JP2014172017A - 重力沈降槽および無灰炭の製造方法 - Google Patents

重力沈降槽および無灰炭の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014172017A
JP2014172017A JP2013049270A JP2013049270A JP2014172017A JP 2014172017 A JP2014172017 A JP 2014172017A JP 2013049270 A JP2013049270 A JP 2013049270A JP 2013049270 A JP2013049270 A JP 2013049270A JP 2014172017 A JP2014172017 A JP 2014172017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slurry
coal
pressure vessel
solvent
outer tube
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013049270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6105334B2 (ja
Inventor
Noriyuki Okuyama
憲幸 奥山
Masaaki Tamura
正明 田村
Koji Sakai
康爾 堺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2013049270A priority Critical patent/JP6105334B2/ja
Publication of JP2014172017A publication Critical patent/JP2014172017A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6105334B2 publication Critical patent/JP6105334B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】石炭の熱分解反応により生じる気泡による固形分の沈降の乱れを抑制できる重力沈降槽、およびそれを用いた無灰炭の製造方法を提供すること。
【解決手段】重力沈降槽4は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーに含まれる固形分を沈降させて固形分濃縮液と上澄み液とに分離する圧力容器11と、圧力容器11にスラリーを供給する供給管12とを備える。そして、供給管12の先端部に形成されスラリーが吐出するノズル部31が、圧力容器11の内部に配置され、ノズル部31との間に間隙を有するように、ノズル部31の外周には外管13が設けられている。その結果、スラリー中に含まれる気泡は、ノズル部31と外管13との間隙に沿って上昇して気層21に逃げ、気泡による固形分の沈降の乱れが抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーを固形分濃縮液と上澄み液とに分離する重力沈降槽、および石炭から灰分を除去した無灰炭を得るための無灰炭の製造方法に関する。
無灰炭の製造方法としては、例えば特許文献1〜3に記載されたものがある。これら無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分(以下、溶剤可溶成分)を抽出し、溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを、溶剤可溶成分を含む溶液部(上澄み液)と溶剤に不溶な石炭成分(以下、溶剤不溶成分)を含む固形分濃縮液とに分離し、分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得るものである。スラリーを溶液部(上澄み液)と固形分濃縮液とに分離する分離装置には、効率的に分離できる等の観点から、重力沈降槽が用いられている。
特開2009−227718号公報 特開2009−214000号公報 特開2007−735号公報
ところで、溶剤可溶成分の抽出工程においては、加熱されたスラリーの温度は例えば300〜420℃(特許文献1の段落0026参照)である。このような高温下においては、石炭は熱分解反応を起こし、メタン、二酸化炭素、水蒸気等のガスが発生し、スラリー中にこれらガスが気泡(あぶく)として含まれる。そして、これら気泡がスラリーと共に重力沈降槽に供給されると、気泡は重力沈降槽内に拡散しながら上昇する。そのため、気泡が重力沈降槽の下部に沈降した固形分を攪拌したり、固形分の沈降を阻害して、固形分の沈降を乱す問題が生じる。その結果、沈降分離効率の悪化、無灰炭に含まれる灰分量の増加等の問題が生じるおそれがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、石炭の熱分解反応により生じる気泡による固形分の沈降の乱れを抑制できる重力沈降槽、およびそれを用いた無灰炭の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の重力沈降槽は、石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーに含まれる固形分を沈降させて固形分濃縮液と上澄み液とに分離する圧力容器と、前記圧力容器に前記スラリーを供給する供給管とを備え、前記供給管の先端部に形成され前記スラリーが吐出するノズル部が、前記圧力容器の内部に配置され、前記ノズル部との間に間隙を有するように、当該ノズル部の外周には外管が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、石炭の熱分解反応により生じる気泡による固形分の沈降の乱れを抑制できる重力沈降槽、およびそれを用いた無灰炭の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る無灰炭の製造装置を示す概略図である。 図1に示す無灰炭の製造装置に使用される重力沈降槽の断面図である。 図2の要部拡大図である。 (a)は、図2に示す重力沈降槽の第1変形例、(b)は、図2に示す重力沈降槽の第2変形例である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る無灰炭の製造装置1を示す概略図である。
