JP2013249360A - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重力沈降法により分離された固形分濃縮液に溶剤を加える(混合する)ことなく、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を固形分濃縮液から分離することができる工程を備えてなる無灰炭の製造方法を提供すること。
【解決手段】第一分離工程として、抽出工程で得られたスラリーを、まずは重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とに分離する。その後、第二分離工程として、第一分離工程で分離された固形分濃縮液を、遠心分離法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液とに分離する。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭から灰分を除去した無灰炭を得るための無灰炭の製造方法に関する。
無灰炭の製造方法として、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載の無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出し、石炭成分が抽出されたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を分離した後、分離された溶液から溶剤を回収して無灰炭を得る、というものである。石炭成分が抽出されたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を分離する方法として重力沈降法が好適であると特許文献1に記載されている。
重力沈降法は、スラリーを槽内に保持することにより、溶剤に不溶な石炭成分を、重力を利用して沈降・分離させる方法である。スラリーを槽内に連続的に供給しながら、上澄み液(溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液)を上部から、固形分濃縮液(溶剤に不溶な石炭成分が濃縮したもの)を下部から連続的に排出することにより、連続的な分離処理が可能である。この重力沈降法は、低コストで大量処理に適している。
特開2005−120185号公報
しかしながら、重力沈降法には次のような欠点がある。重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とにスラリーを分離すると、原料となる石炭の性状によっては、溶剤に可溶な石炭成分が固形分濃縮液の中に多く入ってしまうことがある。そうなると、無灰炭の回収率が低くなってしまう。なお、無灰炭の回収率とは、原料炭に含有されている溶剤に可溶な石炭成分に対する得られた無灰炭に含有されている溶剤に可溶な石炭成分の割合のことである。
そこで、本発明者らは、重力沈降法を2回行うことを検討した(図2に設備構成を示す)。具体的には、1回目の重力沈降処理により分離された固形分濃縮液に溶剤を加えた(混合した)後、再度、重力沈降法により分離処理を行うというものである。この処理により、重力沈降法により1回だけ分離処理を行うのに比べて、無灰炭の回収率を向上させることができる。しかしながら、2回目の重力沈降処理を適切に行うための固形分濃縮液に加える溶剤が多く必要であり、これにより設備コストの増大という問題が生じることが懸念された。溶剤が多く必要となると、大きな溶剤タンクが必要となる。また、分離された固形分濃縮液などから溶剤を回収するにもその回収量が多くなり多量の熱が必要となってくる。これらにより、設備コストが増大してしまう。なお、固形分濃縮液は泥状で粘度が高いため、固形分濃縮液の中の溶剤に不溶な石炭成分をさらに重力沈降させるには、上記したように溶剤を加えて固形分濃縮液の流動性を高める(固形分濃縮液を薄める)必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、重力沈降法により分離された固形分濃縮液に溶剤を加える(混合する)ことなく、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を固形分濃縮液から分離することができる工程を備えてなる無灰炭の製造方法を提供することである。
本発明は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調整工程と、前記スラリー調整工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とに分離する第一分離工程と、前記第一分離工程で分離された固形分濃縮液を、遠心分離法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液とに分離する第二分離工程と、前記第一分離工程および前記第二分離工程で分離された溶液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、を備える無灰炭の製造方法である。
本発明に係る第二分離工程によれば、重力沈降法により分離された固形分濃縮液に溶剤を加える(混合する)ことなく、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を固形分濃縮液から分離することができる。すなわち、固形分濃縮液に溶剤を加えないので溶剤使用量を低く抑えることができる。結果として、設備コストの増大を抑制しつつ、無灰炭の回収率を従来よりも向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る無灰炭の製造方法を説明するための無灰炭製造設備を示すブロック図である。 比較例に係る無灰炭の製造方法を説明するための無灰炭製造設備を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、無灰炭製造設備100は、無灰炭(HPC)製造工程の上流側から順に、石炭ホッパ1・溶剤タンク2、スラリー調製槽3、移送ポンプ4、予熱器5、抽出槽6、重力沈降槽7、遠心分離機8、フィルターユニット9、および溶剤分離器10・11を備えている。
