JP2013256678A - アルミニウム合金粉末成形方法およびアルミニウム合金部材 - Google Patents

アルミニウム合金粉末成形方法およびアルミニウム合金部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高特性な成形体が得られるアルミニウム合金粉末の成形方法を提供する。
【解決手段】本発明のアルミニウム合金粉末成形方法は、アルミニウム合金の微粒子からなるアルミニウム合金粉末に第一圧力(P1)を印加して、この微粒子同士が塑性変形により絡み合い空隙を残しつつ接している疎形材を得る疎形工程と、この微粒子の表面に液相を生じさせない成形温度の疎形材に、第一圧力(P1)に対する圧力比(P2/P1)が1.2以上となる第二圧力(P2)を印加して、微粒子同士が金属結合した緻密な成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする。疎形材を構成する微粒子は、成形工程によって表面酸化膜が破られて新生面を露出させ、金属結合をするようになる。この結果、強度や延性に優れ、緻密で均質的な成形体が得られるようになった。
【選択図】図3B

Description

本発明は、アルミニウム合金粉末を加圧成形した成形体からなるアルミニウム合金部材と、その製造に適したアルミニウム合金粉末成形方法に関する。
各種部材の軽量化や高機能化を図るため、従来の鉄鋼材や鋳鉄材に替わって、軽量で実用強度に優れるアルミニウム合金材が多用されるようになってきた。このようなアルミニウム合金からなる部材の製造方法には種々あるが、複雑形状を有する部材を比較的低コストで製造できる方法として、アルミニウム合金粉末を用いた粉末冶金法がある。この粉末冶金法によれば、最終形状近い素材を直接的に得ることができるため、材料歩留りを非常に高めることができ、さらに形状創成に要するプロセスコスト(創成コストという。)も大幅に抑制できる。
そこで、アルミニウム合金粉末を用いた粉末冶金法に関する提案が種々なされており、例えば、下記のような特許文献に関連する記載がある。
特開昭63−190102号公報 特開平3−120301号公報 特開平4−365832号公報 特開平7−197167号公報 特開平7−224341号公報 特開2006−316312号公報 特許第3845035号公報
もっとも、上記の特許文献に記載されている粉末冶金法では、いずれも、アルミニウム合金粉末を加圧成形し、得られた圧粉体(またはプリフォーム)を少なくとも合金組成で決定される固相線温度以上の高温に加熱している。つまり、従来の粉末冶金法は、いずれも、粉末粒子の表面(または界面)に液相を生じさせて、粉末粒子同士を結合させる液相焼結法である。
このような液相焼結法では、圧粉体を高温環境下に長時間保持するため、その圧粉体を構成する粉末粒子が元々有していた微細な急冷凝固組織が維持されず、粉末粒子が本来有する高特性が有効に活用され得ない。しかも液相焼結法の場合、粉末粒子間(粒子界面)に、焼結時に生じた熔解した部分が再凝固してできた異常な組織が局所的に現れる。このため、液相焼結体は、不均質な組織となり易く、特性にばらつきを生じ易い。
このように従来の液相焼結法では、用いるアルミニウム合金粉末の組成が限定的で、得られる焼結体の組織も不均質となり易く、さらに長時間の高温加熱を要し、高特性なアルミニウム合金部材を低コストで製造することは困難であった。
なお、焼結法自体には、一般的に液相焼結法の他にも、接触する粉末粒子間で固相拡散を生じさせて粉末粒子同士を結合する固相焼結法もある。しかし、アルミニウム合金の粉末粒子は、高温まで非常に安定で強固な酸化膜で表面が覆われている。このため、アルミニウム合金粉末を用いる場合、粉末粒子の表面に液相を生じさせることなく(つまり、固相線温度よりも低温で)、粉末粒子同士を固相焼結させることは現実には不可能であった。この点を考慮して、本明細書では、特に断らない限り適宜、液相焼結を単に「焼結」という。
ちなみに、上記の特許文献2中にある特許請求の範囲欄には、予備成形体を「焼結が開始しない温度以下の温度」で加圧成形して成形体が得られる旨の記載がある。そして、特許文献2中の実施例欄を観ると明らかなように、例えば、合金組成がAl−19.5%Si−5.3%Fe−4.9%Cu−1.2%Mg−0.3%Mn(重量%)のアルミニウム合金粉末(第1実施例)からなる予備成形体を500℃に加熱している。
