JP2009215505A - 無灰炭の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟化温度が高く、炭素収率を向上させることができる無灰炭と、軟化温度が低く、熱流動性に優れる無灰炭と、を同時に製造することができる無灰炭の製造方法を提供する。
【解決手段】石炭と芳香族溶剤とを混合したスラリーを加熱処理する第1スラリー加熱工程(S1)と、この加熱処理したスラリーを、液体成分と、固体成分に分離する第1分離工程(S2)と、この固体成分に芳香族溶剤を加えて混合したスラリーを、第1スラリー加熱工程(S1)での加熱処理よりも高い温度で加熱処理する第2スラリー加熱工程(S3)と、この加熱処理されたスラリーを、液体成分と、固体成分に分離する第2分離工程(S4)と、この液体成分から芳香族溶剤を除去して、無灰炭を取得する改質炭取得工程(S5)と、を含み、さらに、第1分離工程で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、無灰炭を取得することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造材料や電気材料を構成する炭素材料の原料として利用される無灰炭の製造方法に関する。
従来、炭素材料は、耐熱性や化学的安定性に優れ、しかも電気伝導性があるため、構造材料や電気材料として広く利用されている。また、炭素は高温で多くの金属酸化物を還元する作用を示すので、シリコンやチタン等の精錬における還元剤としても使用される。炭素材料に求められる特性はその用途により様々であるが、炭素材料の特性を劣化させること、汚染のもとになること等の理由から、炭素以外の不純物(灰分と称される)が少ないほどよい。特に、冶金用還元剤として使う際には、灰分が少ないことが要求される。
このような炭素材料の原料として、骨材としてのコークス粉(石炭コークスや石油コークス)、および、成形用バインダーとしてのタールやピッチが用いられている。コークスは石油を乾留して製造されるものであり、揮発分が1質量%と少なく、溶融することなく炭素化し、固定炭素(炭素収率)が90質量%程度と高いことが特徴である。タールやピッチは、乾留工程での副原料であり、固定炭素はコークスほど高くはないが、加熱すると溶融する性質があり、コークス粒子をつなぐ役割(バインダーの役割)を果たす。そして、炭素材料の製造工程では、通常、このようなコークス粉等の骨材成分と、バインダー成分を混合して成形し、高温に加熱処理して炭素化させている。
ここで、例えば、石炭コークスは、製鉄用コークスを製造する際の未利用成分であり、石油コークスは、石油精製プロセスの副生成物であり、また、タールやピッチ類も、石炭や石油精製工業の副生成物である。このように、これらいずれの原料も、他の製造プロセスの未利用成分や副生成物であるため、その成分中に灰分を含み(例えば、コークスでは10質量%前後の灰分を含む)、これを使って製造される炭素材料も灰分を含むことが避けられない。しかし、この灰分は炭素材料の特性を劣化させるので、成分中に含まれることは好ましくない。なお、乾留は1000℃以上の高温で熱処理するプロセスであるため、大量のエネルギーを必要とし、炭素製造工程では、再び1000℃以上の熱処理を行うことから、高温での2度の熱処理をすることになり、非効率的である。
そこで、低灰分の炭素材料の原料という観点で、最近、活発に開発が進められている、いわゆる、無灰炭(ハイパーコール)を挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。ここで、無灰炭とは、石炭を溶剤で抽出処理し、この溶剤に溶ける成分だけを分離して、その後、溶剤を除去することによって、製造されたものである。この無灰炭は、構造的には、縮合芳香環が2ないし3個の比較的低分子量の成分から、5、6環程度の高分子量成分まで広い分子量分布を有する。また、無灰炭は、灰分が溶剤には溶けないため、実質的に灰分を含まず、加熱下で高い流動性を示し、熱流動性に優れる。石炭の中には粘結炭のように400℃前後で熱可塑性を示すものもあるが、無灰炭は、一般的に、原料石炭の品位に関わらず200〜300℃で溶融する。そこで、この特性を生かして、バインダー成分としての応用開発が進められており、また、近年においては、コークスの替わりに、この無灰炭を骨材成分として用いることで炭素材料を製造することが試みられている。
特開2001−26791号公報
しかしながら、従来の無灰炭の製造方法では、以下に示す問題がある。
前記したとおり、従来の製造方法により製造された無灰炭は溶融する温度が、一般的に、200〜300℃程度であり、骨材成分として、また、バインダー成分として用いることが試みられている。
