JP2018168403A - 焼結アルミニウム合金材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】緻密な圧粉体を成形して、高強度の焼結アルミニウム合金材を低コストに製造可能とする。
【解決手段】本発明に係る焼結アルミニウム合金材は、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結することで得られる焼結アルミニウム合金材であって、原料粉末に占める純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%にそれぞれ設定されている。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る焼結アルミニウム合金材は、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結することで得られる焼結アルミニウム合金材であって、原料粉末に占める純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%にそれぞれ設定されている。
【選択図】なし
Description
本発明は、焼結アルミニウム合金材及びその製造方法に関する。
近年、自動車、産業機械、情報機器、日用品等の様々な分野において、省エネルギー化が期待される中で、軽量でかつ高強度の軽量金属材料が要求されている。代表的な軽量金属材料としてアルミニウム、マグネシウムがある。アルミニウム、マグネシウムは他の金属と合金化することによって、強度、じん性、耐食性、加工性等の性質を改善して、上述した用途を中心に使用されている。特にアルミニウム合金は成形性の良さから機械部品に好適に使用される。このアルミニウム合金は、ほとんどが展伸、鋳造によって製造されるが、ガスアトマイズ法により得られた急冷凝固粉末を固化する粉末冶金法によっても量産化されている。
粉末冶金法には、熱間押出し法、粉末鍛造法、焼結法があり、この中でも焼結法は、低コストでネットシェイプ化あるいはニアネットシェイプ化できる利点がある。よって、機械部品の量産化に適している。
しかし、焼結法では、圧粉体を成形する際にアルミニウム合金粉末が金型と凝着し易いこと、及び、アルミニウム合金粉末の表面に生成される酸化被膜が焼結時のネッキング結合を阻害することが課題として挙げられる。前者の対策として、例えば特許文献1に記載の手段が提案されている。特許文献1では、圧粉体を成形する際、金型潤滑と共に温間成形を用いている。これにより、粉末の金型への凝着を防ぎつつ、高密度の圧粉体を成形可能としている。後者の対策としては、例えば特許文献2に記載の手段が提案されている。特許文献2では、マグネシウムを含有するアルミニウム合金粉末の圧粉体を、還元性ガス成分を添加した窒素雰囲気下で熱処理することにより、粉末表面に窒素化合物を生成させている。この窒素化合物により焼結が促進される。
近藤勝義、木村淳、武田義信:粉体および粉末冶金、第46巻、第8号(1999)、801−810
しかしながら、特許文献1に記載の技術は温間成形を用いることから、冷間成形に比べて経済性に劣る。また、特許文献2に記載の技術は、圧粉体の密度を高めるため、粉末を予め250〜450℃で焼鈍することで粉末硬度を下げている。しかしながら、マグネシウムを含むアルミニウム合金粉末を焼鈍しても、純アルミニウム粉末より粉末硬度を下げることはできない。そのため、圧粉体の緻密化には不十分である。また、還元性ガスの導入には特殊な雰囲気管理が必要となり、その分コスト高につながることから、量産性の面で問題がある。
以上の実情に鑑み、本発明では、緻密な圧粉体を成形して、高強度の焼結アルミニウム合金材を低コストに製造可能とすることを解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る焼結アルミニウム合金材によって達成される。すなわち、この焼結材は、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結することで得られる焼結アルミニウム合金材であって、原料粉末に占める純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%にそれぞれ設定されている点をもって特徴付けられる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、圧粉体に含まれるマグネシウムが、焼結工程で焼結アルミニウム合金材の内部に拡散し、表層部において高濃度化することを見出した。非特許文献1によれば、マグネシウムは、アルミニウムより酸化物の生成自由エネルギーが小さく、マグネシウムの酸化被膜を形成する。この点を考慮すると、本発明に係る組成の圧粉体においては、焼結の進行に伴い、圧粉体の表層部でアルミニウムの酸化被膜が還元され、これにより強固なネッキング結合が生じ、結果として高強度の焼結体が得られるものと推察される。