JP2005194481A - 変性ポリプロピレン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料、プライマー、粘着剤、接着剤、インキ、相溶化剤、反応性ポリマー等に有用であり、熱的安定性が高く、ポリプロピレンや極性材料に対する親和性が大きい変性ポリプロピレン組成物を提供。
【解決手段】(A)13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]の値が0.51〜0.88の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるシンジオタクチックポリプロピレンを変性した変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)(b1)ラセミダイアド分率[r]の値が0.12〜0.49の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるアイソタクチックポリプロピレン、及び/又は(b2)該アイソタクチックポリプロピレンを変性した変性アイソタクチックポリプロピレンからなり、(A)と(B)とを、(A)/(B)=99〜1/1〜99(重量比)の割合で含有してなる変性ポリプロピレン組成物。

Description

本発明は変性ポリプロピレン組成物に関し、さらに詳しくは、塗料、プライマー、粘着剤、接着剤、インキ、相溶化剤、反応性ポリマー等に有用であり、熱的安定性が高く、ポリプロピレンと極性材料に対する親和性が大きい変性ポリプロピレン組成物に関する。
ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンは、結晶性が高いことおよび無極性であることから、他の基材、例えば、アクリル樹脂や酢酸ビニル樹脂などの極性ポリマーとの親和性がほとんどない。そのため、これらの樹脂どうしのブレンド、塗装や接着、印刷が困難であるという問題がある。
この問題を解決するため、ポリマーの塩素化ならびにジカルボン酸無水物による変性に関して多くの検討がなされている。例えば、ポリプロピレン系樹脂を無水マレイン酸などのジカルボン酸無水物とグラフト共重合し、次いで塩素化することが提案されている(特許文献1参照)。
ところが、ジカルボン酸無水物で変性した塩素化ポリプロピレンは、塩素含量が多いとポリオレフィンに対する親和性が低下し、その結果、ポリオレフィンへの付着能が悪化する。一方、塩素含量が少ないと、溶剤に溶解して用いる場合、特に低温で固体の析出や流動性の低下といった、溶液性状の悪化をもたらす。
そのため、これらジカルボン酸無水物のような極性基を導入したポリマーであっても、主鎖の塩素化ポリマーに起因する上記のような問題が解決できない場合が多い。また今後は、塩素化工程ならびに塩素化ポリプロピレンは、環境面からも制約を受け使用しにくくなるものと予想される。
溶液性状を向上させるためにベースポリマーとして、ごく低分子量のアイソタクチックポリプロピレンを用いることが提案されている。
しかしながら、高立体規則性アイソタクチックポリプロピレン(例えば、特許文献2参照)は、通常たとえ低分子量であったとしても、溶剤への溶解度が不十分である。このため、保存安定性が悪く、保存中に固体が析出するので使用しにくい、塗装の表面平滑性が十分ではないなどの問題点がある。
そこで、溶剤への溶解度を向上させるために、ベースのポリオレフィンとして、エチレンとプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を用いることが検討されている。
ところが、これらの共重合体を用いると(特許文献3参照)、共重合体自身がポリプロピレンとの親和性が低いので、これを変性すると、さらにポリプロピレンとの親和性が低下し、十分な接着性を得るのが困難になることが多い。極性材料に対する親和性を高めるために変性量を多くすると、ポリプロピレンに対する親和性が著しく低下し、また、変性量が少ないと極性材料に対する親和性が不十分になってしまう。
上記のように、結晶性を有するアイソタクチックポリプロピレンを用いると、それが低分子量であっても塩素化ポリプロピレンの場合と同様に、溶剤に対する溶解度が十分でないため、プライマー等として用いると保存安定性や塗装の表面平滑性の面で問題が生じる。また、結晶性の問題を解決しようとして、プロピレン−α−オレフィン共重合体を用いると、保存安定性や塗装の表面平滑性は向上するものの、ポリプロピレン材料に対する親和性を犠牲にすることになる。
これらの問題を解決するために、本出願人は、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]の値が0.51〜0.88の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜400,000であるポリプロピレンを特定の変性剤で変性したシンジオタクチックポリプロピレン変性物を提案した(特許文献4参照)。
この変性ポリプロピレンを用いることにより、塗装時の表面性が良好で、しかもポリプロピレンならびに極性材料に対して良好な親和性をする材料を製造することができる。この材料は、シンジオタクチックポリプロピレンをベースとしているため、従来のアイソタクチックポリプロピレンよりも熱的安定性が高いという特徴をあわせ持っている。
しかしながら、その材料の有用性が認識されるにつれ、用途によっては、ポリプロピレンに対する親和性がさらに高い材料を求められるようになったが、このような要求を満たす変性ポリプロピレンは開発されていない。
特開2002−20674号公報 特開平11−100412号公報 特開2002−173514号公報([0040]〜[0043]) 特願2002−191288号
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、ポリプロピレンに対し非常に高い親和性を有し、さらに極性材料に対する親和性も有し、しかもプライマー等に使用した場合、熱安定性、保存安定性や塗装後の表面性が高い変性ポリプロピレン組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、結晶性シンジオタクチックポリプロピレンを含まない可溶性のシンジオタクチックポリプロピレン、即ち、ラセミダイアド分率[r]が0.51〜0.88の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000のポリプロピレンを変性した可溶性シンジオタクチックポリプロピレンの変性物と、結晶性アイソタクチックポリプロピレンを含まない可溶性のアイソタクチックポリプロピレン、即ち、ラセミダイアド分率[r]が0.12〜0.49の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000のポリプロピレン及び/又はその変性物を用いることにより、上記の課題を解決出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(A)13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]の値が0.51〜0.88の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるシンジオタクチックポリプロピレンを変性した変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)(b1)ラセミダイアド分率[r]の値が0.12〜0.49の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるアイソタクチックポリプロピレン、及び/又は(b2)該アイソタクチックポリプロピレンを変性した変性アイソタクチックポリプロピレンからなる変性ポリプロピレン組成物であって、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)アイソタクチックポリプロピレン及び/又は変性アイソタクチックポリプロピレンとを、(A)/(B)=99〜1/1〜99(重量比)の割合で含有してなることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、下記一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物のユニットから選ばれる少なくとも一種以上のユニットをポリプロピレン1分子鎖当り平均0.1〜500個含有することを特徴とする変性ポリプロピレン組成物が提供される。
Figure 2005194481
式中、RはH、又はC1〜10のアルキル基;RはOR、Cl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン、NR 又はR―NR 基;RはH、又は―COR基、nは0.1〜100である。ここで、RはH、又はハロゲンを有しうるC1〜10のアルキル基;アルキル置換基を有しうる芳香族基;−(CH)a−O−P(O)(OR、又は−(CH)a−O−P(O)(O)(O−(CH)b−N (a及びbは夫々1〜5の整数);Li、Na、又はKから選択されるアルカリ金属M;C5〜10の脂環式炭化水素;グリシジル基;R−COCR=CH;ROR;RSi(OR、或いはR―NCOを示し、また、RはC1〜10のアルキレン基若しくは−[(CH)q−O−]r−であり、q及びrは夫々1〜5の整数を示す。
Figure 2005194481
式中、RはH、若しくはC1〜10のアルキル基、又はCl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン;RはAr−X’、OCO−R、CHO、COR、CN、ピリジル基、ピロリドニル基、Si(OR、C1〜10のハロゲン化アルキル、ハロゲン、OR、OSOM或いはNH−CO−R、mは0.1〜100である。ここで、X’はR、OH、COOH、NH、CN、NO、C1〜10のハロゲン化アルキル、CH=CH、又はOCO−Rのいずれか、RはH、又はC1〜10のアルキル基、Mは前記のアルカリ金属である。
本発明の好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックプロピレン、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(2)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックプロピレン、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)が1.01〜7.0であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(3)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックプロピレンは、ラセミダイアド分率[r]値が0.55〜0.84のシンジオタクチックポリプロピレンの変性物であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(4)第1の発明において、(b1)アイソタクチックポリプロピレンのラセミダイアド分率[r]値が0.16〜0.45であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(5)第1の発明において、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、及び(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの割合が、(b1)/(b2)=1〜99/99〜1(重量比)であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(6)上記(5)において、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、及び(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの割合が、(b1)/(b2)=30〜70/70〜30(重量比)であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(7)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)アイソタクチックポリプロピレン及び/又は変性アイソタクチックポリプロピレンとの割合は、(A)/(B)=90〜10/10〜90(重量比)であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(8)上記(7)において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)アイソタクチックポリプロピレン及び/又は変性アイソタクチックポリプロピレンとの割合は、(A)/(B)=80〜30/20〜70(重量比)であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(9)