JP2013121906A - 無機質焼結体製造用バインダー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体を含有する無機質焼結体製造用バインダーであって、前記ポリビニルブチラールは、重合度が800〜4000、水酸基量が20〜40モル%、ブチラール化度が60〜80モル%、かつ、ブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率が4〜15であり、前記ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、メタクリル酸類を90重量%以上含有する無機質焼結体製造用バインダー。
【選択図】なし
Description
セラミックグリーンシートは、セラミック原料粉末とバインダー樹脂、可塑剤、消泡剤、分散剤及び有機溶剤等をボールミル等の混合装置により均一に混合してスラリーを調整し、このスラリーを支持体に塗布した後、溶剤の乾燥除去を行うことによって製造される。
一方、アクリル樹脂は熱分解性に優れ、焼成後の残留カーボンは少なくなるが、このアクリル樹脂をバインダーとして製造されたセラミックグリーンシートは強度が弱いという欠点があり、これを改良するため、アクリル樹脂を多量に配合する必要があった。そのために、焼成処理において、得られる脱脂体の急激な体積収縮に伴う割れやクラックが発生し易く、また、焼成にも長時間を要するという問題点があった。
しかしながら、これらの文献に記載のバインダーを用いた場合においても、厚さ5μm以下の薄膜のセラミックグリーンシートを作製する場合には、充分なシート強度が得られず、また、焼成時における分解性が不充分となったり、体積収縮に伴う割れやクラックによって無機質焼結体シートに欠陥が発生する等の不具合が発生して、セラミックコンデンサの電気特性が低下したりする問題があった。
以下、本発明を詳述する。
本発明において、「ポリビニルブチラールからなるユニット」及び「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」とは、グラフト共重合体中に存在している「ポリビニルブチラール」、「ポリ(メタ)アクリル酸類」のことをいう。
また、ポリビニルブチラールからなるユニット及びポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットを有するグラフト共重合体は、主鎖を構成する「ポリビニルブチラールからなるユニット」又は「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」に、該主鎖とは異なる側鎖を構成する「ポリビニルブチラールからなるユニット」又は「ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニット」が結合した分岐状の共重合体のことをいう。
好ましい下限は1000、好ましい上限は3500である。
好ましい下限は25モル%、好ましい上限は35モル%である。
好ましい下限は65モル%、好ましい上限は75モル%である。
好ましい下限は5、好ましい上限は13である。
なお、本発明において、「ブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率」とは、ブチラール環の立体構造において、シンジオタクティック構造を有する水酸基から形成されるブチラール環構造(ラセモブチラール環)を有するブチラール基の量に対して、アイソタクティック構造を有する水酸基から形成されるブチラール環構造(メゾブチラール環)を有するブチラール基の量の比率であり、例えば、グラフト共重合体をジメチルスルホシキド等の溶剤に溶解させ、測定温度150℃においてプロトンNMRを測定し、4.5ppm付近に現れるメゾブチラール環構造に由来するピークと、4.2ppm付近に現れるラセモブチラール環構造に由来するピークの積分値を比較することや、カーボンNMRを測定し、100ppm付近に現れるメゾブチラール環構造に由来するピークと、94ppm付近に現れるラセモブチラール環構造に由来するピークの積分値を比較することによって測定することができる。
また、メゾ/ラセモ比率を調整するためには、ブチラール化工程の熟成温度と熟成時間を適宜調整することが有効であり、これらを調整することによって目的のメゾ/ラセモ比率を得ることができる。特に、熟成温度が低く熟成時間が短い場合には、メゾ/ラセモ比率は下限を外れ、熟成温度が高く熟成時間が長い場合には、上限を外れる場合がある。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸類」とは、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種をいう。
また、上記(メタ)アクリル酸類はメタクリル酸類を90重量%以上含有し、特に、単官能メタクリル酸エステルを90重量%以上含有することが特に好ましい。このことにより、セラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた場合、焼成時における分解性が高くなり、残留炭化物が少ないバインダーを得ることができる。また、スラリーとした際に適度な粘度とすることができる。
上記単官能(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
なかでも、焼成時における分解性が特に高く、残留炭化物が非常に少ないバインダーが得られることから、メタクリル酸エステルが好適であり、さらに、メチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレートを構成単位として30重量%以上含むことが好ましく、40重量%以上含むことがより好ましく、50重量%以上含むことが更に好ましい。
具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート等のポリエチレングリコール鎖をエステル側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
なお、本発明において、「グラフト率」とは、グラフト共重合体中のポリビニルブチラールからなるユニットに対するポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの比率を表し、例えば、以下の方法により評価することができる。得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、不溶分をグラフト共重合体とする。得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの重量を換算し、下記式(1)を用いてグラフト率を求めることができる。
上記グラフト共重合体が上記他のモノマーからなるユニットを有することにより、得られるグラフト共重合体の分子間相互作用が増大し、該グラフト共重合体をバインダーに用いることによって、シート強度が高いセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが極性基を有する場合には、該極性基と無機粉末の表面とが水素結合等の相互作用を起こすことにより、得られるスラリーの無機粉末の分散性を向上させ、分散剤を配合しない場合においても均一なセラミックグリーンシートを形成することができる。更に、上記他のモノマーが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びエーテル基からなる群より選択される官能基を有する場合には、バインダー内の酸素含有量が高くなり、熱分解に有効なラジカルが発生することから、バインダーの焼成を助け、残留炭化物が非常に少ないグリーンシートを得ることができる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
また、懸濁重合法としては、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマー、純水、分散剤、ラジカル重合開始剤を仕込み、重合器内の空気を窒素に置換し、モノマーをポリビニルブチラール樹脂中に膨潤させた後に昇温して、(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
更に、塊状重合法としては、温度調整機及び攪拌機付きの重合器に、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル酸類を含有するモノマーを添加して、加熱しながら攪拌することによってポリビニルブチラールをモノマーに溶解させた後、重合器内の空気を窒素に置換してから、さらにラジカル重合開始剤を加えて(メタ)アクリル酸類を重合する方法等が挙げられる。
上記グラフト効率が10%未満であると、セラミックグリーンシートの強度、伸びが低下するため好ましくない。
なお、グラフト効率は以下の方法で評価できる。
得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、可溶分を(メタ)アクリル酸類のホモポリマー、不溶分をグラフト共重合体とする。得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの重量を換算し、下記式(2)を用いてグラフト効率を求めることができる。
これらのラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記有機溶剤は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、アルコールを少量でも用いると、バインダーの粘度が下がり、取扱性に優れるペーストが得られる。
