JP2020012762A - ビトリニット反射率Roの推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】石炭の品位によらずに、より簡便かつ迅速に石炭のビトリニット反射率Roを推定することができる方法を提供する。【解決手段】予め、ビトリニット反射率Roが既知の複数の試験用石炭について、コークスを製造する際の乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、試験用石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を求めて、この水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数とビトリニット反射率Roとの相関式を得ておき、ビトリニット反射率Roが未知の実石炭について、実石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数を求めて、前記相関式からビトリニット反射率Roを推定するビトリニット反射率Roの推定方法である。【選択図】図3

Description

この発明は、石炭のビトリニット反射率Roを推定する方法に関する。
石炭のビトリニット反射率Roは石炭化度を示す指標として用いられ、石炭のコークス特性、とりわけコークス強度DIと相関があることから、コークス製造における操業管理(石炭配合管理)で広く使用されている。
ビトリニット(Vitrinite)は、石炭が有する微細組織成分(マセラル)のうち、類似の性質を持つものをグループにまとめた3つの微細組織成分群(マセラルグループ)のひとつである。ビトリニットは、主として植物の木質部に由来し、他の微細組織成分群〔イナーチニット(Inertinite)、エクジニット(Exinite)〕に比べてより均質であり、石炭を構成する有機質の主要部分を占める。そのため、ほとんど全ての石炭中に存在し、しかも、石炭化の進行と共にビトリニットの輝度が増すことから、石炭の基礎的な性状や構造解析ではビトリニットの評価が行われる。
ビトリニットの分析は、JIS M8816−1992によって標準化されている。ここでは、石炭の微細組織成分の反射率測定方法が規定されており、先ず、できるだけ微粉が出ないようにして試料(石炭)を粉砕して、十分乾燥させる。このとき、75μm以下の微粉が所定量含まれている場合には、試料調整を再度行わなければならない。得られた石炭粒子は、バインダー(樹脂)と混合して所定のブリケットを作製し、次いで、このブリケットを研磨処理して平らで無傷な表面に仕上げて、顕微鏡による観察面を形成する。反射率の測定にあたっては、顕微鏡のほかに落射照明装置や増幅器付指示計等を備えた装置を使用して、研磨試料中の微細組織成分の油浸最大反射率を測定する。ビトリニットの最大反射率を求める場合には、1個の研磨試料について測定点を50点以上として、最大反射率Ro(%)を求める。この最大反射率Roを算出するにあたっては、標準物質の反射率(%)や標準物質とビトリニットの各指示計の読みを利用した所定の式を用い、また、原則、2個の研磨試料についてこれらを実施して、平均して求めた平均最大反射率Roを算出する。
ここで、石炭は種々の構成物であるマセラルからなるものであって、上記のような石炭粒子にはビトリニット以外のものが多数混在する。そのため、ビトリニットの反射率を測定するためには、石炭粒子のなかのビトリニット粒子を事前に判別する必要があり、例えば、油浸の顕微鏡下で最も明るいのがイナーチニット、最も暗色のものがエクジニット、その中間がビトリニットであることから、これらの違いによりビトリニット粒子を判別したり、ビトリニットでは源植物組織が失われて均質な状態であるのに対して、他の微細組織成分群ではこの源植物組織が残存していることから、これらの違いによってビトリニット粒子を判別するなどしている。
ところが、このような事前作業を含めて、JISに規定されるビトリニットの分析方法には熟練度が要求されるものがあり、測定者によって結果が左右されてしまうことにもなりかねない。また、粒径が小さな微小石炭粒子になるとビトリニット粒子の判別が更に難しくなり、作業の手間が余計に掛かってしまうことにもなる。
そこで、例えば、特許文献1には、石炭を粉砕せずに、そのまま研磨処理して顕微鏡による観察面を形成して、ビトリニットの反射率を測定する方法が提案されている。この方法では、ビトリニットが高い熱可塑性を有する物質であることにより、ビトリニット粒子のほとんどのものが研磨処理した観察面において特殊な角(つの)状形状を有し、ビトリニット以外のマセラル構成粒子はこのような形状を呈することがないことに着目して、微小石炭粒子についてもビトリニットの反射率を確実に測定することができるようにしている。
特開2007−132795号公報