ここで、無灰炭をコークスの替わりに骨材成分として用いる場合には、溶融する温度が一般的に、200〜300℃程度であり、また、前記のとおり、幅広い分子量分布を有することから、コークスに比べると、揮発分が多く、固定炭素(炭素収率)が低下するという問題がある。一方、無灰炭をバインダー成分として用いる場合には、タールやピッチに比べると、軟化温度が高く、熱流動性が低いため、バインダーとしての機能が十分に発揮されにくいという問題がある。
また、このような、骨材成分として使用するための無灰炭、および、バインダー成分として使用するための無灰炭を、製造条件を変えて、それぞれ別工程で製造することが考えられるが、別工程で製造することは、製造の効率が悪く、経済的ではないという問題がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軟化温度が高く、炭素収率を向上させることができる無灰炭と、軟化温度が低く、熱流動性に優れる無灰炭と、を同時に製造することができる無灰炭の製造方法を提供することにある。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、石炭と芳香族溶剤とを混合したスラリーを加熱処理する第1スラリー加熱工程と、前記第1スラリー加熱工程で加熱処理されたスラリーを、石炭が溶解した液体成分と、灰分および不溶石炭を含む固体成分と、に分離する第1分離工程と、前記第1分離工程で分離された固体成分に芳香族溶剤を加えて混合し、この混合したスラリーを、前記第1スラリー加熱工程における加熱処理よりも高い温度で加熱処理する第2スラリー加熱工程と、前記第2スラリー加熱工程で加熱処理されたスラリーを、石炭が溶解した液体成分と、灰分および不溶石炭を含む固体成分と、に分離する第2分離工程と、前記第2分離工程で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭を取得する改質炭取得工程と、を含み、前記改質炭取得工程において、前記無灰炭を取得することに加え、前記改質炭取得工程において、さらに、前記第1分離工程で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭を取得することを特徴とする。
このような製造方法によれば、第1スラリー加熱工程において、スラリーを第2スラリー加熱工程における加熱処理よりも低い温度で加熱処理して石炭成分を芳香族溶剤に加熱抽出することで、この加熱抽出された液体成分から、軟化温度の低い無灰炭(以下、適宜、第1無灰炭という)が製造される。また、第2スラリー加熱工程において、第1分離工程で分離された固体成分に芳香族溶剤を加えて混合したスラリーを、第1スラリー加熱工程における加熱処理よりも高い温度で加熱処理して石炭成分を芳香族溶剤に加熱抽出することで、この加熱抽出された液体成分から、軟化温度の高い無灰炭(以下、適宜、第2無灰炭という)が製造される。
本発明に係る無灰炭の製造方法は、前記改質炭取得工程において、前記第1分離工程で分離された液体成分および前記第2分離工程で分離された液体成分から前記無灰炭を取得することに加え、前記改質炭取得工程において、さらに、前記第2分離工程で分離された固体成分から前記芳香族溶剤を除去して、改質炭である副生炭を取得することを特徴とする。
このような製造方法によれば、無灰炭の製造による副産物を副生炭として利用でき、また、芳香族溶剤を回収することができる。
本発明に係る無灰炭の製造方法によれば、軟化温度が高く、炭素収率を向上させることができる、骨材成分として使用するための無灰炭を、高効率、かつ安価に製造することができる。これに加え、軟化温度が低く、バインダー成分として使用するための、熱流動性に優れる無灰炭を、高効率、かつ安価に製造することができる。そして、これら2種類の無灰炭を同時に製造することができるため、無灰炭の製造をさらに高効率、かつ安価に行うことができる。
さらに、無灰炭に加え、副生炭も高効率、かつ安価に製造することができる。
次に、図面を参照して本発明に係る無灰炭の製造方法ついて詳細に説明する。なお、参照する図面において、図1は、無灰炭の製造方法の工程を説明するフローチャート、図2は、無灰炭の製造方法の概略を示す模式図、図3は、重力沈降法を行うための固液分離装置を示す模式図である。
≪無灰炭の製造方法≫
図1、2に示すように、無灰炭の製造方法は、第1スラリー加熱工程(S1)と、第1分離工程(S2)と、第2スラリー加熱工程(S3)と、第2分離工程(S4)と、改質炭取得工程(S5)と、を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<第1スラリー加熱工程(S1)>
第1スラリー加熱工程(S1)は、石炭と芳香族溶剤とを混合してスラリーを調製し、その石炭と芳香族溶剤を含むスラリーを加熱処理する工程である(第1スラリー加熱処理)。そして、スラリーを加熱処理することによって、石炭成分が芳香族溶剤に加熱抽出される。
