と係合して第2の耳糸の経路を第1の耳糸の経路に対し一方側から他方側へと変位させて切り換える係合ピンとを含むものとしてもよい。
また、前記被回転部材は、前記回転軸線に対して前記係合ピンと対称な位置にバランサを備えるものとしてもよい。
さらに、前記被回転部材は、少なくとも一部を経糸方向におけるヘルドフレームの位置に配置されるものとしてもよい。
織機の耳形成装置は、織機の耳形成装置経糸方向に関して前記耳糸開口装置よりも織前側に設けられて織幅方向に関する第2の耳糸の経路を規制する規制部材を備えるものとしてもよい。
また、第2の耳糸が上下方向に関し第1の耳糸と開口を形成する方向、すなわち、上下方向に関し第1の駆動装置側へ変位する過程において、前記第2の駆動装置が、前記係合部を、前記周回軌道における前記被回転部材の前記回転軸線を通る鉛直線よりも織前側の軌道上を変位させる回転方向に、前記被回転部材を回転駆動するものとしてもよい。
本発明の織機の耳形成装置は、耳糸開口装置が回転軸線の半径方向に離間して設けられた係合部を含む被回転部材と、被回転部材を前記回転軸線周りに一方向へ連続的に回転駆動する第2の駆動装置とを備え、第2の駆動装置が被回転部材を回転駆動することにより、係合部が第2の耳糸の経路を上下方向に関して変位させて第1の耳糸の経路に対して第2の耳糸の経路を切り換えるので、従来技術のような揺動装置の往復運動による開口の形成に比べて第2の駆動装置に作用する負荷を大幅に軽減することができる。これにより、第2の駆動装置の破損を招く可能性を低くすることができる。また、第2の駆動装置により回転軸をより高速で回転駆動して耳糸開口装置を高速で作動させることが可能になるので、高速の織機に対応することが可能になる。
また、被回転部材の係合部が、被回転部材の本体部から織幅方向に関し経糸列側へ突出して設けられた係合ピンとして構成されることにより、係合ピンを第2の耳糸の上下方向における一方側で第2の耳糸と係合させ、第2の耳糸の経路を他方側へ変位させることにより、第2の耳糸の経路を上下方向に関して切り換えることができる。また、その際に、係合ピンは、例えば、係合部を被回転部材に対し織幅方向に延在する目孔を備える構成として第2の耳糸を前記目孔に挿通する場合と比べて、第2の耳糸の経路を織幅方向に大きく屈曲させることがないので、第2の耳糸の過大な張力変動を抑制しつつ、適正な耳組織を形成することができる。
詳しくは、係合部が周回軌道上を変位するのに伴い、係合部の位置は上下方向だけでなく、経糸方向においても変位するため、織前から係合部までの第2の耳糸の経路長も変化する。この場合において、例えば、係合部が被回転部材に対し織幅方向に延在する目孔を備え、第2の耳糸を前記目孔に挿通する構成とした場合、第2の耳糸が前記目孔において織幅方向へ大きく屈曲された状態となるため、上記経路長の変化に伴い、第2の耳糸の張力が、上記屈曲による摩擦抵抗(屈曲抵抗)によって大きく変動してしまう。
なお、上記のような係合部が目孔を備える構成において、第2の耳糸の過大な張力変動を抑えるために、第2の耳糸の張力を低減させることも考えられるが、第2の耳糸の張力を低くすると、適正な耳組織の形成に支障をきたす場合がある。
これに対して、被回転部材の係合部を係合ピンで構成し、係合ピンを第2の耳糸の上下方向における一方側で第2の耳糸と係合させる構成とすることにより、第2の耳糸の経路を織幅方向に大きく屈曲させることなく織前へ至るものとすることができ、係合部と第2の耳糸との間に作用する摩擦抵抗が軽減される。これにより、前記のような経路長の変化が生じても、係合ピンの変位に伴う牽引力が第2の耳糸に作用しにくいため、第2の耳糸の過大な張力変動を抑制することができる。また、第2の耳糸の張力を低くすることなく、第2の耳糸の過大な張力変動を抑制することができるので、耳組織の形成が安定して適正に行われる。
また、上記のように第2の耳糸の張力変動を抑制することができるので、第2の耳糸の張力の調整を容易にすることが可能になる。また、係合ピンは、第2の耳糸の上下方向における一方側で第2の耳糸と係合するので、上記のような係合部が被回転部材に対し織幅方向に延在する目孔を備える構成とした場合に比べて作業者が第2の耳糸を係合部に係合させる際の作業性がよい。
また、被回転部材を、前記回転軸線に対して係合ピンと対称な位置にバランサを備える構成とすることにより、前記回転軸線周りの係合ピンの回転により発生する起振力を、前記回転軸線周りのバランサの回転により発生する起振力で相殺することができ、被回転部材における振動の発生を抑制することができる。これにより、第2の駆動装置に作用する振動による負荷を軽減することができ、第2の駆動装置が被回転部材をより高速で回転させることが可能になるので、より高速の織機に対応することが可能になる。
さらに、被回転部材を、少なくともその一部が経糸方向におけるヘルドフレームの位置に配置される構成とすることにより、係合部から織前までの距離が短くなるため、前記周回軌道の大きさ(径)を大きくすることなく、すなわち、被回転部材を大型化することなく、第2の耳糸の経路の揺動角度(最上昇位置にあるときの第2の耳糸経路と最下降位置にあるときの第2の耳糸の経路とが為す角度)を大きくすることができ、織機の高速化への対応が可能となる。
詳しくは、例えば、前記周回軌道の大きさが同じである場合を考えると、被回転部材の織前からの距離が遠くなるにつれて、係合部と織前とを結ぶ線分の水平線に対し為す角度は小さくなるため、ヘルドフレームの位置よりも織前から遠い位置に配置される場合と比べ、被回転部材の少なくとも一部を経糸方向におけるヘルドフレームの位置に配置した方が、第2の耳糸の前記揺動角度を大きくすることができる。
言い換えれば、被回転部材がヘルドフレームの位置よりも織前から遠い位置に配置される場合では、同じ前記揺動角度を実現するためには、前記周回軌道(被回転部材)を大きくする必要がある。なお、この揺動角度の大きさは、耳糸の開口量に影響を及ぼすものである。したがって、所望の耳糸の開口量が得られるようにする場合には、被回転部材の少なくとも一部を経糸方向におけるヘルドフレームの位置に配置する構成とすることにより、前記周回軌道を大きくすることなく、その開口量を実現することができる。したがって、その構成によれば、第2の耳糸に開口運動を与えるための被回転部材を小型化してその回転にともなう慣性を小さく抑えるることができるため、その慣性により第2の駆動装置に作用する負荷を軽減することができ、高速の織機に対応することが可能になる。
また、耳糸形成装置を、経糸方向における耳糸開口装置よりも織前側に、織幅方向に関し第2の耳糸の経路を規制する規制部材を備える構成とすれば、経糸方向における耳糸案内部材の位置において、織幅方向に関する第2の耳糸の経路の位置を所定の位置に保つことができる。これにより、第1の耳糸の経路を第2の耳糸に対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で周期的に切り換えるための変位部材の変位量、例えば、耳糸案内部材を支持軸の軸心周りに揺動駆動する際の揺動角度を小さくすることができるので、第1の耳糸の経路の切り換えに要する時間を短くして、より高速の織機に対応することが可能となる。また、耳糸案内部材の揺動角度を小さくすることができるので、第1の駆動装置を小型化することが可能となる。
さらに、耳糸形成装置が規制部材を備える場合において、第2の駆動装置が、第2の耳糸が上下方向に関し第1の耳糸との間で開口を形成する方向へ変位する過程において、前記周回軌道における被回転部材の前記回転軸線を通る鉛直線よりも織前側の軌道上を前記係合部が変位する回転方向に、被回転部材を回転駆動する構成とすることにより、上記過程における係合部と規制部材との間の第2の耳糸の経路の長さが短くなり、第2の耳糸の経路が撓みにくくなる。このため、規制部材との摺接に伴う摩擦抵抗が第2の耳糸に作用しても、係合部の変位に対し高い追随性をもって第2の耳糸を変位させることができる。その結果、第2の耳糸の第1の駆動装置側への変位によって形成される耳糸開口が所望の開口量となる期間をより長くすることが可能となる。
本発明の耳形成装置1が設けられた織機の部分拡大平面図である。 本発明の耳形成装置1を示す側面図である。 耳糸経路切換装置2を示す側面断面図である。 図3のA−Aで切った平面断面図である。 耳形成装置1を示す平面図である。 耳糸開口装置3の動作を示す側面図であり、耳糸16が閉口した状態を示している。 耳糸開口装置3の動作を示す側面図であり、耳糸16が開口した状態を示している。 耳糸経路切換装置2の動作を示す平面図あり、(a)は、第2の耳糸16cに対し第1の耳糸16aが反経糸列側、第1の耳糸16bが経糸列側にある状態を示し、(b)は、第2の耳糸16cに対し第1の耳糸16aが経糸列側、第1の耳糸16bが反経糸列側にある状態を示している。 本発明の耳形成装置1による絡み耳組織の例を示す平面図であり、(a)は2本絡み耳組織を示し、(b)(c)は、3本絡み耳組織を示している。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1の耳糸経路切換装置2を示す三面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 耳形成装置1の耳糸経路切換装置2を示す三面図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 耳形成装置1の耳糸経路切換装置2を示す二面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 耳形成装置1の耳糸経路切換装置2を示す二面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。正面図および側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す側面図である。 耳形成装置1を示す平面図である。 耳形成装置1を示す側面図であり、(a)は開口状態を示し、(b)は閉口状態を示す。 耳形成装置1を示す平面図である。
以下、本発明の耳形成装置の一実施例について、図1〜図9に基づいて説明する。以下の説明では、経糸18の進行方向と平行な方向を「経糸方向」とし、経糸方向において、経糸18を供給する図示しない経糸ビーム側、すなわち、経糸送出側を「上流側」、織前側を「下流側」とする。また、緯糸17の飛走方向を「織幅方向」とし、織機を下流側から上流側へ見る場合における織幅方向を「左右方向」ともいう。
図1は、本発明の織機の耳形成装置1が設けられる織機の部分拡大平面図である。なお、耳形成装置1は、織幅方向に関し給糸側及び反給糸側の織端19の近傍の位置にそれぞれ設けられるものであるが、給糸側及び反給糸側の各耳形成装置1は、耳形成装置1を構成する各部材の配置、形状が織幅方向に関し対称的である以外は同じ構成であるため、図1においては、給糸側の耳形成装置1及びその近傍の織機の構成のみを示すものとし、以下では、給糸側の耳形成装置1についてのみ説明する。
耳形成装置1の上流側には、耳形成装置1に耳糸16を供給するボビン22が設置されている。なお、本実施例の耳形成装置1は、2本の第1の耳糸16a,16bと、1本の第2の耳糸16cとの計3本の耳糸16によって3本絡み耳組織を形成するものであり、そのため、ボビン22としては、2つの第1の耳糸用のボビン22a,22bと1つの第2の耳糸用のボビン22cとが設けられている。これら3つのボビン22は、織機のフレーム20上に固定配置されたボビンスタンド23によりそれぞれが回転可能に支持されている。
なお、本実施例では、ボビン22は、経糸方向に関して耳形成装置1よりも上流側に設置されているが、ボビン22から引き出された耳糸16を取り回すことにより、耳形成装置1よりも下流側に配置してもよく、可能であれば織前24よりも下流側に配置してもよい。
ボビン22から引き出された各耳糸16は、各耳糸16の張力を調整するためのテンサ装置25を経由して本発明の耳形成装置1に導かれ、その後、筬29の筬羽の間を通過して織前24に至る。
耳形成装置1は、綜絖枠群28の上流側で、織機の給糸側のフレーム20と図示しない反給糸側のフレームとの間に架け渡された横梁部材21に立設されたスタンド30を介して、織機のフレーム(給糸側)20に支持されている。綜絖枠群28の各ヘルドフレーム28aのそれぞれには、最も織端側に位置するヘルド28bとヘルドフレーム28aのサイドフレーム28cとの間に、耳形成装置1を配置するための空間が設けられており、耳形成装置1は、その空間に一部が上流側から入り込むかたちで配置され、織幅方向に関しては最も織端側に位置するヘルド28bとヘルドフレーム28aのサイドフレーム28cとの間に配置されている。
次に、図2を参照して、耳形成装置1の全体構造を説明する。耳形成装置1は、第1の耳糸16a,16bの経路を第2の耳糸16cに対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で切換える耳糸経路切換装置2と、第2の耳糸16cの経路を第1の耳糸16a,16bに対する上下方向の上側と下側との二位置間で変位させる耳糸開口装置3とを備える。また、本実施例の耳形成装置1は、これに加え、第2の耳糸16cの経路を上下方向に関し規制する耳糸ガイド27と、第2の耳糸16cの経路を織幅方向に関し規制する規制部材15とを備える。
