JP2013203812A - 改質炭の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘結炭の使用量の低減を十分に図ることができる改質炭およびその製造方法の提供。
【解決手段】プラスチックを利用して改質炭を製造する方法であって、
プラスチックを、酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスを用いて分解する第1工程と、
前記第1工程により分解されて得られた液体・固体生成物と石炭とを混合し、混合物を製造する第2工程と、をこの順に有する改質炭の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、改質炭の製造方法に関する。
鉄鋼業においては、鉄鉱石、鉄鉱石還元材および熱源としてのコークスを原料として高炉で溶銑を製造している。
そして、高炉操業に適したコークスを製造するためには、高価で良質な原料炭(以下、「粘結炭」ともいう。)を必要とすることが知られている。
そのため、現在、燃料用石炭を微粉砕した粘結性の劣位な石炭(以下、「非微粘結炭」ともいう。)を粘結炭とともにコークス炉に装入し、粘結炭の使用量を削減する操業が行なわれている。
しかしながら、このような非微粘結炭は、水分や揮発成分を多く含むため、製造されるコークスの質(特に硬度)を考慮すると、コークスの原料となる石炭全体のうち20質量%程度しか用いることができず、粘結炭の使用量の低減を十分に図れていないという問題があった。
このような問題に対して、本出願人は、特許文献1において、「石炭粉末とコールタールおよび/または石油系重質油を混合してスラリーとする工程、得られたスラリーを温度100〜400℃に加熱し、このスラリー中の石炭粉末を膨潤させながら固化させて膨潤炭を得る工程、および、得られた膨潤炭からコールタールおよび/または石油系重質油中の軽質成分のみを分離除去することによって改質石炭を得る工程を具備することを特徴する石炭の改質方法。」を提案している([請求項4])。
同様に、本出願人は、特許文献2において、「石炭とコールタールおよび/または重質油とを混合してスラリーを得る工程、得られたスラリーを150ないし350℃に加熱してスラリー中の石炭をコールタールおよび/または重質油で膨潤させて膨潤炭を得る第1の処理工程、得られた膨潤炭を加熱して膨潤炭から軽質成分を除去する第2の処理工程、および、第2の処理工程の後に残された改質炭を得る工程を具備することを特徴とする石炭の改質方法。」を提案している([請求項4])。
一方、石炭の改質方法として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)を事前に熱分解させ、氷トラップで凝集した成分(ワックス)を石炭に混合した場合に、石炭が改質されコークス強度の低下を抑える可能性があることが示唆されている(非特許文献1)。
特開平7−233380号公報 特開平9−3457号公報
蘆田、外6名、「コークス製造用石炭資源拡大のための低品位炭改質技術の開発」、鉄と鋼、96(2010)、p.240−248
本発明者は、特許文献1および2ならびに非特許文献1に記載の改質方法について検討したところ、以下の課題があることを見出した。
すなわち、特許文献1および2に使用されているコールタール、重質油(直留系である常圧残油、減圧残油、アスファルテンや、分解系であるエチレンタール、FCCデカントオイル等の石油系重質油;石炭系の石炭液化残油;オイルサンド系のオリノコタール、コールドレーク)は、石炭乾留により発生する生成物または石油精製過程で発生する重質油であり、H/C(質量比)が低く、例えば、石炭系タールのH/Cは0.05〜0.07である。
ここで、石炭の改質は、石炭中に含有される酸素分を除去するとともに、石炭中に水素を供給することであるため、石炭の改質に用いる成分は、水素供与性が高い(H/Cが高い)成分が好ましい。
そのため、石炭の改質に用いる上述した成分(コールタール、重質油)は、石炭との質量比で1:1以上、1:5以下と多量に混合する必要があり、その結果、必要設備が大きくなる。
また、使用するコールタールは、石炭を乾留時に発生するものであり、通常、コークスを製造するために用いる石炭は、1種類ではなく10数銘柄の石炭を配合し、これを原料とする必要があり、使用する石炭はその性状、価格、生産量において常時変動する。
そのため、常時同様の性状のコールタールが得られるわけではなく、また、コークス炉の操業状況もその必要量に応じで変動することから、コールタールの性状も変動することになり、その結果、得られたコールタールの品質においては改質効果がみられないものもある(または所定以上のコールタールを混合する必要がある)。
一方、非特許文献1に記載の方法に関して、通常、廃プラスチックを熱分解した際には、熱分解の温度条件によっては、水素の生成等の要因により、コールタールと同程度のH/Cとなる重質の炭化水素が液状または固体状生成物として得られる。
そのため、非特許文献1に記載の熱分解で得られた成分では、水素が不足気味であり、十分に石炭を改質することができず、また、特許文献1および2に記載された上述した成分(コールタール、重質油)と同様、石炭の改質には多量に混合する必要があり、必要設備が大きくなる。
