JP6753433B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、起電力式又は電流式のガスセンサにおいて、特に排ガスと接触する検出電極の構成に関する。
起電力式のガスセンサは、例えば、内燃機関の排気管に配置され、内燃機関から排気管に排気される排ガスの空燃比が、理論空燃比に対してリッチ側にあるかリーン側にあるかを検出するために用いられる。排ガスの空燃比とは、内燃機関において燃料と空気の燃焼が行われた際の空燃比のことを示す。起電力式のガスセンサにおいては、固体電解質体に、排ガスに晒される検出電極と大気に晒される基準電極とが設けられたセンサ素子を用いる。そして、基準電極に接触する大気と検出電極に接触する排ガスとの酸素濃度の差に応じて、固体電解質体を介して電極間に生じる起電力を検出している。
また、電流式のガスセンサは、例えば、内燃機関の排気管に配置され、内燃機関から排気管に排気される排ガスの空燃比を定量的に検出するために用いられる。電流式のガスセンサにおいては、固体電解質体に、排ガスに晒される検出電極と大気に晒される基準電極とが設けられ、検出電極が、拡散抵抗層を介して排ガスが導入されるガス室内に配置されたセンサ素子を用いる。そして、検出電極と基準電極との間に電圧を印加し、拡散抵抗層を介してガス室内に排ガスが導入される際の限界電流特性を利用し、検出電極と基準電極との間に生じる電流によって排ガスの空燃比を検出している。
起電力式のガスセンサにおいて、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側に変化するときには、検出電極に到達する排ガス中の未燃成分を反応させるために、基準電極から検出電極へ酸素が移動し、各電極間には大きな起電力が生じることになる。そのため、この起電力の変化を検出することにより、排ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にあるかリーン側にあるかが判定される。電流式のガスセンサにおいては、空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にあるかリーン側にあるかによって、検出電極と基準電極との間に流れる電流の向きが変わり、空燃比がリッチ側にあるかリーン側にあるかが検出される。
また、排ガスの空燃比がリッチ側にあるときには、排ガス中のCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等の未燃ガスが検出電極に吸着しつつ、化学反応を行ってCO2(二酸化炭素)、H2O(水)等に変換される。そして、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときには、排ガス中のNO(一酸化窒素)等のNOx(窒素酸化物)が検出電極に到達する。このとき、特に、検出電極に吸着して残存するCOは、NOと反応することによって検出電極から離脱する。また、NOは、NとOに解離されて検出電極に吸着し、N2、O2等に変換される。
例えば、特許文献1においては、ガスセンサの電極として用いられる触媒材料を製造する方法として、原子のシミュレーションモデルによるガスの吸着エネルギーを算出することが記載されている。特許文献1においては、母材原子を置換原子によって置換することにより、触媒材料表面へのガスの吸着性を高め、ガスの化学反応を促進することが記載されている。
特開2008−43943号公報
しかしながら、発明者らの鋭意研究の結果、ガスセンサによって検出する排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側に変化したにも拘わらず、ガスセンサの電極間における起電力が降下せず、又はガスセンサの電極間に流れる電流が逆転せず、ガスセンサの出力がリッチ側を示す場合があることが判明した。この理由は、検出電極にNO等のNOxが到達しているものの、COの吸着性が強く、検出電極にCOが吸着した状態が維持されやすいためであることが分かった。
この場合には、排ガスの空燃比がリーン側にあるにも拘わらず、ガスセンサから内燃機関の制御装置へは排ガスの空燃比がリッチ側にあるとの情報が送信される。そして、排ガスに含まれるNO等によって、検出電極に吸着したCOが離脱されるまでは、ガスセンサによって排ガスの空燃比がリッチ側にあると検出される。その結果、内燃機関の制御装置によって制御される空燃比が、リーン側にシフトし、NOxの排出量が多くなるおそれがある。
一般的に、検出電極に対するCOの吸着エネルギーが高ければ、COに対する検出電極の触媒作用がより活性化され、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するときには、ガスセンサがリッチ側を迅速に検出することができる。しかし、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときには、発明者らの鋭意研究の結果、検出電極に対するNOの解離吸着エネルギーを考慮する必要があることが分かった。
特許文献1においては、検出電極に対するCO等の未燃ガスの吸着エネルギーを考慮して、検出電極の反応促進効果を高めることが記載されている。しかし、特許文献1においては、NOの解離吸着エネルギーについては一切考慮されていない。従って、特許文献1においては、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときの、ガスセンサの検出性能としての応答性を高める工夫はなされていない。
また、特許文献1においては、ガスの原子又は分子が母材原子及び置換原子のそれぞれの直上(オントップサイト)に配置された場合の吸着エネルギーを算出している。しかし、触媒材料としての電極の表面にガスが吸着することができる吸着サイトは、オントップサイト以外にもある。そして、ガスの吸着のしやすさを示す吸着エネルギーは、オントップサイト以外の吸着サイトの方が大きい(吸着しやすい)こともあり、オントップサイトの吸着エネルギーを計算するだけでは不十分であることが分かった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができるガスセンサを提供しようとして得られたものである。
本発明の第1の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)において、
前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さく、
及び/又は、前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きく、
前記貴金属元素は、Rh及びIrであり、
前記検出電極の貴金属成分は、その全体を100質量%としたとき、前記Ptを20〜90質量%、前記Rhを5〜60質量%、Irを1〜20質量%含有する、ガスセンサにある。
本発明の第2の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)において、
前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さく、
及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きく、
前記貴金属元素は、Rh及びIrであり、
前記検出電極の貴金属成分は、その全体を100質量%としたとき、前記Ptを20〜90質量%、前記Rhを5〜60質量%、Irを1〜20質量%含有する、ガスセンサにある。
本発明の第3の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さい第1条件と、
及び/又は、前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法にある。
本発明の第4の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さい第1条件と、
及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法にある。
本発明の第の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
前記検出電極の貴金属成分は、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金からなり、
前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さい第1条件と、
及び/又は、Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法にある。
本発明の第6の態様は、固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
前記検出電極の貴金属成分は、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金からなり、
前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さい第1条件と、
及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法にある。
前記第3及び第4の態様のガスセンサの製造方法においては、
Ptと前記貴金属元素との合金の貴金属粒子を含むペースト状の電極材料を、前記固体電解質体に配置し、前記固体電解質体及び前記電極材料を焼成して、前記固体電解質体の表面に前記検出電極を形成するに当たり、
