JPH05156399A - 靭性にすぐれたAl−Si系合金 - Google Patents
靭性にすぐれたAl−Si系合金Info
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- JPH05156399A JPH05156399A JP34815791A JP34815791A JPH05156399A JP H05156399 A JPH05156399 A JP H05156399A JP 34815791 A JP34815791 A JP 34815791A JP 34815791 A JP34815791 A JP 34815791A JP H05156399 A JPH05156399 A JP H05156399A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 靭性に優れたAl−Si系合金を提供する。
【構成】 重量%で、
Si:12〜30%、
FeおよびNiのうち1種または2種:1〜10%、
を含有し、さらに必要に応じて、
Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、
のうちの1種または2種、を含有し、残りがAlと不可
避不純物からなる組成を有し、初晶Siが分散している
共晶Al−Si素地中に、さらに熱間鍛造により変形し
たAl固溶体粒が分散してなる組織を有することを特徴
とするAl−Si系合金。
避不純物からなる組成を有し、初晶Siが分散している
共晶Al−Si素地中に、さらに熱間鍛造により変形し
たAl固溶体粒が分散してなる組織を有することを特徴
とするAl−Si系合金。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、従来よりも一層靭性
にすぐれたAl−Si系合金に関するものであり、各種
歯車、コンプレッサーベーン、コンロッド、ピストンな
どの軽量で耐摩耗性を必要とする部品の材料として好適
な合金に関するものである。
にすぐれたAl−Si系合金に関するものであり、各種
歯車、コンプレッサーベーン、コンロッド、ピストンな
どの軽量で耐摩耗性を必要とする部品の材料として好適
な合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、Al−Si系合金が各種機械部
品の材料として使用されていることは広く知られてお
り、例えば特公平2−9099号広報には、 Si:8〜30重量% を含有し、さらに必要に応じて、Cu,Mg,Ni,F
e,Mnのうち少なくとも1種以上:0.1〜10重量
%を含有し、残りがAlからなる急冷凝固Al−Si系
合金粉末を圧粉体とし、これを熱間鍛造することにより
Al−Si系合金を製造することが記載されている。
品の材料として使用されていることは広く知られてお
り、例えば特公平2−9099号広報には、 Si:8〜30重量% を含有し、さらに必要に応じて、Cu,Mg,Ni,F
e,Mnのうち少なくとも1種以上:0.1〜10重量
%を含有し、残りがAlからなる急冷凝固Al−Si系
合金粉末を圧粉体とし、これを熱間鍛造することにより
Al−Si系合金を製造することが記載されている。
【0003】このようにして製造された従来のAl−S
i系合金の顕微鏡観察による組織の写生図が図2に示さ
れている。図2において、2は初晶Si、3は共晶Al
−Siであり、共晶Al−Si3の素地中に初晶Si2
が分散していることがわかる。
i系合金の顕微鏡観察による組織の写生図が図2に示さ
れている。図2において、2は初晶Si、3は共晶Al
−Siであり、共晶Al−Si3の素地中に初晶Si2
が分散していることがわかる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の各種機械
装置の高性能化および省力化はめざましく、これに伴な
い、これら機械装置の構造部材である上記の部材の使用
条件も苛酷さを増す傾向にあるが、上記の従来Al−S
i系合金は、低熱膨張係数および高強度、さらにすぐれ
た耐摩耗性を有するものの、十分な靭性を具備するもの
でないために、これらの苛酷な使用条件には満足に対応
することができないのが現状である。
装置の高性能化および省力化はめざましく、これに伴な
い、これら機械装置の構造部材である上記の部材の使用
条件も苛酷さを増す傾向にあるが、上記の従来Al−S
i系合金は、低熱膨張係数および高強度、さらにすぐれ
た耐摩耗性を有するものの、十分な靭性を具備するもの
