JP2013539227A - 固体電解質としてのpedot/pssを含むコンデンサにおける電気的パラメータをポリアルキレングリコールによって改善する方法 - Google Patents

固体電解質としてのpedot/pssを含むコンデンサにおける電気的パラメータをポリアルキレングリコールによって改善する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、電解コンデンサの製造方法であって、a)電極材料(2)から作製される電極体(1)を設けてアノード体(5)を得る工程であって、誘電体(3)が、この電極材料(2)の表面(4)を少なくとも部分的に覆う、工程と、b)70nm以下の粒径(d50)を持つ導電性ポリマーの粒子および分散剤を含む分散液を、アノード体(5)のうちの少なくとも一部に導入する工程と、c)この分散剤を少なくとも部分的に除去して、コンデンサ体(7)を得る工程と、d)ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせを、含浸剤(8)としてコンデンサ体(7)に導入する工程とを含む製造方法に関する。本発明は、この方法を用いて製造される電解コンデンサ、電解コンデンサの使用、および電子回路にも関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサの製造方法、この方法を用いて製造される電解コンデンサ、この電解コンデンサの使用、および電子回路に関する。
標準的な電解コンデンサは、概して、多孔性金属電極と、金属表面上に設けられる酸化物層と、この多孔性構造体の中へと導入されている導電性物質、通常は固体と、外部電極(接点)、例えば銀層と、さらなる電気接点と封入体とから構成される。しばしば使用される電解コンデンサの1つは、タンタル電解コンデンサであり、このタンタル電解コンデンサのアノード電極はバルブ金属のタンタルから作製され、このタンタルの上に五酸化タンタルの均一な誘電体層がアノード酸化(「形成」とも呼ばれる)によって生成されている。液体電解質または固体電解質は、コンデンサのカソードを形成する。アノード電極がバルブ金属であるアルミニウムから作製され、このアルミニウムの上に均一な電気絶縁性の酸化アルミニウム層がアノード酸化によって誘電体として生成されている、アルミニウムコンデンサも、頻繁に用いられる。ここでも、液体電解質または固体電解質がコンデンサのカソードを形成する。アルミニウムコンデンサは、通常、巻回型コンデンサまたは積層型コンデンサとして構築される。
π共役ポリマーは、それらの高い電気伝導率を考慮して、上記のコンデンサにおける固体電解質として特に適切である。π共役ポリマーは、導電性ポリマーまたは合成金属とも呼ばれる。ポリマーは、加工性、重量、および化学修飾によって特性を狙った設定にできることの点で、金属に勝る利点を有するので、π共役ポリマーは、ますます経済的に重要になってきている。公知のπ共役ポリマーの例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンおよびポリ(p−フェニレン−ビニレン)が挙げられ、工業的に使用される特に重要なポリチオフェンはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。なぜなら、PEDOTは、その酸化された形態において、非常に高い電気伝導率を有するからである。
導電性ポリマーに基づく固体電解質は、種々の方法で酸化物層に付与することができる。例えば、特許文献1は、3,4−エチレンジオキシチオフェンからの固体電解質の製造、および電解コンデンサにおけるその使用を記載する。この明細書の教示によれば、3,4−エチレンジオキシチオフェンは、その場で酸化物層の上へと重合される。ポリマー固体電解質の堆積後、例えば特許文献2に記載されているように、低残留電流を成し遂げるために、コンデンサの酸化物層は、従来通り、再形成される必要がある。この目的のために、コンデンサは電解質の中に浸漬され、その酸化物膜のアノード酸化電圧を超えない電圧に曝される。
しかしながら、その場重合を使用する固体電解コンデンサの製造の短所は、中でもとりわけ、プロセスの複雑さである。従って、いずれの場合も浸漬、重合および洗浄の工程を含む重合プロセスは、概して数時間を要する。特定の状況下では、爆発性のまたは有毒な溶媒もここで用いられる必要がある。固体電解コンデンサの製造のためのその場方法のさらなる欠点は、概して、酸化剤のアニオンまたは、適切な場合、他の単量体状アニオンが、導電性ポリマーについての対イオンとしての役割を果たすということである。しかしながら、それらアニオンの小さいサイズが原因で、これらは、十分に安定な様態でポリマーに結合されない。結果として、とりわけコンデンサの上昇した使用温度で、対イオンの拡散およびそれゆえコンデンサの等価直列抵抗(ESR)の上昇が起こる可能性がある。化学的なその場重合における高分子量の高分子対イオンの代替的使用は、十分な導電性のフィルムへとつながらず、それゆえ低ESR値にはつながらない。
それゆえ、先行技術において、電解コンデンサにおける、導電性ポリマーに基づく固体電解質の別の製造方法が開発されてきた。例えば、特許文献3は、コンデンサにおける固体電解質の製造方法であって、先行技術から公知のすでに重合したチオフェンを含む分散液、例えばPEDOT/PSS分散液が、酸化物層に付与され、次いで分散媒体がエバポレーションによって除去される方法を記載する。しかしながら、とりわけ、高い動作電圧についての電解コンデンサの信頼性の指標である破壊電圧を、さらに高めるという要求がある。破壊電圧は、コンデンサの誘電体(酸化物層)が電場強度にもはや耐えることができずに、アノードとカソードとの間で絶縁破壊が起こり、コンデンサにおいて短絡を導く電圧である。破壊電圧が高いほど、誘電体の品質は良好であり、それゆえコンデンサの信頼性もより高い。さらに、コンデンサを使用することができる定格電圧が高いほど、コンデンサの破壊電圧はより高い。
特許文献4、特許文献5、特許文献6または特許文献7の教示によれば、アルミニウムコンデンサにおける破壊電圧の上昇は、例えば、分散液を酸化物層に付与する前に、固体電解質層を製造するために用いられるポリマー分散液にポリエチレングリコールなどのイオン伝導性物質を加えることにより、成し遂げることができる。しかしながら、当該目的を成し遂げるためのこのアプローチの短所は、コンデンサの破壊電圧は改善されうるが、この改善は、低温におけるコンデンサのキャパシタンスの望ましくない大きい落ち込みを伴うということである。
ポリマー分散液にポリエチレングリコールを添加することに加えて、固体電解質および液体電解質の組み合わせを提供するいわゆる「ハイブリッドコンデンサ」に関して、例えば特許文献8または特許文献9からは、キャパシタンス残存率を上昇させ、これに応じて残留電流を低下させるために、固体電解質が酸化物層に付与された後に、固体電解質にγ−ブチロラクトンまたはスルホランを含む溶液を含浸させることも公知である。このようなコンデンサは、低温で、望ましくない、キャパシタンスの大きな低下をも示す。さらには、特許文献8または特許文献9で使用される成分は、コンデンサの温度が上昇する(これは、部品の中での通常の使用とともにまたはコンデンサの製造プロセスの間で起こりうる)と揮発し、このことは、このようなハイブリッドコンデンサの乾きにつながる。
欧州特許出願公開第0 340 512(A)号明細書 欧州特許出願公開第0 899 757(A)号明細書 独国特許出願公開第10 2005 043828(A)号明細書 国際公開第2007/097364(A)号パンフレット 特開2008−109065号公報 特開2008−109068号公報 特開2008−109069号公報 米国特許第7,497,879(B2)号明細書 特開2009−111174号公報
本発明は、コンデンサに関連した、とりわけ固体電解コンデンサに関連した、特に好ましくは先行技術から公知のアルミニウムコンデンサに関連した先行技術から生じる短所を克服するという目的に基づいていた。
特に、本発明は、電器産業における重要な要求事項に適合するために、低温での小さいキャパシタンスの低下と同時にできるだけ高い破壊電圧を有するコンデンサを製造することができる、コンデンサの製造方法を提供するという目的に基づいていた。
上記の有利なコンデンサのための製造方法は、その製造方法が、これらのコンデンサをできるだけ簡便に、特にできるだけ少ない工程で製造することを可能にするという点でも、さらに際立つものであるべきである。
上記の目的の解決に向けた寄与は、
a)電極材料から作製される好ましくは多孔性の電極体を設けてアノード体を得る工程であって、誘電体がこの電極材料の表面を少なくとも部分的に覆う、工程と、
b)70nm以下の粒径(d50)を持つ導電性ポリマーの粒子および分散剤を含む分散液をアノード体のうちの少なくとも一部に導入する工程と、
c)当該分散剤を少なくとも部分的に除去して、コンデンサ体を得る工程と、
d)ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせを、含浸剤としてこのコンデンサ体に導入する工程と
を含む、コンデンサ、好ましくは電解コンデンサ、の製造方法によって成し遂げられる。
導電性ポリマーをすでに含浸したコンデンサ体に導入される、含浸剤としてのポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、まったく驚くべきことに、コンデンサの破壊電圧の著しい向上を導くということが判明した。驚くべきことに、低温でのコンデンサの電気容量の変化を著しく抑えることも、このようにして可能であった。
本発明に係る方法の工程a)では、電極材料から作製される電極体が最初に調製され、この際、誘電体がこの電極材料の表面を少なくとも部分的に覆う。
原則として、この電極体は、高表面積を持つバルブ金属粉末がプレスされ焼結されて大部分が多孔性の電極体が形成されるということにより製造することができる。これに関して、好ましくはタンタルなどのバルブ金属で作製される電気接続ワイヤは、従来どおりこの電極体へとプレスされる。次いでこの電極体は、例えば電気化学的酸化によって誘電体、すなわち酸化物層でコーティングされる。別法として、多孔性領域を持つアノード膜を得るために、金属膜をエッチングして電気化学的酸化によって誘電体でコーティングしてもよい。巻回型コンデンサの場合には、電極体を形成する多孔性領域を持つアノード膜、およびカソード膜は、セパレーターによって隔てられ、巻き上げられる。
