JP6974021B2 - 燃料電池発電セル製造用バインダー - Google Patents
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Description
SOFCの発電セルは、固体電解質層等の無機質焼結体の一方の面に多孔質構造の空気極が形成され、他方の面に多孔質構造の燃料極が形成された積層体の構造を有している。
しかしながら、バインダー樹脂としてポリビニルアセタールを単独で用いた場合は、シート強度は高いものの熱分解性が悪いため、バインダーの一部が分解焼失しないで焼結体内に残留炭化物として残存するという問題があった。また、燃料電池では、発電効率を向上させるために、無機質焼結体の多孔度を高める必要があるが、多孔度を高めると燃料電池セルの強度が低下するため、焼成工程において、急激に分解ガスが発生することにより成形体にクラックや反り、膨れ等が生じえ、燃料電池の生産性が低下するという問題があった。
以下、本発明を詳述する。
上記バインダー樹脂組成物は、10℃/分で昇温した場合における5重量%重量損失温度と95重量%重量損失温度との差が230℃以上である。
上記5重量%重量損失温度と95重量%重量損失温度との差が230℃以上であることで、焼結体を製造する際の脱脂焼成工程において、バインダーが急激に分解することがなく、体積収縮に伴う割れやクラックによる無機質焼結体シートの欠陥の発生を防止することができる。また、分解ガスが急激に発生することによる積層体の剥離が生じにくいものとすることができる。
上記5重量%重量損失温度と95重量%重量損失温度との差は、より好ましい下限が270℃、好ましい上限が350℃、より好ましい上限が300℃である。
なお、5重量%重量損失温度とは、熱重量分析装置で空気雰囲気下、室温から10℃/分で昇温した場合における5重量%が損失する際の温度である。また、95重量%重量損失温度とは、室温から10℃/分で昇温した場合における95重量%が損失する際の温度である。具体的には室温から10℃/分で昇温した際に得られる熱重量減少曲線から求めることができる。
上記5重量%重量損失温度が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であるとバインダーを5重量%分解させるために必要な温度を低くすることができることから、使用エネルギーを低く抑えることができるとともに、脱脂工程においてクラック等の不具合を効果的に抑制することができる。
上記5重量%重量損失温度は、より好ましい下限が250℃、より好ましい上限が300℃である。
本発明の無機質焼結体製造用バインダーは、ポリビニルアセタール系樹脂と(メタ)アクリル酸系樹脂とを含有することにより、セラミックグリーンシートを作製した際に、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度及び接着性を向上させることができる。また、セラミックグリーンシートを焼成した際に、熱分解性に優れるとともに、急激な分解が生じにくく、体積収縮に伴う割れやクラックを防止して、シートの剥離を抑制することができる。
なお、本発明において、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアセタール系樹脂単独成分に加えて、後述するポリビニルブチラールとポリ(メタ)アクリル酸類との複合樹脂中に含まれるポリビニルブチラール成分を意味する。
また、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、(メタ)アクリル酸系樹脂単独成分に加えて、後述するポリビニルブチラールとポリ(メタ)アクリル酸類との複合樹脂中に含まれるポリ(メタ)アクリル酸類成分を意味する。
上記ポリビニルアセタール系樹脂の重合度が600以上であると、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度を充分に向上させることができる。ポリビニルアセタール系樹脂の重合度が5000以下であると、ポリビニルアルコールのアセタール化の際に溶液粘度を好適なものとすることができる。
ポリビニルアセタール系樹脂の重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は4500である。
アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限は75モル%である。
なお、アセタール化度の計算方法については、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
上記水酸基量のより好ましい下限は25モル%であり、より好ましい上限は45モル%である。
上記アセチル基量のより好ましい下限は1.0モル%であり、より好ましい上限は15モル%である。
ポリビニルアルコールのケン化度が80モル%未満であると、ポリビニルアルコールの水への溶解度が低下するためアセタール化が困難になることがある。また、ポリビニルアルコールの水酸基量が少ないためアセタール化反応が進みにくくなることがある。ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は85モル%である。
上記変性基としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリジメチルシロキサン等によって変性されたものが挙げられる。
上記アルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、生産性、特性バランス等の点で、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、ブチルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が10重量%以上であると、得られるセラミックグリーンシートの密着性を充分に向上させることができる。上記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が90重量%以下であると、剥離性を良好なものとすることができる。より好ましい下限は20重量%、更に好ましい下限が30重量%、より好ましい上限は80重量%、更に好ましい上限が70重量%である。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、単量体である(メタ)アクリル酸類を重合することによって得られる。
