JP3057468B2 - 耐摩耗性アルミニウム系焼結合金およびその製造方法 - Google Patents
耐摩耗性アルミニウム系焼結合金およびその製造方法Info
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Description
プレッサー用ベーン、コンロッド、ピストンなどの軽量
で強度と耐摩耗性を要求される部品の材料として好適な
アルミニウム系焼結合金およびその製造方法に関するも
のである。
から、機械要素は軽量化材料への置換が進んでいる。特
に焼結アルミニウム合金は、鋳造合金に比べて、微細な
初晶Siを含む高Si系合金にすることができるので、
比強度および耐摩耗性の優れた材料として期待されてい
る。
えば特開昭53−128512号公報に開示されている
ように、組成が重量比でCu0.2〜4%、Mg0.2〜
2%、Si10〜35%、残部Alとなるように、Al
−10〜35%Si粉、銅粉、Mg粉、Al−Cu粉、
Cu−Mg粉、Al−Cu−Mg粉、Cu−Mg−Si
粉、Al−Cu−Mg−Si粉のうちから選ばれた粉
末、および必要に応じてAl粉を混合し、圧粉成形した
後、焼結して所望の製品を作る方法が挙げられる。この
方法は各種の粉末を混ぜ合わせるいわゆる混合法であ
る。同公報によれば、液相焼結により微細化した初晶S
iがAl−Si系合金素地中に均一に分散し、Cu、M
gが均一に拡散した組織となって、引張り強さの比較的
高い材料が得られる。混合法によれば、軟質金属粉末を
用いることができるため粉末成形性がよく、金型成形に
よるニアネットシェープ化ができるという特長がある。
また、通常の成形工程および焼結工程のみでも、液相焼
結によってある程度の強度が得られるので、製造コスト
の面で有利であり、さほど強度が要求されない部品に適
用されている。
7号公報に記載されているように、Si以外の添加元素
も含む急冷凝固アルミニウム合金粉を用いる方法が知ら
れている。同公報によれば、重量比でSi8〜30%、
必要に応じてCu、Mg、Ni、Fe、Mnのうち少な
くとも1種の成分0.1〜10%、および残部のAlか
らなる急冷凝固アルミニウム合金粉の圧粉体を熱間鍛造
することにより、Al−Si系合金素地中に初晶 Si
が均一に分散した組織を得て、引張り強さを更に向上さ
せている。
焼結合金は強度が比較的高いが、粉末が硬いために金型
成形によるニアネットシェープ化が困難である。また、
合金粉末に酸化被膜があることや、焼結時に液相が発生
しないことなどのために、焼結のみでは粉末相互の十分
な結合を達成することはできない。従って、ビレット形
状からの押出しや鍛造など数回の圧縮工程を必要とする
ので、作業性や製造コストに問題がある。
−156399号公報に提案されている焼結合金は、急
冷凝固Al−Si系合金粉に所定量の純Al粉を混合し
た粉末の圧粉体を熱間鍛造することによって作られ、組
成が重量比でSi12〜30%、FeおよびNiのうち
1種または2種の成分1〜10%、必要に応じCu1〜
5%、Mg0.3〜2%のうち1種または2種の成分、
および残部のAlからなる組成で、微細な初晶Siが分
散した共晶Al−Si素地中に、熱間鍛造で変形したA
l固溶体粒が5〜20容量%分散した組織の合金とした
ものである。Al固溶体粒が接着剤として作用し、硬質
な粒界の相互の密着性を向上させる結果、耐摩耗性およ
び靭性が向上する。
種機械装置の部品にアルミニウム合金を適用する指向に
伴って、ある程度の強度を有し、特に耐摩耗性のよい合
金が要求されている。前記の従来の合金は、夫々特長を
有するものではあるが、混合法による合金の延性がそれ
ほど高くない理由として、初晶Siが粗大化しない範囲
で液相焼結した場合、基地強化のために添加されるCu
が基地中に拡散しきれずに粒界近傍に金属間化合物とし
て析出して延性を低下させているのではないかと考えら
れる。また、従来のAl−Si系焼結合金は、微細な初
晶Siが均一に分散したものであるから、強度が高く耐
摩耗性も高いが、更に摩耗状態を観察すると、摩擦摺動
