JP2016160383A - 徐放材及び構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】揮発性物質を長期間徐放することが可能な徐放材を提供する。
【解決手段】揮発性物質を徐放するための徐放材であって、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子と、当該ポリマー粒子の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を備える、徐放材。
【選択図】なし

Description

本発明は、徐放材、及び、当該徐放材を含む構造体に関し、揮発性物質(揮発性成分)を封入でき、その揮発性物質を徐放することが可能な徐放材、及び、当該徐放材を含む構造体に関する。
馬鈴薯は人類が食す穀物の中でも需要が大きく、国際的に主食として生産量が多い。しかしながら、馬鈴薯は貯蔵中及び輸送中において、発芽及び発芽成長が他の穀物に比べて早い。そのため、発芽によるその商品価値の低下が問題となっている他、芽に含まれるソラニン等のグルコアルカロイドによる中毒症状等のように人体に対して悪影響をおよぼすことも問題となっている。
馬鈴薯の発芽及び発芽成長を抑制する方法としては、5℃以下の低温で貯蔵・輸送する方法、クロロプロファム(以下「CICP」と略す)等の細胞分裂抑制剤を収穫後の馬鈴薯に噴霧する方法、休眠状態の馬鈴薯にγ線を照射する方法、エチレンガス雰囲気下で貯蔵する方法などが行われている。
低温で貯蔵・輸送する方法では、馬鈴薯内に蓄えられている澱粉が分解し、マルトースやグルコース等の1〜2量体が生成する。そのため、食感では糖度が増し甘みが強くなる。しかしながら、ポテトチップスのように、馬鈴薯を油で揚げるような加工を施すと、その低分子糖がアスパラギン等のアミノ酸と結合し、褐色化が進行する。この褐色化した成分に発癌性があるとの疑いがもたれている問題と、焦げ等の商品的な見た目を損なう問題とがあることから、加工に供する場合は5〜15℃ほどで貯蔵することが多く、その温度以上での貯蔵では、発芽成長の抑制効果はほとんど認められない。
CICP等を収穫後噴霧するポストハーベスティングは、その安全性の観点から日本では認められていない。CICPは、日本国内では除草剤としてのみ認められており、その毒性に対する懸念が大きく、近年、欧米でも、その残留量規制が厳しくなってきている。
休眠状態の馬鈴薯にγ線を照射する方法は、日本では北海道士幌町農協のみで行われている。コバルトから放射されるγ線を休眠状態の馬鈴薯に照射させる方法として、発芽根をγ線で分解させ、その再生のための時間分、発芽を抑制する方法が行われている。しかしながら、東日本大震災以降、放射線照射に放射能の問題があるとのイメージが強くなり、同処理を行うことが難しくなってきている。また、その照射設備で生成する放射性廃棄物の処理や管理に対するコストも増大してきている。そのため、同様の設備を広く複数設置することも難しくなっている。
一方、エチレンガスは、植物ホルモンであり、馬鈴薯の場合、その発芽成長抑制機能があることが知られている。このような観点から、馬鈴薯の貯蔵に際しリンゴを一緒に置く等の発芽成長抑制方法が広く知られている(例えば、下記特許文献1参照)。上記γ線照射に代わる方法として、北海道士幌町農協では、エチレンガスを用いた馬鈴薯貯蔵設備の管理運用を開始した。しかしながら、貯蔵時の発芽成長抑制に効果はあるが、馬鈴薯を仮眠状態にして貯蔵しているため、輸送時にエチレンガスがほとんど存在しないと、休眠状態の馬鈴薯が条件によっては一斉に発芽・成長を開始する問題が起こっている(例えば、下記特許文献2、3参照)。
特許第2732505号公報 特開2010−94059号公報 特開2011−72261号公報
エチレンガスを用いた発芽成長抑制に関しては、上述のように広く知られているが、特に輸送時に簡便な方法でエチレンガス濃度を維持することは、技術的及びコスト的に困難であることが多い。エチレンガスはゼオライトや活性炭等に吸着しにくい性質をもっており、吸着剤表面に吸着させることで貯蔵できる量は少なく、また、放出されやすいために長期間に亘ってガスを放出させること(徐放性)が難しい。そのため、ゼオライト等の吸着剤を用いて馬鈴薯の貯蔵及び輸送中に発芽成長を抑制することは難しい。したがって、このようなエチレンガスをはじめとした揮発性物質を長時間徐放する技術が求められる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、揮発性物質を長期間徐放することが可能な徐放材、及び、当該徐放材を含む構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記馬鈴薯の発芽成長(特に、輸送時の発芽成長)の抑制に関して、上記問題である多量の揮発性物質(エチレンガス等)のポリマー粒子への封入と、長期間徐放することとを簡便な方法で可能にすべく、揮発性物質(エチレンガス等)をポリマー粒子中に封入及び徐放化することが可能な揮発性物質の封入兼徐放材に着想した。