また、80℃以上の沸点を持つ有機溶剤を含有することにより、急激な乾燥が防ぐことができ、得られるグリーンシートの表面を平滑にすることができる。
上記セラミックグリーンシートを作製する方法としては、特に限定されず、公知の成形方法によって成形される。例えば、本発明の無機質焼結体製造用バインダーに、必要に応じて可塑剤、分散剤、消泡剤等の添加物を配合し、有機溶媒とセラミック粉末と共にボールミル等の混合装置で均一に混合してスラリーを調製し、該スラリーをPETフィルム等の支持体上にドクターブレード法等の公知の方法により湿式塗布し、有機溶剤を乾燥除去する方法が挙げられる。その他に、上記スラリーをスプレードライヤー法等により顆粒状に造粒した後、該顆粒を乾式プレス法により成形する方法等も挙げられる。
(1)グラフト共重合体の調製
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルブチラール(重合度1700、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)25重量部と、メチルメタクリレート25重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを16重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、33万であった。グラフト率は61%、グラフト効率は60%であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、8.0であった。
得られたグラフト共重合体溶液を希釈溶剤(エタノールとトルエンの混合溶剤、エタノールとトルエンの重量比率は1:1)により希釈し、固形分10重量%の溶液とした。次に、本溶液20重量部にセラミック粉末としてチタン酸バリウム粉末(BT−03、平均粒子径0.3μm、堺化学工業社製)20重量部、及び、可塑剤としてジオクチルフタレートを0.4重量部添加し、ボールミルを用いて48時間混練してセラミックグリーンシート用スラリーを得た。
次に、得られたセラミックグリーンシート用スラリーを、コーターを用いて乾燥後の厚みが3μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、常温で1時間風乾した後、熱風乾燥機で80℃で1時間、ついで、120℃で1時間乾燥してセラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量31.8モル%、アセチル基量1.2モル%)を用い、溶媒の種類を酢酸エチルからエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノールとトルエンの重量比率は1:1)に変えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、22万であった。グラフト率は47%、グラフト効率は45%であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、4.5であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度1500、ブチラール化度78.0モル%、水酸基量21.0モル%、アセチル基量1.0モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、30万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、7.0であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度3500、ブチラール化度60.9モル%、水酸基量29.7モル%、アセチル基量9.4モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、53万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、5.1であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート50重量部及びn−ブチルメタクリレート50重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分50重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、35万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用い、可塑剤としてジブチルフタレートを用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分23重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、28万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート12.5重量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート12.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、30万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート24重量部及びメタクリル酸1重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、32万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート15重量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、24万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート15重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8重量部及びグリシジルメタクリレート2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、22万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート23.5重量部、及び、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート1.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、22万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、27万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、グリシジルメタクリレート25重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、32万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート23重量部及びn−ブチルアクリレート2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、36万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)50重量部をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解したポリビニルブチラール樹脂溶液を作製した。なお、得られたポリビニルブチラールについて、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、15万であった。
また、使用したポリビニルブチラールにおけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、5.0であった。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られたポリビニルブチラール樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量8万)をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解したポリメチルメタクリレート溶液を作製した。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られたポリメチルメタクリレート溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)と、ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量8万)との混合物(重量比で1:1)をエタノールとトルエンの混合溶剤(エタノール:トルエン=1:1)に固形分10重量%で溶解した混合樹脂溶液を作製した。
なお、使用したポリビニルブチラールにおけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、5.0であった。
次いで、実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」において、グラフト共重合体溶液に代えて、得られた混合樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、セラミックグリーンシートを得た。