ところが、その合金組成のアルミニウム合金は、平衡状態において固相線温度が約490℃である。とすると、特許文献2の特許請求の範囲の記載と実施例の記載は矛盾しており、現実的には予備成形体または成形体が液相を生じる温度で加熱されている。このことは、特許文献2の実施例欄に記載された500℃の予備成形体に寸法変化が生じていることからもわかる(第2表)。従って、特許文献2でいう「成形体」は、実は、粉末粒子間に生じた液相が再凝固して粉末粒子同士が結合した液相焼結体であることが明らかである。特許文献2は、そもそも、液相焼結の発生を回避したものではなく、アルミニウム合金粉末粒子に含まれる初晶Siの粗大化を抑制しようとしたものである。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、従来の液相焼結法等とは異なり、粉末粒子同士を固相状態で結合(固着)できるアルミニウム合金粉末成形方法と、それにより得られるアルミニウム合金部材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、アルミニウム合金粉末を異なる二段階の圧力(または密度比)で成形することにより、粉末粒子間に液相を生じさせることなく、粉末粒子同士が金属結合(固相接合)した成形体を得ることに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《アルミニウム合金粉末成形方法》
(1)本発明のアルミニウム合金粉末成形方法は、アルミニウム合金の微粒子からなるアルミニウム合金粉末に第一圧力(P1)を印加して、該微粒子同士が塑性変形により絡み合い空隙を残しつつ接している疎形材を得る疎形工程と、該微粒子の表面に液相を生じさせない成形温度の該疎形材に、該第一圧力(P1)に対する圧力比(P2/P1)が1.2以上となる第二圧力(P2)を印加して、該微粒子同士が金属結合した緻密な成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明のアルミニウム合金粉末成形方法(適宜、単に「成形方法」という。)によれば、アルミニウム合金粉末を構成する粉末粒子(微粒子)同士が、粒子界面に液相を生じることなく、金属結合(固相接合)した緻密な成形体が得られる。このため、従来の液相焼結体のように、粒子界面に生じた液相が再凝固してできた組織等が形成されることもなく、全体的に均質で高特性(強度、延性等)な成形体(アルミニウム合金部材)が安定的に得られる。
また、粉末粒子間に液相を生じさせる必要もないことから、アルミニウム合金粉末は低融点元素(Si等)を含む必要もなく、固相線温度以上の高温で長時間加熱する必要もない。このため本発明の成形方法によれば、要求特性に応じてアルミニウム合金粉末の合金組成を自由に選択でき、粉末粒子が本来有する微細急冷組織を有効に活用できる。勿論、複雑な形状でも、ニアネット形状の成形体を得ることができ、切削等の加工を抑制して創成コストの大幅な低減を図れることは言うまでもない。こうして本発明の成形方法によれば、形状が複雑で高特性が要求されるアルミニウム合金部材でも、低コストで効率的に製造し得る。
(3)ところで本発明の成形方法により、これまで実現されてこなかったアルミニウム合金の粉末粒子同士を金属結合(固相接合)させた成形体が得られるようになったメカニズムは、必ずしも定かではないが次のように考えられる。
先ず、本発明の疎形工程で得られる疎形材は、アルミニウム合金粉末が相対的に低い第一圧力(P1)で加圧されて成形されたものである。この疎形材は、アルミニウム合金の粉末粒子(微粒子)が塑性変形により絡み合って一定の形状を保持しているものの、微粒子同士は表面酸化膜を介して隣接・係合しているに過ぎず、微粒子間には多くの空隙(間隙)も存在する。このような微粒子には、外力の印加によって相対移動や塑性変形を生じる余地が十分に残されている。
次に、このような状態の微粒子からなる疎形材を固相線温度以下または300〜480℃に加熱し、かつ、本発明の成形工程で上記の第一圧力よりも高い第二圧力(P2)を加えると、疎形材を構成する微粒子は、さらに変形して塑性流動する。この際、接触している微粒子の表面間(界面)で相対移動が生じて、微粒子の表面にあった薄い酸化膜は、物理的(または機械的)な外力により破壊される。そして、隣接していた微粒子同士は、酸化膜が破壊されて露出したアルミニウム合金の新生面同士で接触することになる。アルミニウム合金の新生面は非常に活性であるため、接触している新生面同士は即座に金属結合を生じ、隣接していた微粒子同士も、その金属結合を介して強固に接合される。このような微粒子間の接合が三次元的に生じて、界面に再凝固相等のない均質的で緻密な成形体が得られるようになったと考えられる。
しかも、上述したような現象は、微粒子の合金組成によらず、固相線温度を超える高温加熱等も必要ないことから、種々のアルミニウム合金粉末に対して利用可能であり、アルミニウム合金粉末が元々有する急冷凝固組織も有効に活用できる。また、押出加工等のように非常に大きな変形を付与する必要もなく、微粒子の表面酸化膜を破壊する程度の第二圧力を疎形材へ付与すれば足る。こうして本発明の成形方法によれば、高特性で複雑な形状の成形体(アルミニウム合金部材)でも、低コストで効率的な生産が可能になり得る。
