JP2013112813A - 無灰炭成形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉粉塵の発生を抑制でき、且つ強度に優れると共に、酸化を抑制することもでき、更には安価且つ簡便な無灰炭成形物を製造することができる無灰炭成形物の製造方法を提供する。
【解決手段】石炭と溶剤を混合して溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、溶剤に可溶な石炭成分を含む抽出液と、溶剤に非可溶な石炭成分を含む固形分濃縮液とに分離し、抽出液から溶剤を分離して無灰炭を回収する改質炭製造工程と、無灰炭を塊状に成形して無灰炭成形物を得る成形工程を含み、成形工程では無灰炭と水を混合して水分濃度を0.5〜8.0質量%に調整した無灰炭と水との混合物とした後、混合物を成形して無灰炭成形物を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、石炭を溶剤で抽出処理することで得られる無灰炭を用いて成形物を得る無灰炭成形物の製造方法に関するものである。
石炭には灰分が含まれているが、近年、環境対策という観点で石炭中の灰分を積極的に除去する無灰炭(ハイパーコール)の開発が活発的に進められており、例えば、特許文献1〜3等により、無灰炭の製造方法等の種々の技術が提案されている。無灰炭とは、これら特許公報1〜3に記載されているように、石炭を溶剤で抽出処理し、その溶剤に溶ける成分だけを分離して、その後、溶剤を除去することにより製造された改質炭の一種である。
この無灰炭は、構造的には、縮合芳香環が2乃至3環の比較的低分子量の成分から、縮合芳香環が5、6環程度の高分子量成分まで広い分子量分布を有する。また、灰分は溶剤に溶けないため、無灰炭は実質的に灰分を含まず、加熱下で高い流動性を示し、熱流動性に優れるという特性を有する。石炭の中には粘結炭のように400℃前後で熱可塑性を示すものもあるが、無灰炭は、一般的に原料石炭の品位に関わらず200〜300℃で溶融する(軟化溶融性がある)。
無灰炭のこの特性を活かすという観点で、無灰炭をコークス製造用バインダー(コークス粘結材)として用いるという応用開発が進められており、また、近年においては、この無灰炭を炭素材料原料として用いることで炭素材料を製造することが試みられている。この無灰炭を用いて、各種炭素材料やコークスを製造する技術は、例えば、特許文献4や特許文献5として提案されている。
この無灰炭は、粉状或いは粒状で製造される場合があり、そのような場合は、保管時や運搬時等における取扱性や利便性の観点から塊状に成形した無灰炭成形物として用いることが検討されている。しかしながら、このような無灰炭成形物は、保管時や運搬時、また、各種炭素材料やコークスを製造する時等に、表層が剥離したり剥脱したりすることがあり、その結果、粉塵が発生しやすくなるという問題がある。勿論、粉状や粒状のまま用いる時は、当然ながら粉塵が発生しやすいという問題がある。
一方、非常に高い温度、或いは高い圧力で、無灰炭を成形すれば、前記した諸問題を解消できる程度の強度を有する無灰炭成形物を製造することが可能ではあるが、多大なコストがかかり現実的な製造方法とはいえず、工業的に実施するのは困難であるといえる。
特開2001−26791号公報 特開2005−120185号公報 特開2008−115369号公報 特開2009−120464号公報 特開2009−215421号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、粉塵の発生を抑制でき、且つ強度に優れると共に、酸化を抑制することもでき、更には安価且つ簡便な無灰炭成形物を製造することができる無灰炭成形物の製造方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、石炭と溶剤を混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、前記溶剤に可溶な石炭成分を含む抽出液と、前記溶剤に非可溶な石炭成分を含む固形分濃縮液とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して粉粒状の無灰炭を回収する改質炭製造工程と、前記粉粒状の無灰炭を塊状に成形して無灰炭成形物を得る成形工程を含み、前記成形工程では、前記無灰炭と水を混合して水分濃度を0.5〜8.0質量%に調整した無灰炭と水との混合物とした後、前記混合物を成形して無灰炭成形物を得ることを特徴とする無灰炭成形物の製造方法である。
