JP2007248357A - ガスセンサと、それを用いる燃料供給システムと、その使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によって提供されるガスセンサ10は、可燃性成分と酸素の反応を促進する触媒を担持しているガス拡散律速体14と、酸化物イオン導電性を有する固体電解質18と、その固体電解質18の両面に向かい合う位置に形成されている電極16,21を備えている。電極16は、ガス拡散律速体14によって周囲ガスの拡散進入速度が制限される領域に形成されており、可燃性ガスと酸素の反応を促進する触媒作用を備えている。また、電極21は、大気が導入される領域に形成されている。
【選択図】 図1
Description
このようなガスセンサでは、周囲ガスが、可燃性ガスと酸素が混合している燃焼後の排気ガスである場合、可燃性ガスと酸素の濃度に応じたリーン空燃比や可燃性ガスと酸素の濃度に応じたリッチ空燃比に対応した出力電力を得ることができ、ひいてはエンジンで燃焼する混合気の空燃比を検出することができる。なお、エンジン排気ガス中に含まれている可燃性ガスの主な成分は、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、メタン(CH4)であり、この他にも微量に種々の有機化合物を含んでいる。これらの成分と酸素とが化学的に平衡しない状態で混合している環境では、この方式の排気ガスセンサを直接その環境にさらすと、空燃比の検出精度の低下や電極が劣化することによる検出精度の低下を引き起こす。そのため検出精度の低下を防止するために、ガスセンサの周囲に触媒層が付加される。
従来のヒータは、ガスセンサをおよそ3〜5℃/秒の速度でしか加熱できなかった。しかしながら、例えばエンジンに供給する混合気を短時間のうちに適切な空燃比に調整するためには、ガスセンサの加熱速度を上げることが必要とされる。近年のヒータは、ガスセンサをおよそ30℃/秒以上の速度で加熱することが可能である。それによって、ガスセンサがエンジンの排気ガス中の成分濃度を正確に検出できるようになるのに要する時間が、大幅に短縮されてきている。
しかしながら、ガスセンサが作動温度に到達する時点を早めるために急速度で加熱すると、吸着していた有機化合物のガス拡散律速体からの脱離が相対的に遅れる。ここで、残留した有機化合物は高温状態のため変質してその沸点が高まり、さらに蒸発が遅れ、最終的には炭化するに至る。このため、吸着していた有機化合物は、センサの動作可能な温度以上の高温になってようやく酸素と反応する。このようにして、検出開始後の一定時間は、排気ガスに含まれる可燃性ガスの実際の濃度よりも高い濃度に対応する電気信号を出力してしまうことがわかってきた。
上記の現象は、特許文献2に示されている起電力を検出するタイプのみならず、特許文献1に示されている電極間に流れる電流を検出するタイプのセンサにも現れる。ガス拡散律速体を利用するガスセンサに一般的に認められる現象である。
固体電解質18は、酸化物イオン導電性を有しており、板状である。一対の電極16、20は、固体電解質18の表面に形成されている。固体電解質18とガス拡散律速体14で囲まれた部分に、検知室17が形成されている。一方の電極16は、ガス拡散律速体14によって排気ガスの拡散進入速度が制限されている検知室17内に配置されている。電極16は、可燃性ガスと酸素の反応を促進する触媒作用を備えている。他方の電極20は、大気室21内に形成されている。大気室21は、図示しない孔によって大気とつながっている。
なお、図示12はガスを透過させない緻密な保護層であり、22は絶縁シートであり、内部にヒータ24が形成されている。
ガスセンサ10は、電流計を備えている電源回路26に接続し、一方の電極16に負の電圧を印加し、他方の電極20に正の電圧を印加する状態で用いられる。ガスセンサ10は、限界電流式であり、流れる電流値が、可能性ガスおよび酸素の濃度に対応して変化する。
(1)ガスセンサ10を、水素(H2)0.1%と水蒸気(H2O)10%が含まれる窒素(N2)雰囲気に2時間曝露した。次いで、ガスセンサ10を窒素100%雰囲気に設置して、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
(2)ガスセンサ10を、エタノール(C2H5OH)100ppmと水蒸気10%と酸素(O2)10%が含まれる窒素雰囲気に1時間曝露した。次いで、ガスセンサ10を窒素100%雰囲気に設置して、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
(3)ガスセンサ10を、メチルセロソルブ(CH3OCH2CH2OH)100ppmと水蒸気10%と酸素(O2)10%が含まれる窒素雰囲気に1時間曝露した。次いで、ガスセンサ10を窒素100%雰囲気に設置して、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
カーブ72は、ガスセンサ10の温度を示している。カーブ78は、(1)の条件において電源回路26に流れた電流値を示している。カーブ76は、(2)の条件において電源回路26に流れた電流値を示している。カーブ74は、(3)の条件において電源回路26に流れた電流値を示している。
検知室17の可燃性ガスの濃度が高いほど、また、ガス拡散律速体18に残留している有機化合物の量が多いほど、多くの酸素を消費するので電源回路26に備えられている電流計に絶対値が大きなマイナスの電流値が流れる。