石炭のビトリニット反射率Roは、コークス製造の操業管理指標として広く一般に用いられている。一方で、コークス用原料としての良質の強粘結炭は、資源的に枯渇状態にあるため、低品位の劣質炭を用いる方法が検討されている。このような劣質炭は品位のばらつきが大きいため、例えば、製品単位(ロット)ごとの管理が必要となり、操業現場での迅速なデータ収集が必要となる。
しかしながら、上述したように、良質な石炭の場合を含めて、JISに規定されるビトリニット反射率Roの測定は、測定者の熟練度や技量等による個人差でその精度が変わってしまうおそれがある。特に、劣質炭の場合には、良質な石炭に比べてビトリニットが不均一に存在する傾向があることから、測定結果が誤差を含み易くなってしまう。しかも、その測定には専用の測定装置が必要であり、測定自体も煩雑であって、通常、数日乃至二週間程度の時間を要してしまう。
そこで、本発明者らは、例えば操業現場においてより簡便かつ迅速に石炭のビトリニット反射率Roを求めることができる方法について鋭意検討を重ねた結果、石炭を乾留温度まで加熱した際に発生する水素ガスの合計量から石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量を求めて、この水素ガス発生量がその石炭のビトリニット反射率Roと相関性を示すことを見出した。そして、この関係を利用すれば、簡便かつ迅速に石炭のビトリニット反射率Roを求めることができ、しかも、石炭の品位によらずに精度の高い推定値が得られるようになることから、本発明を完成させた。
したがって、本発明の目的は、石炭の品位によらずに、より簡便かつ迅速に石炭のビトリニット反射率Roを推定することができる方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)石炭のビトリニット反射率Roを推定する方法であって、
予め、ビトリニット反射率Roが既知の複数の試験用石炭について、コークスを製造する際の乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、試験用石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を求めて、この水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数とビトリニット反射率Roとの相関式を得ておき、
ビトリニット反射率Roが未知の実石炭について、前記乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、実石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数を求めて、前記相関式からビトリニット反射率Roを推定することを特徴とするビトリニット反射率Roの推定方法。
(2)前記水素発生指数が、水素ガス発生量(H2)を無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)で除したものである(1)に記載のビトリニット反射率Roの推定方法。
(3)前記水素発生指数が、水素ガス発生量(H2)を石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)で除したものである(1)に記載のビトリニット反射率Roの推定方法。
本発明によれば、簡便かつ迅速に石炭のビトリニット反射率Roを求めることができ、しかも、石炭の品位によらずに精度の高い推定値を得ることができるようになる。特に、本発明では、予め用意した相関式を利用することで、専用の測定装置を使わずにビトリニット反射率Roを求めることができ、また、測定者の熟練度や技量等に影響されずにより客観的な結果の推定値を得ることができるようになる。
図1は、水素ガスの測定に用いるガスモニタリング装置の全体概要説明図である。 図2は、ガスモニタリング装置を用いたときの石炭からの水素ガス発生挙動を連続的に測定したグラフの例を示す。 図3は、実施例で用いた試験用石炭について、その単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)とビトリニット反射率Roとの関係を表すグラフである。 図4は、実施例で用いた試験用石炭について、その単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)で除したものとビトリニット反射率Roとの関係を表すグラフである。 図5は、実施例で用いた試験用石炭について、その単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)で除したものとビトリニット反射率Roとの関係を表すグラフである。 図6は、実施例で用いた試験用石炭のうち、ビトリニット反射率Roが0.85以下のものを選んで、図3と同様にして求めたグラフである。 図7は、実施例で用いた試験用石炭のうち、ビトリニット反射率Roが0.85以下のものを選んで、図4と同様にして求めたグラフである。 