ここで、本実施形態の無灰炭の製造方法は、スラリー調整工程、抽出工程、第一分離工程、第二分離工程、無灰炭取得工程、および副生炭取得工程を有する。以下、各工程について説明する。なお、本製造方法において原料とする石炭に、特に制限はなく、抽出率の高い瀝青炭を用いてもよいし、より安価な劣質炭(亜瀝青炭、褐炭)を用いてもよい。また、無灰炭とは、灰分が5重量%以下、好ましくは3重量%以下のもののことをいう。
(スラリー調製工程)
スラリー調製工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程である。このスラリー調製工程は、図1中、スラリー調製槽3で実施される。原料である石炭が石炭ホッパ1からスラリー調製槽3に投入されるとともに、溶剤タンク2からスラリー調製槽3に溶剤が投入される。スラリー調製槽3に投入された石炭および溶剤は、攪拌機3aで混合されて石炭と溶剤とからなるスラリーとなる。
溶剤に対する石炭の混合比率は、例えば、乾燥炭基準で10〜50重量%であり、より好ましくは、20〜35重量%である。
(抽出工程)
抽出工程は、スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する(溶剤に溶解させる)工程である。この抽出工程は、図1中、予熱器5および抽出槽6で実施される。スラリー調製槽3にて調製されたスラリーは、移送ポンプ4によって、予熱器5に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽6に供給され、攪拌機6aで攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出するにあたっては、石炭に対して大きな溶解力を持つ溶媒、多くの場合、芳香族溶剤(水素供与性あるいは非水素供与性の溶剤)と石炭とを混合して、それを加熱し、石炭中の有機成分を抽出することになる。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分(ここでは石炭成分)の割合(以下、抽出率ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。非水素供与性溶剤の主な成分としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他の非水素供与性溶剤の成分として、脂肪族側鎖を有するナフタレン類、アントラセン類、フルオレン類、また、これらにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖を有するアルキルベンゼンが含まれる。
なお、上記の説明では非水素供与性化合物を溶剤として用いる場合について述べたが、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物(石炭液化油を含む)を溶剤として用いてもよいことは勿論である。水素供与性溶剤を用いた場合、無灰炭の収率が向上する。
また、溶剤の沸点は特に制限されるものではない。抽出工程および分離工程(第一分離工程および第二分離工程)での圧力低減、抽出工程での抽出率、無灰炭取得工程などでの溶剤回収率などの観点から、例えば、180〜300℃、特に240〜280℃の沸点の溶剤が好ましく使用される。
抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶解され得る限り特に制限されず、溶剤可溶成分の十分な溶解と抽出率の向上の観点から、例えば、300〜420℃であり、より好ましくは、360〜400℃である。
また、加熱時間(抽出時間)もまた特に制限されるものではないが、十分な溶解と抽出率の向上の観点から、例えば、10〜60分間である。加熱時間は、図1中、予熱器5および抽出槽6での加熱時間を合計したものである。
なお、抽出工程は、窒素などの不活性ガスの存在下で行う。抽出槽6内の圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。抽出槽6内の圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
(第一分離工程)
第一分離工程は、抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分(溶剤不溶成分、例えば灰分)が濃縮した固形分濃縮液(溶剤不溶成分濃縮液)とに分離する工程である。この第一分離工程は、図1中、重力沈降槽7で実施される。抽出工程で得られたスラリーは、重力沈降槽7内で、重力にて、溶液としての上澄み液と、固形分濃縮液とに分離される。重力沈降槽7の上部の上澄み液は、必要に応じてフィルターユニット9を経て、溶剤分離器10へ送られ、重力沈降槽7の下部に沈降した固形分濃縮液は遠心分離機8へ送られる。
重力沈降法は、スラリーを槽内に保持することにより、重力を利用して溶剤不溶成分を沈降・分離させる方法である。溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液よりも比重が大きい、溶剤不溶成分(例えば灰分)は重力沈降槽7の下部に重力により沈降する。スラリーを槽内に連続的に供給しながら、上澄み液を上部から、固形分濃縮液を下部から連続的に排出することにより、連続的な分離処理が可能である。
重力沈降槽7内は、石炭から溶出した溶剤可溶成分の再析出を防止するため、保温(または加熱)したり、加圧したりしておくことが好ましい。保温(加熱)温度は、例えば、300〜380℃であり、槽内圧力は、例えば、1.0〜3.0MPaとされる。
(第二分離工程)
第二分離工程は、第一分離工程で分離された固形分濃縮液を、遠心分離法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液(溶剤不溶成分濃縮液)とに分離する工程である。この第二分離工程は、図1中、遠心分離機8で実施される。重力沈降槽7の下部に沈降した固形分濃縮液は、遠心分離機8へ送られ、遠心分離機8の回転容器内で、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液とに遠心分離される。遠心分離された溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液は、必要に応じてフィルターユニット9を経て、溶剤分離器10へ送られる。また、遠心分離された固形分濃縮液は、溶剤分離器11へ送られる。
