JP2013507479A - 塗料用樹脂組成物及び前記組成物から製造された樹脂成形品 - Google Patents

塗料用樹脂組成物及び前記組成物から製造された樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン基材の放電処理又は火炎処理、酸処理などの複雑な工程を経ることなく、塩素を含有しなくてもスプレー塗装が可能であり、耐スクラッチ性及び接着性に優れるうえ、タック性を有しないという優れた効果がある、塗料用ポリプロピレン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の塗料用樹脂組成物は、重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である高分子量ポリプロピレン系樹脂(A)35〜65重量%と;重量平均分子量が10,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である低分子量ポリプロピレン系樹脂(B)30〜60重量%と;重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75である高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂(C)0.1〜5.0重量%とを含んでなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗料用ポリプロピレン樹脂組成物及びこれらの樹脂組成物から製造された樹脂成形品に係り、さらに詳しくは、塗料用ポリプロピレン樹脂組成物、前記樹脂組成物から製造された塗料、前記塗料から形成された積層体、及び前記組成物から製造された樹脂成形品に関する。
ポリプロピレン樹脂は、価格が安く、成形性や耐薬品性、加工成形性、耐水性、熱特性などの特性を有するため、シートやフィルム、自動車の内外装材、各種成形体などの汎用樹脂として用いられている。
ところが、ポリプロピレン樹脂は、結晶性が高く、表面エネルギーが低く、非極性を示すため、アクリル樹脂やウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂などの極性を有する樹脂又は塗料等との親和性が殆どないから、異種の樹脂又は塗料を用いた塗装、接着及び印刷などに困るという問題点がある。
かかる問題点を解決するために、(1)基材の改良:基材表面を放電処理や火炎処理、酸処理などの前処理を施す方法で基材の表面に極性基を導入する方法、(2)塩素化樹脂の使用:基材に似た構造又は基材との相溶性が高いポリプロピレン系樹脂に塩素を注入して溶解性及び極性を与えた樹脂を使用する方法、(3)低分子ゴム状ポリプロピレンの使用:基材に似た構造又は基材との相溶性が高い低分子量可溶性ポリプロピレン系樹脂にマレイン酸やフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸などをグラフトさせて極性を与えた酸変性樹脂を使用する方法で塗装を行っている。実際は、(1)方法のみでは接着力が足りないため、前記(2)と(3)の方法を同時に使用する場合が多い。
ところが、前記の塗装方法(1)は、前処理過程が工程を複雑にし、設備、エネルギーの過多使用、生産性低下などの問題を誘発しており、方法(2)の塩素化樹脂は、アイソタクチック連鎖のモル分率L値がほぼ1である高強度のポリプロピレン系の樹脂に極性及び溶解性の付与のために塩素を注入した樹脂であって、1960年代以降から長期間にわたって使用されてきたが、塩素の存在による使用者、作業者及び環境への悪影響を及ぼしており、塗装品の熱安定性又は耐候性を低下させ、塗装品の廃棄の際には環境ホルモンを発生させるという問題点をもっている。
また、方法(3)は、方法(2)における塩素を除去した技術であって、塩素を除去したという利点はあるが、ゴム状の低分子量ポリオレフィン樹脂は、耐スクラッチ性及び接着力を低下させ、タック性の発生により塗装体の不純物付着などの問題を発生させる。また、耐スクラッチ性及びタック性の改良のために結晶性の高い樹脂又は高分子量樹脂を用いることは、塗料の安定性及びスプレー性を低下させ、結晶化の速度を遅延させて塗装体の表面が粗くなる、或いは埃などの発生によりスプレー器が詰まるなどの問題を発生させる。タック性を抑制する方法としては有無機の核剤を使用する方法があるが、核剤の使用は工程を複雑にし、形成された塗膜の透明性を低下させ、核剤の表面析出などの問題点を発生させている。
したがって、市場では、塩素又は核剤を含有せず、耐スクラッチ性及び付着性が高く、タック性を発生させず且つスプレー器によって塗装可能な樹脂組成物が求められている。
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ポリオレフィン樹脂などの非極性基材、特にポリプロピレン基材への付着性、耐スクラッチ性及びスプレー性に優れるうえ、タック性が低く且つ塗装表面の結晶化速度が速い塗料用ポリプロピレン系樹脂組成物、及び前記樹脂組成物から製造された樹脂成形品を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一様態は、重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である高分子量ポリプロピレン系樹脂(A)35〜65重量%と;重量平均分子量が10,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である低分子量ポリプロピレン系樹脂(B)30〜60重量%と;重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75である高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂(C)0.1〜5.0重量%とを含んでなる、塗料用樹脂組成物を提供する。
式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。
本発明の他の様態によれば、前記塗料用樹脂組成物を用いて製造された塗料成形品を提供する。
本発明の別の様態によれば、重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70であるポリプロピレン系樹脂を提供する。
式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。
本発明のさらに別の様態によれば、重量平均分子量が10,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70であるポリプロピレン系樹脂を提供する。