本発明に係る徐放材は、揮発性物質を徐放するための徐放材であって、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子と、当該ポリマー粒子の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を備える。
本発明に係る徐放材によれば、上記構成を有していることにより、多量の揮発性物質を封入できると共に、揮発性物質を長期間徐放することができる。このような徐放材を用いることにより、多量の揮発性物質を封入すると共に揮発性物質を長期間徐放することを簡便な方法により達成することができる。
上述のように馬鈴薯の発芽成長抑制は、食料の有効活用と毒性等の安全性維持とに必要である。その方法として、揮発性物質(エチレンガス等)を高濃度で封入し、長期間放出し続ける徐放材を用いることにより本問題を解決することは、有効で簡便な手法であると考えられる。また、揮発性物質を高濃度で封入し徐放化する技術は、馬鈴薯の発芽成長抑制のみならず、芳香剤や殺虫剤の徐放化分野等においても有効な技術と考えられ、産業上有用と考えられる。
本発明に係る構造体は、本発明に係る徐放材を含む。本発明に係る構造体によれば、本発明に係る徐放材を含むことにより、本発明に係る徐放材と同様の上記効果を得ることができる。
本発明によれば、揮発性物質を長期間徐放することが可能な徐放材、及び、当該徐放材を含む構造体を提供することができる。本発明は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子を備える徐放材を、揮発性物質の封入及び徐放が制御されるように設計合成し、当該徐放材に揮発性物質を封入及び徐放化させることを可能にしたものである。本発明によれば、例えば、徐放材を含む粘着テープ(粘着フィルム)を段ボール箱の内面に貼り付けることで、馬鈴薯の発芽成長を出荷から店頭開封時まで抑制することを簡便に実現することができる。
構造体の一実施形態を示す図面である。 多層粒子のモルフォロジーの一例を示す図面である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又はそれに対応する「メタクリル酸」を意味する。「(メタ)アクリレート」等の他の類似の表現においても同様である。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<徐放材>
本実施形態に係る徐放材は、揮発性物質を徐放するための徐放材であって、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子と、当該ポリマー粒子の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を備える。本実施形態に係る徐放材は、揮発性物質を封入及び徐放する揮発性物質の封入兼徐放材である。
本実施形態に係る徐放材は、層状の被覆部(被覆層)を備える多層粒子であってもよい。層状の被覆部は、単層であってもよく、複層であってもよい。被覆部は、封入した揮発性物質のポリマー粒子からの徐放性を担うものである。被覆部は、ポリマー粒子の全体を被覆していてもよく、ポリマー粒子の一部のみを被覆していてもよい。
エチレンガス等の揮発性物質をゼオライトや活性炭等に吸着させ貯蔵させる場合、その比表面積と吸着効率を考えると、高濃度に多くの揮発性物質を貯蔵することは難しい。また、その貯蔵した揮発性物質を長期にわたり徐々に放出する徐放化は技術的にも経済的にも更に難しい。
上記事実に鑑み、本発明者らは、鋭意工夫を凝らすことで、徐放材中に高濃度で大量の揮発性物質を封入すること、及び、徐々に放出させることに成功した。また、その徐放材を含む粘着テープ等の構造体を見出し、簡便に揮発性物質(エチレンガス等)の徐放ができる構造体を実現した。
すなわち、本技術は、ポリマー粒子を特定のモノマー成分の重合により形成せしめ、対象となる揮発性物質や、求められる徐放特性によって、封入量と徐放性を考慮しながら徐放材を多層化することも含めて最適化することができる技術である。加えて、その徐放材を用いて粘着テープ等の構造体にせしめることにより簡便に取り扱いができるようになることも特徴となる。
揮発性物質としては、常温(25℃。以下同様)常圧(100kPa。以下同様)で気体である物質、常温常圧で液体であるが蒸気圧差で気化する物質、常温常圧で固体であるが昇華しガス化する物質等を指す。気体としては、水素、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン等に加え、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン等の炭化水素などが挙げられるが、これに限定されるものではない。液体としては、アルコール系、脂肪酸系、テルペン系等が挙げられ、特に、サンタロール等に代表されるセスキテルペン系などが挙げられるが、これに限定されるものではない。昇華性のある固体としては、ナフタレン、ナフタレン誘導体等に代表される物質が挙げられるが、これに限定されるものではない。
炭化水素としては、前述のメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン等に代表される気体成分だけでなく、アルコール系、脂肪酸系、テルペン系等や、フェノール系、ナフタレン系に代表される成分など、主成分に炭素原子と水素原子が含まれる成分が挙げられる。