原料となる石炭(以下、「原料石炭」ともいう)は、軟化溶融性をほとんど持たない非微粘結炭や、一般炭、低品位炭である褐炭、亜瀝青炭等の劣質炭を使用することが好ましい。これらのような安価な石炭を使用することにより、無灰炭をさらに安価に製造することができるため、経済性の向上を図ることができる。しかし、用いる石炭は、これら劣質炭に限るものではなく、瀝青炭を使用してもよい。
なお、ここでの劣質炭とは、非微粘結炭、一般炭、低品位炭等の石炭をいう。また、低品位炭とは、20質量%以上の水分を含有し、脱水することが望まれる石炭のことである。このような低品位炭には、例えば、褐炭、亜炭、亜瀝青炭がある。例えば、褐炭には、ビクトリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭等があり、亜瀝青炭には、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガウ炭等がある。低品位炭は前記例示のものに限定されず、多量の水分を含有し、脱水することが望まれる石炭は、いずれも本発明のいう低品位炭に含まれる。
石炭を溶解する芳香族溶剤としては、一般的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の1環芳香族化合物や、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等の2環芳香族化合物等が用いられる。また、2環芳香族化合物には、その他脂肪族側鎖をもつナフタレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。なお、非水素供与性溶剤である2環芳香族化合物が好ましい。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される石炭成分の割合(以下、「抽出率」ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。そして、この回収した溶剤は、経済性の向上を図るため、循環して繰り返し使用することもできる。
芳香族溶剤は、沸点が180〜330℃のものが好ましい。沸点が180℃未満であると、加熱抽出の際、または、後記する第1分離工程(S2)および第2分離工程(S4)での必要圧力が高くなり、また、芳香族溶剤を回収する工程で揮発による損失が大きくなり、芳香族溶剤の回収率が低下する。さらに、加熱抽出での抽出率が低下する。一方、330℃を超えると、改質炭取得工程(S5)での液体成分、または、固体成分からの芳香族溶剤の分離が困難となり、溶剤の回収率が低下する。
芳香族溶剤に対する石炭濃度は、原料石炭の種類にもよるが、乾燥炭基準で10〜50質量%の範囲が好ましく、20〜35質量%の範囲がより好ましい。芳香族溶剤に対する石炭濃度が10質量%未満であると、芳香族溶剤の量に対し、芳香族溶剤に抽出する石炭成分の割合が少なくなり、経済的ではない。一方、石炭濃度は高いほど好ましいが、50質量%を超えると、スラリーの粘度が高くなり、スラリーの移動や第1分離工程(S2)および第2分離工程(S4)での液体成分と固体成分との分離が困難となりやすい。
なお、後記する第2スラリー加熱工程(S3)における芳香族溶剤に対する固体成分の濃度についても、前記と同様である。
第1スラリー加熱工程(S1)でのスラリーの加熱処理(加熱抽出)は、比較的低温で行う。公知のように、溶剤の溶解力は、温度の上昇とともに増大する傾向がある。したがって、第1スラリー加熱工程(S1)では、比較的低温で加熱処理することで、石炭のうち、比較的溶けやすい成分、すなわち、分子量が比較的小さく、その結果として比較的低温で溶融する成分が抽出される。そのため、第1スラリー加熱工程(S1)で得られる無灰炭は、比較的低い軟化温度を示す。なお、「軟化温度が低い」とは、一般的な無灰炭の軟化温度が200〜300℃程度のため、ここでは、200℃程度以下のことをいう。
加熱温度は、比較的低温であれば、特に限定されるものではないが、250〜350℃の温度で行うのが好ましい。この温度範囲は、溶剤抽出において、一般的に、比較的低温であるといえる。加熱温度をこの範囲とすることにより、適度な抽出率を確保しつつ、後記する改質炭取得工程(S5)において、軟化温度が低い無灰炭を得ることができる。
スラリーの加熱温度が250℃以上であると、第1スラリー加熱工程(S1)で分離される低分子量成分の量が多くなり、比較的低温で溶融する成分が十分に抽出され、第2スラリー加熱工程(S3)で、この成分が抽出される割合が少なくなるため、第2無灰炭の軟化温度が十分高くなる。また、第1無灰炭の抽出率(無灰炭の収率)が低く(例えば、15質量%未満)なりすぎない。一方、350℃以下であると、比較的高温で溶融する成分が抽出されないため、第1無灰炭の軟化温度が高くならず、また、第1スラリー加熱工程(S1)での抽出率が高くなりすぎないため、第2無灰炭の抽出率(収率)が低く(例えば、15質量%未満)なりすぎない。なお、より適度な抽出率を確保しつつ、無灰炭の軟化温度を下げるため、好ましくは、300〜320℃である。
