JP2013257184A - 酸素センサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】応答性に優れると共に、触媒の劣化診断をするにあたり、好適に利用できる酸素センサを製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】固体電解質体21の両面に、一対の電極としてPt被膜が被覆された酸素センサ素子11を備えた酸素センサ1である。固体電解質体21の両面のうち、少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に、形成されたPt被膜23には、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が、Ptに対して0.01〜0.5質量%含有されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、Pt被膜が被覆された酸素センサ素子を備えた酸素センサの製造方法に係り、特に、検出精度に優れた酸素センサの製造方法に関する。
従来から、酸素センサ(Oセンサ)は、酸素センサ素子を備えており、該酸素センサ素子は、ハウジング内に収納されている。例えば、有底円筒状(コップ状)の酸素センサ素子の場合には、酸素センサ素子は、酸素イオン伝導性を有したコップ状の固体電解質体と、該固体電解質体の内表面に設けられた内側電極と、固体電解質体の外表面に設けられた外側電極と、を備えたものが一般的に知られている。
このような酸素センサ素子は、内側電極を大気と接触させて基準電極とする一方、外側電極を被測定ガス(排ガス)と接触させて測定電極とすることで、内燃機関の排ガス中の酸素濃度を測定するものである。
近年、酸素センサ素子の性能を向上させるために外側電極について種々の検討がなされている。例えば、低温作動性・ガス応答性を改善するために、外側電極の電極材料結晶の平均粒径とその外側電極の膜厚を改良した酸素センサ素子が開示されている。ここでは、酸素センサ素子を構成する固体電解質体は、安定化ジルコニアからなり、この固体電解質体の表面に、電極材料としてPt(Pt)被膜が被覆されている。
電極に用いられるPt被膜として、例えば、Ptサーメットからなる無孔質の被膜を、めっきにより固体電解質体の表面に被覆した酸素センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、別の技術として、白金、金、ロジウム、ルテニウム、パラジウムの群から選ばれる貴金属、または当該貴金属を含む合金からなる電極を備えた酸素センサが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−105213号公報 特開2007−248334号公報
しかしながら、上述した酸素センサにおいて、酸素センサ素子の出力電圧は、ガス濃度によらずリッチ・リーンの雰囲気が切り替わるのに追従して迅速に変化することが望ましいが、上述したような従来の酸素センサ素子ではこの追従性(応答性)が十分であるとはいえない。特に、将来の排ガス規制、低燃費、および低コスト等の観点から応答性(特にリーンガスに対して)に優れた高感度・高精度の酸素センサ素子を備えた酸素センサを安定して供給することが望まれている。
一般に、酸素センサは、被測定ガス雰囲気が変化したことを大気の酸素量を基準にして出力値として示す。ゆえに、被測定ガス側の電極を介して、固体電解質体の界面の酸素状態を速く変化させる能力が、酸素センサの出力電圧の追従性の良し悪しを決定する。ここで、高濃度ガス雰囲気下では、酸素状態が迅速に変化するため、上述した応答性は特に問題にならない。
しかし、被測定ガスの低濃度ガス雰囲気下では、その酸素状態の変化に伴い、酸素センサ素子の反応時間が長くなる傾向にある。このため、被測定ガスの酸素濃度と酸素センサの出力電圧とに、一時的にズレが生じることがある。これにより、空燃比制御の制御性が悪くなり、この結果、内燃機関のエミッションが低下することがある。
ところで、自動車の内燃機関の空燃比制御では、触媒の上流側に配置されたA/Fセンサの出力信号に基づき、触媒に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)になるよう燃料噴射量がフィードバック制御されている。
一方、酸素センサは、触媒の下流側に配置される。酸素センサは、理論空燃比(ストイキ)近傍で出力電圧が急変する特性を有しているので、酸素センサ素子の出力電圧に基づいてA/Fセンサの出力目標値を補正する制御を行い、A/Fセンサの劣化等による出力信号の誤差分を補正している。
このようなフィードバック制御の実行により、吸気の空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)となるようにインジェクタからの燃料噴射量が調整され、排気ガスのエミッションが改善される。
ここで、上述したフィードバック制御を前提として、触媒の劣化診断制御(オンボードダイアグノーシス:OBD制御)をする場合、一般的に、Cmax法や軌跡長法などの手法が利用されている。これらの手法は、空燃比と、酸素センサの出力とで描かれるヒステリシスループを利用して、触媒中の酸素吸蔵量を推定し、その結果から触媒の劣化を診断している。したがって、酸素センサの特性には、ある程度の応答時間の余裕が必要となる。
