JP5639402B2 - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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本発明は無灰炭の製造方法に関し、詳細には、石炭の可溶成分を溶剤で抽出して得られる液体分を用い、灰分濃度の低い無灰炭を効率よく得ることができる無灰炭の製造方法に関するものである。
本発明者らは、石炭を溶剤により抽出し、灰分濃度が約0.1質量%以下に脱灰された溶剤抽出脱灰炭(無灰炭、ハイパーコール)をコークス原料に使用する溶剤抽出技術を種々提案している(例えば特許文献1、特許文献2など)。この方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリー化し、石炭に含まれる溶剤可溶成分を抽出した後、液体成分(溶剤可溶成分)と固体成分(溶剤不溶成分)に固液分離し、その後、液体成分から溶剤を除去して得られた溶剤抽出炭(無灰炭)をコークス用原料として用いるというものである。固液分離手段としては、濾過法や遠心分離法などが挙げられるが、重力を利用した沈降法を行なうことが好ましい。沈降法によれば、沈降槽の上部側からは液体成分(石炭から抽出した可溶成分と、抽出に用いた溶剤)を、沈降槽の下部側からは灰分などの未溶解石炭を連続的に分離(固液分離)することができ、低コストで大量処理にも適している。
図1を参照しながら、ハイパーコールの製造方法の概略を説明する。
まず、溶剤を溶剤供給槽1に、石炭を供給槽2にそれぞれ供給した後、混合槽3で混合して混合スラリーを調製する。
次に、この混合スラリーを、ポンプ(不図示)により抽出槽4へ移送し、所定温度で石炭から可溶成分を抽出する(抽出工程)。この抽出工程により、石炭中の有機物の一部が溶剤に可溶し、これが溶剤抽出炭(無灰炭)の成分となる。これに対し、溶剤に不溶な未溶解成分[溶剤未溶解成分、Residue coal(RC)]は、灰である無機物と、石炭中の有機物で溶剤に不溶な成分とを含んでいる。
次に、溶剤可溶分と溶剤未溶解成分(RC)の混合物である混合スラリーを沈降槽5へ移送する。沈降槽5では、溶剤未溶解成分(RC)を重力沈降によって沈降槽下部に濃縮させ、沈降槽5の下部側から排出させる。このようにして排出された固液分離後の溶剤未溶解成分(RC)は、アンダーフロー受器(UF受器)9へ移送され、一時的に保管された後にUF溶剤回収装置10によって溶剤を回収し、固体状態の溶剤未溶解成分が得られる。
一方、液体成分は沈降槽5の上部側から抜出される。固液分離後のオーバーフロー(OF)は、必要に応じて、ステンレスフィルターなどの濾過フィルター6で濾過し、不溶分の除去を更に行う。その後、オーバーフロー受器(OF受器)7へ移送され、一時的に保管された後、OF溶剤回収装置8によって溶剤の回収を行い、所望の無灰炭が得られる。
このように重力沈降法によれば、灰分などの溶剤不溶成分を連続的に分離処理することができるが、石炭の銘柄によっては沈降速度が著しく遅いといった問題がある。その結果、沈降槽上部では、沈降しなかった微細な溶剤不溶成分が滞留してしまい、結果的に灰分を十分に除去できず、無灰炭の灰分濃度が高くなることがあった。そのため、濾過フィルター6での濾過を頻繁に行なって溶剤不溶成分を除去するなどの処理が行なわれ、処理効率の低下を招いていた。
このような問題を解決するため、特許文献3には、石炭原料として、溶剤不溶成分の沈降速度が遅く(よって、固液分離性能に劣る)一般炭に粘結炭を混合したものを用いる方法が開示されており、これにより、抽出工程で得られる溶剤不溶成分(RC)を、分離工程で速やかに沈降させ、固液分離性能の向上を図っている。しかしながら、この方法では、一般炭と粘結炭の混合を行なうための設備を新たに設ける必要があるという問題がある。
特開2005−120185号公報 特開2007−161955号公報 特開2009−227718号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重力沈降法による固液分離工程において、灰分が十分に除去された無灰炭を、効率良く安価に製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明に係る無灰炭の製造方法は、溶剤で石炭から可溶成分を抽出し、溶剤可溶成分と溶剤不溶成分の混合物スラリーを得る抽出工程と、前記混合物スラリーを、重力沈降法による固液分離装置を用いて、前記固液分離装置の下部側から溶剤不溶成分を抜出し、前記固液分離装置の上部側から前記溶剤可溶成分を抜出て固液分離を行なう固液分離工程と、前記溶剤可溶成分から溶剤を除去して無灰炭を得る工程と、を順次含む無灰炭の製造方法であって、前記固液分離工程では、前記固液分離装置の下部側抜出量(UFvol)と上部側抜出量(OFvol)との比(抜出比)が異なる固液分離工程を少なくとも2回行ない、1回目の固液分離工程において、抜出比を制御することにより、固液分離装置下部の溶剤不溶成分が所定濃度に高められた濃縮状態を形成した後、前記濃縮状態を維持するように抜出比を変更して2回目の固液分離工程を行なうところに要旨を有するものである。
