JP6794100B2 - アルミニウム粒子群およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム粒子群およびその製造方法に関し、特に、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタに用いられる造形物用原料粉末に適したアルミニウム粒子群およびその製造方法に関する。
金型を必要とせず多様な形状の成形が可能な加工技術として、3Dプリンタを用いた造形技術が注目されている。3Dプリンタにおいて、原料粉末として金属粉末を用いる場合、粉末床溶融結合方式が好適に利用される。粉末床溶融結合方式においては、造形物は次のようにして形成される。
まず、金属粉末が一定の厚みに敷き詰められる。次に、この積層体(パウダーベッド)に対し、レーザー光または電子線を局所的に照射する。これにより、照射対象となった原料粉末が溶融、焼結して、造形層が形成される。この造形層を幾層にも積層させることにより、所望の造形物が成形される。
上記のような造形方法において欠陥のない成形体を得るためには、適切な原料粉末を選択する必要がある。原料粉末の流動性、溶融時の濡れ性、強度、加工性等の各種特性が、積層体、造形層の形成に大きく作用し、ひいては造形物の完成度に寄与するためである。
たとえば、特許文献1には、ニッケル粉末と、銅粉末と、黒鉛粉末とからなる造形用の金属粉末が開示されている。特許文献1には、この金属粉末が溶融時に高い濡れ性を発揮することができるために、粉末床溶融結合方式における造形性を向上させることができ、かつ造形物におけるマイクロクラックの発生が低減される旨が記載されている。
特開2004−277877号公報
しかし、特許文献1の金属粉末を用いて成形される造形物は、必ず炭素分を含むものとなるため、その実用には制限がある。また、特許文献1においては、濡れ性以外の特性の改善は示されていない。このため、3Dプリンタに用いられる造形物用原料粉末には、未だ多くの改善の余地が残されている。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタに用いられる造形物用原料粉末に適したアルミニウム粒子群およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係るアルミニウム粒子群は、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子群であって、走査型電子顕微鏡を用いてアルミニウム粒子群を観察したときの観察画像において、アルミニウム粒子群の平均円形度は0.75以上であり、アルミニウム粒子群の平均粒径D50は、10μm以上100μm未満であり、直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数をAとし、直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数をBとし、サテライトを有さないアルミニウム粒子の数をCとし、サテライトを有するアルミニウム粒子の数をDとしたとき、A×3≦Bを満たすとともに、D<Cを満たす。
上記アルミニウム粒子群において、平均粒径D50は、20μm以上60μm未満であることがより好ましい。
上記アルミニウム粒子群は、アルミニウム粒子群を、算術平均粗さRaが0.3μm以上0.4μm以下の面上に盛り上げて、直径6.8mm、高さ3.4mmの半球状の粒子集合体を形成し、面から1ミルの間隔を空けて配置されたドクターブレードを用いて、粒子集合体を一方向に引き伸ばした場合に、アルミニウム粒子群が引き伸ばされた距離が20cm未満であることが好ましい。
上記アルミニウム粒子群の安息角は、40°以下であることが好ましい。
上記アルミニウム粒子群は、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタにおける造形物用原料粉末として好適に利用できる。
上記アルミニウム粒子群の製造方法であって、大気開放型のガスアトマイズ法により、アトマイズ粒子群を作製する工程と、乾式の空気分級により、アトマイズ粒子群から細粒を除去する工程と、目開き40μm以上75μm以下の篩を用いた篩分けにより、アトマイズ粒子群から粗粒を除去する工程と、をこの順に備える。
本発明のアルミニウム粒子群によれば、流動性に優れるため、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタに用いられる造形物用原料粉末に適する。
観察画像の一例を示す図である。 図2(a)は、アルミニウム粒子群の流動性を確認する方法を説明する模式的な斜視図であり、図2(b)は図2(a)の断面図である。 図3(a)は、アルミニウム粒子群の流動性を確認する方法を説明する模式的な斜視図であり、図3(b)は図3(a)の断面図である。 