JP5449685B2 - 高反応性コークスの製造方法 - Google Patents

高反応性コークスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5449685B2
JP5449685B2 JP2008071927A JP2008071927A JP5449685B2 JP 5449685 B2 JP5449685 B2 JP 5449685B2 JP 2008071927 A JP2008071927 A JP 2008071927A JP 2008071927 A JP2008071927 A JP 2008071927A JP 5449685 B2 JP5449685 B2 JP 5449685B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coal
solvent
solid
ion
slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008071927A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009227730A (ja
Inventor
憲幸 奥山
康爾 堺
眞基 濱口
敦志 古谷
信行 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2008071927A priority Critical patent/JP5449685B2/ja
Publication of JP2009227730A publication Critical patent/JP2009227730A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5449685B2 publication Critical patent/JP5449685B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coke Industry (AREA)

Description

本発明は、高炉製鉄等に用いられる高反応性コークスの製造方法に関する。
高炉製鉄法において、高炉用コークスとして高反応性コークスを用いることにより、還元材比を低下させて、高炉の操業効率を向上させることができることが知られている。また、高炉用コークスには、高炉内での通気性を維持するスペーサとして機能するように、一定の強度が維持されるという特性が求められる。そこで、高反応性で、しかも強度が大きい高炉用コークスを製造する方法として、石炭にアルカリ土類金属または遷移金属(以下「アルカリ土類金属等」という)を相当量混合してコークス炉で乾留する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−306681号公報
しかしながら、特許文献1に開示された高反応性コークスでは、シリカやアルミナを主成分とする粘土鉱物が10%程度存在する石炭に、所定のアルカリ土類金属等を相当量混合して、触媒活性を発現させるものである。そのため、粘土鉱物との共存により、乾留過程で触媒活性が著しく低下する。また、石炭を乾留して得られるコークスにアルカリ土類金属等を混合しても、高炉内の高温反応場においてシリカやアルミナを主成分とする粘土鉱物と反応して触媒活性が低下する。よって所期の触媒活性を維持させるために、多量のアルカリ土類金属等を添加する必要がある。ところが、多量のアルカリ土類金属等は、高炉から排出されるスラグ量の増加やスラグ閉塞といったトラブルの原因になりかねず、さらに、高炉内壁の耐熱煉瓦に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、アルカリ土類金属等の含有量が少ないにもかかわらず高い還元性能を有する高反応性コークスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る高反応性コークスの製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリー化し、前記石炭に含まれ前記溶剤に溶解する成分を溶剤抽出する溶剤抽出工程と、前記スラリーの液体成分と固体成分とを分離する固液分離工程と、前記固液分離工程により得られた液体成分から溶剤を除去して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、前記無灰炭に所定のイオン交換性金属を添加して乾留し、前記イオン交換性金属の含有量が0.1〜1.0質量%である高反応性コークスを得る乾留工程と、を有し、前記無灰炭取得工程において、前記無灰炭はイオン交換性金属の含有量が0.01質量%以下である。