上記(メタ)アクリル酸類は、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを有することがより好ましい。すなわち、上記(メタ)アクリル酸系樹脂はアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を有することが好ましい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記アルキル基は、置換基としてアリール基を有するものであってもよく、具体的には、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものである。
上記単独重合体のガラス転移温度が25℃以下である(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、上記単独重合体のガラス転移温度は、重合度3000〜4000の単独重合体のガラス転移温度を意味する。
上記低Tg(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度を充分に低くすることができるだけでなく、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、焼成時における分解性に優れたバインダーとすることができる。
なお、上記(メタ)アクリル酸類が2種以上からなる場合、上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度を0〜110℃の範囲内とする方法としては、例えば、下記(1)式を満たすように(メタ)アクリル酸類を選択することが好ましい。
0≦W1/Tg1+W2/Tg2+・・・≦0.0125 (1)
式(1)中、W1、W2・・は、上記(メタ)アクリル酸系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・の質量分率を示す。なお、W1+W2+・・=1である。
また、Tg1、Tg2・・は、上記(メタ)アクリル酸系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・の単独重合体のガラス転移温度(゜K)を示す。
具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート等のポリエチレングリコール鎖をエステル側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂における上記分子内に極性基を有する(メタ)アクリル酸類単位の含有量は、好ましい下限が3重量%、より好ましい下限が10重量%、好ましい上限が50重量%、より好ましい上限が30重量%である。
更に、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、カルボキシル基又はアミド基を有する(メタ)アクリル酸類単位を1〜30重量%含有することが好ましく、5〜20重量%含有することがより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度が0℃以上であると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、柔軟性に優れたものとして、充分なシート強度を付与することができる。また、ポリビニルアセタール系樹脂とのガラス転移温度の差が大きくなりすぎることがなく、均質な物性を示すことができる。上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度が110℃以下であると、グリーンシートの可塑性を充分に向上させて、加熱プレス時の接着性や工程全体の加工性を向上させることができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度のより好ましい下限は20℃、より好ましい上限は70℃である。
なお、上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度は、上記バインダー樹脂組成物がポリビニルブチラール及び(メタ)アクリル酸系樹脂が結合した複合樹脂を含有する場合、上記複合樹脂を示差走査熱量測定した際、単独重合体のガラス転移温度から推定したポリビニルブチラール由来のガラス転移温度を除外することにより測定することができる。
上記範囲内であると、ガラス転移温度の低い樹脂が、応力を緩和することができ、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、充分な柔軟性を付与することができる。
また、打ち抜き加工時や、積層後の加熱プレス時に応力等が作用しても、その応力を効果的に吸収するため、セラミックグリーンシートにクラックが生じることを効果的に抑制することができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が10重量%以上であると、焼成時における分解性を向上させて、セラミック中に含まれる残留炭化物を少なくすることができる。上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が90重量%以下であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を充分なものとすることができ、焼成時における急速な分解が起こりにくく、体積収縮に伴う割れやクラック等の無機質焼結体シートの欠陥の発生を防止することができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい下限が30重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい下限が40重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
なお、上記複合樹脂とは、ポリビニルブチラールとポリ(メタ)アクリル酸類とが互いに結合したものであれば特に限定されない。例えば、ポリビニルブチラール及びポリ(メタ)アクリル酸類が直鎖状に結合したものであってもよく、主鎖を構成するポリビニルブチラール又はポリ(メタ)アクリル酸類に、該主鎖とは異なる側鎖を構成するポリビニルブチラール又はポリ(メタ)アクリル酸類が分岐状に結合したものであってもよい。また、ポリビニルブチラール及びポリ(メタ)アクリル酸類が直鎖状に結合したものに、更に、主鎖部分とは異なる側鎖を構成するポリビニルブチラール又はポリ(メタ)アクリル酸類が結合したものであってもよい。