しかしながら、上述したように、エミッションの観点では、リーン/リッチ応答速度が共に速いことが最良となるが、このような場合には、空燃比と、酸素センサの出力とで描かれる曲線は、ヒステリシスループの無いZ状のカーブとなるため、OBD制御への適用は困難となる。
本発明は、このような観点からなされたものであり、その目的とするところは、応答性に優れると共に、触媒の劣化診断をするにあたり、好適に利用できる酸素センサを提供することにある。
前記課題を鑑みて、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、排ガス規制強化の観点から、リーンガスに対する応答性(リッチガスからリーンガスへの切り替わり時の応答性)をより速くし、リッチガスに対する応答性(リーンガスからリッチガスへの切り替わり時の応答性)は従来と同等あるいは遅延させるような(応答時間が従来に比べて、ある程度緩和されるような)センサ特性を有する酸素センサが望ましいと考えた。
そして、このようなセンサ特性を有した酸素センサを得るためには、Pt電極のPtに対して特定の金属をこれまでの量よりも微量に含有させることにより、Ptの電子密度の制御によりガスの吸脱着性を変化させることができると考えた。具体的には、Ptの電子密度の制御で、NOガスおよびCOガスに対するそれぞれのガスの選択性、および、これらのガスに対する結合エネルギーを制御するができ、排気ガスに対する感度を変化させることができると考えた。これにより、リーンからリッチへの応答速度とリッチからリーンへの応答速度を制御することができると考えた。
このようにして、リッチからリーンへの応答性を高め、内燃機関のエミッションおよび低燃費を向上させ、かつ、リーンからリッチへの応答性を緩和することにより、触媒の劣化診断制御を精度良く行なうことができるとの新たな知見を得た。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明に係る酸素センサは、固体電解質体の両面に、一対の電極としてPt被膜が被覆された酸素センサ素子を備えた酸素センサであって、前記固体電解質体の両面のうち、少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に形成されたPt被膜には、Mo,Ru,またはNbのうち少なくとも1つの金属が、Ptに対して0.01〜0.5質量%含有されていることを特徴とする。
本発明によれば、Pt電極のPtに対して、Mo,Ru,Nbを0.01〜0.5質量%含有させることにより、Ptの電子密度を減少させ、この結果、排ガス中のNO応答速度を増大させる、すなわち、リッチからリーンへのセンサ応答性を高めことができる。
すなわち、Mo,Ru,またはNbのうち少なくとも1つの金属が0.5質量%を超えた場合には、Ptの電子密度はほとんど変化しないため、排ガス中のNO応答速度を増大させることが難しい。また、0.01質量%未満の場合には、添加した元素の効果を得ることが出来ず、Ptの電子密度はほとんど変化せず、同様に排ガス中のNO応答速度を増大させることが難しい。
一方、Pt電極のPtに対して、Rhを0.01〜0.5質量%含有させることにより、Ptの電子密度を増加させ、この結果、排ガス中のCO応答速度を減少させる、すなわち、リーンからリッチへのセンサ応答性を緩和させることができる。
すなわち、Rhが0.5質量%を超えた場合には、Ptの電子密度はほとんど変化しないため、排ガス中のCO応答速度を増大させることが難しい。また、0.01質量%未満の場合には、添加した元素の効果を得ることが出来ず、Ptの電子密度はほとんど変化せず、同様に排ガス中のCO応答速度を増大させることが難しい。
より好ましい態様としては、前記被測定ガスに曝される側に被覆されたPt被膜は、Ptに対して、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が添加されためっき液により成膜後、1000℃〜1200℃で加熱処理されたものである。
この態様によれば、前記被測定ガスに曝される側に被覆されたPt被膜を、Ptに対して、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの添加金属が添加されためっき液により成膜後、1000℃〜1200℃で加熱処理したPt被膜は、Pt被膜の表面に含有する添加金属が焼き飛ばされる。そのため、Pt被膜の表面に含有する添加金属の割合は、0.01質量%以下となる。なお、このような現象を発現するためには、加熱時間は、1〜2時間の範囲にあることが望ましい。
すなわち、加熱温度が1000℃未満または加熱時間が1時間未満である場合には、このような現象を発現することが難しく、加熱温度が1200℃を超える、または、加熱時間が2時間を越えた場合には、Ptの凝集が進むことがある。
より好ましい態様としては、少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に形成されたPt被膜の内部には、閉気孔が形成されており、該閉気孔の内部には、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガスが充填されている。
本発明によれば、酸素センサ素子の被測定ガスに曝される側のPt被膜の内部には、閉気孔が形成され、この内部には、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガスが充填されているので、リーンガス雰囲気下からリッチガス雰囲気下に切り替わったときに、Pt被膜の閉気孔の酸素が、三相界面における反応に対するバッファ相として作用する。この結果、リッチガスに対する応答性を緩和させて、触媒の劣化診断(OBD)制御を精度良く行なうことができる。
