JP2009215402A - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】石炭原料から、溶剤に可溶な石炭成分を十分な抽出率で、かつ安価に抽出する無灰炭の製造方法を提供すること。
【解決手段】石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程;前記抽出工程で得られたスラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程;および前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程;を含み、前記溶剤として、ビフェニル系芳香族炭化水素類が20%以上含まれる溶剤を用いることを特徴とする無灰炭の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、無灰炭の製造方法に関し、詳細には、石炭から灰分を除去した無灰炭を得るための無灰炭の製造方法に関するものである。
石炭は、火力発電やボイラーの燃料、または、化学品の原料として幅広く利用されており、環境対策の一つとして石炭中の灰分を効率的に除去する技術の開発が強く望まれている。例えば、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムでは、LNG等の液体燃料に替わる燃料として、灰分が除去された無灰炭を使用する試みがなされている。また高炉用コークス等の製鉄用コークスの原料炭として、無灰炭を使用する試みがなされている。
無灰炭の製造方法として以下の方法が提案されている。
例えば、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出し、該スラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離した後、該溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭の製造方法が知られている(特許文献1)。そのような方法において、溶剤としては、沸点範囲が180℃以上200℃以下から選択される沸点〜300℃以上330℃以下から選択される沸点である石炭由来の油分が使用される。しかしながら、上記した方法では、溶剤に可溶な石炭成分を十分に抽出することはできなかった。
そこで、2−メチルナフタレン等の二環芳香族炭化水素類を約70%以上の主成分として含む溶剤を用いる技術が提案されている(特許文献2)。しかしながら、そのような溶剤は工業的に使用する際にコストが非常に高くなるという問題があった。
特開2005−120185号公報 特開2007−161955号公報
本発明は、石炭原料から、溶剤に可溶な石炭成分を十分な抽出率で、かつ安価に抽出する無灰炭の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;
前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程;
前記抽出工程で得られたスラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程;および
前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程;
を含み、
前記溶剤として、ビフェニル系芳香族炭化水素類が20%以上含まれる溶剤を用いることを特徴とする無灰炭の製造方法に関する。
本発明に係る無灰炭の製造方法によれば、石炭原料から、溶剤に可溶な石炭成分を十分な抽出率で、かつ安価に抽出できる。そのため、無灰炭を高効率、かつ安価に製造できる。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、石炭に比較的微量で不可避に含まれる灰分等の溶剤不溶成分を、当該石炭から十分に除去して、無灰炭を製造するための方法である。本発明に係る無灰炭の製造方法を、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の無灰炭の製造方法を実施する無灰炭の製造装置の一例を示す模式図である。
本明細書中、溶剤不溶成分は、溶剤により石炭の溶解・抽出を行っても、溶剤に溶解されずに残る灰分や該灰分を含む石炭(すなわち灰炭)などの石炭成分であり、主として石炭に含まれていた無機成分に由来するものである。一方、溶剤可溶成分は、溶剤に溶解され得る石炭成分であり、主として石炭に含まれていた有機成分に由来するものである。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、および無灰炭取得工程を含み、所望により副生炭取得工程をさらに含むものである。以下、各工程について説明する。
<スラリー調製工程>
スラリー調製工程は、石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、図1中、スラリー調製槽1で実施される。
