JP6971107B2 - 無機質焼結体製造用バインダー - Google Patents
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Description
SOFCの発電セルは、固体電解質層等の無機質焼結体の一方の面に多孔質構造の空気極が形成され、他方の面に多孔質構造の燃料極が形成された積層体の構造を有している。
しかしながら、バインダー樹脂としてポリビニルアセタールを単独で用いた場合は、シート強度は高いものの熱分解性が悪いため、バインダーの一部が分解焼失しないで焼結体内に残留炭化物として残存するという問題があった。また、燃料電池では、発電効率を向上させるために、無機質焼結体の多孔度を高める必要があるが、多孔度を高めると燃料電池セルの強度が低下するため、焼成工程において、急激に分解ガスを発して成形体にクラックや反り、膨れ等が生じて、燃料電池の生産性が低下するという問題があった。
以下、本発明を詳述する。
本発明の無機質焼結体製造用バインダーは、ポリビニルアセタール樹脂と(メタ)アクリル酸系樹脂とを含有することにより、セラミックグリーンシートを作製した際に、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度を向上させることができる。また、セラミックグリーンシートを焼成した際に、熱分解性に優れるとともに、急激な分解が生じにくく、体積収縮に伴う割れやクラックを防止して、シートの剥離を抑制することができる。
なお、本発明において、上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂単独成分に加えて、後述するポリビニルアセタール樹脂と(メタ)アクリル酸系樹脂との複合樹脂中に含まれるポリビニルアセタール樹脂成分を意味する。
また、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、(メタ)アクリル酸系樹脂単独成分に加えて、後述するポリビニルアセタール樹脂と(メタ)アクリル酸系樹脂との複合樹脂中に含まれる(メタ)アクリル酸系樹脂成分を意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が600以上であると、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度を充分に向上させることができる。ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が5000以下であると、ポリビニルアルコールのアセタール化の際に溶液粘度を好適なものとすることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度のより好ましい下限は800、より好ましい上限は4500である。
アセタール基量のより好ましい下限は65モル%、より好ましい上限は75モル%である。
なお、アセタール基量の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
また、本明細書中、アセタール基がアセトアセタール基である場合には、アセトアセタール基量ともいい、アセタール基がブチラール基である場合には、ブチラール基量ともいう。
上記水酸基量のより好ましい下限は25モル%であり、より好ましい上限は35モル%である。
上記アセチル基量のより好ましい下限は1.0モル%であり、より好ましい上限は15モル%である。
ポリビニルアルコールのケン化度が80モル%未満であると、ポリビニルアルコールの水への溶解度が低下するためアセタール化が困難になることがある。また、ポリビニルアルコールの水酸基量が少ないためアセタール化反応が進みにくくなることがある。ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は85モル%である。
上記アルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、生産性、特性バランス等の点で、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、ブチルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が10重量%以上であると、得られるセラミックグリーンシートの密着性を充分に向上させることができる。上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が90重量%以下であると、剥離性を良好なものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、更に好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい上限が70重量%である。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、単量体である(メタ)アクリル酸類を重合することによって得られる。
上記(メタ)アクリル酸類は、単独重合体のガラス転移温度が−100℃〜25℃である(メタ)アクリル酸エステル、及び、分岐鎖状構造を有する基及び/又は環状構造を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む。すなわち、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、単独重合体のガラス転移温度が−100℃〜25℃である(メタ)アクリル酸エステル単位、及び、分岐鎖状構造を有する基及び/又は環状構造を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を有する。
上記バインダー樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸系樹脂が上記のような構造を有することにより、セラミックグリーンシートのガス透過性を向上させて、多量にバインダーを用いた場合にも、脱脂焼成工程において分解ガスを充分に透過させることができ、クラックの発生を抑制することができる。
上記低Tg(メタ)アクリル酸エステルとしては、エステル部位が炭素数8以上の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシルメタアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なかでも、炭素数8〜14の直鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、上記単独重合体のガラス転移温度は、重合度3000〜4000の単独重合体のガラス転移温度を意味する。
