JP3940022B2 - 焼結アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車、プーリー、コンプレッサー用べーン、コンロッド、ピストンなどの軽量で強度と耐摩耗性を要求される部品の材料として好適な焼結アルミニウム合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械効率の向上や省エネルギーの必要性の観点から、機械要素の軽量化材料への置換が進んでいる。特に焼結アルミニウム合金は、鋳造合金に比べて、微細な初晶Siを含む高Si系合金にすることができるので、比強度および耐摩耗性の優れた材料として期待されている。
【0003】
そのような焼結アルミニウム合金としては、例えば特開平4−365832号公報、特開平7−197168号公報、特開平7−197167号公報および特開平7−224341号公報等に開示された焼結アルミニウム合金を挙げることができる。これらはいずれも、所定量のSiを含有し、所定の粒径の初晶Siが分散したAl−Si系合金相とAl固溶体相とを特定面積比で斑組織にした強度と耐摩耗性を向上させた合金である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の焼結アルミニウム合金は、高い強度と耐摩耗性を有するものであるが、近年、より一層の高強度化および薄肉化への要請が高まってきている。一方、上記焼結アルミニウム合金は、強度にばらつきがあるので、ある程度の肉厚が必要であり、また、伸びおよび疲れ強さに関してもなお改良の余地が残されており、上記焼結アルミニウム合金のさらなる改良が望まれている。
【0005】
このような観点から、この発明の目的は、従来の焼結アルミニウム合金の強度のばらつきを低減し、伸びおよび疲れ強さを向上させた焼結アルミニウム合金の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために、本発明者らは、従来の焼結アルミニウム合金の強度のばらつきの原因について調査を行った。その結果見出した現象は、以下の通りである。
【0007】
すなわち、粉末の形態で与えられたCuまたはCu合金のCuは、焼結時の温度上昇に伴い、約517〜524℃の温度で、Al−Si−Cuの共晶液相を発生し、まずAl−Si粉未中に拡散する。このAl−Si粉未中へのCuの拡散は急速に進行し、Al−Si粉末中のCuの固溶限まで進行する。Cu固溶限を超えるCuは残留し、その後、温度が上昇して548℃以上でAl−Cuの共晶液相が発生するとともにAl粉末へ急速に拡散が進行する。このAl粉末中へのCuの拡散は、上記のAl−Si粉末中への拡散速度に比べ高温域で進行する。すなわち、一定の温度下におけるマトリックス中へのCuの拡散は、Al−Si基地へは急速に、Al基地へはそれより遅く進行する。そのため、焼結条件によっては、Al基地の部分は、元の粉末の外周部分ではCu濃度が高く、元の粉末の中心部分ではCu濃度が低くなり成分的に偏析する現象が発生する。本発明者らは、この偏析が、強度のばらつきを生じさせ、伸びおよび疲れ強さの向上を阻害していることを見出した。
【0008】
この偏析をなくすためには、Cuを十分に拡散させる必要があり焼結時間を長くすることにより達成できるが、焼結時間の延長は製造コストの増加をもたらし得策ではない。また、Cuの拡散を早めるために焼結温度を上昇させると、Cuの拡散速度は向上し、短時間で均一に拡散できるが、焼結温度が560℃以上に上昇すると過飽和に固溶したSiが析出し粗大な初晶Siに成長して、強度および耐摩耗性の低下の原因となるのでこれも得策ではない。
【0009】
そこで、Cuによる濃度偏析をなくして均一化し、強度のばらつきを抑制するために、本発明者らが見出した方策は、Al粉末のみを微粉化することである。Al粉末が微粉であれば、粉末表層から中心部までの距離が短くなり、焼結温度を上昇させることなく、短時間で容易に粉末の中心部までCuを拡散させて、Al相中のCu濃度を均一にすることが可能となる。
【0010】
