JP2009227718A - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量沈降法における溶剤不溶成分の沈降速度を向上させ、灰分が十分に除去された無灰炭を高効率、かつ安価に製造できる無灰炭の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般炭に粘結炭を混合した石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程1;前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程4;前記抽出工程で得られたスラリーから、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程5;および前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程7;を含むことを特徴とする無灰炭の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、無灰炭の製造方法に関し、詳細には、石炭から灰分を除去した無灰炭を得るための無灰炭の製造方法に関するものである。
石炭は、火力発電やボイラーの燃料、または、化学品の原料として幅広く利用されており、環境対策の一つとして石炭中の灰分を効率的に除去する技術の開発が強く望まれている。例えば、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムでは、LNG等の液体燃料に替わる燃料として、灰分が除去された無灰炭を使用する試みがなされている。また高炉用コークス等の製鉄用コークスの原料炭として、無灰炭を使用する試みがなされている。
無灰炭の製造方法として以下の方法が提案されている。
例えば、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出し、該スラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離した後、該溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭の製造方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、スラリーから溶液部と非溶液部とを分離する方法として、濾過法や遠心分離法を用いると、工業的な実施が困難であった。例えば、濾過法を用いると、濾過助剤の頻繁な交換が必要であり、連続的な処理が困難であった。また例えば、遠心分離法を用いると、溶剤に不溶な石炭成分(RC)による閉塞が起こりやすく、連続的な処理が困難であった。
特開2005−120185号公報
そこで、灰分等の溶剤不溶成分を重力沈降させることにより、連続的に分離処理を行う重力沈降法を用いて無灰炭を製造したところ、石炭の銘柄によっては沈降速度が著しく遅い、という問題が生じた。そのため、沈降槽上部では、沈降しなかった微細な溶剤不溶成分が滞留するので、結果として灰分を十分に除去できなかった。そのような問題を解決するには、沈降槽面積や高さを増やし、沈降槽を大型化して液の上昇流速を低下させたり,沈降時間を十分に確保する,あるいは石炭の濃度を下げて粒子間の干渉を抑えるなどの対策が考えられるが、大型の沈降槽の製作には技術的な難しさや、設備コストの増加という問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、重力沈降法における溶剤不溶成分の沈降速度を向上させ、灰分が十分に除去された無灰炭を高効率、かつ安価に製造できる無灰炭の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、溶剤不溶成分の沈降速度が遅い石炭に粘結炭を混合した石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;
前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程;
前記抽出工程で得られたスラリーから、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程;および
前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程;
を含むことを特徴とする無灰炭の製造方法に関する。
本発明に係る無灰炭の製造方法によれば、重力沈降法の実施に際し、溶剤不溶成分の沈降速度が向上する。そのため、灰分が十分に除去された無灰炭を高効率、かつ安価に製造できる。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、石炭に不可避に含まれる灰分等の溶剤不溶成分を、当該石炭から十分に除去して、無灰炭を製造するための方法である。本発明に係る無灰炭の製造方法を、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の無灰炭の製造方法を実施する無灰炭の製造装置の一例を示す模式図である。
本明細書中、溶剤不溶成分は、溶剤により石炭の溶解・抽出を行っても、溶剤に溶解されずに残る灰分や該灰分を含む石炭(すなわち灰炭)などの石炭成分であり、主として石炭に含まれていた無機成分や,溶剤に抽出されない石炭成分であり,比較的分子量が高く,架橋構造が発達した有機成分に由来するものである。以下、溶剤不溶成分を「RC成分」と呼ぶことがある。一方、溶剤可溶成分は、溶剤に溶解され得る石炭成分であり、主として分子量が比較的小さく,架橋構造が発達していない石炭中の有機成分に由来するものである。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、および無灰炭取得工程を含み、所望により副生炭取得工程をさらに含むものである。以下、各工程について説明する。
