JP2018080252A - セラミックグリーンシート成形用樹脂およびセラミックグリーンシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】側鎖および末端にカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が40℃〜160℃で、質量平均分子量が100,000〜1,000,000であるアクリル系共重合体である、セラミックグリーンシート成形用樹脂。
【選択図】なし
Description
上記方法に使用されるバインダーは、セラミックグリーンシート成形体の加工性の保持や、作業時に成形体が損傷しないように無機粉末をつなぎ止めるために必要な樹脂であるが、最終製品となる前に、焼成によって除去されるものである。
ブチラール樹脂をバインダーとして用いたセラミックグリーンシートは、強度に優れるが、熱分解性に劣る。一方、アクリル樹脂をバインダーとして用いたセラミックグリーンシートは、熱分解性に優れるが、強度および伸度に劣る。
[1]側鎖および末端にカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が40℃〜160℃で、質量平均分子量が100,000〜1,000,000であるアクリル系共重合体である、セラミックグリーンシート成形用樹脂。
[2][1]に記載のセラミックグリーンシート成形用樹脂と、可塑剤と、無機粉体と、を含むことを特徴とするセラミックグリーンシート。
本発明のセラミックグリーンシート成形用樹脂(以下、「樹脂(A)」とも記す。)は、側鎖および末端にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体である。
単量体(a1)としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
単量体(a2)としては、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体(a3)としては、特に限定されず、一般に樹脂としてアクリル系単量体とともに用いられる公知の単量体であればよく、例えばα−メチルスチレン、スチレン、酢酸ビニル等のビニル系単量体等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体(a1)に基づく構成単位の含有量は、樹脂(A)を構成する全構成単位の合計を100%としたときに、0.2〜10質量%が好ましい。
また、樹脂(A)を構成する全構成単位の合計を100%としたときに、単量体(a2)に基づく構成単位の含有量は、80〜99.8質量%が好ましく、単量体(a3)に基づく構成単位の含有量は、0〜10質量%が好ましい。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)の上限は、160℃である。樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が上記上限値以下であれば、得られるセラミックグリーンシートの伸度が優れる。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−60)により測定される値である。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、樹脂(A)を形成する単量体の種類、組成比、樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)等により調整できる。
樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
重合の際には、連鎖移動剤を用いてもよい。ラジカル重合開始剤や連鎖移動剤の使用量、溶媒の種類、重合温度等によって樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)を調整できる
ラジカル重合開始剤の使用量は、樹脂(A)を用いて得られるセラミックグリーンシートの好ましい強度を得る観点から、樹脂(A)を構成する全構成単位の合計を100質量部としたときに、0.1〜0.5質量部が好ましい。
重合反応の反応生成物中には、アクリル系共重合体の両末端にカルボキシル基が導入されたものと、アクリル系共重合体のいずれか片方の末端のみにカルボキシル基が導入されたもの、とが含まれる。本セラミックグリーンシートの好ましい強度を得る観点から、樹脂(A)を構成するアクリル系共重合体はその両末端にカルボキシル基を有してもよく、いずれか片方の末端にのみカルボキシル基を有していてもよい。
本発明のセラミックグリーンシート成形用樹脂は、セラミックグリーンシートの成形に用いられる。例えば樹脂(A)と、可塑剤と、無機粉体と、必要に応じて後述する他の成分とを混合し、シート状に成形することで、後述する本発明のセラミックグリーンシートが得られる。
後述する本発明のセラミックグリーンシートにおいて、樹脂(A)は、無機粉体を結合するバインダーとして機能する。樹脂(A)を用いることで得られるセラミックグリーンは、従来のセラミックグリーンシートと同等の伸度を維持することができ、熱分解性および強度が共に従来のセラミックグリーンシートより優れる。
本発明のセラミックグリーンシート(以下、「本セラミックグリーンシート」とも記す。)は、樹脂(A)と、可塑剤と、無機粉体とを含む。
樹脂(A)は、セラミックグリーンシート成形用樹脂である樹脂(A)と同様であり、好ましい態様も同様である。