ただし、前記した加熱温度は、目安であり、使用する石炭や溶剤の種類、求める製品の性質等により、適宜調整する。
ここで、第1スラリー加熱工程(S1)での抽出率(無灰炭の収率)は、全無灰炭収率(第1無灰炭の収率+第2無灰炭の収率)の30〜70質量%前後を目安とする(例えば、全無灰炭収率が60質量%であれば、第1無灰炭の収率は、18〜42質量%(石炭基準)を取得することを目安とする)。
なお、第1無灰炭における所望の収率や軟化温度は目安であり、使用する石炭や溶剤の種類、求める製品の性質等により、変わるものである。
加熱時間(抽出時間)は、溶解平衡に達するまでの時間が規準であるが、それを実現することは経済的に不利である。従って、石炭の粒子径、溶剤の種類等の条件によって異なるので一概には言えないが、通常は、予熱器を通過して、所定の抽出温度に到達後、10〜60分程度である。加熱時間が10分未満であると、石炭成分の抽出が不十分となりやすく、一方、60分を超えても、それ以上抽出が進行しないため、経済的ではない。また、第1分離工程(S2)へ移行する前に、この加熱したスラリーを冷却処理により、石炭から溶出した溶質が再析出しない程度の温度、例えば150℃以上200℃未満程度まで冷却してもよい。スラリーを冷却することで、その後の取り扱いが容易となり、また、第1スラリー加熱工程(S1)での過度な熱分解を避けることができる。その他、沈降槽の圧力を下げたり、バルブ等の仕様の水準を下げたりすることができる。
なお、この加熱抽出の際、石炭の熱分解により、主に平均沸点(Tb50:50%留出温度)が200〜300℃にある芳香族に豊富な成分が生成し、好適に芳香族溶剤の一部として利用することができる。
加熱抽出は、非還元性雰囲気で行うことが好ましい。具体的には、不活性ガスの存在下で行う。加熱抽出の際、酸素に接触すると、発火する恐れがあるため危険であり、また、水素を用いた場合には、コストが高くなるためである。
加熱抽出で用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、加熱抽出での圧力は、加熱抽出の際の温度や用いる芳香族溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が芳香族溶剤の蒸気圧より低い場合には、芳香族溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。芳香族溶剤を液相に閉じ込めるには、芳香族溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
<第1分離工程(S2)>
第1分離工程(S2)は、前記第1スラリー加熱工程(S1)で加熱処理されたスラリーを、液体成分と固体成分とに分離する工程である(第1スラリー分離)。
ここで、液体成分とは、石炭が溶解した溶液、すなわち、芳香族溶剤に溶解した(抽出された)石炭成分を含む溶液をいい、固体成分とは、芳香族溶剤に不溶な灰分および不溶石炭を含むスラリーをいう。
第1分離工程(S2)でスラリーを液体成分と固体成分とに分離する方法としては、特に限定されるものではないが、重力沈降法を用いることが好ましい。
スラリーを液体成分と固体成分とに分離する方法としては、各種の濾過方法や遠心分離による方法が一般的に知られている。しかしながら、濾過による方法ではフィルタの頻繁な交換が必要であり、また、遠心分離による方法では未溶解石炭成分による閉塞が起こりやすく、これらの方法を工業的に実施するのは容易ではない。従って、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法を用いることが好ましい。これにより、重力沈降槽の上部からは、芳香族溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液である液体成分(以下、「上澄み液」ともいう)を、重力沈降槽の下部からは芳香族溶剤に不溶な灰分と不溶石炭を含むスラリーである固体成分(以下、「固形分濃縮液」ともいう)を得ることができる。なお、重力沈降法は、選択肢の一つであり、他の方法を用いても構わない。
以下、重力沈降法の一例について、図1、3を参照して説明する。
図3に示すように、重力沈降法では、固液分離装置100において、まず、石炭スラリー調製槽1で、原料である粉体の石炭と芳香族溶剤とを混合し、スラリーを調製する。次に、ポンプ2によって、石炭スラリー調製槽1からスラリーを予熱器3に所定量供給し、スラリーを250〜350℃まで加温する。そして、加温したスラリーを抽出槽(抽出器)4に供給し、攪拌機10で攪拌しながら250〜350℃で10〜60分加熱する(第1スラリー加熱工程(S1))。加熱した後は、必要に応じて冷却器7により、直ちに150℃以上200℃未満に冷却してもよい。なお、スラリーを冷却するために、抽出槽4に冷却機構を設けておいてもよい。そして、この抽出処理を行ったスラリーを、重力沈降槽5へ供給して、スラリーを上澄み液と固形分濃縮液とに分離し(第1分離工程(S2))、重力沈降槽5の下部に沈降した固形分濃縮液を固形分濃縮液受器6に排出するとともに、上部の上澄み液をフィルターユニット8へ所定量排出する。
