JP2006035210A - マイクロカプセルエマルジョン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機能性物質の存在下で、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第1の多官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルを乳化重合させて得られるエマルジョン粒子と、上記エマルジョン粒子に、第2の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第2の多官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルを添加して乳化重合させて該エマルジョン粒子を被覆させた被覆層とを含んでなるマイクロカプセルエマルジョンであって、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数と、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数との差が、3〜17であるマイクロカプセルエマルジョンを提供する。
【選択図】 なし
Description
特許文献2で開示された徐放性製剤は、放出初期の性フェロモン物質の放出量が多く、放出後期には機能性物質の残留量が10〜40質量%しかない段階で極端に放出量が少なくなってしまい、実質的にロスになってしまうという問題があった。
また、特許文献3で開示された徐放性製剤は、上記問題点のほかに、製剤の水分散性が悪いため、噴霧又は散布時にむらが生じる可能性が高く、また混合する工程が必要となる等の問題があった。
しかし、機能性物質を水に希釈して使用する場合、IPNによる水分散型の徐放性製剤は、水希釈に非常に弱く、機能性物質の放出ライフが短くなるという問題があった。
また、機能性物質100質量部存在下、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第1の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計15〜90質量部を乳化重合してエマルジョン粒子を得る第1工程と、上記エマルジョン粒子に、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第2の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計を20〜200質量部を添加し光重合して該エマルジョン粒子を被覆させる第2工程と、を含んでなるマイクロカプセルエマルジョンの製造方法であって、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数と、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数との差が、3〜17であることを特徴とするマイクロカプセルエマルジョンの製造方法を提供する。
アルキル基は、直鎖状又は分岐状を含む。
本発明によれば、第1工程において、機能性物質の存在下で、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステル(成分a)と第1の多官能性(メタ)アクリル酸エステル(成分b)とを乳化重合させて得られるエマルジョン粒子に、第2工程において、第2の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(成分d)と第2の多官能性(メタ)アクリル酸エステル(成分e)を添加して乳化重合させ該エマルジョン粒子を被覆しマイクロカプセルエマルジョンを提供する。成分aのアルキル基の炭素数と、成分dのアルキル基の炭素数との差を、3〜17としたため、例えば、機能性物質が性フェロモンの場合、被覆層を被覆層内部のポリマーよりも機能性物質に対して相溶性の悪い層とすることができる。このような構造を有するマイクロカプセルから形成されているため、品質が安定な製造が可能であり、均一な放出性能と長い放出ライフを有している。すなわち、被覆層の内部は、機能性物質で濡れており、機能性物質の大半が放出された後でも、均一な放出を維持できる。被覆層は、被覆層の内部よりも機能性物質に対して相溶性の悪いポリマーから構成されているため、膜タイプの放出制御が可能になり、従来のエマルジョンタイプの製剤より著しく放出ライフが長くなっている。特に後述する第3工程の重合を行ったマイクロカプセルでは、水希釈をしても通常のエマルジョンタイプやIPNタイプの徐放性製剤に見られる放出ライフが大幅に低下するような欠点が矯正される。
また、農薬としては、ダイアジノン、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル等の比較的蒸気圧が高い農薬(減圧1mmHg下、20〜250℃の沸点を有する物質)等が挙げられる。
更に、香料としては、リナノールのエステル類、シス−3−ヘキセノールのエステル類、イロン等が挙げられる。
これらの機能性物質は、単独で用いても、混合して用いてもよい。なお、混合する場合には、マイクロカプセル中に複数の機能性物質を混合して用いても、別々に合成したマイクロカプセルを混合して用いることもできる。
多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分b)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジアクリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分b)の添加量は、第1工程で使用するモノマー成分の総量を基準として、通常0.1〜20質量%、特に2〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満では徐放速度が速くなり易く、20質量%を超えると機能性物質が放出されず、残留する機能性物質が多くなる傾向にある。
この被覆層を形成可能なモノマーとしては、被覆前のエマルジョン粒子を部分的に溶解する又は膨潤させるモノマーを選択する必要がある。もし、被覆前のエマルジョン粒子を溶解又は膨潤させることができなければ、被覆前のエマルジョン粒子の外側で重合が進行する割合が高くなり、良好な被覆層を形成することができなくなる。