上記低Tg(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度を充分に低くすることができるだけでなく、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、焼成時における分解性に優れたバインダーとすることができる。
上記分岐鎖状構造を有する基としては、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等の分岐鎖状アルキル基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の分岐鎖状アルコキシ基等が挙げられる。なかでも、3分岐以上の分岐鎖を有することが好ましく、炭素数4〜20の3分岐以上の分岐鎖状アルキル基であることがより好ましく、t−ブチル基が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、フェノキシエチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等のシクロアルキル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基のビシクロアルキル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基としては、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基等のヘテロ環基等が挙げられる。
なかでも、炭素数6〜18である芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ヘテロ環基が好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜10の脂環式炭化水素基が更に好ましい。また、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボルニル基であることが好ましく、イソボルニル基であることが更に好ましい。
上記環状構造を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ヘテロ環基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。また、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましく、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記分岐鎖・環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、ガス透過性を向上させて、焼成時における分解ガスに起因するクラックを抑制することができる。
具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート等のポリエチレングリコール鎖をエステル側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂における上記分子内に極性基を有する(メタ)アクリル酸類単位の含有量は、好ましい下限が3重量%、より好ましい下限が10重量%、好ましい上限が50重量%、より好ましい上限が30重量%である。
更に、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、カルボキシル基又はアミド基を有する(メタ)アクリル酸類を1〜30重量%含有することが好ましく、5〜20重量%含有することがより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度が0℃以上であると、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、柔軟性に優れたものとして、充分なシート強度を付与することができる。また、ポリビニルアセタール樹脂とのガラス転移温度の差が大きくなりすぎることがなく、均質な物性を示すことができる。上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度が110℃以下であると、グリーンシートの可塑性を充分に向上させて、加熱プレス時の接着性や工程全体の加工性を向上させることができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度のより好ましい下限は20℃、より好ましい上限は70℃である。
なお、上記(メタ)アクリル酸類が2種以上からなる場合、上記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移点を0〜110℃の範囲内とする方法としては、例えば、下記(1)式を満たすように(メタ)アクリル酸類を選択することが好ましい。
0≦W1/Tg1+W2/Tg2+・・・≦0.0125 (1)
式(1)中、W1、W2・・は、上記(メタ)アクリル酸系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・の質量分率を示す。なお、W1+W2+・・=1である。
また、Tg1、Tg2・・は、上記(メタ)アクリル酸系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸類1、(メタ)アクリル酸類2、・・の単独重合体のガラス転移温度(゜K)を示す。
また、上記バインダー樹脂組成物がポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂が結合した複合樹脂を含有する場合、上記複合樹脂を示差走査熱量測定した際、単独重合体のガラス転移点から推定したポリビニルアセタール樹脂由来のガラス転移点を除外することにより測定することができる。
上記範囲内であると、ガラス転移温度の低い樹脂が、応力を緩和することができ、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合に、充分な柔軟性を付与することができる。
また、打ち抜き加工時や、積層後の加熱プレス時に応力等が作用しても、その応力を効果的に吸収するため、セラミックグリーンシートにクラックが生じることを効果的に抑制することができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が10重量%以上であると、焼成時における分解性を向上させて、セラミック中に含まれる残留炭化物を少なくすることができる。上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が90重量%以下であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を充分なものとすることができ、焼成時における急速な分解が起こりにくく、体積収縮に伴う割れやクラック等の無機質焼結体シートの欠陥の発生を防止することができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、更に好ましい下限が30重量%、特に好ましい下限が40重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
なお、上記複合樹脂とは、ポリビニルアセタール樹脂と(メタ)アクリル酸系樹脂とが互いに結合したものであれば特に限定されない。例えば、ポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂が直鎖状に結合したブロック共重合体であってもよく、主鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂又は(メタ)アクリル酸系樹脂に、該主鎖とは異なる樹脂であって側鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂又は(メタ)アクリル酸系樹脂が分岐状に結合したグラフト重合体であってもよい。また、ポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂が直鎖状に結合したものに、更に、側鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂又は(メタ)アクリル酸系樹脂が結合したものであってもよい。
なかでも、主鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂又は(メタ)アクリル酸系樹脂に、該主鎖とは異なる樹脂であって側鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂又は(メタ)アクリル酸系樹脂が分岐状に結合したグラフト共重合体であることが好ましい。また、主鎖を構成するポリビニルアセタール樹脂に(メタ)アクリル酸系樹脂がグラフト重合したグラフト重合体であることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂に(メタ)アクリル酸系樹脂がグラフト重合したグラフト重合体であることが更に好ましい。
まず、ポリビニルアセタール樹脂に結合している(メタ)アクリル酸系樹脂は溶解せず、単独の(メタ)アクリル酸系樹脂のみを溶解する溶媒を選定し、上記バインダー樹脂組成物を溶解させ、遠心分離を行うことにより、上澄みと沈殿に分離する。分離前のバインダー樹脂組成物と得られた沈殿物に対し、重量測定を行うとともに、NMR測定を行い、ポリビニルアセタール樹脂に対する(メタ)アクリル酸系樹脂の重量比率を算出する。
次いで、重量と算出した比率の積を計算することにより、分離前のバインダー樹脂組成物と得られた沈殿物に含まれる(メタ)アクリル酸系樹脂の重量を算出し、沈殿物中に(メタ)アクリル酸系樹脂が含まれることを確認する。
ポリビニルアセタール樹脂に結合している(メタ)アクリル酸系樹脂は溶解せずに単独の(メタ)アクリル酸系樹脂のみを溶解する溶媒を選定する方法は以下の通りである。バインダー樹脂組成物を溶媒に溶解させ、遠心分離を行うことにより、上澄みと沈殿に分離する。その後、上澄みに対し、NMR測定を行い、ポリビニルアセタール樹脂が溶出していない溶媒を、ポリビニルアセタール樹脂に結合している(メタ)アクリル酸系樹脂は溶解せずに単独の(メタ)アクリル酸系樹脂のみを溶解する溶媒とする。このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサンなどの単独溶媒、又は、それらの混合溶媒を用いる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が10重量%以上であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を向上させることができ、充分な柔軟性を付与することができる。上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が90重量%以下であると、焼成時における分解性を充分なものとして、セラミック中に含まれる残留炭化物が少なくすることができる。
上記複合樹脂に含まれるポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、更に好ましい下限が30重量%、特に好ましい下限が40重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が10重量%以上であると、焼成時における分解性を向上させて、セラミック中に含まれる残留炭化物を少なくすることができる。上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量が90重量%以下であると、得られるセラミックグリーンシートのシート強度を充分なものとすることができ、焼成時における急速な分解が起こりにくく、体積収縮に伴う割れやクラック等の無機質焼結体シートの欠陥の発生を防止することができる。
上記(メタ)アクリル酸系樹脂の含有量は、より好ましい下限が20重量%、更に好ましい下限が30重量%、特に好ましい下限が40重量%、より好ましい上限が80重量%、更に好ましい上限が70重量%、特に好ましい上限が60重量%である。
上記複合樹脂の含有量が上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としての(メタ)アクリル酸系樹脂を有する構造が形成されやすいものとなる。また、分散相としての(メタ)アクリル酸系樹脂の分散性を向上させて、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度を向上させることができる。
上記複合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が20,000、好ましい上限が800,000である。
上記複合樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましい下限が2.0、より好ましい下限が4.0、好ましい上限が40、より好ましい上限が20である。