(無灰炭の製造装置1の構成)
無灰炭の製造装置1は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製槽2と、調製されたスラリーを加熱して溶剤可溶成分を抽出する抽出槽3と、溶剤可溶成分が抽出されたスラリーに含まれる固形分を沈降させて固形分濃縮液と上澄み液(溶剤可溶成分を含む溶液部)とに分離する重力沈降槽4と、分離された上澄み液から溶剤を蒸発分離して無灰炭(HPC:Hyper coal)を得る溶剤分離器5と、分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭(RC:Residue coal)を得る溶剤分離器6とを有している。なお、溶剤分離器6は必要に応じて設置されるものであり、なくてもよい。
ここで、溶剤不溶成分とは、溶剤により石炭成分の抽出を行っても、溶剤に溶解されずに残る灰分や当該灰分を含む石炭(即ち、副生炭)などの石炭成分(固形分)であり、分子量が比較的大きく、架橋構造が発達した有機成分に由来するものである。一方、溶剤可溶成分とは、溶剤により石炭の抽出を行うことにより、溶剤に溶解され得る石炭成分であり、分子量が比較的小さく、架橋構造が発達していない石炭中の有機成分に由来するものである。
(重力沈降槽4)
次に、重力沈降槽4について図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、図1に示す無灰炭の製造装置1に使用される重力沈降槽4の断面図であり、図3は、図2の要部拡大図である。重力沈降槽4は、図2に示すように、圧力容器11、供給管12、外管13、排気管14、上澄み液排出管15、及び排出口16を有しており、排気管14には圧力調整弁17が接続されている。
(圧力容器11)
圧力容器11は、抽出槽3(図1参照)にて溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを固形分濃縮液と上澄み液とに分離する容器であり、円筒状の胴部11aと、胴部11aの下端に接続され下部に向かうにつれて縮径する構成の底部11bとを有する。また、胴部11aの上端には、この上端を密閉する蓋部11cが設けられている。スラリーの分離により、圧力容器11の内部は3層に分かれている。3層とは、上層から気層21、上澄み液層22、固形分濃縮液層23である。気層21には、空気の他、石炭の熱分解反応により生じるメタン、二酸化炭素、水蒸気等のガスが含まれる。なお、圧力容器11の底部11bは、胴部11aと同様、円筒状であってもよい。また、圧力容器11は、円筒形状に限られず、他の形状であってもよい。
圧力容器11は、溶剤可溶成分の再析出を防止するため、図示しない加熱手段、加圧手段等によって、保温及び加圧しておくことが好ましい。保温温度は、300〜420℃の範囲が好ましい。また、圧力は、1.0〜3.0MPaの範囲が好ましく、1.7〜2.3MPaの範囲がより好ましい。
(上澄み液排出管15、排出口16)
上澄み液排出管15は、上澄み液を圧力容器11から排出するための配管であり、蓋部11c(胴部11aでもよい)に貫設されている。上澄み液は、上澄み液排出管15の先端に設けられた上澄み液排出口15aより圧力容器11の外部へ排出される。一方、排出口16は圧力容器11の下部に沈降した固形分濃縮液を重力沈降槽4から排出するための排出口であり、底部11bの下端に設けられている。なお、排出口16は、排出管であってもよく、本願の排出口には、排出管が含まれるものとする。
(供給管12)
供給管12は、抽出槽3(図1参照)にて溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを圧力容器11に供給するための配管である。スラリーは、供給管12の先端部に形成され圧力容器11の内部に位置するノズル部31から吐出される。具体的には、ノズル部31の先端32(即ち、供給管12の先端)が下方に向けて開口しており、スラリーはこの開口32aから吐出される。なお、開口32aが設けられる箇所は、先端32のみに限られず、ノズル部31であればどこでもよい。供給管12は、蓋部11c(胴部11aや底部11bでもよい)に貫設されており、先端32が圧力容器11の高さ方向において中間部付近(胴部11aの下部側付近)に位置している。また、先端32の開口32aは、上澄み液排出管15の上澄み液排出口15aより下方、且つ、排出口16の排出口上端16aよりも上方に位置している。なお、先端32は、底部11b領域に位置していてもよいし、胴部11aの上部側付近(境界面24に近い上澄み液層22)に位置していてもよい。また、供給管12の断面は円形であるが多角形等であってもよい。さらに、先端32は下方を向いているが、先端32が上方を向いていてもよいし、横向きであってもよい。また、先端32の開口32aは、上澄み液排出口15aより上方に位置していてもよい。