カーブ72から明らかなように、ガスセンサ10は、650℃付近までおよそ30℃/秒以上の昇温速度で加熱されている。
カーブ78から明らかなように、(1)の条件では、可燃性ガスの存在を示す電流は流れなかった。(1)の条件で水素に代えて、一酸化炭素(CO)やプロパン(C3H8)についても同様の試験を行ったが、可燃性ガスの存在を示す電流は発生しなかった。
カーブ76から明らかなように、(2)の条件では、ヒータ24がオンしておよそ11秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.3mAのピーク電流が発生している。この試験のガスセンサ10では、マイナス0.3mAのピーク電流は、空気過剰率が約0.9の空燃比(理論空燃比での燃料量に対して、空気量が1割不足していることを意味する。)に相当する。即ち、窒素100%雰囲気で試験をしているにも関わらず、リッチ状態を検出してしまう。
カーブ74から明らかなように、(3)の条件では、ヒータ24がオンしておよそ12秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.7mAのピーク電流が発生している。マイナス0.7mAのピーク電流は、空気過剰率が約0.8の空燃比に相当する。
このことは、限界電流式のガスセンサに限られない。起電力を検出するタイプのガスセンサでも、急速加熱すると、加熱直後には可燃性ガスの実際の濃度よりも高い濃度に対応する電気信号を出力してしまう。
従来のガスセンサでも、ガス拡散律速体に吸着した可燃性ガスや有機化合物が、ガスセンサの温度上昇とともに蒸発し、検知室に移動する現象が起きていると推測される。しかしながら、従来のガスセンサは、ガスセンサの昇温速度が遅かった。そのため、従来のガスセンサでは、ガスセンサが作動温度に到達する前に、ガス拡散律速体が吸着していた有機化合物は蒸発を終え、ガスセンサが作動温度に到達した時点では、吸着していた有機化合物の影響によって、実際の濃度よりも高い濃度を検出することはほとんどなかった。
本発明のガスセンサは、ガス拡散律速体と、固体電解質と、一対の電極を備えている。そのガス拡散律速体は、酸素と有機化合物の反応を促進する触媒を担持している。固体電解質は、酸化物イオン導電性を有する板状である。一対の電極は、固体電解質の表面に形成されている。一対の電極の内、一方の電極は、ガス拡散律速体によって周囲ガスの拡散進入速度が制限されている領域内に配置されているとともに有機化合物と酸素の反応を促進する触媒作用を備えている。また、他方の電極は、ガス拡散律速体によって周囲ガスの拡散進入速度が制限されている領域外に配置されている。
上記ガスセンサでは、触媒の活性度が高い。そのため、可燃性ガスや有機化合物が酸素と効率よく反応することができる。
触媒は酸素をも吸着する性質があるので、触媒の担持量が多すぎると、ガスセンサが冷却されている間に触媒に吸着する酸素の量が多くなる。触媒に酸素が吸着すると、ガスセンサが再加熱されたときに、触媒から酸素が脱離して触媒作用を有する電極の表面に移動するので、ガスセンサの検出再開時に、可燃性ガス濃度を過少に検出してしまう可能性が生じる。そこで、ガス拡散律速体の周囲ガスに面する側の触媒の担持量を相対的に多くすることで、ガスセンサの非稼動中に、有機化合物を酸素と効率よく反応させるとともに、ガス拡散律速体の電極収容空間に面する側の触媒の担持量を少なくすることで、ガスセンサが再加熱されたときに、触媒から酸素が脱離して触媒作用を有する電極の表面に移動する割合を低減できる。
上記ガスセンサでは、ガスセンサの周囲ガスに面する側の触媒の担持量と、ガス拡散律速体の電極収容空間に面する側の触媒の担持量に、大きな差をつけることができる。さらに、ガスセンサが冷却されている間にガス拡散律速体に有機化合物等の可燃性成分が吸着する現象を抑制することができる。そのことによって、電極自身への有機化合物の吸着を低減することができるため、ガスセンサの耐久性(寿命)が向上する。
触媒の量が上記範囲であると、ガスセンサの非稼動中に有機化合物が酸素と十分に反応する。また、ガスセンサの昇温の際に脱離する酸素の影響や、ガスセンサの稼働中に可燃性ガスと酸素がガス拡散律速体を通過するときに触媒に吸着されたり、触媒が可燃性ガスと酸素の通過を妨げることによる応答性の低下を抑制できる。
有機化合物等の可燃性成分は、酸素が少ない状態で燃焼すると炭化することがある。一度炭化した可燃性成分は、その後、ガス拡散律速体の内部に蓄積されてしまう。その結果、ガスセンサが高温状態に達したときに、蓄積された可燃性成分と酸素が反応してしまい、ガスセンサが検出対象のガス成分の濃度を正確に検出することができなくなる。
しかしながら、上記の方法によると、ガス拡散律速体に付着した可燃性成分を定期的に酸素と反応させることができる。そのため、ガス拡散律速体に可燃性成分が長期間吸着して吸着量が増大する現象を防止できるので、ガス拡散律速体の内部に炭化物の蓄積量が増大することがなく、ガスセンサが検出対象のガス成分の濃度を長期間にわたり正確に検出することができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のガスセンサを模式的に示している。ガスセンサ10は、ガス拡散律速体14と、固体電解質18と、一対の電極16,20を備えている。