本発明の好ましい実施形態において、前記固液分離工程の各工程における抜出比を一定に維持するものである。
本発明によれば、石炭の可溶成分を溶剤で抽出して得られる液体成分を用いて得られる無灰炭であって、灰分濃度の低い無灰炭を、効率良く安価に製造することができる。
図1は、ハイパーコールの製造工程を示すフローチャートである。 図2は、抜出比(OF/UF)によって沈降槽内下部の溶剤不溶成分RCの濃度(CUF)が変化することを説明する図である。 図3は、実験例1において、第1工程で20時間静置した後(図中、▲)、および第2工程で90時間静置した後(図中、●)における、沈降槽高さ方向[H(測定位置)/H0(沈降槽の高さ)]でのRCの濃度分布を示すグラフである。 図4は、実験例1において、第2工程において、38時間静置後、62時間静置後、73時間静置後、86時間静置後におけるRC濃度の経時変化を示すグラフである。 図5は、実験例2において、第1工程で60時間静置した後(図中、●)、および第2工程で40時間静置した後(図中、▲)における、沈降槽高さ方向[H(測定位置)/H0(沈降槽の高さ)]でのRCの濃度分布を示すグラフである。 図6は、実験例3において、第3の固液分離工程における17時間静置後、29時間静置後、41時間静置後におけるRC濃度の経時変化を示すグラフである。
本発明者らは、溶剤抽出技術によって灰分濃度の低い無灰炭を効率よく製造するため、特に、重力沈降法による固液分離装置(以下、沈降槽で代表させる場合がある。)を用いて固液分離を行なったとき、沈降槽内下部側に沈降する溶剤不溶成分(以下、「沈降槽下部の溶剤不溶成分」と呼ぶ場合がある。)の濃度の推移に着目して検討を行なった。その結果、分離性能に優れた石炭では、石炭自体が凝集し易い性質を有するため、固液分離の初期工程において、沈降槽内下部側の所定高さに亘って溶剤不溶成分の濃度が高い領域(濃縮状態)が自然に形成されるのに対し、分離性能の劣る石炭では、このような濃縮状態が形成されないことが判明した。よって、固液分離工程の初期段階で、沈降槽下部の溶剤不溶成分濃度が高い所定の濃縮状態を予め形成しておけば、沈降槽の下部側から溶剤不溶成分を速やかに排出させることができ、結果的に、固液分離性能が向上して、灰分濃度が低い無灰炭を得ることができると考えた。
ここで、沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度(CUF)は、通常、沈降槽の下部側抜出量(UFvol)と上部側抜出量(OFvol)との比(抜出比、OFvol/UFvol、以下、単に「OF/UF」と略記する場合がある。)で制御することができ、UF抜出率が大きくなる程(すなわち、OF/UFが小さくなる程)、混合スラリー中のRC濃度は小さくても沈降槽下部のRC濃度CUFは大きくなり、スラリー中のRCをUF中に全量排出させることが可能になる。
しかし、UF抜出率を単純に変更するだけでは沈降槽下部のRC濃度CUFの低下が起り、結果的に、OF中に含まれるRC濃度の低下が起らないため、固液分離性能に大きな変化は見られないことも判明した(後記する実験例2を参照)。
そこで本発明者らが更に検討を重ねた結果、沈降槽を用いた固液分離工程において、抜出比(UF/OF)が異なる固液分離を少なくとも2回以上行ない、固液分離工程の初期段階において、沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度(CUF)が高められた濃縮状態を形成した後、2回目の固液分離工程を行なえば、固液分離性能が向上し、結果的に灰分濃度の低い無灰炭が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、溶剤抽出用石炭として固液分離性能の低い石炭(代表的には、特許文献3に記載の一般炭など)をそのまま使用できる点で、非常に有用である。すなわち、特許文献3では、一般炭を粘結炭と混合した混合石炭を溶剤抽出用石炭として用いているが、本発明では、粘結炭の使用を省略でき、混合石炭作製のための装置が不要であるなどの利点がある。
本発明において好ましく用いられる固液分離性能の低い石炭とは、固液分離率(測定方法は後述する。「脱灰率」と同義である。)が、おおむね90%未満のものである。脱灰率が約90%未満のものであれば、一般炭に限定されない。