一方、リッチガス雰囲気下からリーンガス雰囲気下に切り替わった場合には、リーンガスに対する応答性(感度)を高め、リッチガスからリーンガスへの雰囲気の変化を早期にフィードバック制御することができ、内燃機関のエミッションをより高めることができる。
本発明によれば、応答性に優れると共に、触媒の劣化診断をするにあたり、好適に利用できる酸素センサを得ることができる。
本実施形態に係る酸素センサと該酸素センサに内蔵された酸素センサ素子の模式的断面図。 リッチからリーンへの変化時、およびリーンからリッチへの変化時におけるセンサの外側電極(Pt電極)における電極ガス反応の素過程を説明するための図。 添加金属を含有した外部電極におけるガスの反応制御を説明するための図。 実施例1〜4および比較例1における外側電極(Pt電極)の表面のPt4f光電子スペクトルを測定すべく、XPSによる結合エネルギーと強度の関係を示した図。 実施例1〜4の酸素センサおよび比較例1〜3の酸素センサの、リッチガスからリーンガスに変化したときの酸素センサの応答時間と、リーンガスからリッチガスに変化したときの酸素センサの応答時間との関係を示した図。 (a)は、比較例1および比較例4〜7のリッチガスからリーンガスに変化したときの酸素センサの応答時間を示した図であり、(b)は、比較例1および比較例4〜7のリーンガスからリッチガスに変化したときの酸素センサの応答時間を示した図。 実施例5〜8の酸素センサおよび参考例の低濃度リッチガスおよびリーンガスの応答時間の関係を示した図。
以下の本実施形態に係る酸素センサ(Oセンサ)の製造を実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る酸素センサと該酸素センサに内蔵された酸素センサ素子の模式的断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る酸素センサ1は、内燃機関の排気管に設置されるものであり、内燃機関の排ガス中の酸素濃度または未燃ガス濃度を検出し、該酸素濃度または未燃ガス濃度から内燃機関の燃焼室の空燃比を検出するものである。
具体的には、酸素センサ1は、酸素センサ素子11を内蔵しており、酸素センサ素子11は、ハウジング10に挿通固定されている。酸素センサ素子11の先端側は、二重構造の被測定ガス用カバー12によって保護されている。また、被測定ガス用カバー12には、被測定ガス(排ガス)を導入する被測定ガス導入口12aが設けられている。これにより、後述する被測定ガス用カバー12内に配置される外側電極23に、被測定ガスを導入することができる。
酸素センサ素子11は、例えば、有底円筒状(コップ状)の固体電解質体21と、固体電解質体21の両面に一対の電極23、24とを、少なくとも備えている。酸素センサ素子11の電極は、酸素センサ1のハウジング10に取り付けたときに被測定ガス用カバー12内に位置する。
より具体的には、ガスセンサ素子11の外表面には外側電極23となるPt被膜が被覆されており、外側電極23を覆う多孔質保護層(または拡散抵抗層)25がさらに、形成されている。
一方、酸素センサ素子11には、大気を導入する大気室22が形成されており、固体電解質体21の内表面には、内側電極24が被覆されている。このようにして、この酸素センサ素子11は、上述した一対の電極23,24のうち外側電極23は被測定ガスに曝され、内側電極24は基準ガス(大気)に曝されるよう構成されている。
なお、ここでは、酸素センサ素子として一般的に知られる、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を挙げることができるが、イオン伝導性を有し、耐熱性に優れた材料であれば特に限定されるものではない。さらに、後述するように、外側電極23の内部には、閉気孔23aが形成されており、閉気孔23aの内部には、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガスが充填(封入)されている。
酸素センサ1を内燃機関の排気管に取り付ける。このとき、大気に曝された内側電極24が基準電極となって、排ガスに曝された外側電極23が測定電極となって、外側電極23と内側電極24との間で、酸素濃度の差により濃淡電池が形成され、このときの電極間の電位差(電圧)を測定することにより、酸素濃度を測定することができる。
例えば、排ガスがリッチガスに変化した場合には、排ガスと大気ガスとの酸素濃度差が大きくなり、酸素センサの出力電圧が増加する。一方、排ガスがリーンに変化した場合には、排ガスと大気ガスとの酸素濃度差が小さくなり、酸素センサの出力電圧が減少する。
図2を用いて、リッチからリーンへの変化時、およびリーンからリッチへの変化時における酸素センサの応答特性と添加元素の影響を説明する。図2は、リッチからリーンへの変化時、およびリーンからリッチへの変化時におけるセンサの外側電極23(Pt電極)における電極ガス反応の素過程を示している。
図2に示すように、酸素センサの応答速度は、雰囲気ガスであるNOガスおよびCOガスとPt電極との吸脱着性に依存する。つまり、(1)Pt電極が吸脱着する、NOガスまたはCOガスを選択する制御をすること、および(2)Pt電極に対するNOガスまたはCOガスの吸脱着力すなわち結合エネルギを制御することができれば、センサ応答速度を変化させる(制御する)ことができる。
