新規の技術の原理についての理解を促進する目的のために、その好ましい実施形態をこれから参照し、また、具体的な用語をこの説明に使用する。それにもかかわらず、新規の技術の範囲を限定することは意図されないことが理解され、新規の技術の原理のかかる変更、改良、およびさらなる応用は、新規の技術に関係する当業者が通常考え付くように、考慮される。
多くのAIが室温で固体であり、マイクロカプセルに導入することができる前に、溶媒中に溶解する必要がある。AIの結晶化を防ぐために、多くの場合、大量の溶媒中にAIを溶解することが必要である。使用する必要がある溶媒が、揮発性有機化合物である限りにおいては、大量の溶媒の必要性によって、所定時間に環境中へ放出することができる揮発性有機化合物の量を制限し得る、法規制の順守に関する問題をもたらす。同時に、大量の溶媒の使用は、特定のマイクロカプセルを形成することができるAIを薄め、これによって、各マイクロカプセル中のAIの量が減少する。
本明細書に開示する発明の一部の態様は、ポリマー改質不連続相を含む水中油型エマルションを利用し、AIが、適切なポリマー構成成分中に、またはミニエマルション重合法によって、直接溶解される。油相への適切なポリマーの導入は、AI結晶化の動力学の良好な調整を可能にする。適切なポリマーの適切な選択は、マイクロカプセル形成の前に、AI結晶化を有効に遅らせるための大量の溶媒の使用の必要が生じることなく、AI結晶化過程を有効に遅らせることができる。このアプローチの1つの利点は、過程で使用する必要がある揮発性有機溶媒の量の減少である。さらに別の利点は、高いAI濃度下でAIを封入する機会であり、これによって、最終製剤が得られ、これは、従来技術を用いて一般的に到達するAI負荷よりも高いAI負荷を有する。
理論上、AIおよびポリマー成分が適切に調和する場合、AI溶媒がない状態で封入されたAIを生産することは可能である。AIを溶解するポリマーとは別に、完全に溶媒の必要性をなくすことができなくても、付加的な溶媒を使用することに伴う問題と共に、溶媒の量を低減させることができる可能性が高い。
一部の実施形態において、マイクロカプセル懸濁剤の親油相は、従来のポリマー溶解法によって調製される。例えば、少なくとも1つの適切なポリマーは、溶媒中に最初に溶解され、救済手段に影響を与えるのに必要な場合、熱を利用する。次に、ポリマーは、溶融した活性のあるAI等の他の原料、および例えば、ダウPAPI27(登録商標)のポリメチレンポリフェニルイソシアナート等のポリマーシェル形成材料と混合する。
さらに別の実施形態において、マイクロカプセル懸濁剤の親油相は、ミニエマルション重合法によって調製される。簡潔には、少なくとも1つの溶融したまたは液状のAIは、少なくとも1つのポリマーまたはモノマー、任意の溶媒、および一部の実施形態において、少なくとも1つのポリマーシェル形成材料と混合する。この段階では、油可溶性開始剤は、モノマーの活性化温度よりも低い温度で、親油相に直接溶解することができる。
一部の実施形態において、水相は、水に、少なくとも1つの界面活性剤および他の水溶性成分(増粘剤等)を溶解することによって、調製される。次に、2つの別個の均一相が形成された後、油(親油)相が水相に加えられる。エマルションを形成するのに必要な限り、エマルションは、高剪断ミキサー(例えば、シルバーソン(Silverson)ミキサーの使用によって、形成される。一部の試験において、約4,000毎分回転数(rpm)の約1分の高剪断混合は、適切な水中油型エマルションを形成するのに十分であった。一部の実施形態において、水中油型エマルションは、適切な割合の油相および水相の、油相と水相のインライン混合によって、形成される。正確な混合時間、ブレンド速度、混合速度、および他の条件は、組成物ごとに、および工程によって生産されることが意図される平均カプセルのサイズによって変更してもよい。一般に、多い混合時間および激しい混合条件(例えば、高いrpm)は、小さなマイクロカプセルの形成を促進する。