そこで、本発明は、特許文献1および2ならびに非特許文献1を改善し、粘結炭の使用量の低減を十分に図ることができる改質炭およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の混合ガスを用いてプラスチックを予め分解した液体・固体生成物を用いて製造した改質炭を用いることにより、粘結炭の使用量の大幅に低減できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(8)を提供する。
(1)プラスチックを利用して改質炭を製造する方法であって、
プラスチックを、酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスを用いて分解する第1工程と、
上記第1工程により分解されて得られた液体・固体生成物と石炭とを混合し、混合物を製造する第2工程と、をこの順に有する改質炭の製造方法。
(2)上記第2工程の後、上記混合物を上記液体・固体生成物の融点以上かつ揮発する温度未満の加熱条件下で加圧し、上記石炭に生ずる少なくとも一部の細孔内に上記液体・固体生成物を浸入させる第3工程と、
上記第3工程の後、上記混合物を上記液体・固体生成物が揮発する温度以上に加熱し、上記石炭と上記液体・固体生成物とを反応させ、改質炭を得る第4工程と、をこの順に有する上記(1)に記載の改質炭の製造方法。
(3)上記第3工程における加熱温度が、200℃以上400℃未満である上記(2)に記載の改質炭の製造方法。
(4)上記第4工程における加熱温度が、400〜500℃である上記(2)または(3)に記載の改質炭の製造方法。
(5)上記第2工程で製造した上記混合物における上記液体・固体生成物の混合割合が、10質量%以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
(6)上記第3工程における加圧条件が、1.0MPa以上である上記(2)〜(5)のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
(7)上記酸化性ガスとして作用する物質が、酸素原子を含む酸化剤であり、
上記酸化剤として作用する物質が、H2O、CO2、SO3およびNO2からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
(8)上記還元性ガスとして作用する物質が、水素原子を含む還元剤であり、
上記還元剤として作用する物質が、H2、H2O、H2SおよびNH3からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、粘結炭の使用量の低減を十分に図ることができる改質炭およびその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の改質炭の製造方法の実施態様の一例を示すフローチャートである。 図2は、本発明の改質炭の製造方法の他の実施態様の一例を示すフローチャートである。 図3は、石炭(非微粘結炭)の改質に用いた実験装置(オートクレーブ)の模式的な断面図である。 図4は、実施例で石炭(非微粘結炭)の改質に用いた他の実験装置の模式的な断面図である。
図1を用いて本発明の改質炭の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)を説明する。
図1に示すように、本発明の製造方法は、プラスチックを酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスを用いて分解する第1工程(S1)と、第1工程により分解されて得られた液体・固体生成物と石炭とを混合し、混合物を製造する第2工程(S2)と、上記混合物を上記液体・固体生成物の融点以上かつ揮発する温度未満の加熱条件下で加圧する任意の第3工程(S3)と、上記混合物を上記液体・固体生成物が揮発する温度以上に再加熱する任意の第4工程(S4)と、任意の冷却工程(S5)とをこの順に有する製法である。
なお、図1に示すように、本発明の製造方法により得られた改質炭は、その後、粘結炭(配合炭)とともにコークス炉に装入され、高炉用コークスの原料となる。
以下に、上記各処理工程について、詳述する。
<第1工程>
第1工程は、プラスチックを酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスを用いて分解する工程である。
本発明においては、第1工程の分解により得られる液体・固体生成物(気体状生成物を除く、液体状分解物および固体状分解物の混合物をいう。以下同様。)を用いて改質した改質炭に用いることにより、粘結炭の使用量の大幅に低減できる。
これは、上記混合ガスを用いてプラスチックを分解して得られる液体・固体生成物が、プラスチックを単純に熱分解して得られる液体・固体生成物よりも、H/Cが高く、水素供与性が高いという新たな知見に基づくものである。