図4(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図4(b)は図4(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図5(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図5(b)は図5(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図6(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図6(b)は図6(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図7(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図7(b)は図7(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図8(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図8(b)は図8(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図9(a)は、実施例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図9(b)は図9(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図10(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図10(b)は図10(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図11(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図11(b)は図11(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図12(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図12(b)は図12(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図13(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図13(b)は図13(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図14(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図14(b)は図14(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 図15(a)は、比較例1のアルミニウム粒子群の観察画像の一例であり、図15(b)は図15(a)を二値化処理し、かつサテライトを有するアルミニウム粒子と判定されたアルミニウム粒子にハッチングを施した図である。 実施例1および比較例1の各アルミニウム粒子群の敷き詰め試験の結果を示す図である。
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
[アルミニウム粒子群]
本実施形態に係るアルミニウム粒子群は、アルミニウム粒子からなり、走査型電子顕微鏡を用いてアルミニウム粒子群を観察したときの観察画像において、アルミニウム粒子群の平均円形度は0.75以上であり、直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数をAとし、直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数をBとし、サテライトを有さないアルミニウム粒子の数をCとし、サテライトを有するアルミニウム粒子の数をDとしたとき、A×3≦Bを満たすとともに、D<Cを満たすことを特徴とする。
上記の「アルミニウム粒子」は、純度99.7質量%以上のアルミニウム(いわゆる純アルミニウム)、またはアルミニウム(Al)を主成分とするアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金としては、1000〜8000系のアルミニウム合金の他、これらのアルミニウム合金に対してAl以外の他の元素が添加されたアルミニウム合金が挙げられる。好ましい他の元素としては、シリコン(Si)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)が挙げられる。
アルミニウム合金におけるAl以外の成分の各配合量は、アルミニウム合金100質量%に対してそれぞれ10質量%以下であることが好ましい。なかでも、Siの配合割合は、アルミニウム合金100質量%に対して40質量%以下であることが好ましく、Mgの配合割合は10質量%以下であることが好ましい。
アルミニウム粒子の成分、すなわち純アルミニウムであるか、合金であるか、合金である場合には、各成分の配合割合はどのような値であるかは、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により定量することができる。
上記の「観察画像」は、以下のようにして作製される。まず、100個以上50000個以下のアルミニウム粒子が、台座の表面に固定された観察用試料を作製する。台座の表面において、アルミニウム粒子は、互いに重ならないように分散されている。このような観察用試料は、たとえば、台座の表面に両面テープを配置し、露出する両面テープの面上にアルミニウム粒子を落下させ、余分なアルミニウム粒子をエアー等で除去することにより作製することができる。