本発明において、上記複合樹脂を構成するポリ(メタ)アクリル酸類とは、単量体である(メタ)アクリル酸類を重合することによって得られる構成を意味する。
上記ポリビニルブチラールの重合度が600以上であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を向上させて、クラックの発生や破損を抑制することができる。上記ポリビニルブチラールの重合度が4000以下であると、柔軟性を充分なものとすることができ、接着性を向上させることができる。また、加熱プレスによる積層工程において層間剥離等の接着不良を防止することができる。
上記ポリビニルブチラールの重合度が上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、スラリーとした際の粘度を好適なものとして、セラミック粉末の分散性を向上させて、支持体へ塗布する際に塗布ムラを抑制し、均質なセラミックグリーンシートを作製することができる。
上記ポリビニルブチラールの重合度はより好ましい下限が800、より好ましい上限が3500である。
上記水酸基量が20モル%以上であると、グリーンシートにした際のシートの柔軟性を好適なものとして、支持体からの剥離性を最適化することができる。また、得られるシートの強度を充分なものとすることができ、セラミック粉末の分散性を向上させることができる。上記水酸基量が40モル%以下であると、充分な柔軟性が得られ、スラリーとした際の粘度を好適なものとして、支持体へ塗布する際に塗布ムラを抑制し、均質なセラミックグリーンシートを作製することができる。
上記ポリビニルブチラールの水酸基量はより好ましい下限が25モル%、より好ましい上限が35モル%である。
上記ブチラール化度が60モル%以上であると、充分な柔軟性が得られ、スラリーとした際の粘度を好適なものとして、支持体へ塗布する際に塗布ムラを抑制し、均質なセラミックグリーンシートを作製することができる。上記ブチラール化度が80モル%以下であると、得られるシートの強度を充分に向上させることができる。
上記ブチラール化度はより好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が75モル%である。
上記アセチル基量が30モル%以下であると、ポリビニルブチラールのガラス転移温度を充分なものとして、柔軟性が高くなりすぎることがなく、グリーンシートのハンドリング性を向上させることができる。
上記ポリビニルブチラールの含有割合が10重量%以上であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を向上させることができ、充分な柔軟性を付与することができる。上記ポリビニルブチラールの含有量が90重量%以下であると、焼成時における分解性を充分なものとして、セラミック中に含まれる残留炭化物を少なくすることができる。
上記ポリビニルブチラールの含有割合は、より好ましい下限が20重量%、より好ましい上限が80重量%、また、更に好ましい下限が30重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい下限が40重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
上記ポリ(メタ)アクリル酸類の含有割合が10重量%以上であると、焼成時における分解性を向上させて、セラミック中に含まれる残留炭化物を少なくすることができる。上記ポリ(メタ)アクリル酸類の含有割合が90重量%以下であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を充分なものとすることができ、焼成時における急速な分解が起こりにくく、体積収縮に伴う割れやクラックによる無機質焼結体シートの欠陥の発生を防止することができる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸類の含有割合は、より好ましい下限が20重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい下限が30重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい下限が40重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
上記複合樹脂の含有量が上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、連続相としてのポリビニルアセタール系樹脂中に、分散相としての(メタ)アクリル酸系樹脂を有する構造が形成されやすいものとなる。また、分散相としての(メタ)アクリル酸系樹脂の分散性を向上させて、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度を向上させることができる。
上記複合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が20,000、好ましい上限が800,000である。
上記複合樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましい下限が2.0、より好ましい下限が4.0、好ましい上限が40、より好ましい上限が20である。
Mn、Mw、Mw/Mnがこのような範囲であると、上記複合樹脂をセラミックグリーンシートのバインダーとして使用した際に、シート強度と柔軟性のバランスをとることができる。また、スラリー粘度が高くなりすぎず、更に、無機粉末の分散性が良好となるので均一なセラミックグリーンシートを形成することができるため好ましい。