図2において、耳形成装置1は、スタンド30に固定された支持フレーム32を備えており、耳糸経路切換装置2及び耳糸開口装置3は、支持フレーム32に対し取り付けられている。耳糸経路切換装置2は、経糸方向に関し、筬29の上流側に配置されている。また、耳糸開口装置3は、経糸方向に関し、耳糸経路切換装置2の上流側に配置されるとともに、耳糸ガイド27の下流側に配置されている。
なお、図示の例では、耳形成装置1は、最も織端側に位置するヘルド28b(図示せず)と、耳糸経路切換装置2及び耳糸開口装置3との接触を防止するために、支持フレーム32のヘルド側に板状のガード部材33を備えている。ガード部材33は、図示しないステー及びボルト34を介して支持フレーム32に対し取り付けられており、経糸方向に関し、耳糸経路切換装置2及び耳糸開口装置3の存在領域にわたって延在している。
図2〜4を参照しながら、耳糸経路切換装置2の詳細について説明する。耳糸経路切換装置2は、織幅方向に関し、2本の第1の耳糸16a,16bの経路を第2の耳糸16cの経路を挟んで左右に切り換える装置である(図8参照)。図3,4に示すとおり、耳糸経路切換装置2は、主要な構成として、図2に示した支持フレーム32を介してフレーム20に固定される本体ブロック35と、本体ブロック35に回転可能に支持された支持部材6としての支持軸36と、支持軸36に支持された変位部材7としてのベース部材37と、ベース部材37に立設された二つの耳糸案内部材5としての耳糸案内ロッド38a,38bと、支持軸36を介してベース部材37を支持軸36の軸心周りに揺動駆動させる第1の駆動装置8とを備えている。
本体ブロック35は、3つの側面に開口する開口部39が形成されたほぼ直方体のブロック型の部材であり、側面からみて逆コの字形の断面形状を有している。この本体ブロック35は、側面のうちの開口部39のない平面40が織幅方向と平行となるように、かつ、平面40が経糸方向に関し最も下流側に位置するように、図2に示した支持フレーム32の織幅方向における経糸列側の側面に固定されている。
また、本体ブロック35は、開口部39を挟んで上下方向に貫通する軸受収納孔41を有している。この軸受収納孔41には、上下方向に関し開口部39を挟んで互いに離間した位置のそれぞれに、回転軸線を上下方向に向けた状態で軸受42が嵌装されている。そして、本体ブロック35は、軸受収納孔41内において、軸受42を介して支持軸36を支持している。従って、支持軸36は、軸受42、本体ブロックを介して織機のフレームに対し固定配置されている。
支持軸36は、その軸心が上下方向に延在する状態(軸心が織幅方向と交差する方向に向いた状態)で、本体ブロック35によって回転可能に支持されている。また、一対の軸受42の間において、支持軸36の一部が開口部39から外部に露出している。さらに、支持軸36は、本体ブロック35の高さ寸法(軸受収納孔41の軸線方向の寸法)よりも大きい長さ寸法を有しており、本体ブロック35に対し上面から突出する状態で組み付けられている。そして、支持軸36の本体ブロック35から突出する部分には、ベース部材37が相対回転不能に組み付けられている。従って、ベース部材37は、支持軸36によって、軸受42を介して織機のフレームに対し変位可能に支持されている。
ベース部材37は、平板状のブロック型の部材である。ベース部材37には、二つの耳糸案内ロッド38a,38bが挿入される貫通孔43a,43b及び支持軸36が挿入される貫通孔43cが、板厚方向に貫通するかたちで穿設されている。なお、図4に示すとおり、貫通孔43a,43bは、それぞれ貫通孔43cからの距離が等しくなるように穿設されている。ベース部材37は、織幅方向に関し貫通孔43a,43bが貫通孔43cよりも経糸列側となる状態で、貫通孔43cにおいて支持軸36に対し嵌合され、組み付けられている。
図3に示すとおり、耳糸案内ロッド38a,38bは、第1の耳糸16a,16bを挿通するための目孔4が上端部付近に穿設された棒状の部材である。各耳糸案内ロッド38a,38bは、その下端がベース部材37の貫通孔43a,43bに挿通され、支持軸36の軸芯と平行な状態でベース部材37上に立設される。本実施例では、耳糸案内ロッド38aの目孔4には第1の耳糸16aが挿通され、耳糸案内ロッド38bの目孔4には第1の耳糸16bが挿通されている。
二つの耳糸案内ロッド38a,38bは、長さ寸法(延在方向の寸法)が異なるものとなっており、図示の例では、耳糸案内ロッド38bが、耳糸案内ロッド38aよりも短いものとなっている。具体的には、二つの耳糸案内ロッド38a,38bがベース部材37に組み付けられた状態において、上下方向に関し、耳糸案内ロッド38bの先端の位置が、耳糸案内ロッド38aの目孔4の下端の位置と織前24とを結ぶ直線よりも下方に位置するように、耳糸案内ロッド38a,38bの長さ寸法が設定されている。このため、図2に示すとおり、織前24と耳糸案内ロッド38a,38bとの間で、上下方向に関し、第1の耳糸16aと第1の耳糸16bの経路とは交差せず、第1の耳糸16aは常に第1
の耳糸16bよりも上の位置にある。
なお、図3において、ベース部材37には、耳糸経路切換装置2よりも上流側における第1の耳糸16a,16bの経路を第2の耳糸16cの経路よりも下方に位置させるための第1の耳糸用のガイド44a,44bが取り付けられている。第1の耳糸用のガイド44a,44bは、開口時に第1の耳糸16a,16bと第2の耳糸16cとが干渉するのを避けるために設けられるものであるが、これについては後述する。
図3および図4に示すとおり、第1の駆動装置8は、揺動ブロック45と、二つの永久磁石46,47と、電磁石48と、電磁石用ハウジング49と、ストッパ部材50とで構成されている。揺動ブロック45は、図4に示すとおり、平面視における形状が線対称な五角形に形成されたブロック状の部材であり、隣接する側面が互いに直交する3つの側面45a、及び3つの側面45aのうちの平行に延在する二つの側面(幅方向の側面)に連続する二つの傾斜した傾斜面45bを有し、上面及び下面が互いに平行に形成されたブロック状の部材であり、二つの傾斜面45bの境界を通って前記幅方向の側面に平行な対称軸線51に対し線対称の形状を有する。
揺動ブロック45は、対称軸線51上に中心が位置するとともに厚み方向に貫通する支持軸36用の貫通孔45cを有する。貫通孔45cには、本体ブロック35の開口部39から露出している支持軸36の一部が挿入されており、揺動ブロック45は、支持軸36に対し回転不能に固定されている。従って、第1の駆動装置8は、支持軸36によって、揺動ブロック45をベース部材37に連結されている。揺動ブロック45の二つの傾斜面45bのそれぞれには、永久磁石46,47用の取付孔52,53が穿設されている。
揺動ブロック45の取付孔52,53には永久磁石46,47がそれぞれ挿入され、接着等により固定されている。永久磁石46,47は、互いに同形状であって、いずれも円筒形状を有しており、互いの極性を反転させた状態で、揺動ブロック45の取付孔52,53に装着されている。
電磁石48は、電磁石用ハウジング49に収納されており、電磁石用ハウジング49は、本体ブロック35の上流側側面(幅方向と直交する方向の二つの側面うちの開口が形成された方の側面)54に固定されている。電磁石用ハウジング49は、略直方体形状の部材であり、図3に示すとおり、その長手方向の一端に取付用のフランジ55を有する。電磁石用ハウジング49は、長手方向を経糸方向と平行な方向に向けた状態で、フランジ55において本体ブロック35に固定されている。従って、第1の駆動装置8は、本体ブロック35を介して織機のフレームに対し固定配置されている。
また、電磁石用ハウジング49には、長手方向に貫通した状態で電磁石48が収納される貫通孔56が穿設されており、貫通孔56内部に電磁石48が固定配置されている。電磁石48は、そのコイルに流れる電流の方向が切り換えられることにより、励磁状態における極性が反転される。そして、電磁石48の極性が反転されることにともない、極性を異ならせて設けられた永久磁石46,47が、交互に電磁石48側に引き寄せられ、それにともなって揺動ブロック45を支持軸36の軸心周りに揺動させる。
一方、本体ブロック35の開口部39における奥側(下流側)の底面には、板状のストッパ部材50が固定されている。ストッパ部材50は、揺動ブロック45の揺動を許容するように、ストッパ部材50と揺動ブロック45との間に隙間が形成されるように板厚寸法が定められており、かつ、揺動ブロック45が所定の揺動量を揺動したときに、揺動ブロック45と当接するように板厚寸法が定められている。
このストッパ部材50により、電磁石48の励磁にともなう揺動ブロック45の揺動運動は、揺動ブロック45の下流側の側面45aがストッパ部材50と当接することによって制限される。したがって、揺動ブロック45の揺動範囲は、揺動ブロック45における側面45aのうちの反経糸列側の部分がストッパ部材50に当接する揺動位置(揺動限)と、経糸列側の部分がストッパ部材50に当接する揺動位置(揺動限)との間の範囲となる。なお、この各揺動位置は、前記隙間と揺動ブロックの幅寸法とで定まる。
以上の構成を備えた耳糸経路切換装置2において、ベース部材37と揺動ブロック45とは、図4に示すとおり、揺動ブロック45の対象軸線51が経糸方向と平行な状態において、ベース部材37の貫通孔43a,43bの中心を結ぶ線分Lが経糸方向に対し角度αを成すように、各々が支持軸36に対し組み付けられている。なお、ここでいう角度αは、後述の第2の耳糸16cの経路との関係で設定されるものであり、詳細については後述する。
前述した二つの揺動位置(揺動限)間での揺動ブロック45の揺動にともない、ベース部材37は、線分Lが経糸方向に対し角度αを成す位置を中間位置として、支持軸36の軸心(貫通孔43c,45cの中心)を揺動中心として揺動する。なお、揺動ブロック45が最も反経糸列側へ向けて揺動した状態では、ベース部材37における支持軸36よりも経糸列側の部分は最も上流側に位置し(図8(a)に示す状態)、この位置がベース部材37の上流側の揺動限となる。また、揺動ブロック45が最も経糸列側へ向けて揺動した状態では、ベース部材37における支持軸36よりも経糸列側の部分は最も下流側に位置し(図8(b)に示す状態)、この位置がベース部材37の下流側の揺動限となる。
そして、ベース部材37の前記上流側の揺動限においては(図8(a)に示す状態においては)、経糸方向に関して耳糸案内ロッド38a,38bは最も上流側に位置し、織幅方向に関して耳糸案内ロッド38aは最も反経糸列側に位置し、耳糸案内ロッド38bは最も経糸列側に位置する。また、ベース部材37の前記下流側の揺動限においては(図8(b)に示す状態においては)、経糸方向に関して耳糸案内ロッド38a,38bは最も下流側に位置し、織幅方向に関して耳糸案内ロッド38aは最も経糸列側に位置し、耳糸案内ロッド38bは最も反経糸列側に位置する。したがって、第1の駆動装置8は、耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4の位置を、第2の耳糸16cに対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で周期的に切り換えるように前記変位部材7を駆動する。
次に、図2、図5を参照しながら、耳糸開口装置3の詳細について説明する。耳糸開口装置3は、上下方向に関し、第2の耳糸16cの経路を第1の耳糸16a,16bの経路を挟んで上下に変位させる装置である。耳糸開口装置3は、主要な構成として、第2の耳糸16cと係合する係合部9を含む被回転部材10と、被回転部材10を回転軸線周りに一方向へ連続的に回転駆動する第2の駆動装置11とを備えている。
本実施例の第2の駆動装置11は、直接駆動型のモータ(所謂、ダイレクトドライブモータ、以下「DDモータ」という。)で構成されている。図2において、第2の駆動装置11としてのDDモータ58は、ドーナッツ型のステータ59a、及び外周面をステータの内周面に対向させた状態で設けられるロータ59bからなるインナーロータタイプである。ステータ59aは、DDモータ58の回転軸線60(図5参照)を織幅方向に向けた状態で、図2に示した支持フレーム32に対し取り付けられており、これにより、DDモータ58は、織幅方向に関し、支持フレーム32の経糸列側の側面に固定されている。
DDモータ58のロータ59bには、被回転部材10が相対回転不能に組み付けられている。本実施例では、被回転部材10は、DDモータ58によって回転駆動される本体部12と、織幅方向に関し本体部12から経糸列側へ突出して設けられた係合部9としての係合ピン13とからなる。
図5に示すとおり、本体部12は、円盤形状に形成された薄板状の部材である回転ディスク61と、回転ディスク61に取りつけられた支持ステー63とで構成されている。本体部12は、回転ディスク61の中心をDDモータ58の回転軸線60と一致させた状態で、織幅方向に関してDDモータ58の経糸列側において、DDモータ58の図示しないロータ59bに固定されており、織幅方向に延在する回転軸線60周りに回転可能となっている。本体部12は、DDモータ58、図2に示した支持フレーム32及びスタンド30を介して織機のフレーム20に対して固定配置されている。