次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察用試料を観察し、1つの視野中に15個以下のアルミニウム粒子が含まれるように倍率を調整して、写真を撮像する。この写真が「観察画像」となる。写真は1つの観察用試料において少なくとも10枚以上作製し、かつ各写真を繋ぐことにより、観察用試料の全体が観察されることとなる。
なお、1つの視野の縦および横の各大きさは、アルミニウム粒子群の平均粒径D50(50%粒子径)の4〜12倍とする。たとえばアルミニウム粒子のD50が50μmの場合、1つの視野の縦および横の各大きさは、200〜600μmとなる。上記のD50は、レーザー回折法により測定されたアルミニウム粒子群の体積累積粒度分布の結果から算出される。
上記のアルミニウム粒子群の「平均円形度」は、次のようにして算出される。
まず、1つの観察用試料から作製された10枚以上の観察画像を用いて、100個以上のアルミニウム粒子をランダムに抽出する。次に、画像解析処理により、抽出された各アルミニウム粒子の面積(μm2)と、周囲長(μm)とを測定する。測定された各面積および各周囲長の値を、{円形度=4×π×(面積)/(周囲長)2}の計算式に代入して、100個以上の各アルミニウム粒子の円形度を算出し、その平均値を「平均円形度」とする。
上記の「直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数」および「直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数」であるAおよびBは、次のようにして算出される。
まず、上記において抽出された100個以上のアルミニウム粒子の各面積の値から、各粒子の円相当径(Heywood径)を算出する。そして、上記アルミニウム粒子のうち、円相当径が5μm未満の数を「直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数」とし、円相当径が10μm以上の数を「直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数」とする。
上記の「サテライトを有さないアルミニウム粒子の数」および「サテライトを有するアルミニウム粒子の数」であるCおよびDは、次のようにして決定される。
まず、上記において抽出された100個以上のアルミニウム粒子の外観を観察画像にて確認する。そして、観察画像において、明確に「1つの粒子からなる」と目視される粒子を「サテライトを有さないアルミニウム粒子」とする。一方、2つ以上の粒子が重なって、または連なってなる粒塊、換言すれば、観察画像において「外郭が連なるように目視される複数のアルミニウム粒子からなる粒塊」は、1つの「サテライトを有するアルミニウム粒子」とみなす。
「サテライトを有さないアルミニウム粒子」を「サテライトを有するアルミニウム粒子」の上記の区別について、図1を用いてさらに詳しく説明する。
図1は、1つの視野からなる観察画像の一例を示す図である。図1に示される観察画像において、X1、Y1〜Y9、Z1〜Z4の符号で示される14個のアルミニウム粒子が観察される。図1から分かるように、上記の条件で作製される観察画像においては、実際には個別のアルミニウム粒子同士が重なって、あたかも1つの粒塊を形成しているように見えてしまう可能性が十分に低減されている。換言すれば、このような観察画像となるように、観察倍率を調整する。
図1を参照し、X1は、2つ以上の粒子が重なっておらず、かつ連なっておらず、明確に1つの粒子からなると認識されるため、「サテライトを有さないアルミニウム粒子」とみなす。一方、Y1〜Y9は、2つ以上の粒子が重なっており、または連なっており、かつ該2つ以上の粒子の外郭が連なっているように認識されるため、「サテライトを有するアルミニウム粒子」とみなす。図1から分かるように、この両者は、観察画像を目視することによって容易に区別される。
ここで、2つ以上のアルミニウム粒子からなる粒塊であると判定され、「サテライトを有するアルミニウム粒子」とみなされたアルミニウム粒子であっても、単に2つ以上のアルミニウム粒子が重なって/連なって見えているに過ぎない可能性は残っている。しかし、本明細書においては、このような場合についても、「サテライトを有するアルミニウム粒子」とみなす。
なお、図1のZ1〜Z4は、観察画像において個体の全体像が確認できないため、1つの視野中に15個以下のアルミニウム粒子が含まれるようにする際の数には含まれるものの、ランダム抽出の対象とはならない。
本実施形態のアルミニウム粒子群は、アルミニウム粒子群の平均円形度が0.75以上であり、上記A〜Dに関し、A×3≦Bを満たすとともに、D<Cを満たすことにより、流動性に優れることができる。
ここでアルミニウム粒子群の「流動性」とは、所望の領域内において、アルミニウム粒子群が高い密度でかつ均一に敷き詰められるかどうかに関係する特性である。つまり、アルミニウム粒子群は、流動性に優れるほど、所望の領域内において高い密度でかつ均一に敷き詰められることとなる。この流動性は、図2(a)、図2(b)、図3(a)および図3(b)に示す敷き詰め試験により確認することができる。