でないために、これらの苛酷な使用条件には満足に対応
することができないのが現状である。
【0005】上記従来のAl−Si系合金が十分な靭性
を具備しない理由として、急冷凝固Al−Si系合金粉
末は硬いために熱間鍛造しても十分に変形せず緻密化が
困難であること、急冷凝固Al−Si系合金粉末の表面
に析出している初晶Siは本来接合性に乏しい組織であ
るために、他の急冷凝固Al−Si系合金粉末との接合
強度を低下させていることなどが考えられる。
を具備しない理由として、急冷凝固Al−Si系合金粉
末は硬いために熱間鍛造しても十分に変形せず緻密化が
困難であること、急冷凝固Al−Si系合金粉末の表面
に析出している初晶Siは本来接合性に乏しい組織であ
るために、他の急冷凝固Al−Si系合金粉末との接合
強度を低下させていることなどが考えられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記の従来Al−Si系合金に
靭性を付与すべく研究を行なった結果、急冷凝固Al−
Si系合金粉末に、所定割合の純Al粉末を混合し、こ
の混合粉末の圧粉体に熱間鍛造加工を施してAl−Si
系合金を製造すると、この結果得られたAl−Si系合
金は、初晶Siが分散している共晶Al−Si素地中
に、さらに熱間鍛造により変形したAl固溶体粒が分散
した組織を有し、その合金の物理的特性は低熱膨張係
数、高強度および耐摩耗性を保持した上で、すぐれた靭
性を具備しているという知見を得たのである。
上述のような観点から、上記の従来Al−Si系合金に
靭性を付与すべく研究を行なった結果、急冷凝固Al−
Si系合金粉末に、所定割合の純Al粉末を混合し、こ
の混合粉末の圧粉体に熱間鍛造加工を施してAl−Si
系合金を製造すると、この結果得られたAl−Si系合
金は、初晶Siが分散している共晶Al−Si素地中
に、さらに熱間鍛造により変形したAl固溶体粒が分散
した組織を有し、その合金の物理的特性は低熱膨張係
数、高強度および耐摩耗性を保持した上で、すぐれた靭
性を具備しているという知見を得たのである。
【0007】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、重量%で(以下、成分組成に関する
%は重量%を示す)、 Si:12〜30%、 FeおよびNiのうちの1種または2種:1〜10%、 を含有し、さらに必要に応じて、 Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、 のうち1種または2種、を含有し、残りがAlと不可避
不純物からなる組成を有し、初晶Siが分散している共
晶Al−Si素地中に、さらに熱間鍛造により変形した
Al固溶体粒が分散してなる組織を有するAl−Si系
合金に特徴を有するものである。
れたものであって、重量%で(以下、成分組成に関する
%は重量%を示す)、 Si:12〜30%、 FeおよびNiのうちの1種または2種:1〜10%、 を含有し、さらに必要に応じて、 Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、 のうち1種または2種、を含有し、残りがAlと不可避
不純物からなる組成を有し、初晶Siが分散している共
晶Al−Si素地中に、さらに熱間鍛造により変形した
Al固溶体粒が分散してなる組織を有するAl−Si系
合金に特徴を有するものである。
【0008】この発明のAl−Si系合金は下記のよう
にして製造される。
にして製造される。
【0009】まず、原料粉末として、平均粒径:20〜
70μmを有しかつ Si:12〜30%、 FeおよびNiのうちの1種または2種:1〜10%、 を含有し、さらに、 Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、 のうちの1種または2種、を含有し、残りがAlと不可
避不純物からなる組成を有する急冷凝固Al−Si系合
金粉末、および平均粒径:5〜40μmの純Al粉末を
用意する。
70μmを有しかつ Si:12〜30%、 FeおよびNiのうちの1種または2種:1〜10%、 を含有し、さらに、 Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、 のうちの1種または2種、を含有し、残りがAlと不可
避不純物からなる組成を有する急冷凝固Al−Si系合
金粉末、および平均粒径:5〜40μmの純Al粉末を
用意する。
【0010】上記急冷凝固Al−Si系合金粉末は、不
活性ガスや空気などのガスアトマイズによる急冷凝固に