本発明では、沈降槽を用いた固液分離工程において、抜出比(OF/UF)が異なる2回以上の固液分離を行なう。抜出比(OF/UF)は、沈降槽下部側の流量FUF(kg/h)と沈降槽上部側の流量FOF(kg/h)の比(FOF/FUF)で表わされる。ここで、沈降槽下部側とは、溶剤不溶成分を抜き出す位置よりも上側という意味であり、具体的な沈降槽からの抜き出し箇所は特に限定されず、例えば沈降槽の上面や側面であってもよい。沈降槽下部側の流量は、沈降槽に設けられたバルブの開閉によって制御することにより調節することができるが、その際、溢れた混合スラリーは沈降槽上部側の流量として抜き出されるため、FUFを制御することによって必然的にFOFが決定されることになる。
抜出条件は、沈降槽内下部の所定高さに亘って溶剤不溶成分の濃度が高い所定の濃縮状態が得られるように1回目の固液分離時の抜出比を適切に制御した後、その後の2回目以降の固液分離時の抜出比は、所定の濃縮状態が維持されるように抜出比を適宜調整すれば良い。後記する実験例2に示すように、1回目の固液分離において所定の濃縮状態が得られないまま、抜出比を変化させて固液分離性能が向上する条件で2回目の固液分離を行なったとしても、固液分離能は低く、灰分濃度の低い無灰炭は得られなかった。
各固液分離工程の抜出比は、使用する石炭や溶剤の種類、温度条件などによっても相違するため、一義的に決定することはできないが、各工程について、後記する式(2)で算出される完全分離状態におけるRCの濃度CUF-allとなるような条件で抜出比を制御することが好ましい。また、固液分離の回数は2回以上であれば特に限定されないが、製品の回収率や製品の品質などを考慮すると、おおむね2回であることが好ましい。
各固液分離工程における抜出比は、所定の好ましい濃縮状態が得られるように、各工程での抜出比は一定に維持することが好ましい。例えば実操業下では、作業中のトラブルなどによって抜出比(UF抜出率)が大きく変化する場合があり、後記する実験例3は、このような場合を模擬した実験であるが、このような場合は、所定の濃縮状態が維持されないため、固液分離性能が低下し、灰分濃度が高い無灰炭しか得られなかった。
沈降槽下部の溶剤不溶成分の好ましい濃度(CUF)は、使用する石炭や溶剤の種類、温度条件などによって相違するため、一義的に決定することはできないが、例えば一般炭を用いたときは、おおむね、30質量%以上にすることが好ましい。より好ましくは35質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上である。
また、沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度(CUF)は、沈降槽下部の所定高さに亘って当該濃度が維持されていることが好ましく、本明細書では、このような状態を「所定のRC濃縮状態」と呼ぶ。具体的には、沈降槽のサイズなどによっても相違するが、沈降槽高さをH、所定高さHとしたとき、H/H0が0〜約0.35までの範囲に亘って、CUFが上記の好ましい範囲を満足していることが好ましい。
上記の濃縮状態は、1回目の固液分離工程の初期において形成されている。具体的な時期は、石炭の種類や抜出比などによっても変化するが、おおむね、1回目の固液分離開始後、約20時間経過後に所定の濃縮状態になっていることが好ましい。
上述したように本発明では、抜出比(OF/UF)が異なる2回以上の固液分離を行い、抜出比の制御によって沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度(CUF)を所定レベルまで高めるものである。ここで、原料石炭中の溶剤不溶成分(RC)が全て、沈降槽下部に含まれている状態を「完全分離状態」と定義し、完全分離状態におけるRCの濃度をCUF-all(質量%)としたとき、抜出比(OF/UF)によって、沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度(CUF)が変化することを、図2を参照しながら説明する。
はじめに、各濃度の算出方法を説明する。一般に、原料石炭中の灰分濃度をA(質量%)、原料石炭に溶剤を混合した混合スラリー(原料スラリー)中の無水石炭濃度をX(質量%)、原料石炭中の有機物が溶剤に可溶した成分の割合を抽出率ε(質量%/無水石炭)とすると、混合スラリー中のRC濃度Cfeed(質量%)は下式(1)で表わされる。
feed(質量%)=X×{1−(1−A/100)×ε/100}・・・(1)
完全分離状態におけるRCの濃度CUF-all(質量%)は、混合スラリーの抽出槽への供給量をFfeed(kg/h)とすると、下式(2)で表わされる。
UF-all(質量%)=Cfeed×Ffeed/FUF・・・(2)
式中、
feedは混合スラリー中のRC濃度(質量%)であり、前記式(1)で表わされる。