一部の実施形態において、界面重合反応をもたらすのに必要な成分は、適切なサイズの水中油型エマルションと混合する。この混合条件は、均一の界面重合の形成を促進するように、制御される。例えば、適切なサイズの水中油型エマルションは、エチレンジアミン(EDA)等の第2のポリマーシェル形成材料と混合してもよい。この例において、EDAは、既存のエマルションに徐々に加え、場合により、冷却して、早発重合反応を防ぐか、またはこれを最小化する。この工程は、エマルションの水/油界面で均一の界面重合反応を確実にするように、注意深く制御する。この工程は、従来の低速度ミキサーまたは撹拌器を使用して行うことができる。一部の実施形態において、第2のポリマーシェル形成材料は、さらに約30分間、エマルション混合物に加えられる。この工程を行うのに必要な混合時間および混合の程度は、使用される成分およびエマルションの特性によって異なってもよい。一部の実施形態において、第2のポリマーシェル形成材料および水中油型エマルションの混合は、撹拌によってではなく、所望割合の第2のポリマーシェル形成材料と既存のエマルションの連続的インライン混合によって、行われる。
一部の実施形態において、エマルションの温度は、界面重合反応時に注意深く制御される。温度は、例えば、界面重合反応が実質的に終了する前に、マイクロカプセルが形成するのを回避するか、または少なくともこれを最小化するために、モノマーの開始活性化温度よりも低い、約5℃から約10℃の範囲に維持することができる。界面重合反応が実質的に終了した後、反応混合物は、所望のモノマー開始活性化温度まで、加熱することができる(少なくとも上昇させることができる)。例えば、モノマー開始剤がデュポン(Dupont)バゾ(Vazo)52(登録商標)(2,2−アクソビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(2,2-axobis(2,4-dimethylvaleronitrile))である場合、混合物は、約70℃の温度で約2時間、混合することで維持することができる。
理想的には、モノマーが水に非常に低い溶解度を有し、AIおよび油相に加えた任意の溶媒と相溶性を有するように、ポリマーのモノマー、またはポリマーのモノマーの混合物が選択される。理想的な形成ポリマーは、疎水性であり、水溶液に実質的に不溶性である。ポリマーの実際の選択は、混合物の組成、および形成することを意図するマイクロカプセルの特性による。したがって、混合物の成分は、一旦使用すると、特定の有利な特性(良好な膜形成性、バイオアベイラビリティ、残効性(residuality)等を含む)を示す、マイクロカプセルを形成するのに選択することができる。所望の特性、および特異的なAI等の他の因子によって、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかを使用することができる。本発明の実施に適切なポリマーには、ポリマーアクリラート、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ならびにコポリマーおよびスチレン・ブタジエン・ラテックスが含まれるが、これらに限定されない。用途によって、ポリマーのモノマーまたはモノマーの混合物の濃度は、約5%から約60%の範囲であり得る。
一般に、本発明は、約95℃以下の融解温度を有するAIによって実施することができる。これらの製剤に特に有用であり得るAIの一例には、アラクロール、アメトリン、アニロホス、ベンフルラリン、ビフェノックス、ブロモキシニルオクタノアート、ブトラリン、クロジナホップ−プロパルギル、クロマゾン、シクロキシジム、シハロホップ−ブチル、ジクロホップ−メチル、ジチオピル、エタルフルラリン、フェノキサプロップ−P−エチル、フェントラザミド、フルフェナセト、フルミクロラック−ペンチル、フルオログリコフェン−エチル、フルラゾール、フルオロクロリドン、フルロキシピル−メチル、ハロキシホップ−エトチル、ハロキシホップ−P、イオキシニルオクタノアート、ラクトフェン、メコプロップ、メフェンピル−ジエチル、メタザクロル、ナプロパミド、オキシフルオルフェン、ペンディメタリン、プロメトン、プロパニル、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル、キザロホップ−P−テフリル、トリフルラリン、アセフェート、アルファ−シペルメトリン、アミトラズ、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、ベータ−シフルトリン、ベータ−シペルメトリン、ビフェントリン、ブトキシカルボキシム、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、シフルトリン、シペルメトリン、ジメトエート、エスファンバレレート、フェノブカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレレート、インドキサカルブ、ラムダ−シハロトリン、メタミドホス、メトニル、メトキシクロル、モノクロトホス、ニトラピリン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ピリミカルブ、プロポキスル、キナルホス、テトラメシン、トルフェンピラド、ベナラキシル、シフルフェナミド、ジフェノコナゾール、ドデモルフ、フェノキサニル、フルシアゾール、イプコナゾール、イソプロチオラン、メプロニル、メトミノストロビン、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、ピコキシストロビン、プロクロラズ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、エタコナゾール、ピラクロストロビン、ピリブチカルブ、およびトルクロホス−メチル等が含まれる。
本発明の水中油型エマルションの油相は、油の形態の農業活性化合物、または油中に溶解したかもしくは油中で混合した農業活性化合物のいずれかを利用して、油小球を形成する。定義によれば、油は、水と混和しない液体である。農業活性化合物と相溶性がある油は、本発明の水中油型エマルションに使用することができる。「相溶性がある」という用語は、油が、農業活性化合物と均一に溶解するかまたは混合して、本発明の水中油型エマルションの油小球を形成させることを意味する。例示的な油には、短鎖脂肪酸トリグリセリド、シリコーン油、重芳香族ナフサ溶媒、軽芳香族ナフサ溶媒、水素化処理軽油蒸留物、パラフィン溶媒、鉱油、アルキルベンゼン、N,N−ジメチルカプロアミド、N,N−ジメチルカプリルアミド、もしくはこれらの混合物等の石油画分または炭化水素、パラフィン油等、大豆油(soy oil)、ナタネ油、やし油、綿実油、パーム油、大豆油(soybean oil)等の植物油等、ならびに、アルキル化植物油、およびオレイン酸メチル等の脂肪酸のアルキルエステル等が含まれるが、これらに限定されない。
農業活性化合物は、本明細書において、殺虫活性または殺生物活性を示し、約95℃以下よりも低い融点を有する、油可溶性化合物、疎水性化合物、または固体化合物として、定義される。活性化合物がそれ自体油である場合、活性化合物それ自身をいうこと、または、活性化合物が油または適切なポリマー改質剤中に溶解することが理解される。かかる化合物または農薬には、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、防蟻剤、殺鼠剤、殺節足動物剤、除草剤、殺生物剤等が含まれる。かかる農業活性成分の一例は、「農薬マニュアル(The Pesticide Manual)」(第12版)でみることができる。本発明のマイクロカプセル懸濁剤に利用することができる、例示的な農薬には、ベンフラカルブおよびカルボスルファン等のベンゾフラニルメチルカーバメイト系殺虫剤、アルジカルブ等のオキシムカーバメイト系殺虫剤、クロロピクリン、1,3−ジクロロプロペン、および臭化メチル等の薫蒸剤殺虫剤、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン模倣物、ジクロルボス等の有機リン酸系殺虫剤、マラチオンおよびテルブホス等の有機チオリン酸脂肪族系殺虫剤(aliphatic organothiophosphate insecticide)、ジメトエート等の有機チオリン酸脂肪族アミド系殺虫剤(aliphatic amide organothiophosphate insecticide)、アジンホス−エチル、およびアジンホス−メチル等の有機チオリン酸ベンゾトリアジン系殺虫剤(benzotriazine organothiophosphate insecticide)、クロルピリホスおよびクロルピリホス−メチル等の有機チオリン酸ピリジン系殺虫剤(pyridine organothiophosphate insecticide)、ダイアジノン等の有機チオリン酸ピリミジン系殺虫剤(pyrimidine organothiophosphate insecticide)、パラチオンおよびパラチオン−メチル等の有機チオリン酸フェニル系殺虫剤(phenyl organothiophosphate