よって初晶Siが共晶Al−Si素地中に析出し、共晶
Al−Si中に均一に分散した組織を形成する。このと
き粉末の平均粒径が20〜70μm程度であれば、通常
初晶Siの最大粒径は10μm以下となる。この初晶S
iの存在によって鍛造部材は高強度とすぐれた耐摩耗性
および低熱膨張性を具備するようになるのである。
活性ガスや空気などのガスアトマイズによる急冷凝固に
よって初晶Siが共晶Al−Si素地中に析出し、共晶
Al−Si中に均一に分散した組織を形成する。このと
き粉末の平均粒径が20〜70μm程度であれば、通常
初晶Siの最大粒径は10μm以下となる。この初晶S
iの存在によって鍛造部材は高強度とすぐれた耐摩耗性
および低熱膨張性を具備するようになるのである。
【0011】かかる急冷凝固Al−Si系合金粉末に対
して純Al粉末を5〜20容量%配合し、混合して混合
粉末とし、この混合粉末をプレス成形して圧粉体とし、
この圧粉体を300℃〜液相生成温度の範囲内の所定温
度で熱間鍛造すると、上記純Al粉末は、上記熱間鍛造
の圧力により急冷凝固Al−Si系合金粉末間に形成さ
れた間隙を埋めるように圧入され変形し、鍛造前加熱ま
たは鍛造後の熱処理により上記急冷凝固Al−Si系合
金粉末の添加成分が純Al粉末に拡散固溶し、変形した
Al固溶体粒となって素地中に分散した組織を生成す
る。
して純Al粉末を5〜20容量%配合し、混合して混合
粉末とし、この混合粉末をプレス成形して圧粉体とし、
この圧粉体を300℃〜液相生成温度の範囲内の所定温
度で熱間鍛造すると、上記純Al粉末は、上記熱間鍛造
の圧力により急冷凝固Al−Si系合金粉末間に形成さ
れた間隙を埋めるように圧入され変形し、鍛造前加熱ま
たは鍛造後の熱処理により上記急冷凝固Al−Si系合
金粉末の添加成分が純Al粉末に拡散固溶し、変形した
Al固溶体粒となって素地中に分散した組織を生成す
る。
【0012】上記平均粒径:20〜70μmの急冷凝固
Al−Si系合金粉末に対して、上記純Al粉末の平均
粒径は5〜40μmとすることが好ましく、かかる平均
粒径を選択することにより隣接する急冷凝固Al−Si
系合金粉末の間隙を純Al粉末が変形しながら十分に埋
めることができる。
Al−Si系合金粉末に対して、上記純Al粉末の平均
粒径は5〜40μmとすることが好ましく、かかる平均
粒径を選択することにより隣接する急冷凝固Al−Si
系合金粉末の間隙を純Al粉末が変形しながら十分に埋
めることができる。
【0013】上記純Al粉末は、熱間鍛造中に間隙を埋
めて緻密化を促進すると同時に上記間隙に埋め込まれた
純Al粉末は接着剤の作用をなし、急冷凝固Al−Si
系合金粉末相互の接合強度低下をも阻止して従来よりも
一層靭性を向上させるものと考えられる。
めて緻密化を促進すると同時に上記間隙に埋め込まれた
純Al粉末は接着剤の作用をなし、急冷凝固Al−Si
系合金粉末相互の接合強度低下をも阻止して従来よりも
一層靭性を向上させるものと考えられる。
【0014】この発明のAl−Si系合金組織を図面に
もとづいて具体的に説明する。
もとづいて具体的に説明する。
【0015】図1は、この発明のAl−Si系合金組織
の顕微鏡観察による写生図であり、図1において1はA
l固溶体粒、2は初晶Si、3は共晶Al−Siであ
る。
の顕微鏡観察による写生図であり、図1において1はA
l固溶体粒、2は初晶Si、3は共晶Al−Siであ
る。
【0016】図1および図2に見られるように、この発
明のAl−Si系合金および従来Al−Si系合金の組
織は共に初晶Si2が分散している共晶Al−Si3を
素地としているが、この発明のAl−Si系合金の組織
は上記素地中にさらに変形したAl固溶体粒1が分散し
ていることを特徴としている。
明のAl−Si系合金および従来Al−Si系合金の組
織は共に初晶Si2が分散している共晶Al−Si3を
素地としているが、この発明のAl−Si系合金の組織
は上記素地中にさらに変形したAl固溶体粒1が分散し
ていることを特徴としている。
【0017】初晶Si2が表面析出している急冷凝固A
l−Si系合金粉末を熱間鍛造すると、旧粉末界面に沿
って初晶Si2が分散した組織となり、そのために旧粉
末界面における接合力が弱くなって靭性が低下するが、
この発明のAl−Si系合金はAl固溶体粒1が旧粉末
界面に一部分散しているのでそのAl固溶体粒1が接着
剤の作用をなし、粒界相互の密着性が向上するために靭
性が一層改善されるものと考られる。
l−Si系合金粉末を熱間鍛造すると、旧粉末界面に沿
って初晶Si2が分散した組織となり、そのために旧粉