請求項2記載の発明は、前記成形工程での成形時における前記無灰炭と水との混合物の温度が、30〜120℃であることを特徴とする請求項1記載の無灰炭成形物の製造方法である。
本発明の無灰炭成形物の製造方法によると、保管時や運搬時、また、各種炭素材料やコークスを製造する時等の粉塵の発生を抑制でき、且つ成形物としての強度に優れると共に、無灰炭の酸化を抑制することもできる無灰炭成形物を、非常に高い温度、或いは高い圧力で、無灰炭を成形するという方法を用いることなく、安価且つ簡便な方法で得ることができる。
本発明の無灰炭成形物の製造方法のうち、改質炭製造工程を模式的に示す工程図である。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の無灰炭成形物の製造方法によると、改質炭製造工程で得た粉粒状の無灰炭を用いて、成形工程で粉粒状の無灰炭を塊状に成形することで、無灰炭成形物を得ることができるが、改質炭製造工程で副産物として副生炭も生成されるので、本明細書では副生炭の製造方法についても併せて説明する。尚、無灰炭および副生炭は、何れも石炭を改質することにより得られる改質炭である。
まず、本発明の無灰炭成形物の製造方法の各工程について説明する前に、図1に示す改質炭製造工程を模式的に示す工程図に基づき、その改質炭製造工程に用いる改質炭製造装置1の構成について、その一例を簡単に説明する。
図1に示すように、改質炭製造装置1は、溶剤を供給する溶剤供給槽2と、石炭を供給する石炭供給槽3と、それら溶剤供給槽2と石炭供給槽3からの供給物を受けてスラリーを調製した後、調整されたスラリーから溶剤に溶ける石炭成分(溶剤可溶成分)を抽出する抽出槽4と、溶剤に溶ける石炭成分を含む抽出液と溶剤に溶けない石炭成分(残渣)を含む固形分濃縮液とに分離する分離槽5と、分離槽5で分離された抽出液から溶剤を除去して無灰炭を回収する無灰炭回収槽6と、分離槽5で分離された固形分濃縮液から溶剤を除去して副生炭を回収する副生炭回収槽7を備えて構成されている。
尚、無灰炭回収槽6で抽出液から除去された溶剤を、再び溶剤供給槽2に戻して再利用しても良く、同様に、副生炭回収槽7で固形分濃縮液から除去された溶剤も、再び溶剤供給槽2に戻して再利用しても良い。無灰炭回収槽6で回収された無灰炭は、灰分が溶剤に溶解されないため実質的に灰分を含んでおらず、水分は概ね0.5質量%以下であって、原料石炭よりも高い発熱量を示す。この無灰炭は、各種炭素材料の原料や、製鉄コークスおよび成形炭のバインダー(コークス粘結剤)等として使用することができる。尚、本発明においては、無灰炭については実質的に灰分を含んでいないことを前提としている。灰分の含有量は勿論0質量%であることが望ましいが、溶剤抽出を経て無灰炭を回収する関係上、不可避的に灰分が含有されてしまう。従って、本発明で説明する無灰炭には、不可避的に含有される微量の灰分の含有は許容される。無灰炭に許容される灰分の含有量の上限は3.0質量%、好ましくは1.5質量%、より好ましくは1.0質量%である。
一方、副生炭回収槽7で回収された副生炭は、溶剤に溶解しなかった灰分を含む。この副生炭には灰分が含まれるものの水分は皆無であり、発熱量も十分に有している。従って、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用等として利用することも可能である。
以下、前記した構成の改質炭製造装置1を用いて、改質炭製造工程で、無灰炭および副生炭を製造し、成形工程で、改質炭製造工程で得られた無灰炭を塊状に成形して無灰炭成形物を製造する本発明の無灰炭成形物の製造方法の一実施形態について説明する。
尚、改質炭製造装置1において、溶剤供給槽2は、溶剤を貯蔵し、この溶剤を抽出槽4へ供給する槽であり、石炭供給槽3は、石炭を貯蔵し、この石炭を抽出槽4へ供給する槽である。また、抽出槽4は、溶剤と石炭とを混合して溶剤に溶ける石炭成分を抽出する槽であり、分離槽5は、抽出後の混合物を抽出液と固形分濃縮液とに分離する槽である。無灰炭回収槽6は、抽出液から溶剤を分離して無灰炭を回収する槽であり、副生炭回収槽7は、固形分濃縮液から溶剤を分離して副生炭を回収する槽である。本発明の無灰炭成形物の製造方法は、改質炭製造工程と成形工程とを含むものである。以下、各工程について説明する。
<改質炭製造工程>