ここで、重力沈降槽5内は、原料の石炭から溶出した溶質の再析出を防止するため、スラリーを加熱した温度、スラリーを加熱した後に冷却した場合は、加熱後に冷却した温度に維持することが好ましく、また、圧力は、1.0〜2.0MPaの範囲とすることが好ましい。また、重力沈降槽5内において、所定の温度で維持する時間は、スラリーを上澄み液と固形分濃縮液とに分離するのに必要な時間であり、一般的に60〜120分であるが、特に限定されるものではない。
なお、重力沈降槽5の数を増やすことにより、固形分濃縮液に同伴した芳香族溶剤に可溶な成分を回収することができるが、効率的に回収するには、重力沈降槽5を二段に配置するのが適当である。
そして、重力沈降槽5内から排出された上澄み液は、必要に応じて、フィルターユニット8によってろ過され、上澄み液受器9に回収される。
そして、以下に説明するように、この固体成分は、第2スラリー加熱工程(S3)へ供給し、第2分離工程(S4)を経て、軟化温度の高い無灰炭(第2無灰炭)を製造し、また、液体成分は、蒸留法等を用いて芳香族溶剤を分離・回収し、軟化温度の低い無灰炭(第1無灰炭)を製造する(改質炭取得工程(S5))。
なお、必要に応じて、第2分離工程(S4)で分離された固体成分(固形分濃縮液)からは、芳香族溶剤を分離・回収し、改質炭である灰分の濃縮された副生炭を得ることができる。そして、固形分濃縮液受器6に排出された固形分濃縮液から分離・回収された芳香族溶剤および上澄み液受器9に回収された上澄み液から分離・回収された芳香族溶剤は、必要に応じて、石炭スラリー調製槽1へ循環する(便宜上、図3の点線部分で示す)。
<第2スラリー加熱工程(S3)>
第2スラリー加熱工程(S3)は、前記第1分離工程で(S2)分離された固体成分に芳香族溶剤を加えて混合してスラリーを調整し、その固体成分と芳香族溶剤を含むスラリーを、前記第1スラリー加熱工程(S1)における加熱処理よりも高い温度で加熱処理する工程である(第2スラリー加熱処理)。そして、スラリーを加熱処理することによって、石炭成分が芳香族溶剤に加熱抽出される。
第2スラリー加熱工程(S3)については、加熱処理における加熱温度以外については、前記第1スラリー加熱工程(S1)と同様であるので、ここでは、加熱処理における加熱温度について説明する。
第2スラリー加熱工程(S3)では、第1スラリー加熱工程(S1)における加熱処理よりも高い温度で加熱処理するので、第1スラリー加熱工程(S1)とは逆に、第2スラリー加熱工程(S3)では、より解けにくい成分、すなわち、分子量が比較的大きく、溶融しにくい成分が抽出される。そのため、第2スラリー加熱工程(S3)で得られる無灰炭は、比較的高い軟化温度を示す。なお、「軟化温度が高い」とは、一般的な無灰炭の軟化温度が200〜300℃程度のため、ここでは、300℃程度以上のことをいう。
第2スラリー加熱工程(S3)での加熱温度が、第1スラリー加熱工程(S1)における加熱処理での温度以下であると、軟化温度が高くならず、また、抽出率(収率)の向上も望めない。
第2スラリー加熱工程(S3)での加熱温度は、第1スラリー加熱工程(S1)における加熱処理よりも高い温度であれば、特に限定されるものではないが、350℃〜420℃の温度で行うのが好ましい。加熱温度をこの範囲とすることにより、石炭を構成する分子間の結合が緩み、緩和な熱分解が起こり、抽出率が高くなる。また、後記する改質炭取得工程(S5)において、軟化温度が高い無灰炭を得ることができる。
スラリーの加熱温度が350℃以上であると、石炭を構成する分子間の結合を弱めるのに十分であり、抽出率(収率)が向上しやすい。また、得られる無灰炭の軟化温度が高くなりやすい。一方、420℃以下であると、熱分解による軽質成分の生成が抑制され、得られる無灰炭の軟化温度が向上しやすい。また、熱分解・炭化(重合)反応の速度が低下する傾向にあり、その結果、炭化反応によって、溶解成分が不溶解成分に変化しにくく、抽出率が向上しやすい。なお、抽出率を向上させるとともに、無灰炭の軟化温度を上げるため、好ましくは、380〜400℃である。
ただし、前記した加熱温度は、目安であり、使用する石炭や溶剤の種類、求める製品の性質等により、適宜調整する。なお、第1スラリー加熱工程(S1)での加熱温度が350℃の場合は、第2スラリー加熱工程(S3)での加熱温度は350℃を超える温度とする。また、第2無灰炭における所望の収率や軟化温度は目安であり、使用する石炭や溶剤の種類、求める製品の性質等により、変わるものである。