第1の発明において、変性ポリプロピレン組成物は、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)(b1)アイソタクチックポリプロピレンからなることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(10)第1の発明において、変性ポリプロピレン組成物は、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンからなることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(11)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレン、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、常温におけるトルエンへの溶解度が5g以上であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(12)上記(11)において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレン、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、常温におけるトルエンへの溶解度が10g以上であることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(13)第1の発明において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンが、常温のIR測定において、870cm−1及び1022cm−1に吸収ピークが観測されないことを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(14)第1の発明において、(b1)アイソタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンが、常温のIR測定において、770cm−1、842cm−1及び998cm−1に吸収ピークが観測されないことを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(15)第2の発明において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物のユニットが、(メタ)アクリル酸、その誘導体、スチレン、その誘導体、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(16)第2の発明において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンの一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物のユニットが、(メタ)アクリル酸、その誘導体、スチレン、その誘導体、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(17)上記(16)において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンの一般式(1)のユニットが、(メタ)アクリル酸、又はその誘導体から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(18)上記(16)において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンの一般式(2)のユニットが、スチレン、又はその誘導体から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(19)上記(16)において、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレンのユニットが、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(20)第2の発明において、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物のユニットが、(メタ)アクリル酸、その誘導体、スチレン、その誘導体、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(21)上記(20)において、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの一般式(1)のユニットが、(メタ)アクリル酸、又はその誘導体から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(22)上記(20)において、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの一般式(2)のユニットが、スチレン、又はその誘導体から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(23)上記(20)において、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンのユニットが、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれるいずれかの変性剤に由来するものであることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(24)第2の発明において、(A)変性ポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、変性剤に由来するユニットがポリプロピレン1分子鎖当り平均0.2〜250個結合していることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(25)上記(24)において、(A)変性ポリプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、変性剤に由来するユニットがポリプロピレン1分子鎖当り平均0.5〜100個結合していることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
(26)第1又は2の発明に係わる変性ポリプロピレン組成物を含んでなる接着剤、インキ、塗料、プライマー、シーリング剤、表面改質剤、コーティング剤、粘着剤、反応性ポリマー、または相溶化剤。
本発明の変性ポリプロピレン組成物は、特定の変性シンジオタクチックポリプロピレンと、特定のアイソタクチックポリプロピレン及び/又はその変性物とを特定の割合で含有するため、ポリプロピレン系材料や極性材料に対する親和性、熱的安定性、及び溶剤に対する溶解性のバランスが優れており、接着剤、インキ、塗料、プライマー、シーリング剤、表面改質剤、コーティング剤、粘着剤、反応性ポリマー、または相溶化剤などとして優れた性能を発揮する。
以下、本発明の変性ポリプロピレン組成物について各項目毎に詳細に説明する。
1.シンジオタクチックポリプロピレン
本発明の変性ポリプロピレン組成物は、変性シンジオタクチックポリプロピレンを含有し、そのベースポリマーとして、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]の値が0.51〜0.88の範囲にあるシンジオタクチックポリプロピレンが用いられる。
尚、ラセミダイアド分率[r]の値は、当業者に周知の方法、即ち13C−NMRで測定した立体規則性の構造に起因するピーク強度の積分値から得ることができる。
シンジオタクチックポリプロピレンのラセミダイアド分率[r]値は、0.51〜0.88の範囲にあるが、本発明においては、ラセミダイアド分率[r]値は0.55〜0.84が好ましく、特に0.60〜0.84であるものが好ましい。ラセミダイアド分率[r]値が0.51以上であれば熱的安定性が高く、一方、0.89より小さいものを選択すれば有機溶剤に対する溶解性が向上する。
また、このシンジオタクチックポリプロピレンは、IR吸収スペクトル(室温)のピークが870cm−1、1022cm−1のいずれの位置にも観測されない。これらのピーク位置は、シンジオタクチックポリプロピレンの結晶部に由来する特徴的なピークであるから、本発明に係わるシンジオタクチックポリプロピレンは結晶部を有さないことを意味する。ただし、これらIRの吸収ピークは、測定条件や機器によって多少シフトすることがある。
本発明に係るシンジオタクチックポリプロピレンは、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]値が0.51〜0.88の範囲にあれば、エチレン、α−オレフィンまたはジオレフィン等のコモノマーを10モル%未満含有しても良い。α−オレフィンとしては、炭素数4〜8のオレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ジオレフィンは、炭素数4〜14のジオレフィン、例えば、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等が挙げられる。
コモノマーが10モル%以上含まれると、ポリプロピレン系材料に対する親和性が低下する。ポリプロピレンに対して充分な親和性をもたせるには、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。
本発明に係るシンジオタクチックポリプロピレンは、重量平均分子量(Mw)が5,000〜500,000であることが好ましく、特に10,000〜200,000が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.01〜10.0、好ましくは1.01〜7.0、特に好ましくは1.01〜3.0である。
なお、本発明に係るシンジオタクチックポリプロピレンは、常温においてトルエンに対する溶解度が5g以上、より好ましくは10g以上の可溶性ポリプロピレンである。
トルエンに対する溶解度とは、溶媒であるトルエン100g中に溶けている溶質であるポリプロピレンのグラム数である。この溶解度を決定するのに、一般には、常温(25℃)で過剰の溶質を溶媒に加え、完全に飽和するまで溶解させる。次に、この溶液の一定量を正確に測り、溶媒を完全に飛ばしたのち、残りを測る。そして、溶媒であるトルエン100g中の溶質ポリプロピレンのグラム数を求める。
13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]値が0.51〜0.88の範囲にあるシンジオタクチックポリプロピレンの製造方法としては、ラセミダイアド分率[r]値をこの範囲内に収めるうる製造方法であれば、特に限定されない。
通常は、均一系の金属錯体触媒を用い、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;或いはTHF等の溶剤中でプロピレンを重合する。
均一系の金属錯体触媒とは、有機金属化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒であるか、酸素、窒素等のヘテロ原子を含む有機化合物と遷移金属からなる金属錯体であり、例えば、
(i) バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒、
(ii) チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つを有する化合物と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
(iii) 二架橋性メタロセン化合物と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
(iv) ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
(v) チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
(vi) チタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒が挙げられる。
なお、これら均一系金属錯体触媒の詳細は、本出願人による前記特許文献4(特願2002−191288号)に記載されている。
シンジオタクチックポリプロピレンの製造触媒としては、上記の均一系金属錯体触媒のうち、(i)〜(iii)触媒が好ましい。
このうち、代表例である(i)のバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒について説明する。
上記(i)のバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒において、バナジウム錯体としては、例えば、Makromol.Chem.180、57−64(1979)に記載されている触媒が挙げられる。