石炭原料は特に制限されず、例えば、日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)で規定される区分A、A、B、B、C、D、E、FおよびFに分類されるものが使用可能である。
具体的には、例えば、区分AおよびAに分類される石炭として、いわゆる「無煙炭」が挙げられる。
また例えば、区分BおよびBに分類される石炭として、いわゆる「れき青炭」のうち、発熱量8400kcal/kg以上を示すものが挙げられる。
また例えば、区分Cに分類される石炭として、いわゆる「れき青炭」のうち、発熱量8100kcal/kg以上8400kcal/kg未満を示すものが挙げられる。
また例えば、区分Dに分類される石炭として、いわゆる「亜れき青炭」のうち、発熱量7800kcal/kg以上8100kcal/kg未満を示すものが挙げられる。
また例えば、区分Eに分類される石炭として、いわゆる「亜れき青炭」のうち、発熱量7300kcal/kg以上7800kcal/kg未満を示すものが挙げられる。
また例えば、区分Fに分類される石炭として、いわゆる「褐炭」のうち、発熱量6800以上7300kcal/kg未満を示すものが挙げられる。
また例えば、区分Fに分類される石炭として、いわゆる「褐炭」のうち、発熱量5800以上6800kcal/kg未満を示すものが挙げられる。
石炭分類法(JIS M 1002−1978)で規定される発熱量は以下の式に基づいて算出される値である。
発熱量(補正無水無灰ベース)=発熱量/(100−1.08×灰分−水分)×100
溶剤はビフェニル系芳香族炭化水素類が20%以上、特に20〜50%、好ましくは20〜40%、より好ましくは20〜30%含まれる溶剤を用いる。これによって、石炭原料から溶剤可溶成分を十分な抽出率で抽出できる。そのような現象のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。石炭成分は芳香族化合物が多く、その中でも縮合環としてベンゼン構造を多く含むものよりも、一環、二環、三環同士をアルキル側鎖、または直結構造によりつながった構造を有するものが多いと考えられる。そのため、ビフェニル系のものは石炭への親和力が強いと考えられ、抽出率を上昇させる効果があると推測される。
ビフェニル系芳香族炭化水素類はビフェニルおよびその誘導体を包含するものである。ビフェニル誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有するビフェニルである。
本明細書中、溶剤の組成を示すときの各炭化水素類の割合「%」は、溶剤に含まれる全成分の総量に対する「モル%」を意味するものとする。
溶剤には、抽出率のさらなる向上の観点から、ビフェニル系芳香族炭化水素類以外に、縮合三環系芳香族炭化水素類が含まれることが好ましい。その含有量は好ましくは10%以上、特に10〜40%、より好ましくは10〜30%、さらに好ましくは10〜20%である。
縮合三環系芳香族炭化水素類は、アントラセン、フェナントレン等の縮合三環系芳香族炭化水素およびそれらの誘導体を包含するものである。縮合三環系芳香族炭化水素誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有する縮合三環系芳香族炭化水素である。
溶剤には、縮合二環系芳香族炭化水素類、一環系芳香族炭化水素類、四環以上の縮合多環系芳香族炭化水素類、三環以上の連結型多環系芳香族炭化水素類等の他の芳香族炭化水素類が含まれて良い。
縮合二環系芳香族炭化水素類はナフタレンおよびその誘導体を包含するものである。ナフタレン誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有するナフタレンである。
縮合二環系芳香族炭化水素類の含有量は、通常は60%以下であり、抽出率のさらなる向上の観点から好ましくは5〜55%、より好ましくは5〜40%である。
一環系芳香族炭化水素類はベンゼンおよびその誘導体を包含するものである。ベンゼン誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有するベンゼンである。
一環系芳香族炭化水素類の含有量は少ないほど好ましく、通常は20%以下であり、抽出率のさらなる向上の観点から好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。一環系芳香族炭化水素類は石炭との親和性が小さいと考えられるためである。
四環以上の縮合多環系芳香族炭化水素類は、ナフタセン、ピレン、テトラセン等の四環以上の縮合多環系芳香族炭化水素およびそれらの誘導体を包含するものである。縮合多環系芳香族炭化水素誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有する縮合多環系芳香族炭化水素である。