《アルミニウム合金部材》
本発明は上述した成形方法としてのみならず、アルミニウム合金部材としても把握できる。つまり本発明は、上述したアルミニウム合金粉末成形方法により得られた成形体からなることを特徴とするアルミニウム合金部材としても把握できる。
《その他》
(1)本発明の形方法は、各工程が連続的になされても、断続的(バッチ処理的)になされてもよい。
(2)本発明に係る「微粒子」は、具体的な粒径や形状等を問わないが、例えば、篩い分けによる分級で300μm以下さらには150μm以下であると好ましい。また微粒子の大部分が、5μm以上さらには10μm以上であると好ましい。
本発明に係る成形体やアルミニウム合金部材は、最終製品またはそれに近い形状(ニアネット形状)を有すると好ましいが、最終製品に至る中間製品さらにはその素材であってもよく、具体的な形状や加工の程度等は問わない。
本発明では、上述した成形方法により得られる成形体やアルミニウム合金部材の特性を問わない。もっとも、それらは緻密で構成粒子が金属結合した均質的な組織からなるため、強度、延性等の優れた機械的特性を発揮する。さらに、その構成粒子が化合物相により析出強化されたものであると、室温特性のみならず、高温特性(耐熱性)にも優れたものとできる。
(3)本明細書でいう「成形体」は、上述したように、構成粒子(微粒子)同士が、それら界面で液相を生じることなく、表面酸化膜が破壊されて露出した新生面間で固着(金属結合)した状態にある。この点で本発明に係る成形体は、液相を介して構成粒子同士が結合している従来の液相焼結体とは異なる。
(4)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は、下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を、新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
疎形工程の第一圧力と疎形材密度比の関係を示すグラフである。 成形工程の加圧時間と成形体密度比の関係を示すグラフである。 成形体の破断面を示すSEM写真である。 その破断面の一部を拡大したSEM写真である。 疎形材(プリフォーム)の一例を示す外観写真である。 そのプリフォームからなる成形体の一例を示す外観写真である。 その成形体の断面をカラーチェックした様子を示す写真である。 実施例で用いたアルミニウム合金粉末の粒度分布の一例を示すグラフである。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。本明細書で説明する内容は、アルミニウム合金粉末成形方法のみならず、それにより得られるアルミニウム合金部材にも適用され得る。製造方法に関する構成は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成ともなる。本明細書中から任意に選択した一つ以上の構成要素を、上述した本発明の構成要素として付加し得る。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは対象、要求性能等によって異なる。
《疎形工程》
疎形工程は、アルミニウム合金粉末に第一圧力(P1)を印加して、空隙を残存させた疎形材(プリフォーム)を得る工程である。
(1)疎形工程を行う第一圧力(P1)は、特に限定はされないが、この第一圧力を調整することにより疎形材中の空隙残存量または疎形材密度比を制御できる。
第一圧力が過小では、粉末粒子間に残存する空隙量が過多(疎形材密度比が過小)となり、疎形材に内包される酸素量が増加する。このため、成形工程時に露出した粉末粒子の新生面が金属結合する前に酸化され、微粒子間の金属結合が阻害されるおそれがある。また、第一圧力が過小では、粉末粒子間の機械的な結合力が弱くなるため、疎形材の角部などが欠損し易くなり、その取扱性(ハンドリング性)が低下し得る。
逆に、第一圧力が過大では、粉末粒子間に残存する空隙量が過少(疎形材密度比が過大)となる。その結果、成形工程時に構成粒子同士の相対移動量が過小となったり、空隙が閉塞細孔となって内包された酸素等が外部へ抜け難くなったりして、やはり新生面による金属結合が阻害され得る。ちなみに、本発明者の研究によると、第一圧力が過大になると(疎形材密度比が過大になると)、成形体の外周部に割れが生じ易くなることがわかっている。
そこで第一圧力は、100〜650MPa、140〜600MPaさらには180〜400MPaであると好ましい。またアルミニウム合金の真密度に対する疎形材の嵩密度の比である疎形材密度比は、0.7〜0.95さらには0.74〜0.9であると好ましい。