このときAl−Si粉末まで微粉化すると、混合粉末全体の粒度分布が微粉側に大きく偏ることとなり、粉末自体の流動性が極端に悪化し、製品の密度や重量にばらつきを招くため好ましくない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以上のような技術的背景から、本発明における焼結アルミニウム合金の製造方法は、少なくともAl−Si系急冷凝固粉末、Al粉末、およびCu粉末またはCu合金粉末を含む混合粉末を用い、所定の形状に圧粉成形した後、焼結および必要に応じて熱処理する焼結アルミニウム合金の製造方法において、前記Al粉末の最大粒径が100μm以下であることを特徴とし、また、平均粒径が45〜75μmであることを特徴とする。さらに、上記Al粉末の粒径分布は、45μm未満:10〜30質量%、45〜75μm:35〜65質量%、および75〜100μm:15〜35質量%であることを特徴とする。
【0012】
上記のAl粉末の微粉化によるAl相におけるCu濃度の均一化の効果は、Al粉末の最大粒径が100μm以下で顕著であり、それを超えるとCuの拡散が不均一になる。
【0013】
上記の微粉化による効果は、Al粉末が微細になるに従い、より一層顕著になるが、微粉末の増加は混合粉未の流動性を低下させ、また、粉未の金型充填時においてブリッジングが発生し易く、充填量が不均一となり、さらに、圧縮性も低下するなどの理由から過度の微粉化は得策ではなく、平均粒径として45μm以上であることが好ましい。
【0014】
なお、A1粉末は、全てが100μm以下の粉末であることが好ましいが、工業上100μm以下の粉末を入手するには、粉未を篩により分級する方法や、粉末をエアで吹き飛ばして飛散する距離で分級する方法等があるが、篩による分級の場合、アスペクト比の大きい粉末が篩を通過する場合があり、また、エア飛散させて分級する方法の場合においても100μmを超える粉末が極僅かに混入する場合がある。しかし、そのような100μmを超える不可避の粉末が数%混入しても、平均粒径が75μm以下であれば、ほとんどのAl粉末は微粉側に分布し、上記のCu濃度の均一化の効果が得られる。
【0015】
さらに、上記Al粉末の粒径分布が、45μm未満:10〜30質量%、45〜75μm:35〜65質量%、および75μm以上:15〜35質量%の範囲であると、上記Al相中のCu濃度の均一化と、混合粉末の流動性、充填性および成形性を両立させる上で効果的である。
【0016】
なお、本発明においては、Al粉末とは、Alが99.5質量%以上で残部が不可避不純物からなる粉末をいう。
【0017】
上記のように、CuのAl相への拡散を均一にすることによって、強度の低い部分がなくなり、強度のばらつきが低減される。また、強度の低い部分がなくなるので伸びおよび疲れ強さも大幅に改善される。
【0018】
また、本発明の焼結アルミニウム合金の第2の製造方法としては、Cu粉末またはCu合金粉末は、Al相およびAl−Si相に拡散して元の粉末部分が気孔として残留するため、粗粉を用いると粗大な気孔が残留して強度低下の原因となるので微粉を用いることが好ましい。また、Cu粉末またはCu合金粉末を微細にすると、上記のAl微粉末との接触面積を大きくすることができ、Al相中へのCuの均一な拡散にも効果的である。ただし、過度の微粉化は、材料歩留まりや混合粉末中での偏析等の点から好ましくない。以上の理由からCu粉末またはCu合金粉末は、最大粒径が75μm以下、好ましくは45μm以下、であるとともに、平均粒径が10〜35μmであることが好ましい。
【0019】
さらに本発明の焼結アルミニウム合金の第3の製造方法としては、混合粉末中にMg粉末またはAl−Mg等のMg合金粉末を含有させるとより効果的である。Mgは、単体の場合は550℃近辺で急にAl−Cu−Mgの共晶液相を発生してCuの拡散を進行させる。また、Al−Mgとして加えた場合は、460℃近辺でAl−Mg液相を発生し、毛細管力で圧粉体の隅々まで液相が行きわたるとともに、個々の粉末表面を完全に覆い、Al粉末表面の酸化被膜を除去し、さらに温度が上昇すると、514℃程度でAl−Cu−Mgの共晶液相を発生し、Cuの拡散を促進させる。
【0020】