上記複合樹脂が上記他のモノマーからなる樹脂を有することにより、得られる樹脂組成物の分子間相互作用が増大し、該樹脂組成物をバインダーに用いることによって、シート強度が高いセラミックグリーンシートを形成することができる。また、上記他のモノマーが極性基を有する場合には、該極性基と無機粉末の表面とが水素結合等の相互作用を起こすことにより、得られるスラリーの無機粉末の分散性を向上させ、分散剤を配合しない場合においても均一なセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びエーテル基からなる群より選択される官能基を有する場合には、バインダー内の酸素含有量が高くなり、熱分解に有効なラジカルが発生することから、バインダーの焼成を助け、残留炭化物が非常に少ないグリーンシートを得ることができる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶液重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール、溶媒を仕込み、加熱しながら攪拌してポリビニルブチラールを溶解させた後、上記(メタ)アクリル酸類を含有するモノマーを添加して、重合器内の空気を窒素に置換してから、さらにラジカル重合開始剤を加えて(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
また、懸濁重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマー、純水、分散剤、ラジカル重合開始剤を仕込み、重合器内の空気を窒素に置換し、モノマーをポリビニルブチラール中に膨潤させた後に昇温して、(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
更に、塊状重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマーを添加して、加熱しながら攪拌してポリビニルブチラールをモノマーに溶解させた後、重合器内の空気を窒素に置換してから、さらにラジカル重合開始剤を加えて(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
これらのラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記バインダー樹脂組成物が連続相と分散相とからなる構造を有していることは、上記バインダー樹脂組成物からなるフィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃、ミクロトーム等を用いて切断し、その切断面を観察することにより判断することができる。切断面を観察する方法としては、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン、走査型プローブ顕微鏡等を用いる方法が挙げられる。
なお、分散径(直径)は、バインダー樹脂組成物からなるフィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃、ミクロトーム等を用いて切断し、その切断面を撮影し、得られた写真を、画像解析装置を用いて解析処理することにより測定することができる。切断面を撮影する方法としては、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン等を用いる方法が挙げられる。平均分散径(直径)は、任意に選んだ100個の分散相の分散径(直径)の平均値を求めることにより算出することができる。
なお、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、連続相としての上記ポリビニルアセタール系樹脂中に、略球状で分散していることが好ましい。
上記バインダーの含有量を1重量部以上とすることで、得られるグリーンシートの強度を高いものとすることができ、200重量部以下とすることで、脱脂焼成工程において、ひび割れや変形を抑制することができ、高い空孔率を有する多孔質体を得ることができる。
上記無機質微粒子としては特に限定されず、例えば、導電性微粒子、磁性微粒子、セラミック微粒子、ガラス微粒子等が挙げられる。
造孔剤を含有することで、無機質焼結体製造用スラリーを焼成し、造孔剤を除去することで、造孔剤の部分が空孔となって多孔質の焼結体を作製することができる。従って、上記造孔剤は、有機溶剤に溶解しないものであることが好ましい。
上記造孔剤の含有量を1重量部以上とすることで、脱脂焼成後の無機質焼結体に効果的に空隙を導入することができ、50重量部以下とすることで、形成される空隙の体積が大きくなりすぎないことから、脱脂焼成中の焼成体の強度が維持され、脱脂焼成工程においてひび割れや変形を効果的に抑制することができる。
また、上記造孔剤は、バインダー100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましい。
上記有機溶剤は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、キシレン、エチレングリコールおよびその誘導体、ブチルカルビトールやターピネオール等の高沸点有機溶剤、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、アルコール系溶剤を少量でも用いると、バインダーの粘度が下がり、取扱性に優れるペーストが得られる。
また、80℃以上の沸点を持つ有機溶剤を含有することにより、急激な乾燥を防ぐことができ、得られるグリーンシートの表面を平滑にすることができる。
上記セラミックグリーンシートを作製する方法としては、特に限定されず、公知の成形方法によって成形される。例えば、本発明の無機質焼結体製造用バインダーに、必要に応じて造孔剤、可塑剤、分散剤、消泡剤等の添加物を配合し、有機溶剤とセラミック粉末と共にボールミル等の混合装置で均一に混合してスラリーを調製し、該スラリーをPETフィルム等の支持体上にドクターブレード法等の公知の方法により湿式塗布し、有機溶剤を乾燥除去する方法が挙げられる。その他に、上記スラリーをスプレードライヤー法等により顆粒状に造粒した後、該顆粒を乾式プレス法により成形する方法等も挙げられる。
(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部と、イソブチルメタクリレート25重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを16重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、ポリビニルブチラール及び(メタ)アクリル酸系樹脂が結合して構成された複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約27万であった。また、示差走査熱量測定を用いて測定したポリイソブチルメタクリレート(重合度3000)のガラス転移温度は48℃であった。