遠心分離法は、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と溶剤に不溶な石炭成分との比重差を利用して遠心力により両者を分離する方法である。遠心分離機8の回転容器内に固形分濃縮液を連続的に供給しながら、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液および溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液をそれぞれ遠心分離機8の回転容器から連続的に排出することにより、連続的な分離処理が可能である。遠心分離機8としては、例えば、デカンタ型遠心分離機が好ましく用いられる。なお、スキミング型遠心分離機を用いてもよい。
遠心分離機8の回転容器内は、石炭から溶出した溶剤可溶成分の再析出を防止するため、保温(または加熱)したり、加圧したりしておくことが好ましい。保温(加熱)温度は、例えば、300〜380℃であり、遠心分離機の回転容器内圧力は、例えば、1.0〜3.0MPaGとされる。
また、遠心分離機8により、重力加速度の1000〜3000倍の遠心効果(遠心力)で固形分濃縮液の遠心分離を行うことが好ましい。遠心力が大きいほど固液分離性能は良くなる。しかしながらその一方で、機械的トルクが大きくなり、遠心分離機8は大型なものが必要となる。その結果、設備費が高くなる。また、摩耗しやすくなるという問題点もある。これより、上記したように、1000G以上、3000G以下の遠心力とすることが好ましい。1500Gで基礎試験を実施して、良好な固液分離結果が得られた。
(無灰炭取得工程)
無灰炭取得工程は、第一分離工程および第二分離工程で分離された溶液(上澄み液)から溶剤を蒸発分離して無灰炭(HPC)を得る工程である。この無灰炭取得工程は、図1中、溶剤分離器10で実施される。重力沈降槽7および遠心分離機8で分離された溶液は、フィルターユニット9で濾過された後、溶剤分離器10に供給され、溶剤分離器10内で上澄み液から溶剤が蒸発分離される。
溶液(上澄み液)から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法、蒸発法などを用いることができる。溶剤分離器10にて分離された溶剤は、溶剤タンク2に戻されて、循環して繰り返し使用される。なお、溶剤を循環使用することは好ましいが必須ではない(後述する副生炭取得工程においても同様)。上澄み液から溶剤を分離することで、実質的に灰分を含まない無灰炭(HPC)を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、原料石炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、原料石炭が軟化溶融性を有しなくとも、得られた無灰炭(HPC)は良好な軟化溶融性を有する。したがって、無灰炭は、例えばコークス原料の配合炭として使用することができる。また、灰分をほとんど含まない無灰炭は、燃焼効率が高く且つ石炭灰の発生を低減できるので、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムのガスタービン直噴燃料としての用途も注目されている。
(副生炭取得工程)
副生炭取得工程は、第二分離工程で分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る工程である。この副生炭取得工程は、図1中、溶剤分離器11で実施される。遠心分離機8で分離された固形分濃縮液は溶剤分離器11に供給され、溶剤分離器11内で固形分濃縮液から溶剤が蒸発分離される。なお、副生炭取得工程は、必須の工程ではない。
固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、前記した無灰炭取得工程と同様に、一般的な蒸留法、蒸発法を用いることができる。溶剤分離器11にて分離された溶剤は、溶剤タンク2に戻されて、循環して繰り返し使用される。溶剤の分離により、固形分濃縮液からは灰分などを含む溶剤不溶成分が濃縮された副生炭(RC、残渣炭ともいう)を得ることができる。副生炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。副生炭は軟化溶融性を示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。したがって、この副生炭は、通常の非微粘結炭と同様に、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として使用することも可能である。
(重力沈降法+遠心分離法による二段分離を行った場合の物質収支例)
表1は、抽出工程で得られたスラリーを、図1に示したように重力沈降法+遠心分離法で二段分離した場合の物質収支例を示す表である。図1中の点A〜点Eは、表1中のA〜Eに対応している。例えば、図1中の点Aを流れるスラリーは合計10000kg/hであって、そのうち、溶剤可溶成分が999kg/h、溶剤不溶成分が1122kg/h、水が22kg/h、溶剤が7857kg/hである。
Figure 2013249360
(重力沈降法のみによる二段分離を行った場合の物質収支例)
これに対して、表2は、抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法のみで二段分離した場合の物質収支例を示す表である。図2は、抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法のみで二段分離する場合の無灰炭製造設備を示すブロック図である。この比較例に係る無灰炭製造設備200は、重力沈降槽7および重力沈降槽12の部分で、抽出工程で得られたスラリーを、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とに分離している。なお、図1と図2とで同一の機器については同じ符号を付している。また、図2中の点A〜点Fは、表1中のA〜Fに対応している。例えば、図2中の点Aを流れるスラリーは合計10000kg/hであって、そのうち、溶剤可溶成分が999kg/h、溶剤不溶成分が1122kg/h、水が22kg/h、溶剤が7857kg/hである。
Figure 2013249360