三環以上の連結型多環系芳香族炭化水素類は、三個以上のベンゼンが単結合によって連結されてなる連結型多環系芳香族炭化水素であって、例えば、ターフェニル、トリフェニルベンゼンおよびそれらの誘導体を含むものである。連結型多環系芳香族炭化水素誘導体は、炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、炭素数1〜6の不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アリル基)および炭素数3〜6の脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基)から選択される1以上の置換基を有する連結型多環系芳香族炭化水素である。
四環以上の縮合多環系芳香族炭化水素類、および三環以上の連結型多環系芳香族炭化水素類の合計含有量は、抽出率のさらなる向上の観点からは、少ないほど好ましく、通常は5%以下であり、抽出率のさらなる向上の観点から好ましくは1%以下であり、最も好ましくは実質的に含まれないことである。
溶剤は、抽出率のさらなる向上の観点から、芳香族炭化水素類、特にビフェニル系芳香族炭化水素類、縮合三環系芳香族炭化水素類、一環系芳香族炭化水素類および縮合二環系芳香族炭化水素類の合計含有量が50%以上、特に50〜95%であることが好ましく、より好ましくは55〜90%、さらに好ましくは60〜90%である。
溶剤には、飽和脂肪族炭化水素類、不飽和脂肪族炭化水素類、および脂環族炭化水素類等の非芳香族炭化水素類が含まれても良いが、それらの合計含有量は少ないことが好まく、最も好ましくは実質的に含まれないことである。
非芳香族炭化水素類の含有量は少ないほど好ましく、通常は5%以下であり、抽出率のさらなる向上の観点から好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。
本発明で使用される溶剤は以下の方法によって製造できる。
石油原料を蒸留する際、留出温度範囲を選択する。詳しくは、留出温度範囲の中央値が250℃以上、特に260〜330℃となり、かつ留出温度範囲の下限値が230℃以上、特に240〜300℃となるような留出温度範囲内の留出成分を本発明の溶剤として使用できる。中央値または下限値が低すぎる留出温度範囲の留出成分は、ビフェニル系芳香族炭化水素類の含有量が少なすぎて、本発明の溶剤として使用できない。一方、中央値または下限値が高すぎる留出温度範囲の留出成分は、溶剤回収において回収率が小さくなり、本発明の溶剤として使用できない。留出温度範囲の中央値または/および下限値を上記範囲内でより高く設定すると、縮合三環系芳香族炭化水素類の含有量は少なくなり、縮合二環系芳香族炭化水素類や一環系芳香族炭化水素類の含有量が少なくなる。溶剤回収の観点から好ましい留出温度範囲の幅は100℃以下、特に30〜80℃である。
蒸留に使用される石油原料として、例えば、ナフサを使用してもよいし、または当該ナフサを精製処理したときの残渣を使用してもよい。具体的には、ナフサからガソリン等の石油製品を製造するときに工業的に行われる水素化処理によって、通常、残渣として芳香族成分が得られる。そのような芳香族成分(残渣)を蒸留することによって、本発明の溶剤をより安価に得ることができる。
本発明で使用される溶剤は、上記した組成を有するように各成分を混合することによって製造されてもよい。
溶剤に対する石炭原料の濃度は、特に制限されず、通常、乾燥炭基準で10〜50重量%の範囲が好ましく、20〜35重量%の範囲がより好ましい。
本工程は通常、常温で実施されるが、40〜100℃に加熱して実施されてもよい。
<抽出工程>
抽出工程は、前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して、溶剤に可溶な石炭成分(溶剤可溶成分)を抽出する工程であり、図1中、予熱器3および抽出槽4で実施される。詳しくは、スラリー調製槽1で調製されたスラリーは、ポンプ2によって、一旦、予熱器3に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽4に供給され、攪拌機40で攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
抽出工程でのスラリーの加熱温度は、溶剤可溶成分が溶解され得る限り特に制限されず、例えば、溶剤可溶成分の十分な可溶化と抽出率のさらなる向上の観点から、好ましくは300〜420℃であり、特に360〜400℃の範囲とする。
加熱時間(抽出時間)もまた特に制限されるものではないが、十分な溶解と抽出率の観点から好ましくは20〜60分間であり、特に20〜40分間の範囲とする。加熱時間は図1中、予熱器3および抽出槽4での加熱時間を合計したものである。
抽出工程は不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。抽出工程で酸素に接触すると、発火する恐れがあるため危険であり、また、水素を用いた場合には、コストが高くなるためである。抽出工程で用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。
