JPH04275389A - 冶金用コークスの製造方法 - Google Patents

冶金用コークスの製造方法

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JPH04275389A
JPH04275389A JP5977991A JP5977991A JPH04275389A JP H04275389 A JPH04275389 A JP H04275389A JP 5977991 A JP5977991 A JP 5977991A JP 5977991 A JP5977991 A JP 5977991A JP H04275389 A JPH04275389 A JP H04275389A
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真吾 朝田
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、微粘結炭や風化炭など
流動性が小さいか流動性を示さない微・非粘結炭を配合
した場合であっても、所望の品位のコークスを得ること
のできる冶金用コークスの製造方法に関するものである
。 【0002】 【従来の技術】高炉による製銑においては、副原料とし
て冶金用コークスが使用される。冶金用コークスの性状
は直接高炉操業に影響するから、所定の性状を確保する
ために最大の関心が払われる。上記性状の中では、特に
その硬さが重要である。コークスの硬さを表す指標は種
々存在するが、コークスが冶金用である場合には通常ド
ラム強度DIが用いられる。 【0003】このドラム強度DIは、所定のドラムに所
定量のコークスを装入し、当該ドラムを所定の速度で所
定回数回転させて後、それを取り出して所定の篩目の篩
で篩分けし、装入したコークス重量に対する所定の篩目
の篩上のコークス重量の割合でもって表現するものであ
る。 【0004】通常、上記ドラムの回転数は30回転また
は150回転、篩目は15mm、30mm、50mmな
どが採用されるが、以下の説明においては必要に応じ回
転数150回転、篩目15mmのドラム強度DI150
15 (JIS  K2151に定めるドラム強度、D
IはDrum Indexの略)によって代表させるこ
とにする。 【0005】冶金用コークスは、複数種類の原料石炭(
単味炭)を配合して装入炭となし、その装入炭をコーク
ス炉に装入して乾留することにより得られる。 【0006】冶金用コークスにとって重要な要素である
上記のドラム強度DIは、装入炭の性状によって左右さ
れる。すなわち、他の操業条件が一定であるときは、装
入炭の性状に対応して、得られるコークスのドラム強度
DIが決まる。装入炭は単味炭の混合物であるから、冶
金用コークスを製造するにあたっては配合管理が重要な
意味を持つ。 【0007】そこで、予め種々の試験を行い、各種原料
石炭の性状を代表する特性と得られるコークスのドラム
強度DIとの関係を求めておけば、新たにコークスを製
造する際、使用する単味炭の既知の特性から、得られる
コークスのドラム強度DIを推定することが可能となる
。 【0008】このような原料石炭の特性としては、従来
はその揮発分やギーセラ−プラストメーターを使用する
試験(JIS  M8801にその詳細が規定されてい
る石炭の加熱軟化溶融特性試験)から得られる諸数値が
用いられていたが、近年これらに加えるに、石炭微細組
織成分の各種特性が採用されるに至っている。 【0009】上記石炭微細組織成分中には大別してビト
リニット、エクジニットおよびイナーチニットが存在す
るが、そのうちビトリニットとエクジニットが重要であ
る。ビトリニットは主として植物の木質部に由来する微
細組織であり、エクジニットは植物の葉、小枝、胞子、
花粉、種子、水藻などに由来する微細組織である。これ
ら両者は、いずれも加熱時に軟化溶融し、原料石炭がコ
ークスとなるとき、自身も反応すると共に相互に結合す
る役目を果たすので、活性成分と言われる。なお、イナ
ーチニットは、その名が示すように原料石炭中の不活性
成分であり、コークスの骨材となる。そこで、原料石炭
を評価する際には、これら石炭微細組織成分の値に考慮
が払われるようになったのである。 【0010】たとえば特開平2−97589号公報にお
いては、上記ビトリニットの量を表現するビトリニット
の反射率Ro (顕微鏡下のビトリニット部分の反射率
)と、ギーセラー最高流動度MF(上記ギーセラ−プラ
ストメーターを使用する試験において回転翼が最高回転
数を示す値の対数値)との組み合わせが配合管理に用い
られている。ここに、ビトリニットの反射率Ro は原
料石炭の石炭化度を示すパラメーターであり、この値が
大きいほど石炭化度が進行している石炭であるというこ
とができる。また、ギーセラー最高流動度MFは、原料
石炭の粘結性を代表する指標であって、この値が大きい
ほど粘結性が大きいと言うことができる。 【0011】単味炭につきビトリニットの反射率Ro 
とギーセラー最高流動度MFとを予め試験により求めて
おけば、装入炭については、それら単味炭の特性値を配
合割合で加重平均して当該装入炭の特性値を算出し、こ
の算出した特性値に対応したドラム強度DIが得られる
ことになる。 【0012】この方式は、装入炭の特性は単味炭の配合
割合に比例するであろうということ、すなわち加成性が
成立するであろうということを根拠にしている。ビトリ
ニットの反射率Ro やギーセラー最高流動度MFを用
いない原料石炭の評価方法としては、本出願人の出願に
かかる特開昭62−119291号公報が知られている
。 ここでは、石炭の活性成分の水素対炭素原子数比H/C
および該成分の酸素対炭素原子数比O/Cを指標として
、石炭の粘結性または/およびコークス化性を評価して
いる。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】近年、原料事情の変化
や操業技術の改善によって、従来冶金用コークスの原料
としてはほとんど採用されなかった微・非粘結炭が配合
用の単味炭として使用されるようになってきている。 【0014】このような微・非粘結炭はほとんどあるい
は全くギーセラーの流動度を示さないから(つまり加熱
してもほとんど軟化溶融しないから)、予めそれらにつ
いてのギーセラ−プラストメーターを使用する試験を行
うことができず、結果としてギーセラー最高流動度MF
のデータが得られないこととなる。また、たとえそのデ
ータが得られたとしても、通常の値からはかけ離れたも