そして、沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度CUFは、下式(3)で表される。
UF(質量%)=CUF-all×(FOF/FUF)・・・(3)
式中、(FOF/FUF)は、沈降槽下部側の流量FUF(kg/h)と上部側の流量FOF(kg/h)との比(抜出比)である。
以下では、混合スラリー中のRC濃度を10質量%(すなわち、CUF-all=10質量%)とする。
混合スラリー中にRCが10質量%含まれている場合は、抜出比をOF/UF=90/10とすると、沈降槽下部に全てのRCが含まれるようになり、沈降槽下部のRC濃度CUFは100質量%となる(図2中、抜出比OF/UF=90/10の図を参照)。
次に抜出比を変化させる。OF/UF=70/30では、沈降槽下部のRC濃度CUFは33質量%となり、OF/UF=60/40では、沈降槽下部のRC濃度CUFは25質量%となり、沈降槽下部のRC濃度は小さくなる。すなわち、抜出比OF/UF[流量(kg/h)比で表すと、沈降槽上部側の流量FOF/沈降槽下部側の流量FUF]を大きくすると、沈降槽下部のRC濃度CUFは高くなり、固液分離性能が高くなる。
上記(2)式より、沈降槽下部の流量FUFを小さくする、すなわち、抜出比OF/UFを大きくすることにより、完全分離状態におけるRCの濃度CUF-allは高くなることが分かる。
以下、固液分離性能に劣る一般炭を用い、抜出比の制御によって所定の濃縮状態を得る方法の好ましい実施形態を説明する。ただし、本発明は、下記実施形態に限定する趣旨ではない。
ここでは、抜出比の異なる2回の固液分離工程を行なうことにし、FUF、CUF-all、CUFに対応するパラメータをそれぞれ、1回目の分離工程では、FUF1、CUF1-all、CUF1とし、2回目の分離工程では、FUF2、CUF2-all、CUF2とする。一般炭のような分離性能の劣る石炭の場合、CUF1がCUF-allよりも低い値となる(CUF1<CUF-all)。上記(2)式に示すように、FUF1を小さくするとCUF-allが大きくなるため、CUF1の上昇が起り易くなる。ただし、RCがOF側に溢流するため、固液分離性能の増加は認められない。
まず、1回目の固液分離を行なうに当たり、FOF1/FUF1を制御して沈降槽下部のRC濃度CUF1を、好ましくは30質量%以上に濃縮する。より好ましくは35質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上に濃縮するようにFOF1/FUF1を制御する。
沈降槽下部のRC濃度CUF1は、沈降槽高さの比H/H0が0〜約0.35の範囲に亘って維持されていることが好ましい。このRC濃度が30質量%以上の濃縮状態を形成すれば、スラリーの粘性が上昇し、濃縮状態が安定すると推察される。
上記の濃縮状態は、1回目の固液分離を行なってから、おおむね、20時間経過後に得られることが好ましい。
次に、抜出比を変更して2回目の固液分離を行なう。ここでは、CUF2-allについて、30質量%≦CUF2-all<CUF1となるようにFUF2を変更する。このとき、FUF2は、CUF2-allができるだけCUF1に近い値となるように制御することが好ましい。これにより、CUF2はCUF2-allに極力近い値を維持するようになり、固液分離性能が向上する。
上記実施形態のように、1回目の分離工程におけるCUF1を好ましい条件(30質量%≦CUF1)になるようにFUF1を設定して1回目の固液分離を行なった後に、FUF2に変更して2回目の固液分離を行なった場合には、CUF2はCUF2-allに近い値となり、固液分離性能が向上する。これに対し、1回目の分離工程におけるCUF1が30質量%未満の場合は、たとえ2回目の固液分離を、上記関係式(CUF2-all<CUF1)を満足するようにFUF2を変更した場合(すなわち、固液分離性能を高めるように抜出比を変更した場合)でも、CUF2はCUF2-allよりも大幅に低い値となり、固液分離性能は低いままであった(後記する実験例2を参照)。
このように固液分離性能を高くして結果的に灰分の少ない無灰炭を製造するためには、1回目の固液分離工程において、所定の濃縮状態(本実施形態では、H/H0が0〜約0.35の範囲に亘って、CUF≧30質量%を維持する状態)を一旦形成させておくことが必要であり、2回目の固液分離工程では、当該濃縮状態が維持されるように、抜出比を変更すれば良い。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、上記特許文献1〜3にも記載したとおり、抽出工程→固液分離工程→溶剤除去工程を含む。そして本発明では、このうちの固液分離条件を制御したところに最大の特徴があり、それ以外の工程は特に限定されず、溶剤石炭抽出技術で通常行なわれる工程を適宜採用することができる。例えば前述した特許文献1〜3の各工程を参照することができる。
