JP6062320B2 - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無灰炭の製造方法に関する。
従来より、石炭から灰分等を除去した無灰炭がある。特許文献1には、従来の無灰炭の製造方法が記載されている。この無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合し、溶剤に溶解されない灰分と、溶剤に溶解される石炭成分とを分離し、溶剤に溶解された石炭成分から溶剤を分離することで無灰炭を得るものである。
特許文献1の請求項1には「溶剤と石炭とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記スラリー調製工程で得られたスラリーを・・・300〜420℃の温度で加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で得られたスラリーから溶剤に不溶な石炭成分を分離する分離工程と、・・・(以下略)」と記載されている。
また、同文献の段落[0038]には「(抽出工程での)圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が飛散しやすく、溶剤の損失を防ぐには溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。」と記載されている。このように溶剤の気化(飛散、損失)を防ぐことで、抽出工程での抽出率の悪化や、分離工程での分離の効率の悪化の問題の抑制を図っている。
特開2005−120185号公報
一方、抽出工程での操作圧力を必要以上に高くしすぎると、操作圧力を高くするための運転コストが増加し、また、抽出工程を行うための容器(抽出槽)の必要強度が高くなる。強度の高い抽出槽は設計、製造が困難であり、設備コストがかかる。そのため、抽出工程でスラリーに加えられる操作圧力をより適切に設定する方法が望まれていた。
そこで本発明は、抽出工程での溶剤の気化を抑制でき、かつ、操作圧力を高くしすぎることを抑制できる、無灰炭の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記スラリー調製工程で調製された前記スラリーを300℃〜420℃に加熱して前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を所定操作圧力で抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された抽出物から前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を含む溶液部を分離する分離工程と、前記分離工程で分離された前記溶液部から前記溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、前記所定操作圧力を決定する操作圧力決定段階と、を備える。前記所定操作圧力の値は、前記抽出工程での前記抽出直前の前記石炭が保有する水分量である石炭保有水分量と、前記抽出工程での前記抽出時に生成される水分量である抽出時生成水分量と、に基づいて決まる値である。
上記構成により、抽出工程での溶剤の気化を抑制でき、かつ、操作圧力を高くしすぎることを抑制できる。
無灰炭の製造方法を実施するための無灰炭製造装置の概略図である。
図1を参照して、無灰炭の製造方法を実施するための無灰炭製造装置1の概略について説明した後、無灰炭の製造方法について説明する。
無灰炭製造装置1は、原料の石炭(以下、単に「石炭」とも言う)から灰分を除去して無灰炭を製造する装置である。無灰炭製造装置1は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製槽2と、スラリー調製槽2に接続される予熱器3と、予熱器3を介してスラリー調製槽2に接続される抽出槽4と、抽出槽4に接続される溶液分離装置5と、溶液分離装置5に接続される溶剤回収装置6と、溶液分離装置5に接続される溶剤回収装置8と、を備える。また、無灰炭製造装置1は、溶剤回収装置8及び溶剤回収装置6とスラリー調製槽2とを接続する溶剤循環路9を備える。なお、溶液分離装置5と、溶剤回収装置8との間に、フィルタ7を設置することもできる。以下では各工程が行われる装置を括弧を付して示す場合がある。