のであるから、そのデータに加成性(単味炭のデータが
、装入炭の配合比率を重みとした加重平均を行うことに
よって装入炭のデータとして適用できる性質)が成立す
るかどうかは保証の限りではない。 【0015】特開昭62−119291号公報の方法は
、原料石炭の活性成分の水素対炭素原子数比H/Cおよ
び該成分の酸素対炭素原子数比O/Cを指標として用い
る点では注目に値するが、微・非粘結炭を配合する場合
には加成性が成立しないという限界がある。 【0016】本発明は、このような状況に鑑み、原料石
炭の活性成分の水素対炭素原子数比H/Cおよび該成分
の酸素対炭素原子数比O/Cを指標として用いることを
基礎としながらも、流動性が小さいか流動性を示さない
微・非粘結炭を配合した場合であってもコークスのドラ
ム強度DIを精度良く推定しながらコークスを製造する
方法を提供することを目的とするものである。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明の冶金用コークス
の製造方法は、微・非粘結炭を含む数種の単味炭を配合
して得た装入炭を乾留して所定のドラム強度DIを有す
るコークスを製造する方法であって、予め配合に供する
単味炭の活性成分の水素/炭素原子数比H/Cおよび酸
素/炭素原子数比O/Cと単味炭のドラム強度DIとの
関係を求めておき、これら単味炭の配合比率を重みとし
た加重平均により装入炭の活性成分の水素/炭素原子数
比H/Cおよび酸素/炭素原子数比O/Cを求めて装入
炭のドラム強度DIを推定するに際し、配合に供する単
味炭中の微・非粘結炭については、その活性成分の水素
/炭素原子数比H/C、酸素/炭素原子数比O/Cとし
て、粘結炭との配合によっても加成性を示すような補正
を施された指標である見掛け水素/炭素原子数比(H/
C)’、見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を用い
、これらの見掛け水素/炭素原子数比(H/C)’、見
掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を加味した指標I
H/C 、IO/C をそれぞれ用いて装入炭のドラム
強度DIを推定し、その推定に基いて単味炭の種類およ
び配合割合を選択して装入炭となし、該装入炭をコーク
ス炉に装入して乾留することを特徴とするものである。 【0018】以下本発明を詳細に説明する。 【0019】本発明の方法は、微・非粘結炭を含む数種
の単味炭を配合して得た装入炭を乾留する場合に適用さ
れる。 【0020】石炭は、植物の化石化によって得られる炭
化物であり、その中には芳香族系の有機化合物も含まれ
ている。従って、その主要構成元素は、主に炭素、水素
、酸素であり、その構成比率は元の植物の種類や部位、
および炭化度に応じて変化する。上記三つの元素のうち
では、当然ながら炭素が最も多い。すなわち炭素は石炭
の基質であり、それに結合した水素および酸素の量によ
ってその石炭の性状がある程度決まると考えられる。 【0021】そこで本発明においては、基本的には、配
合に供する単味炭の活性成分の水素/炭素原子数比H/
Cおよび酸素/炭素原子数比O/Cと単味炭のドラム強
度DIとの関係を予め求めておき、これら単味炭の配合
比率を重みとした加重平均により装入炭の活性成分の水
素/炭素原子数比H/Cおよび酸素/炭素原子数比O/
Cを求めて装入炭のドラム強度DIを推定する方法を採
用する。 【0022】単味炭が粘結炭である場合には、各単味炭
の活性成分中の水素/炭素原子数比H/Cと酸素/炭素
原子数比O/CとをそれぞれH/C、O/Cを縦軸、横
軸としたグラフにプロットすると、H/CとO/Cによ
って決まるドラム強度DI15015 の等強度曲線が
得られる(図2参照)。このことは、粘結性のある単味
炭の水素/炭素原子数比H/Cと酸素/炭素原子数比O
/Cの値が決まれば、ドラム強度DIが決まることを示
している。 【0023】そして単味炭が粘結炭である場合には、複
数種類の粘結炭を配合して装入炭とした場合、水素/炭
素原子数比H/Cおよび酸素/炭素原子数比O/Cの双
方についてそれぞれ加成性が成立することが確認される
。従って、単味炭の配合比率を重みとして加重平均を行
うことにより装入炭の水素/炭素原子数比H/Cおよび
酸素/炭素原子数比O/Cを求め、前もって求めた単味
炭の水素/炭素原子数比H/Cおよび酸素/炭素原子数
比O/Cとドラム強度DIとの関係から装入炭のドラム
強度DIを精度良く推定することができる。この推定に
基いて単味炭の種類および配合割合を選択して装入炭と
し、該装入炭をコークス炉に装入して乾留すると、所望
のドラム強度DIを示すコークスが得られる。 【0024】これに対し、装入炭の中に粘結性が小さい
か粘結性を有しない微・非粘結炭を配合する場合には、
水素/炭素原子数比H/Cおよび酸素/炭素原子数比O
/Cの値を基に配合比率で加重平均しても、実際に得ら
れたコークスのドラム強度DIとは一致しない。という
のは、微・非粘結炭の水素/炭素原子数比H/Cや酸素
/炭素原子数比O/Cは粘結炭のそれらとは異なった挙
動を示し、必ずしも加成性が成立しないからである。 【0025】そこで本発明においては、配合に供する単
味炭中のうち微・非粘結炭については、その活性成分の
水素/炭素原子数比H/C、酸素/炭素原子数比O/C
として、粘結炭との配合によっても加成性を示すような
補正を施された指標である見掛け水素/炭素原子数比(
H/C)’、見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を
用いるようにする。 【0026】この補正は、微・非粘結炭の各銘柄毎(各
単味炭毎)に配合比率を変えた装入炭を調製し、それら
を乾留してコークスとなし、そのドラム強度DIを実測
すると共に、加重平均による計算値と比較し、それらの
値が一致するように水素/炭素原子数比H/Cおよび酸
素/炭素原子数比O/Cの値を補正することによりなさ
れる。このようにして補正された単味炭の水素/炭素原
子数比H/Cを見掛け水素/炭素原子数比(H/C)’
、補正された酸素/炭素原子数比O/Cを見掛け酸素/
炭素原子数比(O/C)’と定義する。なお粘結炭の場
合は、たとえこのような補正を行っても、当然のことな
がら(H/C)と(H/C)’とは同じ値となり、O/
Cと(O/C)’とは同じ値となる。 【0027】そしてこれらの見掛け水素/炭素原子数比
(H/C)’、見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’
