JP5722208B2 - 無灰炭の製造方法 - Google Patents
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無灰炭の製造装置1は、図1に示すように、石炭を貯蔵および切出しする石炭ホッパ2と、溶剤を貯留する溶剤タンク3と、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製槽4と、調製されたスラリーを移送するポンプ5と、移送されたスラリーを加熱する予熱器6と、加熱されたスラリーから溶剤可溶成分を抽出する抽出槽7と、溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを重力沈降法により溶剤可溶成分を含む溶液部(上澄み液)と溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液とに分離する重力沈降槽8と、分離された溶液部を濾過するフィルターユニット9と、濾過された溶液部から溶剤を分離回収して無灰炭(HPC:Hyper coal)を得るフラッシャー10及び薄膜蒸留槽11と、重力沈降槽8にて分離された固形分濃縮液から溶剤を分離回収して副生炭(RC:Residue coal)を得る溶剤分離器12とを有している。
抽出工程は、石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤可溶成分を抽出する工程である。本実施形態において、この抽出工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリー調製工程にて得られたスラリーを加熱して溶剤可溶成分を抽出する溶剤可溶成分抽出工程とに分かれている。
なお、上記の説明では非水素供与性化合物を溶剤として用いる場合について述べたが、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物(石炭液化油を含む)を溶剤として用いても良いことは勿論である。水素供与性溶剤を用いた場合、無灰炭の収率が向上する。
スラリー調製工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製する工程であり、図1中、スラリー調製槽4で行われる。石炭ホッパ2から石炭がスラリー調製槽4に投入されると共に、溶剤タンク3から溶剤がスラリー調製槽4に投入される。スラリー調製槽4に投入された石炭および溶剤は、攪拌機(不図示)で混合され、スラリーとなる。
溶剤可溶成分抽出工程は、図1中、予熱器6および抽出槽7で行われる。スラリー調製槽4にて調製されたスラリーは、ポンプ5によって、一旦、予熱器6に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽7に供給され、攪拌機7aで攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。なお、予熱器6は設置されていなくてもよい。
分離工程は、抽出工程にて溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを重力沈降法により溶剤可溶成分を含む溶液部(上澄み液)と溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液とに分離する工程であり、図1中、重力沈降槽8で行われる。重力沈降法とは、重力を利用して固形分を沈降させて固液分離する分離方法である。スラリーを槽内に連続的に供給しながら、溶剤可溶成分を含む溶液部を上部から、溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液を下部から排出することができるので、連続的な分離処理が可能となる。
無灰炭取得工程は、分離工程にて分離された溶液部(上澄み液)から溶剤を分離回収して無灰炭を得る工程である。本実施形態において、この無灰炭取得工程は、溶液部から溶剤を蒸発分離させる第1溶剤分離工程と、第1溶剤分離工程にて溶剤を蒸発分離して得られた無灰炭から当該無灰炭中に残存する溶剤を再度蒸発分離させる第2溶剤分離工程とに分かれている。
第1溶剤分離工程は、分離工程にて分離された溶液部からフラッシュ蒸留法により溶剤を蒸発分離させる工程であり、図1中、フラッシャー10で行われる。フラッシュ蒸留法とは、蒸留対象(本発明では分離工程にて分離された溶液部)をフラッシャー内(例えば、フラッシャーの内壁面)に霧状に噴射(フラッシュ)させることで、蒸留対象から沸点の低い物質(本発明では溶剤)を蒸発分離する方法である。
第2溶剤分離工程は、第1溶剤分離工程にて得られた無灰炭(溶剤を所定の割合で残存させた無灰炭)から当該無灰炭中に含まれる溶剤を薄膜蒸留法により蒸発分離させる工程であり、図1中、薄膜蒸留槽11で行われる。薄膜蒸留法とは、スクレーパ11b(ワイパーともいう)を収容した薄膜蒸留槽11の上部から薄膜蒸留槽11内に蒸留対象(本発明では第1溶剤分離工程にて得られた無灰炭)を供給し、薄膜蒸留槽11の内壁にスクレーパ11bにて蒸留対象の薄膜を形成させ連続蒸留を行う蒸留法である。薄膜蒸留槽11の周囲には加熱器11aが取り付けられ、薄膜蒸留槽11の内壁が所望の温度となるように、薄膜蒸留槽11は加熱器11aにて外部から加熱される。