具体的に、具体的には、図2の上段に示すように、i)に示すように、リッチ雰囲気下では、Pt電極の表面にCOが吸着している。ここで、リッチ雰囲気からリーン雰囲気に変化したときには、ii)に示すように、Pt電極の表面からCOが脱離し、NOが吸着する。iii)さらに、リーン雰囲気に変化したときには、Pt電極の表面にNOが吸着した状態となる。その後、iv)に示すように、Pt電極の表面に吸着したNOが増加し、NOのOが、Pt電極の表面から内部に向かってPt粒子間に拡散する。このようにして、酸素センサの出力電圧が低下する。
ここで、リッチ雰囲気からリーン雰囲気へのセンサ応答速度を速くするには、i)〜iii)の過程において、Pt電極におけるNOが反応する反応サイトをつくることが重要であり、具体的には、Pt電極の表面に吸着したCOの吸着力を下げる、またはNOの解離吸着性を上げることが重要である。
一方、図2の下段に示すように、i)に示すように、リーン雰囲気下では、Pt電極の表面にOが吸着している。ここで、リーン雰囲気からリッチ雰囲気に変化したときには、ii)に示すように、Pt電極の表面において、NO、CO、およびOが反応し、Pt電極の表面に吸着したOが脱離する。その後、iii)に示すように、Pt粒子間に拡散したOがPt電極の内部から表面に向かって移動する。このようにして、酸素センサの出力電圧が増加する。
ここで、リーン雰囲気からリッチ雰囲気へのセンサ応答速度を遅くするには、i)およびii)の過程において、リーン雰囲気においてPt電極の表面に吸着しているOの結合力を高めることが重要である。
このような観点から、発明者の実験によれば、Pt電極におけるPtの電子密度に着眼した。そこで、Ptの電子密度を制御するには、Pt電極のPtに対してごく微量の金属を添加して、これをPt電極内に拡散させることにより可能となることがわかった。
すなわち、これまで、Ptに対してRu,Rhなどの金属を添加する場合には、この添加金属そのものに対しても上述した酸化還元反応を担わせることを目的としていた。すなわち、この場合には、Ptおよび添加元素それぞれが、個別に上述した酸化還元反応を担っていた。しかしながら、本発明の場合では、添加元素によりPtそのものを改質することを目的としており、Ptのみにより、排ガスに対する酸化還元反応を担わせるものである。その場合には、以下に示す添加金属をこれまでよりもごく微量に添加することにより、このようなPtの改質が達成できることがわかった。
このようにして、ごく微量の添加金属によるPtの電子密度の制御によりガスの吸脱着性を変化させることで、後述する実施例に示すように、Pt電極におけるリッチからリーンへの反応性を向上させ、リーンからリッチへの反応性の緩和を実現した。
具体的は、固体電解質体の両面のうち、少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に形成された外側電極(Pt被膜)23には、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が、Ptに対して0.01〜0.5質量%含有されている。
具体的にはNO応答速度を増大させる(リッチからリーンへのセンサ応答性を高める)ことを目的としてPtの電子密度を、Ptそのものの電子密度よりも低下させる添加金属としてMo,RuおよびNbを選択した。Ptに対して、上述した量のMo,RuおよびNbを添加することにより、Ptの電子密度が、Ptを添加しないものに比べて、低下することになる。
これにより、図3に示すように、Ptの電子密度の低下により、COガスとPtとの間における電子の逆供与を弱めるような効果を期待することができ、この結果、Pt電極の表面に吸着したCOの吸着力を下げることが可能となる。
また、Mo,Ru,またはNbのうち少なくとも1つの金属が、Ptに対して0.5質量%を超えた場合には、Ptの電子密度はほとんど変化しないため、排ガス中のNO応答速度を増大させることが難しい。また、Ptに対してMo,Ru,またはNbのうち少なくとも1つの金属が0.01質量%未満の場合には、添加した元素の効果を得ることが出来ず、Ptの電子密度はほとんど変化せず、同様に排ガス中のNO応答速度を増大させることが難しい。
なお、Sb,Pdなどの遷移金属を用いた場合には、Mo,Ru,またはNbに比べて、COに対するPtの吸着力が高くなってしまう。一方、Mo,Ru,またはNbを用いた場合と同等のCOに対するPtの吸着力を得るためには、Fe,Co,またはNiなどの添加金属も挙げることができる。しかしながら、添加金属を用いた場合には、添加金属そのものが酸化しやすいため、酸化レベルに起因した安定性を利用した酸素センサのPt電極に用いるには好ましくない。
一方、CO応答速度を減少させる(リーンからリッチへのセンサ応答性を緩和)ことを目的として、Ptの電子密度を、Ptそのものの電子密度よりも上昇させる添加金属としてRhを選択した。これにより、図3に示すように、Ptの電子密度の上昇により、NO分子とPt原子との間における電子の逆供与を高めるような効果を期待することができ、この結果、Pt電極の表面に吸着したOの結合力(吸着力)を高めることが可能となる。
ここで、外側電極におけるPtに対して、Rhが0.5質量%を超えた場合には、Ptの電子密度はほとんど変化しないため、排ガス中のCO応答速度を増大させることが難しい。また、Rhが0.01質量%未満の場合には、添加した元素の効果を得ることが出来ず、Ptの電子密度はほとんど変化せず、同様に排ガス中のCO応答速度を増大させることが難しい。