また、第2分離工程(S4)へ移行する前に、この加熱したスラリーを冷却処理により、石炭から溶出した溶質が再析出しない程度の温度、例えば200〜360℃程度まで冷却してもよい。スラリーを冷却することで、その後の取り扱いが容易となり、また、第2スラリー加熱工程(S3)での過度な熱分解を避けることができる。その他、沈降槽の圧力を下げたり、バルブ等の仕様の水準を下げたりすることができる。
その他の条件等については、前記第1スラリー加熱工程(S1)と同様である。
なお、第1スラリー加熱工程(S1)、第2スラリー加熱工程(S3)ともに、同じ固液分離装置を用いることができるが、別々の固液分離装置を用いてもよい。
<第2分離工程(S4)>
第2分離工程(S4)は、前記第2スラリー加熱工程(S3)で加熱処理されたスラリーを、液体成分と固体成分とに分離する工程である(第2スラリー分離)。
第2分離工程(S4)については、重力沈降法での温度制御に関する事項以外については、前記第1分離工程(S2)と同様であるので、ここでは、重力沈降法での温度制御に関する事項について説明する。
重力沈降法の一例としては、前記第1分離工程(S2)とほぼ同様であるが、第2分離工程(S4)では、スラリーを350℃〜420℃で10〜60分加熱する。なお、スラリーを加熱した後、直ちに、200〜360℃に冷却してもよい。また、重力沈降槽5内は、スラリーを加熱した温度、スラリーを加熱した後に冷却した場合は、加熱後に冷却した温度に維持することが好ましく、また、圧力は、1.0〜2.0MPaの範囲とすることが好ましい。
その他については、前記第1分離工程(S2)での重力沈降法の一例と同様である。
なお、第1分離工程(S2)、第2分離工程(S4)ともに、同じ固液分離装置を用いることができるが、別々の固液分離装置を用いてもよい。
<改質炭取得工程(S5)>
改質炭取得工程(S5)は、前記第2分離工程(S4)で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭(第2無灰炭)を取得する工程である。
また、前記第2無灰炭を取得することに加え、前記第1分離工程(S2)で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭(第1無灰炭)を取得する工程である。
液体成分(上澄み液)から芳香族溶剤を分離して除去する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、分離して回収された芳香族溶剤は石炭スラリー調製槽1(図3参照)へ循環して繰り返し使用することができる。芳香族溶剤の分離・回収(固液分離)により、上澄み液からは、灰分濃度が極めて少ない無灰炭を得ることができる。この無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、原料石炭よりも遥かに優れた性能(熱流動性)を示す。
そして、第1無灰炭は、軟化温度が低く、熱流動性に優れるため、バインダー成分として用いることができる。そのため、後記するように、第2無灰炭に添加して、炭化物の成形性を向上させることができる。
また、第2無灰炭は、軟化温度が高く、炭素収率を向上させることができるため、コークスの替わりに、骨材成分として用いることができる。
そして、この第2無灰炭を不活性ガス雰囲気中で1000℃以上の高温で熱処理して炭素化させ、炭化物を製造する。なお、第2無灰炭に、第1無灰炭、タール、ピッチ等をバインダー成分として添加し、成形性を向上させてもよく、また、第2無灰炭に、例えば、350〜425℃、30分〜6時間程度の熱処理を施すことで、自己焼結性(バインダー成分を添加しなくても、成形が可能で、それを加熱処理することによって、その形状を保ったまま炭素化するような性質)を向上させてもよい。
なお、必要に応じて、前記改質炭取得工程(S5)において、前記第1分離工程(S2)で分離された液体成分および前記第2分離工程(S4)で分離された液体成分から無灰炭(第1無灰炭および第2無灰炭)を取得することに加え、前記第2分離工程(S4)で分離された固体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である副生炭を製造してもよい(副生炭取得工程)。
この副生炭は、含酸素官能基が脱離されており、また、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。従って、この副生炭は、各種の燃料用等として利用することが可能である。
固体成分(固形分濃縮液)から芳香族溶剤を分離して除去する方法は、前記した液体成分から無灰炭を取得する改質炭取得工程(S5)と同様に、一般的な蒸留法や蒸発法を用いることができ、分離して回収された芳香族溶剤は、石炭スラリー調製槽1(図3参照)へ循環して繰り返し使用することができる。芳香族溶剤の分離・回収(固液分離)により、固形分濃縮液からは灰分が濃縮された副生炭を得ることができる。