抽出工程で得られたスラリーを重力沈降法のみで二段分離する図2に示した無灰炭製造設備200では、一段目の重力沈降槽7の底部から出てくる固形分濃縮液に溶剤を添加して、二段目の重力沈降槽12に供給する固形分濃縮液(スラリー)中の固形物濃度を低下させなければならない。その結果、二段目の重力沈降槽12の底部から出てくる固形分濃縮液には、約60重量%もの溶剤が残留する。流量としては1652kg/hである。また、重力沈降槽12の上部から出てくる溶液中の溶剤の割合は約97重量%にも達する。流量としては7047kg/hである。そのため、溶剤分離器10・溶剤分離器11にて溶剤を蒸発分離させて無灰炭・副生炭を得るには多量の熱が必要となる。ちなみに、重力沈降槽12から出てくる固形分濃縮液から溶剤を全量蒸発させるためには484MJ/hもの熱量が必要となる。
一方、本発明に係る重力沈降法+遠心分離法による二段分離の場合、一段目の重力沈降槽7から出てくる固形分濃縮液に溶剤を添加しないため、重力沈降法のみの二段分離に比べて、第二分離工程後の物質に含まれる溶剤の割合・量は少ない。表1からわかるように、第二分離工程の遠心分離機8から出てくる固形分濃縮液中の溶剤の割合は約45重量%であり、流量としては854kg/hである。また、遠心分離機8から出てくる溶液中の溶剤の割合は約78重量%であり、流量としては796kg/hである。第二分離工程の遠心分離機8から出てくる固形分濃縮液から溶剤を全量蒸発させる場合には250MJ/hの熱量が必要である。この熱量は、重力沈降法のみによる二段分離の場合の約半分である。
(作用・効果)
本発明では、抽出工程で得られたスラリーを、まずは重力沈降法により分離し(第一分離工程)、その後、遠心分離法により分離している(第二分離工程)。遠心分離法は、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と溶剤に不溶な石炭成分との比重差を利用して遠心力により両者を分離する方法である。このように、遠心分離法は遠心力を用いた分離方法であるため、重力沈降法により分離した固形分濃縮液に溶剤をあらたに添加して固形物濃度を低下させなくても、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液とに第一分離工程後の固形分濃縮液を良好に分離することができる。すなわち、第一分離工程後の固形分濃縮液に溶剤を加える必要がないので溶剤使用量を低く抑えることができる。その結果、設備コストの増大を抑制しつつ、無灰炭の回収率を従来よりも向上させることができる。
また、遠心分離法を行う手段として、デカンタ型遠心分離機を用いることが好ましい。デカンタ型遠心分離機を用いれば、石炭スラリー中の固形分濃度はそれをポンプ輸送できる範囲であればよく、連続的な分離処理をより処理効率よく実施することができるからである。なお、デカンタ型遠心分離機ほどではないが、スキミング型遠心分離機を用いても石炭スラリーの連続的な分離処理が可能である。
また、前記したように、副生炭は、通常の非微粘結炭と同様に、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として使用することもできる。また、前記したように、同条件で比較して、遠心分離法による第二分離工程で分離された固形分濃縮液に含まれる溶剤は、重力沈降法による第二分離工程で分離された固形分濃縮液に含まれる溶剤よりも、濃度が低く量も少ない。溶剤の濃度が低く量も少ないということは、溶剤を蒸発させるための熱量が少なくて済むということを意味する。すなわち、遠心分離法による第二分離工程で分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る本発明における副生炭取得工程は、従来よりも設備コストを抑えて副生炭を得ることができる工程である。
また、無灰炭取得工程および副生炭取得工程で蒸発分離された溶剤をスラリー調整工程へ戻して再使用(循環使用)することで、あらたに溶剤タンク2へ溶剤を補給する必要がなくなる。すなわち、溶剤のコストを削減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
1:石炭ホッパ
2:溶剤タンク
3:スラリー調製槽
4:移送ポンプ
5:予熱器
6:抽出槽
7:重力沈降槽
8:遠心分離機
9:フィルターユニット
10、11:溶剤分離器
100:無灰炭製造設備

Claims (4)

  1. 石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調整工程と、
    前記スラリー調整工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程で得られたスラリーを、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とに分離する第一分離工程と、
    前記第一分離工程で分離された固形分濃縮液を、遠心分離法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液と、溶剤に不溶な石炭成分がさらに濃縮した固形分濃縮液とに分離する第二分離工程と、
    前記第一分離工程および前記第二分離工程で分離された溶液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
    を備える、無灰炭の製造方法。
  2. 請求項1に記載の無灰炭の製造方法において、
    前記第二分離工程において、デカンタ型遠心分離機を用いることを特徴とする、無灰炭の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の無灰炭の製造方法において、
    前記第二分離工程で分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る副生炭取得工程をさらに備えることを特徴とする、無灰炭の製造方法。
  4. 請求項3に記載の無灰炭の製造方法において、
    前記無灰炭取得工程および前記副生炭取得工程で蒸発分離された溶剤を前記スラリー調整工程へ戻して再使用することを特徴とする、無灰炭の製造方法。
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