以下、各工程を説明する。
<抽出工程>
抽出工程は、溶剤可溶成分抽出用の石炭(原料石炭)と溶剤を接触させて、原料石炭から可溶成分を溶剤中に抽出する工程である。抽出工程では、をスラリー調製槽で混合してスラリー化し、抽出槽にて、原料石炭に含まれている溶剤に溶解する成分(溶質)を抽出している。
石炭に含まれる可溶成分の抽出に用いる溶剤としては、極性溶剤や芳香族溶剤を使用できる。極性溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドンやピリジン等が用いられる。芳香族溶剤としては、一般的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の1環芳香族化合物や、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン、テトラヒドロナフタレン(テトラリン;登録商標)等の2環芳香族化合物、アントラセン等の3環以上の芳香族化合物等が用いられる。また、2環芳香族化合物には、その他脂肪族側鎖をもつナフタレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。
本発明では、上記極性溶剤や芳香族溶剤のなかでも、水素非供与性の溶剤を用いることが好ましい。水素非供与性溶剤としては、主に石炭の乾留生成物から精製した2環芳香族化合物を主とする石炭誘導体を挙げることができる。この水素非供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分の割合が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。回収した溶剤は、経済性の向上を図るため、循環使用できる。水素非供与性溶剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、タール軽油などが挙げられ、これらから選択される1種を主成分とする溶剤や、2種以上を含む溶剤を用いることができる。
また可溶成分の抽出に用いる溶剤は、沸点が180〜330℃(特に、200〜250℃)のものが好ましい。沸点が低過ぎると、抽出工程での可溶成分の抽出率が低下する。また、抽出工程や、後述する固液分離工程での必要圧力が高くなる。更に、溶剤を回収するときに揮発による損失が大きくなり、溶剤の回収率が低下する。一方、沸点が高過ぎると、後述する固液分離工程で分離される抽出液からの溶剤の除去や、可溶成分を抽出した後の石炭に付着している溶剤を除去することが困難となり、溶剤の回収率が低下する。
可溶成分の抽出に用いる原料石炭の種類は特に限定されないが、軟化溶融性をほとんど持たない非微粘炭などの安価な石炭を使用することにより、経済性の向上を図ることができる。もちろん非微粘炭に限定されず、微粘結炭、準微粘結炭、強粘結炭などを使用しても良い。
前記抽出工程では、石炭から可溶成分を抽出し易くするために、原料石炭を、例えば、直径5mm程度以下(好ましくは3mm以下)に粉砕しておくことが好ましい。
また、前記抽出工程では、原料石炭から可溶成分を抽出するときの抽出率を高めるために原料石炭と溶剤とをスラリー状に混合することが好ましい。この混合物を攪拌しつつ加熱すれば、原料石炭に含まれる溶剤に可溶な可溶成分が溶剤中に抽出される。
抽出温度は、例えば、300〜420℃程度(特に、330〜400℃程度)に設定することが好ましい。抽出温度が低過ぎると、石炭に含まれる易ガス化成分を除去できない上に、石炭を構成する成分の分子間結合力を弱めることが不十分となって、石炭に含まれる可溶成分の抽出率が低くなる。一方、抽出温度が高過ぎると、石炭が熱分解して生成したラジカルの再結合が起こるため、石炭から可溶成分を抽出するときの抽出率が低くなる。
抽出時間は、例えば、10〜120分程度(特に、30〜60分程度)とすればよい。抽出時間が長過ぎると、抽出した可溶成分の熱分解反応が進行し、ラジカル重合反応が進むため可溶成分の抽出率が低下する。
抽出工程は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)の存在の下で行なえばよい。なお、抽出工程では、溶剤が沸騰しないように加圧する必要があり、圧力は、通常、0.8〜2.5MPa程度(特に、1〜2MPa)の範囲に調整すればよい。
<固液分離工程>
固液分離工程は、前述したとおりである。なお、固液分離工程における溶剤の温度と固液分離時の圧力は、上記抽出工程で設定した温度および圧力と同じ範囲に設定することが好ましい。原料の石炭から溶出した溶質の再析出を防ぐためである。
<溶剤除去工程>
溶剤除去工程は、上記固液分離工程で抜出した抽出分から溶剤を除去する工程である。溶剤を除去することにより、溶剤抽出炭(無灰炭)を得ることができる。