まず、図2(a)および図2(b)に示されるように、算術平均粗さRaが0.3〜0.4μmの面1aを有する基板1を準備する。次に、面1aに、アルミニウム粒子群を盛り上げて、直径d1:6.8mm、高さh:3.4mmの半球状の粒子集合体2を形成する。具体的には直径d1:6.8mm、高さh:3.4mmの半球状の内部空間を有する金属製の型枠内に、アルミニウム粒子群を自然落下させて投入する。そして、型枠外にはみ出た分をすり切って除去し、この型枠を逆さにして(すなわち内部空間に充填されたアルミニウム粒子群が面1a上に接するようにして)面1a上に静置する。このとき、型枠が面1aから離れないようにする。その後、この型枠を面1aの真上側に移動させる。これにより、半球状の粒子集合体2が形成される。
上記の算術平均粗さRaは、JIS B 0031・JIS B 0061に規定される方法により求めることができる。また、上記の「半球状」とは真球の半分のみ意味するものではなく、半球状と称される略半球状を含み意味である。
次に、図3(a)および図3(b)に示されるように、面1aからの距離d2が1ミル(Mil:25.3995μm)となるように配置されたドクターブレード3を用いて、粒子集合体2を一方向(図2(a)および図2(b)の矢印方向)に引き伸ばす。この動作は、1ミルの開放隙間3aを有するドクターブレードを用いることにより容易に実施できる。上記動作により、粒子集合体2が引き伸ばされて、粒子集合体20へと変化する。
粒子集合体20を構成するアルミニウム粒子群の流動性が高いほど、面1a上に引き伸ばされたアルミニウム粒子群は、高密度かつ均一に敷き詰められることになる。つまり、図3(a)および図3(b)において、粒子集合体20は、狭い範囲に高密度に引き伸ばされることとなる。このため、アルミニウム粒子群の流動性が高いほど、距離d3が短くなる。
本実施形態のアルミニウム粒子群は、上記の敷き詰め試験における距離d3が20cm未満となることができる。この距離は従来のアルミニウム粒子群と比較して短いものであり、故に、本実施形態のアルミニウム粒子群は流動性に優れることとなる。本実施形態のアルミニウム粒子群が上述のように流動性に優れる理由について、少なくとも以下の点が考えられる。
アルミニウム粒子群においては、その平均円形度が1.00に近づくほど、アルミニウム粒子の形状が球状に近づく傾向があり、アルミニウム粒子の形状が球状に近づくほど、粒子の流動性が高くなる傾向がある。
また、アルミニウム粒子群は、体積累積粒度分布を有しており、故に、様々な直径(ここでの直径は、上記観察画像において決定される円相当径を意味する)を有するアルミニウム粒子(すなわち、細粒、中粒、粗粒等)が含まれることとなる。このようなアルミニウム粒子群は、上記観察画像において、直径が5μm未満と換算されるような細粒が多く存在すると、その流動性が低下する傾向がある。これは、細粒の存在によって体積または質量に比して表面積の割合が増大し、これによって粒子表面の性質が支配的(優位)となり、結果的に、アルミニウム粒子群の付着凝集性が増すからである。
また、従来の製造方法で製造されるアルミニウム粒子群は、上記観察画像において、サテライトを有するアルミニウム粒子と判定されるものを多く含んでいる。サテライトを有するアルミニウム粒子を多く含む場合、アルミニウム粒子群の流動性は低下する傾向がある。何故なら、サテライトを有するアルミニウム粒子とは、2つ以上のアルミニウム粒子が相互に融着したものであり、サテライトを有さないアルミニウム粒子と比較して、その形状は複雑になりやすく、故に、自身の流動性そのものが低いためである。
これに対し、本実施形態のアルミニウム粒子群は、0.75以上という高い平均円形度を有し、A×3≦Bを満たすために、直径が5μm未満の細粒の含有割合が特異的に低く、かつD<Cを満たすために、サテライトを有するアルミニウム粒子の含有割合が特異的に低い。このため、結果的に、本実施形態のアルミニウム粒子群は、高い流動性を有することができる。
本実施形態のアルミニウム粒子群において、平均円形度は0.85以上であることが好ましく、0.87以上であることがより好ましい。この場合、アルミニウム粒子群はさらに流動性に優れる。なお、平均円形度の上限値は理想的には1.00である。
また本実施形態のアルミニウム粒子群は、A×4≦Bを満たすことが好ましく、A×5≦Bを満たすことがより好ましく、A×6≦Bを満たすことがさらに好ましい。この場合、アルミニウム粒子群はさらに流動性に優れる。
また本実施形態のアルミニウム粒子群において、直径が5μm以上10μm未満のアルミニウム粒子の数をEとした場合に、A<E<Bを満たすことが好ましい。この場合、アルミニウム粒子群はさらに流動性に優れる。
また本実施形態のアルミニウム粒子群は、D×2<Cを満たすことが好ましく、D×3<Cを満たすことがより好ましい。この場合、アルミニウム粒子群はさらに流動性に優れる。
また本実施形態のアルミニウム粒子群は、40°以下の安息角を有することが好ましく、38°以下の安息角を有することがより好ましい。この場合、アルミニウム粒子群はさらに流動性に優れる。「安息角」とは、粒子群を積み上げたときに自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度である。なお、安息角の下限値に関し、理論上0°が好ましいが、実際には10°未満となることはまれである。