前記貴金属粒子の平均粒径を2μm以下とすることができる
(第1及び第3の態様)
前記第1及び第3の態様のガスセンサは、Pt(白金)と、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素とを含む検出電極を有する。以下の説明において、Pt以外の貴金属元素のことを単に貴金属元素という。また、Ptと混合又は合金化された貴金属元素は、4種類の吸着サイトにおけるCO(一酸化炭素)分子の吸着エネルギー及びNO(一酸化窒素)の解離吸着エネルギーの大きさを考慮し、起電力式又は電流式のガスセンサの電極として多用されるPtとの比較によって選択されたものである。
CO分子の吸着エネルギーは、検出電極へのCO分子の吸着のしやすさ、吸着力の強さ(離れにくさ)等を表す値であり、吸着エネルギーが小さいほど、吸着しにくく、吸着力が弱いことを意味する。なお、COは、分子の状態で、触媒である検出電極の貴金属成分に吸着されるため、「CO分子の吸着エネルギー」を指標として用いる。CO分子は、ガスセンサによって起電力又は電流を検出する排ガスの空燃比がリッチ側にあるときに、排ガス中に未燃ガスとして存在する。
NOの解離吸着エネルギーは、検出電極へのNOの吸着のしやすさ、吸着力の強さ(離れにくさ)等を表す値であり、吸着エネルギーが大きいほど、吸着しやすく、吸着力が強いことを意味する。なお、NOは、N(窒素)とO(酸素)に解離された状態で、触媒である検出電極の貴金属成分に吸着されるため、「NOの解離吸着エネルギー」を指標として用いる。解離吸着エネルギーの「解離」とは、NOがNとOに分解されることを意味する。NO分子は、ガスセンサによって起電力又は電流を検出する排ガスの空燃比がリーン側にあるときに、排ガス中に存在する。
第1の態様のガスセンサ及び第3の態様のガスセンサの製造方法においては、貴金属成分としてPtのみを含有する検出電極を基準とし、この検出電極に比べて、貴金属成分がPtと貴金属元素との混合物又は合金からなる検出電極の、CO分子に対する吸着性能を弱めることと、NOに対する解離吸着性能を高めることとの少なくとも一方を行う。
具体的には、第1の態様のガスセンサ及び第3の態様のガスセンサの製造方法においては、CO分子の吸着性能は、CO分子の吸着エネルギーによって表し、NOの解離吸着性能は、NOの解離吸着エネルギーによって表す。そして、Pt及び貴金属元素について、4種類の吸着サイトのうちの同じ種類の吸着サイト同士を比較する。このとき、少なくとも1種類の吸着サイトにおいて、貴金属元素によるCO分子の吸着エネルギーがPtによるCO分子の吸着エネルギーよりも小さいことと、少なくとも1種類の吸着サイトにおいて、貴金属元素によるNOの解離吸着エネルギーがPtによるNOの解離吸着エネルギーよりも大きいこととの少なくとも一方が満たされるよう、Ptとの混合物又は合金となる貴金属元素が選択されている。
検出電極のCO分子に対する吸着性能が弱まることにより、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときに、検出電極からCO分子が離脱しやすくなる。これにより、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化したときには、CO分子が検出電極に吸着し続ける現象を緩和し、ガスセンサによってリーン側への変化を迅速に検出することができる。
検出電極のNOに対する解離吸着性能が高まることにより、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときに、排ガス中のNOがNとOに解離して(分解されて)検出電極に吸着しやすくなる。これにより、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときには、NOによって検出電極からCO分子が離脱しやすくし、ガスセンサによってリーン側への変化を迅速に検出することができる。
第1の態様のガスセンサ及び第3の態様のガスセンサの製造方法においては、4種類の吸着サイトに着目するとともに、CO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーに着目している。そして、PtよりもCO分子の吸着エネルギーが小さいいずれかの吸着サイト又はPtよりもNOの解離吸着エネルギーが大きいいずれかの吸着サイトを有する貴金属元素を、Ptとの混合物又は合金として検出電極に含有させることにより、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときのガスセンサの検出性能としての応答性を高めることができる。
それ故、第1の態様のガスセンサ及び第3の態様のガスセンサの製造方法によれば、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
(第2及び第4の態様)
第2の態様のガスセンサ及び第4の態様のガスセンサの製造方法においては、検出電極の貴金属成分を構成するPt及び貴金属元素について、4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値同士及び4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値同士を比較する。そして、貴金属元素によるCO分子の吸着エネルギーの最大値が、PtによるCO分子の吸着エネルギーの最大値よりも小さいことと、貴金属元素によるNOの解離吸着エネルギーの最大値が、PtによるNOの解離吸着エネルギーの最大値よりも大きいこととの少なくとも一方が満たされるよう、Ptとの混合物又は合金となる貴金属元素が選択されている。
それ故、第2の態様のガスセンサ及び第4の態様のガスセンサの製造方法によっても、第1及び第3の態様の場合と同様にして、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
(第の態様)
の態様のガスセンサの製造方法においては、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金によって検出電極を形成する。そして、PtによるCO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーを基準とし、この基準との、4種類の吸着サイトのうちの同じ吸着サイト同士の比較によって、検出電極の貴金属成分を構成する2種類以上の貴金属元素が選定されている。
それ故、第の態様のガスセンサの製造方法によっても、第1及び第3の態様の場合と同様にして、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
(第の態様)
の態様のガスセンサの製造方法においては、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金によって検出電極を形成する。そして、2種類以上の貴金属元素について、PtによるCO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーを基準とし、この基準との、CO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーの最大値同士の比較によって、検出電極の貴金属成分を構成する2種類以上の貴金属元素が選定されている。
それ故、第の態様のガスセンサの製造方法によっても、第1及び第3の態様の場合と同様にして、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
3及び第4の態様のガスセンサの製造方法においては、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの応答性を高める効果がより顕著に得られるガスセンサを製造する。具体的には、検出電極を形成するための電極材料における貴金属粒子の平均粒径を2μm以下とする。これにより、電極材料が固体電解質体とともに焼成されて形成された検出電極の表面を滑らかにすることができる。そのため、平均粒径が2μm超過である貴金属粒子を含む電極材料によって形成された検出電極に比べて、検出電極の表面に、CO分子及びNOが吸着しにくい状態を形成することができる。この結果、第3及び第4の態様のガスセンサの製造方法による応答性を高める効果をより顕著に得ることができる。
また、平均粒径が2μm以下である貴金属粒子を用いることにより、検出電極の表面が緻密化される。これにより、検出電極のCO分子及びNOに対する吸着性能、CO分子及びNOが分解される反応速度等を高めることができる。そして、排ガスの空燃比がリーン側かリッチ側へ変化するときのセンサ出力と、排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときのセンサ出力とのヒステリシスを低減させることができる。また、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するとき、及び排ガスの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの応答性(感度)を向上させることができる。
なお、本発明の各態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