具体的には、プラスチックを単純に熱分解した場合、水素不足のため水素不飽和のタール成分が生成し、さらにこれが環化し、芳香族系のタールが生成しやすくなる。これに対し、上記混合ガスの存在化では、水素不飽和のタール成分が水素化され、水素飽和のタール成分(液体・固体生成物)が生成する。そして、この液体・固体生成物が、石炭中に含有される酸素分を除去するとともに、石炭中に水素を供給するため、粘結性が発現した改質炭が得られると考えられる。
(混合ガス)
第1工程で用いられる上記混合ガスに含まれる上記酸化性ガスとして作用する物質は、酸素原子を含む化合物であって、酸素原子がプラスチックに含有している炭素原子を酸化してCOを生成させる酸化剤として作用する物質である。
このような物質としては、具体的には、例えば、H2O、CO2、SO3、NO2等が挙げられ、これらを一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、第1工程で用いられる上記混合ガスに含まれる上記還元性ガスとして作用する物質は、水素原子を含む化合物であって、水素原子によってプラスチックが水素化分解反応および/または水素付加反応を受ける還元剤として作用する物質である。
このような物質としては、具体的には、例えば、H2、H2O、H2S、NH3等が挙げられ、これらを一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、上述した酸化剤および還元剤として作用する物質のうち、いずれにも作用する理由から、H2Oであるのが好ましい。
また、上述した酸化剤および還元剤は、それぞれ純品を使用してもよく、任意の方法による合成品を使用してもよい。
更に、上述した酸化剤および還元剤、すなわち、酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスとして、製鉄所で発生したCOを含有する排ガスに過剰の水蒸気を添加して行うシフト反応で生成したH2およびCO2と、シフト反応に消費されなかった水蒸気とを含む混合ガス(以下、「シフト反応生成ガス」ともいう。)を用いてもよい。例えば、転炉などの冶金炉から発生する排ガスには、通常、COが25〜80vol%程度含有されているため、これに水蒸気を添加すると、下記式(1)で示すシフト反応によってH2とCO2が生成する。
CO+H2O(水蒸気)→H2+CO2 …(1)
なお、シフト反応生成ガスは、上述したように、シフト反応により生成したH2およびCO2と過剰添加分のH2Oとが含まれるため、上記混合ガスとしてプラスチックの分解に用いることにより酸化剤および還元剤(酸化性ガスおよび還元性ガス)を共存させることができる。
また、本発明においては、上述した排ガスに対して過剰に添加する水蒸気の過剰割合やシフト反応の反応率を適宜制御することによって、シフト反応生成ガス中のH2O、H2およびCO2の各濃度を調整し、第1工程で好適に用いる混合ガスとすることができる。
なお、シフト反応の反応率は、シフト反応器内での滞留時間を調整することで制御することができる。例えば、滞留時間を短くするには、シフト反応器長さを小さくしたり、触媒充填量を少なくしたりする方法が一般的であり、その場合、シフト反応器長さや触媒充填量は、ほぼ平衡まで反応を進行させる場合の1/2〜1/4程度とすればよい。
また、シフト反応は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、冶金炉から発生する排ガスに事前に水蒸気を添加しておき、これを触媒が充填された固定床反応器に導入する方法や、排ガスに事前に添加する水蒸気を一部とし、固定床反応器内に触媒を多段で充填し、触媒層と触媒層との間から残りの水蒸気を添加する方法等により行うことができる。
更に、シフト反応で用いる触媒は、特に限定されず、鉄系、銅系などの公知の触媒を用いることができる。
更に、本発明においては、上記混合ガスにおける上記酸化性ガスと上記還元性ガスとの割合は特に限定されないが、例えば、上記混合ガスがH2O、H2およびCO2を含有する場合、以下に示す理由から、H2O濃度は5〜70vol%であるのが好ましく、H2濃度およびCO2濃度はいずれも5vol%以上であるのが好ましい。
すなわち、H2O濃度を5vol%以上とすることにより、プラスチックの分解率ならびに気体状生成物の生成率(ガス化率)および液体・固体生成物の生成率(液化率)を十分に確保することができ、また、重質分の生成量を少なくすることができる。一方、H2O濃度が70vol%以下であれば、気体状生成物におけるCO2の残留を抑えることができ、また、気体燃料・液体燃料のLHVの低下も抑えることができる。
また、H2濃度およびCO2濃度はいずれも5vol%以上であれば、プラスチックの分解率を十分に確保することができる。
また、上記混合ガスがH2O、H2およびCO2を含有する場合、以下に示す理由から、H2O濃度:20〜70vol%、H2濃度:10〜40vol%、CO2濃度:10〜40vol%であるのが好ましい。
すなわち、H2O濃度を20vol%以上とすることにより、プラスチックの分解率をより十分に高めることができる。なお、H2O濃度を70vol%以下とする理由は、上述した通りである。
また、H2濃度を10vol%以上(より好ましくは12vol%以上)とすることにより、特に、比較的低い温度でプラスチックの分解を行った場合でも、気体状生成物におけるCO2の残留を抑えることができる。
