JP6309438B2 - 分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分離装置に関する。
石炭は、火力発電やボイラーの燃料又は化学品の原料として幅広く利用されており、環境対策の一つとして石炭中の灰分を効率的に除去する技術の開発が強く望まれている。例えば、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムでは、LNG等の液体燃料に代わる燃料として、灰分が除去された無灰炭を使用する試みがなされている。また高炉用コークス等の製鉄用コークスの原料炭として、無灰炭を使用する試みがなされている。
無灰炭の製造方法として、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する方法が提案されている(例えば特開2013−136693号公報参照)。この方法では、石炭成分を抽出したスラリーから、重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分を含む上澄み液と、溶剤に不溶な石炭成分を含む固形分濃縮液とを分離し、分離された上澄み液から溶剤を分離して無灰炭を得る。
ここで、重力沈降法を採用した分離装置では、圧力容器の底部内壁に固形分濃縮液が沈着し、これにより固形分濃縮液の沈降動作が妨げられる。そのため、上記従来の製造方法では、圧力容器内に配設したレーキ(回転翼)を回転し、レーキに取り付けられたブレードによって圧力容器の底部内壁にこびり付いた固形分濃縮液をかき取っている。
しかし、無灰炭製造工程で用いられる分離装置は、高温高圧の圧力容器を用いるため、規模が大きくなると高コストの装置となる。分離装置の規模が大きくなるに伴って、この分離装置に使用するレーキ及びレーキを回転するためのモータも大型となるため、レーキの設置が大きなコスト上昇の要因となる。
また、上記無灰炭製造工程で用いられる分離装置と同様の分離装置は、他の分野でも多く用いられている。例えば大型の分離装置を用いる下水処理などでは、分離装置について同様の課題を有している。
特開2013−136693号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、低コストで圧力容器の内壁への固形分の沈着を抑制できる分離装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、炭素化合物と溶剤とを混合したスラリーに含まれる固形分を沈降分離する分離装置であって、鉛直に配設される円筒状部及びこの円筒状部の下方に連続する漏斗状部を有し、上記スラリーを沈降分離する圧力容器と、上記圧力容器に付設され、流体の供給により上記漏斗状部の内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構とを備えることを特徴とする。
当該分離装置は、円筒状部の下方に連続する漏斗状部の内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構が上記圧力容器に付設されている。これにより、当該分離装置は、上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着が抑制されるので、効率よく上記スラリーから固形分濃縮液を分離できる。また、当該分離装置は、設置費用の高価なレーキを省略できるので、低コストで上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記固形分沈着防止機構により生じさせる上記流れが、固形分の最小流動化速度以上の上昇流を含むとよい。このように、固形分沈着防止機構により生じさせる流れが固形分の最小流動化速度以上の上昇流を含むことで、より少ないエネルギーで上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制でき、さらなるコストの低減ができる。
上記固形分の粒子の体積球相当直径をx(m)、固形分の粒子密度をρ(g/m)、上記溶剤の密度をρ(g/m)、重力加速度をg(m/s)、溶剤の粘度をμ(Pas)、上記円筒状部の平面視内径をD(m)、上記流体の供給量をF(m/s)とした場合、上記上昇流が下記式(1)を満たすとよい。このように、上記上昇流が下記式(1)を満たすように流体を供給することにより、圧力容器の容量に対応して適切な供給量の流体を供給することができ、より効率よく上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
Figure 0006309438
固形分沈着を防止する上記流体の密度が、上記スラリー中の溶剤の密度より大きいとよい。このように、固形分沈着を防止する上記流体の密度を上記スラリー中の溶剤の密度より大きくすることで、より確実に上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記固形分沈着防止機構が、円筒状部の側壁近傍に配設され、下方に流体を吐出するよう構成される1又は複数の吐出機構であるとよい。このように、上記固形分沈着防止機構を円筒状部の側壁近傍に配設され下方に流体を吐出する1又は複数の吐出機構とすることで、上記流れが上記漏斗状部の内壁のより広い範囲に沿って移動するので、より効率よく上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記流体の吐出口が、上記円筒状部の高さに対して上記円筒状部の下端から1/3以下の位置に配設されているとよい。このように、上記流体の吐出口を圧力容器内の上記上限よりも低い位置に配設することで、より確実に上記漏斗状部の内壁に沿った流れを生じさせることができ、上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着をより抑制できる。