回転ディスク61の支持ステー63には係合ピン13が取り付けられている。係合ピン13は、第2の耳糸16cと係合することによって上下方向に関し第2の耳糸16cの経路を案内し、第2の耳糸16cの経路を上下方向に変位させる部材である。
係合ピン13は、図示の例では、丸棒状の部材であり、第2の耳糸16cの外れ防止の目的で織幅方向に関し経糸列側の端部に鍔部64を有している。また、係合ピン13は、その軸線を織幅方向に向けた状態で、織幅方向に関し支持ステー63の経糸列側の側面に固定されている。したがって、DDモータ58によって被回転部材10の本体部12が回転駆動されると、係合ピン13は、回転軸線60を中心とする周回軌道上を公転運動する。
なお、本実施例では、後述の耳糸ガイド27が耳糸開口装置3とテンサ装置25との間に設けられており、係合ピン13を省略した状態(係合ピン13が存在しないと仮定したとき)での上下方向に関する第2の耳糸16cの経路は、織前24に対する耳糸ガイド27の高さ位置(耳糸ガイド27による案内位置と織前24とを結ぶ直線)によって規定される。
そして、本実施例では、その耳糸ガイド27と織前24とで規定される第2の耳糸16cの経路との関係で、係合ピン13の公転運動の上下方向成分が上昇方向のときは、第2の耳糸16cが、係合ピン13によって下側から持ち上げられて、上方向へ変位し、また、係合ピン13の公転運動の上下方向成分が下降方向のときは、第2の耳糸16cが、自身の張力によって係合ピン13の下降に追従して下方向へ変位する構成となっている。
したがって、図2に示すとおり、耳糸開口装置3の位置での第2の耳糸16cの高さ位置は、第2の耳糸16cと係合する係合ピン13の高さ位置(上下方向における位置)で決まる。そのため、係合ピン13の周回軌道は、以下の二つの条件を満たす必要があり、被回転部材10の半径方向に関する係合ピン13の位置(回転ディスク61の中心からの距離)は、それらの条件を満たすように設定される。
条件1:図7に示すように、前記周回軌道上を公転運動する係合ピン13が上下方向に関し最も低い位置にあるときの係合ピン13の位置を第1の位置P1とすると、少なくともこの第1の位置P1で係合ピン13と係合する第2の耳糸16cの経路が、経糸方向における耳糸案内ロッド38bの位置において、上下方向に関し耳糸案内ロッド38bの目孔4よりも下側(第1の駆動装置8側)の位置を通る経路となること。この条件は、緯入れのための開口を形成するのに必要な条件である。なお、「少なくともこの第1の位置P1で」と述べたのは、係合ピン13が第1の位置P1に達する前に、第2の耳糸16cの経路が耳糸案内部材5の目孔4よりも下側の位置を通る経路となる場合も含むことを意味する。
条件2:図6に示すように、前記周回軌道上を公転運動する係合ピン13が上下方向に関し最も高い位置にあるときの係合ピン13の位置を第2の位置P2とすると、少なくともこの第2の位置P2で係合ピン13と係合する第2の耳糸16cの経路が、経糸方向における耳糸案内ロッド38aの位置において、上下方向に関し耳糸案内ロッド38aの先端よりも上側(反第1の駆動装置8側)の位置を通る経路となること。この条件は、耳糸経路切換装置2による第1の耳糸16a,16bの経路切換を可能にするために必要な条件である(第1の耳糸16a,16bの経路切り替え時に耳糸案内ロッド38aと第2の耳糸16cとが干渉しない条件である)。なお、「少なくともこの第2の位置P2で」と述べたのは、係合ピン13が第2の位置P2に達する前に、第2の耳糸16cの経路が耳糸案内部材5の先端よりも上側の位置を通る経路となる場合も含むことを意味する。
また、図5に示すとおり、本実施例では、被回転部材10は、回転軸線60に対して前記係合ピン13と対称な位置にバランサ14を備えている。バランサ14は、回転ディスク61の経糸列側の面に取り付けられたバランサステー64と、バランサステー64を介して織幅方向に関して係合ピン13の延在範囲よりも反経糸列側の位置に取り付けられたバランサピン65とで構成されている。
バランサステー64は、支持ステー63と質量および形状のほぼ等しい板状の部材である。また、バランサピン65は、係合ピン13と質量および形状のほぼ等しい丸棒状の部材である。バランサピン65は、回転ディスク61の中心(DDモータの回転軸線60)に対して係合ピン13と対称的な位置に配置されている。
以上、耳糸開口装置3の構成について説明した。なお、耳糸開口装置3は、経糸方向に関しDDモータ58及び被回転部材10の一部がヘルドフレーム28aの存在領域に位置する配置となっている。その理由は以下のとおりである。
図7に示すとおり、本発明の耳形成装置1では、耳糸16の開口は、第1の耳糸16a,16bと、第2の耳糸16cとで形成される。ただし、第1の耳糸16a,16bの経路の上下方向の位置は固定されているため、その開口量は、第2の耳糸16cの揺動角度(最上昇位置にあるときの第2の耳糸16cの経路と最下降位置にあるときの第2の耳糸16cの経路とが為す角度)によって決定される。なお、本実施例では、前記揺動角度は、前記周回軌道の直径と織前24から前記周回軌道の中心までの距離によって決定される。
ここで、係合ピン13の周回軌道(被回転部材10)の径を一定とし、上下方向に関する前記第1の位置P1、前記第2の位置P2の高さ位置が一定と考えた場合、第2の耳糸16cの前記揺動角度は、前記第1の位置P1の経糸方向に関する織前24からの距離で決定される。そのため、前記第1の位置P1、前記第2の位置P2の織前24からの距離が遠いと、必然的に前記揺動角度が小さくなり、緯入れのための所望の開口量が得られなくなる。
また、前記開口量を大きくするために、前記第1の位置P1を下げるべく前記周回軌道の中心(被回転部材10の中心)を下げることも考えられるが、前記周回軌道の中心を下げると、前記第2の位置P2も低くなるため、前記した条件2を満たせなくなる。さらに、開口量を大きくする手段として、前記周回軌道を大きくする、具体的には、被回転部材10の中心から係合ピン13までの距離を大きくすること、或いは、DDモータ58のロータ59b又は被回転部材10の径を大きくすることが考えられる。しかし、前記周回軌道を大きくすると、係合ピン13、DDモータ58のロータ59bおよび本体部12の回転にともなう慣性が増大し、高速化の妨げになる。また、耳糸開口装置3の大型化を招く為、織機上における耳形成装置1の配置に制約を受ける。
そこで、本実施例では、経糸方向に関する前記周回軌道の位置を可及的に織前24へ接近させるべく、図1,2に示すとおり、耳糸開口装置3を、その一部がヘルドフレーム28aの存在領域に位置するように配置している。なお、この耳糸開口装置3の経糸方向に関する配置について、耳糸開口装置3の下流側には前述の耳糸経路切換装置2が配置されるため、経糸方向に関する耳糸開口装置3の位置は、この耳糸経路切換装置2の配置に基づいて設定される。また、経糸方向に関する耳糸経路切換装置2の配置は、筬29(リードホルダ)との干渉を避けるべく、筬29の最後退位置よりも上流側に設定される。よって、本実施例では、これらを考慮した最も織前側の配置として、耳糸開口装置3は、その一部がヘルドフレーム28aの存在領域に位置するものとなっている。そして、この配置により、本実施例では、前記周回軌道を大きくすることなく、第2の耳糸16cの前記揺動角度を可及的に大きくし、第1の耳糸16a,16bと第2の耳糸16cとによる耳糸開口の開口量が、所望の大きさになるようにしている。
なお、前述したとおり、本実施例では、耳糸開口装置3とテンサ装置25との間に耳糸ガイド27が設けられている。第2の耳糸16cは係合ピン13の上側と係合して織前24へ導かれているが、上下する係合ピン13の上側に第2の耳糸16cを係合させて第2の耳糸16cの経路を上下させる関係上、係合ピン13が前記第1の位置P1にある状態において、第2の耳糸16cの開口量が最大となるようにするためには、係合ピン13を省略した状態での上下方向に関する第2の耳糸16cの経路(耳糸ガイド27から直接織前27に第2の耳糸16cを導いた場合の第2の耳糸16cの経路)が耳糸開口装置3の位置において前記第1の位置P1にある係合ピン13とほぼ同じ位置かそれよりも下方を通過する必要がある。すなわち、耳糸開口装置3よりも上流側では、第2の耳糸16cの経路は、耳糸開口装置3よりも下方となっている必要がある。
一方、本実施例では、図1に示すとおり、耳糸開口装置3よりも上流側で第2の耳糸16cの経路を画定するテンサ装置25は、織機の左右のフレームに架け渡されたドロッパ装置28を介して織機のフレーム上に配置されており、耳糸開口装置3よりも上方で第2の耳糸16cを案内するものとなっている。そこで、本実施例では、耳糸開口装置3とテンサ装置25との間において、耳糸開口装置3よりも下方の位置に耳糸ガイド27を設けている。そして、耳糸ガイド27は、テンサ装置25を経由した第2の耳糸16cをその下側の面で案内することにより、第2の耳糸16cの経路を耳糸開口装置3よりも下方となるようにしている。
耳糸ガイド27は、略円筒形状の部材で形成されており、軸線を織幅方向へ向けた状態で、横梁部材21に立設されたステー31に設けられた固定穴31aに固定されることにより、織機のフレームに対し固定配置されている。図5に示すとおり、耳糸ガイド27は、その円筒面の周面上に、その円周方向に亘る案内溝66cであって第2の耳糸16cを案内するための案内溝66cを有している。そして、耳糸ガイド27は、この案内溝66cにより、第2の耳糸16cの経路を上下方向および織幅方向で規制している。
なお、図5に示すとおり、耳糸ガイド27は、織幅方向においては、第2の耳糸16cを案内する案内溝66cが、耳糸開口装置3における係合ピン13の延在範囲となるように配置されている。
本実施例では、耳糸ガイト27は、第1の耳糸16a、16bを案内するためにも兼用されている。そのため、耳糸ガイド27には、その円筒面の周面上に、上記案内溝66cに加え、第1の耳糸16a、16bを案内するための案内溝66a、66bが形成されている。なお、案内溝66a、66bは、耳糸ガイド27の軸線方向において、案内溝66cよりも反経糸列側であって織幅方向における係合ピン13の延在範囲よりも反経糸列側に位置するものとなっている。耳糸16を案内するための三つの案内溝は、給糸側から順に、案内溝66b、66a、66cの順に配置されており、三つの案内溝のそれぞれに、給糸側から順に、第1の耳糸16b,16aおよび第2の耳糸16cが案内されており、それら耳糸16の経路を上下方向および織幅方向で規制している。
さらに、本実施例では、耳糸開口装置3と耳糸経路切換装置2との間に設けられた規制部材15によって、織幅方向の第2の耳糸16cの経路を規制している。規制部材15は、耳糸経路切換装置2における耳糸案内ロッド38a、38bの位置で、第2の耳糸16cの経路を、織幅方向に関し所望の位置に維持するためのものである。
規制部材15について、より詳しく説明すると、図1に示すように、本実施例では、耳糸開口装置3は、織幅方向に関し、織端19よりも反経糸列側に配置されており、係合ピン13もその先端が織端19よりも外側(反経糸列側)に位置するように存在している。したがって、前記した耳糸ガイド27における案内溝66cも、織幅方向において織端19よりも外側に位置している。そのため、仮に規制部材15を省略し、係合ピン13と第2の耳糸16cとを係合させずに、耳糸ガイド27から織前24における織端19へ第2の耳糸16cを直接導いたとすると、第2の耳糸16cの経路は、経糸方向(織端19)に対し角度を成した状態となる。一方、耳糸開口装置3における被回転部材10の回転ディスク61は経糸方向(織端19)と平行に設けられているため、係合ピン13は、回転ディスク61の回転にともない、織幅方向に関し織端19との距離を一定に保ったまま、経糸方向に関し前後方向に変位する。
そのため、仮に規制部材15を省略し、耳糸ガイド27から織前24における織端19へ第2の耳糸16cを直接導いた状態で係合ピン13と第2の耳糸16cとを係合させたとすると、係合ピン13が最も下流側に位置するときと、最も上流側に位置するときとでは、係合ピン13に対する第2の耳糸16cの織幅方向の位置が異なるものとなる。それにより、係合ピン13上で第2の耳糸16cが織幅方向へ往復し、第2の耳糸16cと係合ピン13との係合状態が不安定なものとなり、被回転部材10(係合ピン13)の連続的な回転にともなって第2の耳糸16cが係合ピン13から外れてしまう可能性がある。