具体的には、VOCl、VCl、V(アセチルアセトナート)、V(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)、V(1,3−ブタンジオナト)、VO(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)、VO(OR)、等が挙げられる。その他、アルキルイミド、或いはアリールイミドなどの配位子を有する一般式(3)及び(4)のようなバナジウム化合物も挙げられる。
Figure 2005194481
式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;R〜Rは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。
Figure 2005194481
式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。
有機アルミニウム化合物としては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド類;メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類が挙げられる。
上記成分の使用量は、プロピレン1モル当り、バナジウム錯体が1×10−5〜0.1モル、好ましくは1×10−4〜5×10−2モルであり、有機アルミニウム化合物が1×10−4〜0.1モル、好ましくは5×10−3〜0.05モルである。
また、触媒(i)には、必要に応じて電子供与体を添加することもでき、電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。電子供与体の使用量は、バナジウム錯体1モルに対して0.01〜20モルである。
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。得られるポリプロピレンの分子量、分子量分布及び収量は、反応温度及び反応時間をコントロールすることにより調節でき、反応温度を−30℃以下にすれば、単分散に近い分子量分布を持つポリプロピレンを得ることができる。
また、これらの触媒を用いる場合、分子量調節剤として、水素、ジエチル亜鉛、Si−H結合含有化合物を添加することができる。
重合反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれでも行うことができる。したがって、反応器は管型、槽型の何れでもよい。反応を多段で行う際には、それらを適宜組み合わせて使用してもよい。管型反応器は、管の一方の末端からフィードして他方の末端から抜き出す形式でも、管がループ状に繋がった構造を持つ形式でも良い。
2.アイソタクチックポリプロピレン
本発明に係わるアイソタクチックポリプロピレン(b1)としては、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]値が0.12〜0.49の範囲にあるアイソタクチックポリプロピレンが用いられ、好ましくは0.16〜0.45、特に好ましくは0.17〜0.43である。
また、このアイソタクチックポリプロピレンは、IR吸収スペクトル(室温)のピークが、アイソタクチックポリプロピレンの結晶部に由来する770cm−1、842cm−1、998cm−1のいずれの位置にも観測されない。
本発明に係るアイソタクチックポリプロピレンは、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]値が0.12〜0.49の範囲であれば、エチレン、α−オレフィンまたはジオレフィン等のコモノマーを10モル%未満含有したコポリマーでも良い。α−オレフィンとしては、炭素数4〜8のオレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ジオレフィンは、炭素数4〜14のジオレフィン、例えば、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等が挙げられる。
コモノマーが10モル%以上含まれると、ポリプロピレン系材料に対する親和性が低下する。ポリプロピレンと充分な親和性をもたせるには、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。
本発明に係るアイソタクチックポリプロピレンは、重量平均分子量(Mw)が5,000〜500,000であり、10,000〜200,000がより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.01〜10.0、好ましくは1.01〜7.0、より好ましくは1.01〜5.0である。
なお、本発明に係るアイソタクチックポリプロピレンは、常温においてトルエンに対する溶解度が5g以上の可溶性ポリプロピレンである。
13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]値が0.12〜0.49の範囲にあるアイソタクチックポリプロピレンを製造する方法は、ラセミダイアド分率[r]値をこの範囲内に収めるうる製造方法であれば、特に限定されないが、次のような製造方法が好ましい。
即ち、均一系又は不均一系の金属錯体触媒を用い、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;或いはTHF等の溶媒中でプロピレンを重合する。
均一系の金属錯体触媒とは、例えば、
(vii) チタン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシ錯体、アルキルアミド錯体、アセチルアセトン錯体からなる群から選ばれる少なくとも1つの錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
(viii) チタン、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つと、ハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒などが挙げられる。
前記(vii)の触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシ錯体、アルキルアミド錯体、又はアセチルアセトン錯体から選ばれる少なくとも1つの錯体としては、例えば、次の一般式(5)〜(10)で表される化合物が挙げられる。
M(OR)4−a …(5)
M(NR4−a …(6)
M(acac) …(7)
[ORO]MX …(8)
[ORN(R)]MX …(9)
[N(R)RN(R)]MX …(10)
上記一般式(5)〜(10)において、Mは、Ti、Zr、Hfを表す。Xは、F、Cl、Br、Iを表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは二価の芳香族あるいは脂環式、脂肪族の炭化水素基、及び又は二価の含酸素基、二価の含窒素基、二価の含珪素基のようなCとH以外の酸素、窒素、珪素等の異種元素を含んだ二価の基を表し、Rは一価の芳香族あるいは脂環式、脂肪族の炭化水素基を表す。acacはアセチルアセトン配位子、メチルブタンジオン配位子、ブタンジオン配位子、ベンゾイルアセトン配位子、ベンゾイルトリフルオロアセトン配位子、ジベンゾイルメタン配位子、フロイルアセトン配位子、トリフルオロアセチルアセトン配位子、3−フェニルアセチルアセトン配位子、2,4−ヘキサンジオン配位子、トリフルオロジメチル−2,4−ヘキサンジオン配位子等を表わす。aは2〜4の整数である。
また、Rの炭化水素基の例としては、−C2n−のような二価の飽和炭化水素基、−C2n−2−あるいは−C2n−4−のような二価の脂肪族不飽和炭化水素基、−cycloC2m−2−のような二価の脂環式炭化水素基、芳香族環を含む二価の炭化水素基が挙げられる。なお、nは1〜10の整数で、好ましくは2〜5であり、mは5〜15の整数で、好ましくは8〜12である。また、飽和炭化水素基は、直鎖だけでなく分岐していてもよく、分岐を持った例としては、ジアルキルメチレン基(RC=)、−CH(R)CH(R)−、−CH(R)CHCH(R)−等が挙げられる。さらに、Rは、−(CHO(CH−、−(CHNR(CH−、COC−といった酸素や窒素原子を有する基、ジアルキルシリレン基(RSi=)のような珪素原子を有するものであっても良い。このうち−C2n−のような二価の飽和炭化水素基が好ましい。
一般式(5)〜(7)のM(OR)4−a、M(NR4−a、M(acac)で表される化合物の具体的な化合物としては、Ti(OC、Ti(On−C、Ti(Oi−C、Ti(On−C、Ti(Oi−C、Ti(Os−C、Ti(Ot−C、Ti(OcycloC、Ti(OC11、Ti(OC、Ti(OcycloC11、Ti(OC13、Ti(OCCl、Ti(Oi−CCl、Ti(On−CBr、Ti(On−CCl、Ti(Oi−CBr、Ti(Os−C、Ti(OC11Cl、Ti(OcycloC11、Ti[N(C、Ti[N(n−C、Ti[N(i−C、Ti[N(n−C、Ti[N(i−C、Ti[N(s−C、Ti[N(t−C、Ti[N(cycloC、Ti[N(C11、Ti[N(C、Ti[N(cycloC11、Ti[N(C13、Ti[N(CCl、Ti[N(n−CCl、Ti[N(i−CBr、Ti[N(s−CCl、Ti[N(n−CBr、Ti[N(t−C、Ti[N(C11、Ti[N(C11Cl、Ti(アセチルアセトナト)Cl、Ti(メチルブタンジオナト)Cl、Ti(ブタンジオナト)Cl、Ti(ベンゾイルアセトナト)Br、Ti(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Ti(ジベンゾイルメタナト)、Ti(フロイルアセトナト)Br、Ti(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Ti(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、Zr(OC、Zr(On−C、Zr(Oi−C、Zr(On−C、Zr(Oi−C、Zr(Os−C、Zr(Ot−C、Zr(OcycloC、Zr(OC11、Zr(OC、Zr(OcycloC11、Zr(OC13、Zr(OCCl、Zr(Oi−CCl、Zr(On−CBr、Zr(On−CCl、Zr(Oi−CBr、Zr(Os−C、Zr(OC11Cl、Zr(OcycloC11、Zr[N(C、Zr[N(n−C、Zr[N(i−C、Zr[N(n−C、Zr[N(i−C、Zr[N(s−C、Zr[N(t−C、Zr[N(cycloC、Zr[N(C11、Zr[N(C、Zr[N(cycloC11、Zr[N(C13、Zr[N(CCl、Zr[N(n−CCl、Zr[N(i−CBr、Zr[N(s−CCl、Zr[N(n−CBr、Zr[N(t−C、Zr[N(C11、Zr[N(C11Cl、Zr(アセチルアセトナト)Cl、Zr(メチルブタンジオナト)Cl、Zr(ブタンジオナト)Cl、Zr(ベンゾイルアセトナト)Br、Zr(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Zr(ジベンゾイルメタナト)、Zr(フロイルアセトナト)Br、Zr(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Zr(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、Hf(OC、Hf(On−C、Hf(Oi−C、Hf(On−C、Hf(Oi−C、Hf(Os−C、Hf(Ot−C、Hf(OcycloC、Hf(OC11、Hf(OC、Hf(OcycloC11、Hf(OC13、Hf(OCCl、Hf(Oi−CCl、Hf(On−CBr、Hf(On−CCl、Hf(Oi−CBr、Hf(Os−C、Hf(OC11Cl、Hf(OcycloC11、Hf[N(C、Hf[N(n−C、Hf[N(i−C、Hf[N(n−C、Hf[N(i−C、Hf[N(s−C、Hf[N(t−C、Hf[N(cycloC、Hf[N(C11、Hf[N(C、Hf[N(cycloC11、Hf[N(C13、Hf[N(CCl、Hf[N(n−CCl、Hf[N(i−CBr、Hf[N(s−CCl、Hf[N(n−CBr、Hf[N(t−C、Hf[N(C11、Hf[N(C11Cl、Hf(アセチルアセトナト)Cl
、Hf(メチルブタンジオナト)Cl、Hf(ブタンジオナト)Cl、Hf(ベンゾイルアセトナト)Br、Hf(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Hf(ジベンゾイルメタナト)、Hf(フロイルアセトナト)Br、Hf(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Hf(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、等が挙げられる。