実施形態1にかかる、ガスセンサの断面を示す説明図。 実施形態1にかかる、センサ素子の断面を示す説明図。 実施形態1にかかる、金属原子のシミュレーションモデルを示す説明図。 実施形態1にかかる、Pt、Rh、Ir及びPdの各金属原子の4種類の吸着サイトにおけるCO分子の吸着エネルギー[eV]を示すグラフ。 実施形態1にかかる、Pt、Rh、Ir及びPdの各金属原子の4種類の吸着サイトにおけるNOの解離吸着エネルギー[eV]を示すグラフ。 実施形態1にかかる、ガスセンサが配置された、内燃機関の排気管の周辺を示す説明図。 実施形態1にかかる、空燃比と三元触媒の浄化率[%]との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、他のセンサ素子の断面を示す説明図。 実施形態1にかかる、シミュレーションモデルを用いたCO分子の吸着エネルギーの算出の仕方を示す説明図。 実施形態1にかかる、シミュレーションモデルを用いたNOの解離吸着エネルギーの算出の仕方を示す説明図。 実施形態1にかかる、空燃比と電極間の起電力[V]との関係を示すグラフ。 実施例1にかかる、検出電極の温度に対する、NO、CO及びCO2の各ガスの挙動を示すグラフ。 実施例1にかかる、排ガスにおけるNO濃度に対する、電極間の起電力[V]の変化を示すグラフ。 実施例2にかかる、検出電極の貴金属粒子の平均粒径が7.4μmである場合に、排ガスの空燃比を変化させたときに検出されたセンサ出力の変化を示すグラフ。 実施例2にかかる、検出電極の貴金属粒子の平均粒径が2μmである場合に、排ガスの空燃比を変化させたときに検出されたセンサ出力の変化を示すグラフ。 実施例2にかかる、検出電極の貴金属粒子の平均粒径が1μmである場合に、排ガスの空燃比を変化させたときに検出されたセンサ出力の変化を示すグラフ。 実施例2にかかる、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が7.4μm、2μm、1μmである場合について、センサ出力が0.65Vとなるときの空燃比を示すグラフ。
前述したガスセンサにかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のガスセンサ1は、図1及び図2に示すように、固体電解質体21と、固体電解質体21に設けられて排ガスGと接触する検出電極22と、固体電解質体21に設けられて大気Aと接触する基準電極23とを有するセンサ素子2を備え、基準電極23と検出電極22とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力を検出するものである。検出電極22の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなる。以下の説明において、Pt以外の貴金属元素のことを単に貴金属元素という。
Pt及び貴金属元素は、図3に示すように、一配位の直上位置であるオントップサイトS1、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイトS2、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイトS3、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイトS4の4種類の吸着サイトを有する。吸着サイトとは、排ガスGに含まれるガスを吸着することができる原子の吸着部位のことをいう。
貴金属元素は、以下の第1条件及び第2条件の少なくともいずれかを満たす。第1条件は、図4に示すように、Ptと貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、貴金属元素における、4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、Ptにおける、4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さいことを条件とする。第2条件は、図5に示すように、Ptと貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、貴金属元素における、4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、Ptにおける、4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きいことを条件とする。
以下に、本形態のガスセンサ1について詳説する。
(ガスセンサ1)
図6に示すように、本形態のガスセンサ1は、酸素センサとも呼ばれ、車両等の内燃機関4の排気管41に配置され、排気管41を流れる排ガスGの空燃比がリッチ側又はリーン側のいずれにあるかを検出するものである。排気管41には、三元触媒42が配置されており、酸素センサとしてのガスセンサ1は、排気管41における三元触媒42の配置位置の下流側に配置される。そして、ガスセンサ1は、三元触媒42によって浄化された後の排ガスGが、リッチ側にあるかリーン側にあるかを検出する。
また、排気管41における三元触媒42の配置位置の上流側には、内燃機関4における燃料と空気との混合比である空燃比を定量的に検出する空燃比センサ1Xが配置されている。制御装置(ECU)40は、ガスセンサ1及び空燃比センサ1Xによる検出値を用いて、内燃機関4における空燃比を制御する。排気管41内には、三元触媒42の他に、NOxを吸蔵して還元するための触媒等が配置されていてもよい。そして、ガスセンサ1は、三元触媒42又は他の触媒からのCO、NOx等のしみ出しの有無を検出するために用いることができる。
図7に示すように、三元触媒42は、排ガスG中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)及びNOx(窒素酸化物)を浄化するものである。三元触媒42によるHC、CO、NOxの浄化率は、理論空燃比(A/F=14.5)の近傍において最大になる。そして、内燃機関4においては、吸気管43内に配置されたスロットルバルブ44の開度によって空気量が決定され、燃料噴射弁45から噴射される燃料量によって、空気量と燃料量との空燃比が調整される。
図1に示すように、ガスセンサ1は、センサ素子2の他に、センサ素子2の内周側に配置されたヒータ24、排気管41に取り付けられてセンサ素子2を保持するハウジング31、ハウジング31の先端側に取り付けられてセンサ素子2を覆う先端側カバー32、ハウジング31の基端側に取り付けられてセンサ素子2及びヒータ24の電気配線用の端子34等を覆う基端側カバー33等を有する。
図1及び図2に示すように、本形態のセンサ素子2は、有底円筒形状(コップ形状)を有する固体電解質体21と、固体電解質体21の外周面201に設けられた検出電極22と、固体電解質体21の内周面202に設けられた基準電極23とを有するコップ型のものである。検出電極22は、先端側カバー32に設けられた流通孔321を介して先端側カバー32内に流入する排ガスGに晒されており、基準電極23は、基端側カバー33に設けられた導入孔331を介して基端側カバー33内から固体電解質体21の内周側に流入する大気Aに晒されている。ヒータ24は、通電によって発熱するものであり、固体電解質体21及び各電極22,23を活性温度に加熱するものである。
検出電極22は、固体電解質体21の底部211が位置する先端側付近における外周面201の全周に設けられた検知部221と、外周面201の周方向の一部において検知部221から基端側に引き出されたリード部222と、リード部222の基端部に設けられた接続部223とを有する。検知部221は、排ガスGに晒されており、基準電極23とともにガス検出を行う部位である。接続部223は、リード線35が接続された端子34に接続される部位である。
また、基準電極23は、固体電解質体21の内周面202の略全体に設けられている。これ以外にも、基準電極23は、検出電極22と同様に内周面202に部分的に設けることもできる。
また、図8に示すように、センサ素子2は、板形状の固体電解質体21の一方の表面に検出電極22が設けられ、他方の表面に基準電極23が設けられた積層型のものとしてもよい。この場合には、ヒータ24を構成する発熱体24Aが、絶縁体25を介して固体電解質体21に積層される。また、検出電極22は、先端側カバー32の流通孔321、多孔質の保護層26及び拡散抵抗層27を経由して排ガスGが導入されるガス室28内に配置され、基準電極23は、基端側カバー33の導入孔331を経由して基端側から大気Aが導入されるダクト29内に配置される。
積層型のセンサ素子2は、電流式(限界電流式)のガスセンサとしての空燃比センサ1Xとして用いることができる。空燃比センサ1Xは、排ガスGの空燃比を定量的に検出するために用いられる。空燃比センサ1Xにおいては、検出電極22と基準電極23との間に、基準電極23をプラス側(電圧が高い側)として直流電圧が印加される。そして、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧を印加して電流を流す際に、拡散抵抗層27を介してガス室28内に導入される排ガスGの流量が飽和するときの限界電流特性を利用し、排ガスGの状態の変化に応じて検出電極22と基準電極23との間に生じる電流によって排ガスGの空燃比が検出される。
固体電解質体21は、その活性化温度において、酸素イオンを伝導させる性質を有する。固体電解質体21は、金属酸化物としてのジルコニア材料の焼結体として形成されている。本形態のジルコニア材料は、イットリア部分安定化ジルコニアからなる。ジルコニア材料は、ジルコニアを主成分とする種々の材料によって構成することができる。ジルコニア材料には、希土類貴金属元素もしくはアルカリ土類貴金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアを用いることができる。