改質炭製造工程は、改質炭製造装置1を用いて、無灰炭および副生炭を製造し、回収する工程である。すなわち、改質炭製造工程は、無灰炭回収工程と副生炭回収工程とからなる。具体的には、まず、石炭供給槽3から供給された石炭と、溶剤供給槽2から供給された溶剤を、抽出槽4で混合して石炭から溶剤に溶ける石炭成分を抽出する。その後、分離槽5で抽出液と固形分濃縮液に分離し、抽出液を無灰炭回収槽6に、固形分濃縮液を副生炭回収槽7に、夫々送る。無灰炭回収槽6に送られた抽出液は、槽内で溶剤が分離され、無灰炭として回収される。一方、副生炭回収槽7に送られた固形分濃縮液は、槽内で溶剤が分離され、副生炭として回収される。尚、抽出液は、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液のことであり、固形分濃縮液は、溶剤に溶けない石炭成分(灰分を含む石炭すなわち灰炭、残渣)を含む濃縮液のことである。
改質炭(無灰炭および副生炭)を得る方法は、公知の方法を用いることができ、製造条件や用いられる溶剤種は、石炭の性状や、炭素材料等、使用用途の原料としての設計を鑑みて、適宜選択されるものである。典型的な方法は、石炭に対して大きな溶解力を持つ溶媒、多くの場合、芳香族溶剤(水素供与性あるいは非水素供与性の溶剤)と石炭を混合して、それを加熱し、石炭中の有機成分を抽出する方法である。
しかしながら、より高効率、かつ安価に改質炭を得るためには、例えば、以下に説明する方法により改質炭を製造することができる。その方法では、まず、抽出槽4において、石炭供給槽3から供給された石炭と、溶剤供給槽2から供給された非水素供与性溶剤とを混合した混合物(スラリー)を加熱して、非水素供与性溶剤に溶ける石炭成分を抽出する。次に、分離槽5において、抽出後のスラリーを抽出液と固形分濃縮液に分離する。分離された一方の抽出液は、無灰炭回収槽6において、非水素供与性溶剤が分離されることで無灰炭となり、無灰炭は回収される。また、他方の固形分濃縮液は、副生炭回収槽7において、非水素供与性溶剤が分離されることで副生炭となり、副生炭も回収される。
原料とする石炭(以下、原料石炭ともいう)には、特に制限はなく、抽出率(無灰炭回収率)の高い瀝青炭を用いても良いし、より安価な劣質炭(亜瀝青炭、褐炭)を用いても良い。尚、供給前に石炭はできるだけ小さな粒子に粉砕しておくのが好ましく、具体的には、粒径(最大長さ)を1mm以下とするのが好ましい。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分(ここでは石炭成分)の割合(以下、抽出率ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。非水素供与性溶剤の主な成分としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他の非水素供与性溶剤の成分として、脂肪族側鎖を有するナフタレン類、アントラセン類、フルオレン類、また、これらにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖を有するアルキルベンゼンが含まれる。
この非水素供与性溶剤を用いて加熱抽出することにより、石炭の抽出率を高めることができる。また、非水素供与性溶剤は、極性溶剤とは違い容易に回収することができるため、循環使用しやすい。更には、高価な水素や触媒等を用いる必要がないため、安価なコストで石炭を可溶化して改質炭を得ることができ、経済性の向上を図ることができる。
溶剤に対する石炭濃度は、原料石炭の種類にもよるが、乾燥炭基準で10〜50質量%の範囲が好ましく、20〜35質量%の範囲がより好ましい。溶剤に対する石炭濃度が10質量%未満の場合、溶剤の量に対し、溶剤に抽出する石炭成分の割合が少なくなり経済的ではない。一方、石炭濃度は高いほど好ましいが、50質量%を超えると、調製したスラリーの粘度が高くなり、スラリーの移動や抽出液と固形分濃縮液との分離が困難となりやすい。
スラリーの加熱温度は、300〜450℃の範囲とすることが好ましい。スラリーの加熱温度をこの範囲とすることにより、石炭を構成する分子間の結合が緩み、緩和な熱分解が起こり、抽出率が最も高くなる。加熱温度が300℃未満の場合、石炭を構成する分子間の結合を弱めるのに不十分となりやすく、抽出率が向上しにくくなる。一方、加熱温度が450℃を超えると、石炭の熱分解反応が非常に活発になり、生成した熱分解ラジカルの再結合が起こるため、抽出率が向上しにくく、また、石炭の変質が起こりにくくなる。より好ましい加熱温度は、300〜400℃である。