固体電解質18は、酸化物イオン導電性を有しており、板状である。一対の電極16,20は、固体電解質18の表面に形成されている。固体電解質18とガス拡散律速体14で囲まれた部分に、検知室17が形成されている。一方の電極16は、ガス拡散律速体14によって排気ガスの拡散進入速度が制限されている検知室17内に配置されている。電極16は、酸素と可燃性ガスの反応を促進する触媒作用を備えている。他方の電極20は、大気室21内に形成されている。大気室21は、図示しない孔によって大気とつながっている。
なお、図示12は緻密な保護層であり、22は絶縁シートであり、内部にヒータ24が形成されている。
ガスセンサ10は、電流計を備えている電源回路26に接続し、一方の電極16に負の電圧を印加し、他方の電極20に正の電圧を印加する状態で用いられる。
その触媒は、白金を主体とする金属粒子から形成されている。白金に代えて、ルテニウム、パラジウム、ロジウムから成る群から選択される少なくとも一種の金属元素を用いてもよい。あるいは、白金を主体とする金属粒子と、ルテニウム、パラジウム、ロジウムから成る群から選択される少なくとも一種の金属元素を主体とする金属粒子を混合して形成してもよい。
固体電解質18は、酸化物イオン導電性を有しており、ジルコニア固体電解質で構成されている。ジルコニア固体電解質は、ジルコニア(ZrO2)に3〜10mol%のイットリア(Y2O3)やマグネシア(Mg2O3)やカルシア(Ca2O3)を固溶させた固溶体で構成されている。
電極16と電極20は、白金を主体とする金属から形成されている。白金に代えて、白金族に属する白金以外の金属、金、銀、ニッケルから成る群から選択される少なくとも一種の金属元素との合金および混合体を用いてもよい。あるいは、白金とルテニウム、パラジウム、ロジウムから成る群から選択される少なくとも一種の金属元素との合金あるいは混合体から形成されてもよい。また、電極金属中にジルコニア固体電解質やアルミナ、その他の酸化物粒子を混合してもよい。
ヒータ24は、図示しない外部電極に接続されており、ガスセンサ10をおよそ30℃/秒以上の速度で加熱することができる。
排気ガス(可燃性ガスや酸素の混合ガス)が存在する空間内にガスセンサ10を設置すると、排気ガスは拡散進入速度が制限された状態でガス拡散律速層14を通過し、電極16が形成されている検知室17に導入される。
電極16は、可燃性ガスと酸素を反応させる触媒作用を有しているため、電極16の表面では可燃性ガスが酸素と反応する。この場合、排気ガスがリッチの状態では、可燃性ガスが酸素と反応した後も検知室17に残留する。
電源回路26をオンすると、酸素が大気室21から固体電解質18を通過して検知室17に導入される。検知室17に導入される酸素量は、可燃性ガスが酸素と反応する酸素量に等しい。検知室17に導入される酸素量を計測すると、周囲に存在する排気ガスに含まれる可燃性ガス量を検出することができる。検知室17に導入される酸素量は、電極16,20間を流れる電流に比例する。そこで、電源回路26に流れる電流値を読み取ることで、排気ガスに含まれる可燃性ガス濃度を検出することができる。
検知室17の可燃性ガスの濃度が高いほど、電源回路26に備えられている電流計に絶対値が大きなマイナスの電流が流れる。マイナスの電流値はエンジンで燃焼する混合気の空燃比が、リッチな空燃比であることによく対応する。
検知室17の可燃性ガスの濃度が低い場合は反応後に検知室17に酸素が残留し、電源回路26によって電極16から電極20に向かって固体電解質18内を伝導して、電源回路26に備えられている電流計に絶対値が大きなプラスの電流が流れる。プラスの電流値はエンジンで燃焼する混合気の空燃比が、リーンな空燃比であることによく対応する。このように、排気ガスに含まれる可燃性ガスおよび酸素の濃度が検出されると、エンジンで燃焼する混合気の空燃比を検出することができる。
ガスセンサ10を使用すると、稼動開始後に誤ってリッチな状態を検知することを防止できる。
図2は、第2実施形態のガスセンサ30を模式的に示している。
ガスセンサ30は、ガスセンサ10の外周部分に多孔質な触媒層28が形成されており、他の部分はガスセンサ10と同一である。触媒層28のみ説明し、他の部分は説明を省略する。
触媒層28は、内部に可燃性成分と酸素を反応させる触媒を担持することができる。また、多孔質アルミナで形成されており、触媒層28の内部を可燃性ガスと酸素が通過することができる。
ガスセンサ30は、ガス拡散律速体14とともに、触媒層28にも触媒を担持させることができる。よって、周囲ガスに面する側では触媒の担持量をさらに増やし、ガス拡散律速体14の検知室17に面する側の触媒の担持量を小さくおさえることが可能となる。
また、ガスセンサが冷却されている間に触媒層28に吸着した有機化合物が酸素と反応することによって、ガス拡散律速体14に可燃性成分が吸着する現象を抑制することができる。
ガスセンサ30で排気ガスの空燃比を検出する方法は、ガスセンサ10と実質的に同じため重複記載を省略する。
図4は、ガスセンサ30の変形例を示している。ガスセンサ30と実質的に同一な部分には下二桁に同一番号を付し、説明を省略する。
ガスセンサ130では、緻密な保護層112の一部分にガス拡散律速体114が形成されている。ガス拡散律速体114は、酸素と可燃性成分の反応を促進する触媒を担持している。保護層112の上部に、ガス拡散律速体114を覆うように触媒層128が形成されている。