上記吐出機構が等角度間隔で配設されているとよい。このように、上記吐出機構が等角度間隔で配設されることで、上記漏斗状部の内壁の領域に対してより均一に上記流れを生じさせることができ、より効率よく上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記漏斗状部の円錐状側壁の少なくとも一部が多孔質体から形成され、上記固形分沈着防止機構が上記多孔質体から圧力容器内に流体を噴出するよう構成されているとよい。このように、上記漏斗状部の円錐状側壁の少なくとも一部を多孔質体で形成し、上記固形分沈着防止機構を上記多孔質体から圧力容器内に流体が噴出するよう構成することで、上記流れが上記漏斗状部の内壁のより広い領域に沿った流れとなる。その結果、より確実に上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記多孔質体の複数の孔が、平面視で規則的に配設されているとよい。このように、上記多孔質体の複数の孔が平面視で規則的に配設されることで、上記漏斗状部の内壁の領域における流体の噴出ばらつきが低下する。その結果、より均一に上記流れが生じ、より効率よく上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記圧力容器内を撹拌するレーキを備えないことが好ましい。このように、圧力容器内を撹拌するレーキを備えないことにより、低コストで上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
上記スラリーに混合した炭素化合物が石炭であり、上記スラリーを沈降分離した上澄み液から無灰炭が抽出され、上記固形分を含む固形分濃縮液から副生炭が抽出されるとよい。このように、上記スラリーに混合した炭素化合物を石炭とし、上記スラリーを沈降分離した上澄み液から無灰炭を抽出し、上記固形分を含む固形分濃縮液から副生炭を抽出することにより、灰分を含む石炭から無灰炭と副生炭とを効率よく抽出できる。
なお、「円筒状部が鉛直に配設される」とは、円筒状部が厳密に鉛直に配設されていることに限定するものではなく、円筒状部の中心軸方向と鉛直との角度の差が、例えば20°以下であることを意味する。また、「粒子の体積球相当直径」とは、その粒子と体積が同一の真球の直径を意味する。また、「円筒状部の側壁近傍」とは、平面視で円筒状部の側壁内面から円筒状の中心に向かって所定距離以内の領域を意味し、この所定距離は、例えば平面視における上記円筒状部の半径の25%である。また、「等角度間隔」とは、配設される複数の上記吐出機構において、平面視で隣接する上記吐出機構の吐出中心と上記円筒状部の中心とを結ぶ複数の直線によって分割される角度の差が、例えば5°以下であることを意味する。また、「平面視で規則的に配設されている」とは、平面視で複数の孔が規則的な位置に配設されていることを意味し、例えば複数の孔が平行な格子状の交点の位置や、円筒状部の中心から放射状に延びる直線上の位置に一定間隔で配設されることを意味する。
以上説明したように、本発明の分離装置によれば、低コストで圧力容器内の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
本発明の第一実施形態に係る分離装置の模式的断面図 図1AのA−A線に沿う模式的断面図 図1Aの分離装置の圧力容器内の副生固形分の流れを説明する模式図 本発明の第二実施形態に係る分離装置の模式的断面図 図3AのB−B線に沿う模式的断面図 図3Aの分離装置の圧力容器内の副生固形分の流れを説明する模式図 本発明の第三実施形態に係る分離装置の模式的断面図 図5AのC−C線に沿う模式的断面図 図1Aの分離装置を用いる無灰炭製造装置の模式図 図1A、図3A及び図5Aとは異なる実施形態に係る分離装置の図1AのA−A線に沿う断面に対応する模式的断面図
以下、本発明に係る分離装置の実施形態について詳説する。
〔第一実施形態〕
図1A及び図1Bに示す分離装置1は、炭素化合物と溶剤とを混合したスラリーに含まれる固形分を沈降分離する分離装置である。当該分離装置1は、鉛直に配設される円筒状部2a及びこの円筒状部2aの下方に連続する漏斗状部2bを有し、上記スラリーを沈降分離する圧力容器2と、圧力容器2に付設され、漏斗状部2bの内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構とを主に備える。上記漏斗状部2bの一部は、多孔質体から形成されている。当該分離装置1の固形分沈着防止機構は、圧力容器2内で下方に流体を吐出するよう構成される複数の吐出機構であり、具体的には、この複数の吐出機構は複数の流体供給管7である。さらに、当該分離装置1は、蓋部3、スラリー供給管4、上澄み液排出管5及び固形分濃縮液排出管6を備えている。