ここで、ノズル部31とは、供給管12のうち、先端32を含む所定の連続した範囲を言う。「所定の連続した範囲」とは、例えば、供給管12のうち、供給管12の外周面12a(図3参照)と外管13の内周面13a(図3参照)とが対向している範囲を言う。即ち、図3において、ノズル部31は、供給管12のうち、先端32から外管13の上端13bまでの範囲(図3の網掛部)となる。また、「所定の連続した範囲」は、先端32と外管13との位置関係により異なる。例えば、先端32が外管13の下端13cよりも下方に位置している場合においては、「所定の連続した範囲」は、供給管12のうち、供給管12の外周面12aと外管13の内周面13aとが対向している範囲、及び、当該範囲の一端(先端32に近い側の端部、この場合下端13c)から先端32までの範囲を合わせた範囲を言う。
なお、「所定の連続した範囲」は、前記した範囲にのみ限定されるものではない。例えば、ノズル部31の先端32以外にもスラリーを圧力容器11の内部に吐出する吐出口(開口)がある場合には、「所定の連続した範囲」は、先端32から当該吐出口(当該吐出口が複数ある場合はその全て)を含む範囲としてもよい。
また、ノズル部31は、上下方向に配置されていることが好ましい。ここで、「上下方向」とは、単に鉛直方向を意味するものでなく、水平面に対して傾斜している方向という意味である。即ち、ノズル部31が水平面に沿って(水平方向に)配置されていることを除く意味である。ノズル部31が水平面に沿って配置されていると、スラリー中に含まれる気泡をノズル部31の外周面31aと外管13の内周面13aとの間の間隙に沿って上昇させ、気層21に逃がすという本願の目的(詳細は後述を参照)の達成が困難な場合があるからである。「上下方向」とは、鉛直方向に対して例えば±45°が好ましく、特に±15°の範囲内が好ましい。鉛直方向に対する角度が小さいほど、気泡が当該間隙に入りやすくなるからである。
(外管13)
外管13は、図3に示すように、外管13の内周面13aとノズル部31の外周面31a(単に周面とも言う)との間に間隙を有するようにノズル部31の外周に設けられている。ノズル部31からスラリーと共に吐出された気泡を当該間隙から気層21側に逃がすことで、気泡が圧力容器11の内部に拡散するのを防ぐ役目を果たしている。即ち、外管13をノズル部31の外周に設けることにより、スラリーを圧力容器11に供給しながら、スラリー中に含まれる気泡を気層21側に抜くことができる。外管13は、金具等により供給管12(圧力容器11でもよい)に支持されており、上端13b及び下端13cが開口した断面が円形の配管である。また、外管13は上下方向に配置されている。「上下方向」とは、ノズル部31と同様、単に鉛直方向を意味するものでなく、水平面に対して傾斜していることを意味する。即ち、外管13が水平面に沿って(水平方向に)配置されていることを除く意味である。「上下方向」は、鉛直方向に対して例えば±45°の範囲内が好ましく、特に±15°の範囲内が好ましい。鉛直方向に対する角度が小さいほど、気泡が当該間隙に入りやすくなるからである。また、外管13は、気層21と上澄み液層22(液層)との境界面24を横切るように配置されていると共に、下端13cから境界面24まで連続的に延在している(即ち、下端13cから境界面24までは、外管13の周面に孔などの気泡の逃げ口が設けられていない)。外管13の上端13bは気層21に位置しており、外管13の下端13cはノズル部31の先端32よりも下方に位置している。なお、外管13の内周面13aとノズル部31の外周面31aとの間の間隙の大きさ、及び、外管13の下端13cの位置は、気泡が圧力容器11内に拡散するのを防ぐ観点から適宜の大きさに設定される。
ここで、外管13の下端13cがノズル部31の先端32よりも上方にあってもよい。また、外管13の断面は円管であるが、多角形等の他の形状であってもよい。なお、ノズル部31から吐出されたスラリー中に含まれる気泡が当該間隙に入り込みやすいように、外管13を例えば中間部から下端13cに向かうにつれて拡径した形状(即ち、外管13の下部が裾広がりの形状)としていてもよい。
本実施形態においては、供給管は1本としているが複数本であってもよい。また、供給管を例えば圧力容器内で分岐させて、1本の供給管に対して複数本のノズル部を有するようにしてもよい。供給管(ノズル部)が複数本ある場合には、外管も同数用意され各々のノズル部の外周に設けられていることが好ましい。
(排気管14、圧力調整弁17)
排気管14は、気層21内の気体を排気するための配管であり、蓋部11c(胴部11aでもよい)に貫設され、排気口が気層21に位置するように配置されている。排気管14には、気層21内の圧力を機械的に自動調整する圧力調整弁17が接続されている。圧力調整弁17は、圧力容器11内の圧力が規定値以上になると自動的に作動し、気体を外に排出して圧力を調整する。そして、圧力が規定値以下に降下すれば、再び弁体が閉じる機能を有する。このような弁としては、例えばバネ式、てこ式の弁がある。圧力調整弁17により、圧力容器11内の圧力を一定値以下に維持することができる。なお、圧力調整弁17の調整(開状態、閉状態でのロック等)は、ユーザが行うようにしてもよい。
(気泡の流れ)
次に、石炭の熱分解反応により発生したメタン、二酸化炭素、水蒸気等の気泡(ガス)の流れについて図2を参照しつつ説明する。抽出槽3(図1参照)等にて発生した気泡は、溶剤可溶成分が抽出されたスラリーと共に供給管12を流れ、ノズル部31の先端32の開口32aから圧力容器11(重力沈降槽4)の内部に吐出される。そして、当該気泡は浮力によりノズル部31と外管13との間の間隙に沿って気層21まで上昇し、気層21に滞留する。なお、気泡はノズル部31の先端32から吐出されるため、気泡の多くは一旦先端32よりも下方側に達した後に上昇する。したがって、外管13のうち、先端32よりも下方にある外管13が壁の役目を果たし、下方側に達した気泡が拡散して外管13よりも外側に流れることを抑制している。なお、気層21に滞留した気泡は、圧力調整弁17の操作により、排気管14から圧力容器11の外部に排出される。