末界面における接合力が弱くなって靭性が低下するが、
この発明のAl−Si系合金はAl固溶体粒1が旧粉末
界面に一部分散しているのでそのAl固溶体粒1が接着
剤の作用をなし、粒界相互の密着性が向上するために靭
性が一層改善されるものと考られる。
【0018】この発明のAl−Si系合金において、そ
の成分組成およびAl固溶体粒の分散率を上記の如く限
定した理由を説明する。
の成分組成およびAl固溶体粒の分散率を上記の如く限
定した理由を説明する。
【0019】(a) Si Si成分には、熱膨張係数を低め、かつ耐摩耗性を向上
させる作用があり、したがってその含有量が12%未満
では所望の低熱膨張係数およびすぐれた耐摩耗性を確保
することができず、一方その含有量が30%を越えると
強度が低下するようになることから、その含有量を12
〜30%とした。
させる作用があり、したがってその含有量が12%未満
では所望の低熱膨張係数およびすぐれた耐摩耗性を確保
することができず、一方その含有量が30%を越えると
強度が低下するようになることから、その含有量を12
〜30%とした。
【0020】(b) Fe,Ni また、FeおよびNi成分には、AlやSiと金属間化
合物を形成して、耐熱性、および耐摩耗性を向上させる
作用があるが、その含有量が1%未満では前記作用に所
望の効果が得られず、一方その含有量が10%を越える
と靭性が低下するようになることから、その含有量を1
〜10%とするのがよい。
合物を形成して、耐熱性、および耐摩耗性を向上させる
作用があるが、その含有量が1%未満では前記作用に所
望の効果が得られず、一方その含有量が10%を越える
と靭性が低下するようになることから、その含有量を1
〜10%とするのがよい。
【0021】(c) Cu,Mg さらに、CuおよびMg成分には、時効硬化により強度
を一段と向上させる作用があるので、必要に応じて含有
されるが、その含有量が、それぞれCu:1%未満およ
びMg:0.3%未満では所望の強度向上効果が得られ
ず、一方その含有量が、それぞれCu:5%およびM
g:2%を越えると靭性が低下するようになることか
ら、その含有量は、それぞれCu:1〜5%、Mg:
0.3〜2%とするのがよい。
を一段と向上させる作用があるので、必要に応じて含有
されるが、その含有量が、それぞれCu:1%未満およ
びMg:0.3%未満では所望の強度向上効果が得られ
ず、一方その含有量が、それぞれCu:5%およびM
g:2%を越えると靭性が低下するようになることか
ら、その含有量は、それぞれCu:1〜5%、Mg:
0.3〜2%とするのがよい。
【0022】(d) Al固溶体分散率 急冷凝固Al−Si系合金粉末と純Al粉末の混合粉末
をプレス成形して圧粉体とし、この圧粉体を熱間鍛造す
ると、上記熱間鍛造中に急冷凝固Al−Si系合金粉末
の添加元素が純Al粉末中に拡散固溶し、純Al粉末は
Al固溶体粒となり(特に、Si,CuおよびMgは拡
散しやすい元素であるので、Si,CuおよびMgの拡
散固溶が著しい)、この素地中に分散しているAl固溶
体粒の占める割合は5〜20容量%とする必要がある。
をプレス成形して圧粉体とし、この圧粉体を熱間鍛造す
ると、上記熱間鍛造中に急冷凝固Al−Si系合金粉末
の添加元素が純Al粉末中に拡散固溶し、純Al粉末は
Al固溶体粒となり(特に、Si,CuおよびMgは拡
散しやすい元素であるので、Si,CuおよびMgの拡
散固溶が著しい)、この素地中に分散しているAl固溶
体粒の占める割合は5〜20容量%とする必要がある。
【0023】その理由は、Al固溶体粒の分散割合が5
容量%未満では所望の高靭性を確保することができず、
一方、その分散割合が20容量%を越えると硬さが低下
するようになるほか、硬さの局部的バラツキも大きくな
るので好ましくないことによるものである。
容量%未満では所望の高靭性を確保することができず、
一方、その分散割合が20容量%を越えると硬さが低下
するようになるほか、硬さの局部的バラツキも大きくな
るので好ましくないことによるものである。
【0024】
【実施例】つぎに、この発明のAl−Si系合金を実施
例により具体的に説明する。
例により具体的に説明する。
【0025】原料粉末として、表1および表2に示され
る成分組成および平均粒径を有する空気アトマイズ法に
より製造された急冷凝固Al−Si系合金粉末および純
Al粉末を用意し、これら原料粉末を表1および表2に
示される割合で配合し、ミキサーにて1時間混合した
後、5ton /cm2 の圧力で縦:10.5mm×横56mmの