溶剤を分離する方法としては、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)を用いることができる。なお、本発明では、分離して回収した溶剤を抽出工程で用いる溶剤の一部として再利用することが好ましい。
なお、溶剤未溶解成分についても同様に蒸留法等を用いて溶剤を回収することができる。
このようにして得られる無灰炭は、灰分濃度の低いものである。このような無灰炭はコークス用原料として有用であり、通常の工程(成型工程→乾留工程)を経てコークスが得られる。各工程の詳細は、前述した特許文献3などを参照することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下の実験例1〜3では、原料となる石炭、溶剤および抽出条件をすべて同じにし、沈降槽での固液分離条件(抜出比)を変化させたときの沈降槽下部の溶剤不溶成分の濃度が、無灰炭(ハイパーコール)中の灰分濃度に及ぼす影響を調べた。
(ハイパーコールの製造方法)
原料石炭として表1に示す石炭A(一般炭)を用いた。この石炭Aは、日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)において区分Dに分類されるものである。下記方法に基づき、測定した石炭Aの組成を表1および表2に示す。
まず、灰分濃度は、工業分析(JIS M8812)にしたがって測定した。
また、金属元素濃度について、Na、Kは、揮発しない温度(700℃)で灰化し、塩酸抽出後、原子吸光法にて定量した。Siは、815℃で灰化し、炭酸ナトリウムもしくは合剤(炭酸ナトリウム+四ほう酸ナトリウム)で溶解し、塩酸抽出後、濃度により吸光光度法またはICP発光分光分析法にて定量した。その他の金属(Al,Fe,Mg,Ca,Ti)は、815℃で灰化し、前記合剤で溶解し、塩酸抽出後、濃度により原子吸光法またはICP発光分光分析法にて定量した。また、C、H、N、S、OおよびClは、JIS M8813の方法によって測定した。
また、水分は、JIS M8811の方法によって測定した。発熱量は、JIS M8814の方法によって測定した。
上記組成の原料石炭(一般炭)24kgに溶剤(シーケム社製のメチナフ−H、沸点254℃である石炭由来の乾留油分であり、その組成は1-メチルナフタレンを主成分とする2環式芳香族化合物である)96kgを混合してスラリーを調製した(スラリー調製工程)。
このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30Lのオートクレーブ中、400℃で20分間の条件で抽出した(抽出工程)。抽出率εは、固液分離工程の回数にかかわらず、すべてε=52%である。このようにして得られるスラリー中の石炭濃度X(ドライベース)は19.5質量%である。
このスラリーを、350℃に温度を保持した回分式重力沈降槽に投入し、スラリー流量を20.0kg/h(一定)に保ったまま、OF/UFの抜出比(スラリー抜出比)を、実験例1〜3のように変更して固液分離を行なった。
(実験例1)
本実験例では、本発明で規定する条件で固液分離を行ったときのハイパーコール中の灰分濃度を調べた。固液分離の条件は以下のとおりである。
第1固液分離(1回目):
OF/UF=80/20(UF抜出率=20%)にて20時間静置
アンダーフロー(UF)の流量FUF(kg/h)=4
オーバーフロー(OF)の流量FOF(kg/h)=16
第2固液分離(2回目)
:OF/UF=70/30(UF抜出率=30%)にて90時間静置
アンダーフロー(UF)の流量FUF(kg/h)=6
オーバーフロー(OF)の流量FOF(kg/h)=14
上記のようにして固液分離を行なった後、分離した液体分(OF)中のRC濃度を以下の方法で測定した。まず、液体分から溶剤を蒸留により除去し、得られた固体中の灰分濃度をJIS M8812によって算出した。この算出値を、液体分中の灰分濃度に換算した後、RCを含む灰分濃度より得られる比率(RC/灰分)から逆算して液体分(OF)中のRC濃度を算出した結果、0.4質量%であった。
更に、得られた液体分(OF)について、濾過フィルター(富士フィルター工業株式会社製)を用いて不溶分を濾過した後、蒸留によって溶剤を除去し、ハイパーコールを得た。
(沈降槽下部のRC濃度分布、およびRC濃度の経時変化)
表3に、第1および第2の各固液分離工程における沈降槽下部のRC濃度Cfeed(質量%)、RCが全て沈降槽下部へ排出される場合のRC濃度(完全分離時のRC濃縮濃度)CUF-all(質量%)、および固液分離性能の結果を記載する。
このうち沈降槽下部のRC濃度Cfeed(質量%)および完全分離時のRC濃縮濃度CUF-allは、それぞれ、前述した(3)式および(2)式に基づいて算出した。