抽出工程は常圧で実施されても、加圧下で実施されてもよい。加圧下で実施する場合、抽出工程での圧力は抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
<分離工程>
分離工程は、前記抽出工程で得られたスラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する工程である。ここで、溶液部とは、溶剤可溶成分が溶解された溶液部分をいう。非溶液部とは、溶剤不溶成分または当該溶剤不溶成分を含むスラリー部分をいう。図1中、分離工程は固液分離装置5で実施され、詳しくはスラリーから分離された溶液部は、必要に応じてフィルターユニット6を経て、溶剤分離器7へ排出されるとともに、分離された非溶液部は溶剤分離器8へ排出される。
スラリーから溶液部と非表液部とを分離する方法としては、特に制限されず、例えば、重力沈降法、濾過法、遠心分離法等が挙げられる。工業的実施の観点からは重力沈降法が好ましい。重力沈降法は、スラリーを槽内に保持することにより、重力を利用して溶剤不溶成分を沈降・分離させる方法である。スラリーを槽内に連続的に供給しながら、溶液部(上澄み液)を上部から、非溶液部(固形分濃縮液)を下部から連続的に排出することにより、連続的な分離処理が可能である。
固液分離装置5内は、原料の石炭から溶出した溶剤可溶成分の再析出を防止するため、加熱または/および加圧しておくことが好ましい。加熱温度は通常、350〜370℃の範囲とすることが好ましい。圧力は通常、1.0〜2.0MPaの圧力範囲とすることが好ましい。
<無灰炭取得工程>
無灰炭取得工程は、前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して改質炭である無灰炭を得る工程であり、図1中、溶剤分離器7で実施される。
溶液部から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、分離して回収された溶剤はスラリー調製槽1へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離・回収により、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭(HPC)を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また原料石炭、例えば一般炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、原料石炭、例えば一般炭よりも遥かに優れた性能(流動性)を示す。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。また、後述する副生炭と混合することによって、配合炭として使用することもできる。
<副生炭取得工程>
副生炭取得工程は、必要により実施され、前記分離工程で分離された非溶液部から溶剤を分離して副生炭を得る工程であり、図1中、溶剤分離器8で実施される。
非溶液部から溶剤を分離する方法は、前記した無灰炭取得工程と同様に、一般的な蒸留法や蒸発法を用いることができ、分離して回収された溶剤は、スラリー調製槽1へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離・回収により、固形分濃縮液からは灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された副生炭(RC)を得ることができる。副生炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。副生炭は軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。従って、この副生炭は、通常の非微粘結炭と同様に、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として利用することも可能である。なお、副生炭は、回収せずに廃棄しても良い。
本発明は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、石炭原料を粉砕する石炭粉砕工程や、ごみ等の不要物を除去する除去工程や、得られた無灰炭を乾燥させる乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
<実験例1>
原料石炭として、亜れき青炭Gを用いた。当該石炭は日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)において区分Dに分類されるものであった。
溶剤として以下に示す溶剤を用いた。
溶剤S;
ナフサを水素化処理して表1に示す残渣を得た。表1は元素分析結果である。当該残渣を溶剤Sとして用いた。