なお、当該分離装置1は、漏斗状部2bの内壁に沈着する固形分を除去するためのレーキを備えていない。また、上記炭素化合物とは炭素を含む化合物を主成分とする固体であり、例えば石炭やバイオマスが挙げられる。石炭の場合、上記スラリーを沈降分離した上澄み液から無灰炭が抽出され、上記固形分を含む固形分濃縮液から副生炭が抽出される。
<圧力容器>
上記圧力容器2は、図1Aに示すように鉛直に配設される円筒状部2aと、この円筒状部2aの下方に連続する漏斗状部2bとを有している。圧力容器2は、重力沈降槽であり、スラリーを収容して固形分を沈降させ、上澄み液と固形分濃縮液とを分離する。
(円筒状部)
上記円筒状部2aの上端には、蓋部3が設置される。石炭と溶剤とを混合したスラリーから無灰炭を製造する場合のようにスラリーを加熱及び加圧する必要がある場合に、蓋部3によって圧力容器2が密閉される。
また、スラリーを圧力容器2内へ供給するスラリー供給管4が、蓋部3に貫設されている。スラリー供給管4は、円筒状部2aの下部又は中央部まで延設されている。なお、スラリー供給管4は、蓋部3に貫設されるのではなく、円筒状部2aの側壁に貫設されていてもよい。
また、圧力容器2内でスラリーが沈降分離された上澄み液を排出する上澄み液排出管5が、蓋部3に貫設されている。上澄み液排出管5は、円筒状部2aの上部まで延設されている。なお、上澄み液排出管5は、蓋部3に貫設されるのではなく、円筒状部2aの側壁に貫設されていてもよい。
また、円筒状部2aの下部の側壁には、後述する複数の流体供給管7が接続している。
上記漏斗状部2bは、流体吐出口7aよりも上方に多孔質の焼結板8を有している。具体的には、漏斗状部2bは、円錐状側壁と焼結板8との2層構造であり、図1Aに示すように、焼結板8が円錐状側壁の内面側の全体に亘って形成されている。焼結板8は、図1Bに示すように複数の孔9を有する。焼結板8に複数の孔9が形成されていることにより、流体吐出口7aから供給された流体が複数の孔9から噴出するため、漏斗状部2bの広い領域に亘ってスラリーの流動が促進される。
圧力容器2内は高温かつ高圧なので、上記焼結板8は、耐熱性及び耐圧性に優れるものが好ましい。上記焼結板8として、例えば金属やセラミックの多孔質板を用いることができる。
焼結板8の複数の孔9の配置はランダムでもよいが、平面視で規則的であることが好ましい。例えば、複数の孔を格子状(斜方格子、菱形格子、正三角形格子等)の交点の位置に配設したり、固形分濃縮液排出口6aを中心とする放射線上の位置に一定間隔で配設してもよい。複数の孔を平面視で規則的に配設することにより、漏斗状部2bの内壁の領域における流体の噴出ばらつきが低下する。その結果、より均一に上記下降流が生じ、より効率よく漏斗状部2bの内壁への固形分の沈着が抑制される。
(漏斗状部)
上記漏斗状部2bは、円錐状であり、この円錐状の頂点が下方となる向きで上記円筒状部2aの下方に連続している。漏斗状部2bの下方には、圧力容器2から固形分濃縮液を鉛直下方に排出する向きで、固形分濃縮液排出管6が漏斗状部2bに配設されている。漏斗状部2bと固形分濃縮液排出管6との接続部である固形分濃縮液排出口6aは、図1Bに示すように、平面視で円筒状部2aの中心に位置する。
なお、圧力容器2内へスラリーを供給する際、圧力容器2内は加熱及び加圧しておくことが好ましい。圧力容器2の加熱温度は、例えば300℃以上420℃以下程度とし、圧力容器2内の圧力は、例えば1MPa以上3MPa以下程度とする。
<流体供給管>
上記流体供給管7は、圧力容器2内に流体を吐出する吐出機構である。図1A及び図1Bに示すように、当該分離装置1では、4本の流体供給管7が平面視で固形分濃縮液排出口6aを中心として等角度間隔で円筒状部2aの側壁に配設されている。これらの流体供給管7が円筒状部2aの側壁に接続する複数の流体吐出口7aより、各流体供給管7から圧力容器2内へ流体が供給される。
図2に、圧力容器2内の副生固形分の流れを説明する模式図を示す。図2では、沈降する副生固形分Xの流れの向きを太い矢印で示し、流体供給管7から供給される流体Yの流れの向きを細い矢印で示している。流体供給管7から供給された流体Yは、圧力容器2の漏斗状部2bの内壁に沿って固形分濃縮液排出口6aへ向かう下降流となって流れていくと共に、焼結板8の複数の孔9を介して上昇流となって圧力容器2内へ噴出する。このとき、流体Yの密度がスラリー中の溶剤の密度より大きい場合でも、流体Yは、孔9から漏斗状部2bの内壁と垂直な向きへ噴出するので、流体Yの上昇流が生じる。圧力容器2内を沈降してきた副生固形分Xは、流体Yの上昇流によって流動が促進され、固形分濃縮液排出口6aへ向かう下降流となって流れていく。これにより、副生固形分Xを含む固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着が抑制される。
圧力容器2内において流体Yの上記上昇流の線流速が副生固形分Xを含む固形分濃縮液の最小流動化速度以上となるような圧力で、流体供給管7から圧力容器2内へ流体Yを供給することが好ましい。流体Yの上記上昇流の線流速を固形分濃縮液の最小流動化速度以上とすることで、副生固形分Xの流動化が確実に促進され、固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着を確実に抑制できる。