式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。
本発明のさらに別の様態によれば、重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75であるポリプロピレン系樹脂を提供する。
式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。
本発明に係る塗料用ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン基材の放電処理や火炎処理、酸処理などの複雑な工程を経ることなく、塩素を含有しなくてもスプレー塗装が可能であり、耐スクラッチ性及び接着性に優れるうえ、タック性を有しないという優れた効果がある。
一般に、ポリプロピレン系樹脂を用いた塗料用材料は、オレフィン製造用触媒、触媒の特性を用いた異種結合の数、樹脂1次構造の末端状態、溶融粘度(MFR)、1次構造の結晶性を示すメソペンタッド分率[mmmm]、樹脂の溶媒抽出時の溶解程度、分子量分布、異種単量体との共重合程度、その他の極性樹脂との共重合、又は物性などで権利化されている。ところが、基材としてのポリプロピレン樹脂との接着力のための必須成分である塗料用ポリプロピレン系樹脂の特性を示していない。メソペンタッド分率[mmmm]は、ポリプロピレンの結晶性、塗装性及びその他の物性を示す尺度として時々用いられている。
ポリプロピレン系樹脂のペンタッド分率は、5つの隣接するメチル基の位置に応じて変化する13C−NMRのスペクトルを%で示すものである。メソペンタッド分率[mmmm]は、樹脂の結晶性を示す尺度として使用している。メソペンタッド分率[mmmm]が高ければ、高結晶性であって、基材接着性は高くなるが、流動性を低下させる傾向があり、メソペンタッド分率[mmmm]が低ければ、低結晶性であって、流動性は向上するが接着力が低下し、タック性を誘発させる傾向があるが、メソペンタッド分率[mmmm]がポリプロピレン系樹脂の結晶性を示す絶対的な尺度ではない。
Collette教授研究チームは、ポリプロピレンが結晶性を有するためにはアイソタクチックのモノマー連鎖を少なくとも14〜18個必要とすると発表した(Macromolecules, Vol.22, No.10, 1989)。したがって、アイソタクチックのモノマー連鎖分率[mmmm]はポリマーの立体規則性を椎量するパラメータとして使用しているが、結晶性を判断するには不完全なパラメータである。なぜならアイソタクチックのモノマー連鎖分率[mmmm]で表現される5つのアイソタクチック連鎖が幾ら多くても、これらが連続しなければ結晶性を有せず、ポリプロピレン基材との相溶性が低下し、共結晶を形成することが難しいので、接着力が弱くなる。メソペンタッド分率が90%以上の高結晶性樹脂は、その偏差が少ないが、メソペンタッド分率が低ければ低いほど偏差が大きくなり、塗料用ポリプロピレン系樹脂の設計には適さなくなる。
塗料用ポリプロピレン系樹脂の場合、樹脂の溶解度又は各種物性の尺度として、13C−NMRから得られるメソペンタッド分率[mmmm]を共に用いることが多く、場合によっては、プロピレン重合の際に触媒の特性に現れる異種結合数などを尺度として使用しているが、これは塗料用材料の樹脂設計の尺度としては適さないといえる。
数式1は凝固点降下の式を変形した式であって、Lは通常溶液中の溶媒のモル分率を示す。アイソタクチックポリプロピレンは、半結晶性樹脂であって、結晶部(アイソタクチック)と非結晶部(アタクチック)が混在する樹脂である。アイソタクチックポリプロピレン系樹脂は、非結晶性のアタクチック連鎖が結晶性アイソタクチック連鎖中に混合されていると想定することができる。ポリプロピレン系樹脂は、高分子連鎖構造中の異種の単量体部分はアタクチックであり、ポリプロピレンの連鎖部分はアイソタクチックに結晶性を有していると想定することができる。
ステレオブロックポリプロピレン又はポリプロピレン系樹脂のアタクチック連鎖を溶質、アイソタクチック連鎖を溶媒とすると、結晶が完全に溶解している試料の融点における溶媒のモル分率は、言い換えれば、ステレオブロックポリプロピレン又は樹脂のアイソタクチック連鎖のモル分率を示す。したがって、L=1.0であれば、そのポリプロピレンは、完全なアイソタクチックポリプロピレンであり、Lが1.0に近接するほど、結晶性の高いアイソタクチック連鎖を多く含有するステレオブロックポリプロピレンになり、0に近くなると、ゴム状に近いポリプロピレン系樹脂になる。本発明では、式中のLを「アイソタクチック連鎖のモル分率」と呼ぶ。本発明において、アイソタクチック連鎖のモル分率L値は、重合されたそれぞれのポリプロピレン系樹脂を酸変性(例えば、無水マレイン酸変性)する以前の値を示す。
本発明によれば、(A)アイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70の高分子量ポリプロピレン系樹脂、(B)アイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70の低分子量ポリプロピレン系樹脂、及び(C)アイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75の高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂を酸変性して得られた塗料は、既存の塩素化樹脂塗料に比べて塗料適性に優れた。
本発明によれば、重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である高分子量ポリプロピレン系樹脂(A)35〜65重量%と;重量平均分子量が10,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である低分子量ポリプロピレン系樹脂(B)30〜60重量%と;重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75である高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂(C)0.1〜5.0重量%とを含んでなる、塗料用樹脂組成物を提供する。
式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。
次に、本発明の塗料用樹脂組成物の構成である樹脂<A>、<B>、<C>について説明する。