なお、係合ピン13の構成を、係合ピン13と第2の耳糸16cとの係合状態が維持されるようなものとした場合、規制部材15がなくても前記のような第2の耳糸16cが係合ピン13から外れるといった問題は生じない。しかし、その場合でも、織前24での織端19の位置は一定であるのに対し、被回転部材10(係合ピン13)の連続的な回転にともなって係合ピン13の位置が経糸方向に前後に変化するため、係合ピン13と織前24との間の第2の耳糸16cの経路が経糸方向となす角度が周期的に変化し、係合ピン13と織前24との間で第2の耳糸16cの経路が織幅方向に振動(往復変位)してしまう。そして、その場合、例えば、係合ピン13が前記第2の位置P2から第1の位置P1へ向けて変位した場合、その過程で第2の耳糸16cの経路が変化し、第2の耳糸16cが耳糸経路切換装置2における耳糸案内ロッド38a,38b間に正しく導かれない場合が生じる。これを防止するためには、ベース部材37の揺動角度を大きくする必要があるが、ベース部材37の揺動角度を大きくすると、織機の高速運転に対応できない可能性が高まる。
そこで、本実施例では、被回転部材10の回転にともなう係合ピン13と第2の耳糸16cとの位置関係の変化、及び耳糸開口装置3よりも下流側(織前側)での第2の耳糸16cの経路の織幅方向の振動を解消する目的で、耳糸開口装置3と耳糸経路切換装置2との間に規制部材15を設けている。
図2に示すとおり、規制部材15は、本実施例では、棒状の部材であり、その下端が第1の駆動装置8の電磁石用ハウジング49の上面に穿設された孔に嵌合され、かつ、上端がガード部材33を支持するガードステー68に支持された状態で、上下方向に延在するかたちで設けられている。規制部材15の上下方向(延在方向)の寸法は、係合ピン13の前記周回軌道上の直径よりも長い範囲にわたって延在するものとなっている。
規制部材15は、図5に示すとおり、反経糸列側の周面で第2の耳糸16cを案内するものとなっている。そして、規制部材15は、織幅方向に関し、反経糸列側の端縁が、前記の耳糸ガイド27の案内溝66cと同じ位置となるように配置されている。これにより、第2の耳糸16cの経路は、耳糸開口装置3の前後に位置する耳糸ガイド27と規制部材15との間において、経糸(織端)と平行な状態となる。したがって、耳糸開口装置3において、係合ピン13と第2の耳糸16cの経路との織幅方向に関する位置関係は、被回転部材10の回転中において常に一定となるため、被回転部材10の連続的な回転にともなう第2の耳糸16cの係合ピン13からの外れを防ぐことができる。
また、前記のように、第2の耳糸16cの経路は、被回転部材10の回転ディスク61と平行になっているため、本体部12の回転にともなって係合ピン13が回転しても、第2の耳糸13cは、織幅方向には変位せず、上下方向にのみ変位する。したがって、耳糸開口装置3よりも下流側での第2の耳糸16cの前記振動は発生しない。
また、この規制部材15により、耳糸開口装置3と耳糸経路切換装置2との間で第2の耳糸16cの経路を規制しているため、規制部材15から織前24までの第2の耳糸16cの経路は、織幅方向に関し常に一定の位置となる。なお、規制部材15に案内されて織前24へと導かれる第2の耳糸16cの経路は、本実施例では、織幅方向において経糸18に対し前記角度αを成すものとなっている(図4参照)。
また、本実施例では、図5に示すとおり、回転ディスク61の経糸列側の側面に、第2の耳糸16cと係合ピン13用の支持ステー63との干渉を防止するためのカバー69が取り付けられている。カバー69は、外径が回転ディスク61とほぼ等しいドーナッツ型の円盤状の部材であり、中心を回転ディスク61の中心と一致させた状態で取り付けられている。
次に、第1の耳糸16a,16bおよび第2の耳糸16cの経路ついて説明する。第1の耳糸16a,16bおよび第2の耳糸16cの経路について概説すると、織幅方向に関しては、各ボビン22から耳糸経路切換装置2に至るまでの各耳糸16の経路の位置関係は、図1に示すとおり、反経糸列側から第1の耳糸16b、第1の耳糸16a、第2の耳糸16cの順で不変であり、耳糸経路切換装置2から織前24に至るまでの各耳糸16の経路の位置関係は、図8に示すとおり、第2の耳糸16cの経路は不変であり、第1の耳糸16aの経路は、第2の耳糸16cの経路を挟んで左右の一方の側、第1の耳糸16bの経路は、第2の耳糸16cの経路を挟んで左右の他方の側を通り、耳糸経路切換装置2の動作にともない、第1の耳糸16aの経路と、第1の耳糸16bの経路とが切り換わる。
また、上下方向に関しては、図6および図7に示すとおり、耳糸ガイド27から耳糸経路切換装置2に至るまでの各耳糸16の経路の位置関係は、上側から第2の耳糸16c、第1の耳糸16a、第1の耳糸16bの順であり、耳糸経路切換装置2から織前24に至るまでの各耳糸16の経路の位置関係は、第1の耳糸16aおよび第1の耳糸16bの経路は不変であり、第2の耳糸16cの経路は、第1の耳糸16a,16bの経路の上又は下を通り、耳糸開口装置3の動作にともない、第1の耳糸16a,16bの経路に対する上下位置が切り換わる。
図1において、第2の耳糸16cは、ボビン22cから解舒されて、上流側から順に、テンサ装置25、耳糸ガイド27の案内溝66c、耳糸開口装置3を経て、織前24に導かれる。また、図2に示すとおり、第2の耳糸16cは、耳糸ガイド27と織前24との間で、耳糸開口装置3の係合ピン13の上側を通っている。したがって、第2の耳糸16cは、被回転部材10の回転にともない、係合ピン13の前記第1の位置P1から第2の位置P2への変位によって上方に持ち上げられ、第2の位置から第1の位置への変位によって係合ピン13に載りつつ下降する。このように、第2の耳糸16cの経路は、耳糸ガイド27と織前24との間で、耳糸開口装置3の動作により上下方向に変化する。そして、本実施例では、図7に示すとおり、係合ピン13が前記第1の位置P1にあるとき、第2の耳糸16cは開口を形成する。
図1に示すとおり、第1の耳糸16aは、ボビン22aから解舒されて、上流側から順に、テンサ装置25、耳糸ガイド27の案内溝66aを経て、耳糸経路切換装置2に導かれる。
耳糸ガイド27から耳形成装置1へ導かれた第1の耳糸16aは、図2に示すとおり、支持フレーム32に固定された第1の耳糸用のガイド67a、耳糸経路切換装置2のベース部材37に取り付けられた第1の耳糸用のガイド44a及び耳糸案内ロッド38aの目孔4に案内されて、織前24へ至る。
同様に、第1の耳糸16bは、ボビン22bから解舒されて、上流側から順に、テンサ装置25、耳糸ガイド27の案内溝66bを経て、耳糸経路切換装置2に至る。耳糸経路切換装置2に導かれた第1の耳糸16bは、支持フレーム32に固定された第1の耳糸用のガイド67b、耳糸経路切換装置2のベース部材37に取り付けられた第1の耳糸用のガイド44b及び耳糸案内ロッド38bの目孔4に案内されて、織前24へと導かれている。なお、図示の例では、第1の耳糸16bは、第1の耳糸16aよりも反経糸列側の経路をとおり、かつ、第1の耳糸16aよりも下側を通るものとなっている。
第1の耳糸用のガイド67a,67bは、耳糸ガイド27から耳糸案内ロッド38a,38bの目孔4へ導かれる第1の耳糸16a,16bの経路を被回転部材10よりも下側を通る位置に規制する目的で設けられる部材であり、経糸方向に関し、被回転部材10と耳糸経路切換装置2との間に固定配置されている。第1の耳糸16a,16bの経路を被回転部材10よりも下側に通す理由は以下のとおりである。
図2,5に示すとおり、本実施例では、第1の耳糸16a,16bは、耳糸開口装置3の上流側において、上下方向に関し耳糸開口装置3よりも下方に位置する耳糸ガイド27により、織幅方向に関し、係合ピン13の延在範囲よりも反経糸列側で案内されている。一方、耳糸開口装置3の下流側に位置する耳糸案内ロッド38a,38bの目孔4は、いずれも係合ピン13の前記第1の位置P1(最下降位置)よりも上方に位置している。
このため、本実施例の構成では、第1の耳糸16a,16bを耳糸ガイド27から耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4へ直接案内しようとすると、第1の耳糸16a,16bの経路が耳糸開口装置3に干渉する状態となる。そこで、本実施例では、第1の耳糸用のガイド67a,67bを設けて、第1の耳糸16a,16bの経路を被回転部材10よりも下側を通る位置に規制している。
本実施例では、第1の耳糸用のガイド67a,67bは、織幅方向に関し耳糸開口装置3の係合ピン13よりも反経糸列側であって、上下方向に関し係合ピン13の第1の位置P1とほぼ同じ高さ位置に配置されている。なお、第1の耳糸用のガイド67bは、第1の耳糸16bの経路が第1の耳糸16aの経路と交差しないように、第1の耳糸用のガイド67aに対し、織幅方向に関し反経糸列側であって、かつ、経糸方向に関し下流側に配置されている。また、上下方向に関し、下側に配置されている。
第1の耳糸用のガイド44a,44bは、第1の耳糸用のガイド67a,67bから耳糸案内ロッド38a,38bの目孔4へと案内される第1の耳糸16a,16bが第2の耳糸16cと干渉するのを防ぐ目的で、耳糸経路切換装置2のベース部材37の上面に設けられている。
より詳しく説明すると、第1の耳糸用のガイド67a,67bは、耳糸経路切換装置2(耳糸案内ロッド38a,38b)よりも上流側の固定位置で第1の耳糸16a,16bを案内している。一方、耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4は、第1の耳糸用のガイド67a,67bよりも下流側において、ベース部材37によって揺動させられる。そのため、ベース部材37が、上流側又は下流側の揺動限のいずれか一方の揺動限にある状態では、第1の耳糸16a,16bの経路の一方又は他方は、第1の耳糸用のガイド67a,67bと耳糸案内ロッド38a,38bとの間で、織幅方向に関し第2の耳糸16cの経路と交差する位置を通ることになる。
したがって、仮に、第1の耳糸16a,16bを第1の耳糸用のガイド67a,67bから耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4へ直接案内すると、第1の耳糸用のガイド67a,67bと耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4との間の経路が、上下方向においても、最下降位置にある第2の耳糸16cの経路(係合ピン13が前記第1の位置P1にある状態での第2の耳糸16cの経路)と交差する位置を通ることになる。
そうすると、係合ピン13の変位にともなう第2の耳糸16cの下降の過程において、第2の耳糸16cが第1の耳糸16a,16bの一方と干渉し、第2の耳糸16cを本来の位置まで下降させることができず、所望の耳糸開口量が得られない状態となる。そこで、本実施例では、ベース部材37上の耳糸案内ロッド38a,38bの近傍の位置に、第1の耳糸用のガイド44a,44bを設けている。この第1の耳糸用のガイド44a,44bにより、第1の耳糸16a,16bの第1の耳糸用のガイド67a,67bから耳糸案内ロッド38a,38bの近傍の直下までの経路は、最下降位置にある第2の耳糸16cの経路に対して下側の位置に規制されることとなる。
図8に示すとおり、第1の耳糸用のガイド44a,44bは、ベース部材37に対して固定されており、ベース部材37(耳糸案内ロッド38a,38b)と一体的に揺動される。このため、ベース部材37の上流側及び下流側のいずれの揺動限においても、第1の耳糸16a,16bの経路は、第1の耳糸用のガイド67a,67bと第1の耳糸用のガイド44a,44bとの間で、第2の耳糸16cの最下降位置よりも低い位置を通る。また、織幅方向に関し、第2の耳糸16cの経路と交差する経路を通る第1の耳糸16a,16bの一方は、第2の耳糸16cの下をくぐって第1の耳糸用のガイド44a又は第1の耳糸用のガイド44bにより上方へ偏向される。したがって、第1の耳糸16a,16bは、最下降位置にある第2の耳糸16cの経路と干渉することなく耳糸案内ロッド38a,38bの各目孔4へと導かれる。
なお、図4に示すとおり、本実施例では、揺動ブロック45における対象軸線51が経糸方向と平行な状態(ベース部材37の揺動範囲における前記中間位置)において、ベース部材37における貫通孔43a,43bの中心を結ぶ線分Lが、規制部材15から織前24へ至る第2の耳糸16cの経路と平行となるように、ベース部材37が支持軸36に組み付けられている。そして、本実施例では、ベース部材37の前記中間位置において、線分Lが織幅方向に関し第2の耳糸16cの経路よりも経糸列側に位置するように構成されている。
かかる構成により、揺動ブロック45の揺動量を調節することにより、ベース部材37の上流側及び下流側の揺動限で上側から見て線分Lの中間位置を第2の耳糸16cの経路上とすることが可能となる。これにより、図8に示すとおり、上側から見て前記各揺動限で各耳糸案内ロッド38a,38bの位置を第2の耳糸16cから等距離の位置とすることが可能となり、第2の耳糸16cと耳糸案内ロッド38a,38bとの干渉を防止して、第2の耳糸16cを上下方向に関しより確実に変位させて所望の耳糸開口量を得ることが可能となる。
なお、図5に示した本実施例の耳糸ガイド27は、案内溝66により耳糸16を案内する構成としているが、このような構成に限らない。例えば、案内溝66を有する耳糸ガイド27に代えて、耳糸16を挿通する目孔を有する耳糸ガイドを各耳糸16に対応させて設け、各耳糸ガイドの目孔に各耳糸16を挿通して各耳糸16を案内するようにしてもよい。