ここで、副生固形分粒子の体積球相当直径をx(m)、副生固形分の粒子密度をρ(g/m)、溶剤の密度をρ(g/m)、重力加速度をg(m/s)、溶剤の粘度をμ(Pas)、最小流動化時の空隙率をεmf、副生固形分粒子の形状係数をφ、副生固形分の流動化開始時のレイノルズ数をRemfとした場合に、固形分濃縮液の最小流動化速度umf(m/s)は、下記式(2)で表すことができる。
Figure 0006309438
しかし上記式(2)は、最小流動化時の空隙率εmfの値により最小流動化速度umfが大きく変わるため、最小流動化時の空隙率εmfの測定が難しい場合には使用し難い。代わりに下記式(3)で表されるアルキメデス数Arの計算を行い、レイノルズ数Reとアルキメデス数Arとの相関関係を表す下記式(4)及びレイノルズ数Reの定義式から変形した下記式(5)より最小流動化速度umfを求めることができる。
Figure 0006309438
上記円筒状部2aの平面視内径をD(m)、上記流体の供給量をF(m/s)とした場合、上記式(5)より、固形分濃縮液に最小流動化速度umf(m/s)を生じさせるときの流体の供給量Fは下記式(6)で表される。
Figure 0006309438
上記式(6)の固形分濃縮液の流動化開始時のレイノルズ数Remfを上記式(4)で表すことにより、固形分濃縮液を確実に流動させることができる流体の供給量Fを求めることができる。つまり、下記式(1)を満たす供給量Fの流体を圧力容器2内へ供給することで、上記上昇流の線流速が副生固形分Xを含む固形分濃縮液の最小流動化速度以上となり、固形分濃縮液を確実に流動させることができる。
Figure 0006309438
一例として、無灰炭製造工程の分離装置において、副生炭の粒子径xを300μm程度、副生炭の粒子密度ρを1600kg/m程度、溶剤の密度ρを700kg/m程度、溶剤の粘度μを4.15mPas程度と想定すると、上記式(3)〜(5)を用いて、最小流動化速度umfは、0.16mm/s程度となる。
(流体)
流体供給管7から圧力容器2内へ供給する流体としては、圧力容器2内で固形分沈着を防止する流れが生じるものであればよく、例えば各種の溶剤を用いることができる。ただし、上記流体として用いる溶剤は、当該分離装置1で分離した上澄み液及び固形分濃縮液から灰を含まない炭素化合物及び副生炭素化合物を分離し易い溶剤が好ましい。上記流体としては、溶剤を再利用できるという点で、スラリーに用いる溶剤と同種の溶剤を用いることが特に好ましい。
また、上記流体は、上記スラリー中の溶剤よりも密度の大きいものが好ましい。より具体的には、上記流体の密度から上記スラリー中の溶剤の密度を減じて得られる密度の差分の下限としては、−0.05g/cmが好ましく、0g/cmがより好ましい。上記密度の差分が上記下限未満の場合、圧力容器2内へ供給された流体が漏斗状部2bの内壁から離れて流動し易くなるため、固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着の抑制効果が低下するおそれがある。
また、上記流体としてスラリーに用いる溶剤と同種の溶剤を用いる場合には、圧力容器2内のスラリーよりも温度の低い溶剤を圧力容器2内へ供給することが好ましい。圧力容器2内へ供給する溶剤の温度を圧力容器2内のスラリーの温度よりも低温とすることにより、供給する溶剤の方がスラリー中の溶剤よりも密度が大きくなり漏斗状部2bの内壁に沿って流動し易くなるので、より確実に固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着を抑制できる。また、この場合の圧力容器2内のスラリーと供給する溶剤との温度差は、特に限定されるものではないが、例えば20℃以上が好ましい。
なお、上記流体として上記スラリー中の溶剤よりも密度の小さいものを用いる場合でも、上記流体を冷却して圧力容器2内へ供給することにより、流体の密度をスラリーの密度よりも大きくすることができる。これにより、スラリー中の溶剤よりも密度の小さい流体を用いても、固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着を効率よく抑制できる。
なお、当該分離装置1は、漏斗状部2bの円錐状側壁の内面側の全体に亘って多孔質の焼結板8を形成しているが、漏斗状部2bの円錐状側壁の一部に多孔質体が形成されていれば、固形分濃縮液の漏斗状部2b内壁への沈着が抑制される。漏斗状部2bの円錐状側壁を部分的に多孔質体で形成する場合、漏斗状部2b内壁への固形分濃縮液の沈着をより均等に抑制できる点において、複数の多孔質体を固形分濃縮液排出口6aを中心として等角度間隔の位置となるよう配設することが好ましい。
<利点>
当該分離装置は、圧力容器に付設され、漏斗状部の内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構として圧力容器内に流体を吐出する複数の流体供給管を備えるので、漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制し、効率よくスラリーから固形分濃縮液を分離できる。これにより、当該分離装置は、圧力容器内のレーキを省略できるので、低コストで漏斗状部の内壁への固形分の沈着の抑制を実現できる。