一般式(8)の[ORO]MXで表される化合物の具体的な化合物としては、[OCHCHO]TiCl、[OCHCHCHO]TiCl、[OCHCHCHCHO]TiCl、[OCHCHOCHCHO]TiCl、[OCHCHO]Ti(CH、[OCHCHCHO]Ti(CH、[OCHCHCHCHO]Ti(CH、[OCHCHOCHCHO]Ti(CH、[OCHCHO]Ti(C、[OCHCHCHO]Ti(C、[OCHCHCHCHO]Ti(C、[OCHCHOCHCHO]Ti(C、[OCHCHO]Ti(CH、[OCHCHCHO]Ti(CH、[OCHCHCHCHO]Ti(CH、[OCHCHOCHCHO]Ti(CH、[OCH(C)CH(C)O]Ti(CH、[OCHC(CCHO]Ti(CH、[OCHCHO]ZrCl、[OCHCHCHO]ZrCl、[OCHCHCHCHO]ZrCl、[OCHCHOCHCHO]ZrCl、[OCHCHO]Zr(CH、[OCHCHCHO]Zr(CH、[OCHCHCHCHO]Zr(CH、[OCHCHOCHCHO]Zr(CH、[OCHCHO]Zr(C、[OCHCHCHO]Zr(C、[OCHCHCHCHO]Zr(C、[OCHCHOCHCHO]Zr(C、[OCHCHO]Zr(CH、[OCHCHCHO]Zr(CH、[OCHCHCHCHO]Zr(CH、[OCHCHOCHCHO]Zr(CH、[OCH(C)CH(C)O]Zr(CH、[OCHC(CCHO]Zr(CH、[OCHCHO]HfCl、[OCHCHCHO]HfCl、[OCHCHCHCHO]HfCl、[OCHCHOCHCHO]HfCl、[OCHCHO]Hf(CH、[OCHCHCHO]Hf(CH、[OCHCHCHCHO]Hf(CH、[OCHCHOCHCHO]Hf(CH、[OCHCHO]Hf(C、[OCHCHCHO]Hf(C、[OCHCHCHCHO]Hf(C、[OCHCHOCHCHO]Hf(C、[OCHCHO]Hf(CH、[OCHCHCHO]Hf(CH、[OCHCHCHCHO]Hf(CH、[OCHCHOCHCHO]Hf(CH、[OCH(C)CH(C)O]Hf(CH、[OCHC(CCHO]Hf(CH、等がある。
一般式(9)の[ORN(R)]MXで表される化合物の具体的な化合物としては、[OCHCHN(CH)]TiCl、[OCHCHCHN(C)]TiCl、[OCHCHCHCHN((i−C)]TiCl、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]TiCl、[OCHCHN(CH)]Ti(CH、[OCHCHCHN(C)]Ti(CH、[OCHCHCHCHN((i−C)]Ti(CH、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]Ti(CH、[OCHCHN(CH)]Ti(C、[OCHCHCHN(C)]Ti(C、[OCHCHCHCHN((i−C)]Ti(C、[OCHCHOCHCHN(CH)]Ti(C、[OCHCHN(i−C)]Ti(CH、[OCHCHCHN(n−C13)]Ti(CH、[OCHCHCHCHN(C)]Ti(CH、[OCHCHOCHCHN((i−C)]Ti(CH、[OCH(C)CH(C)N(i−C)]Ti(CH、[OCHC(CCHN(C)]Ti(CH、[OCHCHN(CH)]ZrCl、[OCHCHCHN(C)]ZrCl、[OCHCHCHCHN((i−C)]ZrCl、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]ZrCl、[OCHCHN(CH)]Zr(CH、[OCHCHCHN(C)]Zr(CH、[OCHCHCHCHN((i−C)]Zr(CH、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]Zr(CH、[OCHCHN(CH)]Zr(C、[OCHCHCHN(C)]Zr(C、[OCHCHCHCHN((i−C)]Zr(C、[OCHCHOCHCHN(CH)]Zr(C、[OCHCHN(i−C)]Zr(CH、[OCHCHCHN(n−C13)]Zr(CH、[OCHCHCHCHN(C)]Zr(CH、[OCHCHOCHCHN((i−C)]Zr(CH、[OCH(C)CH(C)N(i−C)]Zr(CH、[OCHC(CCHN(C)]Zr(CH、[OCHCHN(CH)]HfCl、[OCHCHCHN(C)]HfCl、[OCHCHCHCHN((i−C)]HfCl、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]HfCl、[OCHCHN(CH)]Hf(CH、[OCHCHCHN(C)]Hf(CH、[OCHCHCHCHN((i−C)]Hf(CH、[OCHCHOCHCHN(cycloC11)]Hf(CH、[OCHCHN(CH)]Hf(C、[OCHCHCHN(C)]Hf(C、[OCHCHCHCHN((i−C)]Hf(C、[OCHCHOCHCHN(CH)]Hf(C、[OCHCHN(i−C)]Hf(CH、[OCHCHCHN(n−C13)]Hf(CH、[OCHCHCHCHN(C)]Hf(CH、[OCHCHOCHCHN((i−C)]Hf(CH、[OCH(C)CH(C)N(i−C)]Hf(CH、[OCHC(CCHN(C)]Hf(CH、等がある。
一般式(10)の[N(R)RN(R)]MXで表される化合物の具体的な化合物としては、[N(CH)CHCHN(CH)]TiCl、[N((i−C)CHCHCHN((i−C]TiCl、[N(C)CHCHCHCHN(C))]TiCl、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]TiCl、[N(CH)CHCHN(CH)]Ti(CH、[N(C)CHCHCHN(C)]Ti(CH、[N((i−C)CHCHCHCHN((i−C)]Ti(CH、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]Ti(CH、[N(CH)CHCHN(CH)]Ti(C、[N(C)CHCHCHN(C)]Ti(C、[N((i−C)CHCHCHN((i−C)]Ti(C、[N(CH)CHCHOCHCHN(CH)]Ti(C、[N(i−C)CHCHN(i−C)]Ti(CH、[N(n−C13)CHCHCHN(n−C13)]Ti(CH、[N(C)CHCHCHCHN(C)]Ti(CH、[N((i−C)CHCHOCHCHN((i−C)]Ti(CH、[N(i−C)CH(C)CH(C)N(i−C)]Ti(CH、[N(C)CHC(CCHN(C)]Ti(CH、[N(CH)CHCHN(CH)]ZrCl、[N((i−C)CHCHCHN((i−C]ZrCl、[N(C)CHCHCHCHN(C))]ZrCl、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]ZrCl、[N(CH)CHCHN(CH)]Zr(CH、[N(C)CHCHCHN(C)]Zr(CH、[N((i−C)CHCHCHCHN((i−C)]Zr(CH、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]Zr(CH、[N(CH)CHCHN(CH)]Zr(C、[N(C)CHCHCHN(C)]Zr(C、[N((i−C)CHCHCHN((i−C)]Zr(C、[N(CH)CHCHOCHCHN(CH)]Zr(C、[N(i−C)CHCHN(i−C)]Zr(CH、[N(n−C13)CHCHCHN(n−C13)]Zr(CH、[N(C)CHCHCHCHN(C)]Zr(CH、[N((i−C)CHCHOCHCHN((i−C)]Zr(CH、[N(i−C)CH(C)CH(C)N(i−C)]Zr(CH、[N(C)CHC(CCHN(C)]Zr(CH、[N(CH)CHCHN(CH)]HfCl、[N((i−C)CHCHCHN((i−C]HfCl、[N(C)CHCHCHCHN(C))]HfCl、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]HfCl、[N(CH)CHCHN(CH)]Hf(CH、[N(C)CHCHCHN(C)]Hf(CH、[N((i−C)CHCHCHCHN((i−C)]Hf(CH、[N(cycloC11)CHCHOCHCHN(cycloC11)]Hf(CH、[N(CH)CHCHN(CH)]Hf(C、[N(C)CHCHCHN(C)]Hf(C、[N((i−C)CHCHCHN((i−C)]Hf(C、[N(CH)CHCHOCHCHN(CH)]Hf(C、[N(i−C)CHCHN(i−C)]Hf(CH、[N(n−C13)CHCHCHN(n−C13)]Hf(CH、[N(C)CHCHCHCHN(C)]Hf(CH、[
N((i−C)CHCHOCHCHN((i−C)]Hf(CH、[N(i−C)CH(C)CH(C)N(i−C)]Hf(CH、[N(C)CHC(CCHN(C)]Hf(CH、等がある。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、及びこれらアルミノキサン中の未反応アルミニウム化合物を除去・精製した乾燥アルミノキサン等が挙げられる。なお、アルミノキサン類の代りにトリフェニルボラン、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフェニルメチルトリスペンタフルオロボレート等のホウ素化合物、さらにジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジオクチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
有機アルミニウム化合物としては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド類;メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類が挙げられる。
上記成分の使用量は、プロピレン使用量1モル当り、金属錯体が1×10−5〜0.5モル、好ましくは1×10−4〜0.1モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−6〜0.5モル、好ましくは1×10−5〜0.1モルである。
重合反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−80〜80℃で1〜30時間行われる。
前記(viii)のチタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒において、該錯体は、2つのシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体が架橋されていないメタロセン化合物が好ましい。
非架橋型メタロセン化合物としては、例えば、一般式(11)〜(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
一般式(11)〜(13)中、Rは、水素原子もしくは炭素数1〜8の脂肪族、芳香族及び脂環式の炭化水素基の置換基、又はSiR(Rは炭素数1〜5のアルキル基、芳香族基、又は脂環式の置換基を示し、同時に同じでも異なっても良い)を示す。
Xはハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキル基を表す。ここで、Xがハロゲンであれば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、また、アルキル基であれば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。これらの中では、塩素、メチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。Mは、Ti、Zr、Hfのいずれかの金属である。nは1〜3の整数を示す。
なお、一般式(12)〜(13)のインデニル基、フルオレニル基のフェニル基には置換基があってもよい。
一般式(11)〜(13)で表される非架橋型メタロセン化合物は、各シクロペンタジエニル基が1〜4個の置換基で置換された置換体が好ましく、1〜3個の置換基で置換された置換体が特に好ましい。置換基が全くないもの、または置換基が5個あるものからはアタクチックポリプロピレンしか得られず、好ましくない。