副生炭取得工程は、分離工程にて重力沈降槽8により分離された固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離させて副生炭を得る工程であり、図1中、溶剤分離器12で実施される。なお、副生炭取得工程はなくてもよい。
(効果1)
次に、本発明に係る無灰炭の製造方法の効果について説明する。本発明の無灰炭の製造方法においては、無灰炭取得工程が、溶液部から溶剤を蒸発分離させる第1溶剤分離工程と、第1溶剤分離工程にて溶剤を蒸発分離して得られた無灰炭から当該無灰炭中に残存する溶剤を再度蒸発分離させる第2溶剤分離工程とに分かれている。さらに、第1溶剤分離工程において、無灰炭に溶剤を所定の割合で残存させることにより当該無灰炭を液状とし、当該液状の無灰炭を液状の状態で第2溶剤分離工程に移送している。したがって、第1溶剤分離工程で回収しきれない溶剤を、第2溶剤分離工程にて回収することができる。その結果、溶剤を十分に回収でき、溶剤の回収率を向上させることができる。さらに、第1溶剤分離工程にて得られた無灰炭中にあえて所定の割合溶剤を残存させることで、無灰炭の軟化温度が低下するので、無灰炭の流動性をより低い温度で得ることができる。そのため、より低い温度において、無灰炭が液状の状態を維持できるようになる。その結果、無灰炭を移送する際のハンドリング性(液体ハンドリング)に優れ、無灰炭を第1溶剤分離工程から第2溶剤分離工程へ容易に移送できる。
また、第1溶剤分離工程にて得られた無灰炭中に残存する溶剤の残存率は10wt%以上50wt%以下である。無灰炭中に残存する溶剤の残存率が10%wt以上であれば、無灰炭の溶融性が向上し、無灰炭を液状に維持することが容易となり、液状状態での流動性もより優れる。また、無灰炭中に残存する溶剤の残存率が50%wt以下であれば、第2溶剤分離工程において、溶剤を蒸発分離させる負荷を低減でき、溶剤を略100%分離回収しやすい。
また、第1溶剤分離工程における溶剤の蒸発分離にフラッシュ蒸留法を用いることによって、分離工程にて分離された液状の溶液部を、液状の状態のままフラッシャー内に投入でき、無灰炭の製造効率が良く、設備コストも抑制できる。また、溶液部をフラッシャー内(例えば、フラッシャーの内壁面)に霧状に噴射(フラッシュ)させることで、溶液部の表面積を広げることができ、溶剤の蒸発分離を効率よく行うことができる。
また、第2溶剤分離工程における溶剤の蒸発分離に薄膜蒸留法を用いることによって、液状の無灰炭を液状の状態のまま薄膜蒸留槽内に供給できるので、無灰炭の製造効率がよく、設備コストも抑制できる。また、第2溶剤分離工程にて得られた無灰炭(溶剤を略100%分離させた無灰炭)が液状となるので、得られた液状の無灰炭を固化手段に接触させれば所望の形状に固化させた無灰炭を容易に得ることができる。したがって、粉体(固体)の無灰炭を一旦液状に戻して所望の形状に固化させる工程を排除することができる。さらに、薄膜蒸留槽の内壁に形成された薄膜槽をスクレーパ(ワイパー)で確実に掻き落とすことができ、例えば、流動性が低い(粘土の高い)無灰炭であっても確実に排出することができる。
2 石炭ホッパ
3 溶剤タンク
4 スラリー調製槽
5 ポンプ
6 予熱器
7 抽出槽
8 重力沈降槽
9 フィルターユニット
10 フラッシャー
11 薄膜蒸留槽
12 溶剤分離器
13 管
Claims (1)
- 石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程にて前記石炭成分が抽出されたスラリーから前記石炭成分を含む溶液部を分離する分離工程と、
前記分離工程にて分離された溶液部から溶剤を分離回収して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
を備える、無灰炭の製造方法において、
前記無灰炭取得工程は、
前記溶液部から溶剤を蒸発分離させる第1溶剤分離工程と、
前記第1溶剤分離工程にて溶剤を蒸発分離して得られた無灰炭から当該無灰炭中に残存する溶剤を蒸発分離させる第2溶剤分離工程と、
を有し、
前記第1溶剤分離工程はフラッシャーを用いたフラッシュ蒸留法により溶剤を蒸発分離させる工程であり、前記フラッシャー内の圧力を大気圧以上かつ溶剤の蒸気圧以下とするとともに、前記無灰炭中に残存する溶剤の残存率を10wt%以上50wt%以下とすることにより当該無灰炭を液状とし、当該液状の無灰炭を加熱しながら液状の状態で前記第2溶剤分離工程に移送することを特徴とする、無灰炭の製造方法。
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