JP6017356B2 - 無灰炭の製造方法 - Google Patents
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また、無灰炭を、製鉄用電気炉・キャパシタなどの電極材料として使用することも提案されている。
蒸留温度検討段階は、所望の軟化溶融性を有する無灰炭を得るために、上記した蒸留工程(溶剤分離工程、詳しくは後述する)における蒸留温度を決定するための段階である。なお、抽出工程、分離工程(溶剤可溶成分分離工程)、および蒸留工程は、無灰炭を製造するために毎回行われる一連の連続する工程であるが、この蒸留温度検討段階は、毎回行われる一連の連続する工程として行われる必要はない。この蒸留温度検討段階は、例えば、無灰炭の製造において同じ原料(石炭)を使用し続ける場合は、少なくとも1回行えばよいものである。
抽出工程は、石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する工程である。本実施形態において、この抽出工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する(溶剤に溶解させる)抽出本工程(溶剤可溶成分抽出工程)とに分かれている。
スラリー調製工程は、図1中、スラリー調製槽3で実施される。原料である石炭が石炭ホッパ1からスラリー調製槽3に投入されるとともに、溶剤タンク2からスラリー調製槽3に溶剤が投入される。スラリー調製槽3に投入された石炭および溶剤は、攪拌機3aで混合されて石炭と溶剤とからなるスラリーとなる。
抽出本工程は、図1中、予熱器5および抽出槽6で実施される。スラリー調製槽3にて調製されたスラリーは、移送ポンプ4によって、予熱器5に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽6に供給され、攪拌機6aで攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
分離工程(溶剤可溶成分分離工程)は、抽出工程で得られたスラリーを、例えば重力沈降法により、溶剤に可溶な石炭成分が溶解した溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液(溶剤不溶成分濃縮液)とに分離する工程である。この分離工程は、図1中、重力沈降槽7で実施される。抽出工程で得られたスラリーは、重力沈降槽7内で、重力にて、溶液としての上澄み液と、固形分濃縮液とに分離される。重力沈降槽7の上部の上澄み液は、必要に応じてフィルターユニット8を経て、フラッシュ蒸留槽9へ送られる。重力沈降槽7の下部に沈降した固形分濃縮液はフラッシュ蒸留槽10へ送られる。
蒸留工程は、分離工程で分離された溶液(上澄み液)から溶剤を分離して無灰炭(HPC)を得る工程である。本実施形態において、この蒸留工程は、第1蒸留工程(溶剤分離第1工程)と、第2蒸留工程(溶剤分離第2工程)とに分かれている。
第1蒸留工程は、図1中、フラッシュ蒸留槽9で実施される。すなわち、本実施形態では、第1蒸留工程としてフラッシュ蒸留法が用いられている。重力沈降槽7で分離された溶液は、フィルターユニット8で濾過された後、フラッシュ蒸留槽9に供給され、フラッシュ蒸留槽9内で上澄み液から溶剤が蒸発分離される。
第2蒸留工程は、第1蒸留工程で得られた溶液(液状の無灰炭)に残存する溶剤を分離する工程であり、図1中、薄膜蒸留槽11で実施される。すなわち、本実施形態では、第2蒸留工程として薄膜蒸留法が用いられている。薄膜蒸留法とは、スクレーパ11a(ワイパーともいう)を収容した薄膜蒸留槽11の上部から薄膜蒸留槽11内に蒸留対象(本実施形態ではフラッシュ蒸留槽9からの溶液)を導入し、薄膜蒸留槽11の内壁にスクレーパ11aにて蒸留対象の薄膜を形成させ連続蒸留を行うという蒸留法である。
無灰炭(HPC)は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、原料石炭よりも高い発熱量を示す。前記したように、無灰炭の用途としては、製鉄用コークス製造用の粘結剤、製鉄用電気炉・キャパシタなどの電極材料としての用途がある。さらには、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムのガスタービン直噴燃料としての用途も注目されている。