高分子量樹脂<A>の重量平均分子量は100,000〜300,000であることが好ましい。重量平均分子量が100,000未満であれば、接着力が低下し或いはタック性が発生するので好ましくなく、重量平均分子量が300,000超過であれば、塗料の安定性が低下し或いはスプレー性が低下して不均一な塗膜を得るので好ましくない。
高分子量樹脂<A>の含量は35〜65重量%であることが好ましい。樹脂<A>の含量が35重量%未満であれば、接着性、耐スクラッチ性及び付着性が低下し、樹脂<A>の含量が65重量%超過であれば、スプレー性及び塗料安定性が低下する。ここで、含量は重合された樹脂<A>を酸変性した後、組成物における含量を示し、以下でも同様である。
低分子量樹脂<B>の重量平均分子量は10,000〜50,000であることが好ましい。重量平均分子量が10,000未満であれば、塗料の安定性は極めて良くなるが、タック性発生の原因となり、塗膜の耐熱性が低下するので好ましくなり、50,000超過であれば、樹脂成分<A>の含量増加を意味し、塗料の流動性低下によりスプレー性が低下して不均一な塗膜を得るので好ましくない。樹脂<B>の溶融粘度が低ければ、タック性が発生し或いは接着力が低下し、 樹脂<B>の溶融粘度が高ければスプレー性が低下して均一な塗装体を得ることが難しい。
低分子量樹脂<B>の含量は30〜60重量%であることが好ましい。低分子量樹脂<B>の含量が30重量%未満であれば、塗料の安定性及びスプレー性が低下し、 低分子量樹脂<B>の含量が60重量%超過であれば、安定性及びスプレー性は良好になるが、タック性が発生し、塗装体の耐熱性及び接着力が低下する。
低分子量高結晶性樹脂<C>の含量は0.1〜5.0重量%であることが好ましい。低分子量高結晶性樹脂<C>の含量が0.1重量%未満であれば、塗装後の塗膜の結晶化速度が低下して塗装後の小さいストレスでも剥離が起こり或いは耐スクラッチ性が低下し、5.0重量%超過であれば、塗料の安定性が低下し或いは埃発生の原因になるので好ましくない。
低分子量高結晶性樹脂<C>の重量平均分子量は5,000〜50,000であることが好ましい。重量平均分子量が5,000未満であれば、結晶化材としての充分な物性を示さず、重量平均分子量が50,000超過であれば、溶け難く、埃が発生し、或いは塗料の安定性などが低下するので好ましくない。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物に含有される高分子量ポリプロピレン(A)及び低分子量ポリプロピレン(B)は、通常のプロピレンから誘導される構造単位のみから構成されることが好ましいが、20モル%未満の異種単量体から誘導される構造単位を含有することができる。ところが、異種単量体が20モル%以上含有されると、ポリプロピレン基材との付着性が低下し、或いはそれぞれのHOMO樹脂の存在で埃が発生し且つ安定性が低下するので好ましくない。
本発明の高結晶性ポリプロピレン系樹脂(C)も、プロピレンから誘導される構造単位のみから構成されることが好ましいが、5モル%未満の異種単量体から誘導される構造単位を含有することができる。ところが、異種の単量体が5モル%以上含有されると、表面の結晶化速度が低下して塗装面がタック性を有し、或いは塗膜の結晶化速度が低下して塗装直後の接着力に劣るので好ましくない。
前記異種の単量体としては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセンなどのa−オレフィン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸(versatic acid)ビニルなどのビニルエステル類;及びビニルエステル類を塩基性化合物などで鹸化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられるが、これらの混合物を使用してもよい。これらの中でもエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましく、これらは2種以上共重合されて使用できる。
前記<A>、<B>、<C>樹脂それぞれの物性差と特性に基づいて酸変性することで得られた樹脂組成物を最適化することにより、付着性及びスプレー性が良好である、タック性がない且つ結晶化速度が速いポリプロピレン塗料用樹脂の発明を完成した。
本発明の樹脂<A>、<B>、<C>は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Mw/Mn)が5以下、好ましくは4以下である。分子量分布(Mw/Mn)が5を超過すると、樹脂の不均一による塗装体の埃発生又はスプレーガンの詰まり、塗料の安定性低下が起こるおそれがある。
ポリプロピレン基材上に変形プロピレン系樹脂を塗布することにより塗装力を与えるためには、塗料用樹脂は結晶を形成することが可能なアイソタクチック連鎖のモル分率Lを有することが必須条件である。本発明者は、モノマー連鎖分率[mmmm]では表現することができない結晶性を有することが可能なアイソタクチック連鎖長を、塗料用樹脂として使用しうるポリプロピレン系樹脂に対して正確に表現することが可能なパラメータを確立し、これを数式1に示した。
数式1において、アイソタクチック連鎖のモル分率Lは、示差走査熱量測定(DSC)を行って得たポリマーの融点を使用した。完全結晶の融点T 、結晶可能なユニット1mol%当たりのエンタルピーのΔHυ値は文献[T.M.Madkuor, J.E.Mark, Macromol. Theory Simul., 7, 69(1998)]を参考としてそれぞれ461K、8.79kJ/molを使用した。
組成物における異種単量体の含量が20モル%以上、アイソタクチック連鎖のモル分率Lが0.30以下の場合には、スプレー性は良好であるが、接着力の低下、タック性の発生などにより充分な性能を期待することができない。ポリプロピレン系樹脂を使用する理由は、基材として用いられているポリプロピレンは数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率Lが殆ど1のポリマーであって、プロピレンの含量が高いポリプロピレン系樹脂以外には相溶性が悪いためである。
ポリプロピレン基材とポリプロピレン系樹脂を用いた塗料との接着メカニズムは、塗料塗布後の熱処理、溶媒による基材表面の侵食などによる基材表面と塗料のプロピレン連鎖間の共結晶(アンカーラメラ)形成であると知られている。アイソタクチック連鎖のモル分率Lが大きければ、ポリプロピレン基材との接着力は向上するが、溶解性が悪く、アイソタクチック連鎖のモル分率Lが小さければ、溶解性は高いが、接着性が悪く、タック性や耐スクラッチ性などの塗膜物性も悪い。
日本特開2003−41074号では、アイソタクチック連鎖のモル分率Lが0.76以上の高分子量のステレオブロックポリプロピレンを、モル分率Lがほぼ1に近い廃棄ポリプロピレンとブレンドした結果、ブレンド物の機械的特性が向上したと開示している。