Mn、Mw、Mw/Mnがこのような範囲であると、上記複合樹脂をセラミックグリーンシートのバインダーとして使用した際に、シート強度と柔軟性のバランスをとることができる。また、スラリー粘度が高くなりすぎず、更に、無機粉末の分散性が良好となるので均一なセラミックグリーンシートを形成することができるため好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂と結合して複合樹脂を構成する(メタ)アクリル酸系樹脂の割合が10重量%以上であると、ガス透過性を向上させて、グリーンシートの脱脂焼成の際に発生する分解ガスを充分に透過させることができ、クラックの発生を防止することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂と結合して複合樹脂を構成する(メタ)アクリル酸系樹脂の割合は好ましい上限が100重量%、より好ましい上限が90重量%である。
まず、ポリビニルアセタール樹脂に結合している(メタ)アクリル酸系樹脂は溶解せず、単独の(メタ)アクリル酸系樹脂のみを溶解する溶媒に、バインダー樹脂組成物を溶解させ、遠心分離により上澄みと沈殿物とに分離する。得られた沈殿物中に含まれる(メタ)アクリル酸系樹脂の重量と、沈殿物中の(メタ)アクリル酸系樹脂の重量とをNMR測定により算出することにより測定することができる。
上記複合樹脂が上記他のモノマーからなる樹脂を有することにより、得られるバインダー樹脂組成物の分子間相互作用が増大し、該バインダー樹脂組成物をバインダーに用いることによって、シート強度が高いセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが極性基を有する場合には、該極性基と無機粉末の表面とが水素結合等の相互作用を起こすことにより、得られるスラリーの無機粉末の分散性を向上させ、分散剤を配合しない場合においても均一なセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びエーテル基からなる群より選択される官能基を有する場合には、バインダー内の酸素含有量が高くなり、熱分解に有効なラジカルが発生することから、バインダーの焼成を助け、残留炭化物が非常に少ないグリーンシートを得ることができる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
溶液重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器にポリビニルアセタール樹脂、溶媒を仕込み、加熱しながら攪拌してポリビニルアセタール樹脂を溶解させた後、上記(メタ)アクリル酸類を含有するモノマー組成物を添加し、重合器内の空気を窒素に置換してから、ラジカル重合開始剤を加えてモノマー組成物を重合する方法が挙げられる。
また、懸濁重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器にポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマー組成物、純水、分散剤、ラジカル重合開始剤を仕込み、重合器内の空気を窒素に置換し、モノマー組成物をポリビニルアセタール樹脂中に膨潤させた後に昇温して、モノマー組成物を重合する方法が挙げられる。
更に、塊状重合法を用いる場合、温度調整機及び攪拌機付きの重合器にポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含むモノマー組成物を添加し、加熱しながら攪拌してポリビニルアセタール樹脂をモノマー組成物に溶解させた後、重合器内の空気を窒素に置換してから、ラジカル重合開始剤を加えてモノマー組成物を重合する方法が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシネオデカンネート、t−ブチルパーオキシネオデカンネート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5,−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記バインダー樹脂組成物が連続相と分散相とからなる構造を有していることは、上記バインダー樹脂組成物からなるフィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃、ミクロトーム等を用いて切断し、その切断面を観察することにより判断することができる。切断面を観察する方法としては、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン、走査型プローブ顕微鏡等を用いる方法が挙げられる。
なお、分散径(直径)は、バインダー樹脂組成物からなるフィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃、ミクロトーム等を用いて切断し、その切断面を撮影し、得られた写真を、画像解析装置を用いて解析処理することにより測定することができる。切断面を撮影する方法としては、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン等を用いる方法が挙げられる。平均分散径(直径)は、任意に選んだ100個の分散相の分散径(直径)の平均値を求めることにより算出することができる。
なお、上記(メタ)アクリル酸系樹脂は、連続相としての上記ポリビニルアセタール樹脂中に、略球状で分散していることが好ましい。
上記バインダーの含有量を1重量部以上とすることで、得られるグリーンシートの強度を高いものとすることができ、200重量部以下とすることで、脱脂焼成工程において、ひび割れや変形を抑制することができ、高い空孔率を有する多孔質体を得ることができる。
上記無機質微粒子としては特に限定されず、例えば、導電性微粒子、磁性微粒子、セラミック微粒子、ガラス微粒子等が挙げられる。
造孔剤を含有することで、無機質焼結体製造用スラリーを焼成し、造孔剤を除去することで、造孔剤の部分が空孔となって多孔質の焼結体を作製することができる。従って、上記造孔剤は、有機溶剤に溶解しないものであることが好ましい。
上記造孔剤の含有量を1重量部以上とすることで、脱脂焼成後の無機質焼結体に効果的に空隙を導入することができ、50重量部以下とすることで、形成される空隙の体積が大きくなりすぎないことから、脱脂焼成中の焼成体の強度が維持され、脱脂焼成工程においてひび割れや変形を効果的に抑制することができる。
また、上記造孔剤は、バインダー100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましい。
