JP2014005192A - 無機質焼結体製造用バインダー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体を含有する無機質焼結体製造用バインダーであって、前記ポリビニルブチラールは、重合度が800〜5000、水酸基量が20〜40モル%、ブチラール化度が60〜80モル%であり、前記ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットのガラス転移温度が0〜110℃である無機質焼結体製造用バインダー。
【選択図】なし
Description
セラミックグリーンシートは、セラミック原料粉末とバインダー樹脂、可塑剤、消泡剤、分散剤及び有機溶剤等をボールミル等の混合装置により均一に混合してスラリーを調整し、このスラリーを支持体に塗布した後、溶剤の乾燥除去を行うことによって製造される。
このようなセラミックグリーンシートに使用されるバインダーとしては、セラミックグリーンシートとした際のシート強度付与効果、及び、焼成時における熱分解性において、従来に比べて高い性能が求められている。加えて、前記のように、薄層のセラミックグリーンシートを200層以上に積み重ねるためには、加熱プレス時の接着性が良好であることが重要となる。
しかしながら、バインダー樹脂としてポリビニルアセタールを単独で用いた場合は、シート強度は高いものの熱分解性が悪いため、バインダーの一部が分解焼失しないで焼結体内に残留炭化物として残存したり、焼結工程で急激に分解飛散することにより成形体にクラックや反りや膨れ等が起こったりする等の問題があった。
しかしながら、これらの文献に記載のバインダー、及び、セラミックグリーンシートを用いた場合においても、厚さ5μm以下の薄膜のセラミックグリーンシートを作製する場合には、充分なシート強度や柔軟性が得られず、剥離時又は打ち抜き時にセラミックグリーンシートが破損する等の問題があった。
以下、本発明を詳述する。
本発明において、「ポリビニルブチラールからなるユニット」及び「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」とは、グラフト共重合体中に存在している「ポリビニルブチラール」、「ポリ(メタ)アクリル酸類」のことをいう。
また、ポリビニルブチラールからなるユニット及びポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットを有するグラフト共重合体は、主鎖を構成する「ポリビニルブチラールからなるユニット」又は「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」に、該主鎖とは異なる側鎖を構成する「ポリビニルブチラールからなるユニット」又は「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」が結合した分岐状の共重合体のことをいう。
また、グラフト共重合体とすることによって、バインダー樹脂中に含まれるポリビニルブチラール構造を有する部分とポリ(メタ)アクリル酸類構造を有する部分がマクロ的に相分離せず、均質にバインダー中に存在することができるため、柔軟性や熱分解性といった性能も十分に発揮することができる。
更に、グラフト共重合体であることで、スラリーとした際の粘度上昇が小さいために過剰の有機溶剤を用いることが必要なく、調製作業性が良好であり、且つ、塗工性に優れたセラミックグリーンシート用スラリーが得られるという利点がある。
加えて、弾性率の違う2つのユニットが混在することにより、低弾性率ユニットが応力を緩和することができ、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、充分な柔軟性を付与することができる。
また、打ち抜き加工時や、積層後の加熱プレス時に応力等が作用しても、その応力を効果的に吸収できるため、セラミックグリーンシートにクラックが生じることを効果的に抑制することができる。
更に、スラリーとした際の粘度が高くなって、セラミック粉末の分散性が悪くなるだけでなく、支持体へ塗布する際に塗布ムラが発生し、均質なセラミックグリーンシートが得られないことがある。好ましい下限は1000、好ましい上限は4500である。
より好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は90重量%、また、特に好ましい下限は30重量%、特に好ましい上限は80重量%である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。
また、上記(メタ)アクリル酸類はメタクリル酸類を90重量%以上含有し、特に、単官能メタクリル酸エステルを90重量%以上含有することが特に好ましい。このことにより、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、焼成時における分解性が高くなり、残留炭化物が少ないバインダーを得ることができる。また、スラリーとした際に適度な粘度とすることができる。
上記単官能(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度を0〜110℃の範囲内とする方法としては、例えば、以下の式を満たすように(メタ)アクリル酸類を選択するという方法がある。
0≦W1/Tg1+W2/Tg2+・・・≦0.009
W1、W2・・:上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットを構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・の質量分率
ここでW1+W2+・・=1
Tg1、Tg2・・:上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットを構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・のホモ重合体のガラス転移温度(゜K)
このことにより、(メタ)アクリル酸類ユニット部分のガラス転移温度が下がるだけでなく、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、焼成時における分解性に優れたバインダーとすることができる。
上記側鎖に炭素を8個以上含む(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート等のポリエチレングリコール鎖をエステル側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記範囲内とすることで、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、充分な機械的強度、及び、柔軟性を有するセラミックグリーンシートが得られる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度が0℃未満であると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、柔軟性が非常に高くなり、充分なシート強度を付与することができないだけでなく、加工時にグリーンシートが伸縮し、寸法精度に支障をきたす。また、ポリビニルアセタールユニットとのガラス転移温度の差が大きくなりすぎて、均質な物性を示すことができない。
逆に、上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度が110℃を超えると、セラミックグリーンシートの可塑性が低くなり、加熱プレス時の接着性や工程全体の加工性に劣るものとなる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度の好ましい下限は20℃、好ましい上限は105℃である。
なお、上記ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は、グラフト共重合体を示差走査熱量測定した際、ホモポリマーのガラス転移温度から推定したポリビニルブチラールユニット由来のガラス転移温度を除外することにより測定することができる。