以上詳述した本実施形態のアルミニウム粒子群は、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタにおける造形物用原料粉末として好適に利用できる。何故なら、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタにおいては、造形物用原料粉末によって形成されるパウダーベッドの緻密性の高さが、成形体の高い完成度(欠陥の低さ)を導くのであり、パウダーベッドの緻密性を高めるためには、造形物用原料粉末の高い流動性が必要とされるためである。
また、本実施形態のアルミニウム粒子群は、細粒の含有割合が少ないため、これを造形物用原料粉末として利用する際に、粉塵の発生が抑制されるため、安全かつ衛生的な作業が可能となる。
特に、本実施形態のアルミニウム粒子群は、産業用金属3Dプリンタの造形物用原料粉末に適用することができる。なお、「産業用金属3Dプリンタ」はAdditive Manufacturing装置として、ASTM規格に定義されている。
造形物用原料粉末への適用に際し、本実施形態のアルミニウム粒子群において、D50は、10μm以上100μm未満であることが好ましく、20μm以上60μm未満であることがより好ましく、15μm以上40μm未満であることがさらに好ましく、20μm以上25μm未満であることが特に好ましい。アルミニウム粒子群のD50が100μm以上の場合、3Dプリンタでの造形物の成形において、1つの造形層の高さが100μm以上となり易く、故に、緻密な成形体の形成が困難となる傾向がある。一方、アルミニウム粒子群のD50が10μm未満の場合、流動性が低下するため、パウダーベッドの形成が困難となる傾向がある。
[アルミニウム粒子群の製造方法]
本実施形態に係るアルミニウム粒子群は、大気開放型のガスアトマイズ法により、アトマイズ粒子群を作製する工程(粒子作製工程)と、乾式の空気分級により、アトマイズ粒子群から細粒を除去する工程(細粒除去工程)と、目開き40μm以上75μm以下の篩を用いた篩分けにより、アトマイズ粒子から粗粒を除去する工程(粗粒除去工程)とをこの順に備える製造方法により製造することができる。以下、各工程について説明する。
(粒子作製工程)
本工程においては、まず溶解炉内において、アルミニウム粒子群の原料となるアルミニウム、またはアルミニウム合金の溶湯が作製される。
アルミニウムからなる溶湯を作製する場合には、たとえば溶解炉内にアルミニウム地金を投入すればよい。アルミニウム地金としては、純度99.9質量%以上の高純度アルミニウムを用いても良く、不純物として0.15質量%以下のシリコン(Si)、および/または0.2質量%以下の鉄(Fe)を含むアルミニウム地金を用いても良い。
アルミニウム合金からなる溶湯を作製する場合には、たとえば溶解炉内にアルミニウム地金を投入すると共に、溶湯内における他の元素の含有割合(質量%)が目的の組成となるように、他の元素を投入すればよい。
また、溶解炉内に目的とする組成を満たすアルミニウム合金を投入しても良い。たとえば、1000〜8000系のアルミニウム合金、該アルミニウム合金に対して上記遷移金属または上記希土類元素が添加されたアルミニウム合金などが挙げられる。より具体的には、一般的に「Al-10w%Si-0.4w%Mg」、「ADC12」、「AC4CH」、「Al-12w%Si」、「Al-40w%Si」等で表されるアルミニウム合金を好適に用いることができる。
アルミニウム合金からなる溶湯において、Al以外の他の成分としてSiが含まれる場合、その配合量は40質量%以下であることが好ましく、Mgが含まれる場合、その配合量は10質量%以下であることが好ましい。SiまたはMgの配合量が各上限値を超える場合、溶湯の流動性が低下したり、溶湯の表面において酸化物が過剰に生成されたりする傾向があり、これによってノズル(後述)の詰まりが発生し易くなるためである。
本工程において、溶解炉内の温度は、アルミニウムの融点、またはアルミニウム合金の組成から導かれるアルミニウム合金の融点よりも100℃以上高い温度とすることが好ましく、150℃以上高い温度とすることが好ましい。これにより、溶湯における意図しない凝固を抑制することができる。なお、溶解炉としては、重油反射炉、高周波誘導炉が挙げられるが、溶湯を均一に撹拌する観点から、高周波誘導炉を用いることが好ましい。
次に、溶解炉内の溶湯に対して、大気開放型のガスアトマイズ法を実施して、アトマイズ粒子群を作製する。
ガスアトマイズ法においては、一方端にノズルが取り付けられた配管の他方端を溶湯に浸し、高圧ガスを用いてノズル近傍に負圧領域を形成し、これによってノズル内に吸い上げた溶湯をノズルの孔から噴霧することにより、粒子(アトマイズ粒子)が作製される。
上記高圧ガスに関し、通常のガスアトマイズ法においては空気が広く使用されているが、本工程においては、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスを用いることが好ましい。この場合、溶湯が噴霧された後に表面張力が働き、その後溶湯が凝固し、さらにその後、凝固した粒子の表面が酸化されることになるため、空気を使用した場合と比して、より球状の粒子を作製することができる。なお、高圧ガスとして空気を用いた場合には、溶湯が噴霧された直後に表面の酸化が始まるため、球状の粒子が生成されにくい。
また上記高圧ガスに関し、その圧力は、通常1MPa程度とされるが、本工程においては、1.5MPa以上であることが好ましく、2.0MPa以上であることがより好ましい。これにより、粉砕効率を上げることができる。このような高圧ガスは、コンプレッサを用いることにより作製可能である。なお、造形物用原料粉末に適用できる粒径に調製する観点から、高圧ガスの圧力の上限値は、10MPaである。