また、CO2濃度を10vol%以上(より好ましくは13vol%以上)とすることにより、気体状生成物中に炭化水素やCOに比べて低カロリーのガス成分であるH2が残留しにくくなる。
また、H2濃度およびCO2濃度を各々40vol%以下とすることにより、プラスチックの分解率をより十分に高めることができる。
更に、上述した各理由の観点から、H2O濃度:25〜65vol%、H2濃度:15〜35vol%、CO2濃度:15〜35vol%であるのがより好ましい。
なお、上述した具体的な混合ガスの濃度は、シフト反応生成ガスにおける濃度に限定されず、上記酸化剤(酸化性ガス)および上記還元剤(還元性ガス)を用いた場合であっても、上述した濃度範囲に調整するのが好ましい。
このような混合ガスを用いることにより、プラスチックの分解は比較的低い温度でも効率的に進行し、重質分や炭素質の生成もほとんど認められない。
これは、300〜400℃以上の温度でプラスチックを熱分解した際に、軽質化とともに重質化も進行してしまうことを考慮すると、混合ガス中の還元性ガス(還元剤)により、プラスチックの水素化分解反応および/または水素付加反応が進行するため、重質化が抑制されたと考えられる。
なお、混合ガス中の酸化性ガス(酸化剤)は、プラスチックの炭素−炭素結合、炭素−水素結合を酸素付加により切断し、プラスチックを低分子化していると考えられる。
本発明においては、上記混合ガスを用いたプラスチックの分解温度は、400〜900℃程度であるのが好ましい。分解温度が400℃以上であるとプラスチックの分解率が十分となり、900℃以下であると炭素質の生成を抑制することができる。なお、プラスチックの分解は圧力の影響がほとんど認められないので、常圧または数kg/cm2程度の微加圧で分解することが経済的である。
また、プラスチックを分解させる容器は特に限定されないが、容器内でプラスチックが円滑に移動し、かつ、上記混合ガスと効率的に接触できるという理由から、ロータリーキルンのような横型の移動床方式容器が好適に例示される。
ここで、プラスチックの分解により得られる分解生成物は、気体状生成物(CO、C1〜C4炭化水素)、液体・固体生成物(C5〜C24飽和炭化水素)であり、液体・固体生成物中には不飽和炭化水素をほとんど含まれていない。
また、本発明においては、プラスチックの分解に特に触媒を必要としないが、触媒を充填して反応を行ってもよい。
上記触媒としては、例えば、水蒸気改質活性、炭酸ガス改質活性、水素化活性または水素化分解活性を有する1種または2種以上の触媒を用いることができる。
上記触媒の具体例としては、Ni系改質触媒、Ni系水素化触媒、Pt/ゼオライト系石油精製触媒等を挙げることができ、微細なFe粒子からなることが知られている転炉発生ダストも改質触媒や水素化分解触媒として用いることができる。
このような触媒を充填する場合には、プラスチックと触媒との接触が良好となる理由から、ロータリーキルンなどのような横型の移動床式改質容器ではなく、縦型の分解炉を採用してもよい。なお、この場合、シフト反応により生ずる混合ガスは、容器の上部よりも、下部および/または側部から供給する方が、触媒やプラスチックとの接触が良好となり好ましい。
(プラスチック)
一方、第1工程に供給され、分解される上記プラスチックは特に限定されないが、資源リサイクルの観点から、一般家庭からゴミとして排出されるプラスチック製品や、工場等でのプラスチックの製造・加工時に生じる屑や不良品等の廃プラスチックを用いるのが好ましい。
上記廃プラスチックとしては、例えば、プラスチックボトル、プラスチック袋、プラスチック包み、プラスチックフィルム、プラスチックトレイ、プラスチックカップ、磁気カード、磁気テープ、ICカード、フレキシブルコンテナ、プリント基板、プリントシート、電線被覆材、事務機器または家電製品用ボディーおよびフレーム、化粧合板、パイプ、ホース、合成繊維および衣料、プラスチック成型ペレット、ウレタン材、梱包用シート、梱包用バンド、梱包用クッション材、電気用部品、玩具、文房具、トナー、自動車用部品(例えば、内装品、バンパーなど)、自動車または家電製品などのシュレッダーダスト、イオン交換樹脂、合成紙、合成樹脂接着剤、合成樹脂塗料、固形化燃料(廃棄プラスチック減容物)等に用いられるプラスチック、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル、ウレタン、ナイロン、ポリビニルアルコール、セルロイド等のC,H,Oを主体としたプラスチックが挙げられる。
これらプラスチックのH/C(質量比)は、例えば、ポリエチレン0.167、ポリプロピレン0.167、ポリスチレン0.083、ポリエチレンテレフタレート(PET)0.067、塩化ビニル0.128、ウレタン0.139、ナイロン0.154であり、コールタール、重質油に比較して、水素濃度が高いことが分かる。
これらの廃プラスチックのうち、酸素分が少なく、水素分の高いプラスチックを用いると、得られる改質炭の流動度MFがより良好となる理由から、少なくともポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含有するプラスチックであるのが好ましい。
