JP2013136691A - 無灰炭の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、抽出工程で得られたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を分離する分離工程と、分離工程で分離された溶液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、を備える無灰炭の製造方法である。この無灰炭の製造方法は、無灰炭取得工程で、溶液から溶剤を蒸発分離させて液体の無灰炭とし、得られた液体の無灰炭を固化手段(例えば、水)に接触させることによって所定の形状に固化させる。
【選択図】図1
Description
図1に示すように、無灰炭製造設備100は、無灰炭(HPC)製造工程の上流側から順に、石炭ホッパ1・溶剤タンク2、スラリー調製槽3、移送ポンプ4、予熱器5、抽出槽6、重力沈降槽7、フィルターユニット8、薄膜蒸留槽9、および水槽11を備えている。また、重量沈降槽7の下流側には、当該重量沈降槽7で分離された溶剤不溶成分濃縮液(固形分濃縮液)から溶剤を蒸発分離して副生炭を得るための(固形分濃縮液から溶剤を分離・回収するための)溶剤分離器10が配置されている。
抽出工程は、石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する工程である。本実施形態において、この抽出工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリー調製工程で調製されたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する溶剤可溶成分抽出工程とに分かれている。
なお、上記の説明では非水素供与性化合物を溶剤として用いる場合について述べたが、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物(石炭液化油を含む)を溶剤として用いてもよいことは勿論である。水素供与性溶剤を用いた場合、無灰炭の収率が向上する。
スラリー調製工程は、図1中、スラリー調製槽3で実施される。原料である石炭が石炭ホッパ1からスラリー調製槽3に投入されるとともに、溶剤タンク2からスラリー調製槽3に溶剤が投入される。スラリー調製槽3に投入された石炭および溶剤は、攪拌機3aで混合されて石炭と溶剤とからなるスラリーとなる。
溶剤可溶成分抽出工程は、図1中、予熱器5および抽出槽6で実施される。スラリー調製槽3にて調製されたスラリーは、移送ポンプ4によって、一旦、予熱器5に供給されて所定温度まで加熱された後、抽出槽6に供給され、攪拌機6aで攪拌されながら所定温度で保持されて抽出が行われる。
分離工程は、抽出工程で得られたスラリーから、溶剤に溶解している石炭成分を含む溶液を分離する工程である。換言すれば、分離工程は、抽出工程で得られたスラリーを、溶剤に溶解している石炭成分を含む溶液と、溶剤不溶成分濃縮液(固形分濃縮液)とに分離する工程である。この分離工程は、図1中、重力沈降槽7で実施される。抽出工程で得られたスラリーは、重力沈降槽7内で、重力にて、溶液としての上澄み液と、固形分濃縮液とに分離される(重力沈降法)。重力沈降槽7の上部の上澄み液は、必要に応じてフィルターユニット8を経て、薄膜蒸留槽9へ排出されるとともに、重力沈降槽7の下部に沈降した固形分濃縮液は溶剤分離器10へ排出される。
無灰炭取得工程は、上記した分離工程で分離された溶液(上澄み液)から溶剤を蒸発分離して無灰炭(HPC)を得る工程である。この無灰炭取得工程は、重力沈降槽7で分離された溶液から溶剤を蒸発分離させて液体の無灰炭を得る溶剤分離工程と、得られた液体の無灰炭を固化手段に接触させることで冷却して所定の形状の固体の無灰炭とする固化工程とに分かれている。溶剤分離工程は、図1中、薄膜蒸留槽9で実施され、固化工程は、図1中、水槽11で実施される。
溶液(上澄み液)から溶剤を蒸発分離する溶剤分離工程に、本実施形態では薄膜蒸留法が用いられている。薄膜蒸留法とは、スクレーパ9b(ワイパーともいう)を収容した薄膜蒸留槽9の上部から薄膜蒸留槽9内に蒸留対象(本発明では分離工程で分離された溶液)を導入し、薄膜蒸留槽9の内壁にスクレーパ9bにて蒸留対象の薄膜を形成させ連続蒸留を行うという蒸留法である。薄膜蒸留槽9の周囲には加熱器9aが取り付けられ、薄膜蒸留槽9の内壁が所望の温度となるように、薄膜蒸留槽9は加熱器9aにて外部から加熱される。
液体の無灰炭を固化させる固化手段として、本実施形態では液体の水を用いている。薄膜蒸留槽9にて得られた液体の無灰炭は、薄膜蒸留槽9から引き抜かれて、そのまま(噴霧状ではなく、ある程度の体積を有する液体で)水が張られた水槽11内に入れられ(例えば落下)、水との接触により冷却され固化する。所定の大きさの塊に固化した無灰炭は、ベルトコンベヤなどの搬送手段で水槽11内から取り出され、自然乾燥などにより乾燥されて、所定の場所で貯留される。
副生炭取得工程は、重力沈降槽7で分離された溶剤不溶成分濃縮液(固形分濃縮液)から溶剤を蒸発分離して副生炭を得る工程である。この副生炭取得工程は、固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して回収するための工程でもあり、図1中、溶剤分離器10で実施される。なお、副生炭取得工程は、必須の工程ではない。