本発明の範囲内で、バルブ金属は、金属の酸化物被膜が両方向に等しく電流の流れを許容するわけではない、その金属を表すと理解される。電圧がアノードに印加されるときこのバルブ金属の酸化物層は電流の流れを遮断するが、他方、電圧がカソードに印加されるときその酸化物層を破壊する可能性がある大電流が流れる。バルブ金属としては、Be、Mg、Al、Ge、Si、Sn、Sb、Bi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、TaおよびWならびにこれらの金属の少なくとも1つと他の元素との合金または化合物が挙げられる。バルブ金属の最も知られた代表例は、Al、TaおよびNbである。バルブ金属に匹敵する電気特性を有する組み合わせは、酸化することができかつその酸化物層が本願明細書にこれまでに記載された特性をもたらす、金属的な電気伝導率を呈する組み合わせである。例えばNbOは金属的な電気伝導率を呈するが、一般にはバルブ金属とは考えられない。しかしながら酸化されたNbOの層はバルブ金属酸化物層の典型的な特性を呈し、そのため、NbOまたはNbOと他の元素との合金もしくは化合物はバルブ金属に匹敵する電気特性を有するそのような化合物の典型例である。タンタル、アルミニウムから構成される電極材料、およびニオブまたは酸化ニオブに基づく電極材料が好ましい。アルミニウムは電極材料として特に好ましい。
多孔性領域を有することが多い電極体の製造のために、このバルブ金属は、例えば粉末形態で焼結されて、一般に多孔性の電極体を得てもよく、または多孔性構造体が、金属体の上に刻み付けられる。後者は、例えば膜をエッチングすることにより行うことができる。
簡単にするために、多孔性領域を有する物体は、以下では「多孔性(の)」とも呼ばれる。例えば、多孔性領域を有する電極体は、多孔性電極体とも呼ばれる。一方で、多孔性の物体には複数のチャネルが広がっていてもよく、それゆえ多孔性の物体は海綿状であってもよい。これは、コンデンサの製造のためにタンタルが使用される場合に、よくあることである。他方で、表面だけが細孔を有し、表面細孔の下に続く領域が、構造的に中実であるということが可能である。このような状況は、コンデンサの製造のためにアルミニウムが使用される場合に、多く観察される。
このようにして製造された多孔性であることが多い電極体は、次いで、誘電体を形成するために、例えばリン酸またはアジピン酸アンモニウム水溶液などの適切な電解質の中で、電圧の印加によって酸化される。この形成電圧の大きさは、成し遂げられるべき酸化物層の厚さまたはコンデンサの、後の使用電圧に依存する。好ましい形成電圧は、1〜2000Vの範囲に、特に好ましくは30〜1900Vの範囲に、より特に好ましくは50〜1600Vの範囲に、より好ましくは100〜1500Vの範囲に、さらに好ましくは150〜1400Vにある。
使用される一般に多孔性の電極体は、好ましくは10〜90%、好ましくは30〜80%、特に好ましくは50〜80%の多孔性、および10〜10000nm、好ましくは、50〜5000nm、特に好ましくは100〜3000nmの平均孔径を有する。
本発明に係る方法の第1の特定の実施形態によれば、製造される電解コンデンサは、アルミニウム巻回型コンデンサである。この場合、工程a)では、電極材料としての多孔性アルミニウム膜がアノード側に形成され、これにより酸化アルミニウムコーティングが誘電体として形成される。このようにして得られたアルミニウム膜(アノード膜)は、次いで、接続ワイヤが設けられて、同じく接続ワイヤが設けられたさらなる多孔性アルミニウム膜(カソード膜)とともに巻き上げられ、これによりこれらの2つの膜は、例えばセルロースまたは好ましくは合成紙に基づく1以上のセパレーター紙によって互いに隔てられる。巻き上げられた後、このようにして得られるアノード体は、例えば接着テープによって固定される。このセパレーター紙は、オーブンの中で加熱することにより炭化することができる。アルミニウム巻回型コンデンサについてのアノード体の製造のこの様態は、先行技術から十分に公知であり、例えば米国特許第7,497,879(B2)号明細書に記載されている。
本発明に係る方法の工程b)では、導電性ポリマーの粒子および分散媒体を含む分散液が、次に、アノード体の多孔性領域へと導入される。この分散液は、公知の方法、例えば、浸漬、ディッピング、注ぎ込み、滴下、注入、噴霧、塗布、塗装または印刷、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷またはタンポン印刷、を使用して多孔性領域へと導入される。この導入は、好ましくは、工程a)で調製されたアノード体が分散液に浸漬され、これに応じてこの分散液で含浸されることにより実施される。分散液への浸漬または分散液による含浸は、好ましくは、1秒〜120分の範囲、特に好ましくは10秒〜60分の範囲、最も好ましくは30秒〜15分の範囲の時間、行われる。この分散液をアノード体に導入することは、例えば昇圧もしくは減圧、振動、超音波または熱によって促進されうる。
当該分散液をアノード体に導入することは、直接に、または接着促進剤、例えば、シラン、例えば有機官能性シランもしくはその加水分解生成物、例えば、3−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランもしくはオクチルトリエトキシシラン、および/または1以上の他の機能層を使用して行うことができる。
上記導入によって、当該分散液が多孔性領域の細孔を層で覆う傾向がより少ないということが、好ましく成し遂げられる。むしろ、この細孔の空洞の表面が、この分散液で少なくとも部分的にコーティングされる。このようにして、この分散液の中に存在する粒子は、細孔の開口部を覆う層を形成するだけでなく、細孔の表面の少なくとも一部(すべての領域であることも多い)も分散液の粒子の層で覆われる。
用語「ポリマー」は、本発明の範囲内で使用する場合、本発明に関する範囲内で、複数の同一のまたは異なる繰り返し単位を持つすべての化合物を包含する。
用語「導電性ポリマー」は、本願明細書中では、特に、酸化または還元後に電気伝導率を有する、π共役ポリマーの化合物の部類を指す。好ましくは、酸化後に少なくとも0.1Scm−1の桁の電気伝導率を有するこのようなπ共役ポリマーが導電性ポリマーとして理解される。
当該分散液の中の導電性ポリマーの粒子は、好ましくは、少なくとも1つのポリチオフェン、ポリピロールまたはポリアニリン(これらは置換されていてもよい)を含む。
特に好ましくは、当該導電性ポリマーの粒子は、一般式(I)、一般式(II)もしくは一般式(III)またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を持つ少なくとも1つのポリチオフェンを含む。以下の可能な変更態様では、当該分散液の中の導電性ポリマーの粒子は、一般式(I)もしくは一般式(II)もしくは一般式(III)の繰り返し単位または式(I)および(II)の繰り返し単位もしくは式(I)および(III)の繰り返し単位もしくは式(II)および(III)の繰り返し単位または式(I)、(II)および(III)の繰り返し単位を持つ少なくとも1つのポリチオフェン
Figure 2013539227
(式中、
Aは、置換されていてもよいC−C−アルキレン残基を表し、
Rは、直鎖状もしくは分枝状の、置換されていてもよいC−C18−アルキル残基、置換されていてもよいC−C12−シクロアルキル残基、置換されていてもよいC−C14−アリール残基、置換されていてもよいC−C18−アラルキル残基、置換されていてもよいC−C−ヒドロキシアルキル残基またはヒドロキシル残基を表し、
xは整数0〜8を表し、
複数の残基RがAに結合されている場合、これらは同一であってもよいし異なっていてもよい)
を含む。
一般式(I)および(II)は、x個の置換基Rがアルキレン残基に結合されていてもよいということを意味すると理解されるべきである。
Aが置換されていてもよいC−C−アルキレン残基を表し、xが0または1を表す一般式(I)もしくは(II)の繰り返し単位または一般式(I)および(II)の繰り返し単位を持つポリチオフェンが、特に好ましい。
置換されていてもよいポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、当該固体電解質の導電性ポリマーとしてなお特に好ましい。
本発明の枠組みの中で、接頭辞「ポリ」は、複数の同一のまたは異なる繰り返し単位が当該ポリマーまたはポリチオフェンの中に含まれるということを意味すると理解される。このポリチオフェンは、合計n個の一般式(I)もしくは一般式(II)もしくは一般式(III)の繰り返し単位または一般式(I)および(II)の繰り返し単位もしくは一般式(I)および(III)の繰り返し単位もしくは一般式(II)および(III)の繰り返し単位または一般式(I)、(II)および(III)の繰り返し単位を含み、nは2〜2000、好ましくは、2〜100の整数である。一般式(I)もしくは一般式(II)もしくは一般式(III)の繰り返し単位または一般式(I)および(II)の繰り返し単位もしくは一般式(I)および(III)の繰り返し単位または一般式(II)および(III)の繰り返し単位または一般式(I)、(II)および(III)の繰り返し単位は、いずれの場合も1つのポリチオフェンの中で、それぞれ、同一のまたは異なってもよい。それぞれ同一の一般式(I)もしくは一般式(II)もしくは一般式(III)の繰り返し単位を持つか、またはそれぞれ同一の一般式(I)および(II)、もしくは一般式(I)および(III)、もしくは一般式(II)および(III)の繰り返し単位を持つか、またはそれぞれ同一の一般式(I)、(II)および(III)の繰り返し単位を持つポリチオフェンが好ましい。それぞれ同一の一般式(I)もしくは一般式(II)の繰り返し単位を持つかまたはそれぞれ同一の一般式(I)および(II)の繰り返し単位を持つポリチオフェンが特に好ましい。