を加味した指標IH/C 、IO/C をそれぞれ用い
て装入炭のドラム強度DIを推定し、その推定に基いて
単味炭の種類および配合割合を選択して装入炭となし、
該装入炭をコークス炉に装入して乾留する。このような
指標IH/C、IO/Cを用いると、配合に微・非粘結
炭を使用した場合にも、粘結炭のみのときと同じように
精度良く装入炭のドラム強度DIを推定することができ
るようになる。 【0028】上述の指標IH/C 、IO/C を用い
た場合、実操業における配合管理は図7のように表現さ
れる。図7には、参考のために、単味炭のビトリニット
の反射率Roおよびギーセラー最高流動度MFのタイラ
インも併せて記入したが、実操業では、原料炭コストの
関係から高流動性炭を極力減配する一方で、低石炭化度
炭を極力増配することなどの理由から、石炭化度方向(
図のA方向)の変化と比較して粘結性方向(図のB方向
)の変化は狭い範囲に限定され、いわゆる流動性下限近
くでの操業が多いため、配合管理上はむしろ図の垂直方
向の変化、つまりIH/C−IO/C (以下△Iとい
う)の方が重要になってくる。従って、以下の実操業へ
の適用に当たっては、石炭化度方向の変化に対応する指
標としてのIO/C と、粘結性に対応する指標として
の△Iとの組み合わせを用いることとした。 【0029】ところで、コークス炉による実操業におい
ては、ドラム強度DIに影響を与える要因は、単味炭の
配合比率のみではなく、炉温FTその他の操業条件が追
加される。これらも考慮しなければより精度のよい推定
値は得られない。しかし、全ての操業条件をドラム強度
DI推定の要因としてとらえることは不可能であるから
、寄与率の大きい要因である炉温FTを取り上げ、それ
と挿入炭についての上記の指標IH/C 、IO/C 
を用いて、ドラム強度DIを推定することが望ましい。 【0030】指標IH/C 、IO/C を用いた場合
、コークスのドラム強度DIはIO/C が高くなると
共に低下し、DIが最大となるような△Iの値△Ima
x から△Iが離れるに従って低下する。また△Ima
x の値はIO/C が低くなるほど小さくなる。一方
、実操業データを炉温FTで層別した場合には炉温FT
が高いほど△Imax の値は低下し、かつ△Iの△I
max からの乖離によるドラム強度DIの低下は急激
になる(図8参照)。 【0031】以上のことから、ドラム強度DIの好まし
い推定式として、下記の関係式をあげることができる。 【0032】 DI=(DI)max−F(FT)×(△Imax −
△I)2(DI)max=a−b・IO/C +c・F
TF(FT)=d−e・FT △Imax =f+g・IO/C −h・FT【003
3】1番目の式の(DI)maxはとりうるドラム強度
DIの最大値であり、2番目の式のように配合炭の指標
IO/C 、操業時のコークス炉の炉温FT下で一元的
に決まるものである。 【0034】1番目の式は、2番目の式によって得られ
た(DI)maxからマイナス要因を差し引いて、実際
に得られるであろうドラム強度DIを推定するための式
であり、この式による補正計算で実炉操業における精度
のよいドラム強度DIの推定を行うことが可能となる。 【0035】1番目の式におけるF(FT)は、炉温F
Tを変数とする関数であり、3番目の式で表わされる。 関数記号として大文字のFを用いたのは、定数fとの混
同を避けるためである。 【0036】1番目の式における△Iは、配合炭のIH
/C −IO/C の値である。この値には、各配合毎
にDIが最大となるような値△Imax が存在する。 従って、△Imaxと△Iとの差はDIにとってマイナ
ス要因となるのである。このような△Imaxの値は4
番目の式で表わされる。 【0037】a,b,c,d,e,f,g,hは定数で
あり、実炉操業のデータを統計的な手法によって解析す
ることにより定まる。 【0038】配合に際しては、上記各関係式を用いてそ
の都度ドラム強度DIを計算し、トライアンドエラーに
よって単味炭の種類と配合割合を選択して装入炭とし、
該装入炭をコークス炉に装入して乾留することによって
所望の品質のコークスを得ることができる。 【0039】入荷ロット毎の缶焼き試験焼成、H/C、
O/Cの直接測定は実際には煩雑である。そこで鋭意検
討を加えた結果、IH/C と原料石炭の加熱減量との
間には高度の相関関係の存在すること、IO/C と原
料石炭のCO発生量と高度の相関関係があることを見い
出した(図12、図13参照)。これらの値はたとえば
熱天秤とガスクロマトグラフを組み合わせた装置で比較
的簡単に同時測定することができる。従って、原料石炭
の加熱減量およびコークス炉ガス発生量との相関関係か
らIH/C 、IO/C を求めるようにすることも好
ましい。 【0040】 【作用】微・非粘結炭を含む数種の単味炭を配合して得
た装入炭を乾留して冶金用コークスを製造するにあたっ
ては、粘結炭については水素/炭素原子数比H/Cと酸
素/炭素原子数比O/C、微・非粘結炭については補正
された指標である見掛け水素/炭素原子数比(H/C)
’と見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を求めてお
き、これらの見掛け水素/炭素原子数比(H/C)’、
見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を加味した指標
IH/C 、IO/C をそれぞれ用いて装入炭のドラ
ム強度DIを推定する。そして所定以上のドラム強度D
Iを与える単味炭の組み合わせを選択して装入炭となし
、該装入炭をコークス炉に装入して乾留する。単味炭の
組み合わせはトライアンドエラー方式で行うことが多い
が、最適計画法の手法によって一元的に最適配合を決定
する場合もある。 【0041】 【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明する
。 【0042】実施例1 図1は、単味炭の活性成分および不活性成分のH/Cと
O/Cとの関係を示す散布図である。図2は、単味炭の
活性成分のH/CとO/Cとに対応するDI15015
 の値を示した散布図である。図3は、粘結炭を相互に
配合した場合のDI15015 の実測値と図2からの
読み取り値との関係を示す相関図である。図4は、通常
の粘結炭に微・非粘結炭を配合して装入炭とした場合の
当該装入炭のDI15015 の実測値と計算値とを比
較して示す関係図である。図5は、単味炭の活性成分の