すなわち、相溶性の悪いポリマー層を形成可能なモノマーの使用量が多くなれば、ミクロセルが密になり徐放性は遅くなる傾向にあり、使用量が少なくなれば、ミクロセルが粗になり徐放性は速くなる傾向がみられ、充分に内部に液体状態に近い機能性物質が存在しなくなる。
成分aと成分dの選択は、機能性物質の相溶性を考慮して行われる。例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、油溶性の高い機能性物質を用いた場合には、相溶性の悪いポリマーを形成可能なモノマーであるため、成分dとして選択され、極性の高い機能性物質を用いた場合には、相溶性の良いポリマーを形成可能なモノマーであるため、成分aとして選択される。成分aと成分dのアルキル基の炭素数の差が3〜17であるため、この選択が可能となる。
また、多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分e)の使用割合は、この一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(成分d)と当該多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分e)の総量を基準として、通常0.1〜40質量%、好ましくは1〜20質量%である。これらの範囲を逸脱すると、良好な徐放性能、付着性等の付加的機能が得られにくくなる傾向にある。
第1工程では、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(成分a)、多官能の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分b)と、必要に応じて親水性モノマー(成分c)とを含むモノマー成分、並びに、機能性物質、界面活性剤、重合開始剤、光開始重合剤及び水を用いて乳化共重合を行い、乳化液を得る。
第1工程では、これら重合開始基が分解してラジカルを発生させないように光を遮断して注意して重合する必要がある。
水の添加量は、第1工程で用いるモノマー成分と機能性物質との総量100質量部を基準として、通常60〜250質量部、好ましくは80〜150質量部である。60質量部未満だと、安定なマイクロカプセルの形成が困難であり、250質量部を超えると、機能性物質の濃度が低下し経済性が乏しくなる場合がある。
上記乳化重合時の重合温度は、通常40〜90℃、好ましくは50〜70℃であり、重合時間は通常2〜12時間、好ましくは4〜10時間である。
ここで、第2工程で重合開始剤を添加せず光重合を行う場合は、第1工程で得られたエマルジョン粒子の中に既に存在する光開始剤により光重合が開始され、高濃度の機能性物質を有する該エマルジョン粒子中で一種の塩析効果が働き、機能性物質が液状に存在するようになる。そして、被覆層の内部に機能性物質が液状で存在する結果となり、均一放出性が保たれるといった利点がある。
一方、第2工程において第3工程で使用する重合開始剤の存在下で光重合を行う場合は、第2工程の重合温度では分解せず、かつ第3工程において分解するような後述のラジカル重合開始剤が用いられる。なお、この場合における第3工程の重合は、既に第2工程で重合開始剤が添加されているので、ラジカル重合開始剤を新たに添加しないで行われる。
重合開始剤の添加量は、第2工程で使用するモノマーの総量100質量部に対して、通常0.05〜5質量部、好ましくは0.2〜4質量部である。0.05質量部未満では、重合開始能が低下してしまい、5質量部を超えると重合安定性が低下してしまう傾向にある。
重合温度は、通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃であり、重合時間は通常2〜12時間、好ましくは4〜10時間である。
ここで、ラジカル重合を行う場合、ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート等を用いることがマイクロカプセル形成と過酸化結合の分解開始温度が高いという点から好ましい。
ラジカル重合の場合の重合温度は、通常60〜110℃、好ましくは90〜105℃であり、重合時間は通常2〜10時間、好ましくは3〜6時間である。
なお、光(紫外線)重合する場合には、前記マイクロカプセルの第2層を形成する第2工程と同様の条件でマイクロカプセルの第3層を形成することができる。
機能性物質を含まないエマルジョンとしては、(メタ)アクリル酸エステルポリマーのエマルジョンがよく、例えば炭素数8〜20のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルと、必要に応じて加えられる、炭素数1〜7のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルと多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分b)と親水性モノマー(成分c)からなる一群から選ばれるモノマーとを重合されて得られるエマルジョンが用いられる。
炭素数8〜20のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルとしては、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルポリマーの20〜100質量%を構成する。
炭素数1〜7のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルポリマーの0〜80質量%を構成する。
また、多官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(成分b)及び親水性モノマー(成分c)は先に例示されたモノマーを用いることができ、上記炭素数8〜20のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル及び炭素数1〜7のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルの合計量の100質量部に対して、それぞれ0〜5質量部である。
なお、エマルジョンの重合条件は、第1工程と同様の条件で行われる。
実施例1