insecticide)、ビフェントリン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ガンマ−シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、アルファ−シペルメトリン、ベータ−シペルメトリン、フェンバレレート、ペルメトリン等のピレスロイドエステル系殺虫剤等が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の水中油型エマルションに使用することができる、例示的な除草剤には、ジメテナミドおよびジメテナミド−P等のアミド系除草剤、プロパニル等のアニリド系除草剤、アセトクロル、アラクロール、ブタクロール、メトラクロール、およびS−メトラクロール等のクロロアセトアニリド系除草剤、セトキシジム等のシクロヘキセンオキシム系除草剤、ベンフルラリン、エタルフルラリン、ペンディメタリン、およびトリフルラリン等のジニトロアニリン系除草剤、アスブロモキシニルオクタノエート(asbromoxynil octanoate)等のニトリル系除草剤、4−CPA、2,4−D、3,4−DA、MCPA、およびMCPA−チオエチル等のフェノキシ酢酸系除草剤、4−CPB、2,4−DB、3,4−DB、およびMCPB等のフェノキシ酪酸系除草剤、クロプロップ、4−CPP、ジクロプロップ、ジクロプロップ−P、3,4−DP、フェノプロップ、メコプロップ、およびメコプロップ−P等のフェノキシプロピオン酸系除草剤、シハロホップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−R等のアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤、アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、およびトリクロピル等のピリジン系除草剤、カルフェントラゾンエチル等のトリアゾール系除草剤が含まれるが、これらに限定されない。
また、除草剤は、一般に、ベノキサコール、クロキントセット、シオメトリニル、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、フェンクロラゾール、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル、メフェンピル−ジエチル、MG191、MON4660、R29148、メフェナート、ナフタル酸無水物、N−フェニルスルホニル安息香酸アミド、およびオキサベトリニルのような公知の除草剤解毒剤と併用することもできる。
本発明の水中油型エマルションに使用することができる、例示的な殺菌剤には、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジノカップ、ジフェニルアミン、ドデモルフ、エディフェンホス、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンプロピモルフ、ミクロブタニル、オレイン酸(脂肪酸)、プロピコナゾール、テブコナゾール等が含まれるが、これらに限定されない。
また、安定して有効なエマルションが変わらず得られる限り、農業活性化合物の組合せも、本発明の水中油型エマルションに使用できることが当業者によって理解される。
水中油型エマルション内の農業活性成分の量は、実際の活性成分、農業活性成分の用途、および当業者に周知の適切な利用レベルによって変化する。一般に、水中油型エマルション内の農業活性成分の全量は、水中油型エマルションの全重量に基づいて、好ましくは約1重量パーセントから、一般に約5重量パーセントから、好ましくは約10重量パーセントから、より好ましくは約15重量パーセントから、最も好ましくは約20重量パーセントから、約55重量パーセントまで、一般に約40重量パーセントまで、好ましくは約35重量パーセントまで、最も好ましくは約30重量パーセントまでである。