(変形例)
次に図4を参照しつつ本発明に係る重力沈降槽の変形例を説明する。図4(a)に示す重力沈降槽4a(第1変形例)は、前記した重力沈降槽4に対して、ノズル部31の先端部分が水平方向に折り曲げられていると共に先端32が横向きである点で異なり、その他の点で同じである。ノズル部31の先端32が横向きであっても、重力沈降槽4と同様に、気泡が圧力容器11内に拡散することを抑制できる。また、図4(b)に示す重力沈降槽4b(第2変形例)は、前記した重力沈降槽4に対して、供給管12が圧力容器11の胴部11aに貫接されていると共に外管13に貫接されており、外管13に貫接された後に供給管12が折り曲げられることでノズル部31が形成されている点で異なり、その他の点で同じである。供給管12が胴部11a(底部11bでもよい)に貫設されている場合であっても、重力沈降槽4と同様に、気泡が圧力容器11内に拡散することを抑制できる。なお、図4(a)、(b)において、図中の掛線部は、変形例それぞれにおけるノズル部31の範囲を示す。また、その他の変形例として、例えばノズル部31の周面31aのうち、外管13の内周面13aと対向する部分に複数の孔が形成されていてもよい。複数の孔により、気泡を複数の孔からも気層21に逃がすことができる。
(無灰炭の製造方法)
次に、無灰炭の製造方法について説明する。本発明に係る無灰炭の製造方法は、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、および無灰炭取得工程を備え、必要に応じて副生炭取得工程をさらに備えるものである。
(スラリー調製工程)
スラリー調製工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、スラリー調製槽2で行われる。
(抽出工程)
抽出工程は、スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して、溶剤可溶成分を抽出する工程であり、抽出槽3で行われる。スラリー調製槽2で調製されたスラリーは、ポンプ(不図示)によって、抽出槽3に供給され、抽出槽3に設けられた攪拌機3aで攪拌されながら所定温度に加熱保持されて抽出が行われる。なお、スラリーは、一旦予熱器(不図示)に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽3に供給されてもよい。
石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出するにあたっては、石炭に対して大きな溶解力を持つ溶媒、多くの場合、芳香族溶剤(水素供与性あるいは非水素供与性の溶剤)と石炭を混合して、それを加熱し、石炭中の有機成分を抽出することになる。
原料とする石炭には、特に制限はなく、抽出率(無灰炭回収率)の高い瀝青炭を用いても良いし、より安価な劣質炭(亜瀝青炭、褐炭)を用いても良い。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分(ここでは石炭成分)の割合(以下、抽出率ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。非水素供与性溶剤の主な成分としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他の非水素供与性溶剤の成分として、脂肪族側鎖を有するナフタレン類、アントラセン類、フルオレン類、また、これらにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖を有するアルキルベンゼンが含まれる。
尚、上記の説明では非水素供与性化合物を溶剤として用いる場合について述べたが、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物(石炭液化油を含む)を溶剤として用いても良いことは勿論である。水素供与性溶剤を用いた場合、無灰炭の収率が向上する。
また、溶剤の沸点は、特に限定されないが、例えば抽出工程での抽出率および無灰炭取得工程での溶剤回収率の観点から、180〜300℃、特に230〜280℃のものが好適に用いられる。また、溶剤に対する石炭原料の濃度は、特に限定されないが、乾燥炭基準で10〜50重量%の範囲が好ましく、15〜35重量%の範囲がより好ましい。
抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶解され得る限り特に制限されないが、溶剤可溶成分の十分な抽出の観点から、例えば300〜420℃の範囲としている。より好ましくは、350〜400℃の範囲である。加熱時間(抽出時間)もまた特に制限されるものではないが、十分な溶解と抽出率の観点から5〜60分間の範囲が好ましく、20〜40分間の範囲がより好ましい。なお、予熱器(不図示)で一旦加熱した場合の加熱時間は、予熱器(不図示)での加熱時間および抽出槽3での加熱時間を合計したものである。
抽出工程は不活性ガスの存在下で行うことが好ましく、安価な窒素が好適に用いられる。また、抽出工程での圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜3.0MPaの範囲が好ましい。
(分離工程)