このような製造方法によれば、無灰炭に還元触媒となるイオン交換性金属を担持させるために、高炉製鉄において触媒活性を低下させる灰分の影響がなく、担持量が極めて少ないにもかかわらず優れた触媒性能(還元性能)を備え、しかもその特性が維持される高反応性コークスを得ることができる。そのため、本発明に係る高反応性コークスを用いた高炉製鉄では、十分な触媒性能を維持しながら、生成するスラグ量を少なく抑えることができる。
本発明においては、前記イオン交換性金属は、Fe,Ca,Mg,Naのいずれか1種または複数種であることが好ましい。
これらの金属のいずれかを用いることによって、良好な還元性能が得られる。
本発明に係る高反応性コークスの製造方法によれば、無灰炭へイオン交換性金属を担持させているため、触媒活性を低下させる灰分の影響が殆どなく、少ないイオン交換性金属の担持量で高い反応性を有するコークスを製造することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に高反応性コークスの製造工程を表したフローチャートを示し、図2に固液分離装置の概略構成を表した図を示す。
≪高反応性コークスの製造方法≫
図1に示されるように、高反応性コークスの製造方法は、溶剤抽出工程(S1)と、固液分離工程(S2)と、無灰炭取得工程(S3)と、乾留工程(S4)を有する。以下、各工程について説明する。
<溶剤抽出工程(S1)>
溶剤抽出工程(S1)は、石炭と溶剤とを混合してスラリー化し、石炭に含まれ溶剤に溶解する成分(溶質)を溶剤抽出する工程である。溶剤抽出工程(S1)では、スラリーを加熱処理することによって、この成分を溶剤抽出する。原料となる石炭(以下「原料石炭」という)には、劣質炭を使用することが好ましい。劣質炭は安価であるため、劣質炭を原料石炭として使用することにより、高反応性コークスを安価に製造することができる。但し、劣質炭に限られず、瀝青炭を使用してもよい。
劣質炭とは、軟化溶融性をほとんど持たない非微粘結炭、一般炭、低品位炭等の石炭をいう。低品位炭とは、20質量%以上の水分を含有し、脱水することが望まれる石炭のことである。このような低品位炭には、例えば、褐炭、亜炭、亜瀝青炭がある。例えば、褐炭には、ビクトリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭等があり、亜瀝青炭には、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガウ炭等がある。低品位炭は前記例示のものに限定されず、前記の通りに、水分含有量が多く、脱水することが望まれる石炭は、本発明のいう低品位炭に含まれる。
石炭を溶解する溶剤としては、非水素供与性溶剤が好適に用いられる。非水素供与性溶剤としては、ベンゼン,トルエン,キシレン等の1環芳香族化合物や、ナフタレン,メチルナフタレン,ジメチルナフタレン,トリメチルナフタレン等の2環芳香族化合物等が挙げられる。2環芳香族化合物にはさらに、脂肪族側鎖をもつナフタレン類、ビフェニル、脂肪族側鎖等を持つビフェニル等が含まれる。
非水素供与性溶剤として、特に、主に石炭の乾留生成物から精製した2環芳香族化合物を主とする溶剤(石炭誘導溶剤)が好適に用いられる。このような石炭誘導溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される成分の割合(以下「抽出率」という)が高く、蒸留等の方法で容易に回収が可能である。回収した溶剤を、循環等して繰り返して使用することにより、高反応性コークスの製造コストを下げることができる。
非水素供与性溶剤としては、沸点が180〜330℃のものを用いることが好ましい。沸点が180℃未満であると、加熱抽出(後記する)の際の成分の抽出率が低下する。また、加熱抽出の際および後記する固液分離工程(S2)の際の必要圧力が高くなり、非水素供与性溶剤を回収する工程で揮発による損失が大きくなり、回収率が低下する。一方、沸点が330℃を超えると、無灰炭取得工程(S3)での液体成分、または、固体成分からの非水素供与性溶剤の分離が困難となり、回収率が低下する。
石炭と溶剤を混合したスラリー中の石炭濃度は、原料石炭の種類にもよるが、乾燥炭基準で10〜50質量%の範囲が好ましく、20〜35質量%の範囲がより好ましい。溶剤に対する石炭濃度が10質量%未満であると、溶剤の量に対し、溶剤に抽出される成分の割合が少なくなるため、経済的ではない。一方、石炭濃度は高いほど好ましいが、50質量%を超えると、スラリーの粘度が高くなり、スラリーの移動や固液分離工程(S2)での液体成分と固体成分との分離が困難となりやすい。
溶剤の溶解力は温度の上昇と共に増大する傾向があるため、溶剤抽出工程(S1)は、スラリーを加熱する加熱抽出により行い、具体的には、300〜420℃で行うことが好ましい。加熱温度をこの範囲とすることにより、石炭を構成する分子間の結合が緩み、緩和な熱分解が起こり、抽出率が最も高くなる。加熱温度が300℃未満では、石炭を構成する分子間の結合を弱めるのに不十分であり、抽出率が低下する。一方、420℃を超えると、石炭の熱分解反応が非常に活発になり、生成した熱分解ラジカルの再結合が起こるため、抽出率が低下する。ただし、前記した加熱温度は、あくまでも1つの目安であり、使用する原料石炭の特性や溶剤種により、適宜、調整される。