ガスセンサ130は、ガス拡散律速体114が小径なため、可燃性ガスと酸素が通過する領域が限られている。また、検出動作停止時に環境から吸着する有機化合物の量を少なくすることができる。そのため、ガス拡散律速体114の触媒の担持量を少なくすることができる。触媒は高価なため、触媒の担持量が少なくすることによって、ガスセンサを安価に製造できる。
ガスセンサ130で排気ガスの空燃比を検出する方法は、ガスセンサ10と実質的に同じため省略する。
図3は、本発明のガスセンサを備えている燃料供給システム100の概略図を示している。
燃料供給システム100は、エンジン88と、排気ガス浄化装置(三元触媒)84と、制御装置80と、ガスセンサ82,86と、燃料噴射装置90を備えている。
エンジン88は、吸気側(エンジン88に燃料が供給される側)に吸気管92を備えており、吸気管92の内部に燃料噴射装置90が設置されている。
また、エンジン88は、排気側(エンジン88から排気ガスが排出される側)に排気管94を備えており、排気管94の内部にガスセンサ86と排気ガス浄化装置84とガスセンサ82が設置されている。
ガスセンサ82,86は、排気ガス浄化装置84の両側に設置されている。
制御装置80は、ガスセンサ82,86からの電気信号を受け取り、燃料噴射装置90を制御することができる。
制御装置80は、ガスセンサ82,86からの電気信号を受け取り、排気ガス中の可燃性ガスおよび酸素の濃度を検出する。その結果、エンジン88で燃焼する混合気の空燃比の適否を判断する。そして、所望する空燃比(例えば理論空燃比や希薄燃焼空燃比)になるように燃料噴射装置90の動作を制御する。
上記の燃料供給システム100によって、エンジン88の温度やエンジン88の負荷によって所望する空燃比が変化しても、燃料噴射装置90の動作を制御することによって、エンジン88で燃焼する混合気の空燃比を変化させることができる。
(第1実施例:触媒担持量の評価1)
図2に示すガスセンサ30を製造した。即ち、薄片状に成形した未焼成のジルコニア固体電解質18の両面に白金電極形成用ペーストをスクリーン印刷した。次いで、ヒータ24が内部に形成されている未焼成の絶縁シート22および未焼成の多孔質アルミナから成るガス拡散律速体14、さらに、緻密な保護層12を用意して、これら全てを接着した。その後、1480℃で2時間の焼成を行って一体化した。焼成後のガスセンサの検知部分の大きさは、長さ15mm×幅4.6mm×厚さ1.6mmである。
焼成により一体化したガスセンサに、さらに、γアルミナ70gとアルミナ水和物10gと硝酸アルミニウム20gと水を混合して得られたスラリーを、ガスセンサの検知部分の周囲に塗布した。次いで、100℃で乾燥し、さらに、900℃で1時間の焼成をして多孔質の触媒層28を形成した。得たれた触媒層28の厚さは0.2mmであり、検知部分の周囲全体の体積は、合計0.04cm3とした。
白金触媒の担持量と、触媒層28とガス拡散律速体14の単位体積(1cm3)あたりの白金触媒の担持量を以下に示す。
(1)白金触媒量0mg(0mg/cm3)
(2)白金触媒量0.05mg(1.25mg/cm3)
(3)白金触媒量0.25mg(6.25mg/cm3)
(4)白金触媒量1mg(25mg/cm3)
(5)白金触媒量5mg(125mg/cm3)
上記(1)〜(5)のガスセンサ30を、それぞれメチルセロソルブ(CH3OCH2CH2OH)100ppmと水蒸気(H2O)10%と酸素(O2)20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した。次いで、窒素ガス100%雰囲気内において、電源回路26
に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
図5は、左の縦軸に電源回路26に流れた電流値(mA)を示し、右の縦軸にガスセンサ30の温度を示し、横軸にヒータ24をオンした後の経過時間(秒)を示している。
カーブ32はガスセンサ30の温度を示している。カーブ34は(1)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ36は(2)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ38は(3)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ40は(4)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ42は(5)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示している。
カーブ34から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ14秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.5mAのピーク電流が流れている。マイナス0.5mAのピーク電流は、空気過剰率が0.84の空燃比に相当する。さらに、電流値が0mA(空気過剰率が1.0の空燃比に相当する)付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ30秒要している。