なお、第2分離工程(S4)で分離された液体成分から灰分のない無灰炭のみを炭素材料の原料として製造し、固体成分からは芳香族溶剤のみ回収し、灰分の濃縮された副生炭は、廃棄してもよい。
また、前記した第1無灰炭、第2無灰炭および副生炭の取得における固液分離は、同じ装置を用いて、順次行うことができるが、それぞれ別の装置を用いて行ってもよい。さらに、第1無灰炭、第2無灰炭および副生炭の取得においては、これらを同じタイミングで同時に取得されるようにしてもよく、いずれか一つ、または二つを先に取得するようにしてもよい。
本発明は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、原料石炭を粉砕する石炭粉砕工程や、ごみ等の不要物を除去する除去工程や、得られた無灰炭を乾燥させる乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
次に、本発明に係る無灰炭の製造方法について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[第1実施例]
第1実施例では、第1スラリー加熱工程での加熱温度と、得られる第1無灰炭の性状の関係について調べた(第1実験例)。
原料石炭である瀝青炭(炭素含有率84.5質量%(daf basis))5kgに対し、4倍量(20kg)の芳香族溶剤(1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30リットルのオートクレーブ中、表1に示す温度で、30分加熱処理(加熱抽出)した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄み液(第1上澄み液)と固形分濃縮液(第1固形分濃縮液)とに分離し、第1上澄み液から蒸留法で芳香族溶剤を分離・回収して、無灰炭(第1無灰炭)を製造した。
得られた第1無灰炭について、無灰炭収率(抽出率)を求めた。
具体的には、(第1無灰炭の質量/原料石炭の質量)×100の式により求めた。
なお、原料石炭は、無水無灰炭ベースである。
また、得られた第1無灰炭について、JIS M 8801に規定されたギーセラー軟化流動試験を行い、軟化温度を求めた。
次に、この第1無灰炭から、炭化物を製造した。
第1無灰炭100gを内容積0.5リットルのオートクレーブに入れ、1リットル/分の窒素流通下で、400℃×40分の処理条件で、加熱処理を行った。そして、この加熱処理された無灰炭を炭素原料とした。
次に炭素原料を0.149mm以下になるように(目開き0.149mmの篩いを通過するように)粉砕し、粉砕した炭素原料を直径30mmの円筒形キャビティを有する金型に5gを充填し、0.5トン/cmの圧力でプレス成形し、厚さ7.1mmの成形体を製造した。この成形体を、窒素雰囲気中1℃/分の速度で加熱して、1200℃で炭素化し、炭化物を製造した。
得られた炭化物について、炭素収率を求めた。
具体的には、(炭化物の質量/炭素原料の質量)×100の式により求めた。なお、炭化物の質量は、生成した炭素の質量、炭素原料の質量は、加熱処理された無灰炭の質量である。
この結果を表1に示す。
Figure 2009215505
表1に示すように、390℃までは、加熱温度が高くなるほど、無灰炭収率、軟化温度、炭素収率ともに向上することがわかる。また、加熱温度が200℃では、無灰炭収率が他のものと比べて低いことがわかる。さらに、加熱温度が390℃では、軟化温度が265℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、低くならないことがわかる。
[第2実施例]
第2実施例では、第1実施例において、第1スラリー加熱工程での熱処理温度が、300℃、350℃、200℃のものについて、第2スラリー加熱工程での加熱温度と、得られる第2無灰炭の性状の関係について調べた(第2実験例)。
第2無灰炭は、前記第1実施例で得られた第1固形分濃縮液を用いて製造した。
第1固形分濃縮液5kgに対し、3倍量(15kg)の芳香族溶剤(1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30リットルのオートクレーブ中、表2に示す温度で、30分加熱処理(加熱抽出)した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄み液(第2上澄み液)と固形分濃縮液(第2固形分濃縮液)とに分離し、第2上澄み液から蒸留法で芳香族溶剤を分離・回収して、無灰炭(第2無灰炭)を製造した。
得られた第2無灰炭について、無灰炭収率(抽出率)を求めた。
具体的には、(第2無灰炭の質量/原料石炭の質量)×100の式により求めた。
なお、原料石炭は、無水無灰炭ベースである。
また、得られた第2無灰炭について、JIS M 8801に規定されたギーセラー軟化流動試験を行い、軟化温度を求めた。