分離工程は、抽出工程にて得られたスラリーから、前記した重力沈降槽(4、4a、4b)のいずれかを用いて、固形分濃縮液と上澄み液とに分離する工程である。前記した重力沈降槽(4、4a、4b)のいずれかを用いているので、石炭の熱分解反応により発生したメタン、二酸化炭素、水蒸気等のガス(気泡)による固形分の沈降の乱れが抑制され、固形分が十分に除去された上澄み液が得られる。重力沈降槽(4、4a、4b)から排出された上澄み液は、必要に応じて設置される濾過フィルター(不図示)で濾過された後、溶剤分離器5へ排出される。一方、固形分濃縮液は、溶剤分離器6へ排出される。
(無灰炭取得工程)
無灰炭取得工程は、分離工程にて分離された上澄み液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る工程であり、溶剤分離器5で行われる。
蒸発分離とは、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を含む分離方法である。分離して回収された溶剤は廃棄しても良いが、スラリー調製槽2に循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離、回収により、溶液部から実質的に灰分を含まない無灰炭を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また例えば原料炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、例えば原料炭よりも遥かに優れた性能(流動性)を示す。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。なお、無灰炭とは、灰分が5重量%以下、好ましくは3重量%以下のもののことをいう。
(副生炭取得工程)
副生炭取得工程は、必要に応じて実施され、前記分離工程にて分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る工程であり、溶剤分離器6で実施される。副生炭は残渣炭とも称される。
(効果)
次に、本発明に係る重力沈降槽およびそれを用いた無灰炭の製造方法の効果について説明する。本発明の重力沈降槽においては、供給管12の先端部に形成されスラリーが吐出するノズル部31が圧力容器11の内部に配置されており、ノズル部31との間に間隙を有するように、ノズル部31の外周に外管13が設けられている。よって、スラリーと共にノズル部31から吐出された気泡は、ノズル部31と外管13との間の間隙に沿って上昇する。そのため、気泡が重力沈降槽の内部に拡散することが抑制される。したがって、気泡が重力沈降槽の下部に沈降した固形分を攪拌したり、固形分の沈降を阻害したりすることがなく、固形分の沈降の乱れが抑制される。
また、ノズル部31は、先端32が開口し、外管13の下端13cは、先端32よりも下方に位置している。よって、先端32よりも下方に位置する外管13が壁の役目を果たし、ノズル部31の先端32から吐出されたスラリーに含まれる気泡が、外管13よりも外側に拡散しにくくなる。その結果、気泡の大部分がノズル部31と外管13との間の間隙に入り、気泡が重力沈降槽の内部へ拡散することをより効果的に抑制できる。
また、先端32の開口32aは、上澄み液を圧力容器11の外部に排出する上澄み液排出管15の上澄み液排出口15aよりも下方、且つ、固形分濃縮液を圧力容器11の外部に排出する排出口16よりも上方に位置している。よって、重力沈降槽内に供給されたスラリーを効率よく固液分離しつつ、スラリーに含まれる気泡が重力沈降槽の内部へ拡散することを抑制できる。
また、外管13は、気層21と上澄み液層22(液層)との境界面24を横切るように配置されており、且つ、外管13の下端13cから境界面24まで延在している。よって、ノズル部31と外管13との間の間隙に沿って上昇した気泡を、気層21内に直接逃がすことができる。その結果、気泡が外管13の上端13bから気層21に至るまでの間に、気泡が上澄み液層22又は固形分濃縮液層23において拡散することがない。
また、気層21から気体を排気する排気管14と、圧力容器11の内部の圧力を調整する圧力調整弁17とを備える。よって、圧力容器11の内部の圧力を一定値以下に保つことができる。その結果、ノズル部31から吐出された気泡により、重力沈降槽内の圧力が高まることを防止できる。
また、本発明の無灰炭の製造方法は、前記した重力沈降槽を用いる無灰炭の製造方法である。よって、気泡の槽内部への拡散が抑制され、沈降分離効率が優れる。したがって、灰分量を抑えた無灰炭を効率よく、且つ、安価に製造できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な態様に変更して実施することができるものである。
例えば、スラリー調製槽2をなくして、スラリー調製工程がスラリーを抽出槽3に供給するための配管内で行われるようにしてもよい。例えば、当該配管内に、ロックホッパ等の加圧供給手段を用いて石炭を供給するようにすればよい。なお、ロックホッパ等の加圧供給手段を抽出槽3に直接接続して、スラリーの調製を抽出槽3内にて行うことも可能である。
また、スラリー調製槽2に加えて抽出槽3をもなくし、スラリー調製工程及び抽出工程を供給管12又は重力沈降槽4で行われるようにしてもよい。例えば、供給管12内に、ロックホッパ等の加圧供給手段を用いて石炭を供給するようにすればよい。
1 無灰炭の製造装置
2 スラリー調製槽
3 抽出槽
4、4a、4b 重力沈降槽
5、6 溶剤分離器
11 圧力容器
12 供給管
13 外管
13a 内周面
13b 上端
13c 下端
14 排気管
15 上澄み液排出管
15a 上澄み液排出口
16 排出口
17 圧力調整弁
21 気層
22上澄み液層(液層)
24 境界面
31 ノズル部
31a 外周面(周面)
32 先端
32a 開口