本発明においては、上記プラスチックの粒径は、分解炉に供給可能なサイズであれば特に限定されず、また、通常の破砕機(例えば、1軸、2軸破砕機などの剪断型破砕機等)で破砕可能な粒度であればよい。
具体的には、上記プラスチックの粒径は、50mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましく、10mm以下であるのが更に好ましい。なお、粒径の下限値は特に限定されず、0.01mm程度であっても実用上の問題はない。
なお、ベール状に梱包された廃プラスチックや異物が混入している廃プラスチックを利用する場合は、破砕機に供給する前に、必要に応じて解砕(解袋)、風選、磁選、手選、比重選別等の作業を施すのが好ましい。
<第2工程>
第2工程は、第1工程で生成した上記液体・固体生成物と石炭とを混合し、混合物を製造する工程である。
(石炭)
第1工程に供給される上記石炭は特に限定されないが、コークスの原料として改質の必要性のある低品位の石炭、すなわち、石炭化度が低く、揮発分や水分の多い亜瀝青炭、褐炭を用いるのが好ましい。
このような石炭は、揮発分の揮発や脱水により、細孔が発生し、多孔質構造の石炭となるが、本発明においては、後述する第3工程において上記液体・固体生成物を上記石炭の細孔内に浸入させた後、後述する第4工程において細孔内の上記液体・固体生成物を低分子化させ、上記石炭と反応させることで、改質炭の粘結性を発現させている。
本発明においては、上記石炭の粒径は、上述した液体・固体生成物との混合に用いられる混合機に供給可能なサイズであれば特に限定されず、また、通常の破砕機や粉砕機で粉砕可能な粒度であればよい。
具体的には、上記石炭の粒径は、6mm以下であるのが好ましく、3mm以下であるのがより好ましい。なお、粒径の下限値は特に限定されず、0.01mm程度であっても実用上の問題はない。
(混合)
上記液体・固体生成物と上記石炭との混合は、後述する第3工程において石炭に生じる細孔内に十分に上記液体・固体生成物を浸入させる観点から、上記液体・固体生成物の混合割合が10質量%以上であるのが好ましく、加熱に要するコストや分解ガスの発生量等の観点から、50質量%以下であるのが好ましい。
また、上記液体・固体生成物と上記石炭との混合方法は特に限定されず、従来使用されている、ブレンダー、ミキサー等の混合機を用いた混合方法を用いることができる。具体的には、図2に示すように、液体・固体生成物と石炭とを混合機に添加し、混合機内で混合する方法が挙げられる。
<第3工程(任意)>
第3工程は、第2工程により製造された上記液体・固体生成物と上記石炭との混合物を、上記液体・固体生成物の融点以上かつ揮発する温度未満の加熱条件下で加圧(以下、「加熱・加圧」ともいう。)し、上記石炭に生ずる少なくとも一部の細孔内に溶融した上記液体・固体生成物を浸入させる工程である。
本発明の第3工程においては、上記液体・固体生成物は、上記石炭の細孔内だけでなく、上記石炭の粒子間の隙間に浸入していてもよい。
上記加熱温度は、上記液体・固体生成物の全てが溶融状態となる温度であり、200℃以上400℃未満であるのが好ましく、250℃以上400℃未満であるのがより好ましい。
なお、加熱時間は、石炭の種類、加熱温度、加圧条件に依存するが、例えば、30分〜5時間程度であるのが好ましい。
また、上記加圧条件は、溶融状態の上記液体・固体生成物が上記石炭中の細孔内や粒子間の隙間に十分に浸入させる観点から、1.0MPa以上であるのが好ましい。
加熱・加圧の方法は、特に限定されず、バッチ式装置を用いて行ってもよく、連続式反応容器を用いて行ってもよい。
例えば、ステンレス製の反応管を用いた場合、バッチ式では反応管に一定量の上記混合物を導入し、加熱することによって行ってもよい。また、連続式では加熱した配管内を移送する過程で熱風ガス(燃焼ガス)等により加熱することにより移送しながら連続的に行うことも可能である(図2参照)。別の移送方法としては、1軸または2軸のスクリューとし、スクリュー内部に混合部、移送部を設けた押出し機で行ってもよい。
本発明においては、上記第3工程において、上記石炭に生ずる細孔内への溶融した上記液体・固体生成物の浸入を促進する観点から、溶媒を添加してもよい。
上記溶媒としては、例えば、コールタール系の常圧蒸留塔中段抜き出し重油、残渣重質油、石炭液化油、特定の油種(カフジ等芳香族成分が多いもの)からの石油系の減圧残油、エチレンボトム油、改質油、FCCオイル等を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<第4工程(任意)>
第4工程は、第3工程後の混合物(液体・固体生成物と石炭とからなる高濃度スラリー状物質)を上記液体・固体生成物が揮発する温度以上に加熱し、上記石炭と上記液体・固体生成物とを反応させ、改質炭を得る工程である。
ここで、上記反応とは、上記第3工程の加熱温度よりも高い温度により上記石炭の細孔内や上記石炭の粒子間の隙間に存在する上記液体・固体生成物が分解(揮発)されることをいい、その揮発の過程において、上記液体・固体状生成物が有していた水素により、上記石炭中の酸素が除去されるとともに、その水素が上記石炭に移行し、粘結性が発現した改質炭が得られる。