カーブ36から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ12秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.5mAのピーク電流が流れている。さらに、電流値が0mA付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ30秒要している。触媒層28とガス拡散律速体14の検出ガスが通過する部分に、白金を担持していない場合と同じ大きさの電流が流れている。即ち、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量が1.25mg/cm3では、触媒層28とガス拡散律速体14に付着したメチルセロソルブによるマイナスの出力電流を抑制するためには、白金の担持量が不十分であることを示している。
カーブ38から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ11秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.35mAのピーク電流が流れている。マイナス0.35mAのピーク電流は、空気過剰率が0.91の空燃比に相当する。しかしながら、カーブ34(白金の担持量0mg/cm3)と比較すると、ピーク電流はおよそ7割に抑制されている。さらに、ヒータ24がオンしておよそ20秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量を6.25mg/cm3にすると、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の空燃比を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
カーブ40から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ11秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.3mAのピーク電流が流れている。マイナス0.3mAのピーク電流は、空気過剰率が0.9の空燃比に相当する。カーブ34と比較すると、ピーク電流はおよそ6割に抑制されている。さらに、ヒータ24がオンしておよそ20秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、カーブ38と同様に、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量を25mg/cm3にすると、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の空燃比を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
カーブ42から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ12秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.15mAのピーク電流が流れている。マイナス0.15mAのピーク電流は、空気過剰率が0.45の空燃比に相当する。さらに、ヒータ24がオンしておよそ17秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、カーブ38,40と同様に、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量を125mg/cm3にすると、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の空燃比を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
上記の試験結果より、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量を6.25mg/cm3以上にすると、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の空燃比を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
第1実施例の5種類と同じガスセンサ30を用意した。
本実施例では、(1)〜(5)のガスセンサ30を、それぞれメチルセロソルブ100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した。次いで、(1)〜(5)のガスセンサ30を大気中に14日間放置した。その後、窒素ガス100%雰囲気内において、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
図6は、左の縦軸に電源回路26に流れた電流値(mA)を示し、右の縦軸にガスセンサ30の温度を示し、横軸にヒータ24をオンした後の経過時間(秒)を示している。
カーブ44は、ガスセンサ30の温度を示している。カーブ46は(1)の条件の電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ48は(2)の条件の電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ50は(3)の条件の電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ52は(4)の条件の電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ54は(5)の条件の電源回路26に流れた電流値を示している。