溶剤抽出工程(S1)での抽出時間(加熱時間)は、溶解平衡に達するまでの時間を規準とすることもできるが、それに従うことは経済的には不利となる。そのため、抽出時間は、原料石炭の粒子径や溶剤の種類等の条件によって異なるので一概には言えないが、通常、予熱器を通過して所定の加熱温度に到達後、10〜60分とされる。抽出時間が10分未満であると、溶剤に溶解する成分の抽出が不十分となりやすい。一方、抽出時間が60分を超えても、抽出率は大きくは増大しないため、生産性が低下し、経済的ではない。
なお、溶剤抽出工程(S1)においては、石炭の熱分解により、主に平均沸点(Tb50:50%留出温度)が200〜300℃にある芳香族に豊富な成分が生成し、好適に溶剤の一部として利用することができる。
固液分離工程(S2)へ移行する前に、加熱されたスラリーを、溶剤に抽出された成分が再析出しない温度(すなわち、無灰炭取得工程(S3)での無灰炭の収率低下が回避される温度)、例えば、200〜350℃に冷却してもよい。スラリーを冷却することで、その後の取り扱いが容易となり、また、溶剤抽出工程(S1)において溶剤に抽出された成分の過度な熱分解を避けることができる。また、用いる沈降槽の圧力を下げたり、バルブ等の仕様の水準を下げたりすることができる。
溶剤抽出工程(S1)は、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。具体的には、NガスやArガス等の不活性ガスの存在下で行うことが好ましく、特に、安価なNガスが好適に用いられる。加熱抽出の際、雰囲気に酸素が存在すると、発火のおそれがあるために危険である。水素を用いることもできるが、安全性確保のためにコスト高となる。雰囲気圧力は、加熱温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1〜2MPaとすることが好ましい。溶剤を液相として維持するためには、少なくとも溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、設備コストと運転コストが高くなり、経済的ではない。
<固液分離工程(S2)>
固液分離工程(S2)は、溶剤抽出工程(S1)で処理されたスラリーを、液体成分と固体成分とに分離する工程である。液体成分とは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液をいい、固体成分とは、溶剤に不溶な灰分と不溶石炭をいう。
スラリーを液体成分と固体成分とに分離する方法としては、各種の濾過法や遠心分離法が知られている。しかしながら、濾過による方法では濾過助剤の頻繁な交換が必要であり、遠心分離による方法では未溶解石炭成分による閉塞が起こりやすく、これらの方法を工業的に実施するのは困難である。そのため、固液分離工程(S2)では、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法を用いることが好ましい。これにより、重力沈降槽の上部からは液体成分(以下「上澄み液」という)が得られ、重力沈降槽の下部からは固体成分が、一定量の溶液を含み固形成分濃度の高いスラリー(以下「固形分濃縮液」という)として得られる。但し、重力沈降法は、固液分離法の選択肢の一つであり、他の方法を用いても構わない。
ここで、重力沈降法の一例について説明する。図2に重力沈降法による固液分離装置の概略構成図を示す。固液分離装置100は、溶剤抽出工程(S1)を行う石炭スラリー調製槽1を備えている。この石炭スラリー調製槽1で原料石炭と溶剤とを混合し、スラリーを調製する。調整されたスラリーは、ポンプ2によって石炭スラリー調製槽1から予熱器3へ供給され、そこでスラリーは300〜420℃に加温される。加温されたスラリーは抽出槽(抽出器)4に供給され、攪拌機10で攪拌されながら300〜420℃で10〜60分間、加熱される。スラリーは、この加熱後に、必要に応じて冷却器7により、速やかに200〜360℃に冷却されてもよい。なお、スラリーの冷却の為に、抽出槽4に冷却機構を設けてもよい。
溶剤抽出が終了したスラリーは重力沈降槽5へ供給され、スラリーはそこで上澄み液と固形分濃縮液とに分離される。重力沈降槽5の下部に沈降した固形分濃縮液は、固形分濃縮液受器6へ排出され、上部の上澄み液はフィルターユニット8へ排出される。ここで、重力沈降槽5内の温度は、原料石炭から溶出した成分の再析出を防止するため、スラリーを加熱した温度に、またはスラリーを加熱後に冷却した場合にはその冷却温度に、維持することが好ましい。また、雰囲気圧力は1〜2MPaとすることが好ましい。さらに、重力沈降槽5内でのスラリーの保持時間は、スラリーを上澄み液と固形分濃縮液とに分離するために必要な時間であり、一般的に60〜120分とすることができるが、特にこれに限定されるものではない。