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、末端にメルカプト基を有するポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度60.2モル%、水酸基量39.0モル%、アセチル基量0.8モル%)25重量部と、メチルメタクリレート100重量部と、酢酸エチル100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら75℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのAIBNを16重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
次いで、反応液を冷却することにより、ブロック共重合体を含有する固形分20重量%のブロック共重合体溶液を得た。なお、得られたブロック共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、20万であった。
また、得られたブロック共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、4.1であった。
次いで、得られたブロック共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度60.5モル%、水酸基量38.8モル%、アセチル基量0.7モル%)を用い、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート50重量部及びn−ブチルメタクリレート50重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、24万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、3.5であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度64.5モル%、水酸基量34.2モル%、アセチル基量1.3モル%)を用い、メチルメタクリレート25重量部に代えて、イソブチルメタクリレート10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分23重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、19万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、16であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、ポリビニルブチラール(重合度800、ブチラール化度54.0モル%、水酸基量45.0モル%、アセチル基量1.0モル%)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、18万であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、4.5であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
実施例1の「(1)グラフト共重合体の調製」において、メチルメタクリレート25重量部に代えて、メチルメタクリレート10重量部及びn−エチルアクリレート15重量部を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体を含有する固形分30重量%のグラフト共重合体溶液を得た。なお、得られたグラフト共重合体の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、29万であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルブチラール(重合度600、ブチラール化度68.0モル%、水酸基量30.8モル%、アセチル基量1.2モル%)20重量部と、酢酸エチル80重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に2−イソシアナトエチルメタクリレート0.6重量部とトリメチルアミン1重量部を加え、反応容器内を撹拌しながら75℃で10時間反応させた。
次に、この反応液にメチルメタクリレート40重量部を加えた。次いで、重合開始剤としてのAIBN0.5重量部を酢酸エチル16重量部で希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に5時間かけて滴下添加した。その後、さらに75℃にて3時間反応させた。
その後、反応液を冷却することにより、グラフト重合体を有する固形分38重量%のバインダー樹脂溶液を得た。なお、得られたバインダー樹脂の重量平均分子量をカラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定したところ、11万であった。グラフト率は156%、グラフト効率は78%であった。
また、得られたグラフト共重合体におけるブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率を13C−NMRによって測定したところ、6.5であった。
次いで、得られたグラフト共重合体溶液を用いた以外は実施例1の「(2)セラミックグリーンシートの作製」と同様にして、セラミックグリーンシートを得た。
上記で得られた樹脂溶液、セラミックグリーンシートの性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、不溶分をグラフト共重合体とした。
得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットの重量を換算し、重量分率を算出した。
得られた樹脂溶液を用いて、厚さが100μmのバインダー樹脂からなるフィルムを作製し、これを600℃まで加熱し、完全に分解するか否かを観察して、以下の基準で熱分解性を評価した。
◎:残さがなく、完全に分解した。
○:残さは殆どなく、概ね完全に分解した。
×:明らかな残さがあった。
得られたセラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離し、セラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準で強度を評価した。
◎:セラミックグリーンシートに、切れや破れは全く観察されなかった。
○:セラミックグリーンシートのごく一部に、小さな切れが観察された。
×:セラミックグリーンシートがポリエステルフィルムから剥離できない、もしくは、剥離したシートの大部分に切れや破れが観察された。
得られたセラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準でシート均一性を評価した。
◎:セラミックグリーンシートにムラが無く、均一なシートが得られた。
○:セラミックグリーンシートにムラは殆ど無く、概ね均一なシートが得られた。
×:セラミックグリーンシートに明らかなムラがあった。
得られたセラミックグリーンシートを5cm角に切断した後、100枚重ねた。次いで、70℃、圧力10MPa、10分間の熱圧条件で積層したのち、600℃まで加熱した。
得られた積層体について、クラックの有無を確認した。
〇:クラックの発生は確認できなかった。
×:クラックの発生が確認された。
Claims (6)
- ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体を含有する無機質焼結体製造用バインダーであって、
前記ポリビニルブチラールは、重合度が800〜4000、水酸基量が20〜40モル%、ブチラール化度が60〜80モル%、かつ、ブチラール環構造のメゾ/ラセモ比率が4〜15であり、
前記ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、メタクリル酸類を90重量%以上含有する
ことを特徴とする無機質焼結体製造用バインダー。 - ポリビニルブチラールからなるユニットとポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットとを有するグラフト共重合体は、ポリビニルブチラールからなるユニットを10〜90重量%含有し、ポリ(メタ)アクリル酸類からなるユニットを10〜90重量%含有することを特徴とする請求項1記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、メチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレートを30重量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- ポリ(メタ)アクリル酸類を構成する(メタ)アクリル酸類は、分子内にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基又はエーテル基を有する(メタ)アクリル酸類を5重量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の無機質焼結体製造用バインダー。
- 請求項1、2、3又は4記載の無機質焼結体製造用バインダー、可塑剤、有機溶剤、無機質微粒子、及び、分散剤を含有することを特徴とする無機質焼結体製造用ペースト。
- 請求項5記載の無機質焼結体製造用ペーストを用いてなることを特徴とするセラミックグリーンシート。
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