H/Cと見掛けのH/C[すなわち(H/C)’]との
関係を示す相関図である。図6は、単味炭の活性成分の
O/Cと見掛けのO/C〔すなわち(O/C)’〕との
関係を示す相関図である。 【0043】本発明は、基本的には、原料石炭を乾留し
て得られるコークスのドラム強度DIを、配合に供する
単味炭の活性成分の水素/炭素原子数比H/Cおよび酸
素/炭素原子数比O/Cから求めることから成り立って
いる。 【0044】そこで、まずこれらの指標がドラム強度D
Iを推定するのに適した要因であるかを確認するために
基礎的な試験を実施した。 【0045】先に詳述した通り、原料石炭はビトリニッ
ト、エクジニットなど加熱時に軟化溶融する活性成分と
軟化溶融しない不活性成分とからなる。活性成分と不活
性成分とはコークスのドラム強度DIの主要支配因子で
ある基質強度や気孔構造の形成に及ぼす影響がそれぞれ
異なると考えられることから、それを確認するために、
各単味炭を活性成分と不活性成分とに分け、それぞれに
ついて元素分析により水素、酸素および炭素の量を測定
し、H/CとO/Cの値を算出した。 【0046】それらの間の関係を図1に示した。この図
において、黒丸および黒三角は各単味炭の活性成分を、
白丸は不活性成分を示す。黒丸は缶焼き焼成を行った場
合塊成化する活性成分であり、黒三角は缶焼き試験焼成
を行った場合塊成化しない活性成分である。なお缶焼き
試験焼成とは、たとえば、試料石炭を石油缶の中に所定
の方法で装填して一定の条件で乾留する試験であって、
一定の焼成条件で乾留が行われるのでデータ比較が容易
である。 【0047】図1からわかる通り、活性成分と不活性成
分とは互いに異なった挙動を示す。特にH/Cについて
は、ほぼO/Cのとりうる全域にわたって活性成分の方
が大きい値を示し、その差は顕著である。 【0048】このことは、単味炭のH/CとO/Cとか
らコークスのドラム強度DIを予測する場合、活性成分
と不活性成分とに分けて考えねばならないことを示して
いる。なぜなら、活性成分と不活性成分とは原料石炭の
コークス化に対して別異の働きをすると考えられるから
である。 【0049】そこで今度は、活性成分のみに注目し、各
種単味炭の缶焼き試験焼成を行った。この場合の活性成
分のH/CとO/Cとの関係を図2に示す。この図に缶
焼き試験焼成によって得られたコークスサンプルのDI
15015 の実測値を記入してあるが、点線で示した
ようなDI15015 値の等強度曲線が得られた。 【0050】以上の結果より、ある単味炭の活性成分の
H/CおよびO/Cの値がわかれば、その値から図2を
基に、乾留して得られるコークスのドラム強度DIの値
を予測することができる。 【0051】ところで、前述した通り、実際のコークス
製造においては複数種類の単味炭を配合して装入炭とし
、該装入炭を乾留するのが通常であり、しかも配合の都
度その装入炭のドラム強度DIの値を実測すれば確実な
データが得られるが、都度の実測は多くの手間と時間を
要するので、日常の操業管理においては現実的ではない
。通常、単味炭の既知のドラム強度DIを配合比率で加
重平均し、装入炭のドラム強度DIを計算することが便
法として採用されることが多いが、このようにして得ら
れた値が実測値と合致しないことが多いのは経験の教え
るところである。 【0052】そこで、各種単味炭の既知のH/Cおよび
O/Cの値から、配合割合による加重平均を行って装入
炭のH/CおよびO/Cを算出し、その値に対応する装
入炭のドラム強度DIを図2から読み取って推定する方
法の適用が期待される。 【0053】このような推定が当を得たものであるかど
うかを確認するため、実測値と計算値とが許容し得る精
度で対応するかどうかの試験を以下の通り実施した。 【0054】すなわち、2種類の単味炭を配合した配合
炭の多種類を調製し(具体的には配合比率を変化させた
)、これら配合炭について缶焼き試験焼成を実施した。 缶焼き試験焼成の結果得られたコークスサンプルについ
てドラム強度DI15015 を実測した。 【0055】他方、これら配合炭を構成する単味炭のH
/CとO/Cの値から配合比率を重みとして加重平均を
行って配合炭のH/CとO/Cを求め、図2を基にドラ
ム強度DI15015 を読み取った。 【0056】試験に用いた単味炭がいずれも粘結炭であ
る場合、上記のようにして得た実測ドラム強度DI15
015 と計算ドラム強度DI15015 とをプロッ
トしたのが図3である。 【0057】この図からわかる通り、粘結炭の場合は両
者の間には高度の相関関係が存在し、いわゆる加成性が
成立することが確認できた。 【0058】次に、配合に供する単味炭が粘結炭と粘結
性を示さない微・非粘結炭とである場合についても同様
の試験を行ったが、この場合には、計算値と実測値とは
一致しなかった。 【0059】微・非粘結炭を使用した場合の試験結果の
詳細については説明を省略するが、上記一連の試験の結
果をとりまとめると、ドラム強度DI15015 の計
算値と実測値に関し、 (1) 単味炭として粘結炭のみを使用し、それらを相
互に配合した場合は、計算値と実測値との間に有意の差
は生じない。 (2) 単味炭として粘結炭と微・非粘結炭の双方を用
い、それらを配合した場合は、 (a) 微・非粘結炭が風化炭等の低石炭化度炭であっ
て、その活性成分のO/Cが0.10よりも大きくなる
と、計算値と実測値との差は大きくなる。(図6参照)
(b) 微・非粘結炭が無煙炭、半無煙炭等の高炭化度
炭であって、その活性成分のH/Cが0.60よりも小
さくなると、計算値と実測値との差は大きくなる。(図
5参照)という結果が得られた。 【0060】本発明は、上記(2) の(a) 、(b
) の場合にも適用できる普遍的な計算方式を見い出し
たことがベースとなっており、その基本的な考え方は次
の通りである。すなわち、通常の粘結炭の場合は、それ
がどのような銘柄のものであっても、その活性成分中の
水素および酸素のうちコークス化に関与するものの比率
がほぼ一定であると解釈すれば、上記(1) の成り立
つことが説明できる。 【0061】これに対し、O/Cが0.10より大きか
ったりH/Cが0.60より小さい微・非粘結炭の場合
は、その活性成分中の水素および酸素のうちコークス化
に寄与するものの比率が一定せず、ケースバイケースで
異なることになると考えられる。 【0062】そこで本発明においては、微・非粘結炭の
活性成分のH/CとO/Cの実測値を、通常の粘結炭の
場合と同列に扱いうるように補正するのである。すなわ
ち、この補正値を採用することによって、O/Cが0.