なお、重力沈降槽5の数を増やすことにより、固形分濃縮液に同伴した溶剤に可溶な成分を回収することができるが、効率的に回収するには、重力沈降槽5を二段に配置するのが適当である。
重力沈降槽5内から排出された上澄み液は、必要に応じて、フィルターユニット8によってろ過され、上澄み液受器9に回収される。そして、以下に説明するように、この上澄み液及び固形分濃縮液から蒸留法等を用いて溶剤を分離、回収し、上澄み液からは灰分濃度が極めて低い無灰炭を得る(無灰炭取得工程(S3))。なお、固形分濃縮液からは、必要に応じて、灰分の濃縮された副生炭を得ることができる。
<無灰炭取得工程(S3)>
無灰炭取得工程(S3)は、固液分離工程(S2)で得られた上澄み液から溶剤を分離して灰分濃度の極めて低い無灰炭を取得する工程である。上澄み液から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法)等を用いることができ、ここで分離、回収された溶剤は、石炭スラリー調製槽1(図2参照)へ送液して再利用することができる。溶剤の分離、回収により、上澄み液からは、灰分濃度が極めて少ない無灰炭を得ることができる。この無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、原料石炭よりも遥かに優れた軟化溶融性を示す。
なお、無灰炭取得工程(S3)においては、主目的たる無灰炭を得ることに加え、必要に応じて、固液分離工程(S2)で分離された固形分濃縮液から溶剤を分離することにより、改質炭である副生炭を製造してもよい。固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、無灰炭取得工程(S3)と同様に一般的な蒸留法や蒸発法を用いることができる。ここで分離、回収された溶剤は、石炭スラリー調製槽1(図2参照)へ送液して再利用することができ、この溶剤の分離・回収により、副生炭を得ることができる。
なお、上澄み液から灰分のない無灰炭のみを炭素原料の原料として製造し、固形分濃縮液からは溶剤のみ回収して、副生炭は回収せずに廃棄してもよい。
<乾留工程(S4)>
乾留工程(S4)は、無灰炭取得工程(S3)で取得された無灰炭に所定のイオン交換性金属を添加、混合して乾留する工程であり、これにより、無灰炭にイオン交換性金属を担持させた高反応性コークスが得られる。イオン交換性金属とは、イオン化した金属が他の物質のイオンと入れ替わる特性を有する金属であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の酸や塩基に溶解する金属と言え、多くの金属や金属錯体などが挙げられるが、本発明では代表的にFe,Ca,Mg,Naの単体化合物あるいはこれらの混合体を用いる。
イオン交換性金属は、Fe,Ca,Mg,Naのいずれか1種または複数種であることが好ましく、これらの金属種を用いることにより、これら金属による触媒作用により活性が上がり、良好な還元性が得られる。これらのイオン交換性金属は、安定で、しかも、リン(P)や硫黄(S)、塩素(Cl)等の有害物質を含まない炭酸塩や酸化物等の物質形態で、石炭と混合することにより、乾留における熱分解の過程で炭素質中に超微細な形態で均一に混合されるので、初期の混合方法は、特に限定されるものではない。
無灰炭へのイオン交換性金属の添加量は、乾留工程(S4)により得られる高反応性コークスにおけるイオン交換性金属の含有量が0.1〜1.0質量%となるように、調整することが好ましい。イオン交換性金属の含有量が0.1質量%未満では、高炉製鉄において十分な還元作用を得ることができず、一方、1.0質量%を超えても、還元作用が顕著に大きくなるわけではなく、高炉製鉄において生成するスラグ量が増大することや、高炉内壁の耐熱煉瓦が劣化する等のデメリットの方が大きくなる。
乾留工程(S4)は、既存のコークス炉を用いて行うことができ、乾留工程(S4)のために特別な設備を準備する必要はない。無灰炭に添加するイオン交換性金属の添加量が少ないために、コークス炉へ与えるダメージは極めて小さく抑えられる。こうして乾留工程(S4)により得られた高反応性コークスを用いた高炉製鉄では、その際に用いられる高反応性コークス自体の添加量を低く抑えて、操業効率を高めることができる。また、イオン交換性金属を添加した無灰炭と他の石炭を混合したのち乾留しても,得られたコークスはそれなりの高い反応性を有する。
以上の通り、本発明に係る高反応性コークスの製造方法について説明したが、各工程に悪影響を与えない範囲において、各工程の間あるいは前後に新たな工程を設けてもよい。例えば、原料石炭を粉砕する石炭粉砕工程、無灰炭を部分的に酸化処理する工程、加熱処理によって軟化溶融性を調整する工程、ごみ等の不要物を除去する除去工程及び得られた無灰炭を乾燥させる乾燥工程等を行ってもよい。
次に、本発明に係る高反応性コークスの製造方法について、実施例を挙げて具体的に説明する。
<高反応性コークスの製造>