本開示の一実施形態において、農業活性成分の結晶化を遅らせるために、ポリマー改質剤が油相に含まれ得る。ポリマー改質剤は、約95℃より低い融点を有する農業活性成分を使用させ得る。本開示の水中油型エマルション組成物に使用することができる、かかる農業活性成分の一例には、アラクロール、アメトリン、アニロホス、ベンフルラリン、ビフェノックス、ブロモキシニルオクタノアート、ブトラリン、クロジナホップ−プロパルギル、クロマゾン、シクロキシジム、シハロホップ−ブチル、ジクロホップ−メチル、ジチオピル、エタルフルラリン、フェノキサプロップ−P−エチル、フェントラザミド、フルフェナセト、フルミクロラック−ペンチル、フルオログリコフェン−エチル、フルラゾール、フルオロクロリドン、フルロキシピル−メチル、ハロキシホップ−エトチル、ハロキシホップ−P、イオキシニルオクタノアート、ラクトフェン、メコプロップ、メフェンピル−ジエチル、メタザクロル、ナプロパミド、オキシフルオルフェン、ペンディメタリン、プロメトン、プロパニル、キザロホップ−エチル、キザロホップ−P−エチル、キザロホップ−P−テフリル、トリフルラリン、アセフェート、アルファ−シペルメトリン、アミトラズ、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、ベータ−シフルトリン、ベータ−シペルメトリン、ビフェントリン、ブトキシカルボキシム、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、シフルトリン、シペルメトリン、ジメトエート、エスファンバレレート、フェノブカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレレート、インドキサカルブ、ラムダ−シハロトリン、メタミドホス、メトニル、メトキシクロル、モノクロトホス、ニトラピリン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ピリミカルブ、プロポキスル、キナルホス、テトラメシン、トルフェンピラド、ベナラキシル、シフルフェナミド、ジフェノコナゾール、ドデモルフ、フェノキサニル、フルシアゾール、イプコナゾール、イソプロチオラン、メプロニル、メトミノストロビン、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、ピコキシストロビン、プロクロラズ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、エタコナゾール、ピラクロストロビン、ピリブチカルブ、およびトルクロホス−メチル等が含まれる。
油相への添加に適切なポリマー改質剤は、非常に低い水溶解性、および、付加的な溶媒の存在の有無により、溶融状態における活性成分の混合物中で良好な溶解性を有する。適切なポリマー改質剤の一例には、エチルセルロース(例えば、エトセル(Ethocel)10StdFP、エトセルStd4、エトセルStd7、エトセル45、エトセル100FP、エトセル300)、ポリアクリレート、ラテックス、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルホモポリマーとコポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、およびポリアクリロニトリルが含まれ得る。
水相は、一般に、水(例えば、脱イオン水)である。また、水相は、凝固点を降下させる化合物(例えば、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール、およびプロピレングリコール)、pH緩衝剤(例えば、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム等のアルカリリン酸塩)、殺生物剤(例えば、プロキセル(Proxel)GXL)、ならびに、消泡剤(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(ダウコーニング社から入手可能なアンチフォームA)等の他の添加剤も含み得る。さらに、水中油型エマルションの安定性が変わらず維持される限り、他の添加剤および/または補助剤も水相中に含まれ得る。さらにまた、他の添加剤には、水溶性の農業活性化合物も含まれる。