揮発性物質としては、エチレンガスを用いることができる。エチレンガスは、その吸着性が他のガスに比べ小さく、透過度は他のガスに比べて大きい。そのため、ゼオライトや活性炭のような一般的な吸着剤では充分なガス量が吸着せず、輸送に使用するためには多量の吸着剤が必要になり経済的に不利である。また、マイクロカプセルのような手法では、ガスの貯蔵と放出のバランスがとりにくい。そのため、徐放材内のポリマー粒子に揮発性物質を拡散させ、ポリマーの可塑化により固液状態で貯蔵すること、さらには、徐放材を多層化せしめ、ポリマー粒子に揮発性物質を加圧下で封入し、ポリマー粒子以外の部分(被覆部等)で常圧状態における揮発性物質の透過を制御することにより、封入量及び徐放量、並びに、徐放時間を調整することが可能となる。このような構造の徐放材の製造方法としては、水溶媒系でラジカル重合等をせしめ、一般的にコアシェル粒子と呼ばれる多層ポリマー粒子を製造、応用することが簡便で経済的にも優れた方法である。
本実施形態に係る徐放材は、揮発性物質の封入及び徐放のために使用できるため、エチレンガスのみならず、吸着やカプセル化で貯蔵する材料の代替え担体として機能することから、産業上有用である。
本実施形態に係る徐放材は、揮発性物質を封入した徐放材を粘着層に含有させて簡単に貼り付けることができる粘着テープや、その徐放材をゲルポリマーや不織布袋中に分散させることで、徐放性芳香剤や殺虫剤等の用途にも簡便に応用できることが容易に類推できる。
本実施形態に係る徐放材の平均粒径は、レーザー回折・散乱方式による測定により得ることができる。徐放材の平均粒径は、徐放材の製造方法によるが、10nm〜1000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。平均粒径が10nmより小さいと、そのハンドリングと、徐放材(多層粒子等)にした際の固形でのブロッキングに問題が生じる場合がある。平均粒径が1000μmより大きいと、徐放材(多層粒子等)の形成時においてポリマー粒子の被覆性に問題が生じる場合がある。ポリマー粒子の平均粒径は、例えば10nm〜800μmである。被覆部の厚みは、例えば10nm〜800μmである。
本実施形態に係る徐放材のポリマー粒子は、ポリマー形成モノマー成分として(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られるポリマーを含有しており、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有している。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート、α,ω−ジ(メタ)アクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリット(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリットモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、α,ω−テトラアリルビストリメチロールプロパンテトラヒドロフタレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルフォスフェート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの数分子量は、例えば1000以下である。
ポリマー粒子のモノマー組成比(質量比)について、ポリマー粒子は、揮発性物質を封入する効率に優れる観点から、ポリマー粒子を構成する構造単位の全体を基準として、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を50質量%以上有することが好ましく、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を70〜100質量%有することがより好ましい。メタクリル酸メチルに由来する構造単位の組成比が50質量%未満である場合、徐放材を形成する際(粒子の多層化を行う際等)に水性媒体への分散性が低下し、目的の徐放材(多層粒子等)が得られにくい場合がある。
ポリマー粒子のモノマー組成比について、ポリマー粒子は、揮発性物質の封入量に更に優れる観点から、ポリマー粒子を構成する構造単位の全体を基準として、アクリル酸エチルに由来する構造単位を1質量%以上有することが好ましい。ポリマー粒子は、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル共重合体を含んでいてもよい。ポリマー粒子がメタクリル酸メチル/アクリル酸エチル共重合体を含む場合、共重合体の組成比におけるアクリル酸エチルの割合は、メタクリル酸メチル及びアクリル酸エチルの合計量を基準として、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましいが、構成単位が3単位以上でもかまわない。
ポリマー粒子の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、粒子の合成方法の観点から、100,000〜1,000,000がより好ましく、被覆性と溶媒膨潤の観点から、300,000〜1,000,000が更に好ましい。