可塑剤としては、特に限定されず、樹脂(A)との相溶性が良いものが好ましい。具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系の可塑剤;アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル系の可塑剤;リン酸トリエチル、リン酸トリス−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル系の可塑剤等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
無機粉体としては、特に限定されず、セラミックグリーンシート用途において公知のものであってよい。具体例としては、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の含まれてもよい成分としては、例えば、分散剤、湿潤剤、消泡剤、帯電防止剤、減粘剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
分散剤としては、塗料用として一般的に用いられるものであればよく、市販品のもので構わない。例えば、楠本化学社製ディスパロン1210、ディスパロン2150、ディスパロンKS−860、ディスパロンKS873N等、サンノプコ社製ノプコスパース092、SNディパーサント9228、SNスパース70等、味の素ファインテクノ社製アジスパーPN411、アジスパーPA111等が挙げられる。
本セラミックグリーンシート中の樹脂(A)と可塑剤の合計含有量は、用いる可塑剤の種類によって決められるが、含有量が少なすぎると本セラミックグリーンシートの好ましい伸度が得られないので、本セラミックグリーンシートの全質量を100%としたときに、0.5〜60質量%とするのが好ましく、5.0〜60質量%とするのがさらに好ましい。
本セラミックグリーンシート中の無機粉体の含有量は、樹脂(A)と可塑剤との合計100質量部に対し、300〜2000質量部が好ましい。無機粉体の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、セラミックグリーンシートの強度、伸度がより優れる。無機粉体の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、セラミックグリーンシートを焼結する際の収縮を抑制できる。
本発明のセラミックグリーンシートは、公知の方法によって製造することができる。例えば、樹脂(A)、可塑剤、無機粉体と、必要に応じて他の成分と、有機溶剤との混合物であるスラリーを、ドクターブレード法等によって支持体上に塗布し、乾燥させて有機溶剤を除去し、支持体を剥離する方法、本材料の粒子を乾式プレス法等で成形する方法等が挙げられる。
有機溶剤としては、樹脂(A)を溶解するものであれば良く、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
支持体としては、表面が平滑で剥離性を有するものが好ましい。そのような支持体として例えば、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が挙げられる。
本発明のセラミックグリーンシートは、打ち抜き加工等の加工が必要に応じて施され、本セラミックグリーンシートに、内部電極を形成するための導電性組成物をスクリーン印刷法等により所定のパターンに印刷して印刷層付きグリーンシートとされる。これを複数枚重ねて加熱圧縮して積層体とし、これを焼成すると、本セラミックグリーンシート中のバインダー(樹脂(A))が熱分解して除去され、セラミック多層配線基板が得られる。
本発明において、樹脂(A)は、無機粉体を結合するバインダーとして機能する。また、可塑剤は、本セラミックグリーンシートの伸度に寄与する。
樹脂(A)を用いることで、従来のセラミックグリーンシートと同等な伸度を維持しつつ、熱分解性および強度が共に優れたセラミックグリーンシートを得ることができる。
これは、樹脂(A)の側鎖と末端に導入されたカルボキシル基が有する極性によって、樹脂(A)の分子同士の間で水素結合などの分子間力が生じるため、樹脂(A)の分子間の結合が強固になることによるものと推察される。さらに、樹脂(A)の側鎖と末端に導入されたカルボキシル基が無機粉体の表面に吸着するとも推察される。
なお、以下の各例中、「部」は「質量部」を示す。
樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値を測定し、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−60)により求めた。
[製造例A1]
重合用の攪拌羽を装着した攪拌棒、温度計を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水300部およびノニオン系分散剤(株式会社クラレ製、「PVA235」)0.3部を加えた後、メタクリル酸i−ブチル68.0部、メタクリル酸2−エチルヘキシル30.0部、メタクリル酸2.0部および重合開始剤(4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸))0.5部を加え、撹拌しながら80℃で2時間保持して懸濁重合を行い、重合体の懸濁液を得た。
得られた懸濁液を30℃まで冷却し、遠心脱水機で脱水し、50℃、24時間の条件で乾燥させて、質量平均分子量(Mw)が280,000、ガラス転移温度(Tg)が41℃の樹脂(A1)を得た。