ここで、高圧ガスとして不活性ガスを使用する場合には、通常、経済的な理由から、閉回路方式のガスアトマイズ法が実施される。しかし、本発明者らは、高圧ガスとして不活性ガスを用い、かつ閉回路方式のガスアトマイズ法を実施した場合、アトマイズ粒子の形状はより球状に近づく傾向があるものの、サテライトを有する粒子の数が増加する傾向があることを確認した。このため、本工程においては、大気開放型のガスアトマイズ法が採用される。なお、「閉回路方式」とは、溶湯を噴霧して粒子にする際の雰囲気を、窒素等の不活性が満たされた閉鎖系とする方法であり、「大気開放型」とは、上記雰囲気を大気開放系とする構成である。
また上記ノズルから溶湯を噴出させる向きに関し、鉛直方向下向きよりも、鉛直方向上向き、または水平方向であることが好ましい。前者よりも後者のほうが、酸化物によるノズルの詰まりを抑制し易く、またノズルの定期的な交換も容易なためである。
また上記ノズルに関し、その形状は環状ノズルであることが好ましい。環状超音速噴流によって、微細な粉末を生成し易いためである。またノズルの孔径は2.0〜2.5mmであることが好ましい。このようなノズルを用いて作製されたアトマイズ粒子を、後述する細粒除去工程および粗粒除去工程に供した場合に、最終的に得られるアルミニウム粒子群のD50が10μm以上100μm未満、ひいては20μm以上60μm未満に調整され易いためである。
(細粒除去工程)
本工程においては、粒子作製工程により作製されたアトマイズ粒子群に対し、乾式の空気分級が実施され、これにより、アトマイズ粒子群から細粒が除去される。
乾式の空気分級としては、分離粒子径の制御容易性の点から、遠心力型気流式分級が好適に選択される。遠心力型気流式分級とは、円盤型または羽根車型のロータが回転する分級室内に対し、ロータの半径方向の外周側から内周側に向けてアトマイズ粒子群を含む気流(分級気流)を流すことによって、粒子を分級する方法である。分級室内に送り込まれた粒子は、ロータの回転流による遠心力と、ロータの半径方向に流れる空気の抗力とを受け、大きい粒子はより遠心力に、小さい粒子はより抗力に影響されることによって、分級される。
遠心力型気流分級において、分級点はロータの回転数と、分級気流の流量を適宜調整することによって決定される。本工程においては、分級点が7μm以上となるように諸条件を調整する。
ここで分級点とは、レーザー回折法により分級後の粉末を測定したときに、アルミニウム粒子群の体積累積粒度分布のグラフが立ち上がる点の粒径を意味する。すなわち、分級点が7μmの場合、分級後のアルミニウム粒子群においては、粒径が7μmより小さい粒子が検出されないこととなる。分級点が7μm以上であれば、上記観察画像において「直径が5μm未満のアルミニウム粒子」とみなされる程度の小さい粒子が効率的に除去される。本工程を実施することにより、最終的に得られるアルミニウム粒子群において、A×3≦Bを満たすことが可能になると考えられる。なお、分級点の上限値は、収率の観点から、20μmである。
(粗粒除去工程)
本工程においては、細粒除去工程後のアトマイズ粒子群に対し、目開き40μm以上75μm以下の篩を用いた篩分けが実施され、これにより、アトマイズ粒子群から粗粒が除去される。
篩分けには、振動ふるい機を用いることが好ましい。細粒除去工程後のアトマイズ粒子に対し、目開き40μm以上75μm以下の篩を用いて篩分けを実施することにより、粗粒を適切に除去することができ、最終的に得られるアルミニウム粒子群のD50を10μm以上100μm未満とすることができると考えられる。
なお仮に、粒子作製工程後のアトマイズ粒子に対して細粒除去工程を行わずに本工程を実施した場合、本工程における除去を目的とする粒径以外の粒子までもが篩の目に留まってしまい、所望のアルミニウム粒子群を得ることができない。
以上詳述した粒子作製工程、細粒除去工程、および粗粒除去工程をこの順に実施することにより、本実施形態のアルミニウム粒子群が作製される。また、粗粒除去工程後の粒子をブレンダー等により均一化したものをアルミニウム粒子群としてもよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における各物性値の測定方法は次のとおりである。
〔1〕アルミニウム粒子群の体積平均粒子径D10、D50、D100
レーザー回折式粒度分布計(日機装株式会社製マイクロトラック MT-3300型)を用い、アルミニウム粒子群を測定系内循環水に投入し、超音波で180秒分散させたのち、各粒子径を測定した。
〔2〕アルミニウム粒子群の組成
アルミニウム粒子群を加圧容器内で加熱溶解させ、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のICP装置を用いて、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装法により、アルミニウム粒子群の組成を測定した。
〔3〕アルミニウム粒子群の円形度