平面寸法をもった所定厚さの密度比:約75%の圧粉体
にプレス成形し、この圧粉体に大気雰囲気中、温度:4
80℃、鍛造圧力:8ton /cm2 の条件で熱間鍛造を施
し、本発明Al−Si系合金1〜10、比較Al−Si
系合金1〜2および純Al粉末の混合を行なわない従来
Al−Si系合金をそれぞれ製造した。
る成分組成および平均粒径を有する空気アトマイズ法に
より製造された急冷凝固Al−Si系合金粉末および純
Al粉末を用意し、これら原料粉末を表1および表2に
示される割合で配合し、ミキサーにて1時間混合した
後、5ton /cm2 の圧力で縦:10.5mm×横56mmの
平面寸法をもった所定厚さの密度比:約75%の圧粉体
にプレス成形し、この圧粉体に大気雰囲気中、温度:4
80℃、鍛造圧力:8ton /cm2 の条件で熱間鍛造を施
し、本発明Al−Si系合金1〜10、比較Al−Si
系合金1〜2および純Al粉末の混合を行なわない従来
Al−Si系合金をそれぞれ製造した。
【0026】なお、比較Al−Si系合金は、この発明
の条件から外れているものであり、この発明の条件から
外れた値に*印を付して示した。
の条件から外れているものであり、この発明の条件から
外れた値に*印を付して示した。
【0027】上記本発明Al−Si系合金1〜10およ
び比較Al−Si系合金1〜2の組織におけるAl固溶
体の分散量は、表1および表2に示される純Al粉末の
配合組成とほぼ同一となっていた。
び比較Al−Si系合金1〜2の組織におけるAl固溶
体の分散量は、表1および表2に示される純Al粉末の
配合組成とほぼ同一となっていた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】上記本発明Al−Si系合金1〜10、比
較Al−Si系合金1〜2および従来Al−Si系合金
について、理論密度比、引張強さ、伸びシャルピー衝撃
値およびロックウェル硬さ(Bスケール)を測定し、さ
らに熱膨張係数も測定し、それらの測定結果を表3およ
び表4に示した。
較Al−Si系合金1〜2および従来Al−Si系合金
について、理論密度比、引張強さ、伸びシャルピー衝撃
値およびロックウェル硬さ(Bスケール)を測定し、さ
らに熱膨張係数も測定し、それらの測定結果を表3およ
び表4に示した。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】表3および表4に示される結果から、本
発明Al−Si系合金は、従来Al−Si系合金と比較
して硬さがほぼ同じであるにもかかわらず、理論密度
比、熱膨張係数、引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃
値がすぐれているところから、機械的強度が格段にすぐ
れていることがわかる。しかし、純Al粉末の含有量が
この発明の範囲から外れている比較Al−Si系合金1
〜2は、引張強さ、シャルピー衝撃値、硬さのうち少な
くとも1つの特性が劣るので好ましくないことがわか
る。
発明Al−Si系合金は、従来Al−Si系合金と比較
して硬さがほぼ同じであるにもかかわらず、理論密度
比、熱膨張係数、引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃
値がすぐれているところから、機械的強度が格段にすぐ
れていることがわかる。しかし、純Al粉末の含有量が
この発明の範囲から外れている比較Al−Si系合金1
〜2は、引張強さ、シャルピー衝撃値、硬さのうち少な
くとも1つの特性が劣るので好ましくないことがわか
る。
【0034】上述のように、この発明のAl−Si系合
金は、従来のAl−Si系合金よりも一層すぐれた機械
的強度をもつことから、各種機械部品の高性能化に十分
に対応することができ、さらに適用できる機械部品の範
囲を広げることができるなど産業上有用な効果をもたら
すものである。
金は、従来のAl−Si系合金よりも一層すぐれた機械
的強度をもつことから、各種機械部品の高性能化に十分
に対応することができ、さらに適用できる機械部品の範
囲を広げることができるなど産業上有用な効果をもたら
すものである。
【図1】この発明のAl−Si系合金組織の顕微鏡観察
による写生図である。
による写生図である。
【図2】従来のAl−Si系合金組織の顕微鏡観察によ
る写生図である。
る写生図である。