Claims (6)

  1. 石炭と溶剤とを混合および加熱してなるスラリーに含まれる固形分を沈降させて固形分濃縮液と上澄み液とに分離する圧力容器と、
    前記圧力容器に前記スラリーを供給する供給管とを備え、
    前記供給管の先端部に形成され前記スラリーが吐出するノズル部が、前記圧力容器の内部に配置され、
    前記ノズル部との間に間隙を有するように、前記ノズル部の外周には外管が設けられていることを特徴とする重力沈降槽。
  2. 前記ノズル部は、先端が開口し、
    前記外管の下端は、前記先端よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の重力沈降槽。
  3. 前記上澄み液を前記圧力容器の外部に排出する上澄み液排出管と、
    前記固形分濃縮液を前記圧力容器の外部に排出する排出口とを有し、
    前記先端の開口は、前記上澄み液排出管の上澄み液排出口よりも下方、且つ、前記排出口よりも上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載の重力沈降槽。
  4. 前記外管は、前記圧力容器内の上部の気層と前記上澄み液を含む液層との境界面を横切るように配置されており、且つ、前記外管の下端から前記境界面まで延在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重力沈降槽。
  5. 前記圧力容器に取り付けられ、前記圧力容器内の上部の気層から気体を排気する排気管と、
    前記排気管に接続され、前記圧力容器内の圧力を調整する圧力調整弁とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重力沈降槽。
  6. 石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記スラリー調製工程にて調製されたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程にて前記石炭成分が抽出されたスラリーを、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重力沈降槽により、固形分濃縮液と上澄み液とに分離する分離工程と、
    前記分離工程にて分離された上澄み液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程とを備えることを特徴とする無灰炭の製造方法。
JP2013049270A 2013-03-12 2013-03-12 重力沈降槽および無灰炭の製造方法 Active JP6105334B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013049270A JP6105334B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 重力沈降槽および無灰炭の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013049270A JP6105334B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 重力沈降槽および無灰炭の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014172017A true JP2014172017A (ja) 2014-09-22
JP6105334B2 JP6105334B2 (ja) 2017-03-29