本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形し、焼結することにした。これにより、強固なネッキング結合を生成して、高強度の焼結体を得ることができる。また、純マグネシウム粉末を含有可能とすることで、たとえ冷間成形であっても高密度に圧粉体を成形することができる。純アルミニウム粉末を原料粉末の大部分として含有させることによって、原料粉末としての硬度を大幅に下げることができるためである。また、この焼結体(焼結アルミニウム合金材)は、温間成形や還元性ガスの導入などコストアップにつながる処理を施すことなく製造することができるので、製造コストの低減化を図ることができ、これにより量産化が可能となる。なお、原料粉末に占める純アルミニウム粉末の割合を70〜95重量%、アルミニウム合金粉末の割合を5〜30重量%にそれぞれ設定しているのは、例えば純アルミニウム粉末の占める割合が70重量%より小さいと、熱処理時(焼結時)に圧粉体が変形し、場合によってはクラックを生じるおそれが高まるためである。また、上記組成のアルミニウム合金粉末が一定量(少なくとも5重量%)ないと上述した還元現象を安定的に発生させることが難しくなるためである。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材においては、表面から深さ0.3mm以内の領域におけるマグネシウム濃度が、表面から深さ0.3mmより深い領域におけるマグネシウム濃度より高くてもよい。
このように、焼結アルミニウム合金材の表層部(表面から深さ0.3mm以内の領域)において、マグネシウムの高濃度化が生じることで、アルミニウムの酸化被膜が十分に還元される。従って、より強固なネッキング結合を生成して、焼結体のさらなる高強度を図ることが可能となる。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材においては、相対密度が重量比で90%以上であってもよい。なお、ここでいう相対密度とは、JIS Z 2501:2000に準拠のアルキメデス法に則って測定される焼結アルミニウム合金材の密度を、焼結アルミニウム合金材の原料粉末の真密度で割ることにより得られる値を指すものとする。
本発明に係る焼結アルミニウム合金材によれば、純アルミニウム粉末を含有させることによって、アルミニウム合金粉末を含有しつつも非常に緻密な圧粉体を形成することができる。よって、焼結アルミニウム合金材の相対密度を重量比で90%以上とすることにより、焼結体のベースとなる圧粉体自体の機械的強度を確保することができる。従って、焼結体の高強度化を十分かつ安定的に発現させることが可能となる。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材においては、圧環強さが120MPa以上であってもよい。なお、ここでいう圧環強さとは、JIS Z 2507「焼結軸受−圧環強さ試験方法」により評価される圧環強さを指すものとする。
本発明に係る焼結アルミニウム合金材によれば、強固なネッキング結合により非常に高強度の焼結体を得ることができる。よって、圧環強さを120MPa以上とすることにより、機械部品として要求されるレベルの機械的強度を発揮することが可能となる。
また、前記課題の解決は、本発明に係る焼結アルミニウム合金材の製造方法によっても達成される。すなわち、この製造方法は、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを混合してアルミニウム合金粉末と純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を作製する混合工程と、原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形する圧粉成形工程と、圧粉体を焼結することで焼結体を得る焼結工程とを備えた焼結アルミニウム合金材の製造方法であって、混合工程において、原料粉末に占める純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%となるように、アルミニウム合金粉末と純アルミニウム粉末とを混合する点をもって特徴付けられる。
このように、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形し、焼結することによって、本発明に係る焼結アルミニウム合金材と同様、強固なネッキング結合を生成して、高強度の焼結体を得ることができる。また、純マグネシウム粉末を含有可能とすることで、たとえ冷間成形であっても高密度に圧粉体を成形することができる。また、この焼結体(焼結アルミニウム合金材)は、温間成形や還元性ガスの導入などコストアップにつながる処理を施すことなく製造することができるので、製造コストの低減化を図ることができ、これにより量産化が可能となる。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材の製造方法においては、圧粉成形工程において、冷間成形により原料粉末から圧粉体を成形してもよい。