次に、図6〜8を参照しながら、耳形成装置1の動作について説明する。
織機の製織中、耳糸開口装置3においては、織機主軸1回転毎に被回転部材10(係合ピン13)が織幅方向の経糸列側から見て時計回りに1回転するように、図示しないDDモータ58が駆動されている。また、織機主軸の回転角度と周回軌道上を回転する係合ピン13との位相関係は、本実施例では、緯糸の筬打ちが行われる織機主軸の回転角度が0°のときに、係合ピン13が前記第2の位置P2から第1の位置P1への移動過程における中間位置に位置するように設定されているものとする。なお、織機主軸の回転角度と周回軌道上を回転する係合ピン13との位相関係は、前記したものに限定されず、必要に応じ、織機の主軸に対する被回転部材10の位相を変更してもよい。
また、耳糸経路切換装置2において、ベース部材37を前記した上流側又は下流側の一方の揺動限から他方の揺動限へ揺動させるタイミング(第1の駆動装置8における電磁石極性を切り換えるタイミング、すなわち第1の耳糸16a,16bの経路を切り換えるタイミング)は、耳糸開口装置3における係合ピン13が前記第2の位置へ達した時点に設定されているものとする。
(1)図7に示すとおり、製織中、耳糸開口装置3において、被回転部材10の回転にともなって係合ピン13が前記周回軌道上で前記第2の位置P2から前記第1の位置P1へ向けて変位することにより、係合ピン13から織前24に至る第2の耳糸16cの経路(以下、「部分経路」という。)が、上下方向に関し、最上昇位置から下方へ向けて変位する。一方、第1の耳糸16a,16bの経路は、上下方向に関し、位置が固定されている。したがって、第2の耳糸16cの前記部分経路の変位にともない、前記部分経路が第1の耳糸16a,16bよりも下方へ変位した状態となり、第2の耳糸16cと、第1の耳糸16a,16bとの間で耳糸開口が形成される。そして、この耳糸開口は、係合ピン13が前記第1の位置P1に達した時点でほぼ最大となる。このとき、第2の耳糸16cは、経糸方向に関し耳糸案内ロッド38aと耳糸案内ロッド38bとの間を通っている。
(2)(1)での耳糸開口形成後における第2の耳糸16cの前記部分経路の上方への変位過程で、織機主軸の回転角度が設定された緯入れ開始角度に達した時点で緯糸の緯入れが開始され、それにともなって耳糸開口内へも緯糸が緯入れされる。なお、緯入れされた緯糸の先端は、緯入れ開始直後に給糸側の耳糸開口の位置を通過し、経糸開口内を飛走し、反給糸側の織端の位置を通過した後、図示しない反給糸側の耳糸開口に到達する。したがって、給糸側の耳形成装置1のDDモータ58は、少なくとも緯入れ期間全般にわたって耳糸開口が緯入れ可能な大きさ(必要開口量)以上となるように、その駆動が制御される。また、図示しない反給糸側の耳形成装置1のDDモータ58は、少なくとも緯入れ終期において耳糸開口が前記必要開口量以上に維持されるように、DDモータ58の駆動が制御される。
(3)図6に示すとおり、緯入れ終了後における被回転部材10の更なる回転にともない、係合ピン13が前記周回軌道上で第2の位置へ向けて変位し、第2の耳糸16cの前記部分経路が上方の最上昇位置へ向けて変位する。それにともない、第2の耳糸16cの前記部分経路が、第1の耳糸16a,16bよりも上方へ変位した状態となり、前記緯入れされた緯糸が第1の耳糸16a,16bと第2の耳糸16cとにより拘束された状態となる。
(4)その後、係合ピン13が第2の位置に達すると、第2の耳糸16cの前記部分経路は、最上昇位置となって耳糸案内ロッド38aの先端よりも上方を通る経路となる。そして、その時点において、耳糸経路切換装置2の第1の駆動装置8は、ベース部材37を前記一方の揺動限から他方の揺動限へと支持軸36の軸心周りに揺動させる。これにより、上方から見て第2の耳糸16cの経路に対し織幅方向の反経糸列側及び経糸列側のそれぞれに位置する第1の耳糸16a,16bの経路が、織幅方向に関し入れ換えられる(図8参照)。その結果、第1の耳糸16a,16bが、第2の耳糸16cと織幅方向に関し交差した(絡んだ)状態となる。
(5)次いで、被回転部材10の更なる回転にともなう係合ピン13の前記第2の位置P2からの下降にともない、第2の耳糸16cの前記部分経路が、最上昇位置から下降し、織機の主軸回転角度が0°となる時点で前記中間位置に達する。そして、この時点において緯入れされた緯糸の筬打ちが行われる。なお、前記における第2の耳糸16cの前記部分経路の最上昇位置からの下降により、第2の耳糸16cの前記部分経路は緯糸を拘束している耳糸開口を開放する方向へ変位することになる。しかし、前記のように、第1の耳糸16a,16bが第2の耳糸16cと織幅方向に関し交差した状態となっているため、第2の耳糸16cの前記部分経路が第1の耳糸16a,16bよりも下方の位置へ変位しても、前記耳糸開口は解放されることなく、第1の耳糸16a,16bと第2の耳糸16cとによる緯糸の拘束は維持される。
前記(1)〜(5)が織機の主軸1回転毎に繰り返されることにより、製織された織布の織端に図9(b)に示す3本絡み耳組織が形成される。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の実施形態を採りうる。以下に、他の実施形態について説明する。
前記実施例では、耳形成装置は、2本の第1の耳糸16a,16bと1本の第2の耳糸16cとで3本絡み耳組織を形成しているが、耳糸の本数は3本に限らない。例えば、第1の耳糸16a,16bを1本のみとして、1本の第1の耳糸16aと1本の第2の耳糸16cとで図9(a)に示すような2本絡み耳組織を形成するようにしてもよい。この場合、耳糸経路切換装置2が耳糸案内部材5を1本のみ有する構成としてもよい。
また、前記実施例では、耳糸経路切換装置2が織機主軸1回転毎、すなわち緯入れ1回毎に耳糸案内部材5の目孔4の位置を切り換えて、図9(a)又は図9(b)に示す絡み耳組織を形成しているが、目孔4の位置を切り換える頻度は緯入れ1回毎に限らない。例えば、耳糸経路切換装置2が、織機主軸2回転毎、すなわち緯入れ2回毎に耳糸案内部材5の目孔4の位置を切り換えて、図9(c)に示すような絡み耳組織を形成するものとしてもよい。また、耳糸経路切換装置2による耳糸案内部材5の目孔4の位置の切り換えを、織機の主軸3回転以上毎に行うようにしてもよい。
また、前記実施例では、耳糸案内ロッド38a,38bをベース部材37の上面に立設して耳糸案内ロッド38a,38bが鉛直方向の上方へ向けて延在するものとし、第1の駆動装置8をベース部材37の下方に設ける構成としているが、これに限らず、例えば、図11に示すように、前記実施例における耳糸経路切換装置2を倒立した状態で設ける、すなわち、耳糸案内ロッド38a,38bがベース部材37の下面から鉛直方向の下方へ向けて延在し、第1の駆動装置8がベース部材37の上方に設けられる構成としてもよい。なお、図11では、前記実施例の構成に対応する部位に前記実施例と同一の符号を付している。
そして、この図11の構成の場合では、前記実施例とは逆に、耳糸開口装置3の係合ピン13が周回軌道の最上昇位置にある状態において耳糸16の開口量が最大となる。したがって、この例の場合は、係合ピン13の周回軌道上における最上昇位置が、前記実施例における第1の位置P1に相当し、最下降位置が、第2の位置P2に相当する。
また、図示の例では、耳糸ガイド27は、前記実施例とは異なり、耳糸開口装置3よりも上方に配置されおり、係合ピン13を省略した状態での第2の耳糸16cの経路は、上下方向に関し前記最上昇位置にある係合ピン13とほぼ同じ位置かそれよりも上方を通過するものとなっている。したがって、この例の場合では、前記実施例とは逆に、係合ピン13の公転運動の上下方向成分が上昇方向のとき、第2の耳糸16cは第2の耳糸16c自体の張力により係合ピン13に追従して上方向へ変位し、第2の耳糸16cの経路は緯入れが可能な位置まで上方向へ変位させられる(開口が形成される)。また、係合ピン13の公転運動の上下方向成分が下降方向のとき、第2の耳糸16cは係合ピン13に上側から押し下げられ、第2の耳糸16cの経路は耳糸経路切換装置2による第1の耳糸16a,16bの経路切換が可能な位置まで下方向へ変位させられる。
ただし、耳糸案内部材5の延在方向については、前記のような鉛直方向に限らず、第1の耳糸16cの経路の切換に支障をきたさない範囲内で、経糸方向及び織幅方向に関し鉛直方向と角度を成す状態(傾いた状態)としてもよい。この場合、耳糸経路切換装置2を全体として傾けた状態(支持部材6が経糸方向及び織幅方向に関し上下方向(鉛直方向)と角度を成す方向へ傾いた状態)で設けるようにしてもよいし、支持部材6を鉛直方向のままとし、耳糸案内部材5が変位部材7に対して傾いた状態で設けられていてもよい。
また、前記実施例では、耳糸案内部材5が固定された変位部材7としてのベース部材37を鉛直方向の回転軸線周りに揺動させて耳糸案内部材5(目孔4)の織幅方向の位置を切り換えているが、これに限らず、例えば、図12〜15に示すような構成としてもよい。具体的には、以下の通りである。
図12に示す例は、変位部材7を直線的に往復運動させることにより、耳糸案内部材5の織幅方向の位置を切り換えるものである。なお、図12では、前記実施例の構成と同じ部位例えば耳糸開口装置3には前記実施例と同一の符号を付している。
具体的には、図示の例の耳糸経路切換装置2は、第1の駆動装置8としてのアクチュエータ73と、織幅方向に延びる溝70が形成された支持部材6としての溝部材71と、耳糸案内部材5を支持するとともに溝部材71の溝内で織幅方向に変位可能に設けられた変位部材7としてのスライドベース72とを備えている。溝部材71には、第1の耳糸用のガイド74が固定されている。アクチュエータ73がスライドベース72を溝部材71の溝70に沿って織幅方向に直線的に変位させることにより、耳糸案内部材5の目孔4の織幅方向の位置が切り換えられる。
なお、図12では、第1の耳糸が2本(第1の耳糸16a,16b)、すなわち耳糸案内部材5が二つの場合(3本絡み耳組織の場合)を示しており、溝部材71における溝70、スライドベース72及びアクチュエータ73は、各耳糸案内部材5に対応させて一対づつ設けられているが、第1の耳糸が1本の場合(2本絡み耳組織の場合)は、溝70、スライドベース72及びアクチュエータ73はひとつづつでよい。また、図示の例では、第1の耳糸16a,16bの経路を被回転部材10よりも下側を通る位置に規制するために、第1の耳糸用のガイド74,67に加えて第1の耳糸用のガイド75を被回転部材10よりも下方の位置に設ける構成としている。
図13に示す例は、第1の耳糸が1本の場合(2本絡み耳組織の場合)であって、変位部材7を回転軸線周りに一方向へ回転駆動して、耳糸案内部材5(目孔4)の織幅方向の位置を切り換えるものである。なお、図13では、前記実施例,図12の構成と同じ部位には前記実施例,図12と同一の符号を付している。
具体的には、図13の例の耳糸経路切換装置2は、第1の駆動装置8としてのサーボモータ76と、鉛直方向に延在しサーボモータ76の出力軸に直結された支持部材6としての支持軸77と、支持軸77に固定されるとともに支持軸77の回転中心から偏心した位置で耳糸案内部材5を軸受80を介して支持する変位部材7としての円盤状ベース部材78とを備えている。サーボモータ76は、本体ブロック81に内蔵されている。また、本体ブロック81には、第1の耳糸用のガイド79が固定されている。
サーボモータ76が円盤状ベース部材78を一方向へ回転駆動させることにより、耳糸案内部材5を支持軸77の回転軸線周りに周回させて、耳糸案内部材5の目孔4の織幅方向の位置を切り換える。この場合、サーボモータ76が間欠的に回転するようにその駆動を制御する方が好ましいが、連続的に回転するように駆動が制御されるものであってもよい。
間欠回転の場合には、織幅方向に関する第2の耳糸16cの経路を挟んだ両側(経糸列側及び反経糸列側)に特定の二位置を設定しておき、主軸1回転毎にサーボモータ76の出力軸(支持軸77)を半回転させて、前記二位置間で耳糸案内部材5を変位させるとともに、織機主軸1回転中の所定の期間において耳糸案内部材5が前記二位置の一方に位置するようにサーボモータ76の駆動を制御すればよい。なお、耳糸案内部材5を前記二位置間で変位させるタイミングは、第2の耳糸16cが上下方向に関し耳糸案内部材5の上端よりも上方に位置している間であればよい。
一方、連続回転の場合では、織機の主軸2回転に1回転の割合でサーボモータ76の出力軸(支持軸77)を回転させ、耳糸案内部材5を支持軸77の軸線周りに1回転させるとともに、織幅方向に関し耳糸案内部材5が第2の耳糸16cの経路を横切るタイミングと第2の耳糸16cが上下方向に関し耳糸案内部材5の上端よりも上方に位置するタイミングとを合わせるようにサーボモータ76の駆動を制御すればよい。
なお、この例では、耳糸案内部材5は軸受80を介して円盤状ベース部材78に支持されているため、耳糸案内部材5は支持軸77の軸線周りを公転しつつ、第1の耳糸16aの張力で目孔4の向きを常に経糸方向へ向けるように自転する。これにより、耳糸案内部材5の公転にともなって第1の耳糸16aが耳糸案内部材5に絡み付く(巻き付く)ことを防止している。