本形態の検出電極22は、酸素、CO、NO等に対する触媒活性を有するものである。検出電極22の貴金属成分は、Ptの他に、Rh、Ir及びPdのうちから選ばれる1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなる。Rh、Ir又はPdの各貴金属元素は、起電力式のガスセンサ1において、少なくとも、Ptに比べてCO分子の吸着エネルギーを小さくするか、又はPtに比べてNOの解離吸着エネルギーを大きくするかを目的として、検出電極22に添加されたものである。
検出電極22は、固体電解質体21を構成するジルコニア材料と同様のジルコニア材料を含有する場合と含有しない場合とがある。検出電極22が固体電解質体21にめっき処理等によって設けられた場合には、検出電極22がジルコニア材料をほとんど含有していなくてもよい。一方、検出電極22が固体電解質体21にペースト材料の塗布及び焼成等を行って設けられた場合には、検出電極22は固体電解質体21との共材となるジルコニア材料を含有していてもよい。
図3に示すように、CO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーは、コンピュータによって動作するソフトウェアにおいて、原子及び分子のシミュレーションモデルMを設定して計算された値である。シミュレーションモデルMにおいては、Pt、Rh、Ir又はPdである金属原子の各層における縦方向及び横方向の配列数(セル数)を3×3セルとし、金属原子の高さ方向の層数を3層とした。同図において、第1層の金属原子をK1で示し、第2層の金属原子をK2で示し、第3層の金属原子をK3で示す。以下の説明においては、第1層をK1、第2層をK2で示すことがある。また、金属原子の配列の層間には20オングストローム(10-10m)の真空層を設け、金属原子の層は、最も安定な面としての面心立方格子構造の面とした。
(CO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギー)
図9に示すように、CO分子の吸着エネルギーEcは、シミュレーションモデルMの金属原子にCO分子が吸着(配置)されたときの自由エネルギーをE1、シミュレーションモデルMの金属原子のみの自由エネルギーをE2、及びシミュレーションモデルMのCO分子のみの自由エネルギーをE3としたとき、Ec=E1−E2−E3から算出した。金属原子には、Pt、Rh、Ir、Pdが適宜選択され、CO分子が配置される吸着サイトは、オントップサイトS1、ブリッジサイトS2、六方最密型のホローサイトS3又は面心立方型のホローサイトS4として適宜設定した。なお、CO分子は、C(炭素)を介して金属原子に吸着される。
図10に示すように、NOの解離吸着エネルギーEnは、シミュレーションモデルMの金属原子にNOから解離したNが吸着(配置)されたときの自由エネルギーをE4、シミュレーションモデルMの金属原子にNOから解離したOが吸着(配置)されたときの自由エネルギーをE5、シミュレーションモデルMの金属原子のみの自由エネルギーをE6、及びシミュレーションモデルMのNO分子のみの自由エネルギーをE7としたとき、En=E4+E5−2×E6−E7から算出した。金属原子には、Pt、Rh、Ir、Pdが適宜選択され、N及びOがそれぞれ配置される吸着サイトは、オントップサイトS1、ブリッジサイトS2、六方最密型のホローサイトS3又は面心立方型のホローサイトS4として適宜設定した。
表1には、Pt、Rh、Ir、PdによるCO分子の吸着エネルギー(eV)を示す。同表において、マイナスの数値が小さくなるほど、吸着エネルギーが小さく、すなわちCO分子を吸着しにくく、CO分子の吸着力が弱まることを示す。
表2には、Pt、Rh、Ir、PdによるNOの解離吸着エネルギー(eV)を示す。同表において、マイナスの数値が大きくなるほど、吸着エネルギーが大きく、すなわちNOを吸着しやすく、NOの吸着力が強まることを示す。
また、「top」は、図3に示すように、On-top site(オントップサイトS1)のことを示し、Pt、Rh、Ir又はPdである金属の原子配列を見たときに、最も表面側に位置する原子配列(第1層K1)における金属原子の表面を意味する一配位の金属原子の直上位置にCO分子、又はN及びOが吸着される場合の自由エネルギーのことを示す。
また、「bridge」は、同図に示すように、bridge site(ブリッジサイトS2)又はtwo-hold siteのことを示し、Pt、Rh、Ir又はPdである金属の原子配列を見たときに、第1層K1における2つの金属原子間を意味する二配位の金属原子の橋掛け位置にCO分子、又はN及びOが吸着される場合の自由エネルギーのことを示す。
また、「hcp hollow」は、同図に示すように、hexagonal close-packed hollow site(六方最密型のホローサイトS3)又はthree-hold siteのことを示し、Pt、Rh、Ir又はPdである金属の原子配列を見たときに、第1層K1における3つの金属原子間を意味する三配位の金属原子の窪み位置であって、この窪み位置の下方に、第1層K1の内側に位置する第2層K2の金属原子が存在する位置に、CO分子、又はN及びOが吸着される場合の自由エネルギーのことを示す。
また、「fcc hollow」は、同図に示すように、face-centered cubic hollow site(面心立方型のホローサイトS4)又はthree-hold siteのことを示し、Pt、Rh、Ir又はPdである金属の原子配列を見たときに、第1層K1における3つの金属原子間を意味する三配位の金属原子の窪み位置であって、この窪み位置の下方に、第2層K2の金属原子が存在しない位置に、CO分子、又はN及びOが吸着される場合の自由エネルギーのことを示す。
表1において、PtのオントップサイトS1におけるCO分子の吸着エネルギーに比べて、Rh及びPdのオントップサイトS1におけるCO分子の吸着エネルギーは小さい。また、PtのブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるCO分子の吸着エネルギーに比べて、Rh、Ir及びPdのブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるCO分子の吸着エネルギーは小さい。そして、Rh、Ir及びPdは、第1条件を満たす貴金属元素として選定される。
一方、PtのオントップサイトS1におけるCO分子の吸着エネルギーに比べて、IrのオントップサイトS1におけるCO分子の吸着エネルギーは大きい。
同表において、Rh,Ir,Pdの各吸着サイトにおけるCO分子の吸着エネルギーのうち、Ptの同吸着サイトにおけるCO分子の吸着エネルギーに比べて小さいものを、横長の丸で囲って示す。
表2において、PtのオントップサイトS1、ブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるNOの解離吸着エネルギーに比べて、Rh及びIrのオントップサイトS1、ブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるNOの解離吸着エネルギーは大きい。そして、Rh及びIrは、第2条件を満たす貴金属元素として選定される。
一方、PtのオントップサイトS1、ブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるNOの解離吸着エネルギーに比べて、PdのオントップサイトS1、ブリッジサイトS2、並びに六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のそれぞれにおけるNOの解離吸着エネルギーは小さい。
同表において、Rh,Ir,Pdの各吸着サイトにおけるNOの解離吸着エネルギーのうち、Ptの同吸着サイトにおけるNOの解離吸着エネルギーに比べて大きいものを、横長の丸で囲って示す。なお、Rh、IrのオントップサイトS1のNOの解離吸着エネルギーは、PtのオントップサイトS1のNOの解離吸着エネルギーに比べて大きいが、このエネルギーの絶対値が小さいため、横長の丸で囲っていない。
こうして、Rh、Ir及びPdは、少なくとも第1条件又は第2条件を満たし、Ptとの混合物又は合金を形成する貴金属元素として適切である。
また、Ptとの混合物又は合金を形成する貴金属元素は、第1条件及び第2条件の両方を満たす方が好ましい。従って、Ptとの混合物又は合金を形成する貴金属元素は、Rh及びIrの少なくとも一方とすることが好ましい。
また、検出電極22の貴金属成分は、PtとRhの混合物又は合金、PtとIrの混合物又は合金、PtとPdの混合物又は合金、PtとRhとIrの混合物又は合金、PtとRhとPdの混合物又は合金、PtとIrとPdの混合物又は合金、又はPtとRhとIrとPdの混合物又は合金とすることができる。
混合物とは、金属が原子のレベルでは混ざり合っておらず、例えば、粒子状、塊状等の金属が分散されたものをいう。合金とは、金属同士が完全に溶け込んでいる固溶体、結晶のレベルにおいては各金属がそれぞれ独立している共晶、原子のレベルにおいて一定割合で結合した金属間化合物等のことをいう。
また、貴金属には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の8種類の元素がある。これらの元素の中でも、検出電極22の貴金属成分として、Ptとの混合物又は合金を形成する貴金属元素は、Rh、Ir、Pdとすることが好ましい。