本発明に係る焼結アルミニウム合金材によれば、純アルミニウム粉末を含有させることによって、アルミニウム合金粉末を含有しつつも非常に緻密な圧粉体を形成することができる。よって、冷間成形により原料粉末から圧粉体を成形した場合であっても、非常に緻密な圧粉体を安定的に成形することができる。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材の製造方法においては、焼結工程において、最高温度560〜640℃で圧粉体を焼結してもよい。
このように焼結工程において加熱する際、その最高温度を560〜640℃の範囲に設定することによって、詳細は後述する実験結果に示すが、変形を生じることなく、かつ十分に焼結(ネッキング結合)を促進して、強固な焼結体を安定的に製造することが可能となる。
また、本発明に係る焼結アルミニウム合金材の製造方法においては、焼結工程において、窒素雰囲気下で圧粉体を焼結してもよい。
アルミニウムは他の金属と比べて容易に酸化物を生成する傾向にある。そのため、窒素雰囲気下で焼結することにより、酸化物の生成を抑制して、焼結の進行を促進することができる。よって、焼結体の強度を向上させることが可能となる。
以上より、本発明によれば、緻密な圧粉体を成形して、高強度の焼結アルミニウム合金材を低コストに製造可能とすることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本発明に係る純アルミニウム粉末としては、高純度のアルミニウム地金を使用し、ガスアトマイズ法で製造したものを利用することができる。純アルミニウム粉末は不可避不純物を含んでもよい。純アルミニウム粉末の粒度分布は特に限定されるものではないが、緻密な圧粉体を成形できる微粉末であることが好ましい。平均粒径としては100μm以下である。もちろん、製造方法はガスアトマイズ法に限定されず、遠心力アトマイズ法などの各種アトマイズ法をはじめとして、メカニカルアロイング法や還元法など公知の粉末製造技術を適用することが可能である。
本発明に係るアルミニウム合金粉末は、マグネシウムを1〜30重量%含む限りにおいて任意の合金組成をとり得る。この所定の合金組成になるよう調整した溶湯を用い、ガスアトマイズ法で製造したものを利用することができる。マグネシウムは燃焼し易いため、30重量%を超えない範囲で組成を調製するのがよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、マグネシウム以外の金属を合金組成に加えてもよい。また、圧粉体を成形する際の金型への凝着を防止する目的で、潤滑剤を配合してもよい。この種の潤滑剤は、合金組成に加えてもよいし、後述する純アルミニウム粉末とアルミニウム合金粉末との混合粉末に加えてもよい。アルミニウム合金粉末の粒度分布は特に限定されるものではないが、緻密な圧粉体を成形できる微粉末であることが好ましい。平均粒径としては100μm以下が好ましい。もちろん、アルミニウム合金粉末についても、製造方法はガスアトマイズ法に限定されず、遠心力アトマイズ法などの各種アトマイズ法をはじめとして、メカニカルアロイング法や還元法など公知の粉末製造技術を適用することが可能である。
純アルミニウム粉末とアルミニウム合金粉末は、既知の混合方法で混合し、本発明に係る原料粉末とすることができる(混合工程)。混合方法として、具体的にはV型混合機、ダブルコーン型混合機などが挙げられる。なお、この原料粉末には、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を添加することも可能である。
混合した原料粉末を用い、プレス金型を用いた冷間成形により圧粉体を成形する(圧粉成形工程)。この際、使用するプレス金型の表面に潤滑剤を塗布してもよい。成形圧力は例えば400〜800MPaに設定され、好ましくは550〜650MPaに設定される。成形圧力があまりに高い(例えば800MPa以上)と、金型寿命の点から量産性に乏しいため、成形圧力は、量産性を考慮すると、800MPa未満に設定するのがよい。