これはステレオブロックポリプロピレンとポリプロピレンの相溶によるものであり、2つのポリマーが有するアイソタクチック連鎖が共結晶を形成することによりラメラの長周期が大きくなったと解釈することができる。アイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.76以上のプロピレン系樹脂は、沸点100℃以下の脂肪族溶媒にはよく溶けないか、或いは室温における安定性が悪いので、塗料用樹脂としての使用は困難である。
このような樹脂組成物は、ポリプロピレン素材への接着力を有するが、非極性を示すので、塗料の分散又は極性素材との接着力は有しないので、極性を与えなければならない。オレフィン樹脂への極性付与方法は、以下の2つの公知の方法が用いられている。
第一、分子内のカルボキシル基又は無水酸基を含有する不飽和化合物と前記ラジカル開始剤を溶融されたオレフィン樹脂にそれぞれ攪拌しながら添加して変形する方法である。
第二、オレフィン重合体に有機溶媒を添加して分散させ或いは融解させてカルボキシル基または無水酸基を含有する不飽和化合物と前記ラジカル開始剤を添加して変形する方法である。
第一の方法は、酸変性が不均一で高温反応による不規則な反応や架橋反応などで不純物が多く、着色、臭いが激しくて塗料用製品としては適さない。本発明におけるポリプロピレン系樹脂の酸変性は、反応が均一で未反応物の除去が容易な有機溶媒を用いる第二の方法を採用する。
不飽和カルボン酸単位は不飽和カルボン酸またはその無水物によって導入される。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸など、不飽和ジカルボン酸のハフエステル、ハフアミドなどのように分子内(モノマー単位内)に1つ以上のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物を使用することもできる。その中でも、ポリオレフィン樹脂への導入が容易であるという観点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸単位は、ポリプロピレン樹脂中に共重合でき、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などになれる。ポリプロピレン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取ることが容易であり、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部又は全部が開環してカルボン酸又はその塩の構造となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位をポリプロピレン樹脂に導入する方法は、特に限定されないが、例えば、ラジカル開始剤の存在下でポリプロピレン樹脂と不飽和カルボン酸をポリプロピレン樹脂の融点以上で加熱溶融して反応させる方法や、ポリプロピレン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法などによってポリプロピレン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法を例示することができる。
分子内にカルボキシル基又は無水酸基を含有する不飽和化合物は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部を使用することができる。
ラジカル開始剤の具体的例は、次のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シトロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレート及び2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)などのペルオキシケタールジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、a,a−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルペルオキシド、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド及びm−トルイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチル−ペルオキシイソフタルレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート及びクミルペルオキシオクトエートなどのペルオキシエステル、並びにt−ブチル−ヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼン、ヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシドである。また、例示したラジカル開始剤を単独で或いは組み合わせて使用することができる。前記ラジカル開始剤は、前記カルボキシル基又は無水酸基100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部を使用する。
本発明の塗料用樹脂組成物を塗料として用いるために、水又は適宜の有機溶剤を樹脂分散溶媒として使用することができる。好ましくは、分散溶媒は塩基性物質である。
使用可能な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリンなどを例示することができ、これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用することができる。
有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという観点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、これらの中でも水酸基を分子内に1個有する有機溶剤がより好ましく、少量の添加で樹脂を水性化することができるという観点からエチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましい。