また、当該分離装置は、漏斗状部の円錐状側壁が多孔質体から形成されているので、漏斗状部の内壁の広い領域から流体が噴出し、より均一に固形分濃縮液の流動を促進するため、漏斗状部の内壁への沈着を効果的に抑制できる。
〔第二実施形態〕
図3A及び図3Bに示す分離装置10は、鉛直に配設される円筒状部12a及びこの円筒状部12aの下方に連続する漏斗状部12bを有し、上記スラリーを沈降分離する圧力容器12と、圧力容器12に付設され、漏斗状部12bの内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構とを主に備える。当該分離装置10の固形分沈着防止機構は、圧力容器12内で下方に流体を吐出するよう構成される複数の吐出機構であり、具体的には、この複数の吐出機構は複数の流体供給管7である。当該分離装置10は、漏斗状部12bの一部が焼結板で形成されていない点以外は、上記図1Aの分離装置1と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
<圧力容器>
上記圧力容器12は、図3Aに示すように鉛直に配設される円筒状部12aと、この円筒状部12aの下方に連続する漏斗状部12bとを有している。圧力容器12は、重力沈降槽であり、スラリーを収容して固形分を沈降させ、上澄み液と固形分濃縮液とを分離する。円筒状部12aの下部の側壁には、複数の流体供給管7が接続している。
<流体供給管>
上記流体供給管7は、圧力容器12内に流体を吐出する吐出機構である。図3A及び図3Bに示すように、当該分離装置10では、4本の流体供給管7が平面視で固形分濃縮液排出口6aを中心として等角度間隔で円筒状部12aの側壁に配設されている。これらの流体供給管7が円筒状部12aの側壁に接続する複数の流体吐出口7aより、各流体供給管7から圧力容器12内へ流体が供給される。漏斗状部12bは、図1の漏斗状部2bのような焼結板を有していないので、流体吐出口7aから供給される流体によって、直接円筒状部12a内のスラリーの流動を促進する。
図4に、圧力容器12内の副生固形分の流れを説明する模式図を示す。流体供給管7から供給された流体Yは、圧力容器12の漏斗状部12bの内壁に沿って固形分濃縮液排出口6aへ向かう下降流となって流れていく。圧力容器12内を沈降してきた副生固形分Xは、流体Yによる下降流に導かれ、漏斗状部12bの内壁に沿って固形分濃縮液排出口6aへ向かって流れていく。これにより、副生固形分Xを含む固形分濃縮液の漏斗状部12b内壁への沈着が抑制される。
円筒状部12aの高さHに対する円筒状部12aの下端から上記流体吐出口7aの中心までの距離hの比(h/H)の上限としては、1/3が好ましく、1/4がより好ましい。上記比(h/H)が上記上限を超えると、流体吐出口7aから供給される流体が漏斗状部12bの内壁に沿って流れる領域の面積が小さくなり、固形分濃縮液の漏斗状部12b内壁への沈着を十分に抑制できないおそれがある。
当該分離装置10では、図1の分離装置1に比べて圧力容器12内に上昇流が生じ難いが、流体供給管7から十分な流速の流体を供給することで、漏斗状部12bの内壁への沈着を防止できる。
<利点>
当該分離装置は、圧力容器内に流体を噴出させる機構を備えなくてもよいので、低コストで漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
〔第三実施形態〕
図5A及び図5Bに示す分離装置20は、鉛直に配設される円筒状部22a及びこの円筒状部22aの下方に連続する漏斗状部22bを有し、上記スラリーを沈降分離する圧力容器22と、圧力容器22に付設され、漏斗状部22bの内壁に沿って下降流を生じさせる固形分沈着防止機構とを主に備える。当該分離装置20の固形分沈着防止機構は、圧力容器22内で下方に流体を吐出するよう構成される複数の吐出機構であり、具体的には、この複数の吐出機構は複数の流体供給管21である。当該分離装置20は、吐出機構が流体供給管21によって構成されている以外は、上記図3Aの分離装置10と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
<圧力容器>
当該分離装置20の圧力容器22は、図5Aに示すように鉛直に配設される円筒状部22aと、この円筒状部22aの下方に連続する漏斗状部22bとを有している。図3Aの円筒状部12aとは異なり、円筒状部22aの側壁には流体吐出口が無く、流体供給管が接続されていない。
<流体供給管>
上記流体供給管21は、圧力容器22内に流体を吐出する吐出機構である。図5A及び図5Bに示すように、複数の流体供給管21が複数の吐出機構として上記円筒状部22aの側壁近傍に配設されている。具体的には、複数の流体供給管21が、蓋部3に貫設され、圧力容器22内に鉛直方向に配設されている。複数の流体供給管21は、円筒状部22aの下部の鉛直方向の同じ位置まで延設されている。そして、流体供給管21の圧力容器22内に延設されている先端の流体吐出口21aから下方へ向けて吐出されるよう、流体が圧力容器22内へ供給される。当該分離装置20は、4本の流体供給管21が平面視で固形分濃縮液排出口6aを中心として等角度間隔で配設されている。