また、マイクロカプセル懸濁剤の安定性および活性が変わらず得られる限り、他の添加剤および/または補助剤も本発明のマイクロカプセル内に含まれ得る。本発明のマイクロカプセルの懸濁剤は、標的部位(例えば、作物、雑草、または生物体)への農業活性成分の堆積、湿潤、および浸透を促進するために、補助界面活性剤をさらに含み得る。これらの補助界面活性剤は、場合により、油相中もしくは水相中のいずれかにおいてマイクロカプセル懸濁剤の成分か、またはタンクミックス成分として使用することができ、その望ましい使用および量は当業者に周知である。適切な補助界面活性剤には、エトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化合成アルコールもしくは天然アルコール、エステル塩またはスルホコハク酸塩、エトキシ化有機シリコーン、エトキシ化脂肪族アミン、および界面活性剤と鉱油もしくは植物油との混合物が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の別の実施形態は、不要な生物体(例えば、菌類、雑草、昆虫、細菌、他の微生物および有害生物)を防除するか、予防するか、または除去する、農業用途におけるマイクロカプセル懸濁剤の使用である。これには、植物生病原性生物体による攻撃からの植物の保護、または、既に植物病原性生物に感染した植物の処置のための使用が含まれ、これには、疾病を抑制し、植物学的に許容し得る量の水中油型エマルション組成物を、土壌、植物、植物の一部、葉、花、果実、および/または種子に使用することが含まれる。「疾病を抑制し、植物学的に許容し得る量」という用語は、防除が望まれる植物病害を消滅させるかまたは抑制するが、植物に対して顕著に有毒でない化合物の量を指す。当分野に周知のように、必要とされる活性化合物の正確な濃度は、防除される真菌病、使用される製剤の種類、使用方法、特定の植物種、気候条件等によって変化する。
さらに、本発明のマイクロカプセル懸濁剤は、昆虫または他の有害生物(例えば、げっ歯動物)の防除に有用である。したがって、本発明は、昆虫または有害生物の場所に、かかる使用のための昆虫抑制量の農業活性化合物を含んだ、マイクロカプセル懸濁剤を利用することを含む、昆虫または有害生物を抑制する方法にも関する。昆虫または有害生物の「場所」は、本明細書において、これらの周囲の大気、これらが摂食する食物、またはこれらが接触する物体を含む、昆虫または有害生物が生存するか、またはこれらの卵が存在する、環境に参照するのに使用される。例えば、食用もしくは鑑賞用植物を食べるか、またはこれに接触する昆虫は、種、幼植物もしくは挿し穂、葉、茎、果実、穀物または根等の植物の一部、または根が成長している土壌に活性化合物を利用することによって、防除することができる。また、農業活性化合物およびこれを含む水中油型エマルションは、織物、紙、貯蔵穀物、種、家畜、建物もしくは人間に、またはかかる対象の近くに、活性化合物を利用することによって、かかる対象を保護するのにも有用であると考えられる。「昆虫または有害生物を抑制する」という用語は、生存する昆虫もしくは有害生物の数の減少、または生存可能な昆虫の卵の数の減少を指す。化合物によって達成される低減の程度は、当然、化合物の使用量、使用される特定化合物、および標的の昆虫または有害生物種による。少なくとも不活性化する量が使用される必要がある。当分野で周知であるように、「昆虫または有害生物を不活性化する量」という用語は、処置される昆虫または有害生物集団を適度に低減させるのに十分な量を表すのに使用される。
化合物または組成物が利用される場所は、昆虫、ダニまたは害虫が生息する場所(例えば、野菜作物、果実と堅果類、ブドウ属のつる植物、観賞植物、家畜、建物の内面または外表面、および建造物周辺の土壌)であり得る。
毒物作用に対して耐性がある昆虫の卵の特有の能力から、他の公知の殺虫剤およびダニ駆除剤と同様に、新たに発生する幼虫を防除するために、繰り返し使用することが望ましいこともある。
さらに、本発明は、除草剤である農業活性化合物を含むマイクロカプセル懸濁剤の使用に関する。除草剤という用語は、本明細書において、枯らす、防除する、または別の方法で植物の成長に反する変更をする活性成分を意味する。除草有効量または植生防除量は、有害な変更効果をもたらす活性成分の量であり、これには、自然な成長からの逸脱、枯死、調節、乾燥、遅延等が含まれる。植物および植生という用語には、発生する幼植物および定着した植生が含まれる。
成長段階の望ましくない植物の場所に除草剤が直接使用されるときか、または雑草が発生する前に、除草効果が表れる。観察される効果は、防除する植物種、植物の成長段階、土壌成分の粒子サイズ、使用時の環境条件、利用する特定の補助剤と担体、土壌の種類等、ならびに使用する化学物質の量による。これらおよび他の要因は、選択的な除草作用を促進すると当分野で公知であるように、調節することができる。通常、雑草の防除を最大限達成するために、かかる除草剤は、望ましくない植生の発生後、比較的未成熟なうちに使用することが好ましい。