得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度及び95重量%重量損失温度を、熱重量分析装置(TGA、日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA7300)を用いて空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で測定したところ、5重量%重量損失温度が231℃、95重量%重量損失温度が516℃であった。
得られた無機質焼結体製造用バインダーを希釈溶剤(エタノールとトルエンの混合溶剤、エタノールとトルエンの重量比率は1:1)により希釈し、固形分10重量%の溶液を得た。次に、本溶液20重量部にセラミック粉末として酸化ジルコニウム粉末(TZ−8YS、東ソー社製)20重量部、造孔剤(メチルセルロース粉末、平均粒子径10μm)2重量部を添加し、ボールミルを用いて48時間混錬して無機質焼結体製造用スラリーを得た。
次に、得られた無機質焼結体製造用スラリーを、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、常温で1時間風乾した後、熱風乾燥機で80℃で3時間乾燥してセラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートを空気雰囲気下において、昇温速度10℃/分で1000℃まで昇温し、2時間保持することによりセラミック多孔質焼結体を得た。
参考例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート3重量部、メタクリル酸2重量部を用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約28万であった。また、示差走査熱量測定を用いて測定したポリグリシジルメタクリレート(重合度3000)のガラス転移温度は46℃、ポリメタクリル酸のガラス転移温度は228℃であった。
得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は240℃、95重量%重量損失温度は536℃であった。
参考例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート20重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部、グリシジルメタクリレート3重量部を用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約30万であった。また、示差走査熱量測定を用いて測定したポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(重合度3000)のガラス転移温度は55℃であった。
得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は235℃、95重量%重量損失温度は533℃であった。
参考例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、2−エチルヘキシルメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート3重量部、メタクリル酸2重量部を用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約27万であった。また、示差走査熱量測定を用いて測定したポリ2−エチルヘキシルメタクリレート(重合度3000)のガラス転移温度は−10℃であった。
得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は242℃、95重量%重量損失温度は516℃であった。
イソブチルメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート3重量部及びメタクリル酸2重量部、酢酸エチル20重量部を混合し、t−ヘキシルパーオキシピバレートを1重量部添加することにより、(メタ)アクリル酸系樹脂を作製した。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部と、得られた(メタ)アクリル酸系樹脂25重量部との混合物(重量比で1:1)をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%となるように溶解してポリビニルブチラール及び(メタ)アクリル酸系樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は225℃、95重量%重量損失温度は511℃であった。
水酸基の一部がポリエチレンオキサイドで変性されたポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量25モル%、アセチル基量2モル%、変性基量6モル%)25重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解してポリビニルブチラールを含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
また、得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は293℃、95重量%重量損失温度は531℃であった。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解してポリビニルブチラールを含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
なお、ポリビニルブチラールについて、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、23万であった。
また、得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は320℃、95重量%重量損失温度は539℃であった。
イソブチルメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート3重量部及びメタクリル酸2重量部、酢酸エチル20重量部を混合し、t−ヘキシルパーオキシピバレートを1重量部添加することにより、(メタ)アクリル酸系樹脂を作製した。
得られた(メタ)アクリル酸系樹脂25重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解して(メタ)アクリル酸系樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
なお、得られた(メタ)アクリル酸系樹脂について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約65万であった。
また、得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は240℃、95重量%重量損失温度は322℃であった。
参考例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、イソブチルメタクリレート25重量部に代えて、イソボルニルアクリレート25重量部を用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、約26万であった。
また、得られた樹脂組成物の5重量%重量損失温度は311℃、95重量%重量損失温度は537℃であった。
上記で得られた無機質焼結体製造用バインダー、セラミックグリーンシートの性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
得られたセラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離し、セラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準で強度・剥離性を評価した。
◎:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートに切れや破れは全く観察されなかった。
○:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートのごく一部に、小さな切れが観察された。
×:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離できない、もしくは、剥離したシートの大部分に切れや破れが観察された。
得られたグリーンシートを10cm角に切断した後、3枚重ねて、温度80℃、圧力180kg/cm2、時間5分間の熱圧着条件で積層させた。層間の接着性を目視にて観察し、以下の基準で接着性を評価した。
◎:まったく層間剥離が認められず、強固に接着していた。
○:層間剥離が一部認められた。
×:層間剥離がかなり多く認められた。
グリーンシートの中央部を直径2mmのガラス芯棒で押さえ、これを中心とする180°の折り曲げ試験を行い、以下の基準で柔軟性を評価した。
◎:全くクラックが認められなかった。
〇:クラックが一部認められた。
×:クラックがかなり多く認められた。
得られたグリーンシートを10日放置した後、上記の強度・剥離性評価と柔軟性を評価し、以下の基準で安定性を評価した。
◎:強度・剥離性、柔軟性とも評価結果が◎または○であった。
○:強度・剥離性、柔軟性の何れか一方の評価結果が×であった。
×:強度・剥離性、柔軟性とも評価結果が×であった。
得られたグリーンシートを10cm角に切断し、3枚重ねて、空気雰囲気下、400℃で脱脂焼成し、層間の剥離の有無を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く層間剥離が認められなかった。
〇:層間剥離が一部認められた。
×:層間剥離がかなり多く認められた。
得られたグリーンシートを10cm角に切断し、1000℃で1時間焼成して得られたセラミック多孔質焼結体のクラックの有無を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:全くクラックが認められなかった。
〇:クラックが一部認められた。
×:クラックがかなり多く認められた。
Claims (9)
- 10℃/分で昇温した場合における5重量%重量損失温度と95重量%重量損失温度との差が230℃以上であるバインダー樹脂組成物を含有し、
前記バインダー樹脂組成物は、水酸基がポリエチレンオキサイドによって変性された構成単位を有するポリビニルアセタール系樹脂を含有する、燃料電池発電セル製造用バインダー。 - バインダー樹脂組成物は、更に、(メタ)アクリル酸系樹脂を含有する、請求項1に記載の燃料電池発電セル製造用バインダー。
- バインダー樹脂組成物は、ポリビニルブチラール及びポリ(メタ)アクリル酸類が結合して構成された複合樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の燃料電池発電セル製造用バインダー。
- 複合樹脂におけるポリビニルブチラールの含有割合が10〜90重量%、ポリ(メタ)アクリル酸類の含有割合が10〜90重量%である、請求項3に記載の燃料電池発電セル製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、メタクリル酸類を90重量%以上含有する、請求項3又は4に記載の燃料電池発電セル製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、分子内にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基又はエーテル基を有する(メタ)アクリル酸類を3〜50重量%含有する、請求項3〜5のいずれかに記載の燃料電池発電セル製造用バインダー。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池発電セル製造用バインダー、無機質微粒子、造孔剤及び有機溶剤を含有する、燃料電池発電セル製造用スラリー。
- 請求項7に記載の燃料電池発電セル製造用スラリーを用いてなる、セラミックグリーンシート。
- 請求項8に記載のセラミックグリーンシートを用いてなる、燃料電池発電セル。
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