時に脱落した硬い初晶Si粒子が研磨作用を呈している
と考えられ、改善の余地が残されていた。
規な合金の組織設計により、比較的強度が高く、耐摩耗
性のよいAl−Si系焼結合金を提供することである。
達成するために、混合法を採用すると共に、以下の知見
に基づいて合金設計を行った。 (1)初晶Siが分散した状態で所定量のSiを含有す
るAl−Si系合金相とAl固溶体相との斑組織にする
ことによって、硬質粒子の脱落を防止して耐摩耗性を改
善することができる。 (2)強度と耐摩耗性を向上させるためには、斑組織の
面積比に最適値がある。 (3)強度と耐摩耗性を向上させるためには、初晶Si
の最大粒径に最適値がある。 (4)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr
およびNb(以下「遷移金属」という)の少なくとも1
種を添加することにより粒界のCu合金相が減少し、延
性を改善することができる。添加手段としては、所定組
成のCu−遷移金属合金粉の形態がよい。即ち、この発
明の合金は、全体組成が重量比でSi:2.4〜23.5
%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、遷移金
属:0.01〜1%、残部のAlおよび不可避不純物か
らなり、最大粒径が5〜60μmの初晶Siが分散して
いる共晶Al−Si系合金相とAl固溶体相との斑組織
を呈し、斑組織面に占めるAl固溶体相の面積が20%
を越え50%未満であることを特徴とする。
の発明の方法は、Si含有量が13〜30重量%のAl
−Si合金粉20〜80重量部に対して80〜20重量
部のAl粉を配合した粉末に、遷移金属の含有量が0.
2〜30重量%のCu−遷移金属合金粉、Mg含有量が
35重量%以上のAl−Mg合金粉またはMg粉を添加
して、全体組成が重量比でSi:2.4〜23.5%、C
u:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、遷移金属:0.
01〜1%、残部のAlおよび不可避不純物からなる混
合粉とし、この混合粉を圧粉成形した後焼結することを
特徴とする。
能であるが、高密度化および高強度化のために、焼結体
を常温または熱間で押出し、鍛造、圧延等の塑性加工を
行い、あるいはこの合金系に通常施される溶体化処理お
よび時効処理を行うことができる。
各構成要件について説明する。 (1)Si アルミニウム合金のSiは、一般的に熱膨張係数を低く
し、耐摩耗性を向上させる等の効果がある。全体組成か
らみたSiの量は、後述する初晶Siが分散したAl−
Si系合金相とAl固溶体相とが斑の組織を呈するよう
な範囲を選択し、2.4〜23.5重量%である。全体組
成のSi量が少な過ぎると、初晶Siが分散したAl−
Si系合金中のSi量が少ないか、あるいはAl固溶体
相の占める割合が多くなり、その場合には耐摩耗性に寄
与する初晶Siの量が少ないために耐摩耗性が不十分と
なる。一方、Si量が多過ぎると、前記と反対の現象を
生じ、やはり耐摩耗性が悪くなる。Siは、Al−Si
合金粉の形で添加する。Al−Si合金は、その粉末製
造の際の急冷凝固によって初晶Siが析出するために
は、Si含有量が13重量%以上であることが必要であ
り、また、Si含有量が30重量%以上になると、粉末
製造時の溶湯温度が高くなるため、Si含有量は13〜
30重量%が適当である。焼結した後のAl−Si合金
粉の部分は、後述するMg、Cu、遷移金属の一部が固
溶し、初晶Siが分散したAl−Si系合金となって焼
結合金斑組織の一方の合金相を構成する。
の向上に効果がある。また、Mgは焼結中に液相を生じ
て基地中に固溶し、効果としては焼結の促進と、時効処
理で析出するMg2Siによる基地の強化および耐摩耗
性の向上が挙げられる。Mgの量は、全体組成で0.2
重量%未満では効果が不十分であり、1.5重量%を越
えて添加してもその割には効果が伴わないため、0.2
〜1.5重量%の範囲としたが、更に好ましい範囲は0.