本形態においては、排ガスG中のCO分子及びNO分子に対する触媒活性を、起電力式のガスセンサ1に適した状態にするために、検出電極22の貴金属成分の選択の仕方に工夫をしている。一方、基準電極23は、排ガスGに接触するものではないため、基準電極23の貴金属成分は、従来と同様にPt等によって構成する。
(製造方法)
本形態のガスセンサ1の構成は、ガスセンサ1の製造方法として捉えることもできる。
具体的には、検出電極22におけるPtとの混合物又は合金を形成する貴金属元素を選定するに当たって、この貴金属元素は、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を満たすように選定する。第1条件及び第2条件については前述したとおりである。
また、検出電極22及び基準電極23は、めっき処理又は焼成処理を行って形成することができる。
めっき処理を行って検出電極22を形成するに当たっては、まず、固体電解質体21における電極の形成部に、固体電解質粒子を含有するゾルを付着させ、このゾルを加熱する。これにより、多数の固体電解質粒子が凝集して互いに接合し、固体電解質体21の表面に、凹凸の表面を有する多孔質の析出部を形成することができる。
次いで、めっき液を用いて析出部上にPt及び貴金属元素を含む検出電極22を形成する。このとき、めっき液が多孔質の析出部に含浸され、析出部の内部にもPt及び貴金属元素が析出した検出電極22が形成される。なお、めっき液を用いた電極の形成方法には、例えば、電解めっき法、無電解めっき法等がある。
また、焼成処理を行って検出電極22を形成するに当たっては、Pt及び貴金属成分の貴金属粒子、又はPtと合金化された貴金属粒子を、ペースト状にした電極材料を準備する。その際、必要に応じて、ペースト状の電極材料は、貴金属粒子と、共材となる固体電解質とを混合したものとしてもよい。そして、電極材料を、パット印刷、スクリーン印刷、手塗り等によって固体電解質体21の表面に塗布し、固体電解質体21及び電極材料を、600〜1450℃の温度環境下において焼成して、固体電解質体21の表面に検出電極22を形成することができる。
また、検出電極22は、めっき処理及び焼成処理の両方を行って形成することもできる。
具体的には、固体電解質体21にめっき処理によって形成された検出電極22を、硝酸イリジウム溶液、塩化イリジウム酸塩酸溶液、塩化イリジウム塩酸溶液、硝酸ロジウム溶液、塩化ロジウム酸塩酸溶液、塩化ロジウム塩酸溶液のうち少なくとも1種類以上の溶液に浸漬した後に、この固体電解質体21及び検出電極22を600〜1450℃の温度環境下において焼成することができる。
(作用効果)
本形態の起電力式のガスセンサ1は、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの応答性を改善したものである。
ここで、内燃機関4における燃料と空気との混合比率を示す空燃比において、燃料と空気とが完全燃焼するときの理論空燃比に比べて、燃料の混合比率が多い場合をリッチ側、燃料の混合比率が少ない側をリーン側という。そして、排ガスGの空燃比がリッチ側にあるときには、排ガスG中に、燃焼されなかった燃料による、CO分子等の未燃ガスが残存する。一方、排ガスGの空燃比がリーン側にあるときには、排ガスG中に、空気における酸素と窒素とが反応した、NO分子等の窒素酸化物(NOx)が存在する。
図11に示すように、起電力式のガスセンサの出力である起電力は、空燃比が理論空燃比としての14.5にあるときを境にして、リッチ側において高くなり、リーン側において低くなる。排ガスGの空燃比がリーン側にあるときには、基準電極23に接触する大気の酸素濃度が、検出電極22に接触する排ガスGの酸素濃度よりも高いことにより、基準電極23から検出電極22へ酸素が移動し、各電極22,23間には小さな起電力が生じる。一方、排ガスGの空燃比がリーン側からリッチ側に変化するときには、検出電極22に到達する排ガスG中の未燃成分を反応させるための大量の酸素が基準電極23から検出電極22へ移動し、各電極22,23間には大きな起電力が生じる。そのため、この起電力の大きさの変化を検出することにより、排ガスGの空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にあるかリーン側にあるかが判定される。
本形態のガスセンサ1は、Pt(白金)と、1種類又は2種類以上の貴金属元素とを含む検出電極22を有する。また、Ptと混合又は合金化された貴金属元素は、4種類の吸着サイトにおけるCO(一酸化炭素)分子の吸着エネルギー及びNO(一酸化窒素)の解離吸着エネルギーの大きさを考慮し、起電力式のガスセンサ1の電極として多用されるPtとの比較によって選択されたものである。
本形態のガスセンサ1においては、貴金属成分としてPtのみを含有する検出電極を基準とし、この検出電極に比べて、貴金属成分がPtと貴金属元素との混合物又は合金からなる検出電極22の、CO分子に対する吸着性能を弱めることと、NOに対する解離吸着性能を高めることとの少なくとも一方を行う。
本形態のガスセンサ1においては、Pt及び貴金属元素について、4種類の吸着サイトのうちの同じ種類の吸着サイト同士のCO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーを比較する。
そして、本形態の検出電極22においては、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を満たす1種類又は2種類以上の貴金属元素が、Ptとの混合物又は合金を形成する。
貴金属元素が第1条件を満たす場合には、検出電極22のCO分子に対する吸着性能が弱まり、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときに、検出電極22からCO分子が離脱しやすくなる。これにより、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときには、CO分子が検出電極22に吸着し続ける現象を緩和し、ガスセンサ1によってリーン側への変化を迅速に検出することができる。
また、貴金属元素が第2条件を満たす場合には、検出電極22のNOに対する解離吸着性能が高まり、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側に変化するときに、排ガスG中のNOがNとOに解離して検出電極22に吸着しやすくなる。これにより、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときには、NOによって検出電極22からCO分子が離脱しやすくし、ガスセンサ1によってリーン側への変化を迅速に検出することができる。
本形態のガスセンサ1においては、4種類の吸着サイトに着目するとともに、CO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーに着目している。そして、PtよりもCO分子の吸着エネルギーが小さいいずれかの吸着サイト又はPtよりもNOの解離吸着エネルギーが大きいいずれかの吸着サイトを有する貴金属元素を、Ptとの混合物又は合金として検出電極22に含有させることにより、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときのガスセンサ1の検出性能としての応答性を高めることができる。
それ故、本形態のガスセンサ1によれば、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
<実施形態2>
本形態のガスセンサ1においては、4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値同士及び4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値同士を比較して、検出電極22のPtとの混合物又は合金を形成する貴金属元素を選定する。
本形態の貴金属元素を選定する際の第1条件は、貴金属元素における、4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値が、Ptにおける、4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さいこととする。また、本形態の貴金属元素を選定する際の第2条件は、貴金属元素における、4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値が、Ptにおける、4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きいこととする。そして、第1条件及び第2条件の少なくとも一方が満たされるよう、Ptとの混合物又は合金となる貴金属元素が選定される。
排ガスG中のCO分子が検出電極22に吸着するときには、CO分子の吸着エネルギーが大きい吸着サイトほど、CO分子が先に吸着されやすいと考えられる。そして、検出電極22へのCO分子の吸着性能は、4種類の吸着サイトのうちのCO分子の吸着エネルギーの最大値による影響を大きく受けると考えられる。そのため、本形態においては、Ptと貴金属成分とについての吸着エネルギーの最大値同士の比較によって、貴金属成分を選定する。
また、排ガスG中のNOがNとOに解離して検出電極22に吸着するときには、NOの解離吸着エネルギーが大きい吸着サイトほど、N及びOが先に吸着されやすいと考えられる。そして、検出電極22へのNOの解離吸着性能は、4種類の吸着サイトのうちのNOの解離吸着エネルギーの最大値による影響を大きく受けると考えられる。そのため、Ptと貴金属成分とについての解離吸着エネルギーの最大値同士の比較によって、貴金属成分を選定する。