上述した酸素センサ素子11の製造方法を以下に説明する。まず、大気室22が形成された有底筒状のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる固体電解質体21を成形する。
次に、水素ガスなどの非酸化性ガス雰囲気下で無電解Ptめっき法により、固体電解質体21の外表面に、外側電極23として、内部に閉気孔23aが形成されるようにPt被膜を被覆する。
具体的には、ジニトロジアミンPt水溶液などのPt水溶液をめっき液と、表1に示すような塩化ロジウム、塩化ニオブ、塩化ルテニウム、またはモリブデンアンモニウム塩の水溶液を混合し、これを所定の液温まで加熱、還元剤等の添加剤を投入し、固体電解質体および/またはこれを把持した治具を揺動させずに、固体電解質体の外側表面にPtを析出させる。
Figure 2013257184
その後水洗・乾燥することで、膜厚1〜2μmの外側電極(Pt被膜)23が形成される。これにより、Pt被膜23のPtに対して、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が0.01〜0.5質量%含有された外側電極23を得ることができる。
ここで、閉気孔23aを形成するための方法としては、従来では、これまでに成膜時に、固体電解質体および/またはこれを把持した治具を揺動させている場合には、この揺動を行なわないようにする。さらに、閉気孔23aを形成するための別の方法としては、めっき液中へのめっきを安定化させる安定化剤を減量または投入しない。
また、外側電極(Pt被膜)23の内部に閉気孔23aを形成する別の条件としては、従来行なわれている成膜速度よりもより速い速度で、Pt被膜を成膜する。たとえば、従来の条件にくらべて、ジニトロジアミンPt水溶液の濃度を高めたり、そのpHを調整したり、めっき液の液温を高めたりする。
このような方法により、成膜途中において、Pt被膜の表面に発生する水素ガスが脱離せず、水素ガスが気泡として残存するので、この状態で成膜されたPt被膜には、閉気孔23a(外気と連通することがない閉空間を形成した気孔)が形成され、その後の熱処理により、閉気孔23aに大気よりも酸素ガス濃度の高いガスを充填することができる。なお、閉気孔を有する結晶粒の形成、および、発生した水素ガスによる影響で、Pt被膜の厚みは若干厚くなる傾向にある。
また、この他にも、無電解Ptめっき液を水素ガスなどの非酸化性ガスでバブリングすることにより、閉気孔23aをPt被膜の内部に形成してもよい。非酸化性ガスでバブリングすることにより、成膜途中のPt被膜の表面に、非酸化性ガスの気泡が付着し、この状態でPt被膜が成膜されるので、Pt被膜の内部に閉気孔23aを容易に形成することができる。
ここで、非酸化性ガスに水素ガスを用いることにより、水素ガスは分子量が小さいため、閉気孔23a内の水素ガスを放出する(後述する酸素ガスを含むガスに入れ替える)ことが容易にできる。
次に、この外側電極23を大気雰囲気下で、所定の加熱温度(焼成温度)(1000〜1200℃)で1〜2時間加熱し、外側電極23のPtの焼成を行う。これにより、無電解めっき処理のめっき液において、Ptに対してMo,Ru,NbまたはRhを0.01〜0.05質量を含有したPt電極を成膜し、これを1000〜1200℃の範囲で、2時間で加熱する。このようにして、外側電極23の表面に析出した、Mo,Ru,NbまたはRhの添加金属の一部が焼き飛ばされて、外側電極23の表面となる反応サイトに、ごく微量(0.005〜0.01質量)のMo,Ru,Nb、またはRhをPtに拡散させることができる。
次に、この外側電極23を保護するため、スピネル(MgAl)からなる多孔質保護層をプラズマ溶射法により形成する。さらに、固体電解質体(素子)の内表面を無電解Ptめっき法で内側電極24を形成する。なお、Pt被膜からなる内側電極24は、外側電極23の被覆時に、固体電解質体21の内表面に被覆してもよく、別途、従来の如く、PVDまたはCVDなど一般的に知られた方法によって、被覆してもよい。
次に、外側電極23および内側電極24が形成された酸素センサ素子11を、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガス雰囲気下で(好ましくは、酸素濃度50体積%以上の雰囲気、またはオゾンガスを含む雰囲気下で)、加熱する。
これにより、加熱工程において、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガス雰囲気下で、被測定ガスに曝される側に被覆されたPt被膜を加熱するので、このPt被膜の表面から閉気孔23aの内部に向かって酸素ガスが浸透・拡散する。さらに、その後、閉気孔23aの内部には、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガス(浸透・拡散されたガス)が充填され、閉気孔23aの周りには、Pt原子に酸素原子が吸着すると考えられる。
ここでは、前述した外側電極23の焼成温度よりも高い所定の加熱温度(1100〜1300℃)で1時間以上加熱する(Pt被膜をエージングする)。これにより、少なくとも外側電極23のPt被膜の結晶方位を(001)面に整列させることができる。
このような酸素センサ素子11を、図1に示すようにハウジング10に組み込んで、被測定ガス用カバー12を取り付けることにより、酸素センサ1を得ることができる。