無灰炭の製造方法は、無灰炭製造装置1により行われ、石炭から灰分を除去して無灰炭を製造する方法である。無灰炭は、水分が皆無であり、灰分をほとんど含まない炭である。無灰炭に含まれる灰分は、5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。無灰炭は、原料の石炭よりも発熱量が高く、着火性や燃え切り性が良いので、例えばボイラ等の高効率な燃料として用いられる。無灰炭は、原料の石炭よりも流動性(軟化溶融性)が高く、例えば製鉄用コークスの原料または原料の一部(配合炭)として用いられる。無灰炭の製造方法は、工程順に、スラリー調製工程(スラリー調製槽2)、脱水工程(スラリー調製槽2等)、予熱工程(予熱器3)、抽出工程(抽出槽4)、分離工程(溶液分離装置5)、無灰炭取得工程(溶剤回収装置8)、及び循環工程(溶剤循環路9)を備える。さらに、無灰炭の製造方法は、操作圧力決定段階を備える。なお、無灰炭の製造方法は、分離工程(溶液分離装置5)の後に副生炭取得工程(溶剤回収装置6)を備えても良い。
スラリー調製工程は、スラリー調製槽2で行われ、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程である。スラリー調製工程の詳細は次の通りである。フィーダ等(図示なし)からスラリー調製槽2に石炭が供給される。溶剤循環路9等からスラリー調製槽2に溶剤が供給される。スラリー調製槽2は、供給された石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する。溶剤に対する石炭の濃度(スラリー濃度)は、乾燥炭基準で10〜50重量%の範囲が好ましく、20〜35重量%の範囲がより好ましい。そして、スラリー調製槽2から予熱器3を介して抽出槽4に、調製されたスラリーが供給される。
このスラリー調製工程でスラリー調製槽2に供給される石炭(原料の石炭)は、瀝青炭または低品位炭(褐炭、亜瀝青炭)である。
このスラリー調製工程で用いられる溶剤は、石炭を溶解させるものである。溶剤は、抽出工程(抽出槽4)で抽出される石炭の可溶成分の割合(抽出率)が高いものが好ましい。溶剤は、例えば芳香族化合物を含む溶剤(詳細は後述)であり、具体的には例えば石炭を乾留してコークスを製造する際の副生油の蒸留油であるメチルナフタレン油やナフタレン油などである。溶剤の沸点は、抽出工程(抽出槽4)での抽出率および無灰炭取得工程(溶剤回収装置8)での溶剤回収率が高いものが好ましく、例えば180〜300℃が好ましく、230〜280℃がより好ましい。
以下、溶剤についてさらに詳しく説明する。溶剤としては、例えば芳香族溶剤がある。溶剤として、具体的には石炭誘導体が挙げられる。溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製したものである。溶剤の主な成分は2環芳香族であり、この2環芳香族は例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等である。溶剤のその他の成分は、それぞれ脂肪族側鎖を有するナフタレン類、アントラセン類、フルオレン類、または、これらにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖を付加したアルキルベンゼン等である。溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭に対して大きな溶解力を持つ(石炭との親和性に優れている)ので、石炭の成分の抽出率を高めることができる。また、溶剤は、蒸留等の方法で容易に回収可能である。
脱水工程は、例えばスラリー調製槽2等で行われ(後述)、抽出工程(抽出槽4)での抽出前の石炭を脱水する(石炭の水分量を調整する)工程である。脱水工程は、後述する所定操作圧力Pを制御する(小さくする)ための工程である。脱水工程は、次の[脱水a]のように行われることが好ましく、また[脱水b]のように行われてもよい。
[脱水a]脱水工程での脱水は、溶剤中で石炭を加熱することで行われる。すなわち、脱水工程は、スラリー調製工程以後、抽出工程より前に行われる。この場合、気流乾燥方式(下記[脱水b]参照)の場合に比べ、石炭(固体)と溶剤(液体)との間での伝熱効率が高いので、短時間かつ高効率で脱水が行われる。また、この場合、気流乾燥方式の場合に生じる石炭中の細孔の収縮が生じにくいので、細孔の収縮による抽出工程での抽出率の低下が生じにくい。脱水工程は、例えばスラリー調製槽2で行われ、また例えばスラリー調製槽2と抽出槽4との間に設けられた脱水器で行われてもよい。上記「脱水器」は、例えば予熱器3でもよく、また例えば予熱器3以外のものでもよい。脱水工程での脱水温度は、水の沸点以上、溶剤の沸点未満である。脱水工程での脱水温度は、例えば、130〜200℃などである。