<スラリー調製工程>
スラリー調製工程は、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、図1中、スラリー調製槽1で実施される。
石炭原料は、一般炭に粘結炭を混合したものを用いる。これにより、後述する抽出工程で現出するRC成分を、分離工程で速やかに沈降させることができる。そのような現象のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。粘結炭を単独で原料として用いて無灰炭を製造した場合、重力沈降法による分離工程において、RC成分の沈降速度は十分に速く、沈降槽上部における清澄化が進み、灰分濃度が非常に少ない無灰炭を製造できる。これは粘結炭のRC成分の凝集性が良いためである。本発明の発明者等は、そのような凝集性の促進因子は、粘結炭中にRC成分とともに比較的多く含まれる粘着成分にあることを、鋭意努力の末に発見した。粘着成分は、抽出工程において半溶解状態にあり、高い粘着性を有するので、RC成分に付着し、更にはRC成分同士の付着を促進する。詳しくは粘着成分は、抽出温度域で軟化溶融する性質を持ち、抽出工程において半溶解状態(半抽出状態)でスラリー中に存在するので、結果としてRC成分粒子同士を凝集させるバインダーとして働く。よって、RC成分の凝集性が乏しい石炭に対して、粘結炭を適宜混合することで、混合石炭の抽出時に粘結炭から現出する粘着成分(バインダー物質)がRC成分同士の付着・凝集を促進するものと考えられる。
粘結炭は、コークス製造用に用いられている粘結性を有する石炭であって、ギーセラープラストメーター試験において、軟化開始点が420℃以下、特に360〜420℃であり、かつ最高流動度が対数表示で2以上、特に2〜5である石炭を用いる。軟化開始点が高すぎたり、最高流動度が低すぎたりする石炭を用いても、期待するバインダー効果は得られず、その結果、RC成分の沈降速度を有効に向上させることができない。
本明細書中、軟化開始点および最高流動度はギーセラープラストメーター試験で測定された値を用いている。
粘結炭として、日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)で規定される区分B、B、およびCに分類されるものが使用可能である。
例えば、区分BおよびBに分類される石炭はいわゆる「れき青炭」のうち、発熱量8400kcal/kg以上を示すものである。
また例えば、区分Cに分類される石炭はいわゆる「れき青炭」のうち、発熱量8100以上8400kcal/kg未満を示すものである。
石炭分類法(JIS M 1002−1978)で規定される発熱量は以下の式に基づいて算出される値である。
発熱量(補正無水無灰ベース)=発熱量/(100−1.08×灰分−水分)×100
粘結炭の混合割合は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は供給される全石炭(一般炭+粘結炭)中の4重量%以上の割合でバインダー効果が認められる。バインダー効果をより一層有効に発揮する観点からは、当該混合割合は5重量%以上、特に5〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。混合割合を50重量%超える値に設定しても、添加効果が飽和状態になるに過ぎない。
一般炭は、通常、発電用、高炉微粉炭吹込み用(PCI)として用いられている石炭であり、コークス製造用に用いられている粘結炭や非微粘結炭などのような、所謂原料炭ではない石炭である。そのような一般炭は、詳しくは、軟化溶融性に乏しいか、または軟化溶融性を持たない石炭であり、ギーセラープラストメーター試験において、軟化流動性を示さないか、あるいは最高流動度が対数表示で2未満の石炭である。
一般炭として、日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)で規定される区分D、E、FおよびFに分類されるものが使用可能である。
例えば、区分Dに分類される石炭はいわゆる「亜れき青炭」のうち、発熱量7800以上8100kcal/kg未満を示すものである。
また例えば、区分Eに分類される石炭はいわゆる「亜れき青炭」のうち、発熱量7300kcal/kg以上7800kcal/kg未満を示すものである。
また例えば、区分Fに分類される石炭はいわゆる「褐炭」のうち、発熱量6800以上7300kcal/kg未満を示すものである。
また例えば、区分Fに分類される石炭はいわゆる「褐炭」のうち、発熱量5800以上6800kcal/kg未満を示すものである。
溶剤は石炭を溶解可能なものであれば、特に制限されず、例えば、石炭由来の油分が好ましく使用される。石炭由来の油分とは石炭から生まれた油分のことであり、そのような石炭由来の油分として、例えば、2環式芳香族化合物を主とする非水素供与性溶剤が好ましく使用される。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環式芳香族化合物を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される石炭成分の割合(以下、「抽出率」ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。そして、この回収した溶剤は、経済性の向上を図るため、循環使用することもできる。