図8は、実施例で用いた試験用石炭のうち、ビトリニット反射率Roが0.85以下のものを選んで、図5と同様にして求めたグラフである。 図9は、実施例で用いた試験用石炭について、その揮発分(VM)とビトリニット反射率Roとの関係を表すグラフである。 図10は、実施例で用いた試験用石炭のうち、ビトリニット反射率Roが0.85以下のものを選んで、図9と同様にして求めたグラフである。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明において、先ずは、ビトリニット反射率Roが既知の複数の試験用石炭について、コークスを製造する際の乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定する。一般に、石炭のビトリニット反射率Ro(%)は0.5〜2(%)程度であり、なかでもコークスの製造に用いられるものでは最大でもビトリニット反射率Roが1.8(%)程度であることから、好ましくは、この数値範囲の上限側と下限側のものを含んだ複数の試験用石炭を用意する。具体的には、少なくともビトリニット反射率Roが0.7〜1.5(%)の範囲を網羅する試験用石炭を用意するのがよく、好ましくは、ビトリニット反射率Roが0.5〜2(%)の範囲を網羅する試験用石炭を用意するのがよい。また、これらの試験用石炭については、予め、上述したJIS M8816−1992に規定される方法により、ビトリニットの平均最大反射率Ro(%)を求めておく。なお、本明細書では、ビトリニットの平均最大反射率Roを単にビトリニット反射率Roとして表記する。
石炭(試験用石炭、実石炭)を乾留温度Tまで加熱した際に発生する水素ガスの合計量を測定する方法については、特に制限されず、例えば、最も一般的な水素ガス測定手法であるガスクロマトグラフ−熱伝導度検出器(GC-TCD)等を用いるようにしてもよい。この場合、加熱開始温度から乾留温度Tまでに発生するガスをガスサンプリングバッグ等に溜め込み、発生した水素の総量を測定する。
一方で、コークス炉で発生するコークス炉ガス(COG)の発生量と熱量を実験装置で簡便に予測したり(参考文献1:特許第4050989号)、石炭の乾留反応の解析に用いられる(参考文献2:西藤ら(2010).ガスモニタリングによる石炭の乾留反応の解析とコークス炉発生ガスの連続測定 新日鉄技報 第390号,101-111.)ガスモニタリング装置を使って、乾留により発生した水素の量を連続的に測定するようにしてもよい。
図1には、このガスモニタリング装置の全体概要図が示されている。この装置では、ガス精製器2及び流量計3を通じて不活性ガスである窒素やHe、Ar等のキャリアガス1を流しながら、一定量の石炭5が入れられた石英製の炉心管4を管状電気炉6で加熱し、タールトラップ7を介して、発生したガスをHに感度を有するSnO等の半導体式の水素ガスセンサー8に導入する。水素ガスセンサー8にはレコーダー9が取り付けられており、このようなガスモニタリング装置であれば、ガスサンプリングバッグ等を用いる必要がなく、乾留により発生する水素の量を連続的に測定することができ、時間積算により発生した水素ガスの合計量を求めることができる。ここで、水素ガスセンサー8のかわりに、TCD検出器(熱伝導度検出器)を備えたガスクロマトグラフ装置や質量分析計等を用いて連続的に測定するようにしてもよい。
また、本発明において、石炭を乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定するにあたっては、コークス炉での操業状態を模した条件となるように、例えば昇温速度は石炭コークス化の操業、実機条件に準ずることが望ましい。一般に、コークス炉での乾留における石炭の昇温速度は3℃/min前後であり、昇温速度を変化させるとガスの発生率が変化する場合があることが報告されている(参考文献3:宝田ら(1996).石炭熱分解時のガス発生挙動に対する昇温速度及び炭種の影響 鉄と鋼Vol.82,388-392.)が、図1に示したガスモニタリング装置において、昇温速度を3〜20℃/minの範囲で変化させて発生するガスを調査したところ、発生する水素ガスの量に特段の変化は認められなかった。そのため、水素ガスの合計量を測定する際の昇温速度は、少なくともこの範囲内では任意に設定することができる。
図2には、いくつかの石炭について、図1のガスモニタリング装置を用いて水素ガスの発生挙動を連続的に測定したグラフが示されている。水素ガスの発生はおよそ400℃からはじまり、1000〜1100℃程度の乾留温度Tまで続くことが分かる。一般に、石炭からコークスに変化する場合、溶融状態から固化に移るのは主に600℃以上であり、これは芳香族縮合環の発達によるものと考えられる。この反応はHとしての脱水素反応であることから、石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)をもとに、石炭化度を示す指標とされるビトリニット反射率Roを評価することができると考えた。