具体的には、実施形態1の表1に示すように、Pt、Rh及びIrの4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーにおいては、オントップサイトS1のCO分子の吸着エネルギーが最も大きい。また、Pdの4種類の吸着サイトにおいては、六方最密型及び面心立方型のホローサイトS3,S4のCO分子の吸着エネルギーが最も大きい。そして、PtとRh、Ir又はPdとについて、CO分子の吸着エネルギーの最大値同士を比較すると、第1条件を満たす貴金属元素としては、Rh及びPdが選定される。
同表において、Pt、Rh、Ir及びPdの4つの吸着サイトにおけるCO分子の吸着エネルギーの最大値には、(max)を付して示す。
一方、実施形態1の表2に示すように、Pt、Rh及びIrの4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーにおいては、ブリッジサイトS2のNOの解離吸着エネルギーが最も大きい。また、Pdの4種類の吸着サイトにおいては、ブリッジサイトS2及び面心立方型のホローサイトS4のNOの解離吸着エネルギーが最も大きい。そして、PtとRh、Ir又はPdとについて、NOの解離吸着エネルギーの最大値同士を比較すると、第2条件を満たす貴金属元素としては、Rh及びIrが選定される。
同表において、Pt、Rh、Ir及びPdの4つの吸着サイトにおけるNOの解離吸着エネルギーの最大値には、(max)を付して示す。
こうして、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を満たす、Ptとの混合物又は合金を形成する貴金属元素として、Rh、Ir及びPdが選定される。
本形態のガスセンサ1によっても、実施形態1の場合と同様にして、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの検出性能としての応答性を高めることができる。
本形態のガスセンサ1におけるその他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態3>
本形態のガスセンサ1においては、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金によって検出電極22を形成する。また、本形態のガスセンサ1においては、実施形態1の場合と同様に、PtによるCO分子の吸着エネルギー及びNOの解離吸着エネルギーを基準とし、この基準との、4種類の吸着サイトのうちの同じ吸着サイト同士の比較によって、検出電極22の貴金属成分を構成する2種類以上の貴金属元素を選定する。
この2種類以上の貴金属元素の選定は、実施形態1の場合と同様に行われ、Rh、Ir及びPdが選定される。そして、本形態の検出電極22の貴金属成分は、Rh及びIrの混合物又は合金、Rh及びPdの混合物又は合金、Ir及びPdの混合物又は合金、又はRh、Ir及びPdの混合物又は合金として選定される。
本形態のガスセンサ1におけるその他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態4>
本形態のガスセンサ1においては、実施形態3の場合と同様に、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金によって検出電極22を形成する。また、本形態のガスセンサ1においては、実施形態2の場合と同様に、4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値同士及び4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値同士を比較して、検出電極22のPtとの混合物又は合金を形成する貴金属元素を選定する。
本形態においても、実施形態2と同様に、検出電極22の貴金属成分を構成する貴金属元素として、Rh、Ir及びPdが選定される。
本形態のガスセンサ1におけるその他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態5>
本形態は、検出電極22の貴金属成分が、Ptと貴金属元素との合金の貴金属粒子によって形成される場合について示す。
貴金属元素は、Rh、Ir及びPdのうちから選ばれる1種類又は2種類以上の貴金属元素からなる。本形態の貴金属元素は、Rhによって構成されている。また、検出電極22の貴金属成分を構成する貴金属粒子の平均粒径は2μm以下である。検出電極22は、貴金属粒子の焼結体として形成されている。
また、電極材料の全体における少なくとも90%以上の貴金属粒子の粒径は、2μm以下であることが好ましい。また、電極材料の全体における貴金属粒子の粒径が、2μm以下であることがさらに好ましい。
電極材料における貴金属粒子の平均粒径は小さくなるほど、検出電極22の電極形成時のガス吸着面量及び反応界面量の少なくとも一方を調整しやすいため好ましい。また、電位式のガスセンサ1においては、ガス吸着面量及び反応界面量が少なくなることが好ましい。一方、電流式のガスセンサ1においては、吸着面量が少なく反応界面量が多くなることが好ましい。電極材料における貴金属粒子の平均粒径が大きくなると、ガス吸着面量が多く反応界面量が少なくなる。そのため、電極材料における貴金属粒子の平均粒径は小さい方が好ましい。ただし、製造上等の観点から、電極材料における貴金属粒子の平均粒径は、例えば、0.05μm以上とすることができる。また、センサ出力に生じるヒステリシスを少なくするという効果の観点からは、電極材料における貴金属粒子の平均粒径は、例えば、0.5μm以上とすることもできる。
また、基準電極23の貴金属成分は、Ptの貴金属粒子によって形成されている。基準電極23の貴金属成分を構成する貴金属粒子の平均粒径は、0.5〜3μmである。基準電極23は、貴金属粒子の焼結体として形成されている。
貴金属粒子の粒径とは、貴金属粒子がいかなる形状であっても、最も長くなる部分の長さである最大粒径のことをいう。貴金属粒子の最大粒径とは、例えば、貴金属粒子が球状である場合には、その直径のことをいい、貴金属粒子が複雑な形状である場合には、最も長くなる部分の長さのことをいう。
また、貴金属粒子の平均粒径とは、貴金属粒子の粒度分布の平均値のことをいい、具体的には、任意に100個の貴金属粒子の最大粒子径を測定した場合の数平均粒径とすることができる。
貴金属粒子の最大粒径は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いた観察によって測定することができる。この最大粒径は、例えば、イオンビーム加工等によって検出電極22の断面を露出させ、この断面をSEM(走査電子顕微鏡法)等によって観察して測定することができる。
検出電極22及び基準電極23に含まれる貴金属粒子は、検出電極22及び基準電極23が所定の温度で焼成されていることにより、隣り合う粒子同士が接合された状態にある。ただし、隣り合う粒子同士が接合されていても、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いた観察によって1つ1つの粒子の外形を観測することができる。そのため、各電極22,23における貴金属粒子の最大粒径を測定し、測定した最大粒径に基づいて、平均粒径を求めることができる。
また、貴金属粒子の平均粒径は、レーザ回析・散乱法によって求めることもできる。この場合に、平均粒径は、粒径分布の算術平均径としての体積平均径によって求めることができる。
本形態の固体電解質体21は、実施形態1の図8に示した板状のものである。また、センサ素子2は積層型のものであり、各電極22,23は、ペースト状の電極材料が焼成されて形成されたものである。各電極22,23には、貴金属粒子の他に、固体電解質体21と同じ固体電解質の成分が含まれる。この固体電解質の成分は、固体電解質粒子によって構成することができる。固体電解質体21は、ジルコニア材料の焼結体として形成されている。各電極22,23は、貴金属粒子及び固体電解質粒子の焼結体として形成されている。
次に、本形態のガスセンサの製造方法について示す。
固体電解質体21の表面に検出電極22を形成するに当たっては、Ptと貴金属元素との合金の貴金属粒子を含むペースト状の電極材料を準備する。電極材料には、貴金属粒子の他に、固体電解質体21を構成する固体電解質及び溶媒等が含まれる。また、電極材料における貴金属粒子の平均粒径は、2μm以下とする。
次いで、電極材料を固体電解質体21に印刷等によって配置し、固体電解質体21及び電極材料を焼成する。また、この焼成を行う際には、固体電解質体21に、基準電極23を構成する電極材料を印刷等によって配置し、また、絶縁体25、発熱体24A等を積層して、センサ素子2の中間体を形成する。
そして、中間体が焼成されてセンサ素子2が形成されたときには、検出電極22における複数の貴金属粒子及び複数の固体電解質粒子のそれぞれが互いに結合され、検出電極22における隙間が極力埋められる。また、検出電極22における複数の貴金属粒子及び複数の固体電解質粒子が、固体電解質体21における複数の固体電解質粒子と結合される。
本形態のガスセンサ1においては、検出電極22を構成する貴金属粒子の平均粒径が2μm以下であることにより、検出電極22の電極形成時のガス吸着面量及び反応界面量の少なくとも一方を調整しやすいため好ましい。この検出電極22により、平均粒径が2μm超過である貴金属粒子を含む検出電極22に比べて、検出電極22の表面に、CO分子及びNOが吸着しにくい状態を形成することができる。この結果、ガスセンサ1による応答性を高める効果をより顕著に得ることができる。