カーブ46から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ13秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.15mAのピーク電流が流れている。マイナス0.15mAのピーク電流は、空気過剰率が0.95の空燃比に相当する。さらに、電流値が0mA付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ22秒要している。即ち、触媒層28とガス拡散律速体14の検出ガスが通過する部分に吸着した可燃性成分は、大気中に14日間放置しても脱離しないで大気中に含まれるごく微量の可燃性成分を吸着し続けていることを示している。
カーブ48から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ10秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.12mAのピーク電流が流れている。さらに、電流値が0mA付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ22秒要している。触媒層28とガス拡散律速体14の検出ガスが通過する部分に、白金を担持していない場合と同程度の大きさの電流が流れている。即ち、触媒層28とガス拡散律速体14の部分の白金の担持量が1.25mg/cm3では触媒担持量が不足しており、ガスセンサ30の非稼動中に、ガス拡散律速体14に可燃性成分が吸着してしまうことが分かる。
カーブ50,52では、ヒータ24がオンしてからガスセンサ30の温度が十分に上昇するまでの間に、可燃性ガスの存在を示すピーク電流は流れていない。即ち、触媒層28とガス拡散律速体14の検出ガスが通過する部分に吸着した可燃性成分は、大気中に放置している間に白金触媒に吸着した酸素と反応し、さらに、白金触媒に吸着した余剰の酸素も少ないことを示している。
カーブ54では、ヒータ24がオンしておよそ10秒経過後に、酸素の存在を示すプラス0.1mAのピーク電流が流れている。さらに、電流値が0mA付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ18秒要している。このカーブは、触媒層28とガス拡散律速体14の検出ガスが通過する部分に吸着した可燃性成分は、大気中に放置している間に白金触媒に吸着した酸素と反応し、さらに余剰の酸素が白金触媒に吸着したことを示している。
上記の試験結果より、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量を125mg/cm3以上にすると、ガスセンサ30を大気に長期間放置した場合に、白金触媒に過剰の酸素が吸着する。そのため、ガスセンサ30が再加熱させたときに、白金に吸着していた酸素が脱離してしまい、実際の試験環境中にはない酸素に対応する電気信号を出力してしまうことを示している。
カーブ68は第1実施例(メチルセロソルブ100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した後、窒素ガス100%雰囲気で計測)の結果を示し、カーブ70は第2実施例(メチルセロソルブ100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した後、大気中に14日間放置し、その後窒素ガス100%雰囲気で計測)の結果を示している。
カーブ68またはカーブ70より、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量が、6.25mg/cm3以上であれば、可燃性ガスの存在を示す電流が大幅に小さくなることが判明した。カーブ70が示すように、触媒層28とガス拡散律速体14の白金の担持量が、125mg/cm3以下であれば、ガスセンサ30を大気に長期間放置しても、触媒による余剰の酸素吸着を実際的なレベルに抑えられることが判明した。
また、可燃性ガスの存在を示す電流を大幅に小さくすることができるとともに、余剰の酸素の存在を示す電流が流れないようにするためには、触媒層28とガス拡散律速体14に白金を6.25〜25mg/cm3担持させればよいことが判明した。
第1実施例に示すガスセンサ30において、触媒(第1実施例では白金)の担持量は、25mg/cm3(1.0mg)にして、触媒の金属元素を代えて4種類のガスセンサ30を製造した。また、比較のため、触媒を担持しないガスセンサ30も製造した。下記に製造したガスセンサ30の触媒の金属元素と担持量を示す。
(1)触媒の担持なし。
(2)白金1.0mg
(3)白金0.8mg、ルテニウム(Ru)0.2mg
(4)白金0.8mg、パラジウム(Pd)0.2mg
(5)白金0.8mg、ロジウム(Rh)0.2mg
上記(1)〜(5)のガスセンサ30を、それぞれメチルセロソルブ(CH3OCH2CH2OH)100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した。次いで、窒素ガス100%雰囲気内において、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。