(2)疎形工程を行う温度(第一温度/T1)は問わず、疎形工程は室温域で行っても温間域でも行ってもよい。もっとも、疎形用金型を200℃以下さらには150℃以下とし、アルミニウム合金粉末を温間成形すると、所望の密度比を有する均一的な疎形材を得易い。なお、疎形工程に用いる離型剤の特性に依るが、アルミニウム合金粉末を過熱すると、アルミニウム合金粉末と疎形金型のキャビティ面の間に凝着等が生じ易くなり、抜出力の増加、金型寿命の低下等を招き、好ましくない。
《成形工程》
成形工程は、疎形材に第二圧力(P2)を印加して、疎形材を構成する微粒子同士を金属結合させた成形体を得る工程である。
(1)成形工程を行う第二圧力は、第一圧力に対する圧力比(P2/P1)が1.2以上、1.4以上さらには1.8以上となる圧力であると好ましい。この圧力比が過小では、疎形材の構成粒子間の相対移動(塑性流動)が過少となり、新生面の露出による金属結合が促進されない。圧力比の上限値は高くてもよいが、生産効率や成形金型の寿命等を考慮すると、圧力比は6以下さらには5以下であると好ましい。
第二圧力の具体的な数値は問わないが、500〜1000MPaさらには550〜800MPaであると好ましい。そして成形体は、アルミニウム合金の真密度に対するその嵩密度の比である成形体密度比が0.97以上、0.98以上さらには0.99以上となり、真密度(成形体密度比が1)に近いほど好ましい。
(2)成形工程は、疎形材を構成する微粒子の表面に液相を生じない成形温度で行う。この成形温度は、アルミニウム合金の固相線温度未満とする。この範囲内で疎形材を加熱した成形工程(熱間成形工程)を行うことにより、疎形材を構成する粉末粒子も軟化され、表面酸化膜が破壊されて新生面が露出し易くなると共に新生面同士の金属結合も促進される。また、第二圧力が比較的低くても、本発明に係る緻密な成形体を得ることが可能となる。さらに、微粒子中に化合物相(強化相)が固溶する溶体化処理温度以上あるいは析出する析出温度以上で成形工程を行うと、成形工程で熱処理を兼ねることが可能となる。
具体的な成形温度はアルミニウム合金粉末の合金組成により異なるが、例えば、後述する合金組成を有するアルミニウム合金粉末(固相線温度:600〜650℃)を用いる場合、成形温度は350〜480℃さらには380〜465℃であると好ましい。成形温度が過小では、析出強化が不十分となったり、成形効率が低下して好ましくない。成形温度が過大では、成形体の金属組織(析出相や結晶粒)の粗大化や凝着等による成形金型の寿命低下を招くため好ましくない。なお、本発明に係る成形温度は金型の温度である。疎形材温度は、その成形温度と同程度(成形温度に対して−100℃〜0℃)とすると好ましい。
(3)加圧時間
所望の成形温度にした疎形材へ第二圧力を印加する時間(加圧時間)は、3〜30秒さらには5〜20秒であると好ましい。加圧時間が過小では、疎形材の構成粒子の塑性流動が不十分で、金属結合の促進や成形体の緻密化を図れない。逆に、加圧時間が過大では、成形体の高温状態が長時間続くことになり、析出相等を粗大化させ得る。
《脱ガス工程》
(1)疎形工程後で成形工程前に、適宜、脱ガス工程を疎形材へ施すことにより、疎形材に内包されていた酸素や水分等のガスを除去し得る。これにより成形工程で、粉末粒子間の金属結合が促進され、高特性な成形体ひいてはアルミニウム合金部材が安定的に得られるようになる。
(2)脱ガス工程は、例えば、疎形材を真空雰囲気中や不活性ガス(N、Ar等)雰囲気中におくことにより行える。疎形材からの脱ガスを促進するために、疎形材や処理雰囲気を加熱するとよい。その加熱温度は、アルミニウム合金の固相線温度未満であり、さらには合金組成に応じて定まるアルミニウム合金の溶体化処理温度あるいは時効温度とすると好ましい。例えば、後述する合金組成の場合、加熱温度は350〜480℃とし、加熱時間は0.5〜2時間とするとよい。
《アルミニウム合金粉末》
本発明の成形方法に係るアルミニウム合金粉末は、その合金組成を問わない。もっとも、アルミニウム合金粉末が、次のような合金組成からなると、強度や延性のみならず耐熱性にも優れた成形体やアルミニウム合金部材が、熱処理をするまでもなく得られて好ましい。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金は、全体を100質量%(以下単に「%」という)としたときに、鉄(Fe):2〜7%、ジルコニウム(Zr):0.6〜1.5%、チタン(Ti):0.5〜1%、残部:アルミニウム(Al)と不可避不純物および/または改質元素となる合金組成を有すると好ましい。さらに、そのアルミニウム合金は、マグネシウム(Mg):0.5〜2.2%を含むとより好ましい。
(1)Fe