各シクロペンタジエニル基が置換基を1個有する1置換体の具体例としては、例えば、(メチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(メチルシクロペンタジエニル)ZrBr、(エチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(エチルシクロペンタジエニル)Zr(メチル)、(イソプロピルシクロペンタジエニル)ZrCl、(イソプロピルシクロペンタジエニル)ZrI、(n−プロピルシクロペンタジエニル)ZrCl、(n−プロピルシクロペンタジエニル)Zr(フェニル)、(n−ブチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Zr(ベンジル)、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Zr(メチル)、(s−ブチルシクロペンタジエニル)Zr(ベンジル)、(t−ブチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(t−ブチルシクロペンタジエニル)ZrBr、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)Zr(メチル)、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)ZrCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)Zr(フェニル)、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)ZrCl、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)Zr(メチル)、(フェニルシクロペンタジエニル)ZrCl、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ZrCl、(トリフェニルシリルシクロペンタジエニル)ZrCl、(ジフェニルメチルシリルシクロペンタジエニル)ZrCl、(メチルシクロペンタジエニル)HfCl、(メチルシクロペンタジエニル)HfBr、(エチルシクロペンタジエニル)HfCl、(エチルシクロペンタジエニル)Hf(メチル)、(イソプロピルシクロペンタジエニル)HfCl、(イソプロピルシクロペンタジエニル)HfI、(n−プロピルシクロペンタジエニル)HfCl、(n−プロピルシクロペンタジエニル)Hf(フェニル)、(n−ブチルシクロペンタジエニル)HfCl、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Hf(ベンジル)、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Hf(メチル)、(s−ブチルシクロペンタジエニル)Hf(ベンジル)、(t−ブチルシクロペンタジエニル)HfCl、(t−ブチルシクロペンタジエニル)HfBr、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)HfCl、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)Hf(メチル)、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)HfCl、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)HfCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)HfCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)Hf(フェニル)、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)HfCl、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)Hf(メチル)、(フェニルシクロペンタジエニル)HfCl、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)HfCl、(トリフェニルシリルシクロペンタジエニル)HfCl、(ジフェニルメチルシリルシクロペンタジエニル)HfCl、(メチルシクロペンタジエニル)TiCl、(メチルシクロペンタジエニル)TiBr、(エチルシクロペンタジエニル)TiCl、(エチルシクロペンタジエニル)Ti(メチル)、(イソプロピルシクロペンタジエニル)TiCl、(イソプロピルシクロペンタジエニル)TiI、(n−プロピルシクロペンタジエニル)TiCl、(n−プロピルシクロペンタジエニル)Ti(フェニル)、(n−ブチルシクロペンタジエニル)TiCl、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Ti(ベンジル)、(i−ブチルシクロペンタジエニル)Ti(メチル)、(s−ブチルシクロペンタジエニル)Ti(ベンジル)、(t−ブチルシクロペンタジエニル)TiCl、(t−ブチルシクロペンタジエニル)TiBr、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)TiCl、(ネオペンチルシクロペンタジエニル)Ti(メチル)、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)TiCl、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)TiCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)TiCl、(n−ヘキシルシクロペンタジエニル)Ti(フェニル)、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)TiCl、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)Ti(メチル)、(フェニルシクロペンタジエニル)TiCl、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)TiCl、(トリフェニルシリルシクロペンタジエニル)TiCl、(ジフェニルメチルシリルシクロペンタジエニル)TiCl、等が挙げられる。
シクロペンタジエニル基が置換基を2個有する二置換体の具体例としては、例えば、(ジメチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(ジメチルシクロペンタジエニル)ZrBr、(メチルエチルシクロペンタジエニル)ZrI、(メチルプロピルシクロペンタジエニル)Zr(メチル)、(ジプロピルシクロペンタジエニル)Zr(フェニル)、(ジフェニルシクロペンタジエニル)Zr(ベンジル)、(インデニル)ZrCl、(ジメチルシクロペンタジエニル)HfCl、(ジメチルシクロペンタジエニル)HfBr、(メチルエチルシクロペンタジエニル)HfI、(メチルプロピルシクロペンタジエニル)Hf(メチル)、(ジプロピルシクロペンタジエニル)Hf(フェニル)、(ジフェニルシクロペンタジエニル)Hf(ベンジル)、(インデニル)HfCl、(ジメチルシクロペンタジエニル)TiCl、(ジメチルシクロペンタジエニル)TiBr、(メチルエチルシクロペンタジエニル)TiI、(メチルプロピルシクロペンタジエニル)Ti(メチル)、(ジプロピルシクロペンタジエニル)Ti(フェニル)、(ジフェニルシクロペンタジエニル)Ti(ベンジル)、(インデニル)TiCl、などが挙げられる。
各シクロペンタジエニル基が置換基を3又は4個有する三又は四置換体の具体例としては、例えば、(トリメチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(インデニルメチル)ZrCl、(テトラメチルシクロペンタジエニル)ZrCl、(フルオレニル)ZrCl、(トリメチルシクロペンタジエニル)HfCl、(インデニルメチル)HfCl、(テトラメチルシクロペンタジエニル)HfCl、(フルオレニル)HfCl、(トリメチルシクロペンタジエニル)TiCl、(インデニルメチル)TiCl、(テトラメチルシクロペンタジエニル)TifCl、(フルオレニル)TiCl、等が挙げられる。
また、アルミノキサン類、ホウ素化合物及び有機アルミニウム化合物は、(i)及び(vii)で記載したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、プロピレン1モル当り、メタロセン化合物が5.0×10−7〜5.0×10−3モル、好ましくは1.0×10−6〜1.0×10−4モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1.0×10−5〜5.0モル、好ましくは1.0×10−3〜0.1モルである。
重合反応は、−100〜150℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは−70〜100℃で1〜50時間行われる。
前記不均一系の触媒としては、例えば、(イ)チタン化合物またはジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、(ロ)Mg化合物またはMn化合物、Co化合物、(ハ)有機アルミニウム化合物、必要に応じて(ニ)電子供与体からなる触媒が挙げられる。
(イ)化合物の配位子としては、ハロゲン、アルコキシ基およびその誘導体、シクロペンタジエニル基およびその誘導体、アセチルアセトンおよびその誘導体を挙げることができ、その価数は2〜4価、特に4価が好ましい。4価の配位子のチタン化合物は、例えば、次の一般式で表される化合物が挙げられる。
TiX(OR)Cp(acac) …(14)
(Xはハロゲンを示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Cpはシクロペンタジエニル基を示し、acacはアセチルアセトン配位子を示し、a、b、c、dは0〜4の整数を示し、a+b+c+d=4である。)
具体的な化合物としては、TiCl、Ti(OBu)、CpTiCl、(acac)TiCl等が挙げられる。
(ロ)Mg化合物などの配位子としては、ハロゲン、アルキル基およびその誘導体、アルコキシ基およびその誘導体を挙げることができる。マグネシウム化合物の例としては、例えば、一般式(15)で表される化合物が挙げられる。
MgX(OR) …(15)
(Xはハロゲンを示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、e、f、gは0〜2の整数を示し、e+f+g=2である。)
また、(ハ)有機アルミニウム化合物としては、前記均一系触媒で使用される化合物と同様の化合物が挙げられる。
さらに(ニ)電子供与性化合物としては、カルボン酸類、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハロゲン化物、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミン類、アミド類、ニトリル類、アルデヒド類、アルコレート類、有機基と炭素もしくは酸素を介して結合した燐、ヒ素およびアンチモン化合物、ホスホアミド類、チオエーテル類、チオエステル類、炭酸エステル等が挙げられる。これらのうちカルボン酸類、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハロゲン化物、アルコール類、エーテル類が好ましく用いられる。
なお、上記不均一系触媒は、シリカ、アルミナ等の金属酸化物に担持して用いてもよく、具体的には、特公平7−121970号、特公平7−121971号、特公平7−121972号、特開昭62−295909号、特開昭63−54407号、特開昭63−54408号等の各公報に記載の方法に従って製造できる。
不均一系触媒による重合条件は、前記均一系触媒の(viii)触媒の条件と同様の条件で行うことができる。生成したポリプロピレンの一部が溶媒に不溶である場合は、濾過あるいは遠心分離等の方法により除去し、可溶部のみを使用することができる。
また、これらの触媒を用いる場合、分子量調節剤として、水素、ジエチル亜鉛、Si−H結合含有化合物を添加することができる。
3.変性ポリプロピレン
本発明に係わる変性ポリプロピレンは、上記のシンジオタクチックポリプロピレン又はアイソタクチックポリプロピレンに、前記一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1以上のユニットがグラフト結合した構造をしている。
以下、この両者を区別するために、(A)変性シンジオタクチックポリプロピレン、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンといい、総称するときは単に変性ポリプロピレンという。
なお、ポリプロピレン主鎖の1ヶ所に、変性剤モノマーが1つ結合した場合は、n又はm=1のユニットが1つ結合した変性ポリプロピレンとなり、ポリプロピレン主鎖の3ヶ所に、変性剤モノマーが1つずつ結合した場合は、n又はm=1のユニットが3つ結合した変性ポリプロピレンとなる。また、ポリプロピレン主鎖の10ヶ所(ユニット)が変性され、そのうちn又はm=1のユニットが2ヶ所、n又はm=2のユニットが3ヶ所、n又はm=3のユニットが4ヶ所の場合、n又はmの合計が2+6+12=20の変性量の変性ポリプロピレンとなる。
本発明において、変性ポリプロピレン1分子鎖当り平均の変性量は0.1〜500であり、好ましくは0.2〜250、より好ましくは0.5〜100であり、特に好ましくは1〜50である。
本発明において変性ポリプロピレンは、ベースとなるシンジオタクチックポリプロピレン又はアイソタクチックポリプロピレンを有機溶媒に溶解した状態で、あるいは混練機中で、ラジカル反応開始剤の存在下、変性剤と反応させて得ることができる。
通常は変性剤1種を用いるが、2種以上を用いることもできる。2種以上を用いる場合、前記一般式(16)、(17)で表される化合物、或いはジカルボン酸(無水物)のいずれかから2種以上を選択する。さらに、2種以上の変性剤を予め混合してからポリプロピレンと反応させてもよいし、2段或いはそれ以上の多段で反応させてもよい。
Figure 2005194481