本発明の焼結アルミニウム合金の最良の製造方法は、上記の本発明の第1から第3の焼結アルミニウム合金の製造方法を、特開平7−224341号公報に開示された合金に適用した第4の製造方法である。すなわち、前記の混合粉末が、Si含有量が13〜30質量%のAl−Si合金粉末20〜80質量部に対して、前記Al粉末を80〜20質量部配合した粉末に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、ZrおよびNbから選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属の含有量が0.2〜30質量%のCu−遷移金属合金粉末、およびMg含有量が35質量%以上のAl−Mg合金粉末またはMg粉末を添加してなるとともに、全体組成が質量比でSi:2.4〜23.5%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、前記遷移金属:0.01〜1%および残部のAlおよび不可避不純物からなる混合粉末であることを特徴とする。
【0021】
以下に各粉末の成分量および添加量等の要件について説明する。
[Al−Si合金粉末]
Siは、一般的に熱膨張係数を低くし、硬質な初晶Siとして析出して耐摩耗性を向上させる等の効果がある。SiはAl−Si合金粉の形態で添加され、Al−Si合金は、その粉末製造の際の急冷凝固によって初晶Siが析出するためには、Si含有量が13質量%以上であることが必要であり、また、Si含有量が30質量%以上になると、粉末製造時の溶湯温度が高くなるため、Si含有量は13〜30質量%が適当である。焼結した後のAl−Si合金粉の部分は、後述するMg、Cu、遷移金属の一部が固溶し、初晶Siが分散したAl−Si系合金となって焼結合金斑組織の一方の合金相を構成する。Al−Si系合金相は、比較的硬質であり、主に材料強度および耐摩耗性に寄与する。
【0022】
全体組成からみたSiの量は、初晶Siが分散したAl−Si系合金相とAl固溶体相とが斑組織を呈するような範囲を選択し、2.4〜23.5質量%である。全体組成のSi量が少な過ぎると、初晶Siが分散したAl−Si系合金中のSi量が少ないか、あるいはAl固溶体相の占める割合が多くなり、その場合には耐摩耗性に寄与する初晶Siの量が少ないために耐摩耗性が不十分となる。一方、Si量が多過ぎると、合金の強度および延性が低下するとともに、硬質な初晶Siの量が多過ぎるか、あるいはAl固溶体相の占める割合が小さくなり、その場合には硬質な初晶Siが相手材の摩耗を進行させたり、脱落した初晶Siが埋め込まれず研磨粒子として作用して摩耗を促進したりして、やはり耐摩耗性が悪くなる。
【0023】
[Al微粉末]
上記のAl微粉末は、焼結後、斑状組織内の他方の相であるAl固溶体相を形成する。Al固溶体相は、Al中に、Si、Mg、Cuおよび遷移金属が拡散した相であって、比較的軟質である。合金の靭性、摩擦中の相手材との馴染み性の向上に効果がある。また、摩擦摺動により初晶Siが分散したAl−Si系合金相が塑性流動したときや、初晶Siが脱落した場合に、硬質相を埋めこむ作用があり、引掻き摩耗を減少させる。
【0024】
上記のAl−Si合金粉未と上記のA1微粉末との割合が、質量比で20〜80:80〜20のときに、耐摩耗性が良好になる。Al−Si合金粉末の質量比が20より少なくても、80より多くても耐摩耗性が著しく悪化する。
【0025】
[Mg粉末またはAl−Mg合金粉末]
Mgは、時効析出硬化による基地の強化および耐摩耗性の向上に効果がある。また、Mgは焼結中に液相を生じて基地中に固溶し、効果としては焼結の促進と、時効処理で析出するMgSiによる基地の強化および耐摩耗性の向上が挙げられる。Mgは、Mg含有量が35質量%以上のAl−Mg合金粉またはMg粉の形態で使用する。これは、Al−Mg二元系合金の融点がMg含有量33〜70質量%の間において460℃程度の低い値を示すためである。すなわち、純粋なMg粉の場合は、焼結の過程でAl基地と固相拡散してMg濃度が低下することにより、液相が発生する。一方、Al−Mg合金粉を用いる場合には、Mg含有量が33質量%程度では、前記と同様にAlとの拡散でMg濃度が低下することにより融点が上昇して有効に液相を利用することができないので、Mg含有量は35重量%以上とすることが望ましい。
【0026】
Mgの量は、全体組成で0.2質量%未満では効果が不十分であり、1.5質量%を超えて添加してもその割には効果が伴わないため、0.2〜1.5質量%の範囲とするが、更に好ましい範囲は0.3〜0.7質量%である。
【0027】
[Cu粉末またはCu合金粉末]