[脱水b]脱水工程での脱水は、溶剤と混合されていない状態の石炭(原料の石炭)に対して行われてもよい。すなわち、脱水工程は、スラリー調製工程より前に行われてもよい。この場合、脱水工程での脱水は、例えば気流乾燥方式(石炭に熱風を当てる方式)等により行われる。
予熱工程は、予熱器3で行われ、抽出槽4に導入されるスラリーを予め加熱する工程である。予熱器3で石炭の脱水が行われる場合は、予熱工程と脱水工程とが兼ねられる。なお、予熱工程は行われなくてもよい。
抽出工程は、抽出槽4で行われ、スラリー調製工程(スラリー調製槽2)で調製されたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭の成分(「溶剤可溶成分」とも言う)を抽出する工程である。抽出工程では、石炭中の有機成分が抽出される。抽出工程の詳細は次の通りである。抽出槽4に供給されたスラリーは、抽出槽4に設けられた攪拌機で攪拌されながら、所定温度(後述)に加熱保持される。これにより、スラリーから溶剤可溶成分が抽出される。ただし、抽出物には、溶剤可溶成分だけでなく、溶剤に不溶な灰分などの成分(「溶剤不溶成分」とも言う)も含まれる。そして、抽出槽4から溶液分離装置5に抽出物が供給される。
この抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶剤に溶解できるような温度とする。具体的には、スラリーの加熱温度は、300〜420℃(300℃以上、420℃以下)であり、360〜400℃の範囲が好ましい。スラリーの加熱温度が300℃未満の場合、石炭の分子間の結合を弱めるには不十分であるため、溶剤可溶成分の溶剤への溶解量が低くなる。スラリーの加熱温度が420℃を超える場合、石炭の熱分解反応が活発になり、生成した熱分解ラジカルの再結合が起こるため、溶剤可溶成分の抽出率が低下する。
この抽出工程でのスラリーの加熱時間(抽出時間)は、溶剤可溶成分の溶剤への十分な溶解が可能な時間とすることが好ましく、また、溶剤可溶成分の抽出率が十分高くなるような時間が好ましい。具体的には、加熱時間は、5〜60分間の範囲が好ましく、20〜40分間の範囲がより好ましい。なお、上記「スラリーの加熱時間」は、予熱器3でスラリーを加熱した場合は、予熱器3および抽出槽4での加熱時間を合計したものとする。
この抽出工程は、不活性ガス(例えば安価な窒素が好ましい)の存在下で行うことが好ましい。抽出工程でスラリーに加えられる圧力(操作圧力)は、所定の圧力(所定操作圧力P)である(後述)。
分離工程は、溶液分離装置5で行われ、抽出工程で抽出された抽出物から溶剤に可溶な石炭の成分を含む溶液部を分離する工程である。分離工程の詳細は次の通りである。溶液分離装置5は、供給された抽出物を、溶液部と固形分濃縮液とに分離する。溶液部とは、溶解された溶剤可溶成分と溶剤とを含む溶液の部分である。溶液部は、溶液分離装置5から溶剤回収装置8に供給される。固形分濃縮液は、灰分など溶剤不溶成分を含む泥状流動体部分(スラリー部分)である。固形分濃縮液は、溶液分離装置5から溶剤回収装置6に供給される。溶液分離装置5は、例えば、重力沈降法により溶液部を分離する重力沈降槽、また例えば、ろ過法により溶液部を分離するろ過装置、また例えば、遠心分離法により溶液部を分離する遠心分離装置などである。
副生炭取得工程は、溶剤回収装置6で行われ、分離工程(溶液分離装置5)で分離された固形分濃縮液から溶剤を回収(蒸発分離)して副生炭を得る工程である。副生炭は、灰分などを含む溶剤不溶成分が濃縮された炭であり、例えばコークスの原料の配合炭の一部として使用される。副生炭取得工程の詳細は次の通りである。溶剤回収装置6は、供給された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離(蒸発分離については後述)させて溶剤を回収する。溶剤回収装置6により固形分濃縮液から溶剤が取り除かれることで副生炭が得られる。また、回収された溶剤は、溶剤回収装置6から溶剤循環路9を介してスラリー調製槽2に供給される。なお、副生炭取得工程は行われなくてもよい。