また、固液分離性能は、固液分離工程によって分離した液体分(OF)の脱灰率を測定することによって評価した。詳細には、1回目および2回目の静置後、分離した液体分(OF)中の灰分濃度をC1(質量%)、液体分の流量をF1(kg/h)、混合スラリー中の灰分濃度C0(質量%)、混合スラリーの流量をF0(kg/h)としたとき、固液分離性能は下式で表わされる。なお、灰分濃度は、JIS M8812に従って測定した。
固液分離性能(%)={1−(F1×C1)/(F0/C0)}×100
図3は、1回目の固液分離工程(第1工程)で20時間静置した後、および2回目の固液分離工程(第2工程)で90時間静置した後における、沈降槽高さ方向[H(測定位置)/H0(沈降槽の高さ)]でのRCの濃度分布を示すグラフであり、図3中、▲は第1工程(20時間静置後)の結果を、●は第2工程(90時間静置後)の結果を、それぞれ示す。
また、図4は、第2工程におけるRC濃度の経時変化を示すグラフであり、詳細には、38時間静置後、62時間静置後、73時間静置後、86時間静置後におけるRC濃度の経時変化を示している。本実験例では、第2工程の静置時間(合計90時間)の間、図4に示すように、スラリー抜出比UF/OFを一定に保っているため、沈降槽下部のRC濃度(34.5%)が変化せず、高濃度に保たれている。
(ハイパーコール中の灰分の測定)
得られたハイパーコール(HPC)の灰分濃度をJIS M8812の方法により測定した結果、0.9質量%であった。
(考察)
本実験例1では、第1の固液分離工程において、OF/UFの抜出比を80/20に設定して20時間保持したところ、図3に示すように沈降槽下部のRC濃度の上昇が見られ、20時間経過後の沈降槽下部のRC濃度CUF1は、本実施形態で推奨される所定の濃縮状態(CUF≧30質量%以上の領域が、沈降槽全体高さの約0.35程度に亘って形成される状態)を満足していた(表3を参照)。次いで、抜出比を変更し、第2の固液分離工程では、OF/UFの抜出比を70/30に設定して90時間保持した。この抜出比は、沈降槽下部のRC濃度が完全分離時のRC濃縮濃度CUF2-all(35.5質量%、表3を参照)となる条件である。その結果、90時間経過後の沈降槽下部のRC濃度CUF2は、所定の濃縮状態をほぼ満足しており、完全分離時のRC濃縮濃度CUF2-all(35.5質量%)に略近い濃度(34.5質量%)が得られたため、RCの殆どが沈降槽の下部側から排出されて固液分離能が向上し、最終的に得られるハイパーコールの灰分は0.9質量%と、灰分濃度が非常に低いものであった。また、第2の固液分離工程では、抜出比を一定に制御しているため、沈降槽内における沈降槽下部のRC濃度の経時変化は、ほぼ同じパターンを有している(図4を参照)。
(実験例2)
本実験例2では、本発明で規定する条件で固液分離を行なわなかったときのハイパーコール中の灰分濃度を調べた。固液分離の条件は以下のとおりである。
第1固液分離(1回目):
OF/UF=70/30(UF抜出率=30%)にて60時間静置
(前述した実験例1の第2固液分離工程と同じ)
第2固液分離(2回目):
OF/UF=60/40(UF抜出率=40%)にて40時間静置
アンダーフロー(UF)の流量FUF(kg/h)=8
オーバーフロー(OF)の流量FOF(kg/h)=12
上記のようにして固液分離を行なった後、分離した液体分(OF)中のRC濃度を前述した実験例1と同様にして測定したところ、1.5質量%であった。
更に、得られた液体分(OF)について、前述した実験例1としてハイパーコールを得た。
(沈降槽下部のRC濃度分布、およびRC濃度の経時変化)
表4に、第1および第2の各固液分離工程について、沈降槽下部のRC濃度Cfeed(質量%)、RCが全て沈降槽下部側から排出される場合のRC濃度(完全分離時のRC濃縮濃度)CUF-all(質量%)、および固液分離性能の結果を記載する。
図5は、第1工程で60時間静置後、および第2工程で40時間静置後における、沈降槽高さ方向[H(測定位置)/H0(沈降槽の高さ)]でのRCの濃度分布を示すグラフであり、図中、●は第1工程(60時間静置後)の結果を、▲は第2工程(40時間静置後)の結果を、それぞれ示す。
(ハイパーコール中の灰分の測定)
得られたハイパーコール(HPC)の灰分濃度を前述した実験例1と同様にして測定した結果、3.2質量%であった。
(考察)