本発明の塗料用樹脂組成物は、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子、ポリオールなどをさらに含むことができる。また、本発明の塗料用樹脂組成物は、必要に応じて硬化剤、レベリング剤、消泡剤、ポッピング防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤などの各種物質をさらに含むことができる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び反応性界面活性剤を例示することができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、4次アンモニウム化合物であって、炭素原子1〜約22個の脂肪族基又はアルキル鎖の炭素原子1〜約22個の芳香族アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選ばれた反応基と、ハロゲン、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩及びアルキル硫酸塩から選ばれた基から得られた塩形成アニオンである。脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、エステル結合及びアミノ基などの他の基を含有してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸及びその塩、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの高級カルボン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ビニルスルホコハク酸塩などを挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体などを挙げることができる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシドなどを挙げることができる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロフェニルフェノールポリエチレンオキシド付加物またはこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキシド付加物またはこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレノキシド付加物またはこれらの硫酸エステル塩などの、反応性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
本発明の塗料用樹脂組成物を用いて塗料を形成することができ、このような塗料をポリプロピレン基材に塗布して積層体を形成することができる。本発明に係る塗料は、ポリプロピレン基材の放電処理や火炎処理、酸処理などの複雑な工程を経ることなく、塩素を含有しなくてもスプレー塗装が可能である。
本発明の塗料を基材に塗布する方法は、特に限定されるものではないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ブラシコーティングなどを採用することができる。印刷方法としては、グラビア印刷、孔版印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷、インクジェット印刷、スクラッチ印刷、フリースロー印刷、パッド印刷、フォーム印刷、ラベル印刷などを例示することができる。
本発明に係る塗料は塗布量を適切に調節して使用可能であり、塗布量を適宜に調節するためには、コーティングに使用する装置またはその使用条件を適切に選択することに加えて、目的とする塗膜の厚さに適した濃度、粘度に調節して使用することが好ましい。
本発明に係る塗料の乾燥は、特に限定されないが、0〜250℃程度の広い温度範囲で行うことができ、基材の耐熱性が充分に高くない場合には0〜200℃程度がより実用的である。また、乾燥時間は、乾燥温度や塗膜の厚さなどによって異なり、特に限定されないが、通常、5秒〜120分の範囲とすることができる。50〜150℃の温度であれば5秒〜3分程度、室温であれば30分〜120分程度で良好な塗膜が得られる。このように、本発明の塗料は比較的低温でも良好な塗膜(積層体)を形成することができる。
本発明の塗料を用いて積層体および成形品を提供する。本発明の塗料を用いることにより、耐スクラッチ性及び接着性に優れる、タック性を有しない優れたプロピレン系積層体及び成形品を提供することができる。
以下、実施例を具体的に説明する。ところが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ポリプロピレン系樹脂の製造
本実施例で使用したポリプロピレン系樹脂は、以下のように重合した。多様な分子量を有するポリプロピレン系樹脂を得るための重合触媒としては、均一/不均一触媒の3種類を用いた。不均一触媒は、TiCl/AlEtCl(E.Albizzati, Macromol. Symp.89.73(1995))と、Shinなどが下記に例示したポリプロピレン系樹脂の物性検討のために使用したクロム系触媒を用いた("Stepwise polymerization of propylene and ethylene with Cr(acethylacetonate)3/ MgCl2-ethylbenzoate/ diethylaluminium chloride catalyst system" Yong-Woo Shin, Hisayuki Nakatani, Toshiya Uozumi, Boping Liu, Tsuneji Sano, Koh-hei Nitta, Minoru Terano, Polymer Inter International, 2003, 52, 29-34.)。
メタロセン系触媒の製造は、Waymouth等の方法(G. Coates and R.M. Waymouth, Science, 267, 217(1995), E. Hauptman, R. M. Waymouth and W. J. Ziller, L. Am. Chem. Soc., 117, 11586(1995), M. D. Bruce, G. W. Caotes, E. Hauptman, R. M. Waymouth and J. W. Ziller, J. Am. Chem. Soc., 119, 11174(1997))に基づいて、ビス(2−フェニリンデニル)−ジルコニウムジクロライド(bis(2-phenylindenyl)-zirconium dichloride)及びビス(2−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)インデニル)−ジルコニウムジクロライド(bis(2-(bis-3,5-trifluorom-ethylphenyl)indenyl)-zirconium dichloride)を合成した。