当該ポリチオフェンは、各末端基に水素(H)を有することが好ましい。
本発明の範囲内で、C−C−アルキレン残基Aは、好ましくは、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレンまたはn−ペンチレンである。C−C18−アルキルRは、好ましくは、直鎖状もしくは分枝状のC−C18−アルキル残基、例えばメチル、エチル、n−プロピルもしくはiso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルを表し、C−C12−シクロアルキル残基Rは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルまたはシクロデシルを表し、C−C14−アリール残基Rは、例えば、フェニルまたはナフチルを表し、C−C18−アラルキル残基Rは、例えば、ベンジル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、3,4−キシリル、3,5−キシリルまたはメシチルを表す。上記の一覧は、本発明の例示的な説明の目的で与えられ、排他的なものであるとみなされるべきではない。
残基Aおよび/または残基Rについての任意のさらなる置換基として、多くの有機基が本発明の範囲内で考慮され、その例としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホネート基、アミノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、カーボネート基、カルボキシレート基、シアノ基、アルキルシラン基およびアルコキシシラン基およびカルボキシルアミド基が挙げられる。
上に列挙された残基AおよびRならびに/または、例えば残基AおよびRのさらなる置換基は、ポリアニリンまたはポリピロールについての置換基として考慮される。非置換ポリアニリンが好ましい。
本発明の範囲は、上で提示されたおよびこのあと記載される一般的な残基の定義、パラメータおよび説明、または互いと一緒に好ましい範囲として、つまり、それぞれの範囲と好ましい範囲とのあらゆる組み合わせで記載される一般的な残基の定義、パラメータおよび説明のすべてを包含する。
好ましい方法において固体電解質として使用されるポリチオフェンは、電荷を帯びていなくてもよいし、またはカチオン性であってもよい。好ましい実施形態では、それらはカチオン性である。「カチオン性」は、単にこのポリチオフェン主鎖上に存在する電荷のみに関する。残基上の置換基に応じて、当該ポリチオフェンは正電荷および負電荷をその構造単位の中に有することができ、この場合、この正電荷は当該ポリチオフェン主鎖上に存在し、負電荷は、存在する場合、スルホネート基またはカルボキシレート基によって置換された残基R上に存在する。従って、当該ポリチオフェン主鎖の正電荷は、残基Rに任意に存在しうるアニオン性基によって部分的にまたは完全に均衡がとられていてもよい。全体的に見ると、このポリチオフェンは、これらの場合にはカチオン性であってもよく、電荷を帯びていなくてもよく、またはアニオン性でさえあってもよい。とはいうものの、本発明の範囲内では、それらは、すべてカチオン性ポリチオフェンであると考えられる。なぜなら、このポリチオフェン主鎖上の正電荷が非常に重要だからである。この正電荷は、上記式の中には示されていない。なぜなら、それらの正確な数および位置は明確に特定できないからである。しかしながら正電荷の数は、少なくとも1であり、多くともnである(nは、このポリチオフェン内のすべての(同じまたは異なる)繰り返し単位の総数を表す)。
任意にスルホネートまたはカルボキシレートで置換された、従って負に帯電した残基Rによってすでにこの正電荷と均衡がとられていない限りでは、この正電荷と均衡をとるために、このカチオン性ポリチオフェンは対イオンとしてアニオンを必要とする。
上記対イオンは単量体状アニオンまたは高分子アニオンであってもよい。高分子アニオンは、以降ではポリアニオンとも呼ばれる。
単量体状アニオンと比較して高分子アニオンは好ましい。なぜなら、高分子アニオンは膜の形成に寄与し、その分子サイズのため、熱的により安定な導電性の膜を導くからである。
本発明における高分子アニオンは、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸もしくはポリマレイン酸などの高分子カルボン酸のアニオン、またはポリスチレンスルホン酸およびポリビニルスルホン酸などの高分子スルホン酸のアニオンであることができる。これらのポリカルボン酸およびポリスルホン酸は、ビニルカルボン酸およびビニルスルホン酸と他の重合性単量体、例えばアクリルエステルおよびスチレンとのコポリマーであることもできる。
上記の粒子における高分子カルボン酸または高分子スルホン酸のアニオンは、高分子アニオンとして好ましい。
ポリチオフェン、とりわけポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の使用とともに用いられるポリスチレンスルホン酸(PSS)のアニオン、好ましくは、先行技術から公知のPEDOT/PSS錯体の形態で錯体として結合するポリスチレンスルホン酸(PSS)のアニオンは、高分子アニオンとして特に好ましい。このような錯体は、ポリスチレンスルホン酸の存在下での、水溶液中でのチオフェン単量体、好ましくは、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合によって得ることができる。
上記ポリアニオンを与えるポリ酸の分子量は、好ましくは、1000〜2,000,000、特に好ましくは2000〜500,000である。このポリ酸またはそのアルカリ塩は、例えば、ポリスチレンスルホン酸およびポリアクリル酸のように市販されているが、公知の方法を使用して製造することもできる(例えば、Houben Weyl、Methoden der organischen Chemie、第E20巻、Makromolekulare Stoffe、Part 2、1987年、[Methods of Organic Chemistry, Macromolecular Substances]、1141頁以降を参照)。
上記ポリマーアニオンおよび導電性ポリマーは、とりわけ、0.5:1〜50:1、好ましくは1:1〜30:1、特に好ましくは2:1〜20:1の重量比で当該分散液に含有されてもよい。これに関して当該導電性ポリマーの重量は、重合の際に完全変換が起こると仮定して、使用された単量体の秤量された量に対応する。
単量体状アニオンとして、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸もしくは高級スルホン酸、例えばドデカンスルホン酸などのC−C20−アルカンスルホン酸の単量体状アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸またはペルフルオロオクタンスルホン酸などの脂肪族ペルフルオロスルホン酸の単量体状アニオン、2−エチルヘキシルカルボン酸などの脂肪族C−C20−カルボン酸の単量体状アニオン、トリフルオロ酢酸またはペルフルオロオクタン酸などの脂肪族ペルフルオロカルボン酸の単量体状アニオン、ならびにベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸などの、C−C20−アルキル基で置換されていてもよい芳香族スルホン酸の単量体状アニオン、ならびにカンファースルホン酸などのシクロアルカンスルホン酸の単量体状アニオン、またはテトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、過塩素酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロヒ酸アニオンまたはヘキサクロロアンチモン酸アニオンを使用することができる。
p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはカンファースルホン酸のアニオンは、単量体状アニオンとして好ましい。
カチオン性ポリチオフェンは電荷補償のための対イオンとしてアニオンを含有するが、このカチオン性ポリチオフェンは、当該技術分野でポリチオフェン/(ポリ)アニオン錯体と呼ばれることが多い。
当該分散液の粒子、とりわけ導電性ポリマーの粒子は、100S/c超の比電気伝導率を有する。これに関して、当該粒子の比電気伝導率は、分散液の乾燥の際に当該粒子から生成する乾燥状態にある膜の比電気伝導率である。好ましくは、150S/cm超、特に好ましくは250S/cm超、より特に好ましくは400S/cm超、さらに特に好ましくは750S/cm超の比電気伝導率を有する粒子を含む分散液が使用される。ある場合には、5000S/cmの最大比電気伝導率を持つ粒子も使用される。
本発明によれば、当該分散液における当該粒子、とりわけ導電性ポリマーの粒子は、1〜70nmの範囲、好ましくは1〜40nm未満の範囲、好ましくは1〜35nmの範囲、特に好ましくは1〜30nmの範囲、より特に好ましくは5〜25nmの範囲の直径d50を有する。この粒子の直径の決定は、本願明細書中に記載される方法による超遠心測定によって実施される。
本発明に係る分散液における導電性ポリマーの粒子は、好ましくは、100nm未満、特に好ましくは70nm未満、より特に好ましくは50nm未満の直径分布のd90値を有する。
本発明に係る分散液における導電性ポリマーの粒子は、好ましくは、1nm超、特に好ましくは3nm超、より特に好ましくは5nm超の直径分布のd10値を有する。
当該分散液は、好ましくは、国際公開第2010/003874(A2)号パンフレット、第6頁、第10〜29行に記載されているような、金属および遷移金属に関する純度を含む。分散液の中での低濃度の金属は、固体電解質の形成のあいだ、およびコンデンサのそのあとの動作のあいだに誘電体が損傷を受けないという点で大きい利点を有する。