本発明においては、第4工程における加熱温度は、上記液体・固体生成物が揮発する温度以上であれば特に限定されないが、400〜500℃であるのが好ましい。
加熱温度が上記範囲であると、上記液体・固体生成物、特に、上記石炭の細孔や粒子間の隙間に存在している液体・固体生成物が容易に揮発される。上記石炭の細孔や粒子間の隙間に存在していた液体・固体生成物が有していた水素は反応性が高く、石炭との反応により石炭を改質するとともに軽質化された状態(例えば、タール)で得られ、プラスチック単独の熱分解で生じる生成物よりも、容易に分離回収でき、利用しやすい(図2参照)。
また、第4工程における加熱時間は、石炭種類、加熱温度に依存するが、例えば、30分〜5時間程度であるのが好ましい。
得られた改質炭を回収する方法は特に限定されないが、上述した軽質成分(主にタール)を除去する方法が好ましく、例えば、軽質成分を常圧下での加熱もしくは減圧下での加熱によって除去する方法等が挙げられる。
具体的には、ニーダータイプまたはスパイラル式によって固体を移送または排出することができ、連続的に揮発性物質を除去できる脱気機能を兼ね備えた反応蒸発装置や乾燥装置を利用する方法がある。
<冷却工程(任意)>
冷却工程は、得られた改質炭を冷却する工程である。
ここで、冷却方法は特に限定されず、従来公知の方法で適宜冷却することができる。
なお、本発明においては、得られた改質炭を直接コークス炉に装入し、改質炭の顕熱を有効に利用することも可能であるため、上記冷却工程は任意の工程である。
<粉砕(任意)>
得られた改質炭を配合炭と混合し、コークス炉に装入する場合には、配合炭と同程度の粒径に粉砕する観点から、例えば、ジョークラッシャなどの衝撃式粉砕方法や摩砕による粉砕方法等を用いて、改質炭を粉砕しておくのが好ましい。
本発明の製造方法は、例えば、図3および図4に示す装置を用いて実施することができる。
具体的には、図3に示すように、制御用熱電対30で覆われた容器に液状分解物および石炭を添加し、撹拌羽根31により混合し、混合物32とした後、電気ヒーター33を用いて加熱しながら圧力ポンプを用いて所定時間加圧し、石炭の細孔内に液状分解物を浸入させる。
この加熱・加圧の後、再び昇温を開始し、所定時間加熱し、石炭の改質に利用されなかった液状分解物の分解ガスや石炭からの軽質分(タール)を除去(排気)することで、改質炭が得られる。
また、図4に示すように、反応管40内に液状分解物および石炭の混合物41を充填した後、送風機42と熱風発生器43を用いて発生させた熱風を用いて所定の温度範囲に加熱し、同時に下部よりピストン44を用いて所定時間加圧することで、石炭の細孔内に液状分解物を浸入させる。
この加熱・加圧の後、再び昇温を開始し、所定時間加熱し、石炭の改質に利用されなかったプラスチックの分解ガス(気体状生成物)や石炭からの軽質分(タール)を除去することで、改質炭が得られる。
以下、実施例を用いて、本発明の製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<プラスチックA>
プラスチックAとして、3mmφ(約4mmL)に押出し成型したポリエチレンを用いた。
<プラスチックB>
プラスチックBとして、あらかじめ金属、土砂等の異物除去を行ない、20mm以下に破砕した廃プラスチックを用いた。なお、廃プラスチックの組成は、1H−NMRにより測定し、ポリエチレン31.4質量%、ポリプロピレン22.4質量%、ポリスチレン16.9質量%、PET12.9質量%、塩ビ樹脂1.6質量%、その他プラスチック13.8質量%であることを確認した。また、工業分析値は、灰分:3.5質量%、揮発分:95.2質量%であり、化学分析値は、C:75.8質量%、H:10.3質量%、O:8.8質量%、N:0.2質量%、S:0.1質量%であった。
<石炭>
石炭としては、組成およびギーセラーブラストメータ(JIS M8801)で測定した流動度の異なる3種を用い(下記表1参照)、粒度は3mm以下に粉砕したものを用いた。
(実施例1〜5)
転炉ガスと同等の組成の模擬ガス(H2:12vol%、CO:54vol%、CO2:17vol%、H2O:1vol%、N2:16vol%)7.4Nm3/hに、水蒸気として圧力10kg/cm2Gのスチームを10Nm3/h供給し、予熱器で320℃まで昇温した後、シフト反応器(Fe−Cr系高温シフト触媒充填)に導入した。
シフト反応器でのシフト反応によって、シフト反応生成ガス(H2:26vol%、CO:2vol%、CO2:28vol%、H2O:37vol%、N2:7vol%)を生成させた。なお、反応器出口ガス温度が430℃であった。
次いで、予め500℃に予熱した容器(外熱式ロータリーキルン)に、下記表2に示すように、上記シフト反応生成ガスを17.2Nm3/h(質量流量では16.9kg/h)で供給するとともに、上記プラスチックA(ポリエチレン)を88.0kg/hで供給し、計画反応温度である800℃まで昇温させた。800℃に到達後、液体燃料捕集器に捕集されていた液体・固体生成物を回収し、その後1時間、上記プラスチックAの分解を継続し、気体状生成物を回収した。