上述のようにしてアルミニウム粒子群の観察用試料を作製し、これを用いて走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6510A)にて500倍の倍率で撮像した。1つのアルミニウム粒子群において、撮像位置をずらしながら20〜40枚の観察画像を作成した。なお、1枚の観察画像の縦および横の大きさは、D50の4〜12倍とし、1枚の観察画像中には15個以下のアルミニウム粒子が含まれ、かつ全ての観察画像を繋げることにより、観察用試料の全体像が観察されるようにした。
各アルミニウム粒子群に関し、20〜40枚の観察画像から102〜106個のアルミニウム粒子をランダムに抽出し、キーエンス株式会社のVHX−1000の2次元計測機能(Real-time Measurement)を用いて画像解析処理を行い、上述の方法により平均円形度を算出した。
〔4〕アルミニウム粒子群におけるA、BおよびEの値
上記〔3〕の観察画像を用いて、上述の方法により、アルミニウム粒子群におけるA(直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数)、B(直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数)およびE(直径が5μm以上10μm未満のアルミニウム粒子の数)の値を求めた。
〔5〕アルミニウム粒子群におけるCおよびDの値
上記〔3〕の観察画像を用いて、上述の方法により、アルミニウム粒子群におけるC(サテライトを有さないアルミニウム粒子の数)およびD(サテライトを有するアルミニウム粒子の数)の値を求めた。
(実施例1)
純度99.7質量%のAl地金に対し、Siが10質量%、Mgが0.4質量%となるように各元素を添加したものを加熱して、アルミニウム合金(Al-10w%Si-0.4w%Mg)からなる溶湯を準備した。そして、以下の条件下で、この溶湯からアトマイズ粒子を、アトマイズ部、サイクロン部、バグフィルター部を有するアトマイズラインに供した(粒子作製工程)。これにより、D50が21μmのアトマイズ粒子群を得た。
溶湯温度 :900℃
ノズル :直径2.2mmの環状ノズル
高圧ガスの圧力:2.5MPa。
次に、上記アトマイズ粒子群を遠心力型気流式分級機(日清エンジニアリング社製、ターボクラシファイア)にかけて、乾式の空気分級を実施した(細粒除去工程)。遠心力型分級機は、分級点が7μmとなるように制御した。
次に、上記分級後のアトマイズ粒子群を、目開き45μm(325メッシュ)の篩にかけて乾式の篩分けを実施し(粗粒除去工程)、篩を通過したアトマイズ粒子群をブレンダーにより均一化した。これにより、実施例1のアルミニウム粒子群が作製された。実施例1のアルミニウム粒子群の組成は、Al-10w%Si-0.4w%Mgで表記されるアルミニウム合金よりなる合金であった。
(実施例2)
純度99.7質量%のAl地金に対し、Siが0.6質量%、Cuが0.27質量%、Mgが1.0質量%、Crが0.2質量%となるように各元素を添加した以外は、実施例1と同様の方法を実施した。これにより、実施例2のアルミニウム粒子群が作製された。実施例2のアルミニウム粒子群の組成は、JIS A6061のアルミニウム合金よりなる合金であった。
(実施例3)
純度99.7質量%のAl地金に対し、Siが0.7質量%となるように添加した以外は、実施例1と同様の方法を実施した。これにより、実施例3のアルミニウム粒子群が作製された。実施例3のアルミニウム粒子群の組成は、Al-7w%Siで表記されるアルミニウム合金よりなる合金であった。
(比較例1)
EOS社のEOS Aluminum AlSi10Mgを比較例1のアルミニウム粒子群とした。比較例1のアルミニウム粒子群の組成は、Al-10w%Si-0.4w%Mgで表記されるアルミニウム合金よりなる合金であった。
(比較例2)
EOS社のEOS Aluminum AlSi10Mgに対し、実施例1と同様の乾式の空気分級を実施した。これにより、比較例2のアルミニウム粒子群が作製された。
(比較例3)
乾式の空気分級を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法を実施した。これにより、比較例3のアルミニウム粒子群が作製された。
(比較例4)
乾式の空気分級を実施しなかった以外は、実施例2と同様の方法を実施した。これにより、比較例4のアルミニウム粒子群が作製された。
(比較例5)
乾式の空気分級を実施しなかった以外は、実施例3と同様の方法を実施した。これにより、比較例5のアルミニウム粒子群が作製された。
(各物性の測定)
実施例1〜3および比較例1〜5の各アルミニウム粒子群に関し、上記〔1〕〜〔5〕に記載の方法に従って、各物性を測定した。各結果を表1〜3に示す。なお、表2の「−」は、各成分が検出(検出限界:0.01質量%)されなかったことを意味する。
また、参考として、実施例1の観察画像を図4(a)〜図9(a)に、比較例1の観察画像を図10(a)〜図15(a)に示す。図4(b)〜図15(b)は、図4(a)〜図15(a)を二値化処理し、さらにサテライトを有する粒子と判定されたアルミニウム粒子に対し、ハッチングを施した図である。
(敷き詰め試験)
各アルミニウム粒子群を用いて、上述の敷き詰め試験を実施した。ここでは、基板1としてTP技研(株)製の隠蔽率評価用試験紙を用い、ドクターブレード3として、大祐機材(株)製のフィルムアプリケーターを用い、これを25cm移動させた。なおこの試験紙は、JIS K5600に規定される塗料一般試験方法を満たすものであり、かつ表面の算術平均粗さRaは、0.5μmであった。