Feは、アルミニウム合金の強度や硬さなどを高める元素である。アルミニウム合金全体を100質量%としたときに(以下、この記載を省略する。)、Feは2〜7%、2.5〜6.5さらには3〜6%であると好ましい。Feが過少では十分な強度や硬さが得られず、Feが過多では延性が低下し、また高強度過ぎて成形性や加工性などが困難となる。
(2)ZrおよびTi
ZrおよびTiは、Alと協調して、アルミニウム合金の耐熱性を高める第二化合物相を形成する。Zrは0.6〜1.5%、0.7〜1.3%さらには0.8〜1.2%であると好ましい。またTiは0.5〜1%さらには0.7〜0.9%であると好ましい。この際、両者の質量比(Zr/Ti)が1.1〜1.5さらには1.15〜1.4であると、高温域まで安定な第二化合物相が形成されてより好ましい。
ZrまたはTiが過少であると、その効果がない。ZrまたはTiが過多であると、溶解温度が極めて高くなりアルミニウム合金粉末の製造コストが増加すると共にAlとの間で粗大な晶出物または析出物が形成されるようになり好ましくない。Zr/Tiは過小でも過大でも、所望の第二化合物相の形成が困難となり、十分な強度特性が得られない。
(3)Mg
Mgは、アルミニウム合金の強度(特に室温強度)の向上に有効な元素である。Mgは0.5〜2.2%、1〜2%さらには1.2〜1.8%であると好ましい。Mgが過少ではその効果がなく、過多ではアルミニウム合金粉末の成形性が低下し得る。
(4)上記の改質元素は、Al、Fe、Zr、TiおよびMg以外の元素であって、アルミニウム合金の特性改善に有効な元素である。改善される特性は問わないが、高温域または室温域における強度、硬さ、靱性、延性、寸法安定性などがある。このような改質元素の具体例として、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)などがある。各元素の配合などは任意であるが、通常、その含有量は微量である。
不可避不純物は、溶解原料中に含まれる不純物や各工程時に混入等する不純物などであって、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。上記の合金組成の場合なら、例えば、シリコン(Si)等が該当する。
(5)上記の合金組成からなるアルミニウム合金粉末からなる成形体等は、例えば300℃以上さらには400℃といった高温雰囲気下に長時間曝された場合でも、優れた強度や硬さ等を発揮し、熱履歴による強度や硬さの劣化が非常に少ない。むしろ、その成形体等は、加熱によって強度や硬さが逆に向上し得る。
上記のような優れた耐熱性が発現されるメカニズムは、必ずしも定かではないが、現状、次のように考えられる。先ず、適量のFeがAlとの間で、金属間化合物(Al−Fe系金属間化合物:第一化合物相)を母相(α−Al相)中に形成する。この第一化合物相がアルミニウム合金の強度や硬さを高める。もっとも、この第一化合物相は、必ずしも熱的に安定ではなく、高温雰囲気に長時間曝されると、相変態や形状変化(粗大化)などを生じ得る。
次に、適量のZrおよびTiが、Alとの間でL1型構造のAl−(Zr、Ti)系金属間化合物(第二化合物相)を形成する。この金属間化合物は、アルミニウム合金を加熱等した際に、母相中に過飽和に固溶していたZrおよびTiが超微細(例えば、平均サイズが1〜30nm程度)に析出して母相中に形成されたものである。
第二化合物相は、母相に整合的な整合相であり、Al−Fe系金属間化合物と母相の境界(界面)近傍に出現して高温域まで安定している。このため第二化合物相は、少なくともその析出を開始した温度以下で、相変態や粗大化を生じることが殆どない。
従って第一化合物相はアルミニウム合金の強度や硬さを担い、この第一化合物相と母相が接する近傍に存在する第二化合物相は、その第一化合物相の高温時における相変態や形状変化等を抑止(いわばピン留め)するように作用する。つまり、第一化合物相によって発揮される強度等が、第二化合物相によって高温域まで持続される。このように、第一化合物相および第二化合物相が相乗的に作用することによって、上記の合金組成からなるアルミニウム合金部材等は、従来になく優れた耐熱性を発揮するようになったと考えられる。
ところで、第二化合物相はナノ粒子状であり、その中央部でZr濃度が高く、その外郭部でTi濃度が高くなっていることもわかっている。つまり、Al(Zr、Ti)中のZrおよびTiの濃度が、中央から外殻にかけて傾斜していることもわかっている。このような第二化合物相の形成には、ZrがTiよりも多く存在して、Tiに対するZrの質量比(Zr/Ti)が所定範囲内にあることが重要となる。