1 Al固溶体粒、 2 初晶Si、 3 共晶Al−Si、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 通 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテリ アル株式会社中央研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 Si:12〜30%、 FeおよびNiのうち1種または2種:1〜10%、 を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
し、初晶Siが分散している共晶Al−Si素地中に、 さらに熱間鍛造により変形したAl固溶体粒が分散して
なる組織を有することを特徴とするAl−Si系合金。 - 【請求項2】 重量%で、 Si:12〜30%、 FeおよびNiのうち1種または2種:1〜10%、 を含有し、さらに、 Cu:1〜5%、 Mg:0.3〜2%、 のうち1種または2種、を含有し、残りがAlと不可避
不純物からなる組成を有し、初晶Siが分散している共
晶Al−Si素地中に、 さらに熱間鍛造により変形したAl固溶体粒が分散して
なる組織を有することを特徴とするAl−Si系合金。 - 【請求項3】 上記熱間鍛造により変形したAl固溶体
粒は、上記初晶Siが分散している共晶Al−Si素地
中に、5〜20容量%の割合で分散していることを特徴
とする請求項1または2記載のAl−Si系合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34815791A JPH05156399A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | 靭性にすぐれたAl−Si系合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34815791A JPH05156399A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | 靭性にすぐれたAl−Si系合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05156399A true JPH05156399A (ja) | 1993-06-22 |
Family
ID=18395132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34815791A Pending JPH05156399A (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | 靭性にすぐれたAl−Si系合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05156399A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5545487A (en) * | 1994-02-12 | 1996-08-13 | Hitachi Powdered Metals Co., Ltd. | Wear-resistant sintered aluminum alloy and method for producing the same |
JP2013227658A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-11-07 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | 摺動部材、及び摺動部材の製造方法 |
-
1991
- 1991-12-04 JP JP34815791A patent/JPH05156399A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5545487A (en) * | 1994-02-12 | 1996-08-13 | Hitachi Powdered Metals Co., Ltd. | Wear-resistant sintered aluminum alloy and method for producing the same |
JP2013227658A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-11-07 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | 摺動部材、及び摺動部材の製造方法 |
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