また、後述する可塑剤を添加した場合は、優先的にポリビニルブチラールユニットが可塑化され、ポリビニルブチラールユニットのガラス転移温度が変化するため、上記「ホモポリマーのガラス転移温度から推定したポリビニルブチラールユニット由来のガラス転移温度」は、同割合の可塑剤を添加したホモポリマー系より推定する必要がある。
上記平均ガラス転移温度が範囲内であると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、優れた柔軟性、及び、優れたシート強度を両立するセラミックグリーンシートが得られる。
逆に、上記平均ガラス転移温度が80℃を超えると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、グリーンシートの可塑性が低くなり、柔軟性が低下するだけでなく、加熱プレス時の接着性や工程全体の加工性に劣るものとなることがある。
なお、本発明において、「グラフト率」とは、グラフト共重合体中のポリビニルブチラールからなるユニットに対するポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの比率を表し、例えば、以下の方法により評価することができる。得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、不溶分をグラフト共重合体とする。得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの重量を換算し、下記式(2)を用いて算出することができる。
上記グラフト共重合体が上記他のモノマーからなるユニットを有することにより、得られるグラフト共重合体の分子間相互作用が増大し、該グラフト共重合体をバインダーに用いることによって、シート強度が高いセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが極性基を有する場合には、該極性基と無機粉末の表面とが水素結合等の相互作用を起こすことにより、得られるスラリーの無機粉末の分散性を向上させ、分散剤を配合しない場合においても均一なセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びエーテル基からなる群より選択される官能基を有する場合には、バインダー内の酸素含有量が高くなり、熱分解に有効なラジカルが発生することから、バインダーの焼成を助け、残留炭化物が非常に少ないグリーンシートを得ることができる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
また、懸濁重合法としては、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマー、純水、分散剤、ラジカル重合開始剤を仕込み、重合器内の空気を窒素に置換し、モノマーをポリビニルブチラール樹脂中に膨潤させた後に昇温して、(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
更に、塊状重合法としては、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマーを添加して、加熱しながら攪拌することによってポリビニルブチラールをモノマーに溶解させた後、重合器内の空気を窒素に置換してから、さらにラジカル重合開始剤を加えて(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
上記グラフト効率が10%未満であると、得られた樹脂の均質性が失われ、セラミックグリーンシートの強度、柔軟性が低下するため好ましくない。
なお、本発明において、「グラフト効率」とは、添加した(メタ)アクリル酸類の全量に対して、グラフト共重合体中に取り込まれた(メタ)アクリル酸類の比率を表し、例えば、以下の方法で評価できる。
得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、可溶分を(メタ)アクリル酸類のホモポリマー、不溶分をグラフト共重合体とする。
得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの重量を換算し、下記式(3)を用いてグラフト効率を求めることができる。
これらのラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤としては特に限定されないが、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)等のフタル酸ジエステル、ジオクチルアジペート等のアジピン酸ジエステル、トリエチレングリコール2−エチルヘキシル等のアルキレングリコールジエステル等が挙げられる。なかでも、揮発性が低く、シートの柔軟性を保ちやすいことから、DOP、トリエチレングリコール2−エチルヘキシルが好適である。
上記有機溶剤は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、アルコールを少量でも用いると、バインダーの粘度が下がり、取扱性に優れるペーストが得られる。
また、80℃以上の沸点を持つ有機溶剤を含有することにより、急激な乾燥が防ぐことができ、得られるグリーンシートの表面を平滑にすることができる。
上記セラミックグリーンシートを作製する方法としては、特に限定されず、公知の成形方法によって成形される。例えば、本発明の無機質焼結体製造用バインダーに、必要に応じて分散剤、消泡剤等の添加物を配合し、有機溶媒とセラミック粉末と共にボールミル等の混合装置で均一に混合してスラリーを調製し、該スラリーをPETフィルム等の支持体上にドクターブレード法等の公知の方法により湿式塗布し、有機溶剤を乾燥除去する方法が挙げられる。その他に、上記スラリーをスプレードライヤー法等により顆粒状に造粒した後、該顆粒を乾式プレス法により成形する方法等も挙げられる。
この場合、上記セラミックグリーンシートを構成する無機質焼結体製造用バインダーの平均ガラス転移温度は、加熱プレス時の温度より10℃以上低いことが好ましい。これにより、加熱プレス時における接着性が特に良好となる。また、上記加熱プレス温度は50〜100℃であることが好ましい。上記加熱プレス温度がこの温度範囲であると、セラミックグリーンシートの寸法を安定に保ちつつ、充分に接着させることができる。
(1)グラフト共重合体の調製
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルブチラール(重合度1700、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)25重量部と、イソブチルメタクリレート25重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを16重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、25万であった。
グラフト効率は63%、グラフト率は61%であった。
また、ポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は48℃、平均ガラス転移温度は45.5℃であった。
得られたグラフト共重合体溶液を希釈溶剤(エタノールとトルエンの混合溶剤、エタノールとトルエンの重量比率は1:1)により希釈し、固形分10重量%の溶液とした。次に、本溶液20重量部にセラミック粉末としてチタン酸バリウム粉末(BT−03、平均粒子径0.3μm、堺化学工業社製)20重量部を添加し、ボールミルを用いて48時間混練してセラミックグリーンシート用スラリーを得た。