原料石炭として瀝青炭を、溶剤として1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製)をそれぞれ用い、5kgの瀝青炭と、その4倍量(20kg)の1−メチルナフタレンとを混合してスラリーを調製した。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30L(リットル)のオートクレーブ中、370℃、1時間の条件で加熱処理した。次いで、このスラリーを同一温度、圧力に維持された重力沈降槽へ移し、上澄み液と固形分濃縮液とに分離し、上澄み液をさらに濾過処理した後、蒸留法で溶剤を分離、回収して、無灰炭を得た。得られた無灰炭に、平均粒径が20μm以下の炭酸カルシウム(CaCO)を種々の量で添加して均一に混ぜ、窒素中、1000℃で1時間加熱する乾留により、Ca含有量の異なる4種類の固体状のチャーを得た。
<原料とチャーの組成>
原料石炭、無灰炭について、その灰分濃度を工業分析(JIS M8812)にしたがって測定した。また、金属元素濃度について、Na,Kは、揮発しない温度(700℃)で灰化し、塩酸抽出後、原子吸光法にて定量した。Siは、815℃で灰化し、炭酸ナトリウムもしくは合剤(炭酸ナトリウム+四ほう酸ナトリウム)で溶解し、塩酸抽出後、濃度により吸光光度法またはICP発光分光分析法にて定量した。その他の金属(Al,Fe,Mg,Ca,Ti)は、815℃で灰化し、前記合剤で溶解し、塩酸抽出後、濃度により原子吸光法またはICP発光分光分析法にて定量した。
その結果を表1に示す。表1に示されるように、無灰炭の灰分濃度は0.05質量%であり、原料石炭(灰分:6.36質量%)から99%以上の灰分が除去されたことが確認された。また,無灰炭中のイオン交換性金属(Ca,Mg,Fe,Na,K)の合計濃度は、0.01質量%以下であることが確認された。このような無灰炭を用いて作製された先の4種類のチャーにおけるCa含有量は、0.2質量%,0.4質量%,0.8質量%,1.0質量%であった。以下、Ca含有量が0.2質量%のチャーを実施例1、0.4質量%のチャーを実施例2、0.8質量%のチャーを実施例3、1.0質量%のチャーを実施例4とする。
Figure 0005449685
<チャー(高反応性コークス)の還元性能(触媒性能)の評価>
一定量に秤量された実施例1〜4の各チャーを、二酸化炭素(CO)ガス雰囲気下、950℃で30分間保持した。この試験後の雰囲気ガスを採取して、その組成分析をガスクロマトグラフにより行ったところ、一酸化炭素(CO)の生成が確認された。また、試験後の各チャーの重さを測定したところ、重量減少が確認された。試験後の雰囲気ガスにおける組成と、チャーの重量減少とから、チャーとCOとが反応し、チャーがCOを還元することによってCOが生成しているものと認められた。したがって、この試験におけるチャーの重量減少が大きいほど、COを還元する能力が高く、高炉製鉄に用いた際に高い反応性を有すると判断することができる。
図3に、実施例1〜4に係る各チャーの重量減少速度とイオン交換性金属含有量との関係を求めた結果を示す。ここで、比較のために、原料石炭と無灰炭をそれぞれ用いて上記と同じ条件にてCOの還元試験を行った。その結果を図3に併記する。なお、実施例1〜4では、実質的にイオン交換性金属含有量は、無灰炭のイオン交換性金属量が少ないため、添加したCa含有量に等しい。原料石炭と無灰炭の各イオン交換性金属含有量は、Ca,Mg,Fe,Na及びKの合計量である。重量減少速度は、[(試験前重量−試験後重量)/((試験前重量)×(試験時間))]により求めた。
図3に示されるように、実施例1〜4は、原料石炭及び無灰炭に比べて重量減少速度が速くなっており、COとの反応性(還元性能)が高いことが確認された。実施例1〜4では、Ca含有量が多くなるにしたがって重量減少速度が速くなっているが、Ca含有量が1質量%程度で重量減少速度の上昇勾配が緩やかになっていることがわかる。原料石炭のイオン交換性金属含有量(Ca,Mg,Na,K,Feの合計量)は実施例1に係るチャーと同等であるが、重量減少速度は小さく、触媒活性が低くなっている。これは、原料石炭に含まれる灰分や,溶剤に溶けないイナート組織の存在の影響と考えられる。以上の結果より、無灰炭に、還元反応における触媒効果を発揮するイオン交換性金属を担持させることにより、1質量%以下の少ない含有量で高い還元反応性を有するチャー、すなわち高反応性コークスが得られることが確認された。
高反応性コークスの製造工程を示すフローチャートである。 重力沈降法を行うための固液分離装置を示す模式図である。 実施例1〜4に係る各チャーの重量減少速度とイオン交換性金属含有量との関係を示す図である。
符号の説明
S1 溶剤抽出工程
S2 固液分離工程
S3 無灰炭取得工程
S4 乾留工程
1 石炭スラリー調製槽
2 ポンプ
3 予熱器
4 抽出槽
5 重力沈降槽
6 固形分濃縮液受器
7 冷却器
8 フィルターユニット
9 上澄み液受器
10 攪拌機
100 固液分離装置