無灰炭取得工程は、溶剤回収装置8で行われ、分離工程(溶液分離装置5)で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る工程である。無灰炭取得工程の詳細は次の通りである。溶剤回収装置8は、供給された溶液部から溶剤を蒸発分離する。この蒸発分離は、例えば一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等の分離方法によるものである(副生炭取得工程での蒸発分離も同様)。蒸発分離された溶剤は、溶剤回収装置8から溶剤循環路9を介してスラリー調製槽2に供給される。すなわち溶剤は、無灰炭製造装置1内を循環する(溶剤循環工程)。そして、溶剤回収装置8により溶液部から溶剤が取り除かれることで無灰炭が得られる。
操作圧力決定段階は、抽出工程(抽出槽4)でスラリーに加えられる操作圧力の所定値(所定操作圧力P)を決定する段階である。操作圧力決定段階は、抽出工程(抽出槽4)が行われる前に予め行われる、または、抽出工程が行われるのと同時に行われてもよい。所定操作圧力Pの値は、石炭保有水分量Ci(後述)及び抽出時生成水分量Cg(後述)等から算出される。
この操作圧力決定段階で決定される所定操作圧力Pは、溶剤の蒸気圧よりも大きく設定される。このように設定される理由は、溶剤の気化(蒸発、逸失)を抑制するためである。この理由の詳細は次の通りである。操作圧力が溶剤の蒸気圧以下の場合、溶剤が気化し、スラリー濃度が高くなる。そのため、抽出工程(抽出槽4)での抽出物の回収率の悪化や、抽出工程の後段の分離工程(溶液分離装置5)における分離性能の低下のおそれがある。その結果、抽出槽4や溶液分離装置5が大型化するおそれがある。そこで、溶剤の気化を抑制するために、操作圧力を溶剤の蒸気圧よりも大きくする必要がある。具体的には例えば、溶剤が1−メチルナフタレン(1−MN)の場合、かつ、抽出温度が400℃の場合、必要な操作圧力は、1230kPaGである。
この所定操作圧力Pは、溶剤の蒸気圧の近傍に設定される。このように設定される理由は次の通りである。溶剤の気化を防ぐためには、操作圧力を高くすればよいが、必要以上に操作圧力を高くした場合には次の[問題a]及び[問題b]がある。[問題a]高い操作圧力に対応できるように、抽出槽4(反応容器)の強度を高めたり大型化させるたりする必要が生じる。このような反応容器は、設計が難しく、また、設備コストがかさむ。[問題b]操作圧力を高めることにより、無灰炭製造装置1の運転コストが増加する。
この所定操作圧力Pの値は、石炭保有水分量Ci(後述)と、抽出時生成水分量Cg(後述)と、その他のパラメータと、に基づいて決まる値である。その他のパラメータには、例えば抽出温度やスラリー濃度がある。所定操作圧力Pの値が、石炭保有水分量Ciと抽出時生成水分量Cgとに基づいて決まる理由は次の通りである。溶剤の蒸気圧は、同一温度であっても、組成(溶剤と共存物質との割合)によって異なる。そのため、溶剤そのものの蒸気圧(共存物質が存在しない場合の溶剤の蒸気圧)より操作圧力を大きく設定していても、溶剤が気化してしまう場合がある。溶剤の蒸気圧に大きい影響を及ぼす因子は、水分量である。この水分量には、石炭保有水分量Ciと、抽出時生成水分量Cgと、が含まれる。石炭保有水分量Ciは、抽出工程(抽出槽4)での抽出直前の石炭が保有する水分量である。脱水工程が行われる場合は、石炭保有水分量Ciは、脱水工程後かつ抽出工程前の石炭が保有する水分量である。抽出時生成水分量Cgは、抽出工程での抽出時に生成される水分量である。抽出時生成水分量Cgは、脱水工程で石炭中の水分を除去した場合でも存在する。
この所定操作圧力Pは、例えば、下記の式(1)〜式(5)によって決まる。式(1)から求まる所定操作圧力Pで抽出工程を行った場合、抽出工程での溶剤の気化量を15%とすることができる(上記気化量は、抽出工程前の溶剤の量に対する、抽出工程で気化する溶剤の量である)。
P=a×W+b×W+c (1)
W=(6.95×10−5×Ci+6.25×10−5×Cg)×Cs (2)
a=0.047310×T−48.501×T+16122×T−1725900 (3)
b=150.98×exp(0.015200×T) (4)
c=0.055660×T−28.271×T+3790.0 (5)
Ci:抽出直前の石炭中の水分(上述)[重量%]
具体的には例えば0〜20重量%。
Cg:抽出時の生成水(上述)[重量%]
石炭の10重量%とする。
Cs:スラリー濃度[重量%]
具体的には例えば10〜50重量%。
T :抽出温度[℃]
具体的には300〜420℃(上述)。