上記有機溶剤は特に限定されない。例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、キシレン、エチレングリコール及びその誘導体、ブチルカルビトールやターピネオール等の高沸点有機溶剤、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、アルコール系溶剤を少量でも用いると、バインダーの粘度が下がり、取扱性に優れるペーストが得られる。
また、80℃以上の沸点を持つ有機溶剤を含有することにより、急激な乾燥を防ぐことができ、得られるグリーンシートの表面を平滑にすることができる。
また、本発明のセラミックグリーンシートを用いることにより燃料電池セルを製造することができる。
上記セラミックグリーンシートを作製する方法としては、特に限定されず、公知の成形方法によって成形される。例えば、本発明の無機質焼結体製造用バインダーに、必要に応じて造孔剤、可塑剤、分散剤等の添加物を配合し、有機溶媒とセラミック粉末と共にボールミル等の混合装置で均一に混合してスラリーを調製し、該スラリーをPETフィルム等の支持体上にドクターブレード法等の公知の方法により湿式塗布し、有機溶剤を乾燥除去する方法が挙げられる。その他に、上記スラリーをスプレードライヤー法等により顆粒状に造粒した後、該顆粒を乾式プレス法により成形する方法等も挙げられる。
(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルブチラール25重量部と、ラウリルメタクリレート15重量部と、シクロヘキシルメタクリレート10重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。なお、ポリビニルブチラールとしては、重合度800、ブチラール基量68.0モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量0.8モル%のものを用いた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。30分間後、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.5重量部を、酢酸エチル16重量部で希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、更に75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、ポリビニルブチラールにグラフト鎖として(メタ)アクリル酸系樹脂が結合した複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によって測定したところ、得られた複合樹脂の数平均分子量は8.8万、重量平均分子量は23.1万であった。
更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリラウリルメタクリレートのガラス転移温度は−65℃であり、ポリシクロヘキシルメタクリレートのガラス転移温度は66℃であった。
得られた無機質焼結体製造用バインダーを希釈溶剤(エタノールとトルエンの混合溶剤、エタノールとトルエンの重量比率は1:1)により希釈し、固形分10重量%の溶液を得た。次に、本溶液20重量部にセラミック粉末として酸化ジルコニウム粉末(TZ−8YS、東ソー社製)20重量部、造孔剤(メチルセルロース粉末、平均粒子径10μm)2重量部を添加し、ボールミルを用いて48時間混錬して無機質焼結体製造用スラリーを得た。
次に、得られた無機質焼結体製造用スラリーを、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、常温で1時間風乾した後、熱風乾燥機で80℃で3時間乾燥してセラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートを空気雰囲気下において、昇温速度10℃/分で1000℃まで昇温し、3時間保持することによりセラミック多孔質焼結体を得た。
実施例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、シクロヘキシルメタクリレート10重量部に代えて、ベンジルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の数平均分子量は8.1万、重量平均分子量は21.5万であった。更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリベンジルメタクリレートのガラス転移温度は54℃であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
実施例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、シクロヘキシルメタクリレート10重量部に代えて、t−ブチルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の数平均分子量は9.2万、重量平均分子量は22.0万であった。更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリt−ブチルメタクリレートのガラス転移温度は107℃であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
実施例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、シクロヘキシルメタクリレート10重量部に代えて、イソボルニルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の数平均分子量は8.8万、重量平均分子量は21.1万であった。更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリイソボルニルメタクリレートのガラス転移温度は180℃であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール基量68.0モル%、水酸基量31.2モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解してポリビニルブチラールを含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
なお、ポリビニルブチラールの数平均分子量は5.3万、重量平均分子量は11.2万であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
ポリシクロヘキシルメタクリレート25重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解してポリプロピルメタクリレートを含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを作製した。