攪拌機、温度計、冷却器、滴下装置、窒素ガス導入管のついたフラスコにイオン交換水23.7質量部を仕込んだ後、窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に65℃まで昇温した。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(ABAPH)0.2質量部を添加した。
ビーカーに、機能性物質として7,8−エポキシ−2−メチルオクタデカン(EMOD;マイマイガの性フェロモン)36.5質量部、光開始剤を含むモノマー成分(組成割合は表1に記載)全部で12.3質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート(POEAES)(パーソフトEL(日本油脂株式会社製)、アニオン性界面活性剤)4.4質量部、イオン交換水22.9質量部を入れ、室温でホモミキサーにより10,000回転/分で15分間撹拌し、プレ乳化液を調製した。
先のフラスコ中に、3時間かけてプレ乳化液を65℃の温度条件を維持しながら滴下後、更に4時間重合を行うことにより、乳化液を得た。
得られた乳化液に、予め表2に記載した組成割合で混合したモノマー成分12.3質量部を滴下し、光重合反応を3時間行って、マイクロカプセルエマルジョンを得た。乳化液中に残存モノマーが存在せず、重合が完結していることをGC分析により確認した。
次に、表3に記載した組成割合と条件でエマルジョンを製造し、このエマルジョン16質量部、マイクロカプセルエマルジョン1質量部を室温で1時間撹拌し、エマルジョンが添加されたマイクロカプセルエマルジョンの混合液を得た。
徐放性能を調べる目的で、上記の混合液をポリエチレンテレフタレート製のフィルムに塗布し、25℃で6時間乾燥し、EMODを20mg含有するフィルム状のEMOD含有徐放性製剤を得た。
次に、30℃、風速0.7m/秒の条件下の放出試験機にこの徐放性製剤を設置し、製剤からのEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は、設置後30日を経過しても均一に放出して良好な徐放性を示し、40日後のEMODの残存率は、44.4%であった。また、EMODの80%放出時の放出速度は良好で、希釈による著しい放出ライフの低下も見られなかった。
攪拌機、温度計、冷却器、滴下装置、窒素ガス導入管のついたフラスコにイオン交換水14.4質量部を仕込んだ後、窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に65℃まで昇温した。その後、重合開始剤としてカリウムパーサルフェート(PPS)0.2質量部を添加した。
ビーカーに、機能性物質としてZ7,Z/E11−ヘキサデカジエニルアセテート(PBW;ワタアカミムシの性フェロモン)40.1質量部、光開始剤を含むモノマー成分(組成割合は表1に記載)全部で15.2質量部、ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)(アニオン性界面活性剤)4.4質量部、イオン交換水25.7質量部を入れ、室温でホモミキサーにより10,000回転/分で15分間撹拌し、プレ乳化液を調製した。
先のフラスコに、3時間かけてプレ乳化液を80℃の温度条件を維持しながら滴下後、更に4時間重合を行うことにより、乳化液を得た。
得られた乳化液に、予め表2に記載した組成割合で混合したモノマー成分を13.0質量部を滴下し、光重合反応を1時間行って、マイクロカプセルエマルジョンを得た。乳化液中に残存モノマーが存在せず、重合が完結していることをGC分析により確認した。
次に、表3に記載した組成割合と条件でエマルジョンを製造し、このエマルジョン35質量部、マイクロカプセルエマルジョン1質量部を室温で1時間撹拌し、エマルジョンが添加されたマイクロカプセルエマルジョンの混合液を得た。
徐放性能を調べる目的で、上記混合液をポリエチレンテレフタレート製のフィルムに塗布し、25℃で6時間乾燥し、PBWを20mg含有するフィルム状のPBW含有徐放性製剤を得た。
次に、30℃、風速0.7m/秒の条件下の放出試験機にこの徐放性製剤を設置し、製剤からのPBWの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は、設置後30日を経過しても均一に放出して良好な徐放性を示し、40日後のPBWの残存率は、32.8%であった。また、80%放出時の放出速度も良好であった。
実施例1と同様にして、表1〜表3の組成に従い、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は設置後30日を経過して均一に放出して良好な徐放性を示し、38日後のEMODの残存率は28.3%であった。また、80%放出時の放出速度も良好であった。
実施例1と同様にして、表1〜表3の組成に従い、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は設置後30日を経過して均一に放出して良好な徐放性を示し、36日後のEMODの残存率は25.1%であった。また、80%放出時の放出速度も良好であった。
攪拌機、温度計、冷却器、滴下装置、窒素ガス導入管のついたフラスコにイオン交換水14.4質量部を仕込んだ後、窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に65℃まで昇温した。その後、重合開始剤としてカリウムパーサルフェート(PPS)0.2質量部を添加した。
ビーカーに、機能性物質としてZ7,Z/E11−ヘキサデカジエニルアセテート(PBW;ワタアカミムシの性フェロモン)35.1質量部、光開始剤を含むモノマー成分(組成割合は表1に記載)全部で15.2質量部、ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)(アニオン性界面活性剤)4.4質量部、イオン交換水30.7質量部を入れ、室温でホモミキサーにより10,000回転/分で15分間撹拌し、プレ乳化液を調製した。
先のフラスコに、3時間かけてプレ乳化液を80℃の温度条件を維持しながら滴下後、更に4時間重合を行うことにより、乳化液を得た。
得られた乳化液に、予め表2に記載した組成割合で混合したモノマー成分を8.5質量部を滴下し、光重合反応を1時間行って、マイクロカプセルエマルジョンを得た。