本発明の別の具体的態様は、線虫、ダニ、節足動物、げっ歯動物、シロアリ、細菌もしくは他の微生物等の有害生物を予防するか、または防除する方法であり、この方法は、防除または予防が望まれる場所に、抗線虫剤、殺ダニ剤、殺節足動物剤、殺鼠剤、防蟻剤、または殺生物剤等の適切な活性化合物を含んだ、本発明の組成物を利用することを含む。
疾病、昆虫およびダニ、雑草または他の有害生物の場所に使用する農業活性化合物の実際の量は、当分野で周知であり、上述の教示を考慮して、当業者によって容易に決定することができる。
次に示す実施例は、本発明を説明するために提供される。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図せず、また、実施例をそのように解釈するべきでない。特に指定のない限り、量は、重量部または重量パーセントである。
新規の技術が説明され、前述の説明に詳細に述べられているが、同様のことが、例示であって、特徴を限定するものでないものとして考慮され、好ましい実施形態のみが示され、説明され、また、新規の技術の趣旨の範囲内にある変更および改良はすべて、保護されることが望まれることが理解される。そして、新規の技術は、具体例、理論的な議論、説明、および実例を用いて説明され、これらの具体例および付随する議論は、決して技術を限定すると解釈されない。本出願で参照された、すべての特許、特許出願、および教科書、科学書、刊行物等の参照は、引用によりこれらの全体が本明細書中に組み込まれる。
表1についてこれから参照する。次に示す実施例は、本発明をさらに説明するために提供され、限定するものとして構成されるのが目的ではない。マイクロカプセル懸濁剤を、表1にリストした成分を使用して形成した。一旦、マイクロカプセル懸濁剤を形成したら、その粒子サイズを、モールバン・マズターサイザー(Malvern Mastersizer)を使用して測定した。
従来のマイクロカプセル懸濁剤製剤のAI(トリフルラリン)の量を、最大約300gai/lに制限する。一方、本発明の製剤のトリフルラリンの最大濃度は、約30パーセントより高い。これは、従来の製剤が、約1:1のAIと溶媒の比率で形成され、本発明の製剤が、AIと溶媒の非常に高い比率で形成されるという事実による。したがって、本発明の製剤は、マイクロカプセル当たり多くのAIを有し、少ない量で使用することができ、このため、従来どおり形成された材料よりも効果的なコストである。次に、表1の化合物を使用して形成したマイクロカプセル懸濁剤の安定性を、経時的に、種々の保存条件下で測定した。これらの結果は、粒子の粒度分布が、界面重合過程、およびミニエマルション重合法の両方において不変であることを示した。得られたマイクロカプセル懸濁剤は、5℃で2週間の保存後に、検出可能なトリフルラリン結晶の兆候を示さなかった。反対に、5%アクリル酸メチルを添加せずに製造した、従来どおり形成したマイクロカプセル懸濁剤は、顕著なトリフルラリン結晶形成および成長を示し、3日間、室温で保持しただけで、不安定になった。表1:5%アクリル酸メチルを備える380g/l トリフルラリンマイクロカプセル懸濁剤の成分
また、マイクロカプセル製剤の物理的な安定性も、促進保存条件(すなわち、54℃、5℃、および凍結/融解サイクル下)で決定した。前述の加速熟成条件下における2週間の保存後、本発明の方法に従って製造した製剤は、硬く固まるかまたは固化の兆候を示さず、マイクロカプセルの粒子サイズは不変であったが、従来どおり形成したマイクロカプセルは、結晶成長により顕著な粒子サイズの増加を示す。
新規の技術が説明され、図面および前述の説明に詳細に述べられているが、これは、例示であって、特徴を限定するものでないものとして考慮され、好ましい実施形態のみが示され、説明され、また、新規の技術の趣旨の範囲内にある変更および改良はすべて、保護されることが望まれることが理解される。そして、新規の技術は、具体例、理論的な議論、説明、および実例を用いて説明され、これらの具体例および付随する議論は、決して技術を限定すると解釈されない。本出願で参照された、すべての特許、特許出願、および教科書、科学書、刊行物等の参照は、引用によりこれらの全体が本明細書中に組み込まれる。