成形した圧粉体は、例えば窒素雰囲気下で熱処理することにより焼結される(焼結工程)。熱処理炉としてはバッチ式の炉が好ましく、炉内を窒素で十分に置換した状態で圧粉体を加熱する。窒素の流量は1L/min以上が好ましい。また、本焼結工程における温度パターンは原則任意であるが、例えば一段階又は二段階以上の昇温及び保温を有するものが使用される。ここで、例えば図1に示す温度パターンを考え、第一段の熱処理を脱脂とする場合、温度T1及び保持時間t1を、圧粉体の表面に付着した潤滑剤を脱脂可能な温度及び保持時間(例えば380〜420℃、50〜70min)に設定する。また、第二段の加熱工程を焼結とする場合、温度T2及び保持時間t2を、圧粉体の焼結に適した温度及び保持時間(好ましくは560〜640℃、保持時間30min以上、より好ましくは580〜620℃、保持時間60min以上)に設定する。ここでいう温度T2が焼結時の最高温度に相当する。焼結温度が最高温度で560℃より低いと焼結作用が十分に生じず、また、640℃より高いと焼結体に無視できない変形が生じるおそれがある。以上の理由より焼結時の最高温度は上記範囲内に設定するのが好ましい。なお、焼結工程は窒素雰囲気下に限らず、諸条件を満たす限りにおいて、他の雰囲気下で実施することも可能なことはもちろんである。
得られた焼結アルミニウム合金材の密度は、例えばJIS Z 2501:2000に準拠のアルキメデス法に則って測定される。そして、アルキメデス法で測定した密度を真密度で割ることで相対密度を算出する。
また、得られた焼結アルミニウム合金材の圧環強さは、例えばJIS Z 2507:2000に準拠の試験方法に則って測定される。
このように、本発明に係る焼結アルミニウム合金材は、マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形し、焼結したものであるから、強固なネッキング結合を生成して、焼結体の高強度化を図ることが可能となる。また、純マグネシウム粉末を含有可能とすることで、たとえ冷間成形であっても高密度に圧粉体を成形することができる。また、この焼結体(焼結アルミニウム合金材)は、温間成形や還元性ガスの導入などコストアップにつながる処理を施すことなく製造することができるので、製造コストの低減化を図ることができ、これにより量産化が可能となる。
特に、焼結工程において加熱する際、その最高温度(すなわち焼結温度)を560〜640℃の範囲に設定することによって、変形を生じることなく、かつ十分に焼結(ネッキング結合)を促進して、強固な焼結体(焼結アルミニウム合金材)を安定的に製造することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明に係る焼結アルミニウム合金材及びその製造方法は上記例示の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において任意の形態を採り得ることはもちろんである。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例(実施例1〜10)、比較例(比較例1〜9)ともに、純アルミニウム粉末と、表1に示す何れか一種類のアルミニウム合金粉末(合金粉末1〜3)とをV型混合機で混合した粉末を原料粉末とした。ここで、合金粉末1〜3は何れも、ガスアトマイズ法で作製したものである。
圧粉体は、上記組成の原料粉末を冷間成形で所定の円筒形状に成形した。詳述すると、成形金型に脂肪酸アミド系潤滑剤を塗布し、金型潤滑状態で圧粉成形を行った。成形圧力620MPa、保持時間5秒で加圧した後、成形金型から圧粉体を取出すことで、内径8mm、外径16mm、軸方向寸法5mmの円筒状圧粉体を得た。
上述のようにして圧粉体を得た後、卓上型真空ガス置換炉(山田電機株式会社:VFN−1220)で圧粉体に対し所定の熱処理を行った。詳述すると、上記炉内に圧粉体を配置した後、ゲージ圧が−0.1MPaまで真空引きを行い、窒素ガスを炉内に導入した。炉内の圧力が大気圧と等しくなるまで窒素ガスを導入した後、排気バルブを開き、窒素ガスの排出流量を2L/minに設定した。この際の温度パターンは図1に示すように設定し、T1=400℃でt1=30min保持することで圧粉体の表面に付着した脂肪酸アミド系潤滑剤を脱脂し、実施例1〜10については、T2=560〜640℃(後述する表2〜表4を参照)でt2=60min保持することで焼結を行った。比較例1〜9については、T2=550〜650℃でt2=60min保持した。
以上のようして得られた焼結体(実施例1〜9)について、JIS Z 2501:2000に準拠のアルキメデス法に則って密度を測定した。さらに、JIS Z 2507:2000に準拠の試験方法に則って焼結体の圧環強さを測定した。比較例1〜9については、変形やクラックを生じることなく圧粉成形及び焼結処理を実施することのできた比較例1、比較例3のみに対して圧環強さを測定した。その結果を表2〜表4に示す。各表中、括弧内の圧環強さの数値については、ひずみ量が5mmに達するまで破壊しなかった場合における、ひずみ量1mmのときの応力値を示している。