当該分離装置20においても図3Aの分離装置10と同様に、流体が吐出される流体吐出口21aの高さ方向の位置が所定の範囲となるように配設することが好ましい。具体的には、円筒状部22aの高さHに対する上記流体吐出口21aの円筒状部22aの下端からの距離hの比(h/H)の上限としては、1/3が好ましく、1/4がより好ましい。流体吐出口21aの高さ方向の位置を上記範囲内とすることにより、流体吐出口21aから供給される流体が漏斗状部22bの内壁に沿って流れる領域の面積を大きくでき、固形分濃縮液の漏斗状部22b内壁への沈着を効率よく抑制できる。
また、平面視での圧力容器22の内形の半径Rに対する圧力容器22の内壁から流体吐出口21aの中心までの距離dの比(d/R)の上限としては、25%が好ましく、20%がより好ましい。上記比(d/R)が上記上限を超えると、流体吐出口21aから供給される流体が漏斗状部22bの内壁に沿って流れる面積が小さくなり、固形分濃縮液の漏斗状部22b内壁への沈着を十分に抑制できないおそれがある。
<利点>
当該分離装置は、圧力容器の円筒状部の側壁に流体吐出口が配設されないので、流体供給管を容易に設置することができる。これにより、例えば圧力容器を形成した後でも流体供給管を容易に配設でき、又流体供給管の配設位置や数を容易に変更できる。
[分離方法]
当該分離装置を用いる分離方法は、炭素化合物と溶剤とを混合したスラリーに含まれる固形分を沈降分離する方法である。この分離方法は、鉛直に配設される円筒状部及びこの円筒状部の下方に連続する漏斗状部を有する圧力容器に上記スラリーを供給する工程(スラリー供給工程)と、上記漏斗状部の内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる工程(沈着防止流発生工程)とを備える。以下、図1Aの分離装置1を用いる分離方法について説明する。
<スラリー供給工程>
上記スラリー供給工程では、炭素化合物と溶剤とを混合したスラリーをスラリー供給管4によって圧力容器2内に供給する。圧力容器2内に供給するスラリーとして、抽出槽によって溶剤に可溶な炭素化合物の成分を抽出した後のスラリーを用いてもよい。
<沈着防止流発生工程>
上記沈着防止流発生工程では、複数の流体供給管7によって圧力容器2内に流体を供給する。流体供給管7から圧力容器2内へ供給された流体が、圧力容器2の漏斗状部2bの内壁に沿って固形分濃縮液排出口6aへ向かう下降流となって流れていくと共に、焼結板8の複数の孔9を介して上昇流となって圧力容器2内へ噴出する。この流体の流れにより、圧力容器2内を沈降するスラリーの流動が促進され、漏斗状部2bの内壁への固形分の沈着が抑制される。
なお、上記スラリー供給工程では、圧力容器2内にスラリーを供給した後に、流体供給管7から圧力容器2内への流体の供給を開始することが好ましい。圧力容器2内へのスラリーの供給開始時には、スラリーが十分な流動性を有しているので、このときにはスラリーの流動化を促進する必要がないからである。また、圧力容器2内にスラリーを供給する前に流体を供給すると、スラリー供給開始直後に分離された固形分濃縮液に流体が多く含まれるため、固形分濃縮液から溶剤を分離して副生固形分を得る工程において副生固形分の取得効率が低下するおそれがある。
<利点>
上記分離方法は、圧力容器内の下部に流体を供給することにより漏斗状部の内壁に沿って下降流を生じさせるので、圧力容器内を沈降する固形分濃縮液の流動を促進し、上記漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。このように、この分離方法は、圧力容器内のレーキを省略できるので、低コストで漏斗状部の内壁への固形分の沈着を抑制できる。
[無灰炭製造方法]
次に、当該分離装置及び上記分離方法を用いた無灰炭製造方法について説明する。
図1Aの当該分離装置1を用いる無灰炭製造装置の模式図を図6に示す。この無灰炭製造装置では、石炭と溶剤とを混合したスラリーを分離装置1により沈降分離する。そして、上記スラリーを沈降分離した上澄み液から無灰炭を抽出し、固形分濃縮液から副生炭を抽出する。
図6の無灰炭製造装置による無灰炭の製造方法は、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、無灰炭取得工程、及び副生炭取得工程を含む。以下、各工程について説明する。
<スラリー調製工程>
スラリー調製工程は、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、スラリー調製槽31で実施される。
石炭原料は特に限定されないが、石炭原料として、例えば瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭等が使用される。
溶剤は、石炭を溶解可能なものであれば、特に限定されないが、上記溶剤として、例えば石炭由来の油分が好ましく使用される。石炭由来の油分とは石炭から生まれた油分のことであり、そのような石炭由来の油分として、例えば2環式芳香族化合物を主とする非水素供与性溶剤が好ましく使用される。この2環芳香族は、例えばナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等である。なお、上記溶剤は、沸点が180℃以上300℃以下程度のものが好ましい。また、溶剤に対する石炭原料の濃度は、乾燥炭基準で10質量%以上50質量%以下程度とすることができる。