加熱時間(抽出時間)は、溶解平衡に達するまでの時間が基準となるが、それを実現することは経済的に不利となる。加熱時間は、石炭の粒子径、溶剤の種類等の条件によって異なるので一概には言えないが、通常、10〜60分程度とする。加熱時間が10分未満では、石炭成分の抽出が不十分となりやすく、一方、60分を超えても、それ以上抽出が進行しないため、経済的ではない。
非水素供与性溶剤に溶ける石炭成分の抽出は、不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。酸素に接触すると発火する恐れがあるため危険であり、また、水素を用いた場合にはコストが高くなるため好ましくない。用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaとすることが好ましい。圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるためには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的でない。
尚、以上の説明では主に経済性の観点から非水素供与性化合物を溶剤として用いる例について述べたが、テトラリンを代表とする水素供与性の化合物(石炭液化油を含む)を溶剤として用いても良いことは勿論である。水素供与性溶剤を用いた場合、無灰炭の収率が向上する。
このようにして、石炭成分を抽出した後のスラリーを抽出液と固形分濃縮液に分離する。スラリーを抽出液と固形分濃縮液とに分離する方法としては、各種の濾過方法や遠心分離による方法が一般的に知られている。しかしながら、濾過による方法ではフィルタの頻繁な交換が必要となり、また、遠心分離による方法では未溶解石炭成分による閉塞が起こりやすく、これらの方法を工業的に実施するのは困難である。従って、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法を採用することが好ましい。この方法を採用することにより、重力沈降槽の上部からは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液である抽出液(以下、上澄み液ともいう)を、重力沈降槽の下部からは溶剤に溶けない石炭成分(残渣)を含む固形分濃縮液を得ることができる。尚、抽出液と固形分濃縮液は、完全に分離するのが理想的であるが、抽出液の一部に溶剤に溶けない石炭成分が混入したり、固形分濃縮液の一部に抽出液が混入したりしても少量であれば差し支えない。
その後、この上澄み液(抽出液)から、非水素供与性溶剤等の溶剤を分離することにより無灰炭を得る。また、固形分濃縮液から溶剤を分離することにより副生炭を得る。上澄み液や固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭を得ることができ、一方、固形分濃縮液からは、灰分を含む副生炭を得ることができる。尚、無灰炭の回収と副生炭の回収は、どちらを先に行っても良く、同時に行っても良い。このようにして改質炭製造装置1で製造された無灰炭は、次の成形工程に供される。
尚、抽出液から回収して得られた無灰炭の形状や粒径分布は、分離方法により変わる。ここで説明する改質炭製造工程が主に対象とするのは、一般的な蒸留法(フラッシュ蒸留等)や蒸発法(スプレードライ法等)などの無灰炭の軟化温度以下の温度で操業する方法である。これらの方法で得られる無灰炭は粒径(最大長さ)が1mm以下の微粒であり、また、無灰炭の水分量は0〜0.5質量%である。
<成形工程>
成形工程は、粉粒状の無灰炭を塊状に成形して無灰炭成形物とする工程である。尚、無灰炭成形物とは、粉粒状の無灰炭を塊状に成形することで得られた所定の立体構造を持つ成形体のことである。無灰炭の成形は、後述する水分濃度を規定する以外は、公知の方法により行うことができる。例えば、圧縮成形や、2ロール式タブレット成形等の成形機を用いて無灰炭成形物を成形することができる。また、微粉砕して高圧プレスすれば比較的容易に成形体を得ることができる。本発明の要旨の一つは、液体状態の水を主たるバインダーとして用いるところにある。本発明者らは、水が無灰炭同士をつなぐバインダー効果を有することを見出し、本発明を完成した。また、水が蒸発する際に無灰炭の熱を奪うので、発火を防ぐ安定化効果も有する(潜熱効果)。
但し、以下に述べるような公知の他のバインダー化合物を使用することを妨げない。例えば、タール、ピッチ、糖蜜、樹脂等、公知の化合物を、バインダー化合物として使用することができる。成形体中におけるバインダー化合物の割合は、20質量%未満が好適である。更に炭素繊維等の適当な充填材や、改質炭製造工程で副生する軽質分等を添加混合して用いても良い。尚、無灰炭成形物とは、無灰炭成形物の80%以上を無灰炭が占めるような、無灰炭が主成分の成形物のことである。