10より大きかったりH/Cが0.60より小さい微・
非粘結炭を配合する場合も、補正された指標(H/C)
’および(O/C)’を指標として、普遍的に装入炭(
配合炭)のドラム強度DI推定に適用することが可能と
なる。 【0063】この一例を示したのが図4である。この図
では、通常の粘結炭に微・非粘結炭を配合して配合炭と
した場合の当該配合炭のドラム強度DI15015 の
実測値と計算値とを比較してある。すなわち、この図に
おいては、縦軸にドラム強度DI15015 を、横軸
に通常の粘結炭に対する微・非粘結炭の配合比率をとり
、それに配合炭のドラム強度DI15015 の実測値
と計算値との双方を書き込んである。 【0064】この場合、試験に用いた試料としては、粘
結炭          銘柄  A銘柄  B 微・非粘結炭    銘柄  C の3種類の原料石炭を用いた。それぞれの性状は表1の
通りである。 【0065】     表1   ───────────────────────
───────────              
              活性成分の    活性
成分の  缶焼きコークスの        銘柄  
  炭種            H/C      
  O/C        DI15015     
    ─────────────────────
─────────────      A    粘
結炭             0.71      
    0.051          85.1  
            B    粘結炭     
        0.75          0.0
55          82.7         
     C    微・非粘結炭       0.
64          0.152        
    −            ────────
─────────────────────────
─  【0066】なお、上表において銘柄Cのドラム
強度DI15015 の記載がないのは、この銘柄のみ
ではDI15015 を測定できるような塊コークス試
料が得られなかったからである。 【0067】まず、銘柄AとCとを下記の表2の通りの
配合比率で配合し、それらの配合比率で加重平均して配
合炭の活性成分のH/CとO/Cを算出し、図2より配
合炭のドラム強度DI15015 を読み取ると共に、
別途缶焼き試験焼成で得られたコークス試料のドラム強
度DI15015 を実測した。その結果も併せて表2
に示す。 【0068】     表2   ───────────────────────
────────────    配合比率     
   加重平均値              DI1
5015                     
  A    C      H/C    O/C 
     図2読取  実測値      差  ──
─────────────────────────
────────  100 %  0 %     
0.71      0.051        85
.1     85.1       0      
      95     5        0.7
1      0.054        85.0 
    83.8       1.2       
   90    10        0.70  
    0.061        82.0    
 73.8       8.2          
85    15        0.70     
 0.066        75.2     69
.2       6.0         ────
─────────────────────────
──────【0069】さらに、銘柄BとCとを配合
して、上記と同様の試験を行った。その結果は下記の表
3の通りである。 【0070】     表3   ───────────────────────
────────────    配合比率     
   加重平均値              DI1
5015                     
  A    C      H/C    O/C 
     図2読取  実測値      差  ──
─────────────────────────
────────  100 %  0 %     
0.75      0.055        82
.7     82.7       0      
      95     5        0.7
4      0.060        83.0 
    81.2       1.8       
   90    10        0.74  
    0.065        81.5    
 76.2       5.3          
85    15        0.73     
 0.070        75.0     70
.8       4.2         ────
─────────────────────────
──────【0071】表2および表3のドラム強度
DI15015 をグラフに図示したのが図4であるが
、加重平均値から図2を読み取り、DI15015 を
求めたものが点線である。 これに対し、缶焼き試験焼成によるDI15015 の
実測値は丸印により示した。白丸はA炭とC炭との配合
炭であり、黒丸はB炭とC炭との配合炭である。上表お
よび図4からわかる通り、計算値と実測値との間にはか
なりの差が認められる。これでは微・非粘結炭を粘結炭
と同列には扱うことができない。 【0072】そこで同列に扱えるように補正を行い、上
記微・非粘結炭のO/Cを0.20と置くのである。0
.20と置いた根拠は以下の通りである。 【0073】表2および表3からわかる通り、配合炭の
H/Cの変動はO/Cの変動に比べて非常に小さい値を
示している。すなわち、配合比率を種々変えると配合炭
のO/Cはかなり大きく変動するが、H/Cはほぼ一定
の値を示す。 【0074】そこで、変動の大きいO/Cに注目し、微
・非粘結炭のO/Cを補正して加重平均値が実測値に合
うように逆算してみた。 【0075】たとえば、表2の配合比率A:B=95:
5のケースの場合、配合炭のO/Cが0.058 であ
るなら、その配合炭のドラム強度DI15015 の実
測値に加重平均値がミートするのである(図2中、H/
C 0.071の線上でDI15015 が実測値の8
3.8になるO/Cの値を読み取ると0.058 が得
られる)。 【0076】そこで、加重平均すれば配合炭のO/Cが
0.058 となるような微・非粘結炭のO/Cの値を
yと置いて以下の方程式を得る。 0.95×0.051 +0.05×y=0.058こ
の方程式を解いてyを求めると、y=0.191 を得
るのである。 【0077】このような計算を、表2および表3の他の
ものについても実施した結果、表4に示すような銘柄C
の補正(O/C)’が得られた。 【0078】     表4   ───────────────────────
────────────             
                         
  実測値に合                  
        配合銘柄  配合比率    実測 
         う配合炭の      銘柄Cの補
正                        
      DI15015       O/C  
      (O/C)’        ─────
─────────────────────────
─────    A:C    95:  5   
 83.8          0.058     
       0.191            A
:C    90:10    73.8      
    0.067            0.21
1            A:C    85:15
    69.2          0.072  
          0.191          
  B:C    95:  5    81.2  
        0.063            
0.215            B:C    9
0:10    76.2          0.0
70            0.205      
      B:C    85:15    70.