(蒸気量の安定について)
上述した抽出工程では溶剤の蒸発を抑制できる。一方で、発生した蒸気は高い温度および高い圧力を有するため、この蒸気が熱交換により有効に利用されることが望ましい。この蒸気を利用する場合は、蒸気量が変動することは好ましくなく、安定した蒸気量が得られることが好ましい。そこで、この蒸気量を安定させる方法として次の方法がある。[方法a]蒸気量が一定(ほぼ一定を含む。以下同様)になるように、石炭保有水分量Ciに応じて所定操作圧力Pを調整する。[方法b]石炭保有水分量Ciが一定となるように脱水工程を行い、また、所定操作圧力Pを一定とすることで、蒸気量を一定にする。
(効果1)
次に、本実施形態の無灰炭製造方法による効果を説明する。無灰炭製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程(スラリー調製槽2)と、スラリー調製工程で調製されたスラリーを300℃〜420℃に加熱して溶剤に可溶な石炭の成分を所定操作圧力Pで抽出する抽出工程(抽出槽4)と、抽出工程で抽出された抽出物から溶剤に可溶な石炭の成分を含む溶液部を分離する分離工程(溶液分離装置5)と、分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程(溶剤回収装置8)と、所定操作圧力Pを決定する操作圧力決定段階と、を備える。所定操作圧力Pの値は、抽出工程での抽出直前の石炭が保有する水分量である石炭保有水分量Ciと、抽出工程での抽出時に生成される水分量である抽出時生成水分量Cgと、に基づいて決まる値である。
溶剤の蒸気圧は、溶剤の組成(溶剤と共存物質との量の割合)によって変わる。溶剤の組成は、石炭保有水分量Ciおよび抽出時生成水分量Cgによって変わる。本実施形態の無灰炭製造方法では、石炭保有水分量Ciおよび抽出時生成水分量Cgを考慮した所定操作圧力Pで抽出工程が行われる。よって、これらを考慮しない場合(共存物質がない溶剤の蒸気圧のみを考慮する場合)に比べ、より適切な所定操作圧力Pで抽出工程を行える。よって、抽出工程での溶剤の気化を抑制でき、かつ、操作圧力を高くしすぎることを抑制できる。
[効果1−1]抽出工程での溶剤の気化を抑制できるので、スラリー濃度が高くなることを抑制できる。その結果、抽出工程(抽出槽4)での抽出物の回収率の悪化を抑制でき、また、分離工程(溶液分離装置5)での分離性能の低下を抑制できる。
[効果1−2]また、操作圧力を高くしすぎることを抑制できるので、無灰炭製造方法(無灰炭製造装置1)での運転コストを低減でき、また、抽出工程を行うための容器(抽出槽4)の必要強度を低減できる。
(効果2)
無灰炭製造工程は、抽出工程(抽出槽4)での抽出前の石炭を脱水する脱水工程を備える。
この脱水工程により、石炭保有水分量Ciが減る。よって、抽出工程(抽出槽4)での溶剤の量に対する水分量の割合が減る。ここで、溶剤の量に対する水分量の割合が低いほど、溶剤の沸点は低いので、抽出工程で必要な操作圧力が低い。よって、脱水工程により石炭保有水分量Ciが減るので、所定操作圧力Pを低減させることができる。その結果、上記[効果1−2]がより顕著になる。
(効果5)
脱水工程での脱水は、溶剤中で石炭を加熱することで行われる。
この加熱方法では、気流乾燥方式(上記[脱水b]参照)に比べ、石炭(固体)と溶剤(液体)との間での伝熱効率が高い。よって、短時間かつ高効率で、石炭の脱水ができる。
気流乾燥方式では、乾燥に伴って石炭中の細孔が収縮することにより、抽出工程での抽出物の抽出率が低下する問題がある。上記脱水工程では、溶剤中で石炭を加熱するので、気流乾燥方式での上記の問題を抑制できる。
(変形例1)
上記実施形態の操作圧力決定段階では、所定操作圧力Pの値は、石炭保有水分量Ci及び抽出時生成水分量Cg等から算出された。しかし、所定操作圧力Pの所望の値を予め決めておき、この所望の値から石炭保有水分量Ciを逆算してもよい。上記実施形態と変形例1との相違点をさらに説明する。
操作圧力決定段階では、所定操作圧力Pの所望の値が、無灰炭の製造方法を実施する者等によって予め決定される。所定操作圧力Pの所望の値は、例えば、無灰炭製造装置1の所望の運転コストや、抽出槽4の所望の強度などに応じて決定される。操作圧力決定段階の後、石炭保有水分量逆算段階が行われる。
石炭保有水分量逆算段階は、所定操作圧力Pが上記の所望の値となるような石炭保有水分量Ci(脱水工程での脱水率を)を算出する段階である。この算出は、例えば上記の式(1)〜(5)を用いて行われる。脱水工程での脱水は、実際の石炭保有水分量Ciが石炭保有水分量逆算段階で算出された値になるように行われる。