図14に示す例は、耳糸案内部材5を、経糸方向に延在する回転軸線を揺動中心として揺動させ、耳糸案内部材5(目孔4)の織幅方向の位置を切り換えるものである。なお、図14では、前記実施例,図12の構成と同じ部位には前記実施例,図12と同一の符号を付している。
具体的には、本実施例の耳糸経路切換装置2は、経糸方向に延在した状態で本体ブラケット83に固定配置された支持部材6としての支持軸82を有し、支持軸82の両端部のそれぞれには、耳糸案内部材5としてのスイングロッド85が揺動可能に支持されている。スイングロッド85は、その延在方向の中間位置に貫通孔84を有しており、この貫通孔84に支持軸82が嵌挿されることによって揺動可能に支持されている。スイングロッド85には、下端部(目孔4が形成される側とは反対側の端部)に、スイングロッド85の延在方向に延在するとともに厚さ方向に貫通する長孔86が形成されている。また、本体ブラケット83には、第1の耳糸用のガイド92が固定されている。
図示の例の第1の駆動装置8は、経糸方向に延在した状態で固定配置された回転軸87と、回転中心を回転軸87の軸線に一致させた状態で回転軸87の両端部のそれぞれに相対回転不能に一体的に取り付けられた二つのクランク円盤88と、各クランク円盤88に対し回転中心から偏心した位置に取り付けられた揺動ピン89と、二つのクランク円盤88のうちの一方(図示の例では上流側)の外周に形成されたギヤ歯と噛み合うピニオンギヤ91と、ピニオンギヤ91が出力軸に取り付けられたサーボモータ90とを備える。そして、第1の駆動装置8は、揺動ピン89がスイングロッド85の長孔86に挿通されることにより、スイングロッド85と連結されている。したがって、スイングロッド85(特に、貫通孔84よりも下側の部分)と、クランク円盤88と、揺動ピン89とは、クランク機構を構成している。
サーボモータ90による各クランク円盤88の回転駆動にともない、揺動ピン89が織幅方向に変位し、それによって、スイングロッド85が支持軸82を揺動中心として往復揺動駆動される。その結果、スイングロッド85における支持軸82よりも上側の部分が揺動ピン89とは支持軸82に関し対称的に変位し、目孔4の位置が織幅方向に変位する。なお、スイングロッド85と揺動ピン89とは、長孔86を介して連結されているため、前記回転駆動にともなう揺動ピン89の上下方向の変位がスイングロッド85に波及することはない。
なお、図14の例の場合、スイングロッド85を揺動可能に支持する支持軸82が支持部材6に相当し、スイングロッド85における支持軸82よりも上側の部分が耳糸案内部材5に相当し、スイングロッド85における支持軸82に支持される部分を含む下端側の部分が変位部材7に相当している。すなわち、図示の例では、耳糸案内部材5と変位部材7とがスイングロッド85として一体成形されたものとなっている。ただし、スイングロッド85における変位部材7に相当する部分を耳糸案内部材5に相当部分と別体に形成し、その別体に形成された変位部材7に対しスイングロッド85を固定する構成としてもよい。
図15に示す例は、図14の例と同様に耳糸案内部材5を経糸方向に延在する支持軸を中心に揺動させるものであって、支持軸を直接的に回転駆動するものである。なお、図15では、図14の構成と同じ部位には図14と同一の符号を付している。
具体的には、この例の耳糸経路切換装置2では、第1の駆動装置8は、耳糸案内部材5としてのスイングロッド93のそれぞれに対応させて設けられた二つのサーボモータ94を備え、各サーボモータ94は、その出力軸94aの回転軸線が経糸方向に延在するかたちで本体ブロック95に対し固定配置されている。また、各サーボモータ94の出力軸94aには駆動円盤96が取り付けられており、さらに、その駆動円盤96に対しスイングロッド93が立設されている。なお、本体ブロック95には、第1の耳糸用のガイド97が固定されている。
したがって、各サーボモータ94が駆動円盤96を周期的(間欠的)に往復回動させることにより、スイングロッド93が往復揺動駆動され、各スイングロッド93の目孔4の位置が第2の耳糸16cに対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で周期的に切り換えられる。なお、この場合、各サーボモータ94の出力軸94aが支持部材6に相当し、駆動円盤96が変位部材7に相当する。
耳糸開口装置3について、前記実施例では、被回転部材10の本体部12を、円盤形状に形成された薄板状の部材である回転ディスク61と、回転ディスク61に取り付けられた支持ステー63とで構成しているが、被回転部材10の構成は、これに限らず、例えば、図16、17に示すような構成としてもよい。
具体的には、図16に示す例のように、本体部12は、前記実施例における円盤形状の部材を省略し、第2の駆動装置11として設けられたサーボモータ98の出力軸に相対回転不能に取り付けられたステー99のみで構成されるものであってもよい。なお、図16では、前記実施例,図12の構成と同じ部位には前記実施例,図12と同一の符号を付している。
また、図17に示す例のように、本体部12は、図示しない第2の駆動装置11の駆動軸100に取り付けられた駆動プーリ101と駆動軸100と平行な回転軸線を有する従動プーリ102との間に架け渡されたベルト部材103であってもよい。なお、図17では、図16の例の構成と同じ部位には図16と同一の符号を付している。
そして、この例では、駆動プーリ101と従動プーリ102とは、それらに架け渡されたベルト部材103の軌道が上下方向に垂直で、かつ、経糸方向に平行となるように支持フレーム32に取り付けられている。係合部9は、前記実施例と同様に係合ピン13で構成されており、係合ピン13は、その軸線を駆動軸100の軸線と平行に向けた状態でベルト部材103の外周面に固定されるとともに、その一部がベルト部材103から織幅方向に突出する状態で設けられている。そして、駆動プーリ101を回転駆動してベルト部材103を一方向へ連続回転させることにより、ベルト部材103の外周面に沿った周回軌道上に係合ピン13を周回させるものとなっている。
また、耳糸開口装置について、前記実施例の例では、第2の耳糸16cと係合する係合部9は、外周面で第2の耳糸16cと係合する係合ピン13で構成されているが、係合部9の構成はこれに限らず、例えば、図18、19に示すように、係合ピン13に代えて、係合部9としての目孔105を有する部材を被回転部材10の本体部12に取りつけ、その目孔105に第2の耳糸16cを挿通して第2の耳糸16cを上下に変位させてもよい。そして、この例によれば、前記実施例と異なり、第2の耳糸16cを上下いずれの方向についても係合部によって積極的(強制的)に変位されるものとなる。なお、図18は耳糸開口装置3を経糸列側から見た側面図、図19は図18の耳糸開口装置3を反経糸列側から見た側面図である。また、図18、図19において、図示してある耳糸経路切換装置2は、前記実施例に示した耳糸経路切換装置2と形状が多少異なるが、機能、動作は同じであるので、耳糸経路切換装置2については、前記実施例と同一の符号を付している。
この図示の例の耳糸開口装置3においては、第2の駆動装置11は、前記実施例と同様に、インナーロータタイプのDDモータ(図示略)で構成されており、そのDDモータは、その回転軸線を織幅方向と平行に向けた状態で支持フレーム108に取り付けられている。そのDDモータのロータの経糸列側側面には、被回転部材10の本体部12としての回転ディスク106が相対回転不能に組み付けられている。回転ディスク106の経糸列側の側面には、第1のステー107が固定されている。
第1のステー107は、先端側の側面が経糸方向と平行になるように設けられている。第1のステー107の先端部には織幅方向に貫通する貫通孔が形成されており、その貫通孔に対し目孔105が形成された第1の目孔部材110が取り付けられている。第1の目孔部材110は、軸線方向に貫通する目孔105を有する円筒形の部材であり、軸線方向の一端に第2の耳糸16cをガイドするための鍔部を有している。第1の目孔部材110は、第1のステー107の経糸列側の側面から鍔部を突出させた状態で第1のステー107の貫通孔に嵌合されている。
目孔105には、第2の耳糸16cが回転ディスク106側から通され、第1の目孔部材110における鍔部の内周縁に係合して屈曲され、織前24側へ導かれている。したがって、この例では、この第1の目孔部材110の目孔105が被回転部材10における係合部9に相当する。第1のステー107の寸法、すなわち回転ディスク106ヘの取付部から先端までの延在長さ寸法は、目孔105の回転軸線周りの周回軌道が実施例と同様の条件1、2を満たすように設定されている。
なお、図示の例のように、第2の耳糸16cが目孔105に挿通される構成とする場合は、目孔105よりも上流(ボビン側)の第2の耳糸16cの経路が被回転部材10と干渉して絡まない構成とする必要がある。具体的には、目孔105よりも上流の第2の耳糸16cの経路において、織幅方向に関し第2の耳糸16cの経路を横切る部材等(本図示の例では、第1のステー107)が存在しない構成とする必要がある。そこで、本実施例では、耳糸開口装置3を織幅方向に貫く管路111を設け、第2の耳糸16cを管路111の反経糸列側から挿通すると共に、常に管路111の経糸列側の回転軸線の位置から目孔105へと導いて、目孔105が周回軌道上のどの位置にあっても、耳糸開口装置3における目孔105よりも上流側で第2の耳糸16cの経路を横切る部材が存在しない状態としている。
より詳しく説明すると、管路111は、軸線方向に貫通する貫通孔を有する図示しない円筒部材と、円筒部材の貫通孔の両端に嵌合された二つの第2の目孔部材112とで構成されている。図示しない円筒部材は、回転ディスク106、図示しないDDモータおよび支持フレーム108を織幅方向に貫く延在長さを有しており、その軸線を被回転部材10の回転軸線に一致させた配置で、回転ディスク106、図示しないDDモータおよび支持フレーム108を貫くかたちで、回転ディスク106に対して固定されている。
この構成により、図19に示すとおり、第2の耳糸16cを管路111の反経糸列側(支持フレーム108の背面側)の目孔部材112から挿入し、図18に示すとおり、第2の耳糸16cを管路111の経糸列側(支持フレーム108の正面側)の目孔部材112から引き出すことにより、第2の耳糸16cを常にDDモータの回転軸線の位置から目孔105へと導いて、目孔105よりも上流側の第2の耳糸16cの経路において第2の耳糸16cの経路を横切る部材が存在しない状態としている。すなわち、目孔105が周回軌道上のどの位置にあっても、第2の耳糸16cと第1のステー107とは、目孔105以外の箇所では接触しない。
さらに、この例では、耳糸開口装置3は、被回転部材10(第1のステー107)の回転にともなう織前24から第1の目孔部材110までの第2の耳糸16cの部分経路の長さの変化を吸収すべく、図19に示すように、回転ディスク109の反経糸列側に第2のステー113を備えている。
第2のステー113は、回転ディスク109の反経糸列側の側面に取り付けられており、その先端に織幅方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔には、目孔を有する第3の目孔部材114が嵌め込まれている。また、第2のステー113は、目孔部材114の目孔の位置が、織幅方向に見て、第1の目孔部材110の目孔と同じ配置となるように回転ディスク109に取り付けられている。
そして、図示の例では、第2の耳糸16cの経路は、第2の目孔部材112(管路111)の上流側で第3の目孔部材114の目孔を経由するものとなっている。この構成により、被回転部材10(第1のステー107)の回転にともなう織前24から第1の目孔部材110までの第2の耳糸16cの部分経路の長さの変化を、第2の目孔部材112よりも上流側での第2の耳糸16cの経路の長さの変化によって吸収し、少なくしている。
なお、図示の例のごとく、係合部9としての目孔105により第2の耳糸16を積極的に上下に変位させる場合、前記実施例で示した開口時の第2の耳糸16cの経路を定める耳糸ガイド27は不要である。すなわち、前記実施例では、第2の耳糸16cの下方への変位は第2の耳糸16c自体の張力を利用して消極的に変位させる構成のため、開口時の第2の耳糸16cの経路を耳糸ガイド27によって上下方向に関し最大の耳糸開口量となる位置に規制する必要がある。一方、図示の例では、第2の耳糸16cを目孔105に挿通させて上下方向に積極的に変位させる構成であるため、前記実施例のような耳糸ガイド27は不要となり、耳糸16をボビンから目孔105へ案内する機能のみを有する耳糸ガイドを設ければよく、その配置に関する自由度も前記実施例と比べて高いものとなっている。
また、耳糸開口装置3の係合部9については、前記実施例の係合部9としての係合ピン13に代えて、係合部9として目孔122を有する目孔ピン123を設けるものとしてもよい。なお、図21では、係合部9を除いては前記実施例とほぼ同様の構成が示されており、前記実施例の構成と同じ部位には前記実施例と同一の符号を付している。