Claims (2)

  1. 石炭と溶剤とを混合してスラリー化し、前記石炭に含まれ前記溶剤に溶解する成分を溶剤抽出する溶剤抽出工程と、
    前記スラリーの液体成分と固体成分とを分離する固液分離工程と、
    前記固液分離工程により得られた液体成分から溶剤を除去して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
    前記無灰炭に所定のイオン交換性金属を添加して乾留し、前記イオン交換性金属の含有量が0.1〜1.0質量%である高反応性コークスを得る乾留工程と、を有し、
    前記無灰炭取得工程において、前記無灰炭はイオン交換性金属の含有量が0.01質量%以下である高反応性コークスの製造方法。
  2. 前記イオン交換性金属は、Fe,Ca,Mg,Naのいずれか1種または複数種であることを特徴とする請求項1に記載の高反応性コークスの製造方法。
JP2008071927A 2008-03-19 2008-03-19 高反応性コークスの製造方法 Active JP5449685B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008071927A JP5449685B2 (ja) 2008-03-19 2008-03-19 高反応性コークスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008071927A JP5449685B2 (ja) 2008-03-19 2008-03-19 高反応性コークスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009227730A JP2009227730A (ja) 2009-10-08
JP5449685B2 true JP5449685B2 (ja) 2014-03-19