3〜0.7重量%である。また、添加手段としては、M
g含有量が35重量%以上のAl−Mg合金粉またはM
g粉の形態で行う。これは、Al−Mg二元系合金の融
点が、Mg含有量33〜70重量%の間において460
℃程度の低い値を示すためである。すなわち、純粋なM
g粉の場合は、焼結の過程でAl基地と固相拡散してM
g濃度が低下することにより、液相が発生する。一方、
Al−Mg合金粉を用いる場合には、Mg含有量を33
重量%とすると、前記と同様にAlとの拡散でMg濃度
が低下することにより融点が上昇して有効に液相を利用
することができないので、Mg含有量は35重量%以上
とすることが望ましい。
より一層大きな効果が得られる。全体組成で2重量%未
満では所望の強度の向上が認められない。5重量%を越
えると、粉末粒界近傍においてCuを主成分とする金属
間化合物が多量に析出して靭性が低下する。更に好まし
くは3.5〜4.5重量%である。Cu粉の形態で添加し
た場合に、Cuを基地に固溶させるために必要な加熱を
行うと、溶製材料のように初晶Siが粗大化し、反対に
加熱の温度を下げ時間を短縮すると、基地の粒界にCu
の金属間化合物、例えばAl2CuMg、Al6CuMg
4等が残存して強度の低下を招く。ここで、適量の遷移
金属(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Z
r、Nb)を共存させると、溶体化および時効処理によ
り金属間化合物を消失させることができる。この現象
は、基地中に過飽和に固溶したCuが時効処理により安
定した化合物として析出する際に、遷移金属の存在によ
り遷移金属とCuおよびSiが結合し、基地中のCuお
よびSiの量を部分的に減少させると共に、金属間化合
物のCuが基地中に拡散することによるものと考えられ
る。
u含有量の場合において、0.01重量%未満ではその
効果がなく、一方1重量%を越えると遷移金属を主成分
とする金属間化合物が析出して靭性が低下するため、
0.01〜1重量%とした。更に好ましくは0.1〜0.
5重量%である。遷移金属は単体で添加すると拡散し難
いため、Cu−遷移金属合金粉の形態で添加する。Cu
−遷移金属合金の融点は高いが、焼結過程でAl、Mg
等の元素が固相拡散することにより融点が低下して液相
を生じる。合金粉中の遷移金属量は、全体組成において
必要とされるCu量および遷移金属量の値から推定する
と0.2重量%以上必要であるが、30重量%を越える
と融点が高くなり過ぎて焼結中に液相が発生しなくなる
ので、0.2〜30重量%の範囲でなければならない
が、好ましくは0.2〜10重量%である。
金相 上記Al−Si系合金相は、斑組織の内の一方の相であ
って、比較的硬質であり、主に材料強度および耐摩耗性
に寄与する。基地のAl−Si系合金相は、Al−Si
合金中にMg、Cuおよび遷移金属が拡散した固溶体で
あり、この基地中に初晶Siが分散している。硬質な初
晶Siは、耐摩耗性にも寄与する。初晶Siの粒径が小
さいと引張り強さが大きくなる。但し、最大粒径が5μ
m未満では耐摩耗性が悪くなる。これは、小さい粒径の
初晶Siは基地との接触面積が少ないため、摩擦の過程
で基地から脱落し易く、その粒子が研磨粒子として作用
し摩耗を進行させるものと考えられる。一方、最大粒径
が60μmを越えると、強度や延性の低下に加え、硬質
な初晶Si粒子が突起物の状態で相手材を引掻き、相手
材の摩耗を進行させる。即ち、適度の大きさであること
が必要であり、最大粒径が5〜60μmのものが好適で
ある。なお、初晶Siの断面形状は、粒径が小さいもの
は、縦横の寸法がほぼ同じで円形に近い形をしている。
大きい粒子は、小さい粒子が集合して凝集したり粒成長
したものと考えられ、細長いもの、湾曲しているもの、
角張ったもの等、不規則である。平均的な粒子径は最大
粒径の1/4〜1/2程度である。前記の最大粒径は、
約5mm2程度の合金断面組織を顕微鏡で観察し、この
領域中の最も大きい粒子を選び、その両端距離が最も長
いものの寸法で表したものである。
に、Si、Mg、Cuおよび遷移金属が拡散した固溶体
であって、斑組織の内の他方の相であり、比較的軟質で
ある。合金の靭性、摩擦中の相手材との馴染み性に効果