溶剤S1;
溶剤Sの蒸留を行い、220℃までに留出した成分を溶剤S1として用いた。
溶剤S2;
溶剤Sの蒸留を行い、220℃〜260℃の留出成分を溶剤S2として用いた。
溶剤S3;
溶剤Sの蒸留を行い、260℃〜330℃の留出成分を溶剤S3として用いた。
溶剤HPC−RS;
メチルナフタレンを97%以上含む溶剤である。
使用した溶剤の組成を表2に示した。組成は、GC/MS測定(アジレント社製6890型ガスクロマトグラフ、5973N型質量分析計)によって測定した。
原料石炭に対して5倍重量の溶剤を混合してスラリーを調製した(スラリー調製工程)。このスラリーをオートクレーブ中、380℃に加温し、60分間抽出した(抽出工程)。その後、380℃を維持して急速濾過を行った(分離工程)。原料石炭の乾燥重量X、および残渣の乾燥重量Yから、抽出率[(X−Y)/X]を求めた。次いで、分離工程で得られた溶液部から、スプレードライ法により、溶剤を分離・除去して無灰炭を得た。得られた無灰炭中の灰分含有量を測定した。
溶剤S3において、従来技術における溶剤HPC−RSの抽出率を上回る結果が得られた。分留溶剤は高沸点成分をより多く含むもので、より抽出率が大きくなることが分かる。
Figure 2009215402
Figure 2009215402
表中、N.D.は当該成分が実質的に含まれていなかったことを示す。なお、上記組成測定による限界測定値は0.01%である。
<実験例2>
原料石炭として、れき青炭Kを用いた。当該石炭は日本の石炭分類法(JIS M 1002−1978)において区分Bに分類されるものであった)。
溶剤として以下に示す溶剤を用いた。
溶剤S、S2およびS3はそれぞれ実験例1においてと同様のものを用いた。
溶剤S4;
溶剤Sの蒸留を行い、240℃〜280℃の留出成分を溶剤S4として用いた。
溶剤S5;
溶剤Sの蒸留を行い、280℃〜330℃の留出成分を溶剤S5として用いた。
使用した溶剤の組成を表3に示した。組成は実験例1と同様の方法によって測定した。
上記した原料石炭および溶剤を用いたこと以外、実験例1と同様の方法により、スラリー調製工程、抽出工程、分離工程、無灰炭取得工程を実施した。抽出率および無灰炭中の灰分含有量を測定した。
溶剤S2とS3またはS4との比較により、ビフェニル系芳香族炭化水素類の濃度上昇に伴い、抽出率が大きく増加していることが認められる。
溶剤S3とS4とでは、ビフェニル系芳香族炭化水素類の濃度はほぼ等しいが、縮合三環系芳香族炭化水素類の濃度上昇に伴って抽出率の増加が認められる。
一方、溶剤S2、S3およびS4の比較により、縮合二環系芳香族炭化水素類の濃度増加が抽出率増加を引き起こすことは認められない。
Figure 2009215402
本発明に係る方法により製造された無灰炭は、火力発電やボイラーの燃料および高効率複合発電システムや製鉄用コークスの原料として有用である。
本発明の無灰炭の製造方法における各工程を説明するための製造装置の模式図である。
符号の説明
1:スラリー調製槽、2:ポンプ、3:予熱器、4:抽出槽、5:固液分離装置、6:フィルターユニット、7:8:溶剤分離器、40:撹拌機。

Claims (5)

  1. 石炭原料と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;
    前記スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程;
    前記抽出工程で得られたスラリーから、溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液部と、溶剤に不溶な石炭成分を含む非溶液部とを分離する分離工程;および
    前記分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程;
    を含み、
    前記溶剤として、ビフェニル系芳香族炭化水素類が20%以上含まれる溶剤を用いることを特徴とする無灰炭の製造方法。
  2. 前記溶剤に縮合三環系芳香族炭化水素類が10%以上含まれることを特徴とする請求項1に記載の無灰炭の製造方法。
  3. 溶剤におけるビフェニル系芳香族炭化水素類、縮合三環系芳香族炭化水素類、一環系芳香族炭化水素類および縮合二環系芳香族炭化水素類の合計含有量が50%以上である請求項1または2に記載の無灰炭の製造方法。
  4. 前記分離工程で分離された非溶液部から溶剤を分離して副生炭を得る副生灰炭取得工程をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の無灰炭の製造方法。
  5. 分離された溶剤をスラリー調製工程へ循環させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無灰炭の製造方法。
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