次に、改質炭製造工程で回収された粉粒状の無灰炭を成形するまでの工程の一例について説明する。まず、回収された粉粒状の無灰炭をホッパーに投入する。この無灰炭は、蒸留法や蒸発法等により溶剤を除去しているため、例えば、温度が150℃程度であり、水分量が0〜0.5質量%程度の乾燥状態である。次に、ホッパー中の無灰炭をミキサーに投入し、スプレーにより無灰炭に水をかけて所定温度に冷却すると共に、水分・湿度調整を行い、無灰炭と水との混合物を、最適な水分濃度および成形温度に調整する。尚、このミキサーでの攪拌により、無灰炭の粒子が粉砕されるため、粒径調整も行うことができる。そして、この最適な水分濃度および成形温度に調整した混合物を成形機に投入して成形体とする。このようにして、無灰炭を無灰炭成形物に加工する。
成形工程においては、無灰炭と水とを混合して水分濃度を0.5〜8.0質量%に調整した無灰炭と水との混合物を得て、その混合物を成形して無灰炭成形物を得る。具体的には、成形機で成形する前に、無灰炭と水を混合し、水分濃度を0.5〜8.0質量%に調整した状態で、水と共に無灰炭を成形機で成形する。混合する水の種類については、特に規定する必要はなく、水道水等の一般的に用いられる水を用いて構わない。また、水分濃度とは、無灰炭と水との全体の質量に対する水の質量の割合であり、無灰炭に、前記したバインダー化合物や充填材、軽質分等を添加する場合には、これらを含めた全体の質量に対する水の質量の割合である。
水分濃度が0.5質量%未満では、粒子間接着が十分ではないため、無灰炭成形物から粉塵が生じやすく、無灰炭成形物の強度が不十分となる。一方、8.0質量%を超えると、逆に余剰水分が粒子間に水膜を作って接着を阻害するので、無灰炭成形物から応用に粉塵が生じやすくなる。従って、水分濃度は、0.5〜8.0質量%とする。好ましくは、1.0〜7.0質量%である。尚、成形時に、水分濃度が0.5〜8.0質量%になるようにして成形すると、その結果物である無灰炭成形物の水分量も、略同様に水分濃度が0.5〜8.0質量%になる。
無灰炭と水との混合方法は、特に限定されるものではなく、前記したように、例えば、ミキサーに無灰炭を入れ、これに所定の水分濃度となるようにスプレー等により水の噴霧量を調整して水を加えて、攪拌することにより行えば良い。尚、無灰炭はできるだけ小さな粒子に粉砕しておくことが好ましく、粒径(最大長さ)を1mm以下とするのが好ましい(二次粒径を1mm以下に粉砕する)。また、上述したように、ミキサー等により、無灰炭への水の混合と、無灰炭の粉砕とを同時に行うことで、無灰炭の水分調整を均一に行うことができる。
成形機での成形時における無灰炭と水との混合物の温度は特に限定されるものではないが、30〜120℃であることが好ましい。無灰炭と水との混合物の温度が30℃以上であれば、成形体の強度が向上し、成形が容易となる。また、120℃以下、好ましくは100℃未満であれば、水分調整がしやすくなり、取り扱いが容易となる。より好ましくは50〜90℃である。尚、必要に応じて、成形機に投入する前に、例えばヒーターやスチーム等を用いて保温をしても良い。
このようにして製造された無灰炭成形物は、前記した無灰炭の用途と同様に、各種炭素材料の原料や、製鉄コークスおよび成形炭のバインダー(コークス粘結剤)等として利用することができる。
以上説明したように、本発明の無灰炭成形物の製造方法は、改質炭製造工程、成形工程を含むものである。しかし、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、原料石炭を粉砕する石炭粉砕工程や、ごみ等の不要物を除去する除去工程や、無灰炭を乾燥させる無灰炭乾燥工程等、他の工程を含めても構わない。
また、前記した改質炭製造工程における改質炭の製造方法は、無灰炭および副生炭を製造(回収)するための一例であり、この方法に限定するものではない。すなわち、本発明に用いることができる無灰炭を製造できるものであれば、他の方法であっても構わず、前記の改質炭製造工程における各条件は、他の条件であっても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる
<無灰炭の製造>
まず、以下の方法により、無灰炭を製造した。オーストラリア産瀝青炭を原料石炭とし、この原料石炭5kgに対し、4倍量(20kg)の溶剤(1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30Lのバッチ式オートクレーブ中370℃、1時間の条件で抽出処理した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄み液(抽出液)と固形分濃縮液とに分離した。