があり、また、摩擦摺動により初晶Siが分散したAl
−Si系合金相が塑性流動したときや初晶 Siが脱落
した場合に、硬質相を埋めこむ作用があり、引掻き摩耗
を減少させる。
系合金相においては、硬質な初晶Si粒子が耐摩耗性に
寄与する。他方の軟質なAl固溶体相は、初期摩耗を受
け前記硬質相の間にいわば潤滑油溜まりを形成して、潤
滑性の向上に寄与する。また、塑性変形し易いので、摺
動面近傍の硬質な初晶Si粒子が摩耗粉として脱落しそ
うになったり脱落した場合にそれを埋没させ、Si粒子
が研磨粒子として作用することを防ぐ効果がある。初晶
Si粒子が分散したAl−Si系合金相と軟質なAl固
溶体相とが斑状態に混在した複合合金組織であるとき
に、相互の作用で強度および耐摩耗性が良好になる。
する概念図である。白地の粒子はAl固溶体相、図中の
塗り潰された小さい粒子は初晶Siであり、初晶Siが
分散したAl−Si系合金相とAl固溶体相とが斑状を
呈している。二つの相の割合が合金断面の面積比で20
〜80:80〜20のときに、耐摩耗性が良好になる。
初晶Siが分散している相が20%より少なくても、8
0%より多くても耐摩耗性が著しく悪化する。
度と時間との組合わせにより制御することが可能である
が、焼結温度が560℃を越えると初晶Siが粗大化し
たり、焼結による部材の変形が生じ易くなる。一方、焼
結温度が500℃より低いと液相の発生が少なく、著し
く長い焼結時間が必要となる。焼結雰囲気は、真空また
は低露点の不活性ガス例えば窒素、アルゴン等である。
属等の化合物の析出硬化により基地を強化し、かつ粉末
粒界近傍においてCuを主体とする金属間化合物を基地
中に固溶させて消滅させる必要があるため、溶体化処理
および時効処理が必要である。なお、焼結の際に徐冷せ
ずに急冷を行えば、連続して焼結と溶体化処理を行うこ
とができ、製造コストの低減が可能である。
は更に溶体化処理、時効処理を施した合金は、気孔が多
いものであっても、含油量を多くすることにより高い摺
動特性を必要とする用途に適用できるので、密度を限定
するものではない。しかし、密度比が高いほど材料強度
および耐摩耗性が向上するので、必要に応じて焼結体に
熱間で圧延、鍛造、押出し加工等を施すことが望まし
い。例えば、密度比90%の合金の引張り強さが220
MPa、摩耗量が4mmである場合に、同合金を熱間鍛
造により密度比100%にすると、引張り強さは380
MPaを示し、摩耗量は0.01mmと少なくなる。
u−4%Ni合金粉およびAl−50%Mg合金粉であ
る。これらの粉末を用い、Cu−4%Ni合金粉を4.
17重量%、Al−50%Mg合金粉を1重量%で一定
とし、Al−Si合金粉の種類と配合量、および純Al
粉の配合量を変えた試料番号1〜18の混合粉を所定形
状に圧粉成形した。用いた上記Al−Si合金粉は、S
i含有量が15%、17%、20%、25%、30%の
都合5種類である。圧粉体について400℃で脱ろう
し、540℃で60分間の焼結を行った後、熱間鍛造で
密度比100%とし、490℃で溶体化処理および24
0℃で時効処理を行った。各試料について引張り強さ
と、ピンオンディスク摩擦摩耗試験による試料の摩耗量
とを測定し比較した。ピンオンディスク摩擦摩耗試験
は、試料をピンとして用い、相手のディスクとしてS4
8C材の熱処理品を用い、鉱油潤滑により滑り速度5m
/秒とし、面圧49MPaで行った。表1に、用いたA
l−Si合金粉の種類、全体組成におけるSi含有量、
斑組織中に占める軟質のAl固溶体相の面積比および摩
耗量を示す。なお、全体組成の重量比は Cu4%、M
g0.5%、Ni0.17%である。また、表1の試料番
号1〜18における合金断面に占めるAl固溶体相の面
積比と摩耗量との関係を図1のグラフに示す。図から判
るように、Al−Si合金粉末中のSi量が所定範囲で
あり、合金断面に占めるAl固溶体相の面積比が20〜
80%の間であると摩耗量が少なく、20%より少なく
ても80%より多くても著しい摩耗量となっている。
Alを重量比で75:25で混ぜ合わせた粉末にCu−
4%Ni合金粉とAl−50%Mg合金粉を混合し、全
体組成の重量比をSi15%、Cu4%、Mg0.5