本実施形態に係る徐放材の被覆部は、例えば、ポリマー形成モノマー成分を重合して得られるポリマーを含有している。被覆部を得るためのポリマー形成モノマー成分としては、アクリロニトリル、スチレン類(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)などが挙げられる。
アクリロニトリルに由来する構造単位を有するポリマーは、揮発性物質の透過を抑えるための被覆部として好適である。被覆部におけるアクリロニトリルに由来する構造単位の組成比(モノマー組成比)は、徐放性を制御しやすい観点から、被覆部を構成する構造単位の全体を基準として、10質量%以上が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、20〜70質量%が更に好ましい。アクリロニトリルに由来する構造単位の組成比が10質量%未満である場合、揮発性物質の放出が速くなり、徐放効果が得られにくい場合がある。
被覆部は、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合するモノマー成分との共重合体を含有していてもよい。アクリロニトリルと共重合するモノマー成分としては、スチレン類が好ましいが、これに限定されるものではない。被覆部を構成するポリマーとしては、被覆部の合成中のハンドリング性や徐放性の制御に優れる観点から、アクリロニトリル/スチレン共重合体が特に好ましいが、これに限定されるものではない。
本実施形態に係る徐放材は、ポリマー粒子を核部として、核部を被覆部で被覆することにより得ることができる。被覆部は、モノマー成分の重合、又は、既に別途重合若しくは抽出されたポリマー成分にて形成することができる。揮発性物質の封入及び徐放の設計を考えた場合、その制御効率及びコストの両面から、徐放材は、一般的にコアシェルと呼ばれるコアシェル構造(核部であるポリマー粒子と、シェル部である被覆部とを備える構造)を有していることが好ましく、懸濁重合により形成された被覆部を備えるコアシェル構造を有していることがより好ましい。但し、徐放材の製造方法は上記に限られるものではない。
ポリマー粒子及び/又は被覆部は、ラジカル重合、水系重合、懸濁重合等によりモノマー成分を重合させることにより得ることができる。例えば、本実施形態に係る徐放材は、ラジカル重合、水系重合、懸濁重合等により形成された粒子であってもよい。
一般的にポリマー粒子の形成方法としては、ポリマー成分を良溶媒に溶解後、貧溶媒中に滴下し粒子を形成する方法が知られている。この場合のポリマー成分は天然高分子であってもよく、合成高分子であってもよい。ポリマー成分の重合方法に特に制限はないが、モノマー成分、及び、それを重合してなるポリマー成分の溶媒に対する溶解性及び分散性を制御しながら、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の重合法で粒子を形成する方法は、その粒径制御や粒子の多層化等に有利な合成法である。
ラジカル重合とは、ラジカルを発生する重合開始剤を系に添加し重合をせしめる方法を中心としているが、オゾン等から誘導されるラジカルや光照射による方法なども適用でき、重合開始剤を添加する方法に限定されるものではない。
重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、アゾ化合物等を用いることができる。
ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。
これらの重合開始剤の中でも、水系で使用可能な重合開始剤としては、扱いやすい観点から、パーオキサイド系(ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド等)が好ましく、また、貯蔵安定性等に優れる観点から、アゾ化合物が好ましい。重合開始剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
水系重合とは、水性媒体を50質量%以上含む溶媒中で重合反応を行うものを指し、水性媒体としては、通常脱イオン水を用いるが、これに限定されるものではない。
懸濁重合とは、水性媒体中で重合反応を行う際に、モノマー成分を分散させて、非相溶系で重合を試みるものである。その際には、界面活性剤を用いることがある。界面活性剤としては、一般的にアニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤が使用されるが、一般的にはアニオン系界面活性剤が使用される。アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレインスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。界面活性剤の添加量は、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粒子100質量部に対して0.003〜0.05質量部の範囲が好ましく、0.01〜0.025質量部の範囲がより好ましい。界面活性剤の添加量が0.003質量部未満であると、分散安定性が充分でなく、所望の粒径よりも大きな粒子が増える傾向にあり、0.05質量部を超えると、分散安定性を損なう傾向がある。界面活性剤は、その重合状態の制御により上記界面活性剤に限られたものではなく、また、使用しない場合もあり、特に制限されるものではない。