副生炭取得工程は、分離工程(溶剤可溶成分分離工程)で分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る工程である。この副生炭取得工程は、図1中、フラッシュ蒸留槽10および乾燥機12で実施される。乾燥機12としては例えばスチームチューブドライヤが用いられる。重力沈降槽7で分離された固形分濃縮液はフラッシュ蒸留槽10に供給され、フラッシュ蒸留槽10内で固形分濃縮液から溶剤が蒸発分離される。その後、乾燥機12に入れられて、残存する溶剤が蒸発分離される。これらにより副生炭の溶剤含有率は例えば2wt%以下に調整される。なお、副生炭取得工程は、必須の工程ではない。
副生炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。副生炭は軟化溶融性を示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。したがって、この副生炭は、通常の非微粘結炭と同様に、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として使用することも可能である。
<実験1>
まず試験方法について説明する。前記した分離工程(溶剤可溶成分分離工程)で分離された溶液(上澄み液、抽出物(溶剤可溶石炭成分)と溶剤との混合物)として、ベンチスケールの設備で製造したものを用いた。なお、溶剤として、2環芳香族であるメチルナフタレンを主成分とする石炭から精製した油分(石炭誘導体)を用いた。この溶剤(純溶剤)の沸点は約242℃である。
なお、得られた無灰炭の溶剤含有率がすべて同じとなるようにするのは、同条件の溶剤含有率で軟化溶融性を比較するためと、製品としての無灰炭は、その溶剤含有率を例えば2%以下にしなければならない、という要求があるからである。160℃で真空乾燥を行うことにより、無灰炭の溶剤含有率は0.1wt%以下となる。160℃での真空乾燥は、無灰炭の軟化溶融性に影響を与えない操作である。
抽出物(溶剤可溶石炭成分)と溶剤との混合物である溶液の単蒸留を常圧で行い、異なる最終温度で蒸留操作を停止した後に、容器内に残った無灰炭の重量平均分子量を求めた。重量平均分子は、GPC分析により求めた。なお、実験1と同様、ここで用いた溶液もベンチスケールの設備で製造したものである。溶剤に関しても実験1と同じである。ただし、実験1とは異なり、無灰炭の真空乾燥は行っていない。すなわち、表1に示す無灰炭の重量平均分子量は、真空乾燥を行わずにGPC分析を行って求めたものである。結果を表1に示す。
この実験結果は、溶剤に可溶な石炭成分が溶解した溶液から溶剤を分離する蒸留工程においてその蒸留温度を調節することで、得られる無灰炭の軟化溶融性を所望のものに調整することができる、ことを裏付けている。
本発明に係る無灰炭の軟化溶融性の調整方法は、無灰炭の製造工程(抽出工程、分離工程(溶剤可溶成分分離工程)、および蒸留工程(溶剤分離工程))中の蒸留工程において、所望の軟化溶融性を有する無灰炭となるように蒸留温度を調節することで、溶液(抽出物(溶剤可溶石炭成分)と溶剤との混合物)から溶剤を分離してなる無灰炭の軟化溶融性を調整する、という方法である。
ここで、蒸留温度と無灰炭の軟化溶融性との間には、明確に区別できる規則的な関係があることが、前記した実験結果よりわかった。
すなわち、本発明によると、無灰炭の製造工程中の条件設定により、無灰炭の軟化溶融性を容易に調整することができる。結果として、製鉄用コークス製造用の原料、製鉄用電気炉・キャパシタなどの電極材料など、用途に応じた軟化溶融性を有する無灰炭を容易に製造することができる。
2:溶剤タンク
3:スラリー調製槽
4:移送ポンプ
5:予熱器
6:抽出槽
7:重力沈降槽
8:フィルターユニット
9、10:フラッシュ蒸留槽
11:薄膜蒸留槽
12:乾燥機
100:無灰炭製造設備
Claims (1)
- 石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で得られたスラリーを、溶剤に可溶な石炭成分が溶解した溶液と、溶剤に不溶な石炭成分が濃縮した固形分濃縮液とに分離する分離工程と、
前記分離工程で分離された溶液から溶剤を分離する蒸留工程と、
を備える、無灰炭の製造方法において、
所望の軟化溶融性を有する無灰炭を得るための前記蒸留工程における蒸留温度を決定する蒸留温度検討段階を有し、
前記蒸留工程は、
蒸留法により溶剤が残存する無灰炭を得る溶剤分離第1工程と、
無灰炭に残存する溶剤を蒸発分離する溶剤分離第2工程と、
を有し、
前記蒸留温度検討段階にて決定した蒸留温度で前記溶剤分離第1工程を行うことで、前記溶液から溶剤を分離してなる無灰炭の軟化溶融性を調整することを特徴とする、無灰炭の製造方法。
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