Figure 2005194481
有機溶媒に溶解した状態であれば、−50〜200℃、好ましくは−30〜180℃の温度範囲で変性反応を行う。−50℃未満では反応速度が遅く、一方、200℃を超えるとポリマーの分子鎖が切断されるので好ましくない。特に好ましくは、0℃〜180℃の温度範囲で変性反応を行う。
また、反応時間は1分以上、好ましくは5分〜10時間、特に好ましくは10分〜5時間である。反応時間が長いほど、ポリマーへの変性剤の導入量が向上する。通常は1段階で変性反応させるが、2段階以上の多段で反応させてもよい。
有機溶媒としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
また、ラジカル反応開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系;過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンなどの過酸化物を使用することができ、2種類以上のラジカル反応開始剤を用いても良い。
一方、押出し混練機などの変性反応用混練機を用いる場合は、装置内を30〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度範囲として行う。変性反応は、ポリプロピレンの分子量、変性剤及びラジカル反応開始剤の種類や量、用いた反応溶媒等によって異なるが、30℃未満では反応速度が遅く、一方、250℃を超えるとポリマーの分子鎖が切断されるので好ましくない。変性反応の反応温度は、変性反応中、同一温度に維持しても変化させてもよい。
反応時間(混練機内の滞留時間)は、0.1分〜30分とし、0.2分〜20分がより好ましい。滞留時間が0.1分よりも短いと、変性反応の効率が悪い。一方、滞留時間が長いほど、ポリプロピレンへの変性剤の導入量が向上するものの、30分よりも長くなるとポリマーの劣化による分子量低下や着色が著しくなる。
変性剤は、前記一般式(16)で表される化合物として、(メタ)アクリル酸の他に、(メタ)アクリル酸の誘導体として、例えば、次のようなものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、トリフェニルメチルメタクリレートなどのアルキルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル;アクリル酸ナトリウム塩、アクリル酸カリウム塩、アクリル酸リチウム塩、メタクリル酸ナトリウム塩、メタクリル酸カリウム塩、メタクリル酸リチウム塩などの(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩;アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルアクリレート、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルメタクリレートなど(メタ)アクリル酸のハロゲン化物;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N一ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、などのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートなどのOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;2−イソシアナートエチルメタクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレートなどのイソシアナート基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン、等のP含有(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。さらに、他のP含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、CH=C(CH)CO−O−CH−CH(CHCl)−O−PO(OH)、CH=C(CH)CO−O−CH−CH−O−PO(OH)−O−NH(CHCHOH)、なども挙げられる。
本発明において、前記一般式(16)で表される化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、及びOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
また、前記一般式(17)で表される化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物;塩化ビニル、臭化ビニル、ふっ化ビニル、よう化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸カリウム塩、ビニルスルホン酸リチウム塩、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニルピリジン、N−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクロレイン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、アリルクロリドなどのビニル化合物;スチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、ジビニルベンゼン、ビニル安息香酸、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。本発明において、前記一般式(17)の化合物としては、スチレン誘導体が特に好ましい。
また、変性剤として使用できるジカルボン酸としては、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ビニルマレイン酸、アリルコハク酸など不飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和脂肪族ジカルボン酸エステル等の誘導体、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸などのシクロアルケンジカルボン酸及びそれらの誘導体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸であり、特に好ましくはマレイン酸、フマル酸である。
さらに、変性剤として使用できるジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のジカルボン酸無水物が挙げられる。
4.変性ポリプロピレン組成物
本発明の変性ポリプロピレン組成物は、上記の変性シンジオタクチックポリプロピレン(A)成分と、アイソタクチックポリプロピレン(b1)及び/又はその変性物(b2)の(B)成分からなる組成物である。
(B)成分は、(b1)アイソタクチックポリプロピレンと、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンの少なくとも1種から構成されるが、(b1)アイソタクチックポリプロピレンを単独で、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンを単独で用いることができる。
(b1)アイソタクチックポリプロピレンと、(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンを混合して用いる場合、その混合割合(重量比)は、(b1)/(b2)=1〜99/99〜1、さらには(b1)/(b2)=30〜70/70〜30となるようにすることが好ましい。
変性シンジオタクチックポリプロピレン(A)成分と、アイソタクチックポリプロピレン及び/又はその変性物である(B)成分との混合割合(重量比)は、(A)/(B)=99〜1/1〜99であり、特に、(A)/(B)=90〜10/10〜90、さらには(A)/(B)=80〜30/20〜70であることが好ましい。
上記(A)/(B)の混合系において、(A)が99を超える組成物では、ポリプロピレンに対して十分な親和性が得られない場合があり好ましくない。一方、(A)が1未満の組成物では、熱安定性が劣る場合があり好ましくない。
変性シンジオタクチックポリプロピレン(A)成分と、(B)成分であるアイソタクチックポリプロピレン(b1)及び/又は変性アイソタクチックポリプロピレン(b2)とは、溶剤に溶解した状態で混合することが好ましく、用途によっては、そのまま溶液として用いることができる。また、通常の方法、例えば押出混練機で組成物とすることもできる。有機溶剤に(A)、(b1)及び/又は(b2)を溶解してから乾燥させた組成物として利用することもできる。
本発明の変性ポリプロピレン組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤、充填材などを配合することができる。
例えば、添加剤としては、その用途に応じて、分散剤、安定化剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、滑剤、造核剤(透明化剤)、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、シリコーンオイル、あるいは着色剤(顔料)などの1種又は2種以上を添加することができる。
また、充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー(珪酸アルミニウム)、マイカ、タルク、シラス、シリカ、けい砂、珪藻土、ベントナイト、セリサイト、アルミナ、ゼオライト、酸化チタン、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、カーボンブラック、モリブデン、黒鉛などを挙げることができる。
本発明の変性ポリプロピレン組成物は、接着剤、インキ、塗料、プライマー、シーリング剤、表面改質剤、コーティング剤、粘着剤、反応性ポリマー、または相溶化剤などとして使用することができる。特に好ましい用途は、塗料、表面改質剤、プライマー、或いはコーティング剤である。
以下に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例、比較例中のポリマーは、次に示す方法により分析し、評価した。
(1)分子量の測定
分子量は、Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)モデル150を用いて測定した。その測定条件は、溶媒:o−ジクロルベンゼン、測定温度:135℃、溶媒流速:1.0ml/分とし、カラムは、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、これによりユニバーサル法でポリプロピレンの検量線を作成した。
(2)ラセミダイアド分率[r]の測定
ラセミダイアド分率[r]は、PFTパルスフーリエ変換装置付きVarian社製XL−200型NMRを用い、50MHz、120℃、パルス幅8.2μsπ/3、パルス間隔4秒、積算回数5000の条件で、13C−NMRを測定した。試料は、トリクロルベンゼンとベンゼン(2:1)の混合溶液に溶解して調製した。
(3)変性剤導入量(ポリプロピレン1分子あたりの分子数)の測定
ポリプロピレン1分子あたりの変性剤導入量は、赤外線吸収スペクトル(IR)測定により得られた変性剤の官能基含有量とGPC曲線より得られた数平均分子量の値から算出した。IR測定には、日本分光社製のFT/IR−470を用いて、フィルム状にしたポリマーを使用した。
(4)有機溶剤に対する溶解性
有機溶剤に対する溶解性は、トルエンの溶解度を測定して評価した。25℃のトルエン100gに対する変性ポリプロピレン組成物の溶解度を測定し、10g以上溶解:○、5〜10g未満溶解:△、5g未満溶解:×の三段階で評価した。
(5)ポリプロピレンに対する親和性
ポリプロピレンに対する親和性は、次の(i)碁盤目テープ法、(ii)Xカットテープ法により測定し、評価した。
(i)碁盤目テープ法
得られたポリマーのトルエン溶液を室温で、ポリプロピレン板に塗布し、100℃で1時間乾燥した後、JIS K−5400に従って碁盤目テープ法テストを行った。○:密着率100%、△:密着率≧90%、、×:密着率<90%、とした。
(ii)Xカットテープ法
碁盤目テープ法と同様に、ポリプロピレン板の上に得られたポリマーのトルエン溶液を室温で塗布し、100℃で1時間乾燥した。JIS K−5400にしたがって、Xカットテープ法で試験した。
(6)極性材料に対する親和性
極性材料に対する親和性は、水との接触角を測定することにより評価した。その測定方法は、ポリプロピレン板の上に、得られたポリマーを塗布し、25℃において、水との接触角を測定し、接触角≦30°:○、30°<接触角≦60°:△、60°<接触角≦90°:×とした。
(7)熱安定性
熱安定性は、酸化防止剤等の添加剤を一切加えずに、空気中、165℃で3時間放置して、重量の減少量を測定することにより評価した。重量減少≦5%:○、5%<重量減少≦10%:△、重量減少>10%:×とした。