ここで、原料として供給した上記シフト反応生成ガスと上記プラスチックAの合計量は104.9kg/hであるので、供給原料総量に対する生成率は、気体状生成物(CO,C1−C4炭化水素)が36.2質量%であり、液体・固体生成物(C5以上)が62.0質量%であることが分かった(下記表2参照)。
また、未反応ポリエチレン量を直接計量することは困難であるため、供給した上記シフト反応生成ガスと上記プラスチックAの合計量(104.9kg/h)に対する、液体・固体生成物(65.0kg/h)と気体状生成物(38.0kg/h)の合計収率をプラスチックAの分解率と定義すると、実施例1〜5では、プラスチックAの分解率が98%と十分に高い値であることが分かる。
また、分析の結果、液体・固体生成物は、飽和炭化水素が主であり、C25以上の炭化水素の生成がほとんど認められず、H/Cが2.223であることが分かった(下記表2参照)。
次いで、下記表3に示す種類および量の石炭および液体・固体生成物を混合して混合物を作製した(第2工程)。
次いで、下記表3に示す条件で加熱・加圧処理(第3工程)および加熱処理(第4工程)を施し、改質炭を作製した。
その後、分解ガスおよびタールを除去し、改質炭を回収した。収率を下記表3に示す。
(実施例6〜7)
まず、実施例1〜5と同様の方法により、シフト反応生成ガスを生成させた。
次いで、予め500℃に予熱した容器(外熱式ロータリーキルン)に、下記表2に示すように、上記シフト反応生成ガスを17.1Nm3/h(質量流量では16.8kg/h)で供給するとともに、上記プラスチックB(廃プラスチック)を97.0kg/hで供給し、計画反応温度である800℃まで昇温させた。800℃に到達後、液体燃料捕集器に捕集されていた液体・固体生成物を回収し、その後1時間、上記プラスチックBの分解を継続し、気体状生成物を回収した。
ここで、原料として供給した上記シフト反応生成ガスと上記プラスチックBの合計量は113.8kg/hであるので、供給原料総量に対する生成率は、気体状生成物(CO,C1−C4炭化水素)が30.6質量%であり、液体・固体生成物(C5以上)が56.5質量%であることが分かった(下記表2参照)。
また、未反応ポリエチレン量を直接計量することは困難であるため、供給した上記シフト反応生成ガスと上記プラスチックBの合計量(113.8kg/h)に対する、液体・固体生成物(64.3kg/h)と気体状生成物(34.8kg/h)の合計収率をプラスチックBの分解率と定義すると、実施例6〜7では、プラスチックBの分解率が87%と十分に高い値であることが分かる。
また、分析の結果、液体・固体生成物は、飽和炭化水素が主であり、C25以上の炭化水素の生成がほとんど認められず、H/Cが2.116であることが分かった(下記表2参照)。
次いで、下記表3に示す種類および量の石炭および液体・固体生成物を混合して混合物を作製した(第2工程)。
次いで、下記表3に示す条件で加熱・加圧処理(第3工程)および加熱処理(第4工程)を施し、改質炭を作製した。
その後、分解ガスおよびタールを除去し、改質炭を回収した。収率を下記表3に示す。
(実施例8)
予め500℃に予熱した容器(外熱式ロータリーキルン)に、下記表2に示すように、転炉ガスと同等の組成の模擬ガス(H2:12vol%、CO:54vol%、CO2:17vol%、H2O:1vol%、N2:16vol%)を15.0Nm3/h(質量流量では18.4kg/h)で供給するとともに、上記プラスチックB(廃プラスチック)を80.0kg/hで供給し、計画反応温度である800℃まで昇温させた。800℃に到達後、液体燃料捕集器に捕集されていた液体・固体生成物を回収し、その後1時間、上記プラスチックBの分解を継続し、気体状生成物を回収した。
ここで、原料として供給した上記模擬ガスと上記プラスチックBの合計量は98.4kg/hであるので、供給原料総量に対する生成率は、気体状生成物(CO,C1−C4炭化水素)が29.5質量%であり、液体・固体生成物(C5以上)が53.1質量%であることが分かった(下記表2参照)。
また、未反応ポリエチレン量を直接計量することは困難であるため、供給した上記模擬ガスと上記プラスチックBの合計量(98.4kg/h)に対する、液体・固体生成物(52.3kg/h)と気体状生成物(29.0kg/h)の合計収率をプラスチックBの分解率と定義すると、実施例8では、プラスチックBの分解率が83%と高い値であることが分かる。
また、分析の結果、液状生成物は、飽和炭化水素が主であり、C25以上の炭化水素の生成がほとんど認められなかったが、H/Cが2.007であることが分かった(下記表2参照)。
次いで、下記表3に示す種類および量の石炭および液状生成物を混合して混合物を作製した(第2工程)。
次いで、下記表3に示す条件で加熱・加圧処理(第3工程)および加熱処理(第4工程)を施し、改質炭を作製した。
その後、分解ガスおよびタールを除去し、改質炭を回収した。収率を下記表3に示す。
(比較例1)
予め500℃に予熱した容器(外熱式ロータリーキルン)に、下記表2に示すように、上記シフト反応生成ガスを供給せず、上記プラスチックB(廃プラスチック)を80.0kg/hで供給し、計画反応温度である800℃まで昇温させた。800℃に到達後、液体燃料捕集器に捕集されていた液体・固体生成物を回収し、その後1時間、上記プラスチックAの分解を継続し、気体状生成物を回収した。