さらに、第一化合物相の境界近傍にある母相中に第二化合物相を微細に分散させるには、ZrおよびTiを基地中に十分に固溶(過飽和固溶)させて、後から析出させることも重要である。具体的には、急冷凝固により適量のZrおよびTiを過飽和に固溶させた後、その析出を促進させる駆動力となるエネルギーの付与が必要である。このようなエネルギーとして、熱処理や熱間加工等によって加えられる熱エネルギー、塑性加工等によって加えられる歪みエネルギーなどがある。例えば、本発明に係る成形工程によれば、熱エネルギーと歪みエネルギーを同時に加えることができ、第二化合物相の析出を加速させて、耐熱高強度アルミニウム合金からなる成形体等を効率的に得ることができる。
ちなみに、ZrおよびTiをAl基地中に過飽和に固溶した状態の粒子からなるアルミニウム合金粉末は、アトマイズ法等により、上述した合金組成からなる合金溶湯を300℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固させることで得られる。このようなアルミニウム合金粉末からなる疎形材に本発明に係る成形工程を施すと、母相中に第一化合物相のみならず、第二化合物相が超微細に多数析出した耐熱性に優れる成形体(アルミニウム合金部材)が容易に得られる。この場合、第二化合物相の析出に長時間を要する時効処理等を行う必要もなく(非熱処理型)、高特性な成形体(アルミニウム合金部材)を効率的に低コストで得ることが可能となる。勿論、熱処理(例えば、時効処理)等により第二化合物相を析出させてもよいことは言うまでもない。
《アルミニウム合金部材》
本発明に係る成形体からなるアルミニウム合金部材は、その用途等を問わないが、高特性(機械的特性や耐熱性等)が要求される形状が複雑な部材等に好適である。例えば、内燃機関のピストン、吸気バルブ、コンロッド、過給機ロータ(インペラ)、圧縮機の羽根車やピストン、ネジ、自動車の足回り部品、シフトフォーク、シンクロナイザーリングなど、鍛造加工や金型鋳造で製造されてきた形状が複雑で、高温または高負荷の環境下で使用される高強度部材などである。なお、本発明のアルミニウム合金部材は、高温域で使用される部材に限らず、軽量化が要求される高強度部材等にも広く利用され得る。
実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
《試料の製造》
(1)原料粉末の調製工程
表1Aおよび表1B(両表を併せて単に「表1」という。)に示す種々の合金組成からなるアルミニウム合金の溶湯を調製した。これら合金溶湯を真空雰囲気中に噴霧して、エアアトマイズ粉末(アルミニウム合金粉末)を得た。得られたエアアトマイズ粉末を粒径:106μm以下に篩いを用いて分級して、原料粉末とした。分級後の原料粉末(表1A中の試料15)に係る粒度分布の一例を図5に示した。
ちなみに、エアアトマイズにより得られる粉末粒子(微粒子)のサイズと冷却速度の関係は公知であり、上記のアトマイズ粉末は10℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固した粒子からなることがわかっている。なお、試料31には、市販の非熱処理型アルミニウム合金(JIS A5052)を用いた。この合金組成は、ほぼ、Al−2.6Mg−0.2Cr(質量%)である。
(2)疎形工程
アトマイズ粉末を、150℃に加熱した金型のキャビティに充填し、表1に示す種々の第一圧力(P1)で加圧成形した。こうしてφ30mm、φ35mmまたはφ39mmの円柱状(図4A参照)のプリフォーム(疎形材)を得た。各プリフォームの相対密度(疎形材密度比)は表1に併せて示した。各相対密度はプリフォームの重量をその体積で除して求まる嵩密度(ρ)を、各アルミニウム合金組成から求まる真密度(ρ0)で除した値である。なお、上記の加圧成形は、アトマイズ粉末の充填前に、加熱した金型の内壁面へステアリン酸リチウム(潤滑剤)を噴霧する金型温間成形法により行った。この金型温間成形法の詳細は、特許第3309970号公報(国際公開公報WO01/43900)に記載されている。
(3)脱ガス工程
一部のプリフォームに対して次の脱ガス工程を施した。すなわち、各プリフォームを加熱炉に入れ、表1に示す雰囲気温度の窒素ガス中に1時間保持した。この際、炉中の窒素ガス流量は10L/分とした。
脱ガス工程中、各プリフォームにはブリスター等の膨れは生じなかった。また、いずれのプリフォームも、脱ガス工程前後で寸法変化が全く生じなかった。このことから、350〜450℃程度の加熱では、いずれのプリフォームにも粉末粒子間に液相は生じていないといえる。このことは、後述する成形工程についても同様である。
(4)成形工程
脱ガス工程後の各プリフォームに、ホットダイコイニング(HDC:Hot Die Coining)により、表1に示す第二圧力(P2)を、所定の加圧時間だけ印加する熱間成形を施した。この熱間成形前、予め、各プリフォームを表1に示す疎形材加熱温度に再加熱しておいた。また、少なくともプリフォームに接する金型部分(ダイス、パンチ)は、表1に示す金型温度となるようにしておいた。さらに、プリフォームが接触する金型面には二硫化モリブデン(潤滑剤)を塗布しておいた。