(実施例1)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
窒素ガスで十分に置換した2Lの攪拌機付きオートクレーブにトルエンを150mL入れ、−60℃に保った。同温度でジエチルアルミニウムクロライド、Al(CClを60mmol加えた。次に、フタル酸ジイソブチルを12mmol添加した。さらに、攪拌しながらプロピレンを8.3mol導入した。最後に0.1mol/Lのトリス(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)バナジウムのトルエン溶液を7mL加え、重合を開始した。重合は8時間行った。
−60℃に冷却した5Lのメタノール中に反応溶液を入れ、ポリマーを析出させることにより重合を停止した。得られたポリマーをメタノールで5回洗浄し、室温で乾燥した。
得られたポリマーの収量は46gであった。得られたポリマーのGPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量Mwは130,000、Mw/Mnの値は1.4であった。また、13C−NMRにより測定したラセミダイアド分率[r]の値は0.80であった。室温においてIR測定を行ったところ、結晶性シンジオタクチックポリプロピレンに起因するピークは観測されなかった。
プロピレンの重合条件を表1に、また、得られたポリマーの分析結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
窒素ガスで十分に置換した2Lの攪拌機付きオートクレーブにトルエンを150mL入れ、−50℃に保った。同温度でMMAO(乾燥したメチルアルミノキサン:メチルアルミノキサンからオリゴマーや未反応物を除去して精製したもの)をアルミニウムモノマー換算で80mmol加えた。次に、攪拌しながらプロピレンを8.3mol導入した。最後に0.1mol/Lのt−BuCpZrClのトルエン溶液を1mL加え、重合を開始した。重合は5時間行った。
−60℃に冷却した5Lのメタノール中に反応溶液を入れ、ポリマーを析出させることにより重合を停止した。得られたポリマーをメタノールで5回洗浄し、室温で乾燥した。
得られたポリマーの収量は8.2gであった。得られたポリマーのGPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量Mwは32,000、Mw/Mnの値は2.0であった。また13C−NMRにより測定したラセミダイアド分率[r]の値は0.17であった。室温においてIR測定を行ったところ、結晶性アイソタクチックポリプロピレンに起因するピークは観測されなかった。
プロピレンの重合条件を表1に、また、得られたポリマーの分析結果を表3に示す。
(3)シンジオタクチックポリプロピレンへのアクリル酸の導入
上記(1)の重合により得られた可溶性のシンジオタクチックポリプロピレン3.5gに対して、オクタン20gを添加し、攪拌機でポリプロピレンが完全に溶解するまで攪拌した。その後オクタン溶液に窒素を20分間バブリングした。窒素雰囲気下、アクリル酸0.1gとラジカル反応の開始剤としてt−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gとを加え、2分間混合した後、オイルバスを用いて反応系を110℃まで上昇させ、系内温度が110℃到達後、30分攪拌を続けた。ここで、アクリル酸0.1gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gを加え、さらに30分攪拌を続けた。この操作をこの後8回繰り返した。合計5時間経過後オイルバスを下げ、直ちに冷却したオクタンを50ml加えた。このオクタン溶液を600mlのメタノールに注ぎ、ポリマーを沈殿させた後、当該ポリマーを取り出し、300mlのオクタンに溶解した。オクタン溶液を分液ロートに移し、50mlのメタノールを加えて、分液ロートをよく振り、静置、分液を行った。この操作を3回繰り返した後、オクタン層のみを回収し、十分乾燥することにより、ポリマーを得た。得られたポリマーをIR測定したところ、1710cm−1ならびに1760cm−1にカルボン酸に由来する吸収が観測された。吸収強度から、導入量を求めたところ、18個/鎖であることが明らかとなった。
ポリプロピレンの変性条件、得られた変性ポリマーの変性量を表5に示す。
(4)アイソタクチックポリプロピレンへのメタクリル酸メチルの導入
前記の重合により得られたポリプロピレン2gに対して、シクロへキサン20gを添加し、攪拌機でポリプロピレンが完全に溶解するまで攪拌した。その後シクロへキサン溶液に窒素を20分間バブリングした。窒素雰囲気下、メタクリル酸メチル0.5gとラジカル反応の開始剤としてt−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエート0.05gとを加え、2分間混合した後、オイルバスを用いて反応系を60℃まで上昇させ、系内温度が60℃到達後、30分間攪拌を続けた。ここで、メタクリル酸メチル0.5gとt−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエート0.05gを加え、さらに30分攪拌を続けた。さらにもう一度この操作を繰り返した。合計1時間半経過後オイルバスを下げ、直ちに冷却したシクロへキサンを50ml加えた。このシクロへキサン溶液を600mlのメタノールに注ぎ、ポリマーを沈殿させた後、当該ポリマーを取り出し、150mlのシクロへキサンに溶解した。シクロへキサン溶液を分液ロートに移し、50mlのメタノールを加えて、分液ロートをよく振り、静置、分液を行った。この操作を3回繰り返した後、シクロへキサン層のみを回収し、十分乾燥することにより、ポリマーを得た。得られたポリマーをIR測定したところ、1730cm−1付近にエステルに由来する吸収が観測された。その吸収強度から、導入量を求めたところ、3.5個/鎖であることが明らかとなった。
ポリプロピレンの変性条件、得られた変性ポリマーの変性量を表5に示す。
(5)変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレン組成物のトルエン溶液の調製
10gのトルエンに上記(3)で合成した変性シンジオタクチックポリプロピレンを1.5gならびに上記(4)で合成した変性アイソタクチックポリプロピレンを0.26g室温で溶解した。
(6)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた表6に示す変性ポリプロピレン組成物について、以下の方法を用いて有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。評価した結果を表6に示した。
有機溶剤に対する溶解性の評価結果は○であり、有機溶剤に対する溶解度が高いことが分かった。ポリプロピレン材料に対する親和性を碁盤目テープ法で試験し評価したところ、ひとつもはがれなかった。Xカットテープ法で試験したところ、はがれは全くなかった。これらの結果により、本発明の変性ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン材料に対して良好な接着性を示し、高い親和性を有することが分かった。また、極性基との親和性の評価結果は○であり、極性基との親和性を有することが分かった。
熱安定性を評価した結果、本発明の変性ポリプロピレン組成物は熱安定性が高いことが分かった。
以上の結果より、本発明の変性ポリプロピレン組成物は、有機溶剤への溶解性がよく、ポリプロピレンに対して高い親和性を有し、極性基との親和性も良く、熱安定性が高いことが明らかとなった。
(実施例2〜4)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、シンジオタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(4)変性アイソタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、アイソタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(5)変性シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレン、または変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液の調製
表6に示す条件で、変性シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレン、または変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液を調製した。
(6)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。表中の−は未測定である。
(実施例5〜6)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
(2−1)不均一系触媒成分1の調製
特公平7−121970号公報(実施例14)に記載された通り、先ず、酸化珪素とn−ブチルエチルマグネシウムを接触させ、これをテトラエトキシシランと接触させ、次に2,2,2−トリクロルエタノールと接触させ、最後にアニソール及び四塩化チタンと接触させて不均一系触媒成分1を調製した。
(2−2)プロピレンの重合
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。
(2−3)結晶性アイソタクチックポリプロピレンの除去
トルエン46.5gに上記のポリプロピレン3.5gを加え、1昼夜攪拌した。遠心分離したところ、透明な上澄み液が得られた。上澄み液の一部を取り出し、メタノール中に注ぎ、ポリマーを析出させたところ、ポリマー濃度は5.7wt%であった。またこのポリマー重量平均分子量は22,000、Mw/Mnの値は4.8であった。ポリマーの解析結果を表3に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、シンジオタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(4)変性アイソタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、アイソタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(5)変性シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレン、または変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液の調製
表6に示す条件で、変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液を調製した。
(6)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。表中の−は未測定である。
(実施例7)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
(2−1)不均一系触媒成分2の調製
特公平7−121971号公報(実施例7)に記載の通り、先ず、酸化珪素とn−ブチルエチルマグネシウムを接触させ、これをHC(OCで示されるヒドロカルビルオキシ基含有化合物と接触させ、次に2,2,2−トリクロルエタノールと接触させ、最後に四塩化チタンと接触させて不均一系触媒成分2を調製した。
(2−2)プロピレンの重合
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。
(2−3)結晶性アイソタクチックポリプロピレンの除去
トルエン46.5gに上記のポリプロピレン3.5gを加え、1昼夜攪拌した。遠心分離したところ、透明な上澄み液が得られた。上澄み液の一部を取り出し、メタノール中に注ぎ、ポリマーを析出させた。ポリマーの解析結果を表3に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、シンジオタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(4)変性アイソタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、アイソタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(5)変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液の調製
表6に示す条件で、変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液を調製した。
(6)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。
(実施例8〜9)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