当該分散液は1以上の分散剤を含み、水、有機溶媒または有機溶媒と水との混合物が分散剤として好ましい。分散剤の例として以下の溶媒を挙げることができる:メタノール、エタノール、i−プロパノールおよびブタノールなどの脂肪族アルコール;アセトンおよびメチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン;酢酸エチルエステルおよび酢酸ブチルエステルなどの脂肪族カルボン酸エステル;トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどの塩素化炭化水素;アセトニトリルなどの脂肪族ニトリル;ジメチルスルホキシドおよびスルホランなどの脂肪族スルホキシドおよびスルホン;メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドなどの脂肪族カルボン酸アミド;ジエチルエーテルおよびアニソールなどの脂肪族エーテルおよび芳香族脂肪族エーテル。さらに、水、または水と上記の有機溶媒の混合物も分散剤として使用することができる。
好ましい分散剤は、水、またはアルコール、例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノールおよびブタノールなどの他のプロトン性溶媒、ならびに水とこれらのアルコールの混合物であり、特に好ましい分散剤は水である。
さらに、導電性ポリマーを含む当該分散液は、表面活性物質、例えば、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、または有機官能性シランもしくはそれらの加水分解生成物、例えば、3−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランもしくはオクチルトリエトキシシランなどの接着促進剤、メラミン化合物、ブロック化イソシアネート、官能性シラン −例えば、テトラエトキシシラン、例えばテトラエトキシシランに基づくアルコキシシラン加水分解生成物、エポキシシラン、例えば3−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン− ポリウレタン、ポリアクリレートまたはポリオレフィン分散液などの架橋剤などのさらなる成分を含むことができる。
好ましくは、導電性ポリマーを含む当該分散液は、電気伝導率を上昇させるさらなる添加剤、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル基を含む化合物、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン基を含む化合物、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン(NMP)、N−オクチルピロリドン、ピロリドンなどのアミド基もしくはラクタム基を含む化合物、スルホラン(テトラメチレンスルホン)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホンおよびスルホキシド、サッカロース、グルコース、フルクトース、ラクトースなどの糖もしくは糖誘導体、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール、2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸などのフラン誘導体、ならびに/またはエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールもしくはトリエチレングリコールなどの二価アルコールもしくは多価アルコールを含む。テトラヒドロフラン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシドまたはソルビトールは、電気伝導率を上昇させる添加剤として、特に好ましく使用される。
当該導電性ポリマーを含む分散液は、好ましくは、いずれの場合も分散液の総重量に対して2.5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満の、なお特に好ましくは0.1重量%未満の含浸剤の含有量を有する。より好ましくは、この分散液は含浸剤を含まず、特にポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含まない。当該分散液の中のポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、低温での望ましくないキャパシタンスの低下を導きやすい。
当該導電性ポリマーを含む分散液は、国際公開第2009/141209(A1)号パンフレットの第12頁、第16〜34行に記載のもののような、有機溶媒に可溶の1以上の有機結合剤を含むこともできる。この分散液はpH値1〜14を有することができ、pH値1〜8が好ましい。酸化アルミニウムまたは酸化ニオブなどの腐食を受けやすい誘電体については、その誘電体を損傷させることを回避するために、2.5〜8のpH値を持つ分散液が好ましい。
pH値を調整するために、例えば、国際公開第2010/003874(A2)号パンフレットの第4頁、第13〜32行に記載の塩基または酸を、当該導電性ポリマーを含む分散液に加えることができる。分散液の膜形成を損なわずかつ比較的高温においても、例えばはんだ付け温度においても揮発性ではなく、これらの条件下で固体電解質の中に留まるような添加剤、例えば塩基である2−ジメチルアミノエタノール、2,2’−イミノジエタノールまたは2,2’,2”−ニトリロトリエタノールおよび酸であるポリスチレンスルホン酸、が好ましい。
当該導電性ポリマーを含む分散液の粘度は、付与の方法に応じて、0.1〜1000mPa・sであることができる(20℃および100s−1のせん断速度でレオメータを用いて測定される)。好ましくは、粘度は1〜500mPa・s、特に好ましくは10〜200mPa・s、より特に好ましくは40〜150mPa・sである。
工程b)で使用される導電性ポリマーを含む分散液の固形分含量は、いずれの場合も導電性ポリマーを含む分散液の総重量に基づき、好ましくは、0.1〜20重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜10重量%の範囲、最も特に好ましくは1〜5重量%の範囲にある。この固形分含量は、分散剤を除去するのに十分高いが上記固体物質を分解しない温度で、分散液を乾燥することにより決定される。
当該分散液における粒子の導電性ポリチオフェンの製造のための前駆体として、対応する単量体またはそれらの誘導体が、国際公開第2010/003874(A2)号パンフレットの第17頁、第29行〜第20頁、第24行に記載されていると理解される。
当該分散液における粒子の粒径は、例えば、高圧ホモジナイザーによって小さくすることができる。このプロセスは、この効果を高めるために繰り返されてもよい。特に、粒径を顕著に小さくするために、100〜2000barの圧力が有利であることが判明した。ポリチオフェン/ポリアニオン錯体の製造およびそのあとの1以上の溶媒への分散または再分散も可能である。
アノード体が上記の分散液で含浸された後、工程c)では、分散液の中に含まれる分散剤は少なくとも部分的に除去または硬化され、その結果、固体電解質が形成され、この固体電解質が誘電体を部分的にまたは完全に覆う。これに関して、固体電解質による誘電体の被覆は、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%に及ぶことが好ましく、この際、独国特許出願公開第10 2005 043 828(A)号明細書に記載のように、120℃における乾式条件および湿式条件でのコンデンサのキャパシタンスの測定により決定が可能になる。
上記除去または硬化は、好ましくは、電極体が分散液から取り出され乾燥されることにより実施され、この際、この乾燥は、好ましくは、20℃〜200℃の範囲、特に好ましくは50℃〜175℃の範囲、より好ましくは80℃〜150℃の範囲の温度で行われる。誘電体上に堆積される固体電解質の層の厚さ、または電極体の中の固体電解質の充填レベルをそれぞれの要求事項に適合させるために、工程b)およびc)は、1回または数回繰り返されてもよい。
本発明に係る方法の工程d)では、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、工程c)で得られたコンデンサ体に導入され、この際、このポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体が、溶媒およびポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含む溶液の形態で導入され、さらなる工程e)において、好ましくは、この溶媒は、コンデンサ体に導入された溶液から少なくとも部分的に、好ましくは50重量%超まで、特に好ましくは90重量%超まで、より特に好ましくは98重量%超まで除去される。好ましくは、本発明に従って使用される含浸剤は、1つの分子の中に少なくとも2、好ましくは、少なくとも3、特に好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも7の繰り返し単位を与える。ある場合には、1つの分子の中に1000まで、好ましくは300までの繰り返し単位を持つ含浸剤が好適である。
好ましい含浸剤は、100〜100,000の分子量を持つ、とりわけエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにエチレングリコールおよびプロピレングリコールの統計的コポリマーに基づくポリアルキレングリコール類である。このポリアルキレングリコールは分枝状であってもよい。
このポリアルキレングリコールは末端基で非置換であってもよく、つまり、ポリアルキレングリコールは、2つの遊離のヒドロキシル基を有してもよいし、または末端基で一方または両方とも官能化されていてもよい。
適切な官能基は、エーテル基、例えば、置換もしくは非置換のアルキルエーテル類、置換もしくは非置換のアリルエーテル類、置換もしくは非置換のビニルエーテル類、グリシジルエーテル類、置換もしくは非置換のアリールエーテル類などである。例は、とりわけ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルである。