無灰炭200g分を含有する上澄み液2リットルを、エタノール20リットルに投入して撹拌し、無灰炭粉末を析出させた。この無灰炭粉末を更に新しいエタノールで洗浄した後、100℃の窒素中で1時間加熱処理することにより乾燥させて、無灰炭を回収した。回収した無灰炭の水分濃度は、0.1質量%、灰分濃度は0.5質量%以下、平均粒径は0.05mmであった。
尚、本実施例では、平均粒径が0.05mm程度の微粉状の無灰炭粉末を実験設備の規模で製造するため、前記した溶媒析出法を用いたが、実際の工業的規模の実機ではスプレイドライ法などが用いられる。
<成形工程>
回収した無灰炭に、表1に示す水分濃度になるように所定量の水を加えて、Vミキサーで10分間混合し、水分調整した。水分の測定は、石炭JIS(JISM8812)に準じて行った。但し、風乾はしないこととし、付着水(風乾によって蒸発してしまう水を意味する)も含めて測定した。
次に、この混合物を金型に入れ、圧力を加えながら加熱することで、タブレット(無灰炭成形物)を成形した。成形の際の条件は以下のとおりである。
温度:40〜120℃(表1に示す)
圧力:1トン/cm
金型:直径20mm
充填量:6グラム
このようにして製造した、水分濃度、成形時における温度が夫々異なるタブレットを用いて、強度の指標として圧壊試験を、粉塵発生の抑制の指標としてアブレージョン試験を、夫々実施した。
<圧壊試験>
圧壊試験は、円筒状のタブレットの中心軸に対して垂直の方向に圧縮荷重を加えて、破壊に至る荷重を測定することにより行った。この圧壊試験では、圧壊荷重が30kgf以上(但し、1kgf=約9.8N)であるものを強度に優れるとして合格とした。
<アブレージョン試験>
アブレージョン試験は、まず、直径250mmの円筒容器にタブレット20個を入れ、30RPMで10分間回転させた。その後、このタブレットを目開き5.66mmの篩いで篩って、篩い下に落下した粉体を秤量することにより行った。このブレージョン試験では、粉体がタブレッド全体の質量に対して11質量%以下のものを粉塵の発生を十分に抑制できるとして合格とした。
試験結果を表1に示す。尚、表1において、本発明の範囲を満たさないもの、評価基準を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
No.3〜7、10〜12は、本発明の要件を満たす発明例であるため、圧壊試験による圧壊荷重が30kgf以上、アブレージョン試験による篩い下に落下した粉体が11質量%以下という合格判定基準を満足することができた。尚、No.12は、本発明の要件を満たすものの、成形時における温度が40℃と低めであったので、圧壊荷重が合格判定基準の下限である30kgf、篩い下に落下した粉体も合格判定基準の上限に近い10.9質量%という結果であった。
一方、No.1、2は、水分濃度が0.5質量%に満たない比較例、No.8、9は、水分濃度が8質量%を超える比較例である。よって、圧壊試験による圧壊荷重が30kgf以上、アブレージョン試験による篩い下に落下した粉体が11質量%以下という合格判定基準のうち、少なくとも一方の合格判定基準を満たさないという結果となった。
1…改質炭製造装置
2…溶剤供給槽
3…石炭供給槽
4…抽出槽
5…分離槽
6…無灰炭回収槽
7…副生炭回収槽

Claims (2)

  1. 石炭と溶剤を混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、前記溶剤に可溶な石炭成分を含む抽出液と、前記溶剤に非可溶な石炭成分を含む固形分濃縮液とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して粉粒状の無灰炭を回収する改質炭製造工程と、
    前記粉粒状の無灰炭を塊状に成形して無灰炭成形物を得る成形工程を含み、
    前記成形工程では、前記無灰炭と水を混合して水分濃度を0.5〜8.0質量%に調整した無灰炭と水との混合物とした後、前記混合物を成形して無灰炭成形物を得ることを特徴とする無灰炭成形物の製造方法。
  2. 前記成形工程での成形時における前記無灰炭と水との混合物の温度が、30〜120℃であることを特徴とする請求項1記載の無灰炭成形物の製造方法。
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