%、Ni0.17%、残部Alとし、この混合粉を圧粉
成形した後、400℃で脱ろうし、温度540℃で5〜
180分間の焼結を行った後、それぞれの焼結体につい
て前記実施例と同様に熱間鍛造、溶体化処理および時効
処理を行った(試料番号19〜23)。焼結時間の短い
試料の組織は、初晶Siの粒径が小さく、焼結時間の長
い試料は大きくなっている。これらの試料の初晶Siの
最大粒径と前記実施例と同様に測定した摩耗量および引
張り強さの測定結果を表2に示す。初晶Siの最大粒径
が小さいほど強度は高いが、初晶Siの最大粒径が5μ
m未満および60μmを越えると耐摩耗性が低下するこ
とが判る。
割合で混合し、その圧粉成形体について400℃で脱ろ
うし、温度540℃で60分間焼結を行った後、前例と
同様に熱間鍛造したものと、鍛造体に更に490℃で溶
体化処理および240℃で時効処理を行ったものとを製
作した。各試料の引張り強さおよび伸びを測定した結果
を表4に示す(試料番号24〜28)。断面組織からC
uを主成分とする金属間化合物が認められる試料には符
号aを、認められない試料には符号bを付した。溶体化
および時効処理を行って金属間化合物が消失したもの
(試料番号24b〜27b)は、伸びが著しく高くなる
ことが判る。
割合で混合し、その圧粉成形体を400℃で脱ろうし、
温度540℃で60分間焼結を行った後、熱間鍛造し、
鍛造体を490℃で溶体化処理および240℃で時効処
理を行ったものを作製した。そして、各試料の引張り強
さおよび伸びを測定した。表6に結果を示す。Ni、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Zrの遷移金属を添
加した試料では、断面組織においてCuを主成分とする
金属間化合物が消失し、前記と同様な伸びの値を示して
いる。しかし、遷移金属以外の元素を添加した場合に
は、Cuを主成分とする金属間化合物が認められ、伸び
値が低いことが判る。
i系焼結合金は、最大粒径が5〜60μmの初晶Siが
分散しているAl−Si系合金相とAl固溶体相との斑
組織を呈し、斑組織面に占めるAl固溶体相の面積が2
0%を越え50%未満であるように構成したものであ
り、機械強度および伸びが大きく、特に耐摩耗性の優れ
たものであるため、軽量化が要求されている軸受、各種
歯車、プーリー、コンプレッサーベーン、コンロッド、
ピストンなどの用途への適用が期待され、焼結部品の利
用拡大に貢献するものと考えられる。
の関係を示すグラフである。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 全体組成が重量比でSi:2.4〜23.
5%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、ZrおよびNbか
ら選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属:0.01
〜1%、残部のAlおよび不可避不純物からなり、最大
粒径が5〜60μmの初晶Siが分散しているAl−S
i系合金相とAl固溶体相との斑組織を呈し、斑組織面
に占めるAl固溶体相の面積が20%を越え50%未満
であることを特徴とする耐摩耗性アルミニウム系焼結合
金。 - 【請求項2】 Si含有量が13〜30重量%のAl−
Si合金粉20〜80重量部に対して80〜20重量部
のAl粉を配合した粉末に、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、ZrおよびNbから選ばれる1種もし
くは2種以上の遷移金属の含有量が0.2〜30重量%
のCu−遷移金属合金粉、Mg含有量が35重量%以上
のAl−Mg合金粉またはMg粉を添加して、全体組成
が重量比でSi:2.4〜23.5%、Cu:2〜5%、
Mg:0.2〜1.5%、前記遷移金属:0.01〜1
%、残部のAlおよび不可避不純物からなる混合粉と
し、この混合粉を圧粉成形した後焼結することを特徴と
する耐摩耗性アルミニウム系焼結合金の製造方法。
Priority Applications (4)
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