実験として、無灰炭の濃度が30重量%の溶液(溶剤に不溶な固形分が除去された無灰炭と溶剤とからなる溶液)を160℃に加熱して、内壁を300℃に加熱した薄膜蒸留槽に14kg/hという流量で流した。そして、薄膜蒸留槽の底部から流出してきた液体の無灰炭(溶剤が蒸発分離したもの)を、ステンレス製の容器で受けた。なお、この容器は常温である。そうすると、液体の無灰炭は、ステンレス製の容器内で即座に固化した。この実験により、液体の無灰炭は冷却されると直ぐに固化するという性質を有するものであることが判明した。
無灰炭が高温状態であれば優れた流動性を示す。本発明は、この性質と、液体の無灰炭は冷却されると直ぐに固化するという、このたび究明できた性質とを利用している。本発明の無灰炭の製造方法では、無灰炭取得工程において、溶液から溶剤を蒸発分離させて液体の無灰炭とし、得られた液体の無灰炭を固化手段(例えば、前記した水)に接触させることによって所定の形状に固化させる。本発明によると、抽出工程、分離工程、および無灰炭取得工程という、一連の製造工程で、無灰炭は、所定の形状を有する固体まで成形される。さらには、上記の無灰炭取得工程により、液体の無灰炭は、所定の形状(例えば、塊、フレーク状(薄片状)など)に容易に成形される。すなわち、本発明によると、一旦液体に戻すことなく無灰炭を成形することができ、無灰炭を製品として出荷する場合に、別途、成形する必要がない。なお、本発明において、固化手段による無灰炭の固化は、連続で行われてもよいし、非連続で行われてもよい。
図2を参照しつつ、第2実施形態に係る無灰炭の製造方法について説明する。第1実施形態では、液体の無灰炭を固化させる固化手段として水を用いているのに対して、本実施形態では、金属製の無端ベルトを用いている。設備構成としては、本実施形態の無灰炭製造設備101では、薄膜蒸留槽9にベルトコンベヤ12を付帯させている。ベルトコンベヤ12は、一対のローラ間に掛け渡された金属製の無端ベルト12aを具備してなるものである。
固化手段としてベルトコンベヤのベルトを用いることで、無灰炭の固化および搬送を、例えば1つのベルトコンベヤで行うことができ、設備費を抑制することができる。
図3を参照しつつ、第3実施形態に係る無灰炭の製造方法について説明する。第1実施形態では、液体の無灰炭を固化させる固化手段として水を用いているのに対して、本実施形態では、所定の形状の中空部を有す成型用の型13を用いている。設備構成としては、本実施形態の無灰炭製造設備102では、薄膜蒸留槽9の下流側に成型用の型13を配置している。なお、型13の中空部は、液体の無灰炭を例えばブリケット状に成型するための形状にされる。
固化手段として所定の形状の中空部を有す成型用の型を用いることで、所望の形状に無灰炭を確実に成形することができる。また、例えば型の変更により様々な形状の無灰炭を容易に成形することができる。
2:溶剤タンク
3:スラリー調製槽
4:移送ポンプ
5:予熱器
6:抽出槽
7:重力沈降槽
8:フィルターユニット
9:薄膜蒸留槽
10:溶剤分離器
11:水槽
100:無灰炭製造設備
Claims (8)
- 石炭と溶剤とを混合して得られるスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で得られたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を含む溶液を分離する分離工程と、
前記分離工程で分離された溶液から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
を備える、無灰炭の製造方法において、
前記無灰炭取得工程で、前記溶液から溶剤を蒸発分離させて液体の無灰炭とし、得られた液体の無灰炭を固化手段に接触させることによって所定の形状に固化させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1に記載の無灰炭の製造方法において、
前記無灰炭取得工程で、液体の無灰炭が液体の状態を維持するように前記溶液を加熱しながら当該溶液から溶剤を蒸発分離させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1または2に記載の無灰炭の製造方法において、
前記無灰炭取得工程における溶剤の蒸発分離に薄膜蒸留法を用いることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の無灰炭の製造方法において、
前記固化手段は、無灰炭が流動性を示す温度よりも低い温度とされていることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の無灰炭の製造方法において、
前記無灰炭取得工程で、不活性ガスの存在下で前記固化手段に液体の無灰炭を接触させることによって、当該液体の無灰炭を固化させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の無灰炭の製造方法において、
前記固化手段は水であり、
前記無灰炭取得工程で、液体の無灰炭を水の中に入れることによって、当該液体の無灰炭を固化させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の無灰炭の製造方法において、
前記固化手段は、ベルトコンベヤのベルトであり、
前記無灰炭取得工程で、前記ベルトに液体の無灰炭を接触させることによって、当該液体の無灰炭を固化させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の無灰炭の製造方法において、
前記固化手段は、所定の形状の中空部を有す成型用の型であり、
前記無灰炭取得工程で、前記型の中空部に液体の無灰炭を流し込むことによって、当該液体の無灰炭を固化させることを特徴とする、無灰炭の製造方法。
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