これら触媒を用いて分子量の制御のために水素を導入し、或いは重合温度、モノマー濃度を調節して重合条件を変化させながら多数のポリプロピレン系樹脂を重合した。
重合は、窒素置換した3Lのオートクレーブに室温(25℃)でトルエン0.4L〜1Lと有機アルミニウム(東ソーアクゾ製)を添加した。低分子量ポリプロピレンの重合では水素を添加し、一定量のプロピレンガスを導入した後、共重合では異種のモノマーをゆっくり添加し、所定の触媒/外部ドナー−トルエン溶液を添加して所定の温度に昇温させた後、反応させた。1〜6時間反応させた後、エタノールを導入して重合を停止した。得られた反応物をエタノール−塩酸溶液内に導入して生成されたポリマーを析出させ、溶媒と樹脂を分離し、得られた樹脂を減圧乾燥器で7時間乾燥させることにより、ポリプロピレン系樹脂を得た。各ポリプロピレン系樹脂を表1にまとめた。
次に、ポリプロピレン系樹脂におけるメソペンタッド分率とアイソタクチック連鎖のモル分率Lを比較して、本発明の指標Lの有効性について説明する。
本発明のために重合したポリプロピレン系樹脂の多様な立体規則性、分子量及び溶融粘度を有するポリプロピレン樹脂に対してそれらのメソペンタッド分率[mmmm]とアイソタクチック連鎖のモル分率Lを比較したものを表2に示す。
分子量及び分子量分布は、SSC−7700 HT−GPC(千秋科学株式会社製)を用いて得た。測定は、溶媒としてo−ジクロロベンゼン、標準試料としてポリスチレンを用いて140℃で行った。
アイソタクチック連鎖のモル分率LはDSC820(METTLER株式会社製)を用いた。測定は、20〜220℃の範囲で20℃/minの昇温速度にて行って得られた値を用いて算出することにより行った。
また、ポリプロピレンのメソペンタッド分率[mmmm]は、13C−NMRを測定し、9個に分離されているメチル炭素領域のピークから求められる。ピークのアサインは文献[V. Busico, P. Corradini, R. D. Biasio, L. Landeiani, A. L. Maro, Vol.27, 4521-4524(1994)]の記載方法に基づいて行った。
表2より、全体的にメソペンタッド分率[mmmm]が高ければ、アイソタクチック連鎖のモル分率Lも高くなる傾向を示すようであるが、そのような傾向を示さないプロピレン樹脂が存在することが分かる。例えば、Run2はメソペンタッド分率が55、L値が0.71であり、Run3はメソペンタッド分率が52、L値が0.74であって、Run2のメソペンタッド分率は高いがRun2のL値は低いことが分かる。また、Run6はメソペンタッド分率が52、L値が0.47であり、Run7はメソペンタッド分率が62で10%も高いが、L値は0.45であってRun6のL値より低いことが分かる。
重合されたポリプロピレン系樹脂の無水マレイン酸変性
温度計及び攪拌棒を設置し且つキシレン500gを注入した3Lのステンレス反応器に表1の共重合体100gを導入し、140℃まで昇温させて溶解させた後、無水マレイン酸15g、ベンゾイルペルオキシドトルエン溶液10g(10wt%)を3時間にわたってゆっくり滴下し、さらに3時間反応を行った。反応終了の後、反応溶液をアセトン2Lに滴下させて結晶化させた後、3回洗浄・乾燥させて酸変性ポリプロピレン系樹脂を得た。
酸変性樹脂の酸量の定量はNicolet iS10 FT−IR Spectrometerを用いて透過法で測定した。Michelson Interferometerを用いて時間支配スペクトルとしてのInterferogramを得た後、これをFourier変換させて周波数支配スペクトルを得る方法である。FT−IRは、既存のDispersive IRに比べてスペクトルを得る時間と感度の面で多くの利点を持っているため、NMRなどの他の分光法と補完的な役目をしている。
それぞれのスペクトル(Scans:32、resolution:4cm−1)を測定した結果、1785cm−1と1167cm−1でそれぞれマレイン酸のカルボニル基及びポリプロピレンのCHに由来したピークが検出された。
得られた2つのピークの面積をそれぞれ算出した後、文献を参考して以下の式を用いてマレイン酸変性率に該当するCI(Carbonyl Index)を算出した。また、酸変性ポリエチレンは1783cm−1と1378cm−1でそれぞれマレイン酸のカルボニル基及びポリエチレン主鎖の末端CH由来のピークが検出された。文献を参考として以下の算出式を用いて酸変性率を算定した。
*酸変性ポリプロピレン系樹脂
1785:マレイン酸のカルボニルピーク面積
1167:ポリプロピレンのCHピーク面積
各酸変性樹脂の計算結果を表3に示した。
表3より分かるように、各成分は表2を参考し、Run3はアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.77とあまり高く、Run8は分子量が360,000とあまり高く、Run10はL値が0.27とあまり低く、Run16は分子量が120,000とあまり高いため、これらのRun3、8、10及び16は比較例を示す。
実施例1
攪拌器及び温度計を備えた四口フラスコに溶媒としてメチルシクロヘキサン:メチルエチルケトン=9:1の混合溶媒56gを導入した後、表3の成分A−1樹脂5.0g、B−1樹脂4.7g及びC−1樹脂0.3gを導入し、70℃で4時間溶解させた後、室温に復帰させるもので、ポリプロピレン高粘度塗料用樹脂分散物を得た。塗料用樹脂分散物を25℃でフォードカップNo.4によって測定した値が13±1秒となるようにヘキサン:メチルエチルケトン=9:1の混合溶媒で希釈して塗料用樹脂組成物を得た。
実施例2
表3のA−2樹脂5.5g、B−2樹脂4.8g及びC−2樹脂0.2gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例3
表3のA−4樹脂6.5g、B−1樹脂3.1g及びC−4樹脂0.4gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。

実施例4
表3のA−5樹脂4.4g、B−5樹脂5.5g及びC−2樹脂0.1gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例5
表3のA−1樹脂5.5g、B−6樹脂4.4g及びC−2樹脂0.1gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例6
表3のA−5樹脂3.6g、B−2樹脂6.0g及びC−1樹脂0.4gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例7