上記スラリー調製工程は、抽出された溶質の析出を防ぐため、石炭成分の抽出温度と同程度の温度でスラリーを調製することが好ましい。例えば無灰炭製造方法に用いるスラリーを調製する場合、300℃以上420℃以下で実施することが好ましい。
<抽出工程>
抽出工程は、上記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して、溶剤に可溶な石炭成分(溶剤可溶成分)を抽出する工程であり、予熱器33及び抽出槽34で実施される。詳しくは、スラリー調製槽31で調製されたスラリーは、ポンプ32によって、一旦予熱器33に供給されて所定温度まで加熱される。その後、加熱されたスラリーが抽出槽34に供給され、攪拌機34aで攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
抽出工程での加熱時間(抽出時間)は5分以上60分以下程度とすることができる。なお上記加熱時間は、予熱器33及び抽出槽34での加熱時間を合計したものである。
抽出工程は不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。また、抽出工程での圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧によるものである。通常、抽出工程での圧力としては、1MPa以上3MPa以下が好ましい。
<分離工程>
分離工程は、上記抽出工程で得られたスラリーから、当該分離装置1を用いて、上澄み液と固形分濃縮液とを分離する工程である。上記上澄み液は溶剤可溶成分が溶解された溶液部分であり、固形分濃縮液は溶剤不溶成分を含むスラリー部分である。
上記溶剤不溶成分は上記固形分に相当するものであって、溶剤により石炭の溶解及び抽出を行っても、溶剤に溶解されずに残る灰分や灰分を含む石炭(すなわち副生炭)などの石炭成分である。一方、溶剤可溶成分は、溶剤に溶解され得る石炭成分であり、主として石炭に含まれていた有機成分に由来するものである。
分離装置1から排出された上澄み液は、第1溶剤分離器35へ排出される。また、固形分濃縮液は、第2溶剤分離器36へ排出される。
圧力容器2内でスラリーを維持する時間は、特に限定されるものではないが、通常は30分以上120分以下程度で沈降分離を行うことができる。なお、石炭として塊炭を使用する場合には、沈降分離が効率化されるので、分離装置1内でスラリーを維持する時間を短縮できる。
<無灰炭取得工程>
無灰炭取得工程は、上記分離工程で分離された上澄み液から溶剤を分離して無灰炭を得る工程であり、第1溶剤分離器35で実施される。
上澄み液から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができる。分離して回収された溶剤は、スラリー調製槽31へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離及び回収により、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭(HPC)を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また原料石炭、例えば一般炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、原料石炭、例えば一般炭よりも遥かに優れた性能(流動性)を示す。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。また、後述する副生炭と混合することによって、配合炭として使用することもできる。
<副生炭取得工程>
副生炭取得工程は、上記分離工程で分離された固形分濃縮液から溶剤を分離して副生炭を得る工程であり、必要により実施される。副生炭取得工程は、第2溶剤分離器36で実施される。
固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、上記無灰炭取得工程と同様に一般的な蒸留法や蒸発法を用いることができる。分離して回収された溶剤は、スラリー調製槽31へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離及び回収により、固形分濃縮液からは灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された副生炭(RC)を得ることができる。副生炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。副生炭は軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合にこの配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。従って、この副生炭は、通常の非微粘結炭と同様にコークス原料の配合炭の一部として使用することができる。また、この副生炭は、コークス原料炭とせずに各種の燃料用として利用することも可能である。なお、副生炭は回収せずに廃棄しても良い。
[その他の実施形態]
なお、本発明の分離装置は、上記実施形態に限定されるものではない。