(効果3)
変形例1の無灰炭の製造方法による効果を説明する。操作圧力決定段階は、所定操作圧力Pの所望の値を決定する段階である。無灰炭製造工程は、所定操作圧力Pが所望の値となるような石炭保有水分量Ciを算出する石炭保有水分量逆算段階を備える。脱水工程での脱水は、実際の石炭保有水分量Ciが石炭保有水分量逆算段階で算出された値になるように行われる。
この構成では、所望の値の所定操作圧力Pで抽出工程を行うことができる。
(変形例2)
脱水工程での脱水は、石炭保有水分量Ciが実質的に0%になるように(ほぼ完全に石炭の水分を除去できるように)行われてもよい。具体的には、この脱水は、石炭保有水分量Ciが2.0重量%以下になるように行われる。
(効果4)
変形例2の無灰炭の製造方法による効果を説明する。脱水工程での脱水は、石炭保有水分量Ciが2.0重量%以下になるように行われる。
これにより、石炭保有水分量Ciが2.0重量%よりも大きい場合に比べ、所定操作圧力Pをより小さくできる。その結果、上記[効果1−2]がより顕著になる。
1 無灰炭製造装置
2 スラリー調製槽
3 予熱器
4 抽出槽
5 溶液分離装置
6 溶剤回収装置
7 フィルタ
8 溶剤回収装置
9 溶剤循環路

Claims (3)

  1. 石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記スラリー調製工程で調製された前記スラリーを加熱して前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を所定操作圧力で抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程での前記抽出前の前記石炭を脱水する脱水工程と、
    前記抽出工程で抽出された抽出物から前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を含む溶液部を分離する分離工程と、
    前記分離工程で分離された前記溶液部から前記溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
    前記所定操作圧力の所望の値を決定する操作圧力決定段階と、
    を備え、
    前記所定操作圧力の値は、前記抽出工程での前記抽出前の前記石炭が保有する水分量である石炭保有水分量と、前記抽出工程での前記抽出時に生成される水分量である抽出時生成水分量と、に基づいて決まる値であり、
    前記所定操作圧力が前記所望の値となるような前記石炭保有水分量を算出する石炭保有水分量逆算段階を備え、
    前記脱水工程での前記脱水は、実際の前記石炭保有水分量が前記石炭保有水分量逆算段階で算出された値になるように行われる、
    無灰炭の製造方法。
  2. 石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記スラリー調製工程で調製された前記スラリーを加熱して前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を所定操作圧力で抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程での前記抽出前の前記石炭を脱水する脱水工程と、
    前記抽出工程で抽出された抽出物から前記溶剤に可溶な前記石炭の成分を含む溶液部を分離する分離工程と、
    前記分離工程で分離された前記溶液部から前記溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
    前記所定操作圧力を決定する操作圧力決定段階と、
    を備え、
    前記所定操作圧力の値は、前記抽出工程での前記抽出前の前記石炭が保有する水分量である石炭保有水分量と、前記抽出工程での前記抽出時に生成される水分量である抽出時生成水分量と、に基づいて決まる値であり、
    前記脱水工程での前記脱水は、前記石炭保有水分量が2.0重量%以下になるように行われる、
    無灰炭の製造方法。
  3. 前記脱水工程での前記脱水は、前記溶剤中で前記石炭を加熱することで行われる、
    請求項1または2に記載の無灰炭の製造方法。
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