ポリアルキレングリコールジエーテルの例は、とりわけ、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテルである。
他の適切な官能基はエステル基であり、当該ポリアルキレングリコールは、カルボン酸で、一方または両方でエステル化されていてもよい。適切な例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、アクリル酸などで、一方または両方でエステル化されているポリアルキレングリコールである。
ポリアルキレングリコールエステル、および有機スルホン酸、例えば、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リン酸およびホスホン酸などの他の酸も好適である。
このポリアルキレングリコールは異なって置換されていてもよく、つまり、このポリアルキレングリコールは、末端基に上記の置換基のうちの2つの異なる置換基を有してもよい。
ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、公知の方法、例えば、浸漬、ディッピング、注ぎ込み、滴下、注入、噴霧、塗布、塗装または印刷、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷またはタンポン印刷、によってコンデンサ体へと導入される。好ましくは、この導入は、工程c)で調製されたコンデンサ体がポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含む分散液に浸漬され、これに応じてこのポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体で含浸されることにより実施される。この溶液への浸漬または溶液による含浸は、好ましくは、1秒〜120分の範囲、特に好ましくは10秒〜60分の範囲、最も好ましくは30秒〜15分の範囲の時間、行われる。このポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含む溶液をコンデンサ体に導入することは、例えば昇圧もしくは減圧、振動、超音波または熱によって促進されうる。
ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体、とりわけポリエチレングリコールが溶解または分散することができ、かつ当該コンデンサ体を含浸することができる当業者に公知のすべての溶媒を、溶媒として使用することができる。水もしくはアルコールまたはこれらの混合物を溶媒として使用することが本発明によれば特に好ましい。
当該ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体は、好ましくは、100〜100,000g/molの範囲、特に好ましくは200〜50,000g/molの範囲、最も好ましくは200〜5000の範囲の、ゲル透過クロマトグラフィによって決定される分子量を有する。ポリアルキレングリコールとして、とりわけポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールが考慮され、ポリエチレングリコールは、本発明によればなお特に好ましい。特に、「PEG 300」、「PEG 400」、「PEG 1000」、「PEG 2000」または「PEG 4000」の名称で呼ばれるポリエチレングリコールが考慮される。PEG 400が特に好ましい。
この溶液の中でのポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体の濃度は、いずれの場合も当該溶液の総重量に基づき、1〜99重量%の範囲、好ましくは5〜95重量%の範囲、特に好ましくは10〜80重量%の範囲、より特に好ましくは25〜60重量%の範囲に設定されることが多い。
このポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体の溶液は、この溶液の重量に基づき、好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、より特に好ましくは0.5重量%未満、さらにより特に好ましくは0.1重量%未満の導電性ポリマーを含む。同じ好ましい範囲は、本願明細書中で上に列挙された導電性ポリマーに当てはまる。
本発明に係る方法のさらなる実施形態では、工程d)において、含浸剤とともに安定剤が使用されることが好ましい。この安定剤は、適切と思われる、当業者に公知のいずれのやり方でかついずれの時期に使用されてもよい。従って、この安定剤は、含浸剤の前に、含浸剤とともに、および含浸剤の後に使用してもよく、これらのバリエーションの各々は、本発明に係る方法の一実施形態を表す。本発明に係る方法では、工程d)において、含浸剤の導入は、安定剤の存在下で行われることが好ましい。当業者にとってこの目的のために好適と思われる、当該含浸剤とは異なるすべての有機化合物を、安定剤として考慮することができ、この際、OHを含む基芳香族化合物、OHおよび炭素とは異なる別のヘテロ原子官能基を含む芳香族化合物、またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせが好ましい。従って、エステル基をこのヘテロ原子官能基の例として挙げることができる。単独のまたは2以上を組み合わせた下記の有機化合物が、安定剤として特に好ましい。
まず挙げられるべきは、ヒドロキシベンゼン類およびヒドロキシナフタレン類およびそれらの誘導体、とりわけ1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシアルキルベンゼン類、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)である。
さらには、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸エステル(没食子酸エステル)、とりわけ3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル類、アルケニルエステル類、シクロアルキルエステル類、シクロアルケニルエステル類、アリールエステル類(いずれの場合も、好ましくは、これらのエステルのアリール基またはアルキル基の中の炭素原子の数は1〜15である)も挙げられるべきである。
OHおよびさらなるヘテロ原子官能基を含む芳香族化合物として、糖でエステル化された没食子酸のエステル(タンニンまたはガロタンニン類と呼ばれることが多い)(Roempp Chemie、第10版、1999年、第4391頁を参照)も挙げられるべきであり、この場合のヘテロ原子官能基はエステル基である。
さらなる実施形態では、この1つのさらなるヘテロ原子官能基は、エステル基、カルボキシ基、アミド基である。好ましい例は、ジヒドロキシアセトフェノン類、ジヒドロキシベンゾフェノン類、ジヒドロキシジフェニルスルホン類、テトラヒドロキシジフェニルスルホン類、テトラメチルジヒドロキシジフェニルスルホン類、ヒドロキシキノンカルボン酸および塩、ヒドロジヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸および塩、フェニルジヒドロキシナフタレンカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンジスルホン酸および塩、キノンスルホン酸および塩、ジヒドロキシベンゼンジスルホン酸および塩、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン類、テトラヒドロキシベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ポリヒドロキシ安息香酸類、とりわけジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル)、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル)である。特に好ましい安定剤は、上で挙げたスルホン酸基またはカルボキシ基を有する化合物である。
さらなるアミド基を含む化合物は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸バニリルアミド、2,4−ジヒドロキシ安息香酸−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)アミド、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)アミド、2−ヒドロキシ−安息香酸−N−4−(ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)アミド、4−ヒドロキシ安息香酸−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)アミド、2,4−ジヒドロキシ安息香酸−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)アミド一ナトリウム塩、2,4−ジヒドロキシ安息香酸−N−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)エチルアミド、2,4−ジヒドロキシ安息香酸−N−(4−ヒドロキシ−3−エトキシベンジル)アミド、2,4−ジヒドロキシ安息香酸−N−(3,4−ジヒドロキシベンジル)アミドおよび2−ヒドロキシ−5−メトキシ−N−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)エチル]アミド;4−ヒドロキシ安息香酸バニリルアミドなどのヒドロキシ安息香酸アミドであってもよい。