非水素供与性溶剤の主たる成分としては、2環式芳香族化合物であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他脂肪族側鎖をもつナフタレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。
溶剤の沸点は特に制限されるものではなく、例えば、抽出工程および分離工程での圧力低減、抽出工程での抽出率および無灰炭取得工程等での溶剤回収率の観点から、180〜300℃、特に240〜280℃のものが好ましく使用される。
溶剤に対する石炭原料(混合石炭)の濃度は、特に制限されず、通常、乾燥炭基準で10〜50重量%の範囲が好ましく、20〜35重量%の範囲がより好ましい。
<抽出工程>
抽出工程は、前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して、溶剤に可溶な石炭成分(溶剤可溶成分)を抽出する工程であり、図1中、予熱器3および抽出槽4で実施される。詳しくは、スラリー調製槽1で調製されたスラリーは、ポンプ2によって、一旦、予熱器3に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽4に供給され、攪拌機40で攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶解され得る限り特に制限されず、例えば、溶剤可溶成分の十分な可溶化と抽出率の向上の観点から、好ましくは300〜420℃であり、特に360〜400℃の範囲とする。
加熱時間(抽出時間)もまた特に制限されるものではないが、十分な溶解と抽出率の観点から好ましくは10〜60分間である。加熱時間は図1中、予熱器3および抽出槽4での加熱時間を合計したものである。
抽出工程は不活性ガスの存在下で行う。抽出工程で酸素に接触すると、発火する恐れがあるため危険である。抽出工程で用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。
抽出工程での圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
<分離工程>
分離工程は、前記抽出工程で得られたスラリーから、重力沈降法により、溶液部と非溶液部とを分離する工程である。ここで、溶液部とは、溶剤可溶成分が溶解された溶液部分をいい、以下、上澄み液ともいう。非溶液部とは、溶剤不溶成分を含むスラリー部分をいい、以下、固形分濃縮液ともいう。図1中、分離工程は重力沈降槽5で実施され、詳しくはスラリーは、溶液部としての上澄み液と、非溶液部としての固形分濃縮液とに分離される。重力沈降槽5の上部の上澄み液は、必要に応じてフィルターユニット6を経て、溶剤分離器7へ排出されるとともに、下部に沈降した固形分濃縮液は溶剤分離器8へ排出される。
重力沈降法は、スラリーを槽内に保持することにより、重力を利用して溶剤不溶成分を沈降・分離させる方法である。スラリーを槽内に連続的に供給しながら、上澄み液を上部から、固形分濃縮液を下部から連続的に排出することにより、連続的な分離処理が可能である。
重力沈降槽5内でスラリーを維持する時間は、スラリーを上澄み液と固形分濃縮液とに分離するのに必要な時間であり、特に制限されるものではないが、本発明では30〜120分間という比較的短い時間で十分な分離を達成できる。本発明では溶剤不溶成分の沈降が促進されるためである。
重力沈降槽5内は、原料の石炭から溶出した溶剤可溶成分の再析出を防止するため、加熱または/および加圧しておくことが好ましい。加熱温度は通常、300〜370℃の範囲とすることが好ましい。圧力は通常、1.0〜2.0MPaの圧力範囲とすることが好ましい。
<無灰炭取得工程>
無灰炭取得工程は、前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して改質炭である無灰炭を得る工程であり、図1中、溶剤分離器7で実施される。
溶液部(上澄み液)から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、分離して回収された溶剤はスラリー調製槽1へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離・回収により、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭(HPC)を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また原料石炭、例えば一般炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、原料石炭が軟化溶融性を有しなくとも,得られたHPCは良好な軟化溶融性を有すようになる。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。また、後述する副生炭と混合することによって、配合炭として使用することもできる。
<副生炭取得工程>
副生炭取得工程は、必要により実施され、前記分離工程で分離された非溶液部から溶剤を分離して副生炭を得る工程であり、図1中、溶剤分離器8で実施される。
非溶液部(固形分濃縮液)から溶剤を分離する方法は、前記した無灰炭取得工程と同様に、一般的な蒸留法や蒸発法を用いることができ、分離して回収された溶剤は、スラリー調製槽1へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離・回収により、固形分濃縮液からは灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された副生炭(RC)を得ることができる。副生炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。副生炭は軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。従って、この副生炭は、通常の非微粘結炭と同様に、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として利用することも可能である。なお、副生炭は、回収せずに廃棄しても良い。