つまり、上記実施形態では、当該分離装置を用いる例として無灰炭の製造方法について説明したが、当該分離装置は、例えばバイオマスを固液分離する分離装置としても適用できる。当該分離装置をバイオマスに適用する場合、上記スラリーに混合する炭素化合物がバイオマスであり、上記スラリーを沈降分離した上澄み液から灰を含まないバイオマス燃料が抽出される。
また、上記実施形態では、流体を吐出する吐出機構として4つの流体供給管を備える構成の分離装置について説明したが、流体供給管(吐出機構)の数はこれに限定されるものではなく、3つ以下又は5つ以上の流体供給管を備える構成の分離装置としてもよい。分離装置が1つ以上の流体供給管を備えていれば、固形分濃縮液の漏斗状部の内壁への沈着を抑制できる。ただし、漏斗状部の内壁への固形分濃縮液の沈着をより均等に抑制できる点において、図1Aの分離装置1のように、複数の流体供給管を固形分濃縮液排出口を中心として等角度間隔で配設することが好ましい。例えば図7に示すように、3つの流体供給管7が等角度間隔で配設される構成の分離装置としてもよい。また、複数の流体供給管を固形分濃縮液排出口を中心として等角度間隔に配設すると共に、各流体供給管から同量の流体を供給することで、より均等かつ効果的に固形分濃縮液の沈着を抑制できる。これにより、より少ない供給量の流体で固形分濃縮液の沈着を抑制できる。
また、上記第一実施形態では、図1Bに示すように漏斗状部を形成する多孔質体として平面視で単位面積当たりの孔の数が略等しい焼結板を用いる分離装置について説明したが、単位面積当たりの孔の数が異なる多孔質体から形成される漏斗状部を備える分離装置としてもよい。ここで、平面視で漏斗状部の外周側の領域に副生固形分の流動が生じると、この流動に伴って漏斗状部の中心側の領域の副生固形分の流動も促進される。そのため、漏斗状部の外周側により多く上昇流を生じさせれば、より効果的に固形分濃縮液の漏斗状部の内壁への沈着を抑制できる。例えば図7に示すように、平面視で漏斗状部2bの外周に向かうにつれ単位面積当たりの孔の数が多くなる焼結板24を用いることにより、漏斗状部2bの中心側よりも外周側により多くの上昇流を生じさせることができる。従って、漏斗状部を形成する多孔質体として、図7に示すような焼結板24を用いることも好ましい。
以上説明したように、当該分離装置は、低コストで圧力容器の内壁への固形分の沈着を抑制できるので、灰を含まない石炭やバイオマスに由来する燃料などの抽出システム等として有用である。
1 分離装置
2 圧力容器
2a 円筒状部
2b 漏斗状部
3 蓋部
4 スラリー供給管
5 上澄み液排出管
6 固形分濃縮液排出管
6a 固形分濃縮液排出口
7 流体供給管
7a 流体吐出口
8 焼結板
9 孔
10 分離装置
12 圧力容器
12a 円筒状部
12b 漏斗状部
20 分離装置
21 流体供給管
21a 流体吐出口
22 圧力容器
22a 円筒状部
22b 漏斗状部
24 焼結板
31 スラリー調製槽
32 ポンプ
33 予熱器
34 抽出槽
34a 攪拌機
35 第1溶剤分離器
36 第2溶剤分離器
X 副生固形分
Y 流体

Claims (7)

  1. 炭素化合物と溶剤とを混合したスラリーに含まれる固形分を沈降分離する分離装置であって、
    鉛直に配設される円筒状部及びこの円筒状部の下方に連続する漏斗状部を有し、上記スラリーを沈降分離する圧力容器と、
    上記圧力容器に付設され、流体の供給により上記漏斗状部の内壁に沿って固形分沈着を防止する流れを生じさせる固形分沈着防止機構と
    を備え、
    上記固形分沈着防止機構により生じさせる上記流れが、固形分の最小流動化速度以上の上昇流を含むことを特徴とする分離装置。
  2. 上記固形分の粒子の体積球相当直径をxv(m)、固形分の粒子密度をρp(g/m)、上記溶剤の密度をρ(g/m)、重力加速度をg(m/s)、溶剤の粘度をμ(Pas)、上記円筒状部の平面視内径をD(m)、上記流体の供給量をF(m/s)とした場合、上記上昇流が下記式(1)を満たす請求項1に記載の分離装置。
    Figure 0006309438
  3. 固形分沈着を防止する上記流体の密度が、上記スラリー中の溶剤の密度より大きい請求項1又は請求項2に記載の分離装置。
  4. 上記漏斗状部の円錐状側壁の少なくとも一部が多孔質体から形成され、
    上記固形分沈着防止機構が上記多孔質体から圧力容器内に流体を噴出するよう構成されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の分離装置。
  5. 上記多孔質体の複数の孔が、平面視で規則的に配設されている請求項4に記載の分離装置。
  6. 上記圧力容器内を撹拌するレーキを備えない請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分離装置。
  7. 上記スラリーに混合した炭素化合物が石炭であり、
    上記スラリーを沈降分離した上澄み液から無灰炭が抽出され、上記固形分を含む固形分濃縮液から副生炭が抽出される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の分離装置。
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