CuはAl合金基地を強化する元素であり、時効処理により一層大きな効果が得られる。全体組成で2質量%未満では所望の強度の向上が認められない。5質量%を超えると、粉末粒界近傍においてCuを主成分とする金属間化合物が多量に析出して靭性が低下する。更に好ましくは3.5〜4.5質量%である。
【0028】
Cuは、Cu粉末の形態で加えてもよいが、適量の遷移金属(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb)を共存させると、溶体化および時効処理によりCuの金属間化合物を消失させることができるため好ましい。
【0029】
全体組成における遷移金属量は、前記のCu含有量の場合において、0.01質量%未満ではその効果がなく、一方1質量%を超えると遷移金属を主成分とする金属間化合物が析出して靭性が低下するため、0.01〜1質量%とする。更に好ましくは0.1〜0.5質量%である。遷移金属は単体で添加すると拡散し難いため、Cu−遷移金属合金粉の形態で添加する。Cu−遷移金属合金の融点は高いが、焼結過程でAl、Mg等の元素が固相拡散することにより融点が低下して液相を生じる。Cu−遷移金属合金粉中の遷移金属量は、全体組成において必要とされるCu量および遷移金属量の値から推定すると0.2質量%以上必要であるが、30質量%を超えると融点が高くなり過ぎて焼結中に液相が発生しなくなるので、0.2〜30質量%の範囲でなければならないが、好ましくは0.2〜10質量%である。
【0030】
以上の本発明の焼結アルミニウム合金の製造方法により得られた焼結合金は、焼結体の状態でも使用可能であるが、高密度化および高強度化のために、焼結体を常温または熱間で押出し、鍛造、圧延等の塑性加工を行い、あるいはこの合金系に通常施される溶体化処理および時効処理を行うことができる。
【0031】
【実施例】
最大粒径が150μmのAl−20Si粉未と、表1および表2に示す最大粒径、平均粒径、および粒度分布のAl粉末、同表に示す最大粒径および平均粒径のCu−4Ni粉末、および最大粒径が75μmのAl−50Mg粉末を用意し、表1、2に示す配合比で混合し、表3に示す全体組成の混合粉末を作製した。得られた混合粉末についてJIS Z−2502(金属粉−流動性試験方法)に基づいて流動度を測定した。その結果を表4に示す。
その後、各混合粉末を金型に投入し、成形圧力200MPaで、φ40×25mmの形状に成形し、得られた成形体を400℃で60分間加熱して脱ろうした後、引き続き焼結温度550℃に昇温して60分保持して焼結を行った。得られた焼結体を素材温度450℃に加熱して熱間鍛造した後、T7処理を施した。その後、1試料につき10本、JIS Z−2201に規定の板状引張り試験片に加工して、各10回引張り試験を行い、引張り強さと伸びを測定した。この時の各試料の引張り強さおよび伸びの平均値、最大値、最小値および、ばらつきとして(最大値)−(最小値)の値をそれぞれ表4に併せて示す。
また、小野式回転曲げ試験片の形状に加工し、回転曲げ疲れ強さ試験を行い、その結果も表4に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003940022
【0033】
【表2】
Figure 0003940022
【0034】
【表3】
Figure 0003940022
【0035】
【表4】
Figure 0003940022
【0036】
表1および3に示す試料番号01〜04の評価結果(表4)を比較すると、引張り強さの値自体はほとんど差がないが、従来例であるAl粉末の最大粒径が150μmの試料01は、引張り強さのばらつきが大きく、伸びおよび疲れ強さが低い値を示す。Al粉末の最大粒径が100μm以下の試料02〜04では引張り強さのばらつきが小さく、伸びおよび疲れ強さが向上していることがわかる。ただし、Al粉末の平均粒径が45μmに満たない試料04は、混合粉末の流動性が悪く、粉末が流れないことがわかる。
【0037】
また、表1、2の試料番号02、05〜08の評価結果を比較すると、Al粉末の最大粒径が100μm、あるいはそれ以下(試料番号08)であっても、平均粒径が小さいほど、引張り強さのばらつきが小さく、伸びも大きい値を示し、平均粒径75μm以下の試料02、06〜08は、従来例である試料01より引張り強さのばらつきが70%以上低減され、伸びは140%以上向上している。