表3のA−4樹脂4.5g、B−2樹脂5.4g及びC−1樹脂0.1gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例8
表3のA−1樹脂5.4g、B−6樹脂4.5g及びC−4樹脂0.1gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
実施例1〜実施例8に使用された各樹脂の成分及び配合比をまとめて表4に示す。
比較例1
表3のA−1樹脂10g(単独)に変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例2
表3のB−1樹脂10g(単独)に変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。

比較例3
表3のC−1樹脂10g(単独)に変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例4
表3のA−2樹脂5g及びB−2樹脂5gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例5
表3のA−3(比)樹脂9.5g及びC−2樹脂0.5gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例6
表3のB−6樹脂9.5g及びC−4樹脂0.5gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例7
表3のA−1樹脂5g、B−1樹脂4.7g及びC−3(比)樹脂0.3gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例8
表3のA−1樹脂5g、B−4(比)樹脂4.7g及びC−1樹脂0.3gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例9
表3のA−3(比)樹脂5g、B−2樹脂4.7g及びC−1樹脂0.3gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例10
表3のA−2樹脂5.5g、B−4(比)樹脂4.8g及びC−3(比)樹脂0.2gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例11
表3のA−3(比)樹脂5.4g、B−4(比)樹脂4.5g及びC−5(比)樹脂0.1gに変更した以外は実施例1と同様にして塗料用樹脂組成物を得た。
比較例1〜比較例11に用いられた各樹脂の成分及び配合比をまとめて表5に示す。
評価及び結果
塗料用樹脂組成物の安定性評価
実施例1〜8、比較例1〜11で得られた塗料用樹脂組成物30gを透明なガラス瓶に入れ、5℃と40℃のそれぞれの条件で10日間静置して溶液状態を評価した。10日硬化の後、室温でさらに24時間静置して得た樹脂組成物溶液に対してフォードカップ測定値が13±3秒未満であればガラス壁面に付着物がなく、透明であれば良好、フォードカップ測定値が13+3秒以上であれば増粘、サンプルが不透明であり或いはガラス壁面に不均一付着物が存在すれば埃発生と評価した。
塗料用樹脂組成物のスプレー性評価
岩田塗装機(W−101)を用いて霧化圧4kg/cmで実施例1〜8、比較例1〜11のそれぞれのサンプルを塗布し、霧化になり且つ得られた塗膜が均一であれば◎、霧化は可能であるが得られた塗膜が不均一であれば△、霧化にならなければ×と表示した。
塗膜の耐スクラッチ性評価
ポリプロピレン角板(6×10cm)の表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた後の塗膜厚さが12μmとなるように実施例及び比較例それぞれの塗料を塗布し、80℃で20分間乾燥させた。乾燥した塗装体を24時間室温に静置した後、水と砂(50/50を塗膜に均一に摩擦させた後、塗膜の状態と光沢維持率から判定した。光沢維持率が80以上であれば◎、光沢維持率が70以上80未満であれば○、光沢維持率が60以上70未満であれば△、光沢維持率が60未満であれば×と表示した。
塗膜の接着力評価
ポリプロピレン角板(6×10cm)の表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた後の塗膜厚さが12μmとなるように実施例及び比較例それぞれの塗料を塗布し、80℃で20分間乾燥させた。乾燥した塗装体を24時間室温に静置した後、1×1mmのクロスカット100個を製造してセロテープ剥離実験を行って剥離数がなければ◎、剥離数が5/100未満であれば○、剥離数が5/100以上10/100未満であれば△、剥離数が10/100以上であれば×と表示した。
塗膜のタック性評価
ポリプロピレン角板(6×10cm)の表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた後の塗膜厚さが12μmとなるように実施例及び比較例それぞれの塗料を塗布し、80℃で20分間乾燥させた。乾燥した塗装体を1時間室温に静置した後、OPPフィルム(12×20cm)を塗装体の上部に置き、OPPの上端には重さ2kgの鉄板(12×20cm)を30分間放置した後、鉄板を90°の角度で持ち上げて下端のOPPが鉄板と共に上昇すると◎、OPPを動かして塗装体の動きが無ければ○、塗装体が動き或いはOPPから分離されなければ×と表示した。
塗膜の耐水性評価
ポリプロピレン角板(6×10cm)の表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、乾燥させた後の塗膜厚さが12μmとなるように実施例及び比較例それぞれの塗料を塗布し、80℃で20分間乾燥させた。乾燥した塗装体を24時間室温に静置し、40℃の水に10日間浸漬した後の塗膜にブリスターの発生がなければ◎、5×5cmの面積内にブリスターが5個以下であれば○、ブリスターの個数が20個以下であれば△、ブリスターの個数が20個以上であれば×と表示した。
表6を参照すると、実施例1〜実施例8は、本発明に係る塗料用樹脂組成物の安定性が良好であり、スプレー性に優れ、組成物を用いて製造された塗膜の耐スクラッチ性に優れるうえ、接着力、タック性及び耐水性が良好であると評価された。
比較例1は、高分子量の樹脂単独であって、霧化にならず塗膜が不均一であり、高温貯蔵性実験で増粘現象が現れた。比較例2は、低分子量の樹脂単独であって、溶液の安定性及びスプレー性には優れるが、その他の塗膜の物性は大きく低下した。