表2に示すように、組成Al−10Mg−1Siの合金粉末1を用いて、純アルミニウム粉末の配合量を70〜95重量%とし、かつ最高温度560〜640℃の範囲で熱処理を施した場合(実施例1〜6)、得られた焼結体の圧環強さは何れも120MPa以上であった。これに対して、純アルミニウム粉末の配合量を70重量%未満とした場合(比較例4,5)、圧粉成形時あるいは焼結時にクラックが発生し、焼結体を得ることができなかった。また、純アルミニウム粉末の配合量を70〜95重量%とした場合であっても、焼結時の最高温度が640℃を超える場合(比較例2)、熱処理時に変形が発生し、焼結体を得ることができなかった。比較例1,3については焼結体を得ることができたものの、比較例1については焼結時の最高温度が560℃未満であったこと、及び比較例3については合金粉末1の配合量が5重量%未満であったことにより、圧環強さはともに100MPa以下であった。
また、表3に示すように、組成Al−30Mgの合金粉末2を用いて、純アルミニウム粉末の配合量を95重量%(実施例7)、70重量%(実施例8)とした場合、得られた焼結体の圧環強さは何れも120MPa以上であった。これに対して、純アルミニウム粉末の配合量を70重量%未満とした場合(比較例6,7)、圧粉成形時あるいは焼結時にクラックが発生し、焼結体を得ることができなかった。
また、表4に示すように、組成Al−5Mgの合金粉末3を用いて、純アルミニウム粉末の配合量を95重量%(実施例9)、70重量%(実施例10)とした場合、得られた焼結体の圧環強さは何れも120MPa以上であった。これに対して、純アルミニウム粉末の配合量を70重量%未満とした場合(比較例8,9)、圧粉成形時あるいは焼結時にクラックが発生し、焼結体を得ることができなかった。
また、実施例4で作製した焼結体の断面について、X線光電子分光法(XPS)により、表層部(表面から深さ0.3mm以内の領域)および深層部(表面から深さ0.3mmより深い領域)の状態分析を行った。マグネシウム、アルミニウムについての結果を表5に示す。表中の数値は、原子%であり、MgとAlの合計が100原子%となるように記載している。また、表5中において「−」は検出限界以下であったことを示している。
表5に示す通り、マグネシウムは表層部、深層部に関係なく化合物として存在していることが分かる。また、マグネシウム濃度に関し、表層部のほうが深層部よりも高濃度であった。この場合、表2に示すように、圧環強さは非常に大きな値(200MPa以上)を示した。なお、表層部、深層部ともに焼結アルミニウム合金材(焼結体)全体の平均的な組成と異なっているのは、焼結体の断面が旧粉末粒界及び旧粉末表面であるためである。
以上に述べたように、本発明に係る焼結アルミニウム合金材は、緻密で高強度であるから、例えば摺動部を有する機械部品(摺動部品)をはじめとして、種々の用途に係る機械部品に広範に適用可能である。
Claims (8)
- マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結することで得られる焼結アルミニウム合金材であって、
前記原料粉末に占める前記純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、前記アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%にそれぞれ設定されている焼結アルミニウム合金材。 - 表面から深さ0.3mm以内の領域におけるマグネシウム濃度が、前記表面から深さ0.3mmより深い領域におけるマグネシウム濃度より高い請求項1に記載の焼結アルミニウム合金材。
- 相対密度が重量比で90%以上である請求項1又は2に記載の焼結アルミニウム合金材。
- 圧環強さが120MPa以上である請求項1〜3の何れか一項に記載の焼結アルミニウム合金材。
- マグネシウムを1〜30重量%含むアルミニウム合金粉末と、純アルミニウム粉末とを混合して前記アルミニウム合金粉末と前記純アルミニウム粉末とを含有する原料粉末を作製する混合工程と、
前記原料粉末を圧縮成形して圧粉体を成形する圧粉成形工程と、
前記圧粉体を焼結することで焼結体を得る焼結工程とを備えた焼結アルミニウム合金材の製造方法であって、
前記混合工程において、前記原料粉末に占める前記純アルミニウム粉末の割合が70〜95重量%、前記アルミニウム合金粉末の割合が5〜30重量%となるように、前記アルミニウム合金粉末と前記純アルミニウム粉末とを混合する、焼結アルミニウム合金材の製造方法。 - 前記圧粉成形工程において、冷間成形により前記原料粉末から前記圧粉体を成形する請求項5に記載の焼結アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記焼結工程において、最高温度560〜640℃で前記圧粉体を焼結する請求項5又は6に記載の焼結アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記焼結工程において、窒素雰囲気下で前記圧粉体を焼結する請求項5〜7の何れか一項に記載の焼結アルミニウム合金材の製造方法。
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