図8は、左の縦軸に電源回路26に流れた電流値(mA)を示し、右の縦軸にガスセンサ30の温度を示し、横軸に電源回路26をオンした後の経過時間(秒)を示している。
カーブ56ガスセンサ30の温度を示している。カーブ58は(1)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ64は(2)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ62は(3)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ60は(4)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示し、カーブ66は(5)のガスセンサを用いたときに電源回路26に流れた電流値を示している。
カーブ58から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ14秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.5mAのピーク電流が流れている。マイナス0.5mAのピーク電流は、空気過剰率が0.84の空燃比に相当する。さらに、電流値が0mA付近に達するまでに、ヒータ24がオンしてからおよそ30秒要している。
カーブ64から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ11秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.3mAのピーク電流が流れている。マイナス0.3mAのピーク電流は、空気過剰率が0.9の空燃比に相当する。カーブ58と比較すると、ピーク電流はおよそ6割に抑制されている。さらに、ヒータ24がオンしておよそ23秒で電流値が0mAに達している。即ち、触媒が担持されていない場合と比較して触媒が白金の場合、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の成分濃度を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
カーブ62から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ12秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.22mAのピーク電流が流れている。マイナス0.22mAのピーク電流は、空気過剰率が0.93の空燃比に相当する。さらに、ヒータ24がオンしておよそ17秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、触媒が白金とルテニウムの場合、触媒が白金の場合よりもさらに、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができるとともに、ガスセンサ30が周囲ガス中の可燃性ガスの濃度を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
カーブ60から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ13秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.25mAのピーク電流が流れている。マイナス0.25mAのピーク電流は、空気過剰率が0.92の空燃比に相当する。さらに、ヒータ24がオンしておよそ23秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、触媒が白金とパラジウムの場合、触媒が白金の場合よりも、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができる。また、触媒が白金の場合と同様に、ガスセンサ30が周囲ガス中の成分濃度を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
カーブ66から明らかなように、ヒータ24がオンしておよそ11秒経過後に、可燃性ガスの存在を示すマイナス0.3mAのピーク電流が流れている。マイナス0.3mAのピーク電流は、空気過剰率が0.9の空燃比に相当する。さらに、ヒータ24がオンしておよそ17秒で電流値が0mA付近に達している。即ち、触媒が白金とロジウムの場合、触媒が白金の場合と同様に、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができる。また、触媒が白金の場合よりもさらに、ガスセンサ30が周囲ガス中の成分濃度を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
上記の試験結果より、触媒が白金とルテニウムまたは、触媒が白金とパラジウムの場合は、触媒が白金の場合よりもさらに、可燃性ガスの存在を示すマイナス電流のピーク電流値を大幅に小さくすることができる。また、触媒が白金とルテニウムまたは、触媒が白金とロジウムの場合は、触媒が白金の場合よりもさらに、ガスセンサ30が周囲ガス中の成分濃度を正確に検出するために要する時間を大幅に短くすることができる。