また、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のノルマルアルキルメルカプタン類を分子量調整のため、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分、又は、それを溶解できる溶剤に溶解して用いてもよい。さらに、オレイン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミドなどを、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分、又は、それを溶解できる溶剤に溶解して用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分(例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分)に使用される分散剤としては、有機系分散剤及び無機系分散剤のいずれを用いてもよい。有機系分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリンドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドキシエチルセルロース等が挙げられる。無機系分散剤としては、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、ケイ酸ナトリウム等を挙げることができる。また、界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレインスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合で一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでも使用できるが、これらに限られたものではない。
これらの分散剤の中では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分(例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分)の油滴の安定性に優れる観点から、有機系分散剤を使用することが好ましい。有機系分散剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分100質量部に対して0.05〜0.2質量部の範囲が好ましく、0.1〜0.15質量部の範囲がより好ましい。有機系分散剤の使用量が0.05質量部未満であると、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分(例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分)の油滴の安定性が不充分になる傾向があり、0.2質量部を超えると、分散効果が向上せず、不経済になる傾向がある。
懸濁重合を行う際の分散方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分(例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分)、重合開始剤、分散剤等を水性媒体に添加し微細に分散する。その方法については、攪拌翼を備えた装置であれば特に制限するものではないが、より微細にする方法としては、ホモミキサーを用いることが好ましい。
<構造体>
本実施形態に係る構造体は、本実施形態に係る徐放材を含む。構造体とは、揮発性物質を封入及び徐放する徐放材をテープ状(フィルム状)やプレート状等に加工したり、ゲル成分やプラスチックバック等に入れてハンドリング性を向上させたりするもの等を指すが、本実施形態に係る徐放材を含みさえすれば、これに限定されるものではない。また、本実施形態に係る徐放材を含む粘着テープ(粘着テープ状の構造体)は、例えば、馬鈴薯の流通・貯蔵時に段ボール箱の内面に粘着テープを貼付することで、ハンドリング性をより向上できる。すなわち、このような粘着テープが望まれる用途としては、馬鈴薯の輸送(特に、生食用馬鈴薯の段ボール箱を用いた輸送)において、当該粘着テープを段ボール箱の内側に貼りつけ、出荷から輸送、さらには店頭での段ボール箱の開封まで発芽成長を抑制する用途である。
図1は、本実施形態に係る構造体(粘着テープ)を示す図面であり、図1(a)は、構造体の断面を示し、図1(b)は、構造体の使用例を示す。粘着テープ1は、図1(a)に示すように、両面テープ2と、両面テープ3と、不織布4とがこの順に積層された構造を有しており、両面テープ2は、外部に露出する接着面側に粘着層2aを有している。また、粘着テープ1の両面テープ2と両面テープ3との間には、徐放材5がテープ面に散布されている。このような粘着テープ1は、図1(b)に示すように、段ボール箱6の内面に貼り付けて用いることができる。