上で挙げた化合物群および個々の化合物とともに、以下の化合物を、互いと組み合わせて、上記化合物と組み合わせて、または単独で安定剤として使用することができる:トリメチルジヒドロキノリンのポリマー、ジフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェニル−α−ナフチルアミン、4,4’−メチレン−ビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、メトキシフェノール(ヒドロキシアニソール)、アスコルビン酸、tert−ブチルヒドロキノン、フラボノイド(例えばケルセチン)またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせ。
さらには、この安定剤(複数可)を、いずれの場合も含浸剤および安定剤を含む含浸溶液の総重量に基づき、0.01〜60重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜50重量%の範囲、特に好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲、特に好ましくは1重量%〜5重量%の範囲の濃度で使用することが好ましい。
溶媒およびポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含む溶液が工程d)で使用され、工程e)でこの溶媒が、コンデンサ体へと導入された溶液から少なくとも部分的に除去される場合、この除去は、好ましくは、コンデンサ体がその溶液から取り出されて乾燥されるようにして行われるということが好ましい。この乾燥は、好ましくは、20℃〜200℃の範囲、特に好ましくは50℃〜175℃の範囲、より特に好ましくは75℃〜150℃の範囲の温度で、1分間〜120分間の範囲、特に好ましくは5分間〜90分間の範囲、最も特に好ましくは10分間〜60分間の範囲の時間、行われる。
乾燥の前に、この工程において、コンデンサ体の外部表面に付着しているポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体を含む溶液を除去するために、コンデンサ体を流体で、例えば水で洗うことが有利である可能性がある。
ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール誘導体がこのようにしてコンデンサ体へと導入された後、この電解コンデンサは、当業者に公知の態様で仕上げられてもよい。タンタル電解コンデンサの場合には、このコンデンサ体は、例えば、独国特許出願公開第10 2005 043 828(A)号明細書から公知のように、グラファイト層および銀層でコーティングされてもよいし、他方で、米国特許第7,497,879(B2)号明細書の教示に対応するアルミニウム巻回型コンデンサの場合には、コンデンサ体は、アルミニウムカップの中へと構築され、密閉用ディスクが与えられ、フランジングによって機械的にしっかりと封鎖される。誘電体の欠陥は、このあと、従来公知のようにして、「エージング」によってコンデンサから取り除くことができる。
本発明に係るコンデンサは、酸化物層として一般に形成される特に厚い誘電体層を具えることが多い。多くの場合、層の厚さは30nm以上、好ましくは、50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。ある場合には、層の厚さは最大5000nmである。好ましくは、電極材料がアルミニウムに基づいているコンデンサについての酸化物膜の厚さは、例えば、30nm超、特に好ましくは50nm超、より特に好ましくは100nm超、最も特に好ましくは150nm超である。例えば、電極材料がタンタルに基づいているコンデンサについての酸化物膜の厚さは、好ましくは、50nm超、特に好ましくは80nm超、より特に好ましくは150nm超、最も特に好ましくは250nm超である。例えば、電極材料がニオブまたは酸化ニオブに基づいているコンデンサについての酸化物膜の厚さは、好ましくは、80nm超、特に好ましくは130nm超、より特に好ましくは250nm超、最も特に好ましくは400nm超である。この誘電体層についてのさらなる詳細は、国際公開第2007/031207号パンフレットの第13頁、第9〜第14頁、第16行に与えられている。
最初に掲げた目的の解決に向けた寄与は、本発明に係る方法によって製造されたコンデンサによっても成し遂げられ、このコンデンサは、好ましくは、電解コンデンサ、特に好ましくは上記のアルミニウム巻回型コンデンサである。
これに関して、特に、本発明に係る方法によって得ることができるコンデンサがアルミニウムコンデンサ、好ましくはアルミニウム巻回型コンデンサである場合には、本発明に係る方法によって得ることができるコンデンサが以下の特性を有することが好ましい:
(α1)20℃から−45℃へ温度を下げた際の、多くとも20%、特に好ましくは多くとも15%、最も好ましくは多くとも10%のキャパシタンスの低下、および
(α2)少なくとも50V、好ましくは、少なくとも100V、特に好ましくは少なくとも140Vの破壊電圧。
最初に掲げた目的のうちの少なくとも1つの解決に向けたさらなる寄与は、コンデンサであって、構成要素として、以下:
i)好ましくは多孔性の電極体が電極材料から作製され、誘電体がこの電極材料の表面を少なくとも部分的に覆ってアノード体を形成し、
ii)このアノード体は、固体電解質で少なくとも部分的にコーティングされ、コンデンサ体を形成し、
iii)このコンデンサ体は有機含浸剤を含む、
を含み、このコンデンサは、以下の特性:
(α1)20℃から−45℃へ温度を下げた際の、多くとも20%、特に好ましくは多くとも15%、最も好ましくは多くとも10%のキャパシタンスの低下;および
(α2)少なくとも50V、好ましくは、少なくとも100V、特に好ましくは少なくとも140Vの破壊電圧;
を有し、
当該有機含浸剤は、150℃未満、好ましくは100℃未満、好ましくは75℃未満、特に好ましくは50℃未満の融点を有しかつ沸点を有しない、
コンデンサによって成し遂げられる。
当該コンデンサの構成要素に関しては、詳細は本願明細書の中で与えられている。上記の好ましい実施形態は、この構成要素についても当てはまる。特に、好ましくはケイ素を有する繰り返し単位を含まないポリマーが、有機含浸剤として考慮される。一般に、これらのポリマーは少なくとも3繰り返し単位を有する。有機含浸剤であるポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体またはこれらの組み合わせに加えて、本願明細書中に記載される安定剤は、本発明に係る実施形態としても言及されるべきであり、とりわけ、これら安定剤が上記有機含浸剤の他の特徴に対応する場合には、安定剤は、本発明に係る実施形態として言及されるべきである。特に好ましい有機含浸剤はポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体またはこれらの組み合わせであり、ポリアルキレングリコールが有機含浸剤として好ましく、ポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物が特に好ましい。
最初に掲げた目的の解決に向けた寄与は、電子回路における、例えばスムージングコンデンサ(「フィルターコンデンサ」)または抑制コンデンサ(「デカップリングコンデンサ」)としての、本発明に係る方法によって得ることができるコンデンサの使用によってもなされる。例えば、コンピューター(デスクトップ、ラップトップ、サーバー)の中に、コンピューター周辺機器(例えばPCカード)の中に、携帯用電子装置、例えば携帯電話、デジタルカメラまたは娯楽用電子機器の中に、娯楽用電子機器設備の中に、例えばCD/DVDプレーヤおよびコンピューターゲーム用コンソールの中に、ナビゲーションシステムの中に、電気通信装置の中に、家電製品の中に、医療技術、例えば除細動器用の医療技術の中に、再生可能エネルギーに基づく電力供給装置などの電力供給装置の中に、または例えばハイブリッド自動車もしくは電気自動車用などの自動車用電子機器の中に、見出されるものなどの電子回路。
さらに、最初に掲げた目的の解決に向けたさらなる寄与は、本発明に係る方法によって得ることができるコンデンサを含む電子回路によって与えられる。
本発明は、これより、限定を意図しない図面および実施例を参照してより詳細に説明される。
本発明に係るコンデンサの一部分の概略断面図を示す。本発明に係るコンデンサは、アルミニウムなどの多孔性電極材料2から大部分が構成される電極体1を有する。電極材料2の表面4に、誘電体3が薄層として形成され、そうして、依然として多孔性であり、かつ電極材料2および誘電体3から構成される電極体1を含むアノード体5が形成される。誘電体3の上に、任意にさらなる層のあとに、固体電解質6(例えば、PEDOT/PSS粒子から構成される)の層が続き、そうして、電極材料2、誘電体3および固体電解質6から構成される電極体1を含むコンデンサ体7が形成される。固体電解質6の上に、含浸剤8(例えば、ポリエチレングリコール)の層が続き、そうして、電極材料2、誘電体3、固体電解質6および含浸剤8から構成される電極体1を含むコンデンサが形成される。含浸剤8は、例えば、含浸剤8が完全にまたは部分的に細孔9を充填するようにして、コンデンサ体7へと導入される。
測定方法:
粒径の決定:
分散液の平均粒径は、超遠心によって決定した。測定方法および正確な実行方法は、W.ScholtanおよびH.LangeによってKolloid − Z. u. Z. Polymere 250、782−796(1972)に記載されている。この記載と異なるところは、測定前にポリマー分散液を純水で希釈して測定吸光度を1としたことである。
分散液の中で膨潤する粒子の場合には、粒径は膨潤状態で測定する。粒子の直径分布は、粒子の直径に依存する、分散液の中の粒子の質量分布に関する。このとき、直径分布のd10値は、分散液の中の導電性ポリマーのすべての粒子の総質量の10%が、d10値以下の直径を有する粒子に当てはまりうるということを示す。d50値は、分散液の中の導電性ポリマーのすべての粒子の総質量の50%が、d50値以下の直径を有する粒子に当てはまりうるということを示す。直径分布のd90は、分散液の中の導電性ポリマーのすべての粒子の総質量の90%が、d90値以下の直径を有する粒子に当てはまりうるということを示す。
電気伝導率:
分散液の一部分を、スピンコーター(Chemat Technology KW−4A)を用いてスライドガラス(26mm×26mm×1mm)上にスピンコーティングした。この試料を120℃で10分間乾燥した。このあと、このスライドの2つの向かい合った端を導電性の銀でコーティングした。この導電性の銀を乾燥した後、この2つの銀の細片を接触させ、Keithley 199マルチメーターを使用して表面抵抗(R)を測定した。層の厚さを、Tencor Alpha Step 500表面形状測定装置を用いて決定した。表面抵抗および層の厚さdから、次式に従って比電気伝導率σを求めた:σ=1/(R×d)。
粘度:
分散液の粘度は、100Hzのせん断速度および20℃で、レオメータ(ダブルギャップシリンダーシステムDG43を具えるHaake Type RotoVisco 1)を使用して求めた。
固形分含量:
固形分含量を求めるために、5gの分散液を100℃で14時間乾燥し、重量差によって固形分含量を求めた。
破壊電圧:
破壊電圧を求めるために、コンデンサに印加する電圧を、0Vで始めて1V/sずつ上昇させ、同時に、Keithley 199 System DMMを用いて電流を測定した。破壊電圧は、コンデンサの電流が約1mAになる最初の電圧値として定義される。
キャパシタンス:
キャパシタンス(マイクロファラド単位)は、LCRメーター(Agilent 4284A)を使用して、20℃およびさらに−45℃において、120Hzで測定した。
残留電流:
残留電流は、110Vの動作電圧を印加した1分後に、マルチメーター(Keithley 199)を用いて測定した。
分子量の決定:
含浸剤の分子量の数平均は、Aldrich製の較正用PEG−ポリマー標品を用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を使用して求めた。特段の記載がない限り、すべての分子量の数字はその数平均を指す。
平均値:
本願明細書中に特段の記載がない限り、平均値は算術平均を指す。
沸点および融点
沸点および融点の測定は、1.01325barおよび空気中で実施する。
実施例1:導電性ポリマーの分散液の製造
868gの脱イオン水、330gの、平均分子量が70000であり固形分含量が3.8重量%であるポリスチレンスルホン酸水溶液を、撹拌機および内部温度計を具える2Lの3つ口フラスコの中に入れた。反応温度を20〜25℃に保った。5.1gの3,4−エチレンジオキシチオフェンを、撹拌しながら加えた。この溶液を30分間撹拌した。このあと、0.03gの硫酸鉄(III)および9.5gの過硫酸ナトリウムを加え、この溶液をさらに24時間撹拌した。
この反応が完結すると、無機塩を除去するために100mLの強酸性のカチオン交換体(Lewatit S100、Lanxess AG)および250mLの弱塩基性のアニオン交換体(Lewatit MP 62、Lanxess AG)を加えて、この溶液をさらに2時間撹拌した。このイオン交換体を濾別した。
実施例2:導電性ポリマーの分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、250barの圧力下で2回均質化した。このあと、この分散液を2.5%の固形分含量へと濃縮した。
100gのこの分散液および10gのエチレングリコールを、ガラスのビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液の粒径d50は40nmであった。
実施例3:導電性ポリマーの分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、250barの圧力下で4回均質化した。このあと、この分散液を2.5%の固形分含量へと濃縮した。
100gのこの分散液および10gのエチレングリコールを、ガラスのビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液の粒径d50は29nmであった。
実施例4:導電性ポリマーの均質化した分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、1500barの圧力下で5回均質化した。このあと、この分散液を、ロータリー・エバポレーターの中で2.5%の固形分含量へと濃縮し、次いで、高圧ホモジナイザーの中で、1500barの圧力でさらに5回さらに均質化した。
100gのこの分散液および10gのエチレングリコールを、ガラスのビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液から16nmの粒径d10、20nmの粒径d50、および36nmの粒径d90が求められた。
上記の方法による分散液の電気伝導率は455S/cmであった。
実施例5:導電性ポリマーの均質化した分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、1500barの圧力下で5回均質化した。このあと、この分散液を2.5%の固形分含量へと濃縮し、次いで、高圧ホモジナイザーの中で、1500barの圧力でさらに5回さらに均質化した。
100gのこの分散液および15gのポリエチレングリコール 400(PEG 400)を、ガラスのビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液の粒径d50は20nmであった。
比較例1:導電性ポリマーの分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、100barの圧力下で1回均質化した。このあと、この分散液を2.5%の固形分含量へと濃縮した。
100gのこの分散液および10gのエチレングリコールを、ビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液の粒径d50は91nmであった。
比較例2:導電性ポリマーの分散液の製造
実施例1から得たポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液を、高圧ホモジナイザーの中で、100barの圧力下で2回均質化した。このあと、この分散液を2.5%の固形分含量へと濃縮した。
100gのこの分散液および10gのエチレングリコールを、ガラスのビーカーの中で撹拌機を用いて激しく撹拌し、次いで、アンモニア水を用いて3のpH値に調整した。
このようにして得られた分散液の粒径d50は72nmであった。
実施例6:
6.1. 酸化された電極体の製造:
131mm×3mmの寸法を持つ150Vで形成した多孔性アルミニウム膜(アノード膜)および145mm×3mmの寸法を持つ多孔性アルミニウム膜(カソード膜)に、それぞれ接続ワイヤを設け、次いで各々、2つのセルロースセパレーター紙を用いて巻きとり、接着テープを用いて固定した。20個のこれらの酸化された電極体を製造した。この酸化された電極体のセパレーター紙を300℃のオーブンの中で炭化させた。
6.2 固体電解質の製造:
6.1から得た酸化された電極体を、実施例4から得た分散液に15分間浸漬した。このあと、この電極体を150℃で30分間乾燥した。浸漬および乾燥をさらに2回繰り返した。次いでこのコンデンサを、50重量%の、4〜8℃の融点を持つポリエチレングリコール 400(PEG 400)を含む水性含浸溶液に15分間浸漬した。この後、このコンデンサを120℃で30分間乾燥した。
上記のようにして製造したコンデンサのそれぞれ10個の平均電気値を表1に提示する。破壊電圧(BDV)は、残りの10個のコンデンサについて求めた。
実施例7:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のポリエチレングリコールの水溶液の代わりに50重量%のポリエチレングリコール 400(PEG 400)を含むエタノール溶液に浸漬した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表1に示す。
実施例8:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のポリエチレングリコールの水溶液の代わりに50重量%の、−20℃の融点を持つポリエチレングリコールモノアリルエーテル(Clariant製造のPolyglycol A250)を含む水溶液の中で後浸漬した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表1に示す。
比較例3:
電極体を実施例6.1と同様にして製造し、これらを、実施例5から得た分散液に15分間浸漬した。この後、この電極体を150℃で30分間乾燥した。浸漬および乾燥をさらに2回繰り返した。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表1に示す。110Vでの平均残留電流は測定できなかった。なぜなら、この電圧では、個々のコンデンサがすでに電気的に壊れていたからである。
比較例4:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のポリエチレングリコールの水溶液の代わりに50重量%のγ−ブチロラクトン(Aldrich製造)を含む水溶液の中で後浸漬した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表1に示す。110Vでの平均残留電流は測定できなかった。なぜなら、この電圧では、個々のコンデンサがすでに電気的に壊れていたからである。
Figure 2013539227
表1は、ポリエチレングリコール中またはポリエチレングリコール誘導体中での後浸漬が、低温での電気容量の低下の低さと同時に、最も高い破壊電圧を導くということを示す。分散液へのポリエチレングリコール 400の添加は、低温において望ましくないほどに大きい電気容量の低下を導く。γ−ブチロラクトン中での後浸漬を用いると、高い破壊電圧を成し遂げることはできない。本発明に係るこれらの例から、100Vを超える動作電圧を持つポリマー固体電解コンデンサが実現されうる。