本発明は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、石炭原料を粉砕する石炭粉砕工程や、ごみ等の不要物を除去する除去工程や、得られた無灰炭を乾燥させる乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
<実験例1>
原料石炭として表1に示す石炭A(一般炭)または石炭B(粘結炭)を用いた。石炭Aおよび石炭Bはそれぞれ、日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)において区分DおよびB1に分類されるものであった。
溶剤として、沸点254℃である石炭由来の乾留油分(メチナフ−H,シーケム社製)を用いた。その組成は1-メチルナフタレンを主成分とする2環式芳香族化合物であった。
Figure 2009227718
原料石炭に溶剤を混合してスラリーを調製した(スラリー調製工程)。原料石炭の混合割合は分離工程に供するスラリー中の初期RC濃度が所定の値になるような割合であった。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30Lのオートクレーブ中、380℃、1時間の条件で抽出した(抽出工程)。このスラリーを、350℃に温度を保持した回分式重力沈降槽の中で60分間静置して、不溶成分(RC)の沈降挙動を調べた(分離工程)。分離工程に供したスラリー中の初期RC濃度は、どちらの石炭を使用した場合も10重量%であった。
回分式重力沈降槽中、60分間静置したときの、沈降槽高さ方向でのRCの濃度分布を測定し、石炭Aと石炭Bとで比べた。結果を図2に示した。Hは沈降槽下部からの測定位置の高さ、Hは沈降槽高さを表す。
石炭AのRCは沈降速度が遅く、60分間静置しても、沈降槽上部でのRC濃度は1重量%程度と濃かった。
石炭BのRCは沈降速度が速く、沈降槽上部でのRC濃度は0.02重量%であり、石炭Aと比較して50倍清澄化されていた。
<実験例2>
実験例1と同様の石炭A、石炭Bおよび溶剤を用いた。
石炭Aおよび石炭Bを所定の比率で混合して用いたこと、および混合した石炭を抽出したときの初期RC濃度が10重量%となるよう,混合した石炭の濃度を調整したこと以外、実験例1と同様の方法により、スラリー調製工程、抽出工程および分離工程を行い、不溶成分(RC)の沈降挙動を調べた。結果を図3に示した。図3より、石炭Bを混合した事によって凝集・沈降促進効果が現れ、清澄化が著しく促進されることが明らかである。石炭Bを混合すると、石炭A単独に比べ10倍程度清澄化が進んでおり、石炭B混合によるRCの沈降速度向上の効果が確認できた。
その後、分離工程で得られた上澄み液から、蒸留法により、溶剤を分離・除去して無灰炭を得た。得られた無灰炭中の灰分含有量を測定した。
石炭Bを混合した場合、無灰炭中の灰分含有量はいずれも0.5重量%未満であった。
石炭Bを混合しなかった場合、無灰炭中の灰分含有量は2重量%程度であった。
本発明に係る方法により製造された無灰炭は、火力発電やボイラーの燃料および高効率複合発電システムや製鉄用コークスの原料として有用である。
本発明の無灰炭の製造方法における各工程を説明するための製造装置の模式図である。 実験例1で作成したグラフである。 実験例2で作成したグラフである。
符号の説明
1:スラリー調製槽、2:ポンプ、3:予熱器、4:抽出槽、5:重力沈降槽、6:フィルターユニット、7:8:溶剤分離器、40:撹拌機。

Claims (6)

  1. 一般炭に粘結炭を混合した石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;
    前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程;
    前記抽出工程で得られたスラリーから、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程;および
    前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程;
    を含むことを特徴とする無灰炭の製造方法。
  2. 全石炭中の粘結炭の混合割合が5〜50重量%である請求項1に記載の無灰炭の製造方法。
  3. 粘結炭のギーセラープラストメーター試験による軟化開始点が420℃以下、最高流動度が対数表示で2以上である請求項1または2に記載の無灰炭の製造方法。
  4. 溶剤として沸点が180〜300℃である石炭由来の油分を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の無灰炭の製造方法。
  5. 前記分離工程で分離された非溶液部から溶剤を分離して副生炭を得る副生灰炭取得工程をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の無灰炭の製造方法。
  6. 分離された溶剤をスラリー調製工程へ循環させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無灰炭の製造方法。
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