徐放材及びその製造方法を実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<多層粒子の作製>
(実施例1)
4Lのガラスフラスコに2100gの純水と16gのポリビニルアルコール(けん化度80mol%)とを入れ、メチルメタクリレート(メタクリル酸メチル)960gにラウリルパーオキサイド4.8gを溶解した混合物を更に加え、温度60℃で4時間保温した後に、90℃にて1時間保温後冷却して、核部となるポリマー粒子を含有する核粒子スラリー液を得た。核粒子スラリー液を再度70℃に加熱し、アクリロニトリル179.2g、スチレン460.8g及びラウリルパーオキサイド3.2gの混合物を約3時間かけて滴下し、その後5時間保温した後に、90℃にて1時間保温後冷却して多層粒子スラリーを得た。得られた多層粒子スラリーを遠心脱水機にて脱水した後に、70℃にて12時間乾燥し、多層粒子を得た。
(実施例2)
核部となるメチルメタクリレートの一部をエチルアクリレート(アクリル酸エチル)に置き換え、その質量比を95:5に変更した以外は実施例1と同様に実施して多層粒子を得た。
(実施例3)
核部となるメチルメタクリレートの一部をエチルアクリレートに置き換え、その質量比を90:10に変更した以外は実施例1と同様に実施して多層粒子を得た。
(実施例4)
核部となるメチルメタクリレートの一部をエチルアクリレートに置き換え、その質量比を70:30に変更した以外は実施例1と同様に実施して多層粒子を得た。
(比較例1)
核部となるメチルメタクリレートを全量スチレンに置き換えた以外は実施例1と同様に実施して多層粒子を得た。
<特性評価>
得られた多層粒子の特性評価を下記のとおり実施した。
(核部の重量平均分子量の測定)
多層粒子は溶剤及び溶離液(テトラヒドロフラン)に不溶になるため、得られた多層粒子の内核部(ポリマー粒子)のみの重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。液状クロマトグラフィーシステムとしては、送液ポンプ(PU−2080、日本分光(株)製)、オートサンプラー(AS−2059、日本分光(株)製)、恒温槽(CO−2060、日本分光(株)製)、RI検出器(RI−2031、日本分光(株)製)及びPC(NEC製)により構成されるものを使用した。カラムとしては、PLgel 5μm MIXED−D(Agilent Technologies(株)製、長さ300mm、内径7.5mm)を2連結したものを用い、テトラヒドロフラン溶離液を0.8mL/minの流量で40℃にて流し測定した。試料(核粒子スラリー液)をテトラヒドロフランに溶解しカラムに供試した。検量線はポリスチレン標準試料Sigma−Aldrich製を用いて作成した。測定結果を表1に示す。
(平均粒径の測定)
得られた多層粒子を乾燥した後、ベックマン・コールター社製レーザー回折・散乱方式のLS-13−320にて粒径を測定した。適量の多層粒子を再度純水に分散させ、屈折率1.49にて湿式法により粒径を測定した。これらの2つの粒径の平均粒径を算出した。算出結果を表1に示す。
(多層粒子のモルフォロジー)
各実施例の多層粒子のモルフォロジーを下記のとおり評価した。得られた多層粒子をエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームでトリミング後、ルテニウム溶液にて染色し、電界放出型透過電子顕微鏡(日本電子製、JEM−2100F)にて像を観察した。多層粒子のモルフォロジー例を図2に示す。図2中、Aはポリマー粒子(コア層)を示し、Bは被覆層(シェル層)を示し、Cはエポキシ封止層を示す。図2の例を含めた各実施例の多層粒子において各層の境界が確認され、実施例で示した製法により確実な多層粒子を得ることができることがわかった。
<多層粒子のエチレン封入量の測定>
エチレン封入量は、加圧状態でエチレンを封入させるため、一般的な天秤ではその挙動を測定することは難しい。本測定においては、天秤のバスケット部分を磁気の反発力を用いて浮遊させ、圧力の影響を及ぼさない、磁気浮遊天秤(Rubotherm製、MSB−B−HP−250)を用いて測定した。測定温度313K、353K、403K、圧力0.5〜6.0MPaで測定を行った。各多層粒子の測定結果から検量線を引き、25℃、5MPaでのエチレン封入量(エチレン含有量)の計算値を得た。エチレン封入量の計算値を表1に示す。
<封入ガス徐放性の評価>
ガス徐放性は、熱天秤装置(リガク製Thermoplus TG8120)を用いて質量減少を測定することで評価した。10%質量減少に必要な時間を40℃及び80℃で測定し、アレニウスプロットより常温(25℃)での徐放化時間を得た。各多層粒子のエチレン徐放時間(10%徐放時間)を表1に示す。
表1の結果から、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子と、当該ポリマー粒子を被覆する被覆層と、を備える多層粒子では、充分なエチレン封入量、及び、徐放時間の延長を両立できた。