Family

ID=41243508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008071927A Active JP5449685B2 (ja) 2008-03-19 2008-03-19 高反応性コークスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5449685B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101402006B1 (ko) * 2013-02-12 2014-05-30 한국에너지기술연구원 알루미늄 제련 공정의 음극용 코크 제조 방법 및 음극용 코크

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3936574B2 (ja) * 2000-11-30 2007-06-27 新日本製鐵株式会社 高炉用高反応性コークスの製造方法
JP4818573B2 (ja) * 2003-03-19 2011-11-16 新日本製鐵株式会社 焼結用燃料コークスの製造方法
JP4264280B2 (ja) * 2003-03-28 2009-05-13 新日本製鐵株式会社 高炉用高反応性成型コークスの製造方法
JP4351555B2 (ja) * 2004-02-20 2009-10-28 新日本製鐵株式会社 高炉用高反応性コークス及びその製造方法
JP2006070182A (ja) * 2004-09-02 2006-03-16 Kobe Steel Ltd コークス原料石炭の製造方法
JP2006070183A (ja) * 2004-09-02 2006-03-16 Kobe Steel Ltd 高品質改質炭材製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009227730A (ja) 2009-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4061351B1 (ja) 無灰炭の製造方法
JP5342794B2 (ja) 炭素材料の製造方法
JP4109686B2 (ja) コークスの製造方法、及び、銑鉄の製造方法
KR101365365B1 (ko) 탄소 재료의 제조 방법
JP5314299B2 (ja) 無灰炭の製造方法
JP4708463B2 (ja) 無灰炭の製造方法
JP5241105B2 (ja) コークスの製造方法、及び銑鉄の製造方法
JP5255303B2 (ja) 無灰炭の製造方法
JP5530292B2 (ja) 製鉄用コークスの製造方法
JP5128351B2 (ja) 炭素材料の製造方法
JP2014051718A (ja) 希土類分離方法及び希土類分離装置
JP5449685B2 (ja) 高反応性コークスの製造方法
JP5247193B2 (ja) コークスの製造方法、及び、銑鉄の製造方法
CN103748196A (zh) 用于高灰分煤的预处理以生产根据本发明的洗精煤的方法流程图
JP5390977B2 (ja) 鉄鉱石含有コークス、及び該鉄鉱石含有コークスの製造方法
JP5559628B2 (ja) 製鉄用コークスの製造方法
JP6014012B2 (ja) コークスの製造方法、およびコークス
JP5426832B2 (ja) 無灰炭の製造方法
KR102469639B1 (ko) 더스트로부터 불순물을 제거하는 방법
JP6719342B2 (ja) 製鉄用コークスの製造方法及び銑鉄の製造方法
JPH0269356A (ja) 高純度等方性黒鉛材の製造法
JPS627124B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130514

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130712

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130806

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20131108

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20131128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5449685

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150