なお、ポリシクロヘキシルメタクリレートの数平均分子量は15.1万、重量平均分子量は23.6万であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
実施例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、シクロヘキシルメタクリレート10重量部に代えて、メチルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の数平均分子量は7.7万、重量平均分子量は22.9万であった。更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリメチルメタクリレートのガラス転移温度は105℃であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
実施例1の「(1)無機質焼結体製造用バインダーの調製」において、シクロヘキシルメタクリレート10重量部に代えて、n−ヘキシルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、複合樹脂を含む樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーを調製した。
なお、得られた複合樹脂の数平均分子量は8.2万、重量平均分子量は24.0万であった。更に、示差走査熱量測定を用いて測定したポリn−ヘキシルメタクリレートのガラス転移温度は−5℃であった。
次いで、得られた無機質焼結体製造用バインダーを用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体を得た。
上記で得られた樹脂組成物、無機質焼結体製造用バインダー、セラミックグリーンシート及びセラミック多孔質焼結体の性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
得られたセラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離し、セラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準で強度を評価した。
◎:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートに切れや破れは全く観察されなかった。
○:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムからきれいに剥離でき、剥離したシートのごく一部に、小さな切れが観察された。
×:セラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離できない、もしくは、剥離したシートの大部分に切れや破れが観察された。
得られたグリーンシートを10cm角に切断した後、3枚重ねて、温度80℃、圧力180kg/cm2、時間5分間の熱圧着条件で積層させた。層間の接着性を目視にて観察し、以下の基準で接着性を評価した。
◎:まったく層間剥離が認められず、強固に接着していた。
○:層間剥離が一部認められた。
×:層間剥離がかなり多く認められた。
グリーンシートの中央部を直径2mmのガラス芯棒で押さえ、これを中心とする180°の折り曲げ試験を行い、以下の基準で柔軟性を評価した。
◎:全くクラックが認められなかった。
〇:クラックが一部認められた。
×:クラックがかなり多く認められた。
得られたグリーンシートを10日放置した後、上記の強度と柔軟性を評価し、以下の基準で安定性を評価した。
◎:強度、柔軟性とも評価結果が◎又は○であった。
○:強度、柔軟性の何れか一方の評価結果が×であった。
×:強度、柔軟性とも評価結果が×であった。
得られたグリーンシートを10cm角に切断し、3枚重ねて、空気雰囲気下、400℃で脱脂焼成し、層間の剥離の有無を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く層間剥離が認められなかった。
〇:層間剥離が一部認められた。
×:層間剥離がかなり多く認められた。
得られたグリーンシートを厚さ400μm、20cm角で切り出し、500℃で1時間脱脂焼成し、クラックの有無を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:全くクラックが認められなかった。
〇:クラックが一部認められた。
×:クラックがかなり多く認められた。
Claims (7)
- ポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂を含むバインダー樹脂組成物を含有する無機質焼結体製造用バインダーであって、
前記(メタ)アクリル酸系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸類が、単独重合体のガラス転移温度が−100℃〜25℃である(メタ)アクリル酸エステル、及び、分岐鎖状構造を有する基及び/又は環状構造を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含み、前記(メタ)アクリル酸系樹脂はガラス転移温度が0〜110℃である
ことを特徴とする無機質焼結体製造用バインダー。 - 分岐鎖状構造を有する基及び/又は環状構造を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- 単独重合体のガラス転移温度が−100℃〜25℃である(メタ)アクリル酸エステルが、炭素数8〜14の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- バインダー樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂が結合して構成された複合樹脂を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が800〜5000、水酸基量が20〜40モル%、アセタール基量が60〜80モル%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の無機質焼結体製造用バインダーを含有することを特徴とする無機質焼結体製造用スラリー。
- 請求項6記載の無機質焼結体製造用スラリーを用いてなることを特徴とするセラミックグリーンシート。
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