次に、得られたマイクロカプセルエマルジョンに、第1工程の組成物を100質量部とした場合の添加量が4.5質量部となるように、ブチルアクリレートとベンゾイルパーオキサイド(BPO、重合開始剤)を質量比100:0.045を添加して、80℃で30分間重合を行って、マイクロカプセルエマルジョンを得た。乳化液中に残存モノマーが存在せず、重合が完結していることをGC分析により確認した。
次に、表3に記載した組成割合と条件でエマルジョンを製造し、このエマルジョン35質量部、マイクロカプセルエマルジョン1質量部を室温で1時間撹拌し、エマルジョンが添加されたマイクロカプセルエマルジョンの混合液を得た。
徐放性能を調べる目的で、上記混合液をポリエチレンテレフタレート製のフィルムに塗布し、25℃で6時間乾燥し、PBWを20mg含有するフィルム状のPBW含有徐放性製剤を得た。
次に、30℃、風速0.7m/秒の条件下の放出試験機にこの徐放性製剤を設置し、製剤からのPBWの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は設置後30日を経過しても均一に放出して良好な徐放性を示し、41日後のPBWの残存率は、20.2%であった。また、80%放出時の放出速度も良好であった。
第2工程の重合を行わない以外は、実施例1と同様にして、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は初期の放出速度が速く、10日後のEMODの残存率は、20.1%であり、放出ライフが著しく低かった。
機能性物質の添加量が少ない以外は、実施例1と同様にして、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は比較的良好な徐放性を示したものの、30日後のEMODの残存率は、28.2%と実施例1に比較して放出ライフは短く、80%放出時の放出速度は低かった。
機能性物質の添加量が少ない以外は、実施例1と同様にして、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は、初期の放出速度が速く、設置後31日を経過すると均一に放出されず、31日後のEMODの残存率は、12.5%と実施例1に比較して放出ライフは短く、80%放出時の放出速度は低かった。
機能性物質の添加量が多い以外は、実施例1と同様にして、徐放性製剤を得た後、実施例1と同様にEMODの放出速度を質量変化により測定した。その結果、これら徐放性製剤は、初期の放出速度が速く、13日後のEMODの残存率は、8.4%と実施例1に比較して放出ライフは短く、80%放出時の放出速度は低かった。
Claims (8)
- 機能性物質100質量部の存在下で、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第1の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計15〜90質量部を乳化重合させて得られるエマルジョン粒子と、
上記エマルジョン粒子に、第2の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第2の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計20〜200質量部を添加して乳化重合させて該エマルジョン粒子を被覆させた被覆層とを含んでなるマイクロカプセルエマルジョンであって、
第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数と、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数との差が、3〜17であることを特徴とするマイクロカプセルエマルジョン。 - 上記第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が、4〜20であり、上記第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が、1〜8である請求項1に記載のマイクロカプセルエマルジョン。
- 更に、上記機能性物質を含まないエマルジョンを添加した請求項1又は請求項2に記載のマイクロカプセルエマルジョン。
- 機能性物質100質量部存在下、第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第1の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計15〜90質量部を乳化重合してエマルジョン粒子を得る第1工程と、
上記エマルジョン粒子に、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第2の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計を20〜200質量部を添加し光重合して該エマルジョン粒子を被覆させる第2工程と、
を含んでなるマイクロカプセルエマルジョンの製造方法であって、
第1の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数と、第2の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数との差が、3〜17であることを特徴とするマイクロカプセルエマルジョンの製造方法。 - 上記第2工程後に、第3の一官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステルと第3の多官能性(メタ)アクリル酸エステルとの合計20〜200質量部を添加し乳化重合して更なる被覆を行う第3工程を含んでなる請求項4に記載のマイクロカプセルエマルジョンの製造方法。
- 上記第2工程後に、上記機能性物質を含まないエマルジョンを、得られたマイクロカプセルエマルジョンに対して質量比で1〜40倍添加することを含んでなる請求項4に記載のマイクロカプセルエマルジョンの製造方法。
- 上記第3工程後に、上記機能性物質を含まないエマルジョンを、得られたマイクロカプセルエマルジョンに対して質量比で1〜40倍添加することを含んでなる請求項5に記載のマイクロカプセルエマルジョンの製造方法。
- 第1工程が、光重合開始剤の添加を含む請求項4〜7のいずれかに記載のマイクロカプセルエマルジョンの製造方法。
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