また、平均粒径が2μm以下である貴金属粒子を用いることにより、検出電極22のCO分子及びNOの吸着量が低減される。これにより、検出電極22の電極表面におけるCO分子とNO分子とが置換される速度を速めることができ、検出電極22における電位変化又は電流変化が起きやすくなり、ガスセンサ1の応答性が向上する。そして、排ガスGの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するときのセンサ出力と、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときのセンサ出力とのヒステリシスを低減させることができる。また、排ガスGの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するとき、及び排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの応答性(感度)を向上させることができる。
<実施例1>
本例においては、実施形態1〜4に基づいて選定される貴金属成分を含有する検出電極22を備えたガスセンサ1である実施品1〜5を示す。そして、NO−CO反応開始温度、及び検出電極22に接触する排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化したときの排ガスGにおけるNO濃度について測定した。また、比較のために、貴金属元素を単体で含有する検出電極を備えたガスセンサである比較品1〜4についても、同様の測定を行った。また、測定結果においては、検出電極22の貴金属成分がPtのみである場合と比較して、Ptのみの場合よりも改善されているかを確認した。
実施品1は、検出電極22が貴金属成分としてPt及びIrを含有し、PtとIrの含有比率を、質量比で、Pt:Ir=6:1としたものである。実施品2は、検出電極22が貴金属成分としてPt及びRhを含有し、PtとRhの含有比率を、質量比で、Pt:Rh=6:4としたものである。
実施品3は、検出電極22が貴金属成分としてPt及びPdを含有し、PtとPdの含有比率を、質量比で、Pt:Pd=6:4としたものである。実施品4は、検出電極22が貴金属成分としてPt、Rh及びIrを含有し、PtとRhとIrの含有比率を、質量比で、Pt:Rh:Ir=6:4:1としたものである。実施品5は、検出電極22が貴金属成分としてRh及びIrを含有し、RhとIrの含有比率を、質量比で、Rh:Ir=4:1としたものである。
また、比較品1は、検出電極22が貴金属成分としてPtを含有するものであり、比較品2は、検出電極22が貴金属成分としてIrを含有するものである。比較品3は、検出電極22が貴金属成分としてRhを含有するものであり、比較品4は、検出電極22が貴金属成分としてPdを含有するものである。
実施品1〜5及び比較品1〜4においては、検出電極22及び基準電極23が設けられた固体電解質体21は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)とし、基準電極23の貴金属成分はPtとした。
また、NO−CO反応開始温度は、昇温反応法(TPR)に基づき、NO及びCOのそれぞれが200ppmずつ含まれる、ベースガスとしてのHe(ヘリウム)を、検出電極22に接触させ、20℃/分の昇温速度で100℃から800℃まで昇温したときに、NOとCOが反応を開始する温度として測定した。NO−CO反応は、検出電極22に接触する排ガスGの空燃比が、リッチ側からリーン側へ変化するとき、検出電極22に吸着して残存するCOが、リーン側の排ガスGに含まれるNOと反応するときに生じる。COとNOが反応したときには多くのCO2が発生するため、CO2の発生量を監視することによって、COとNOの反応の進行状態を確認することができる。
COとNOが反応を開始する温度が低いほど、ガスセンサ1の温度が低い状態においても、検出電極22に残存するCOが検出電極22に到達するNOと反応しやすいことを意味し、検出電極22が、リッチ側からリーン側への空燃比の変化を検出しやすいと言える。
また、図12には、NO−CO反応開始温度の測定を行った一例について、ガスセンサ1における検出電極22の温度[℃]に対する、NO、CO及びCO2の各ガスの挙動を質量分析計によって計測した結果によって示す。各ガスの挙動は、質量分析計によって計測されるイオン電流[A]として示す。同図においては、200℃付近よりも高い温度において、NOとCOが反応して、CO2が発生していることが分かる。この場合のNO−CO反応開始温度は200℃であると捉えることができる。
検出電極22に接触する排ガスGにおけるNO濃度は、COが200ppm含まれる、600℃のベースガスを検出電極22に接触させ、このベースガスにNOを徐々に加えていき、電極22,23間の起電力が閾値である0.6Vよりも低くなるときのNOの濃度として測定した。ガスセンサ1が、排ガスGの空燃比のリッチ側からリーン側への変化を検出したときには、電極22,23間の起電力(電圧)が降下する。起電力が降下するときのNOの濃度が低いほど、より少ないNOの検出電極22への到達によって、NO−CO反応が起こり、起電力が降下したことになる。従って、このNOの濃度が低いほど、検出電極22がリッチ側からリーン側への空燃比の変化を検出しやすいと言える。
また、図13には、排ガスGにおけるNO濃度の測定を行った一例について、NO濃度[ppm]に対する、電極22,23間の起電力[V]の変化を示す。同図においては、NO濃度が200ppm付近にあるときに、起電力が0.6Vの閾値を跨いで降下していることが分かる。この場合の排ガスGにおけるNO濃度は200ppmであると捉えることができる。
表3に、本例における測定結果を示す。
検出電極22の貴金属成分がPtである比較品1のNO−CO反応開始温度が550℃であったことに対し、実施品1〜5のNO−CO反応開始温度は550℃よりも低くなった。また、比較品1の起電力が閾値である0.6Vよりも降下するときのNOの濃度が210ppmであったことに対し、実施品1〜5の起電力が0.6Vよりも降下するときのNOの濃度は210ppmよりも低くなった。この結果より、実施品1〜5は、Ptを貴金属成分とする比較品1の検出電極の場合に比べて、リッチ側からリーン側への空燃比の変化を検出しやすいと言える。
また、特に、検出電極22の貴金属成分が、Pt、Rh及びIrを含有する実施品4については、NO−CO反応開始温度及びNOの濃度が最も低く、リッチ側からリーン側への空燃比の変化を最も検出しやすいことが分かった。
検出電極22の貴金属成分におけるPt、Rh及びIrの含有比率は、貴金属成分の全体を100質量%としたとき、Pt:20〜90質量%、Rh:5〜60質量%、Ir:1〜20質量%含有することが好ましい。Ptの含有量はRhの含有量よりも多く、Rhの含有量はIrの含有量よりも多いことが好ましい。
Ptの含有量が20質量%未満である場合には、検出電極22の酸素離脱性が悪化し(検出電極22から酸素が離脱しにくくなり)、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するときの応答性が悪化するおそれがある。一方、Ptの含有量が90質量%超過である場合には、検出電極22の触媒活性を向上させる効果が低くなるおそれがある。
Rhの含有量が5質量%未満である場合には、検出電極22の触媒活性を向上させる効果が低くなるおそれがある。一方、Rhの含有量が60質量%超過である場合には、検出電極22の酸素離脱性が悪化し、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するときの応答性が悪化するおそれがある。
Irの含有量が1質量%未満である場合には、検出電極22の触媒活性を向上させる効果が低くなるおそれがある。一方、Irの含有量が20質量%超過である場合には、検出電極22の酸素離脱性が悪化し、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側へ変化するときの応答性が悪化するおそれがある。
また、本例においては、実施品4(Pt:Rh:Ir=6:4:1)を、電流式のガスセンサとしての空燃比センサ1X(実施形態1)として用いる場合の応答性について確認した。応答性の確認は、排ガスGの空燃比が理論空燃比(ストイキ)からリッチ側に変化するとき、及び排ガスGの空燃比が理論空燃比(ストイキ)からリーン側に変化するときの63%応答時間によって行った。63%応答時間は、排ガスGの空燃比がステップ状に変化したときに、排ガスGの空燃比が変化したときから、空燃比センサ1Xの電流値が最終値の63%の大きさになるまでの時間として測定した。
また、排ガスGの空燃比がストイキからリッチ側に変化するときは、ストイキ状態にあるモデルガスにCOを800ppm含ませることによって実現した。また、排ガスGの空燃比がストイキからリーン側に変化するときは、ストイキ状態にあるモデルガスにNOを800ppm含ませることによって実現した。空燃比センサ1Xに供給される排ガスGの流速は1[m/s]とした。また、比較のために、検出電極の貴金属成分がPtからなる比較品1の空燃比センサについても63%応答時間を測定した。
63%応答時間を測定した結果、ストイキからリッチ側に変化するとき及びストイキからリーン側に変化するときのいずれにおいても、比較品1の空燃比センサの63%応答時間に対して、実施品4の空燃比センサ1Xの63%応答時間は約30%程度短縮されることが確認された。この結果より、電流式のガスセンサにおいても、排ガスGの空燃比がリッチ側からリーン側へ変化するときの応答性が良好であることが確認された。