次に、この第2無灰炭から、前記第1実施例と同様の方法で炭化物を製造し、得られた炭化物について、前記第1実施例と同様の方法で炭素収率を求めた。
この結果を表2に示す。
Figure 2009215505
表2に示すように、第1スラリー加熱工程での加熱温度が300℃の場合、第2スラリー加熱工程での加熱温度が、第1スラリー加熱工程での加熱温度よりも高くならないと(No.6:300℃)、無灰炭収率が他のものと比べて低く、また、軟化温度が110℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、高くならないことがわかる。また、第2スラリー加熱工程での加熱温度が高すぎると(No.9:450℃)、無灰炭収率がNo.8と比べて低く、軟化温度が295℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、高くならないことがわかる。
また、第1スラリー加熱工程での加熱温度が350℃の場合、第2スラリー加熱工程での加熱温度が、第1スラリー加熱工程での加熱温度よりも高くならないと(No.10:350℃)、無灰炭収率が他のものと比べて低く、また、軟化温度が235℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、高くならないことがわかる。また、第2スラリー加熱工程での加熱温度が高すぎると(No.13:450℃)、無灰炭収率がNo.11、12と比べて低く、軟化温度が280℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、高くならないことがわかる。
さらに、第1スラリー加熱工程での加熱温度が200℃の場合、軟化温度が240℃、または、275℃であり、一般的な無灰炭の軟化温度(200〜300℃)に比べて、高くならないことがわかる。
なお、第1スラリー加熱工程での加熱温度が390℃の場合、第2スラリー加熱工程では、溶剤抽出がほとんど起きないことは明らかであるため、ここでは実験を省略している。
以上、第1実施例、第2実施例の結果から、第2スラリー加熱工程での加熱温度は、第1スラリー加熱温度よりも高いことが必要であり、好ましくは、第1スラリー加熱温度は、250〜350℃、第2スラリー加熱工程での加熱温度は、350〜420℃であることがわかる。
また、本発明に係る無灰炭の製造方法によれば、軟化温度が高く、炭素収率を向上させることができる無灰炭(第2無灰炭)と、軟化温度が低く、熱流動性に優れる無灰炭(第1無灰炭)を、同時に、また高効率、かつ簡便に製造できることがわかる。
以上、本発明に係る無灰炭の製造方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
無灰炭の製造方法の工程を説明するフローチャートである。 無灰炭の製造方法の概略を示す模式図である。 重力沈降法を行うための固液分離装置を示す模式図である。
符号の説明
S1 第1スラリー加熱工程
S2 第1分離工程
S3 第2スラリー加熱工程
S4 第2分離工程
S5 改質炭取得工程
1 石炭スラリー調製槽
2 ポンプ
3 予熱器
4 抽出槽
5 重力沈降槽
6 固形分濃縮液受器
7 冷却器
8 フィルターユニット
9 上澄み液受器
10 攪拌機
100 固液分離装置

Claims (2)

  1. 石炭と芳香族溶剤とを混合したスラリーを加熱処理する第1スラリー加熱工程と、
    前記第1スラリー加熱工程で加熱処理されたスラリーを、石炭が溶解した液体成分と、灰分および不溶石炭を含む固体成分と、に分離する第1分離工程と、
    前記第1分離工程で分離された固体成分に芳香族溶剤を加えて混合し、この混合したスラリーを、前記第1スラリー加熱工程における加熱処理よりも高い温度で加熱処理する第2スラリー加熱工程と、
    前記第2スラリー加熱工程で加熱処理されたスラリーを、石炭が溶解した液体成分と、灰分および不溶石炭を含む固体成分と、に分離する第2分離工程と、
    前記第2分離工程で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭を取得する改質炭取得工程と、を含み、
    前記改質炭取得工程において、前記無灰炭を取得することに加え、前記改質炭取得工程において、さらに、前記第1分離工程で分離された液体成分から芳香族溶剤を除去して、改質炭である無灰炭を取得することを特徴とする無灰炭の製造方法。
  2. 前記改質炭取得工程において、前記第1分離工程で分離された液体成分および前記第2分離工程で分離された液体成分から前記無灰炭を取得することに加え、前記改質炭取得工程において、さらに、前記第2分離工程で分離された固体成分から前記芳香族溶剤を除去して、改質炭である副生炭を取得することを特徴とする請求項1に記載の無灰炭の製造方法。
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