この例において、目孔ピン123は、その軸線を織幅方向に延在させた状態で、被回転部材10における支持ステー124に支持されている。また、目孔ピン123は、支持ステー124による支持位置よりも経糸列側の位置に、軸線(織幅方向)と直交する方向に貫通する目孔122を有している。さらに、目孔ピン123は、支持ステー124に対し軸受125を介して支持されており、軸線周りに自転可能となっている。
なお、目孔ピン123を支持ステー124に対し軸受125を介して取り付けた理由は次のとおりである。仮に、軸受125を省いたとすると、目孔122の向きによっては、目孔ピン123自身が目孔122よりも上流の第2の耳糸16cの経路を横切る部材となり、被回転部材10の回転にともない第2の耳糸16cが目孔ピン123に巻きついてしまう。しかし、目孔ピン123を支持ステー124に対し軸受125を介して支持すれば、目孔ピン123は、被回転部材10の回転にともない、周回軌道上を公転しつつ、第2の耳糸16cの張力で目孔122の向きを常に織前へ向けるように自転する。そして、この自転により、目孔122よりも上流の第2の耳糸16cの経路を横切る部材が存在しない状態、すなわち、目孔ピン123の周回軌道上における位置にかかわらず、目孔ピン123は耳糸16cと目孔122以外の箇所で接触しない状態となり、第2の耳糸16cが目孔ピン123に巻き付くことを防止している。
また、係合部9について、前記実施例では、断面形状が円形の係合ピン13を採用しているが、係合部9を係合ピンで構成する場合には、その断面形状は円形に限らず、例えば、図22に示すように、断面形状が偏平なものであってもよい。なお、図22では、耳形成装置1は、係合部9を除いて実施例とほぼ同様の構成に示されており、前記実施例の構成と同じ部位には前記実施例と同一の符号を付している。
そして、この図22に示すような扁平な断面形状の係合ピン126を係合部9として採用することにより、前記実施例と比べ、係合部9の周回軌道における第1の位置(最下降位置)および第2の位置(最上昇位置)において、上下方向に関し第2の耳糸16cの位置が変化しない期間(ドゥエル)を設けることが可能となり、緯入れや、第1の耳糸16a,16bの経路切換をより容易にすることが可能となる。
また、係合部9について、前記実施例では、本体部12に固定された支持ステー63に設けるものとしているが、これに限らず、例えば、前記実施例において支持ステー63を省略し、係合ピン13を本体部12としての回転ディスク61に対して取り付けるものとしてもよいし、または、図20に示すように、係合部9は、本体部12そのものに設けるものとしてもよい。図20では、本体部12としての回転リング115に係合部9としての目孔部材116を直接的に設けている。なお、図20では、図18、図19の例の構成と同じ部位には図18、図19と同一の符号を付している。
具体的には、この図20に示す例では、被回転部材10を構成する本体部12はドーナッツ型に形成された回転リング115で構成されている。回転リング115は、支持フレーム121に固定されたドーナッツ型の図示しないブラケットの内周面で支持されており、支持フレーム121に対し回転可能に設けられている。そして、この本体部12としての回転リング115には、貫通孔が織幅方向に貫通するかたちで形成されている。貫通孔の両端には、貫通孔へ導かれる第2の耳糸16cの経路をガイドするための目孔部材116が嵌挿されている。
目孔部材116は、図18、図19の例の目孔部材110と同様のものであり、回転リング115における織幅方向の側面から鍔部を突出するかたちで回転リング115の前記貫通孔の両端に嵌合されている。したがって、図18、図19の例と同様に、この目孔部材116の目孔が、被回転部材10における係合部9に相当する。なお、回転リング115は、前記貫通孔に嵌挿される目孔部材116の目孔の回転軸線周りの周回軌道が前記実施例と同様の条件1、2を満たすように、その外径及び内径を設定されている。
第2の耳糸16cは、反経糸列側(支持フレーム121の背面側)の図示しない目孔部材116から挿入され、経糸列側(支持フレーム121の正面側)の目孔部材116から引き出されており、回転リング115を貫くかたちで織前24へと導かれている。回転リング115には、その経糸列側の側面および反経糸列側の側面のいずれにも、織幅方向に延在する部材等は取り付けられていない。したがって、目孔部材116よりも上流側の第2の耳糸16cの経路において、織幅方向に関し第2の耳糸16cの経路を横切る部材等は存在しないため、被回転部材10の回転に伴って被回転部材10と第2の耳糸16cとが干渉することはない。
また、図20の例では、被回転部材10は、第2の駆動装置11(駆動軸117)に対し駆動プーリ118、119およびベルト120を介して連結されている。すなわち、前記実施例では、耳糸開口装置3の被回転部材10を第2の駆動装置11としてのDDモータ58に直結しているが、第2の駆動装置11は、被回転部材10を伝達部材を介して駆動するものであってもよい。
具体的には、この図20に示す例では、回転リング115は、前記ブラケットよりも大きい幅寸法(織幅方向の寸法)を有しており、織幅方向に関し前記ブラケットよりも経糸列側部分の外周に対し駆動プーリ118が固定されており、この駆動プーリ118が、ベルト120を介し、図示しないサーボモータの駆動軸117に固定された駆動プーリ119と連結されている。したがって、回転リング115には、駆動軸117の駆動が、駆動プーリ119、ベルト120および駆動プーリ118を介して伝達される。そして、この例では、図示しないサーボモータ、駆動軸117、駆動プーリ118、駆動プーリ119およびベルト120が第2の駆動装置11に相当する。
なお、以上で説明した図18、図19、及び図20、図21の例において、係合部9としての目孔の形状は、円形に限らず、長穴として設けてもよい。
なお、以上のような係合部9を周回軌道上で回転させるための被回転部材10の回転について、前記実施例では、織幅方向に対し平行に延在する回転軸線の周りに被回転部材10を回転させているが、これに限らず、第2の耳糸16cの経路の上下方向の変位に支障をきたさない範囲内で、織幅方向から上下方向及び経糸方向に関して傾けた状態の回転軸線周りに被回転部材10を回転させてもよい。
また、被回転部材10を回転させるための第2の駆動装置11について、前記実施例では、第2の駆動装置11をインナーロータタイプのDDモータ58としているが、これに限らず、例えば、アウターロータタイプのDDモータであってもよいし、DDモータに換えてサーボモータを設け、サーボモータの回転軸に被回転部材10を直接取り付けるようにしてもよい。または、図20のように、第2の駆動装置をサーボモータとベルト伝達機構とで構成し、サーボモータがベルト伝達機構を介して被回転部材10を回転させるようにしてもよい。
また、給糸側の耳形成装置1について、前記実施例では、耳形成装置1を織幅方向の経糸列側から見て被回転部材10を時計回りに回転させているが、被回転部材10を反時計回りに回転させるようにしてもよい。
なお、被回転部材10を上記反時計回りに回転させた場合、規制部材15を備えた前記実施例の構成においては、被回転部材10を上記時計回りに回転させる場合と比べ、緯入れに必要な開口が形成される期間をより長くできるという効果が得られる。詳しくは、以下の通りである。ただし、以下の説明においては、係合ピンが変位する周回軌道を被回転部材10の回転中心を通る鉛直線を境にして上流側と下流側とで分けた場合の上流側を上流側の周回軌道とし、下流側を下流側の周回軌道として説明する。
前記実施例のように耳糸開口装置3の下流側に規制部材15が設けられている場合、第2の耳糸16cは、規制部材15の位置で織幅方向に関し経糸列側へ屈曲されて、織前24へ導かれることとなる。その場合、第2の耳糸16cが上下動する際、第2の耳糸16cに対しては、規制部材15との摺接に伴う摩擦抵抗が作用する。
係合部9が第2の位置P2から第1の位置P1へ向けて回転する場合、被回転部材10を上記反時計回りに回転させると、係合部9は、下流側の周回軌道上を変位する。一方、被回転部材10を上記時計回りに回転させると、係合部9は、上流側の周回軌道上を変位する。したがって、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合と上記時計回りに回転させる場合とでは、係合部9と規制部材15との間の距離、すなわち第2の耳糸16cにおける係合部9と規制部材15との間の経路長が、前者の場合は、係合部9が第2の位置P2にあるときよりも短い状態で第2の耳糸16cが下方へ向けて変位するのに対し、後者の場合は、係合部9が第2の位置P2にあるときよりも長い状態で第2の耳糸16cが下方へ向けて変位する。
そのため、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合は、上記時計回りに回転させる場合に比べて、前記経路長が短いため、第2の耳糸16cの部分経路が撓みにくい状態となっており、規制部材15との摺接に伴う摩擦抵抗が第2の耳糸16cに作用していても、係合部9の上記変位に対し高い追随性をもって第2の耳糸16cが下方へ変位する。その結果、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合は、係合部9の変位に対し耳糸開口の形成が速やかに行われる。
係合部9が第1の位置P1から第2の位置P2へ向けて回転する場合、被回転部材10を上記反時計回りに回転させると、係合部9は、上流側の周回軌道上を変位する。一方、被回転部材10を上記時計回りに回転させると、係合部9は、下流側の周回軌道上を変位する。したがって、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合と上記時計回りに回転させる場合とでは、第2の耳糸16cにおける係合部9と規制部材15との間の経路長は、前者の場合は、係合部9が第1の位置P1にあるときよりも長い状態で第2の耳糸16cが上方へ向けて変位するのに対し、後者の場合は、係合部9が第1の位置P1にあるときよりも短い状態で第2の耳糸16cが上方へ向けて変位する。
そのため、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合は、上記時計回りに回転させる場合に比べて、前記経路長が長いため、第2の耳糸16cの部分経路は撓みやすい状態となっており、規制部材15との摺接に伴う摩擦抵抗が第2の耳糸16cに作用した状態において、係合部9の変位に対する第2の耳糸16cの追随性が低くなり、係合部9の変位に対し第2の耳糸16cの上方への変位に遅れが生じる。その結果、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合は、係合部9の変位に対し耳糸開口を閉じる動作に遅れが生じる。
このように、耳形成装置1が規制部材15を備える場合において、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合、係合部9の変位に対し、耳糸開口の形成が速やかに行われると共に、耳糸開口を閉じる動作に遅れが生じるため、緯入れに必要な耳糸の開口が形成される期間を上記時計回りの場合に比べて長くすることが可能となるという効果が得られる。
ただし、前記実施例のように、被回転部材10を上記時計回りに回転させた場合には、被回転部材10を上記反時計回りに回転させる場合と比べ、第1の耳糸16a,16bの経路の切換タイミングを早めることが可能となるという効果が得られる。詳しくは以下の通り。
被回転部材10を、上記時計回りに回転させた場合、第1の位置P1から第2の位置P2へ向けて回転する係合ピン13は、被回転部材10の回転軸線よりも下流側の周回軌道を上方へ向けて変位する。すなわち、第2の耳糸16cにおける係合部9と規制部材15との間の経路長が短く、第2の耳糸16cの部分経路が撓み難い状態となっており、第2の耳糸16cが、係合ピン13の変位に対する追随性が高い状態で変位する。
このため、経糸方向における耳糸案内部材5の位置での第2の耳糸16cの部分経路の高さ位置が耳糸案内部材5の上端よりも下方に位置した状態で、耳糸経路切換装置2が第1の耳糸16a,16bの経路の切換を開始して耳糸案内部材5と第2の耳糸16cとが干渉しても、第2の耳糸16cの部分経路が撓みにくい状態となっているため、耳糸案内部材5との干渉に伴う摩擦抵抗や屈曲によって第2の耳糸16cが係止され難く、第2の耳糸16cを耳糸案内部材5の間から上方へ強制的に離脱させることが可能となる。このため、第1の耳糸16a,16bの経路の切換タイミングを早めてより高速の織機に対応することが可能となる。
なお、図示しない反給糸側の耳形成装置についても、給糸側と同様に、被回転部材を時計回り、反時計回りのどちらに回転させてもよい。ただし、反給糸側の耳形成装置では、被回転部材10の回転方向と開口形成動作および閉口動作との関係については、前記した給糸側の耳形成装置1の説明における「時計回り」を「反時計回り」と、「反時計回り」を「時計回り」と読み替えたものとなる。