比較例3は、低分子量の高結晶性樹脂単独であって、低温貯蔵性実験で埃が多量発生し、塗膜が不均一なので接着力の低下が発生した。比較例4は、低分子量の高結晶性樹脂を含んでいないので、塗膜の結晶化速度が遅延して接着力及び耐水性の面で問題が発生した。
比較例5は、成分Aの分子量が大きいので増粘現象が現れ、スプレー性の面で問題が発生し、比較例6は、高分子量の樹脂(成分A)を含んでいないのでタック性の面で問題が発生し、比較例7は、成分Cのアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.77と高いので埃の発生量が多く、スプレー性が低下して得られた塗膜が不均一であった。
比較例8は、実施例1の成分Aと成分Cの含量は同一であるが、成分Bのモル分率L値が0.27と低い例であって、タック性及び耐スクラッチ性が大きく低下した。比較例9は、比較例5と同様に安定性とスプレー性の面で問題が発生した。比較例10は、成分Bのモル分率L値が小さく、成分CのL値が大きい例であって、塗料としての全項目で問題が発生した。比較例11は、比較例10と同様の結果を示し、溶液の増粘現象が現れた。
したがって、本発明に係る塗料用ポリプロピレン樹脂組成物を用いてポリプロピレン基材の放電処理や火炎処理、酸処理などの工程を経ることなく、塩素を含有しなくてもスプレー塗装が可能であり、耐スクラッチ性及び接着性に優れるうえ、タック性を有しない優れた効果があることを確認することができる。

Claims (17)

  1. 重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である高分子量ポリプロピレン系樹脂(A)35〜65重量%と;
    重量平均分子量が10,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70である低分子量ポリプロピレン系樹脂(B)30〜60重量%と;
    重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75である高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂(C)0.1〜5.0重量%とを含んでなる、塗料用樹脂組成物。
    (式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。)
  2. 前記高分子量ポリプロピレン系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  3. 前記高分子量ポリプロピレン樹脂(A)及び前記低分子量ポリプロピレン樹脂(B)それぞれは異種単量体から誘導される構造単位を20モル%未満で含有することを特徴とする、請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  4. 前記高結晶性低分子量ポリプロピレン系樹脂(C)は異種単量体から誘導される構造単位を5モル%未満で含有することを特徴とする、請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  5. 前記異種単量体はエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセンの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載の塗料用樹脂組成物。
  6. 前記組成物がラジカル開始剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  7. 前記ラジカル開始剤はペルオキシケタール、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、及びヒドロペルオキシドよりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載の塗料用樹脂組成物。
  8. 前記ラジカル開始剤はプロピレン樹脂に含まれたカルボキシル基または無水酸基100重量部に対して5〜50重量部であることを特徴とする、請求項6に記載の塗料用樹脂組成物。
  9. 前記組成物が水及び界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物に水及び有機溶剤の少なくとも1種の分散溶媒を含む塗料。
  11. 前記分散溶媒が塩基性物質であることを特徴とする、請求項10に記載の塗料。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物からなる層を基材に積層して得られることを特徴とする積層体。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物を用いて製造された塗料成形品。
  14. 重量平均分子量が100,000〜300,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.30〜0.70であるポリプロピレン系樹脂であって、
    前記樹脂は異種単量体から誘導される構造単位を20モル%未満で含有することを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂。
    (式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。)
  15. 前記異種単量体はエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセンの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項14に記載のポリプロピレン系樹脂。
  16. 重量平均分子量が5,000〜50,000、数式1におけるアイソタクチック連鎖のモル分率L値が0.70〜0.75であるポリプロピレン系樹脂であって、
    前記樹脂は異種単量体から誘導される構造単位を5モル%未満で含有することを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂。
    (式中、Tは樹脂の融点であり、T は完全結晶の融点、Rは気体定数、ΔHυは結晶可能なユニット1mol当たりの融解エンタルピー、Lはアイソタクチック連鎖のモル分率である。)
  17. 前記異種単量体はエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセンの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項16に記載のポリプロピレン系樹脂。
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