【0038】
以上の結果から、Al粉末の最大粒径が100μm以下のとき、引張り強さのばらつきを小さくし、伸びおよび疲れ強さを向上させる効果があり、さらに平均粒径が45〜75μmの範囲で流動性を満足しつつ上記の効果が顕著であることが確認された。
【0039】
さらに、表2および3の試料07、09および10の評価結果(表4)を比較すると、Cu合金粉末の最大粒径が150μmの試料09は、引張り強さが低下し、ばらつきも大きくなっており、特に伸びおよび疲れ強さが低下している。一方、Cu合金粉末の最大粒径が75μm以下の試料07および10では、引張り強さの低下が認められず、ばらつきも小さく安定しており、特に伸びおよび疲れ強さの向上が認められる。
【0040】
これは、Cu合金粉末の最大粒径が150μmの試料09では、本実施例の焼結時間ではCuの拡散が終了せず、Cu−Al合金として一部残留したことにより、引張り強さのばらつきが大きくなり、伸びおよび疲れ強さが低下したものと考えられる。一方、試料07および10ではCu合金粉末の最大粒径が75μm以下であるため、本実施例の焼結時間でCuの拡散が完了し、Cuの分散が均一となったことにより引張り強さのばらつきが小さく、伸びおよび疲れ強さが向上したものと考えられる。
【0041】
表2および3の試料07と11の評価結果を比較すると、Mgを含有する試料07の方が伸びは小さくなるが、引張り強さが大きくなることがわかった。
【0042】
以上の結果から、Cu合金粉末も微細な方が好ましく、最大粒径が75μm以下で引張り強さのばらつきが小さく、伸びおよび疲れ強さが向上すること、およびMgの含有は引張り強さを改善するが伸びが低下するため、用途に応じて適宜選択すればよいことが確認された。
【0043】
【発明の効果】
本発明の焼結アルミニウム合金の製造方法によれば、引張り強さのばらつきを低減し、伸びおよび疲れ強さを向上させることができ、適用部品の、より一層の高強度化および薄肉化が達成できる。

Claims (5)

  1. 少なくともAl−Si系急冷凝固粉末、Al粉末、およびCu粉末またはCu合金粉末を含む混合粉末を用い、所定の形状に圧粉成形した後、焼結および必要に応じて熱処理する焼結アルミニウム合金の製造方法において、
    前記Al粉末最大粒径が100μm以下で、かつ平均粒径が45〜75μmの微粉末を用いるとともに、最大粒径が100μmを超え、かつ平均粒径が75μmを超えるAl−Si系急冷凝固粉末を用いることを特徴とする焼結アルミニウム合金の製造方法。
  2. 前記Al粉末の粒径分布は、45μm未満:10〜30質量%、45〜75μm:35〜65質量%、75μm以上:15〜35質量%であることを特徴とする請求項1に記載の焼結アルミニウム合金の製造方法。
  3. 前記Cu粉末またはCu合金粉末の最大粒径が75μm以下であり、かつ平均粒径が10〜35μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結アルミニウム合金の製造方法。
  4. 前記混合粉末に、Mg粉末またはMg合金粉末を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の焼結アルミニウム合金の製造方法。
  5. 前記混合粉末が、Si含有量が13〜30質量%のAl−Si系急冷凝固粉末20〜80質量部に対して、80〜20質量部の前記Al粉末を配合した粉末に、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、ZrおよびNbから選ばれる1種もしくは2種以上の遷移金属の含有量が0.2〜30質量%のCu−遷移金属合金粉末、および、Mg含有量が35質量%以上のAl−Mg合金粉末またはMg粉末を添加してなり、かつ、全体組成が質量比でSi:2.4〜23.5%、Cu:2〜5%、Mg:0.2〜1.5%、前記遷移金属:0.01〜1%、および残部がAlおよび不可避不純物からなる混合粉末であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の焼結アルミニウム合金の製造方法。
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