ここで、一般的に、リッチガス(HC,H,およびCOを含む排ガス)雰囲気下では、固体電解質体21と外側電極(Pt被膜)23と排ガス中の酸素とが反応する三相界面における酸素濃度が、リーンガス(NOxを含む排ガス)雰囲気下よりも低い状態となる。そして、リッチガス雰囲気下から、リーンガス雰囲気下に切り替わったとき、三相界面における酸素濃度が上昇する。
本実施形態では、PtのPt電極に対して、Mo,Ru,またはNbを0.01〜0.5質量%添加し、Pt電極を上述した熱処理することにより、Ptの電子密度を減少させ、この結果、リーンガス雰囲気からリッチガス雰囲気に切り替わったときに、排ガス中のNO応答速度を増大させ、センサの応答速度を高めることができる。
さらに、外側電極(Pt被膜)23の閉気孔23aの内部およびその周りに酸素(原子または分子)が存在するため、三相界面の酸素濃度が低下する前に、閉気孔23aの内部およびその周りの酸素が低下する。すなわち、酸素を含む閉気孔23aが、三相界面の反応に対するバッファ相として作用する。この結果、リッチガスに対する応答性を緩和させて、触媒の劣化診断(OBD)制御を精度良く行なうことができる。これにより、触媒貴金属の劣化を適切に診断することができ、触媒貴金属のコストメリットを高めることができる。
一方、リッチガスからリーンガスに切り替わった場合には、Pt電極のPtに対して、Rhを0.01〜0.5質量%添加し、Pt電極を上述した熱処理することにより、Ptの電子密度を増加させ、この結果、排ガス中のCO応答速度を減少させ、センサ応答速度を緩やかにすることができる。
また、外側電極(Pt被膜)23の閉気孔23aの内部およびその周りに酸素を有するため、より迅速に、三相界面の酸素ガスの濃度を高めることができる。これにより、リーンガスに対する応答性(感度)を高めることができる。このような結果、リーンガスに含まれるNOxをより迅速に検出することができる。これにより、リッチガスからリーンガスへの雰囲気の変化を早期にフィードバック制御することができ、内燃機関のエミッションをより高めることができる。
さらに、無電解めっきによって、イットリア安定化ジルコニアなどの多結晶セラミックスへ外側電極(Pt被膜)23を被覆した場合、Pt被膜の結晶粒の結晶方位はランダムまたは[111]方向への成長が予測される。しかしながら、上述した加熱温度の範囲内において、外側電極(Pt被膜)23を加熱するので、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガス雰囲気下で高温熱処理される。この結果、外側電極(Pt被膜)23の結晶方位が変化し、酸素の解離・吸着の有利な(001)面の割合が高まった電極構造となる。
また、無電解Ptめっきにより形成された外側電極(Pt被膜)23は、微細なPt粒子群により形成されるため、上述したエージング処理条件で溶融し、その後、再結晶化するので、Pt被膜の結晶方位を(001)面に整列させ易い。
このようにして得られた酸素センサは、排ガス中の極低濃度のリーンガスに対する反応性(感度)をさらに向上させることができるので、排ガス中の雰囲気変化を早期にフィードバックでき、安定したエンジンシステムの制御を実現できる。これにより、従来の酸素センサと比較して内燃機関の低燃費および低エミッション化が可能となる。
また外側電極(Pt被膜)23のエージングにより、外側電極23および外側電極23/固体電解質体21の界面の構造がなまされ組織が安定化する。この結果、外側電極23は活性状態で安定化する(センサ使用温度において状態変化し難くなる)ため、センサ特性の経時変化が従来のものに比べて低減される。
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
以下に示すようにして、酸素センサを製作した。具体的には、有底筒状のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)(酸化イットリウム5mol%)からなる固体電解質体を成形した。次に、各固体電解質体の内表面に無電解Ptめっきにより、Pt被膜からなる内側電極を被覆した。具体的には、ジニトロジアミンPtの水溶液(2g/l)をめっき液とし、めっき液を50℃まで加熱した。
次に、めっき液に、還元剤として、80質量%ヒドラジン水溶液、4g/l、安定化剤、アンモニア水pH11〜12の範囲に調整し、固体電解質体を把持した治具を揺動させて、固体電解質体の内表面にPtを析出させた。その後、水洗・乾燥することで、膜厚1〜2μmの範囲となる内側電極(Pt被膜)を形成した。この内側電極を大気雰囲気下で、1000℃で1時間、ヒータで加熱し、Ptの焼成を行った。
次に、各固体電解質体の外表面に無電解Ptめっきにより、Pt被膜からなる外側電極を被覆した。具体的には、ジニトロジアミンPtの水溶液(2g/l)および塩化ルテニウムを純水で溶解した水溶液(0.5g/l)を、Ptに対して0.01〜0.5質量%(具体的には、0.1質量%)の範囲に収まるように混合し、混合しためっき液を50℃まで加熱した。
次に、めっき液に、還元剤として、80質量%ヒドラジン水溶液、4g/l、安定化剤、アンモニア水pH11〜12の範囲に調整し、固体電解質体を把持した治具を揺動させて(閉気孔なし)、固体電解質体の内表面にPtおよびPhを析出させた。その後、水洗・乾燥することで、膜厚1〜2μmの範囲となる外側電極(Pt被膜)を形成した。この外側電極を大気雰囲気下で、1000℃で1時間、ヒータで加熱し、Ptの焼成を行い合金化させた。