本実験例2では、第1の固液分離工程において、前述した実験例1の第2分離工程と同じ抜出比(OF/UF=70/30)に設定して60時間保持したところ、図5に示すように沈降槽下部のRC濃度の上昇は殆ど見られず、60時間経過後の沈降槽下部のRC濃度CUF1は、本実施形態で推奨される所定の濃縮状態を満足せず、22.5質量%と低いものであった(表4を参照)。次いで、抜出比を変更し、第2の固液分離工程では、OF/UFの抜出比を60/30に設定して40時間保持した。この抜出比は、沈降槽下部のRC濃度が完全分離時のRC濃縮濃度CUF2-all(19.6質量%、表4を参照)となる条件である。このように固液分離能を高める抜出条件で固液分離を行なったにもかかわらず、40時間経過後の沈降槽下部のRC濃度CUF2は、16.3質量%と低く、所定の濃縮状態が得られず、完全分離時のRC濃縮濃度CUF-all(19.6質量%)よりも低くなった。その結果、沈降槽の下部側から排出されるRCも少なくなり、最終的に得られるハイパーコールの灰分は、3.2質量%と、灰分濃度が高くなった。
上記実験例1および実験例2の結果より、灰分濃度の低いハイパーコールを製造するためには、固液分離の初期工程(第1の固液分離工程)において、沈降槽下部のRCが所定の濃縮状態が形成されるように抜出比を制御して固液分離工程を行なった後、この濃縮状態を維持するように、引き続き2回目以降の固液分離工程を行なう方法が有効であることが分かった。
(実験例3)
本実験例では、固液分離処理中にトラブルなどにより抜出比(OF/UF)が変化し、一時的に沈降槽下部に多くの原料スラリーが流れたとき(すなわち、OF/UFの比率が一時的に低くなる)の状態を模擬した実験を行ない、沈降槽下部のRC濃度の経時変化を調べた。
詳細には、前述した実験例1と同様の条件によって固液分離を行なっていた場合に、その間に一時的にUFへスラリーが多く流れた場合(以下の第2の固液分離)を想定して、下記第1〜第3の固液分離を行った。
第1固液分離(1回目):
OF/UF=80/20(UF抜出率=20%)にて20時間静置
第2固液分離(2回目):
OF/UF=40/60(UF抜出率=40%)にて0.1時間静置
第3固液分離(3回目):
OF/UF=65/35(UF抜出率=35%)にて90時間静置
(沈降槽下部のRC濃度分布、およびRC濃度の経時変化)
表5に、第1および第3の各固液分離工程について、沈降槽下部のRC濃度Cfeed(質量%)、RCが全て沈降槽の下部側から排出される場合のRC濃度(完全分離時のRC濃縮濃度)CUF-all(質量%)、および固液分離性能の結果を記載する。表5中、「第3の固液分離工程A」は、第3の固液分離工程において20時間静置した時点の結果を示したものであり、「第3の固液分離工程B」とは、第3の固液分離工程において30時間静置した時点の結果を示したものである。
図6は、第3の固液分離工程におけるRC濃度の経時変化を示すグラフであり、詳細には、17時間静置後、29時間静置後、41時間静置後におけるRC濃度の経時変化を示している。第2工程におけるスラリー抜出比(UF/OF)が一時的に変化すると、図6に示すように、沈降槽下部のRC濃度が変化し、17時間後は所定の濃縮状態が得られたものの、29時間後は、沈降槽下部のRC濃度は30質量%以上をかろうじて満足しているが所定の濃縮状態が得られず、41時間後は、RC濃度が30質量%を下回ってしまった。このようにして得られた液体分(OF)について、前述した実験例1と同様にしてハイパーコールを得た後、灰分濃度を測定すると、8.6質量%となり、灰分濃度が非常に高くなった。
(考察)
実験例3の結果より、灰分濃度が高いハイパーコールを得るためには、第1の固液分離工程のみならず第2の固液分離工程においても、所定の濃縮状態が維持されるように抜出比を制御することが重要であり、好ましくは、各工程の抜出比を一定に制御することが有効であることが分った。

Claims (2)

  1. 溶剤で石炭から可溶成分を抽出し、溶剤可溶成分と溶剤不溶成分の混合物スラリーを得る抽出工程と、
    前記混合物スラリーを、重力沈降法による固液分離装置を用いて、前記固液分離装置の下部側から溶剤不溶成分を抜出し、前記固液分離装置の上部側から前記溶剤可溶成分を抜出て固液分離を行なう固液分離工程と
    前記溶剤可溶成分から溶剤を除去して無灰炭を得る工程と、を順次含む無灰炭の製造方法であって、
    前記固液分離工程では、前記固液分離装置の下部側抜出量(UFvol)と上部側抜出量(OFvol)との比(抜出比)が異なる固液分離工程を少なくとも2回行ない、
    1回目の固液分離工程において、抜出比を制御することにより、固液分離装置下部の溶剤不溶成分の濃度(C UF 、固液分離装置下部の所定の高さ(H)/固液分離装置の高さ(H0)が0〜0.35の範囲に亘って、C UF ≧30質量%を維持する濃縮状態を形成した後、前記濃縮状態を維持するように抜出比を変更して2回目の固液分離工程を行なうことを特徴とする無灰炭の製造方法。
  2. 前記固液分離工程の各工程における抜出比を一定に維持する請求項1に記載の製造方法。
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