Family

ID=51693857

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013049270A Active JP6105334B2 (ja) 2013-03-12 2013-03-12 重力沈降槽および無灰炭の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6105334B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018038958A (ja) * 2016-09-07 2018-03-15 栗田工業株式会社 沈殿槽

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005193164A (ja) * 2004-01-08 2005-07-21 Kuraray Engineering Co Ltd 微細粒子の凝集濃縮方法及び凝集濃縮装置
JP2007000735A (ja) * 2005-06-22 2007-01-11 Kobe Steel Ltd 重力沈降槽
JP2008207051A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Hideo Saradani フィルタープレス、排出土処理装置及び排出土処理車両
JP2009214000A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Kobe Steel Ltd 固液分離装置、固液分離方法および無灰炭の製造方法
JP2009227718A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Kobe Steel Ltd 無灰炭の製造方法
WO2012176893A1 (ja) * 2011-06-22 2012-12-27 株式会社神戸製鋼所 重力沈降槽および無灰炭の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005193164A (ja) * 2004-01-08 2005-07-21 Kuraray Engineering Co Ltd 微細粒子の凝集濃縮方法及び凝集濃縮装置
JP2007000735A (ja) * 2005-06-22 2007-01-11 Kobe Steel Ltd 重力沈降槽
JP2008207051A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Hideo Saradani フィルタープレス、排出土処理装置及び排出土処理車両
JP2009214000A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Kobe Steel Ltd 固液分離装置、固液分離方法および無灰炭の製造方法
JP2009227718A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Kobe Steel Ltd 無灰炭の製造方法
WO2012176893A1 (ja) * 2011-06-22 2012-12-27 株式会社神戸製鋼所 重力沈降槽および無灰炭の製造方法
JP2013001900A (ja) * 2011-06-22 2013-01-07 Kobe Steel Ltd 重力沈降槽および無灰炭の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018038958A (ja) * 2016-09-07 2018-03-15 栗田工業株式会社 沈殿槽

Also Published As

Publication number Publication date
JP6105334B2 (ja) 2017-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2582392T3 (es) Proceso de mejora del petróleo crudo sin procesar mediante agua caliente presurizada y fluido de recuperación
RU2571827C2 (ru) Способ экстракции нефти из нефтеносных песков
CN103112982B (zh) 酸性水脱气的方法与装置
JP2005120185A (ja) 無灰炭の製造方法
US20110278202A1 (en) Apparatus and method for recovering a hydrocarbon diluent from tailings
US20070062103A1 (en) Method and apparatus for manufacturing solid fuel from raw material coal
US20210214626A1 (en) Method and System for Extracting Methane Gas, Converting it to Clathrates, and Transporting it for Use
CA2902001C (en) Ashless-coal production device, and ashless-coal production method
JP6105334B2 (ja) 重力沈降槽および無灰炭の製造方法
JP4939466B2 (ja) 固液分離装置、固液分離方法および無灰炭の製造方法
JP5634950B2 (ja) 重力沈降槽および無灰炭の製造方法
JP5839567B2 (ja) 溶剤分離方法
JP6066411B2 (ja) 活性炭によるバイオマスの超臨界水ガス化システムの運転方法
JP2014189739A (ja) 無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法
CA2980082C (en) Treated water tank in oil sand plant
JP6017366B2 (ja) 無灰炭の製造方法
JP6163623B1 (ja) 気液分離器およびそれを用いた超臨界水ガス化システム
WO2015098505A1 (ja) 無灰炭の製造方法
JP6309438B2 (ja) 分離装置
JP7062598B2 (ja) メタンガス生産設備及びメタンガス生産方法
JP6003003B2 (ja) 溶剤分離方法
KR102078216B1 (ko) 무회탄의 제조 방법
WO2014157410A1 (ja) 無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法
JP5719283B2 (ja) 副生炭成形物の製造方法
CA2704050A1 (fr) Procede et dispositif de traitement thermique de sables ou schistes bitumineux avec capture integree de dioxyde de carbone

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160531

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160620

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20160620

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160823

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160916

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170119

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6105334

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150