<実施例2>
本例においては、起電力式のガスセンサ1について、検出電極22を構成する貴金属粒子の平均粒径を変化させたときのセンサ出力の変化を確認した。
固体電解質体21には、イットリア部分安定化ジルコニアを用い、基準電極23を構成する貴金属粒子の平均粒径は、2.2μmとした。検出電極22の貴金属成分は、Pt−Rh−Ir合金(Pt:Rh:Ir=6:4:1)によって構成した。基準電極23の貴金属成分は、Ptによって構成した。ガスセンサ1は、内燃機関4の排気管41における、三元触媒42に対する排ガスGの流れの下流側に配置した。
検出電極22の貴金属粒子の平均粒径[μm]は、7.4μm、2μm、1μmの3種類に変化させた。そして、3種類の検出電極22をそれぞれ用いた各ガスセンサ1において、ガスセンサ1に接触させる排ガスの空燃比をリッチ側Rとリーン側Lとの間で変化させたときのセンサ出力[V]の変化を確認した。
図14〜図16には、排ガスの空燃比[A/F]を変化させたときに検出されたセンサ出力[V]の変化を示す。図14は、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が7.4μmである場合を示し、図15は、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が2μmである場合を示し、図16は、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が1μmである場合を示す。理論空燃比は、14.5であるとし、センサ出力は14.5の付近を境に大きく変化する。
検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が7.4μmである場合には、排ガスの空燃比がリーン側Lからリッチ側Rへ変化するときのセンサ出力ラインL1と、排ガスの空燃比がリッチ側Rからリーン側Lへ変化するときのセンサ出力ラインL2とのヒステリシスが大きくなることが確認された。また、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が2μmである場合及び1μmである場合には、センサ出力ラインL1とセンサ出力ラインL2とのヒステリシスが小さくなることが確認された。また、このヒステリシスは、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が小さくなるほど小さくなることが確認された。
図17には、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径[μm]が7.4μm、2μm、1μmである場合について、センサ出力[V]が0.65Vとなるときの空燃比を示す。センサ出力が0.65Vである場合は、センサ出力がH(High)の状態からL(Low)の状態へ変化したことの閾値として表される。空燃比がリーン側Lからリッチ側Rへ変化するときには、空燃比は大きくなるほど検出電極22のCOの感度が良いことを示す。また、空燃比がリッチ側Rからリーン側Lへ変化するときには、空燃比は小さくなるほど検出電極22のNOxの感度が良いことを示す。
同図に示すように、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径が小さくなるにつれて、検出電極22のCOの感度及び検出電極22のNOxの感度がともに上昇することが確認された。この結果より、検出電極22の貴金属粒子の平均粒径を2μm以下とすることにより、センサ出力のヒステリシスが改善され、特に、排ガスGの空燃比がリッチ側Rからリーン側Lへ変化するときの応答性が高くなることが確認された。
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
1 ガスセンサ
2 センサ素子
21 固体電解質体
22 検出電極
23 基準電極
S1 オントップサイト
S2 ブリッジサイト
S3 六方最密型のホローサイト
S4 面心立方型のホローサイト

Claims (7)

  1. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
    前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さく、
    及び/又は、前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きく、
    前記貴金属元素は、Rh及びIrであり、
    前記検出電極の貴金属成分は、その全体を100質量%としたとき、前記Ptを20〜90質量%、前記Rhを5〜60質量%、Irを1〜20質量%含有する、ガスセンサ。
  2. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
    前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さく、
    及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きく、
    前記貴金属元素は、Rh及びIrであり、
    前記検出電極の貴金属成分は、その全体を100質量%としたとき、前記Ptを20〜90質量%、前記Rhを5〜60質量%、Irを1〜20質量%含有する、ガスセンサ。
  3. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
    前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さい第1条件と
    及び/又は、前記Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法
  4. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Ptと、Pt以外の1種類又は2種類以上の貴金属元素との混合物又は合金からなり、
    前記Pt及び前記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さい第1条件と
    及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、前記Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法
  5. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金からなり、
    記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーは、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーよりも小さい第1条件と
    及び/又は、Ptと前記貴金属元素とにおける、同じ吸着サイト同士を比較した際に、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーは、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのうちの少なくとも1つの吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーよりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法
  6. 固体電解質体(21)と、前記固体電解質体に設けられて排ガス(G)と接触する検出電極(22)と、前記固体電解質体に設けられて大気(A)と接触する基準電極(23)とを有するセンサ素子(2)を備え、前記基準電極と前記検出電極とにおける酸素濃度の差に応じて生じる起電力、又は前記基準電極と前記検出電極との間に生じる電流を検出するガスセンサ(1)の製造方法において、
    前記検出電極の貴金属成分は、Pt以外の2種類以上の貴金属元素の混合物又は合金からなり、
    記貴金属元素は、一配位の直上位置であるオントップサイト(S1)、二配位の橋掛け位置であるブリッジサイト(S2)、三配位の窪み位置であって下層が存在する位置である六方最密型のホローサイト(S3)、及び三配位の窪み位置であって下層が存在しない位置である面心立方型のホローサイト(S4)の4種類の吸着サイトを有し、
    前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値は、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのCO分子の吸着エネルギーのうちの最大値よりも小さい第1条件と
    及び/又は、前記貴金属元素における、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値は、Ptにおける、前記4種類の吸着サイトのNOの解離吸着エネルギーのうちの最大値よりも大きい第2条件と、を満たすよう前記貴金属元素を選定する、ガスセンサの製造方法
  7. Ptと前記貴金属元素との合金の貴金属粒子を含むペースト状の電極材料を、前記固体電解質体に配置し、前記固体電解質体及び前記電極材料を焼成して、前記固体電解質体の表面に前記検出電極を形成するに当たり、
    前記貴金属粒子の平均粒径を2μm以下とする、請求項3又は4に記載のガスセンサの製造方法。
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