重合する単量体の種類と量(部)、重合開始剤の種類と量(部)を表1、2に示すように変更した以外は製造例A1と同様にして、樹脂(A2)〜(A10)を得た。樹脂(A2)〜(A10)のガラス転移温度(Tg)および質量平均分子量(Mw)を表1、2に示す。
[実施例1]
樹脂(A1)90.0部と、可塑剤(フタル酸ジブチル)10.0部と、分散剤(サンノプコ株式会社製、SNディスパーサント9228、ノニオン系分散剤)7.3部と、トルエン533部と、エタノール133部と、チタン酸バリウム(堺化学工業株式会社製、BT−03)733部とを配合し、ボールミル分散機(中央化工機株式会社製)により48時間攪拌混合してセラミックグリーンシート成形用のスラリーを得た。
次いで、このスラリーを、ドクターブレードを使用して支持体(パナック社製、剥離性ポリエチレンテレフタレートフィルム SP−PET100−01BU)上に塗布し、その塗膜を100℃で30分間乾燥し、その後、支持体を剥離して、厚さ30μmのセラミックグリーンシートを得た。
樹脂(A)の種類、および可塑剤、無機粉体との配合比を表3、4に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ30μmのセラミックグリーンシートを得た。
(評価方法)
各例で得られたセラミックグリーンシートの破断強度および伸度を、引張試験機(株式会社東洋精機製作所製、STROGRAPH VG1−E)により測定した。測定条件は、温度23℃、湿度50%下で、引張試験機の引張速度を10mm/minとした。
別途、各例における樹脂(A)をブチラール樹脂に置き換えて、厚さ30μmのブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートを得た。ここで、積水化学工業株式会社製のエスレック(登録商標)BM−Sをブチラール樹脂として用いた。ブチラール樹脂のガラス転移温度(Tg)は60℃、質量平均分子量(Mw)は150,000であった。
このブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートについて、上記と同様にして破断強度および伸度を測定した。
これらの結果から、各例のセラミックグリーンシートの破断強度および伸度をそれぞれ、以下の評価基準にて評価した。
「熱分解性」
〇:熱分解性が、対応するブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの熱分解性よりも良好。
×:熱分解性が、対応するブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの熱分解性と同等またはそれよりも不良。
「破断強度」
〇:破断強度が、対応するブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの破断強度と同等またはそれよりも高い値。
×:破断強度が、対応するブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの破断強度よりも低い値。
「伸度」
〇:伸度が、対応するブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの伸度と同等の値。
樹脂(A)の側鎖にも末端にもカルボキシル基を導入していない比較例1のセラミックグリーンシートは、破断強度に劣っていた。
樹脂(A)の末端にのみカルボキシル基を導入した比較例2のセラミックグリーンシートは、破断強度に劣っていた。
樹脂(A)の側鎖にのみカルボキシル基を導入した比較例3のセラミックグリーンシートは、破断強度に劣っていた。
樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が40℃未満の比較例4のセラミックグリーンシートは、破断強度に劣っていた。
Claims (2)
- 側鎖および末端にカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が40℃〜160℃で、質量平均分子量が100,000〜1,000,000であるアクリル系共重合体である、セラミックグリーンシート成形用樹脂。
- 請求項1に記載のセラミックグリーンシート成形用樹脂と、
可塑剤と、
無機粉体と、
を含むことを特徴とするセラミックグリーンシート。
Priority Applications (1)
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JP2016222978A JP2018080252A (ja) | 2016-11-16 | 2016-11-16 | セラミックグリーンシート成形用樹脂およびセラミックグリーンシート |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2016222978A Pending JP2018080252A (ja) | 2016-11-16 | 2016-11-16 | セラミックグリーンシート成形用樹脂およびセラミックグリーンシート |
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- 2016-11-16 JP JP2016222978A patent/JP2018080252A/ja active Pending
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