8          0.075         
   0.188          ───────
─────────────────────────
───                平均    
                         
          0.200          
─────────────────────────
──────────【0079】このことは、微・非
粘結炭である銘柄CのO/Cを実測値の 0.152で
はなく、補正された値である0.200 と置けば、計
算値(読み取り値)と実測値とがよく一致することを示
している。そこで新たに銘柄CのO/Cを 0.200
と置き、計算し直した結果得られるドラム強度DI15
015 などを表5に示す。 【0080】     表5   ───────────────────────
───────────    (イ) 実  測  
        図2読取    DI15015  
       実測値からの偏り          
DI15015     (ロ) 補正前    (ハ
) 補正後        (ロ)−(イ)   (ハ
)−(イ)                    
   O/C採用    O/C採用        
  X        Y        ─────
─────────────────────────
────          83.8       
    85.0          83.6   
          1.2      −0.2  
           73.8          
 82.0          75.0      
       8.2       1.2     
        69.2           75
.2          68.0         
    6.0      −1.2        
     81.2           83.0 
         82.0            
 1.8       0.8           
  76.2           81.5    
      76.0             5.
3      −0.2             7
0.8           75.0       
   70.0             4.2  
    −0.8       ──────────
──────────────────────── 
   平均  75.8           80.
3          75.8          
   4.45     −0.4         
                         
     不偏分散(σn−1 )  2.6395 
   0.9180                
                    データ点数
(n)    6         6       
  ───────────────────────
───────────  【0081】実測値からの
偏りX、Yについて有意差が存在するかどうかを以下の
通り検定した。     |Xの平均値−Yの平均値|=|4.45−(
−0.4)|=4.85    2.97×[(σn−
1(X)2 /nX )+(σn−1(Y)2 /nY
 )]1/2         =2.97×[(2.
63952 /6)+(0.91802/6)]1/2
 =3.39【0082】従って、     |Xの平均値−Yの平均値|             ≧2.97×[(σn−1(
X)2 /nX )+(σn−1(Y)2 /nY )
]1/2 すなわち、0.3 %の危険率(99.7%
の信頼率)で有意差が存在する。 【0083】図4に補正したO/C(つまり(O/C)
’)を用いて得たドラム強度DI15015 を実線に
よって記入したが、実測値と計算値とが極めてよく一致
していることがわかる。 【0084】このように、通常の粘結炭以外の原料石炭
を対象として予めH/C値およびO/C値を補正してお
き、その値を用いることにすれば、あらゆる原料石炭を
粘結炭と同列に扱えるようになる。 【0085】なお、H/Cの変動範囲は小さいから、こ
れについては特に補正を行わなくてもよいが、補正すれ
ばより良い結果が得られる。 【0086】このようにして得られた微・非粘結炭の活
性成分の見掛けのH/C、見掛けのO/Cが、それぞれ
(H/C)’、(O/C)’である。 【0087】予め試験をして求めた微・非粘結炭の活性
成分の実測H/Cと(H/C)’との関係は図5の通り
であり、実測O/Cと(O/C)’との関係は図6に示
す通りである。これらの図によって、微・非粘結炭の活
性成分の実測H/C、O/Cがわかれば、(H/C)’
、(O/C)’の値を即座に知ることができる。 【0088】以上の結果より、配合に供する単味炭の(
H/C)’および(O/C)’を加味した指標IH/C
 、IO/C を採用し、これを配合比率で加重平均し
て配合炭の指標IH/C 、IO/C を算出し、図2
からドラム強度DI15015 を読み取れば、配合炭
を乾留して得られるコークスのドラム強度DI1501
5 を精度良く推定することができる。 【0089】実施例2 図7は、原料石炭のIH/C およびIO/C を指標
として考えた場合の冶金用コークスを製造する際に通常
使用されている装入炭の範囲を示す関係図である。図8
は、コークス炉の炉温FT別の△Iとドラム強度DI1
5015 との関係を示す散布図である。図9は、実炉
操業におけるドラム強度DI15015 の実測値と計
算値との差の比較を経時的に示したグラフである。図1
0は、実炉操業において、風化炭を使用した場合のドラ
ム強度DI15015の実測値と計算値との差の比較を
経時的に示したグラフである。図11は、実炉操業にお
いて、低揮発分の装入炭を使用した場合のドラム強度D
I15015 の実測値と計算値との差の比較を経時的
に示したグラフである。 【0090】実施例1で詳述した方法を実炉操業におい
ても適用することができる旨先に述べたが、実際の実炉
操業においては、さらに他の要因も関与してくる。そこ
で、さらに精度よく実炉操業における装入炭のドラム強
度DIを推定するために検討を重ねた。 【0091】なお、本検討に対する基本的な考え方とし
て、実施例1の場合と同様に、ドラム強度DIに対して
IH/C とIO/C とを大きな要因としてとらえる
ことには変わりはない。このうち特にIO/C に注目
し、それとの相関関係で最大となるドラム強度DIをま
ず推定する。 その後微調整の補正を行って実際に得られるであろうド
ラム強度DIを推定するというものである。IO/C 
はドラム強度DIに対してマイナス要因ではあるが、こ
れに特に注目したのは、前述した通り、IH/C に比
し変動が大きいことと、これとドラム強度DIとの負の
相関関係が高度に有意であり、IO/C を独立変数と
して使用すれば精度良くドラム強度DIを推定すること
ができるからである。ただし、このようにして一元的に
得られた推定値(いわゆる大まかな推定値、この値を最