上記敷き詰め試験を実施し、各アルミニウム粒子群の引き伸ばされる距離を測定した。その結果を表4に示す。なお、表4における「25.0以上」との記載は、ドクターブレード3を25cm移動させた後も、試験紙上に敷き詰められていないアルミニウム粒子がドクターブレード3の側面に存在していることを意味する。
(安息角の測定)
筒井理化学器械株式会社製のABD粉体特性測定装置を用いて、各アルミニウム粒子群の安息角を測定した。その結果を表4に示す。安息角が小さいほど、流動性に優れることを意味する。なお、安息角の測定に際し、ロートを介してアルミニウム粒子群を落下させた。
(粉末床溶融結合方式の3Dプリンタによる造形物の形成試験)
粉末床溶融結合方式の3Dプリンタとして、EOS社製のEOSINT M280を用い、造形物用原料粉末として各アルミニウム粒子群を用いて、造形物の造形を試みた。このとき、製造される造形物の形状を直径8mm、高さ15mmの円柱に設定し、かつ、1つの造形層の高さを30μmに設定した。
上記形成試験において、実施例1〜実施例3のアルミニウム粒子群に関しては、パウダーベッドの形成が容易であるのに対し、比較例1〜5のアルミニウム粒子群に関しては、このようなパウダーベッドの形成が困難であった。パウダーベッドを作成すべく、ブレードを移動させた場合に、パウダーベッド用に配置されているアルミニウム粒子のほとんどがブレードによって除去されたためである。この結果を表4に示す。なお、表4中の「PB」はパウダーベッドを意味する。
(造形物の物性評価)
造形物用原料粉末として実施例1〜3のアルミニウム粒子群を用いて、直径6.4mm、高さ45mmの円柱からなる造形物を造形した。なお、1つの造形層の高さを30μmに設定した。造形された各造形物に関し、アルキメデス法により、各組成の真密度に対する相対密度を測定した。その結果を表4に示す。
また各造形物を旋削して、断面の直径3.5mm、厚さ18mmの丸棒試験片を作製し、インストロン型引張試験機(INSTRON社製、MODEL 4206)を用いて、引張速度1mm/minで引張試験を行い、各試験片の引張強度を測定した。この結果を表4に示す。
実施例1〜3の各アルミニウム粒子群を用いて形成された各造形物は、相対密度および引張強度の点で、実用に耐え得ることが確認された。
なお、比較例1〜5のアルミニウム粒子群に対し、100℃で12時間乾燥処理を行い、再度上記形成試験を行ったところ、比較例2〜5のアルミニウム粒子群に関しては、パウダーベッドの形成は変わらずに困難であったが、比較例1のアルミニウム粒子群に関しては、パウダーベッドの形成が可能となった。これは、乾燥処理により、粉末に含まれる水分が揮発し、流動性が改善されたためと考えられた。
また、乾式の空気分級を実施しなかった以外は、実施例1〜3と同等の処理により作製された比較例3〜5の各アルミニウム粒子群に関し、造形物を作製すべく各種条件を検討したところ、ブレードの移動速度を極めて遅くすることにより、かろうじて造形物の形成が可能となった。しかし、このときのブレードの移動速度は極めて遅いため、製造コストおよび製造タクトの観点から、実用に耐え得ないと考えられた。
また、このような条件で作製された比較例3〜5のアルミニウム粒子群による造形物は、それぞれ、相対密度および引張強度のいずれの物性においても、実施例1〜3のアルミニウム粒子群による造形物よりも劣ることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、1a 面、2,20 粒子集合体、3 ドクターブレード、3a 開放隙間。

Claims (4)

  1. アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子群であって、
    走査型電子顕微鏡を用いて前記アルミニウム粒子群を観察したときの観察画像において、
    前記アルミニウム粒子群の平均円形度は0.75以上であり、
    前記アルミニウム粒子群の平均粒径D50は、10μm以上60μm未満であり、
    直径が5μm未満のアルミニウム粒子の数をAとし、直径が10μm以上のアルミニウム粒子の数をBとし、サテライトを有さないアルミニウム粒子の数をCとし、サテライトを有するアルミニウム粒子の数をDとしたとき、
    A×3≦Bを満たすとともに、D<Cを満たし、
    前記アルミニウム粒子群は、粉末床溶融結合方式の3Dプリンタにおける造形物用原料粉末である、アルミニウム粒子群。
  2. 前記平均粒径D50は、20μm以上60μm未満である、請求項1に記載のアルミニウム粒子群。
  3. 前記アルミニウム粒子群の安息角は、筒井理化学器械株式会社製のABD粉体特性測定装置を用いて測定した場合、40°以下である、請求項1または請求項2に記載のアルミニウム粒子群。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム粒子群の製造方法であって、
    大気開放型のガスアトマイズ法により、アトマイズ粒子群を作製する工程と、
    乾式の空気分級により、前記アトマイズ粒子群から細粒を除去する工程と、
    目開き40μm以上75μm以下の篩を用いた篩分けにより、前記アトマイズ粒子群から粗粒を除去する工程と、をこの順に備える、アルミニウム粒子群の製造方法。
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