なお、ICPで分析を行った結果、この外側電極には、Ptに対して上述した量のRuが含有していた。また、EDXにおいて測定したところ、外部電極の表面には、Ptに対してRuが0.01質量%以下(検出限界以下)であった。すなわち、無電解めっきで、めっき液において、Ptに対してRuを0.01〜0.05質量を含有しためっき液を用いてPt電極を成膜し、これを1000℃の範囲で、1時間で加熱することにより、Ruの一部(ごく微量)が焼き飛ばされて、外部電極のPd外部電極の表面となる反応サイトにおいて、Ptに対してごく微量のRuが拡散していることがいえる。
さらに、この外側電極に、スピネル(MgAl)からなる多孔質保護層をプラズマ溶射法により、厚さ200μm形成した。さらに、外側電極の形成と同じ方法(無電解Ptめっき法)で、固体電解質体(素子)の内表面に内側電極を形成した。
外側電極および内側電極が形成された酸素センサ素子を窒素ガスに酸素濃度50体積%を混合したガス(大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガス)雰囲気下で、加熱温度1100℃で1時間、ヒータで加熱した(エージング処理をした)。このようにして得られた酸素センサ素子をハウジングに組み込み、酸素センサを得た。
(実施例2)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、塩化ニオブ(0.5g/l)を、Ptに対して0.01〜0.5質量%(具体的には、0.1質量%)の範囲に収まるように混合しためっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した点である。ICPで分析を行った結果、この外側電極には、Ptに対して上述した量のNbが含有されていた。また、EDXにおいて測定したところ、すべての外部電極の表面には、Ptに対してNbが0.01質量%以下(検出限界以下)であった。
(実施例3)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、外側電極に、モリブデンアンモニウム塩(0.5g/l)を、Ptに対して0.01〜0.5質量%(具体的には、0.1質量%)の範囲に収まるように混合しためっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した点である。ICPで分析を行った結果、この外側電極には、Ptに対して上述した量のMoが含有していることが確認できた。また、EDXにおいて測定したところ、すべての外部電極の表面には、Ptに対してMoが0.01質量%以下(検出限界以下)であった。
(実施例4)
実施例1と同じように、複数の酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、外側電極に、塩化ロジウム(0.2g/l)を、Ptに対して0.01〜0.5質量%(具体的には、0.05質量%)の範囲に収まるように混合しためっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した点である。ICPで分析を行った結果、この外側電極には、Ptに対して上述した量のRhが含有していることが確認できた。また、EDXにおいて測定したところ、すべての外部電極の表面には、Ptに対してRhが0.01質量%以下(検出限界以下)であった。
(比較例1)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、外側電極に、添加金属であるRuを添加せず、内側電極と同様のめっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した。具体的には、電極の気孔率を18%、担持量を固体電解質体に対して0.1質量%とした(上述した実施例1〜4と同等の気孔率および割合)、電極の気孔率を5%、担持量を固体電解質体に対して0.5質量%としたもの、を作製した。なお、後述する図5に示す比較例1の基準のプロット、図6(a),(b)の結果は、電極の気孔率を18%、担持量を固体電解質体に対して0.1質量%としたもの結果である。
(比較例2)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、外側電極に、塩化銀(1g/l)をPtに対してAgが0.2質量%となるように、添加しためっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した。
(比較例3)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、外側電極に、亜硫酸金ナトリウム(1g/l)をPtに対してAuが0.1質量%となるように、添加しためっき液を用いて、外側電極(Pt被膜)を形成した。
(比較例4〜7)
実施例1と同じように、酸素センサを作製した。実施例1と相違する点は、EDXの測定結果で、比較例4は、外側電極のPtに対してRhを2.2質量%含有させた点であり、比較例5は、外側電極のPtのRuを1.5質量%含有させた点であり、比較例6は、外側電極のPtに対してNbを1.5質量%含有させた点であり、比較例7の外側電極を、Ptに対してMoを1.5質量%含有させた点である。
<XPSによる分析>