こうして、φ40mmのベース部分から円錐台状(図4B参照)に突出した成形体(アルミニウム合金部材)を得た。試料C3を除き、各試料の成形体はいずれも、プリフォームの場合と同様に求めた成形体密度比が0.999以上の緻密成形体であった。なお、試料C3に係る成形体は、成形体密度比が0.989であった。
《試料の測定》
各試料からから切り出した引張試験片を用いて、JIS Z2241に沿った引張試験を行った。得られた応力−歪み線図(SS線図)から、各試料に係る0.2%耐力、破断強さおよび破断伸びを求めた。その結果を表1に併せて示した。
《試料の観察》
試料15に係る引張試験片の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM像)を図3Aに、その一部を拡大した写真を図3Bに示した。
《試料の評価》
(1)疎形材密度比
試料15と同じアトマイズ粉末を用いて、上述した疎形工程の第一圧力を種々変更した疎形材(プリフォーム)を製作した。各疎形材の密度比を前述した方法で求め、得られた疎形材密度比と第一圧力の関係を図1に示した。
図1から明らかなように、第一圧力と疎形材密度比は単調増加関係にあることが確認できた。第一圧力を100〜650MPaとすることにより、疎形材密度比を0.65〜0.95とできることもわかった。特に第一圧力を150〜400MPa程度とすると、0.7〜0.87程度の密度比をもつ本発明の成形方法に適した疎形材が得られることがわかった。また、第一圧力を650MPaを超えて増加させても、疎形材密度比の増加は僅かであることも確認できた。
(2)成形体密度比
試料15と同じアトマイズ粉末を用いて、上述した疎形工程(第一圧力:196MPa)および脱ガス工程(450℃×1時間)を施したプリフォーム(疎形材密度比:0.756)を得た。このプリフォームを用いて、成形工程の加圧時間を種々変更した成形体を製作した。各成形体の密度比を前述した方法で求め、得られた成形体密度比と加圧時間の関係を図2に示した。なお、成形工程の第二圧力は588MPaまたは784MPaとし、疎形材加熱温度および金型温度は共に450℃とした。
図2から明らかなように、第二圧力に関わらず、加圧時間を3秒とすると成形体密度比は0.990前後となり、加圧時間を5秒とすると成形体密度比は0.999となり、さらに加圧時間を10秒以上にすると成形体密度比はほぼ1となり、実質的に真密度の緻密な成形体が得られることが確認された。
(3)機械的特性
表1に示した成形体の機械的特性から以下のことがわかる。なお、表1の「判定」欄にしめした記号は次の通りである。すなわち、AA:破断伸びが2%以上のとき、A:破断伸びが2%以下のとき、B:破断伸びが2%以上だが強度が相対的にやや低いとき、C:破断伸びが2%以下で強度が相対的に低いとき、D:塑性降伏開始時に破断したとき、E:弾性変形時に破断したとき、とした。
先ず、試料1〜試料31から明らかなように、アルミニウム合金粉末の合金組成が種々変化しても、疎形材密度比が0.93以下の低密度な疎形材に対して、圧力比(P2/P1):1.5〜4、成形温度(疎形材加熱温度および金型温度):400〜450℃(固相線温度未満)、加圧時間:7〜30秒とする成形工程を施すことにより、高強度(0.2%耐力および破断強さ)および高延性(破断伸び)の機械的特性に優れた成形体が得られることがわかる。なお、本実施例でアルミニウム合金粉末は、合金元素を強制固溶させた急冷凝固粉末(エアアトマイズ粉末)であり、その構成粒子中に実質的な偏析はない。従って、そのアルミニウム合金粉末の固相線温度は、平衡状態図でいう固相線温度と実質的に同じである。そこで本明細書でいう「固相線温度」は、平衡状態図における固相線温度とする。ちなみに、その固相線温度が最低となるAl−Mg二元系の場合でも、固相線温度は450℃である。従って、450℃未満の成形温度は、いずれの試料でも固相線温度未満となる。
次に、アルミニウム合金粉末の合金組成が同じ試料C1〜C6と試料9〜24を比較することにより次のことがわかる。先ず、試料C1およびC2のように圧力比(P2/P1)が1以下と過小になると、成形体の強度や延性が大幅に低下することがわかる。これは、第一圧力が大きく、疎形材が既に高密度であったため、成形工程で第二圧力を印加しても、疎形材の構成粒子があまり塑性流動等をせず、構成粒子同士が十分に金属結合できなかったためと考えられる。
また試料C3のように成形工程の加圧時間が3秒と過短になっても、成形体の強度や延性が大幅に低下し、試料C2と同様に弾性変形中に破断するようになる。これは、前述した図2からもわかるように、成形体密度比が不十分となり、成形体に残存した空隙が起点となって破壊し易くなったためと考えられる。