(2−1)不均一系触媒成分3の調製
特公平7−121971号公報(実施例13)に記載の通り、先ず、酸化珪素とジ−n−ブチルマグネシウム−TEAL錯体を接触させ、これをテトラエトキシシランと接触させ、次に2,2,2−トリクロルエタノールと接触させ、最後に四塩化チタンと接触させて不均一系触媒成分3を調製した。
(2−2)プロピレンの重合
表1に示す条件で、プロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。
(2−3)結晶性アイソタクチックポリプロピレンの除去
トルエン46.5gに上記のポリプロピレン3.5gを加え、1昼夜攪拌した。遠心分離したところ、透明な上澄み液が得られた。上澄み液の一部を取り出し、メタノール中に注ぎ、ポリマーを析出させた。ポリマーの解析結果を表3に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、シンジオタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(4)変性アイソタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、アイソタクチックポリプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(5)変性シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレン、または変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液の調製
表6に示す条件で、変性シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレン又は変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液を調製した。
(6)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。
(実施例10)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの合成
(2−1)不均一系触媒成分3の調製
上記の実施例8〜9の通りに調製した。
(2−2)プロピレンの重合
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。
(2−3)結晶性アイソタクチックポリプロピレンの除去
トルエン46.5gに上記のポリプロピレン3.5gを加え、1昼夜攪拌した。遠心分離したところ、透明な上澄み液が得られた。上澄み液の一部を取り出し、メタノール中に注ぎ、ポリマーを析出させた。ポリマーの解析結果を表3に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンならびに変性アイソタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件で、シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレンに対して、アクリル酸による変性を同時に行った。変性によりポリマー1分子あたりに導入された変性剤の量は4.7であった。
(4)変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合溶液の調製
上記(3)で合成した変性シンジオタクチックポリプロピレンと変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合物(アクリル酸変性ポリマー)をキシレンに溶解して、ポリマー濃度10%の溶液を調製した。
(5)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。表中の−は未測定である。
(実施例11)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表3に示す。
(2)アイソタクチックポリプロピレン(1)の合成
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレン(1)を合成した。重合結果を表3に示す。
(3)アイソタクチックポリプロピレン(2)の合成
表1に示す条件でプロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレン(2)を合成した。重合結果を表3に示す。
(4)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
表5に示す条件でシンジオタクチックプロピレンの変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(5)変性アイソタクチックポリプロピレン(1)の合成
表5に示す条件でアイソタクチックプロピレン(1)の変性を行った。変性によりポリプロピレン1分子あたりに導入された変性剤の量をあわせて示す。
(6)変性シンジオタクチックポリプロピレン、変性アイソタクチックポリプロピレン(1)及びアイソタクチックポリプロピレン(2)の混合溶液の調製
表6に示す条件で、変性シンジオタクチックポリプロピレン、変性アイソタクチックポリプロピレン(1)及びアイソタクチックポリプロピレン(2)の混合溶液を調製した。
(7)変性ポリプロピレン組成物の評価
得られた変性ポリプロピレン組成物について、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性を評価した結果を表6に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。表中の−は未測定である。
(比較例1〜2)
(1)ポリプロピレンの合成
表2に示す条件でプロピレンの重合を行い、ポリプロピレンを合成した。重合結果を表4に示す。
(2)ポリプロピレンの変性
表5に示す条件で、(1)で得られたポリプロピレンの変性を試みた。なお、これらのポリマーは溶剤に溶解することが出来なかったので、スラリー状態のままで変性を試みた。結果をあわせて示す。表から分かるように、これらのポリプロピレンは表5の条件では、ほとんど変性されなかった。
(3)ポリマーの評価
得られたポリマーについて、実施例と同様に、有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表7に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。
(比較例3)
(1)アイソタクチックポリプロピレンの合成
(1−1)不均一系触媒成分3の調製
上記の実施例8〜9の通りに、不均一系触媒成分3を調製した。
(1−2)プロピレンの重合
表2に示す条件で、プロピレンの重合を行い、アイソタクチックポリプロピレンを合成した。なお、この比較例では、結晶性アイソタクチックポリプロピレンの除去を行わなかった。したがって、可溶性のアイソタクチックポリプロピレンと結晶性アイソタクチックポリプロピレンが混ざった状態で存在している。
(2)アイソタクチックポリプロピレンの変性
表5に示す条件で、(1−2)で得られたポリプロピレンの変性を試みた。なお、このポリマーは、完全には溶剤に溶解することが出来なかったので、スラリー状態のままで変性を行った。結果をあわせて示す。
(3)アイソタクチックポリプロピレンの変性物の評価
得られたポリマーについて、実施例と同様に有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した結果を表7に示す。なお、それぞれの評価は2点ずつ行った。
(参考例1)
(1)シンジオタクチックポリプロピレンの合成
実施例1と同様にプロピレンの重合を行い、シンジオタクチックポリプロピレンを合成した。重合結果を表4に示す。
(2)変性シンジオタクチックポリプロピレンの合成
実施例1と同様にシンジオタクチックポリプロピレンをアクリル酸により変性させた。結果を表5に示す。
(3)変性シンジオタクチックポリプロピレンの評価
得られたポリマーについて、実施例と同様に有機溶剤への溶解性ならびにポリプロピレン材料に対する親和性、極性基に対する親和性、熱安定性を評価した。結果を表7に示す。
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
Figure 2005194481
比較例1〜3は、結晶性ポリプロピレンを含有するものであって、いずれも変性シンジオタクチックポリプロピレンを含有していない。そのため、有機溶剤に対する溶解性が悪く、ポリプロピレン又は極性材料に対する親和性が十分ではないか、熱安定性が十分ではない。これに対して、全ての実施例は、変性シンジオタクチックポリプロピレンを含有し、アイソタクチックポリプロピレン又は変性アイソタクチックポリプロピレンとの混合物であるため、有機溶剤に対する溶解性が高く、ポリプロピレン又は極性材料に対する親和性、熱安定性が良好であることが分かる。
また、参考例1のポリマーは、アクリル酸で変性した変性シンジオタクチックポリプロピレンのみからなるため、ポリプロピレンに対する親和性が十分ではない。これに対して、実施例1、4、5、9、10のポリマーは、アクリル酸で変性した変性シンジオタクチックポリプロピレンを含有する点では参考例1と同様であるが、この変性シンジオタクチックポリプロピレン64〜90wt%と、アイソタクチックポリプロピレン又は変性アイソタクチックポリプロピレン36〜10wt%を含有していることが相違する。変性シンジオタクチックポリプロピレンに、アイソタクチックポリプロピレン又は変性アイソタクチックポリプロピレンを配合することにより、ポリプロピレンに対する親和性(接着性)が改善されることが分かる。

Claims (2)

  1. (A)13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]の値が0.51〜0.88の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるシンジオタクチックポリプロピレンを変性した変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)(b1)ラセミダイアド分率[r]の値が0.12〜0.49の範囲にあり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるアイソタクチックポリプロピレン、及び/又は(b2)該アイソタクチックポリプロピレンを変性した変性アイソタクチックポリプロピレンからなる変性ポリプロピレン組成物であって、
    (A)変性シンジオタクチックポリプロピレンと、(B)アイソタクチックポリプロピレン及び/又は変性アイソタクチックポリプロピレンとを、(A)/(B)=99〜1/1〜99(重量比)の割合で含有してなることを特徴とする変性ポリプロピレン組成物。
  2. (A)変性シンジオタクチックプロピレン、又は(b2)変性アイソタクチックポリプロピレンは、下記一般式(1)、一般式(2)、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物のユニットから選ばれる少なくとも一種以上のユニットをポリプロピレン1分子鎖当り平均0.1〜500個含有することを特徴とする請求項1に記載の変性ポリプロピレン組成物。
    一般式(1)
    Figure 2005194481
    (式中、RはH、又はC1〜10のアルキル基;RはOR、Cl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン、NR 又はR―NR 基;RはH、又は―COR基、nは0.1〜100である。
    ここで、RはH、又はハロゲンを有しうるC1〜10のアルキル基;アルキル置換基を有しうる芳香族基;−(CH)a−O−P(O)(OR、又は−(CH)a−O−P(O)(O)(O−(CH)b−N (a及びbは夫々1〜5の整数);Li、Na、又はKから選択されるアルカリ金属M;C5〜10の脂環式炭化水素;グリシジル基;R−COCR=CH;ROR;RSi(OR、或いはR―NCOを示し、また、RはC1〜10のアルキレン基若しくは−[(CH)q−O−]r−であり、q及びrは夫々1〜5の整数を示す。)
    一般式(2)
    Figure 2005194481
    (式中、RはH、若しくはC1〜10のアルキル基、又はCl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン;RはAr−X’、OCO−R、CHO、COR、CN、ピリジル基、ピロリドニル基、Si(OR、C1〜10のハロゲン化アルキル、ハロゲン、OR、OSOM或いはNH−CO−R、mは0.1〜100である。
    ここで、X’はR、OH、COOH、NH、CN、NO、C1〜10のハロゲン化アルキル、CH=CH、又はOCO−Rのいずれか、RはH、又はC1〜10のアルキル基、Mは前記のアルカリ金属である。)
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