大値とみる。)の精度を上げるために補正を行うのであ
る。この補正のときに操業条件の要因である炉温FTと
IH/C とを使用する。 【0092】また本検討においては、単味炭ではなく装
入炭を対象にする。装入炭についてのIH/C とIO
/C は、単味炭についてのそれらを配合割合を重みと
して加重平均することによって得られるが、それらの間
に加成性が存在するのは実施例1において説明した通り
である。 【0093】原料石炭のIH/C およびIO/C を
指標として考えた場合、実炉操業においては図7の斜線
の範囲が、一般的に認識されている冶金用コークスの原
料として使用されている装入炭の範囲である。 【0094】参考のため、従来用いられていたビトリニ
ットの平均反射率R0 (二点鎖線で示す)、およびギ
ーセラー最高流動度MF(一点鎖線で示す)の等値線(
タイライン)が図上でどのように表記されるかを記入し
た。 【0095】なお、点線はドラム強度DI15015 
の等強度曲線である。実炉操業においては、原料石炭の
コストの関係から高価な高流動性炭を極力少なくする方
向で配合が実施される。そのため、微・非粘結炭をでき
るだけ多く使用することになるが、その結果、石炭化度
方向(図中のA方向)の変化に比較して粘結性方向(図
中B方向)の変化は狭い範囲に限定される。すなわち、
実際の操業は流動性の下限近くで行われる場合が多い。 【0096】そのようなことから、配合管理上は、むし
ろ図の縦方向の変化△I=IH/C −IO/C が重
要な意味を持ってくる。ここにIO/C を差し引いた
のは、IO/C はドラム強度DIに対してマイナス要
因であり、IH/C の効果を相殺するからである。 【0097】ところで、上記△Iに関しては、ドラム強
度DIが最大になる最適値が存在する。その値は、コー
クス炉のタイプ、炉温などの焼成条件によって異なるが
、おおむね 0〜0.3 前後である。この値の求め方
については後述するが、それを△Imax とした場合
、それと配合の都度得られる△Iとの差の自乗値がドラ
ム強度DI15015 に影響を与えるのである。この
ことは図8によってわかる。 【0098】すなわち、図8には実炉操業における炉温
を変化させた場合の△Iとドラム強度DI15015 
との関係を図示してあるが、傾向的に二次曲線の様相を
呈し、最も高いドラム強度DI15015 を示すよう
な△Iの値すなわち△Imax から△Iが乖離するほ
どドラム強度DI15015 は低下する。 【0099】また他方、同じく図8によってその傾向が
わかる通り、△Iと△Imax との差が0のときのD
I15015 すなわち(DI15015)max の
値は、炉温FTによって変化する。 【0100】このことは、上記差が0以外の場合には、
(△Imax −△I)2 と炉温FTとは共にドラム
強度DI15015 に対するマイナス要因となること
を示している。 【0101】以上の結果を踏まえ、まず、マイナス要因
がないとした場合のドラム強度である(DI15015
)max を推定する式を以下の通りに設定した。なお
この場合、独立変数にIO/C とFTとを選んだのは
、それらと(DI15015)max との相関関係が
高度に有意であり、精度よく(DI15015)max
を推定することができるからである。 (DI15015)max =a−b・IO/C +c
・FT【0102】ここに、a,b,cは、実炉の型式
や操業方法によって決まる定数であり、多数の実操業デ
ータを統計的に解析することによって求めることができ
る。 【0103】次に、上式から得られた(DI15015
)max から上記マイナス要因を差し引くことによっ
て、実炉操業におけるドラム強度DI15015 を推
定する。この場合推定式を以下の通りに設定した。 【0104】       (DI15015)=(DI15015)
max −F(FT)×(△Imax −△I)2  
           F(FT)=d−e・FT  
          △Imax =f+g・IO/C
 −h・FT【0105】d,e,f,g,hは、上記
a,b,cと同様、実炉の型式や操業方法によって決ま
る定数であり、多数の実操業データを統計的に解析する
ことによって求めることができる。 【0106】このようにして得られた各式を用い、予め
ドラム強度DI15015 の推定値を計算すると共に
、実際に生産されたコークスのドラム強度DI1501
5 の実測値を測定した。推定値の実測値に対する差を
示したのが図9の(a) である。比較のため、従来の
推定法であるビトリニットの反射率R0 およびギーセ
ラー最高流動度MFを用いた推定値の実測値に対する差
を同図の(b) に示した。用いたデータはいずれも月
間平均値である。また、使用したコークス炉はいずれも
炉高6500mmのコッパース式大型炉である。 【0107】図9からわかる通り、従来の推定法に比し
本発明の推定法の方が格段に精度よく実測値に合ってい
ることが確認できた。 【0108】ちなみに差の分散値は、従来のものが0.
33〜0.36であるのに対して、本発明にかかるもの
は0.17〜0.20である。統計的手法を用いて分散
の差の検定を行った結果、有意差の存在することが認め
られた。 【0109】また、本発明の方法によるドラム強度DI
の推定は、風化炭などの粘結炭以外の原料炭を多量に配
合する場合には、従来法に比較して際立ってその効力を
発揮する。図10には風化炭配合時のドラム強度DI1
5015 推定値の実測値に対する差を示してあるが、
本発明による推定法の方が従来法による場合よりも明ら
かに精度がよいことがわかる。特に風化炭の配合比率が
多いときにその差は顕著である。用いた個々のデータは
いずれも日間平均値である。また、使用したコークス炉
はいずれも上記と同じく炉高6500mmのコッパース
式大型炉である。 【0110】さらに、低揮発分の装入炭を用いた場合に
ついて、本発明にかかる推定法と従来法とを比較したの
が図11である。通常、装入炭の揮発分は28%前後に
調製されるのであるが、近年の原料事情およびコスト低
減の要請に伴い、22%前後まで低下させなければなら
ない場合も多い。このような場合にも本発明にかかる推
定法が適用できるかどうかについて確認のために実施し
たのであるが、図からわかる通り、従来法に比し本発明
にかかる方法の方が格段に精度よくドラム強度DI15
015 を推定することができる。 【0111】実施例3 図12は、原料石炭の加熱減量とIH/C との関係を
示す相関図である。図13は、原料石炭のCO発生量と
IO/C との関係を示す相関図である。 【0112】先に詳述したように、本発明はコークスの
ドラム強度DIに対する原料石炭の指標としてIH/C
 およびIO/C を用いるものである。このことは、
対象となる単味炭および装入炭のIH/C およびIO
/C の値を予め測定しておかなければならないことを
意味している。これらの値は、まず試料を活性成分と不
活性成分に分離することから始まり、その結果得られた
活性成分を対象としての元素分析を行わなければならな
い。元素分析の結果H/CとO/Cの値が得られる。原
料石炭が粘結炭である場合には、これらの値をIH/C
 およびIO/C の値として採用できるが、それが微