実施例9:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のような実施例4から得た分散液の代わりに実施例3から得た分散液に浸漬した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表2に示す。
実施例10:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のような実施例4から得た分散液の代わりに実施例2から得た分散液に浸漬した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表2に示す。
比較例5:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のような実施例4から得た分散液の代わりに比較例2から得た分散液の中で含浸した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表2に示す。
比較例6:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のような実施例4から得た分散液の代わりに比較例1から得た分散液の中で含浸した点だけを変えた。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表2に示す。
Figure 2013539227
表2は、当該コンデンサの温度特性がポリマー分散液の平均粒径に大きく依存するということを例証する。70nm以下の粒径(d50)を持つポリマー分散液は、低温での小さいキャパシタンスの低下を示す。40nm未満の粒径(d50)では、特に低いキャパシタンスの低下が観察される。
実施例11:
コンデンサを実施例6と同様にして製造した。このコンデンサのキャパシタンスを測定し、その後、コンデンサを120℃の温度のオーブンの中で保存した。196時間の保存後にキャパシタンスを再度測定した。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表3に示す。
実施例12:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のポリエチレングリコールの水溶液の代わりに50重量% ポリエチレングリコール 400(PEG 400)および20重量%タンニンを含む水溶液(Aldrich製造)の中で後浸漬した点だけを変えた。このコンデンサのキャパシタンスを測定し、その後、コンデンサを120℃の温度のオーブンの中で保存した。196時間の保存後にキャパシタンスを再度測定した。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表3に示す。
実施例13:
コンデンサを実施例6と同様にして製造したが、これらを、実施例6のポリエチレングリコールの水溶液の代わりに50重量%のポリエチレングリコール 400(PEG 400)および5重量%タンニンを含む水溶液の中で後浸漬した点だけを変えた。このコンデンサのキャパシタンスを測定し、その後、コンデンサを120℃の温度のオーブンの中で保存した。196時間の保存後にキャパシタンスを再度測定した。このようにして製造したコンデンサの平均電気値を表3に示す。
Figure 2013539227
表3は、後浸漬におけるタンニンなどの安定剤によって、高温での長期安定性がかなり改善されるということを示す。
1 電極体
2 電極材料
3 誘電体
4 表面
5 アノード体
6 固体電解質
7 コンデンサ体
8 含浸剤
9 細孔

Claims (22)

  1. コンデンサの製造方法であって、
    a)電極材料(2)から作製される電極体(1)を設けてアノード体(5)を得る工程であって、誘電体(3)が、この電極材料(2)の表面(4)を少なくとも部分的に覆う、工程と、
    b)70nm以下の粒径(d50)を持つ導電性ポリマーの粒子および分散剤を含む分散液を、前記アノード体(5)のうちの少なくとも一部に導入する工程と、
    c)前記分散剤を少なくとも部分的に除去して、コンデンサ体(7)を得る工程と、
    d)ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせを、含浸剤(8)として前記コンデンサ体(7)に導入する工程と
    を含む、製造方法。
  2. 前記含浸剤は、工程d)において溶媒および前記含浸剤を含む溶液の形態で使用され、さらなる工程e)において、前記溶媒は、前記コンデンサ体(7)から少なくとも部分的に除去される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記含浸剤は、100〜100,000g/molの範囲のゲル透過クロマトグラフィによって決定される分子量を有する、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記含浸剤はポリエチレングリコールである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記溶媒は、水もしくはアルコールまたはこれらの混合物である、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記溶液は、前記溶液の総重量に基づき1〜99重量%の範囲の濃度の前記含浸剤を含む、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記導電性ポリマーの粒子は、少なくとも1つのポリチオフェン、ポリピロールもしくはポリアニリンもしくはそれらの誘導体のうちの1つまたはそれらの少なくとも2種の混合物を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記導電性ポリマーの粒子は、一般式(I)、一般式(II)もしくは一般式(III)またはそれらのうちの少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を持つ少なくとも1つのポリチオフェン、
    Figure 2013539227
    (式中、
    Aは、置換されていてもよいC−C−アルキレン残基を表し、
    Rは、直鎖状もしくは分枝状の、置換されていてもよいC−C18−アルキル残基、置換されていてもよいC−C12−シクロアルキル残基、置換されていてもよいC−C14−アリール残基、置換されていてもよいC−C18−アラルキル残基、置換されていてもよいC−C−ヒドロキシアルキル残基またはヒドロキシル残基を表し、
    xは整数0〜8を表し、
    複数の残基RがAに結合されている場合、これらは同一であってもよいし異なっていてもよい)
    を含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記粒子の中に含まれる導電性ポリマーはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項7または請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記粒子は、少なくとも1つの高分子アニオンをさらに含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記高分子アニオンはポリスチレンスルホン酸である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記分散液は、分散剤として有機溶媒、水または有機溶媒および水の混合物を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記分散液中の含浸剤の含有量は、前記分散液の総重量に基づき2.5重量%未満である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 工程d)において、前記含浸剤に加えて安定剤が使用される、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記電極材料はバルブ金属またはNbOである、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の製造方法によって得ることができるコンデンサ。
  17. 前記コンデンサは、以下の特性:
    (α1)20℃から−45℃へ温度を下げた際の、多くとも20%のキャパシタンスの低下、および
    (α2)少なくとも50Vの破壊電圧、
    を有する、請求項16に記載のコンデンサ。
  18. コンデンサであって、構成要素として、以下:
    i)電極体(1)が電極材料(2)から作製され、誘電体(3)が、この電極材料(2)の表面(4)を少なくとも部分的に覆ってアノード体(5)を形成し、
    ii)前記アノード体(5)は、固体電解質(6)で少なくとも部分的にコーティングされ、コンデンサ体(7)を形成し、
    iii)前記コンデンサ体(7)は、有機含浸剤(8)を含む、
    を含み、前記コンデンサは、以下の特性:
    (α1)20℃から−45℃へ温度を下げた際の、多くとも20%のキャパシタンスの低下、および
    (α2)少なくとも50Vの破壊電圧、
    を有し、前記有機含浸剤は、150℃未満の融点を有しかつ沸点を有しない、コンデンサ。
  19. 前記コンデンサはアルミニウムコンデンサである、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のコンデンサ。
  20. 前記コンデンサは、30nm以上の厚さを持つ誘電体層を有する、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載のコンデンサ。
  21. 電子回路における請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のコンデンサに記載の使用。
  22. 請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のコンデンサを含む電子回路。
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