実施例1〜4および比較例1における外側電極(Pt電極)の表面のPt4f光電子スペクトルを測定すべく、XPSによる結合エネルギーと強度の関係を測定した。この結果を図4に示す。この結果から、実施例1〜3の如く、Ru,Nb,またはMoを添加した電極は、比較例1のものよりも、強度のピーク(結合エネルギーが高い側のピーク値)は、左側にシフトしていた。この結果から、Ru,Nb,またはMoを上述した範囲でPtに添加し、加熱処理をすることで、Ptの電子密度が、Ptそのものの電子密度よりも低下したことがわかる。
一方、実施例4の如く、Rhを添加した電極は、比較例1のものよりも、強度のピークは、右側にシフトしていた。この結果から、Rhを上述した範囲でPtに添加することで、Ptの電子密度を、Ptそのものの電子密度よりも上昇したことがわかる。
<性能評価>
実施例1〜4および比較例4〜7の酸素センサに関して、性能評価試験を行った。具体的には、A/F14.6(ストイキ)近傍でガス環境がリッチからリーンになるよう、モデルガス特性評価装置にて数百ppm程度のリッチガスまたはリーンガスに暴露中、任意のタイミングで数百ppmのリーンガスまたはリッチガスに矩形切替を行い、切替時間から所定のセンサ電圧を示すまでの時間を測定した。
図5は、実施例1〜4の酸素センサおよび比較例1〜3の酸素センサの、リッチガスからリーンガスに変化したときの酸素センサの応答時間と、リーンガスからリッチガスに変化したときの酸素センサの応答時間との関係を示した図である。図6は、(a)は、比較例1および比較例4〜7のリッチガスからリーンガスに変化したときの酸素センサの応答時間を示した図であり、(b)は、比較例1および比較例4〜7のリーンガスからリッチガスに変化したときの酸素センサの応答時間を示した図である。
[結果および考察]
図5の比較例1の結果から示すように、Pt電極の気孔率および割合を変えることにより、一般的に破線に示すライン上を変化する。このラインを基準として、実施例2〜4に示す酸素センサのPt電極は、Mo,Ru,Nbを、Ptに対して0.01〜0.5質量%含有させることにより、リーンガス雰囲気からリッチガス雰囲気に切り替わったときに、排ガス中のNO応答速度を増大させ、センサの応答速度を高めることができたと考えられる。
一方、実施例2〜4のものに比べて、実施例1に示す酸素センサは、リッチガスからリーンガスに切り替わった場合には、Pt電極のPtに対して、Rhを0.01〜0.5質量%含有させることにより、Ptの電子密度を増加させ、この結果、排ガス中のCO応答速度を減少させた結果、センサ応答速度を緩やかにすることができたと考えられる。
一方、比較例2および3の如く、PtにAg,Auを添加した酸素センサは、比較例1の基準のものと同等の結果となった。
さらに、図6(a),(b)に示すように、リッチガスからリーンガスに変化したとき、リーンガスからリッチガスに変化したときのいずれの場合であっても、比較例4〜7のものは、比較例1よりもさらに酸素センサの応答速度が低下していることがわかり、実施例1〜4のものとは明らかに異なる結果となった。
(実施例5〜8)
実施例5〜8は、それぞれ実施例1〜4に対応する実施例であり、この実施例1〜4と同じようにして、酸素センサを作製した。それぞれの実施例が相違する点は、外側電極のPtに対してそれぞれの添加金属(順にRu、Nb,Mo,Rh)を0.01〜0.5質量%となるように添加した外部電極を備えた酸素センサを複数作製した点である。そして、これに対して、上述した性能評価試験を行った。この結果を、図7に示す。なお、図7には、Ptに添加金属を添加していない結果も参考例として合わせてプロットした。
[結果および考察]
図7に示すように、めっき液にRu、Nb,Mo,またはRhをPtに対して0.01〜0.5質量%となるように添加して、外側電極を成膜することにより、得られた酸素センサは、上述した結果1に示したものと同様の特性を有することが確認できた。
以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…酸素センサ,11…酸素センサ素子,12…被測定ガス用カバー,12a…被測定ガス導入口,21…固体電解質体,22…大気室,23…外側電極(Pt被膜),23a:閉気孔,24…内側電極

Claims (3)

  1. 固体電解質体の両面に、一対の電極としてPt被膜が被覆された酸素センサ素子を備えた酸素センサであって、
    前記固体電解質体の両面のうち、少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に形成されたPt被膜には、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が、Ptに対して0.01〜0.5質量%含有されていることを特徴とすることを特徴とする酸素センサ。
  2. 前記被測定ガスに曝される側に被覆されたPt被膜は、Ptに対して、Mo,Ru,Nb、Rhのうち少なくとも1つの金属が添加されためっき液により成膜後、1000℃〜1200℃で加熱処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ。
  3. 少なくとも被測定ガスに曝される側の表面に形成されたPt被膜の内部には、閉気孔が形成されており、該閉気孔の内部には、大気ガスよりも酸素ガス濃度が高いガスが充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素センサ。
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