・非粘結炭である場合には、このようにして得られたH
/C、O/Cの値をさらに補正して(H/C)’ 、(
O/C)’ となし、これらをIH/C 、IO/C 
としなければならない。 【0113】このような操作は極めて煩雑であり、都度
行うともなれば多くの人手と時間を費やさねばならず、
せっかくの方法も適用し難いことになりかねない。そこ
で鋭意研究の結果、簡便な方法によって原料石炭のIH
/C およびIO/C を求める方法を見い出した。 【0114】この方法は、実用上測定しやすい他の測定
値を用い、その測定値とIH/C あるいはIO/C 
との相関関係から直ちにIH/C およびIO/C の
値を求めるものである。 【0115】この場合、IH/C のための測定値とし
て加熱減量を、IO/C のための指標としてCO発生
量を採用した。これらの値は、すでに述べたように、た
とえば熱天秤とガスクロマトグラフとを組み合わせた測
定装置によって比較的簡単に測定することができる。 【0116】図12は、800℃における加熱減量とI
H/C との関係を示す相関図であり、図13はCO発
生量とIO/C との関係を示す相関図であるが、いず
れも高度に有意な相関関係が存在することがわかる。 【0117】従って、たとえばIH/C およびIO/
C が未知である原料石炭を入手したような場合、これ
らの加熱減量およびCO発生量を測定し、図12および
図13から、直ちにIH/C およびIO/C の値を
求めることができる。 【0118】 【発明の効果】本発明の方法は、流動性が低いか流動性
を示さない微・非粘結炭を配合した場合にあっても適用
でき、しかも推定精度が従来のビトリニットの平均反射
率Roとギーセラー最高流動度MFとの組み合わせを用
いる推定方法や、原料石炭のH/CおよびO/Cを指標
として用いる方法に比し格段にすぐれている。 【0119】従って、高価な高流動度炭を極力減配し、
安価な微・非粘結炭を極力増配できるので、操業管理上
、予算管理上さらには新規な銘柄の原料石炭を買い付け
るときの評価上極めて有利であり、コークス製造用原料
石炭の範囲の拡大に寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単味炭の活性成分および不活性成分のH/Cと
O/Cとの関係を示す散布図である。
【図2】単味炭の活性成分のH/CとO/Cとに対応す
るDI15015 の値を示した散布図である。
【図3】粘結炭を相互に配合した場合のDI15015
 の実測値と図2からの読み取り値との関係を示す相関
図である。
【図4】通常の粘結炭に微・非粘結炭を配合して配合炭
とした場合の当該配合炭のDI15015 の実測値と
計算値とを比較して示す関係図である。
【図5】単味炭の活性成分のH/Cと見掛けのH/C[
すなわち(H/C)’]との関係を示す相関図である。
【図6】単味炭の活性成分のO/Cと見掛けのO/C〔
すなわち(O/C)’〕との関係を示す相関図である。
【図7】原料石炭のIH/C およびIO/C を指標
として考えた場合の冶金用コークスの原料として使用し
ている装入炭の範囲を示す関係図である。
【図8】コークス炉の炉温FT別の△Iとドラム強度D
I15015 との関係を示す散布図である。
【図9】実炉操業におけるドラム強度DI15015 
の実測値と計算値との比較を経時的に示したグラフであ
る。
【図10】実炉操業において、風化炭を一部配合して焼
成した場合のドラム強度DI15015 の実測値と計
算値との比較を経時的に示したグラフである。
【図11】実炉操業において、低揮発分の装入炭を焼成
した場合のドラム強度DI15015の実測値と計算値
との比較を経時的に示したグラフである。
【図12】原料石炭の加熱減量とIH/C との関係を
示す相関図である。
【図13】原料石炭のCO発生量とIO/C との関係
を示す相関図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微・非粘結炭を含む数種の単味炭を配合し
    て得た装入炭を乾留して所定のドラム強度DIを有する
    コークスを製造する方法であって、予め配合に供する単
    味炭の活性成分の水素/炭素原子数比H/Cおよび酸素
    /炭素原子数比O/Cと単味炭のドラム強度DIとの関
    係を求めておき、これら単味炭の配合比率を重みとした
    加重平均により装入炭の活性成分の水素/炭素原子数比
    H/Cおよび酸素/炭素原子数比O/Cを求めて装入炭
    のドラム強度DIを推定するに際し、配合に供する単味
    炭中の微・非粘結炭については、その活性成分の水素/
    炭素原子数比H/C、酸素/炭素原子数比O/Cとして
    、粘結炭との配合によっても加成性を示すような補正を
    施された指標である見掛け水素/炭素原子数比(H/C
    )’、見掛け酸素/炭素原子数比(O/C)’を用い、
    これらの見掛け水素/炭素原子数比(H/C)’、見掛
    け酸素/炭素原子数比(O/C)’を加味した指標IH
    /C 、IO/C をそれぞれ用いて装入炭のドラム強
    度DIを推定し、その推定に基いて単味炭の種類および
    配合割合を選択して装入炭となし、該装入炭をコークス
    炉に装入して乾留することを特徴とする冶金用コークス
    の製造方法。
  2. 【請求項2】ドラム強度DIの推定を、下記の関係式D
    I=(DI)max −F(FT)×(△Imax −
    △I)2 (DI)max =a−b・IO/C +c・FTF(
    FT)=d−e・FT △Imax =f+g・IO/C −h・FTただし、 ・(DI)max :とりうるDIの最大値・F(FT
    ):△Iの△Imax からの乖離によるDI低下率 ・△Imax :DIが最大となるような△I・FT:
    炉温 ・△I:IH/C −IO/C ・a,b,c,d,e,f,g,h:定数に基いて行う
    ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】IH/C 、IO/C を、原料石炭の加
    熱減量、CO発生量との相関関係からそれぞれ求めるよ
    うにした請求項1記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013203812A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Jfe Steel Corp 改質炭の製造方法
JP2017173294A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 関西熱化学株式会社 コークスの強度推定方法、及び、コークスの製造方法
JP2018039868A (ja) * 2016-09-05 2018-03-15 関西熱化学株式会社 コークスの製造方法
JP2020012762A (ja) * 2018-07-19 2020-01-23 日本製鉄株式会社 ビトリニット反射率Roの推定方法

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