次に、得られたセラミックグリーンシート用スラリーを、コーターを用いて乾燥後の厚みが3μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、常温で1時間風乾した後、熱風乾燥機で80℃で1時間、ついで、120℃で1時間乾燥してセラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート20重量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、27万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は34℃、平均ガラス転移温度は39℃であった。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、24万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は49℃、平均ガラス転移温度は44.5℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度3500、ブチラール化度67.9モル%、水酸基量30.7モル%、アセチル基量1.4モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、43万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は51℃、平均ガラス転移温度は48.5℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート25重量部及びグリシジルメタクリレート12重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分40重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、35万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は47℃、平均ガラス転移温度は45℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度3500、ブチラール化度67.9モル%、水酸基量30.7モル%、アセチル基量1.4モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート25重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.6重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、43万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は107℃、平均ガラス転移温度は65℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度65.1モル%、水酸基量33.9モル%、アセチル基量1.0モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部及びグリシジルメタクリレート5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分50重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.6重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、23万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は89℃、平均ガラス転移温度は62.8℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度3800、ブチラール化度66.9モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量1.9モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート20重量部及びグリシジルメタクリレート5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分50重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.6重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、45万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は91℃、平均ガラス転移温度は58℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度1700、ブチラール化度68.1モル%、水酸基量31.0モル%、アセチル基量0.9モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルチルメタクリレート3重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1重量部及びグリシジルメタクリレート1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分50重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.6重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、30万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は47℃、平均ガラス転移温度は29.5℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度4000、ブチラール化度65.9モル%、水酸基量32.2モル%、アセチル基量1.9モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート14重量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分50重量%のグラフト共重合体溶液を得た。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、30万であった。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.3重量部添加した。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットのガラス転移温度は101℃、平均ガラス転移温度は64.8℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)50重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解したポリビニルブチラール樹脂溶液を作製した。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.1重量部添加した。
なお、得られたポリビニルブチラールについて、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、15万であった。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られたポリビニルブチラール樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量8万)50重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解したポリメチルメタクリレート溶液を作製した。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.1重量部添加した。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られたポリイソブチルメタクリレート溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