逆に試料C4のように成形工程の加圧時間が過長でも、十分な強度は得られなかった。これは、構成粒子同士が十分に金属結合した緻密な成形体が得られるとしても、金属組織(析出相等)が粗大化したためと考えられる。
さらに、試料C5のように成形温度が過小であると、強化相となる化合物相の析出等が不十分な状態(亜時効状態)となり、やはり十分な強度の成形体は得られない。逆に、試料C6のように成形温度が過大になると、加圧時間が過長な場合と同様に、析出した化合物相(析出相)等の粗大化を生じて、やはり十分な強度の成形体は得られない。
ところで、試料C7のように疎形材加熱温度を530℃(固相線温度以上)とした場合、成形体(実質は液相焼結体)は弾性変形中に破断すると共にその強度も著しく低かった。これは、成形工程中に構成粒子の表面などに局所的な溶解部が生じ、その溶解部が再凝固した異常な組織が成形体(液相焼結体)中にできたためと考えられる。
(4)断面観察
図3Aおよび図3Bから明らかなように、本発明に係る試料の場合、構成粒子の粒界ではなく、構成粒子の内部に破面が生じている。つまり本発明に係る成形体は、構成粒子同士が金属結合により一体化し、全体として均質的になっていたことがわかる。
図4Cは、試料15に係る成形体を切断した断面をカラーチェックした様子を示す。このことからも、本発明の成形方法により、クラック等のない緻密で均質的な成形体が得られることがわかる。

Claims (11)

  1. アルミニウム合金の微粒子からなるアルミニウム合金粉末に第一圧力(P1)を印加して、該微粒子同士が塑性変形により絡み合い空隙を残しつつ接している疎形材を得る疎形工程と、
    該微粒子の表面に液相を生じさせない成形温度の該疎形材に、該第一圧力(P1)に対する圧力比(P2/P1)が1.2以上となる第二圧力(P2)を印加して、該微粒子同士が金属結合した緻密な成形体を得る成形工程と、
    を備えることを特徴とするアルミニウム合金粉末成形方法。
  2. 前記疎形工程は、前記アルミニウム合金の真密度に対する前記疎形材の嵩密度の比である疎形材密度比を0.7〜0.95とする工程であり、
    前記成形工程は、該アルミニウム合金の真密度に対する前記成形体の嵩密度の比である成形体密度比を0.97〜1とする工程である請求項1に記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  3. 前記第一圧力は、100〜650MPaであり、
    前記第二圧力は、500〜1000MPaである請求項1または2に記載のアルミニウム合金粉末成形方法
  4. 前記成形温度は、前記アルミニウム合金の固相線温度未満である請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  5. 前記成形温度は、前記微粒子中に化合物相が析出する析出温度以上である請求項1または4に記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  6. 前記成形工程は、前記成形温度の疎形材へ前記第二圧力を印加する加圧時間を5〜30秒とする工程である請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  7. さらに、前記疎形工程後で前記成形工程前に、前記疎形材に内包されるガスを除去する脱ガス工程を備える請求項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  8. 前記アルミニウム合金は、
    全体を100質量%(以下単に「%」という)としたときに、
    鉄(Fe):2〜7%、
    ジルコニウム(Zr):0.6〜1.5%、
    チタン(Ti):0.5〜1%、
    残部:アルミニウム(Al)と不可避不純物および/または改質元素となる合金組成を有する請求項1〜7のいずれかに記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  9. 前記合金組成は、さらに、マグネシウム(Mg):0.5〜2.2%を含む請求項8に記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  10. 前記成形温度は、350〜480℃である請求項8または9に記載のアルミニウム合金粉末成形方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のアルミニウム合金粉末成形方法により得られた成形体からなることを特徴とするアルミニウム合金部材。
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