また、前記実施例では、耳糸開口装置3(被回転部材10)の一部がヘルドフレーム28aの存在範囲に位置する配置となっているが、耳糸開口装置3(被回転部材10)の配置は必ずしもヘルドフレーム28aの存在範囲に位置させる必要はない。例えば、緯入れに必要な耳糸開口の開口量に余裕のある場合には、緯入れに支障の出ない範囲内で、被回転部材10の配置を経糸方向に関しヘルドフレーム28aよりも上流側の位置に配置するようにしてもよい。また、製織中の織機の主軸回転数が比較的低い場合には、耳糸開口装置3におけるDDモータ58や被回転部材10の回転数も低くてよいため、DDモータ58や被回転部材10の慣性により第2の駆動装置11に掛かる負荷も小さくなる。したがって、このような場合には、前記慣性による第2の駆動装置11に掛かる負荷に支障の無い範囲内で、被回転部材10を大径化して係合部9の周回軌道の直径を大きくし、第2の耳糸16cの上下方向の変位量を増加させた上で、被回転部材10の配置を経糸方向のヘルドフレーム28aよりも上流側の位置として、緯入れに必要な耳糸16の開口量を維持させるようにしてもよい。
さらに、前記実施例では、被回転部材10の回転に伴って、耳糸開口装置3よりも織前24側で第2の耳糸16cの経路が織幅方向に振動するのを防止する目的で、経糸方向に関する耳糸開口装置3と耳糸経路切換装置2との間の位置に規制部材15を設けているが、この規制部材15については省略可能である。なお、その場合、係合部9の周回軌道を含む平面が耳糸ガイド27から織前24へと至る第2の耳糸16cの経路と平行になるように、すなわち、第2の耳糸16cの経路と被回転部材10の回転軸とが直交するように耳糸開口装置3を設ける構成とした方が好ましい。ただし、耳糸開口装置3の配置や被回転部材10における周回軌道の大きさ等によって上記振動が許容できる程度のものである場合や、耳糸経路切換装置2を上記振動に対応した構成とする場合は、単に規制部材15を省略するだけでもよい。
また、前記実施例では、係合ピン13を省略した状態での上下方向に関する第2の耳糸16cの経路が、耳糸開口装置3の位置において、周回軌道上における最下降位置である第1の位置P1にある係合ピン13とほぼ同じ位置かそれよりも下方を通過する位置となるように、耳糸開口装置3よりも下方の位置に耳糸ガイド27を設けているが、これに限らず、図10や前述した図11の例のように、第2の耳糸16cの経路が、耳糸開口装置3の位置において、周回軌道上における最上昇位置にある係合ピン13とほぼ同じ位置かそれよりも上方を通過する位置となるように、耳糸ガイドを耳糸開口装置3よりも上方の位置に配置してもよい。
なお、前記実施例では、一枚の織布を製織する織機の給糸側及び反給糸側、すなわち織布の両織端に耳形成装置1を設ける例について説明したが、本発明は、複数枚の織布を同時に製織する複数幅取り織機における中耳形成用としても適用可能である。この場合、織機の給糸側及び反給糸側に加え、隣接する織布の間(例えば、二幅取りされる第1、第2の織布の間)に中耳形成用の耳形成装置1が各織布の織端に対応して二つ設けられる。なお、この場合、前記実施例に倣って、隣接する織布の間に設けられる二つの耳形成装置1のそれぞれが独立した耳糸経路切換装置2を備えるものであってもよいが、二つの耳形成装置1が一つの耳糸経路切換装置2を共用するものであってもよい。
例えば、図23に示す例は、第1の織布127と第2の織布128とのそれぞれに中耳を形成するために、図示しない二つの耳糸開口装置3と、一つの耳糸経路切換装置2を用いている。この例では、3本の耳糸16(第1の耳糸16a,16b、第2の耳糸16c)によって3本絡み耳組織を形成する例であり、第1の織布127の第2の耳糸16cおよび第2の織布128の第2の耳糸16cは、前記実施例と同様に、それぞれが二つの図示しない耳糸開口装置の一方又は他方により上下方向に変位させられ、開口を形成する。
一方、第1の耳糸16a,16bの経路の切換えに関しては、第1の織布127と第2の織布128との双方について、一つの耳糸経路切換装置2によって行う。図示の例の耳糸経路切換装置2の変位部材7としてのベース部材129には、耳糸案内部材5として、第1の織布127用の耳糸案内ロッド130a,130bと、第2の織布128用の耳糸案内ロッド131a,131bとが設けられている。ベース部材129は、支持部材6としての支持軸132に固定されており、前記実施例と同様に、図示しない第1の駆動装置8により支持軸132を介して揺動運動させられ、第1の耳糸16a,16bの経路を切り換える。
図示の例において、第1の耳糸用のガイド133a,133b,134a,134bは前記実施例における第1の耳糸用のガイド44a,44bに相当し、規制部材135,136は前記実施例における規制部材15に相当する。
本発明の耳形成装置は、捨耳形成装置として用いてもよい。その場合、緯入れされた緯糸の先端は、織端に配置された捨耳形成装置としての本発明の耳形成装置の耳糸により把持されて耳を形成し、形成された耳は筬打ち後にカッタにより織布から切断され、捨耳となる。切断された捨耳、すなわち緯糸の先端と耳糸とは、最終的に廃棄される。
1 織機の耳形成装置
2 耳糸経路切換装置
3 耳糸開口装置
4 目孔
5 耳糸案内部材
6 支持部材
7 変位部材
8 第1の駆動装置
9 係合部
10 被回転部材
11 第2の駆動装置
12 本体部
13 係合ピン
14 バランサ
15 規制部材
16 耳糸
16a 第1の耳糸
16b 第1の耳糸
16c 第2の耳糸
17 緯糸
17a 緯入れする緯糸
17b 緯入れする緯糸
18 経糸
19 織布の織端
20 フレーム(給糸側)
21 横梁部材
22 ボビン
22a 第1の耳糸用ボビン
22b 第1の耳糸用ボビン
22c 第2の耳糸用ボビン
23 ボビンスタンド
24 織前
25 テンサ装置
26 ドロッパ装置
27 耳糸ガイド
28 綜絖枠群
28a ヘルドフレーム
28b ヘルド
28c サイドフレーム
29 筬
30 スタンド
31 ステー
31a 固定孔
32 支持フレーム
33 ガード部材
34 ボルト
35 本体ブロック
36 支持軸
37 ベース部材
38a 耳糸案内ロッド
38b 耳糸案内ロッド
39 開口部
40 平面
41 軸受収納孔
42 軸受
43a 貫通孔
43b 貫通孔
43c 貫通孔
44a 第1の耳糸用のガイド
44b 第1の耳糸用のガイド
45 揺動ブロック
45a 側面
45b 傾斜面
45c 貫通孔
46 永久磁石
47 永久磁石
48 電磁石
49 電磁石用ハウジング
50 ストッパ部材
51 対称軸線
52 取付孔
53 取付孔
54 上流側面
55 フランジ
56 貫通孔
58 DDモータ
59a ステータ
59b ロータ
60 回転軸線
61 回転ディスク
62 鍔部
63 支持ステー
64 バランサステー
65 バランサピン
66 案内溝
66a 案内溝
66b 案内溝
66c 案内溝
67 第1の耳糸用のガイド
67a 第1の耳糸用のガイド
67b 第1の耳糸用のガイド
68 ガードステー
69 カバー
70 溝
71 溝部材
72 スライドベース
73 アクチュエータ
74 第1の耳糸用のガイド
75 第1の耳糸用のガイド
76 サーボモータ
77 支持軸
78 円盤状ベース部材
79 第1の耳糸用のガイド
80 軸受
81本体ブロック
82 支持軸
83 本体ブラケット
84 貫通孔
85 スイングロッド
86 長孔
87 回転軸
88 クランク円盤
89 揺動ピン
90 サーボモータ
91 ピニオンギヤ
92 第1の耳糸用のガイド
93 スイングロッド
94 サーボモータ
94a 出力軸
95 本体ブロック
96 駆動円盤
97 経糸ガイド
98 サーボモータ
99 ステー
100 駆動軸
101 駆動プーリ
102 従動プーリ
103 ベルト部材
104 耳糸ガイド
105 目孔
106 回転ディスク
107 第1のステー
108 支持フレーム
109 回転ディスク
110 第1の目孔部材
111 管路
112 第2の目孔部材
113 第2のステー
114 第3の目孔部材
115 回転リング
116 目孔部材
117 駆動軸
118 駆動プーリ
119 駆動プーリ
120 ベルト
121 支持フレーム
122 目孔
123 目孔ピン
124 支持ステー
125 軸受
126 係合ピン
127 第1の織布
128 第2の織布
129 ベース部材
130a 耳糸案内ロッド
130b 耳糸案内ロッド
131a 耳糸案内ロッド
131b 耳糸案内ロッド
132 支持軸
133a 第1の耳糸用のガイド
133b 第1の耳糸用のガイド
134a 第1の耳糸用のガイド
134a 第1の耳糸用のガイド
135 規制部材
136 規制部材
WL ワープライン
P1 第1の位置
P2 第2の位置

Claims (6)

  1. ボビン(22)から引き出される少なくとも2本の耳糸(16)によって耳組織を形成する織機の耳形成装置(1)であって、
    経糸方向に関し織前(24)よりも経糸送出側に配置される耳糸経路切換装置(2)と、
    経糸方向に関し前記耳糸経路切換装置(2)よりも経糸送出側に配置される耳糸開口装置(3)とを含み、
    前記耳糸経路切換装置(2)は、
    少なくとも上下方向に延在する棒状の耳糸案内部材(5)であって先端に第1の耳糸(16a,16b)が挿通される目孔(4)を有する耳糸案内部材(5)と、
    織機のフレームに対し固定配置される支持部材(6)と、
    前記耳糸案内部材(5)を支持するとともに前記耳糸案内部材(5)の織幅方向の位置を切り換え可能とするために前記支持部材(6)によって織機のフレームに対し変位可能に支持される変位部材(7)と、
    織機のフレームに対して固定配置されるとともに前記変位部材(7)に連結される第1の駆動装置(8)であって前記目孔(4)の位置を第2の耳糸(16c)に対する織幅方向の経糸列側と反経糸列側との二位置間で周期的に切り換えるように前記変位部材(7)を駆動する第1の駆動装置(8)とを備え、
    前記耳糸開口装置(3)は、
    上下方向と交差する方向に延在する回転軸線周りに回転可能に織機のフレームに対して固定配置された被回転部材(10)であって、前記回転軸線から離間して設けられ第2の耳糸(16c)と係合して第2の耳糸(16c)の経路を変位させる係合部(9)を含む被回転部材(10)と、
    前記被回転部材(10)を前記回転軸線周りに一方向へ連続的に回転駆動する第2の駆動装置(11)とを備え、
    前記耳糸開口装置(3)は、前記第2の駆動装置(11)が前記被回転部材(10)を回転駆動することにより、前記係合部(9)を、経糸方向における少なくとも前記耳糸案内部材(5)の位置で第2の耳糸(16c)の経路が上下方向に関し前記目孔(4)よりも第1の駆動装置(8)側の位置を通る経路となる位置、および経糸方向における少なくとも前記耳糸案内部材(5)の位置で第2の耳糸(16c)の経路が上下方向に関し前記耳糸案内部材(5)の先端よりも反第1の駆動装置(8)側の位置を通る経路となる位置、を含む周回軌道上に周回させることを特徴とする織機の耳形成装置(1)。
  2. 前記被回転部材(10)は、
    前記第2の駆動装置(11)によって回転駆動される本体部(12)と、
    前記係合部(9)として前記本体部(12)から織幅方向に関し経糸列側へ突出して設けられた係合ピン(13)であって第2の耳糸(16c)の上下方向における一方側で第2の耳糸(16c)と係合して第2の耳糸(16c)の経路を第1の耳糸(16a,16b)の経路に対し一方側から他方側へと変位させて切り換える係合ピン(13)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の織機の耳形成装置(1)。
  3. 前記被回転部材(10)は、前記回転軸線に対して前記係合ピン(13)と対称な位置にバランサ(14)を備えることを特徴とする請求項2に記載の織機の耳形成装置(1)。
  4. 前記被回転部材(10)は、少なくとも一部を経糸方向におけるヘルドフレーム(28a)の位置に配置されることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の織機の耳形成装置(1)。
  5. 経糸方向に関して前記耳糸開口装置(3)よりも織前(24)側に設けられて織幅方向に関する第2の耳糸(16c)の経路を規制する規制部材(15)を備えることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の織機の耳形成装置(1)。
  6. 第2の耳糸(16c)が上下方向に関し第1の耳糸(16a,16b)と開口を形成する方向へ変位する過程において、前記第2の駆動装置(11)が、前記係合部(9)を、前記周回軌道における前記被回転部材(10)の前記回転軸線を通る鉛直線よりも織前(24)側の軌道上を変位させる回転方向に、前記被回転部材(10)を回転駆動することを特徴とする請求項5に記載の織機の耳形成装置(1)。
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