また、ポリイソブチルメタクリレートのガラス転移温度は、52℃であった。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)25重量部と、ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量8万)25重量部との混合物(重量比で1:1)をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解した混合樹脂溶液を作製した。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジブチルフタレートを0.1重量部添加した。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られた混合樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、末端にメルカプト基を有するポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度60.2モル%、水酸基量39.0モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部と、イソブチルメタクリレート100重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.1重量部添加した。
次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。
30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのAIBNを16重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。
その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、ブロック共重合体を含有する固形分20重量%のブロック共重合体溶液を得た。
なお、得られたブロック共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、20万であった。
次いで、得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート20重量部及びイソボルニルメタクリレート5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、24万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットにおけるガラス転移温度は118℃、平均ガラス転移温度は81℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)を用いたこと、及び、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、2−エチルヘキシルメタクリレート25重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。更に、本溶液10重量部に可塑剤としてジオクチルフタレートを0.3重量部添加した。
なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、20万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるポリ(メタ)アクリル酸類ユニットにおけるガラス転移温度は−5℃、平均ガラス転移温度は19℃であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
上記で得られた樹脂溶液、セラミックグリーンシートの性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、可溶分を(メタ)アクリル酸類のホモポリマー、不溶分をグラフト共重合体とした。
得られたグラフト共重合体について、DSC6200(SII社製)を用いて、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行った。
なお、測定された2つのガラス転移温度のうち、ホモポリマーのガラス転移温度から推定したポリビニルアセタールユニット由来のガラス転移温度とは異なるガラス転移温度を、ポリ(メタ)アクリル酸ユニットのガラス転移温度とした。
得られた樹脂溶液を用いて、厚さが100μmのバインダー樹脂からなるフィルムを作製し、これを600℃まで加熱し、完全に分解するか否かを観察して、以下の基準で熱分解性を評価した。
◎:残さがなく、完全に分解した。
○:残さは殆どなく、概ね完全に分解した。
×:明らかな残さがあった。
得られたセラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離し、セラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準で強度・剥離性を評価した。
◎:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートに切れや破れは全く観察されなかった。
○:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートのごく一部に、小さな切れが観察された。
×:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離できない、もしくは、剥離したシートの大部分に切れや破れが観察された。
グリーンシートの中央部を直径2mmのガラス芯棒で押さえ、これを中心とする180°の折り曲げ試験を行い、以下の基準で柔軟性を評価した。
○:クラックの発生は確認できなかった。
×:クラックの発生が確認された。
得られたグリーンシートを10cm角に切断した後、10枚重ねて、温度70℃、圧力150kg/cm2、時間10分間の熱圧着条件で積層させた。層間の接着性を目視にて観察し、以下の基準で接着性を評価した。
◎:まったく層間剥離が認められず、強固に接着していた。
○:層間剥離が一部認められた。
×:層間剥離がかなり多く認められた。
得られたセラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準でシート均一性を評価した。
◎:セラミックグリーンシートにムラが無く、均一なシートが得られた。
○:セラミックグリーンシートにムラは殆ど無く、概ね均一なシートが得られた。
×:セラミックグリーンシートに明らかなムラがあった。
Claims (8)
- ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体を含有する無機質焼結体製造用バインダーであって、
前記ポリビニルブチラールは、重合度が800〜5000、水酸基量が20〜40モル%、ブチラール化度が60〜80モル%であり、
前記ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットのガラス転移温度が0〜110℃である
ことを特徴とする無機質焼結体製造用バインダー。 - ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体は、ポリビニルブチラールからなるユニットを10〜90重量%含有し、ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットを10〜90重量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、メタクリル酸類を90重量%以上含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、分子内にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基又はエーテル基を有する(メタ)アクリル酸類を3〜50重量%含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の無機質焼結体製造用バインダー、有機溶剤、及び、無機質微粒子を含有することを特徴とする無機質焼結体製造用ペースト。
- 請求項6記載の無機質焼結体製造用ペーストを用いてなることを特徴とするセラミックグリーンシート。
- 請求項7記載のセラミックグリーンシートを複数枚積層して加熱プレスすることにより得られるセラミック積層体であって、無機質焼結体製造用バインダーの平均ガラス転移温度が、加熱プレス時の温度より10℃以上低いことを特徴とするセラミック積層体。
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