ここで、原料として供給した上記プラスチックBの供給量は80.0kg/hであるので、供給原料総量に対する生成率は、気体状生成物(CO,C1−C4炭化水素)が24.8質量%であり、液体・固体生成物(C5以上)が51.5質量%であることが分かった(下記表2参照)。
また、未反応ポリエチレン量を直接計量することは困難であるため、上記プラスチックBの供給量(80.0kg/h)に対する、液体・固体生成物(41.2kg/h)と気体状生成物(19.8kg/h)の合計収率をプラスチックBの分解率と定義すると、実施例6〜7では、プラスチックBの分解率が76%と低い値であることが分かる。
また、分析の結果、液体・固体生成物は、飽和炭化水素が主であり、C25以上の炭化水素の生成がほとんど認められなかったが、H/Cが1.869であることが分かった(下記表2参照)。
次いで、下記表3に示す種類および量の石炭および液体・固体生成物を混合して混合物を作製した(第2工程)。
次いで、下記表3に示す条件で加熱・加圧処理(第3工程)および加熱処理(第4工程)を施し、改質炭を作製した。
その後、分解ガスおよびタールを除去し、改質炭を回収した。収率を下記表3に示す。
<評価>
得られた各改質炭の流動度(logMF)をギーセラーブラストメータで測定した。
また、得られた改質炭を炉温1150℃、石炭中温度が950℃になるまで乾留を実施し、乾留後のドラム強度を測定した。なお、ドラム強度はJIS K2151で規定されるコークスの回転強度であり、本評価では、目開き15.9mmの篩でふるい分けた篩上のコークス5kgをドラム試験機に装入し25rpmで50回転させたのち、目開き15.9mmの篩でふるい分けて篩上の質量を求め、元の質量に対する百分率をドラム強度とした。また、ドラム試験機としては、径500mm、厚さ500mm、内部に高さ80mmの羽根3枚を有するトロンメル強度試験機を用いた。
これらの結果を下記表3に示す。
表2および表3に示す結果から、第1工程において混合ガスを用いずに製造した比較例1の改質炭は、流動度(logMF)および乾留後のドラム強度が劣ることが分かった。
これに対し、特定の混合ガスを用いてプラスチックを分解した液体・固体生成物を用いて製造した実施例1〜8の改質炭は、いずれも流動度(logMF)および乾留後のドラム強度が大幅に向上しており、粘結炭の使用量の低減を十分に図ることができる改質炭であることが分かった。
特に、混合ガスとしてH2O濃度が5〜70vol%の範囲内にあるシフト反応生成ガスを用いて分解した実施例1〜7の改質炭は、転炉ガスと同等の組成の模擬ガスを用いて分解した実施例8の改質炭よりも流動度(logMF)および乾留後のドラム強度が高く、より良好な改質炭であることが分かった。
30 制御用熱電対
31 撹拌羽根
32 混合物
33 電気ヒーター
34 熱電対
40 反応管
41 混合物
42 送風機
43 熱風発生器
44 ピストン
45 内筒
46 熱電対
47 保温材
48 ロードセル

Claims (8)

  1. プラスチックを利用して改質炭を製造する方法であって、
    プラスチックを、酸化性ガスおよび還元性ガスを含む混合ガスを用いて分解する第1工程と、
    前記第1工程により分解されて得られた液体・固体生成物と石炭とを混合し、混合物を製造する第2工程と、をこの順に有する改質炭の製造方法。
  2. 前記第2工程の後、前記混合物を前記液体・固体生成物の融点以上かつ揮発する温度未満の加熱条件下で加圧し、前記石炭に生ずる少なくとも一部の細孔内に前記液体・固体生成物を浸入させる第3工程と、
    前記第3工程の後、前記混合物を前記液体・固体生成物が揮発する温度以上に加熱し、前記石炭と前記液体・固体生成物とを反応させ、改質炭を得る第4工程と、をこの順に有する請求項1に記載の改質炭の製造方法。
  3. 前記第3工程における加熱温度が、200℃以上400℃未満である請求項2に記載の改質炭の製造方法。
  4. 前記第4工程における加熱温度が、400〜500℃である請求項2または3に記載の改質炭の製造方法。
  5. 前記第2工程で製造した前記混合物における前記液体・固体生成物の混合割合が、10質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
  6. 前記第3工程における加圧条件が、1.0MPa以上である請求項2〜5のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
  7. 前記酸化性ガスとして作用する物質が、酸素原子を含む酸化剤であり、
    前記酸化剤として作用する物質が、H2O、CO2、SO3およびNO2からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
  8. 前記還元性ガスとして作用する物質が、水素原子を含む還元剤であり、
    前記還元剤として作用する物質が、H2、H2O、H2SおよびNH3からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の改質炭の製造方法。
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