第1実施例に示すガスセンサ30を4個用意して、表1に示す4種類のガスセンサ30を製造した。
電流値Aは次のようにして得た。ガスセンサ30をメチルセロソルブ100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した。次いで、窒素ガス100%雰囲気内において、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。そのときに電源回路26に流れたマイナス電流の絶対値を計測した。
また、電流値Bは次のようにして得た。ガスセンサ30をメチルセロソルブ100ppmと水蒸気10%と酸素20%を含む窒素ガス雰囲気に1時間曝露した。次いで、ガスセンサ30を大気中に14日間曝露した。その後、窒素ガス100%雰囲気内において、電源回路26に0.45Vの電圧を印加し、ヒータ24をオンした。そのときに電源回路26に流れたプラス電流の絶対値を計測した。
一方、表1に示しているサンプル3とサンプル4は、ガスセンサ30の触媒層28とガス拡散律速体14に所定量の塩化白金酸水溶液を滴下して、1時間大気中に放置して、塩化白金酸水溶液が、ガス拡散律速体14の全体に均一に分布した後に100℃で乾燥した。サンプル3とサンプル4は上記の方法にて、担持量Aと担持量Bを等しくした。
表1に示しているサンプル1とサンプル2を比較すると、触媒の担持量が多い方がマイナス電流(電流値A)の絶対値が小さい。しかしながら、サンプル2では、わずかにプラス電流(電流値B)が検出された。
サンプル3とサンプル4を比較すると、触媒の担持量が多い方がマイナス電流(電流値A)の絶対値が小さい。しかしながら、サンプル4では、プラス電流(電流値B)が検出された。
サンプル2とサンプル4を比較すると、マイナス電流(電流値A)の絶対値はどちらも同じ程度であった。しかしながら、サンプル2と比較してサンプル4では、プラス電流(電流値B)の絶対値が大きく検出された。
本実施例の結果、ガス拡散律速体14の周囲ガスに面する側では触媒の担持量を多くして、ガス拡散律速体14の検知室17に面する側では触媒の担持量を少なくすると、電源回路26に流れるマイナスの電流と、電源回路26に流れるプラスの電流の両方を抑制することができる。即ち、ガス拡散律速体14に吸着した可燃性成分が酸素を十分に反応することができるとともに、ガスセンサ30を大気に長期間放置しても触媒に過剰な酸素が吸着することを抑制することができる。
上記実施例では、触媒層を設けたガスセンサについて説明したが、ガス拡散律速層に有機化合物が酸素と反応するために必要な触媒が担持されていればよく、必ずしも触媒層はなくてもよい。
また、上記実施例では、未焼成の固体電解質の両面にスクリーン印刷で電極を作製したが、電極の作製方法はスクリーン印刷に限定されない。焼成後の固体電解質の表面の電極を作製しない部分にマスキングを行い、スパッタリング等で電極を作製してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。
12:緻密な保護層
14:ガス拡散律速体
16:電極
18:固体電解質層
20:電極
22:絶縁シート
22:ヒータ
26:電源回路
28:触媒層
Claims (7)
- ガス拡散律速体と、固体電解質と、一対の電極を備えており、
ガス拡散律速体は、酸素と可燃性成分の反応を促進する触媒を担持しており、
固体電解質は、酸化物イオン導電性を有する板状であり、
一対の電極は、固体電解質の表面に形成されており、
一方の電極は、ガス拡散律速体によって周囲ガスの拡散進入速度が制限されている領域内に配置されているとともに酸素と可燃性ガスの反応を促進する触媒作用を備えており、
他方の電極は、前記領域外に配置されていることを特徴とするガスセンサ。 - 前記触媒は、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を主体とする金属粒子から形成されていることを特徴とする請求項1のガスセンサ。
- ガス拡散律速体の周囲ガスに面する側では前記触媒の担持量が相対的に多く、ガス拡散律速体の電極収容空間に面する側では前記触媒の担持量が相対的に少ないことを特徴とする請求項1又は2のガスセンサ。
- ガス拡散律速体の周囲ガスに面する側の外側に、前記触媒を担持するための触媒担持層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかのガスセンサ。
- 前記触媒は、ガス拡散律速体と触媒担持層に対して、6.25〜125mg/cm3担持されていることを特徴とする請求項4のガスセンサ。
- 請求項1〜5のいずれかのガスセンサが、そのガスセンサを略30℃/秒以上の速度で加熱することが可能なヒータを備えており、さらに、
前記一対の電極間に流れる電流を検出する電流検出手段と、
電流検出手段からの検出信号に基づいて燃料の供給量を制御する制御装置と、
を備えていることを特徴とする燃料供給システム。 - 請求項1〜5のいずれかのガスセンサの使用方法であり、
所定の時間間隔でガスセンサを所定の温度まで加熱し、ガス拡散律速体に付着している可燃性成分を酸素と反応させてガス拡散律速体に可燃性成分が蓄積されるのを防止することを特徴とするガスセンサの使用方法。
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