特に、エチレン等に対するポリアクリロニトリルのガスバリア性が高いことは知られているが、核部を包み込む構造とした際に、アクリロニトリル/スチレンの共重合体により、粒子の多層化効率が向上すると共に適度なガスバリア性が得られることで徐放時間が伸張されたものと推察する。
また、メタクリル酸メチルを核部の主モノマー成分として、また、アクリル酸エチルを改質モノマー成分とした粒子では、充分なエチレン封入量、及び、徐放時間の延長を特に良好に両立できた。メタクリル酸メチルのホモポリマーはエチレンとの相溶性に優れるが、その規則的な構造をアクリル酸エチルが共重合したことで、エチレンの封入時に、より分子運動がしやすく、排除体積の上からも、ポリマーのゴム状化によってエチレンをより多く封入できるようになったと推察する。
<ガス放出濃度の測定>
得られた実施例2の多層粒子を、アルミニウム蒸着ポリプロピレン性シールバック(210mm×300mm×2mm厚)に、表2に記載の質量入れ、直ちに真空でヒートシールした。真空引きの時間は3秒とした。各時間のエチレンガス濃度は、エチレンガス検知管(三商製ガステックガス検知管172エチレン又は172Lエチレン)を各アルミニウムパックに差込んで測定した。測定結果を表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、約1ヶ月に亘って充分なガス濃度が保たれることが確認された。
<馬鈴薯萌芽抑制試験>
外寸360mm×270mm×188mm、内寸355mm×265mm×180mmの段ボール箱の側面と上面に30mm×50mmの窓を各々開け、ポリプロピレン板を貼り付け、観察窓とした。馬鈴薯(北海道十勝産男爵)を10kg入れ、実施例2で作製した多層粒子にエチレンを封入したものを、不織布のパック(市販の「お茶パック」)に、表3に記載の質量入れ、それを段ボール箱の上面の内側に貼り付け、段ボール箱を閉じ、クラフトテープでとめた。各期間での馬鈴薯発芽状態の観察と、段ボール箱内のエチレンガス濃度の測定とを行った。エチレンガス濃度は、各時間のガスをガラス製ガス用シリンジで抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計(日本電子製JMS−Q1050GC)にて測定した。放出エチレンガス濃度の測定結果、及び、馬鈴薯発芽状態の観察結果を表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、馬鈴薯の萌芽抑制効果が認められた。表2の結果は、ガスバリア性がある程度高い場合の結果であるが、表3の結果は、段ボール箱を用いた結果である。このことからも、馬鈴薯を詰め運送する容器のバリア性を工夫することで簡便に萌芽抑制効率が上がる可能性が示唆され、本発明は、産業上有用な発明である。
1…粘着テープ(構造体)、2,3…両面テープ、2a…粘着層、4…不織布、5…徐放材、6…段ボール箱、A…ポリマー粒子、B…被覆層、C…エポキシ封止層。

Claims (13)

  1. 揮発性物質を徐放するための徐放材であって、
    (メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有するポリマー粒子と、当該ポリマー粒子の少なくとも一部を被覆する被覆部と、を備える、徐放材。
  2. ラジカル重合により形成された粒子である、請求項1に記載の徐放材。
  3. 水系重合により形成された粒子である、請求項1に記載の徐放材。
  4. 懸濁重合により形成された粒子である、請求項1に記載の徐放材。
  5. 多層粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の徐放材。
  6. 平均粒径が10nm〜1000μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の徐放材。
  7. 前記ポリマー粒子が、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を50質量%以上有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の徐放材。
  8. 前記ポリマー粒子が、アクリル酸エチルに由来する構造単位を1質量%以上有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の徐放材。
  9. 前記被覆部が、アクリロニトリルに由来する構造単位を10質量%以上有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の徐放材。
  10. 前記揮発性物質が炭化水素である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の徐放材。
  11. 前記揮発性物質がエチレンである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の徐放材。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の徐放材を含む、構造体。
  13. 粘着テープである、請求項12に記載の構造体。
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