ここで、図2に示したように、例えばガスモニタリング装置を用いて水素ガスを濃度(ppm)で検出したときには、キャリアガス流量に水素ガス濃度を乗じた値を時間積算することによって、水素ガス発生量が求められ、これを石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量に換算すればよい。また、乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定する際には、室温から乾留温度Tまで加熱したときに発生した水素ガスの量を合計するようにしてもよいが、水素ガスの発生はおよそ400℃からはじまることから、作業効率等を考慮して、400℃から乾留温度Tまで加熱したときに発生した水素ガスの量を合計してもよい。更には、石炭が溶融状態から固化に移るタイミングをもとにして、600℃から乾留温度Tまでの間に発生した水素ガスを合計した場合でも、石炭のビトリニット反射率Roとの間での良好な相関性は維持される。なお、乾留温度Tについては、一般的なコークス製造における条件で言えば、上述したように1000〜1100℃程度である。
また、本発明において、ビトリニット反射率Roとの相関式を得るために用いる水素発生指数については、例えば上記のようにして求めた石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)をそのまま水素発生指数として用いるようにしてもよいが、この水素ガス発生量(H2)を無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)で除したものを水素発生指数として用いてもよく、或いは、同じく水素ガス発生量(H2)を石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)で除したものを水素発生指数として用いるようにしてもよい。水素発生指数として、i)石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を用いるほか、ii)この水素ガス発生量(H2)を石炭中の全水素量(Hdaf)に対する割合で捉えたり、iii)石炭化度の指標としても用いられる原子数比(H/C)に対する割合で捉えることでも、ビトリニット反射率Roとの相関性が得られる。特に、ii)水素ガス発生量(H2)を石炭中の全水素量(Hdaf)で除した水素発生指数や、iii)水素ガス発生量(H2)を石炭中のHとCの原子数比(H/C)で除した水素発生指数を用いた場合には、ビトリニット反射率Roが低い石炭に対する相関性を向上させることができる。そのため、強粘結炭や粘結炭のような良質な石炭ではなく、例えば非微粘結炭や更に品質の劣る石炭のように、JISに規定される方法では誤差を含み易い低品位の劣質炭、具体的にはビトリニット反射率Roが0.8前後を境にして、それ以下の石炭(例えばRoが0.85以下であったり、Roが0.8以下の石炭)についても、精度の高い推定値を得ることができるようになる。
ここで、無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)は、水分と灰分を除いた石炭中に含まれる成分のうち、水素(H)の質量割合(mass%)を表すものである。石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)は、無水無灰ベースの状態におけるこれらの原子数比を表す。これらはいずれもJIS M8813−2004に規定される石炭の元素分析によって求めることができる。
本発明では、上記のようにして求めた相関式をもとに、実際にコークスを製造する際の実石炭について、ビトリニット反射率Roを推定することができるようになる。すなわち、試験用石炭を用いて相関式を得た場合と同様にして、実石炭を乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、実石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を求めて、この水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数から相関式を利用してビトリニット反射率Roを求めるようにすればよい。このように、予め、水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数とビトリニット反射率Roとの相関式を得ておけば、実操業では、JISで規定されるような専用の測定装置を使用したり、煩雑な作業を行わずに、簡便かつ迅速にビトリニット反射率Roを求めることができるようになり、しかも、測定者の個人差によらないより客観的な結果の推定値を得ることができる。
表1に示した工業分析及び元素分析による性状を有した試験用石炭1〜20を用意した。ここで、表中の揮発分VM(mass%,dry)は、JIS M8812−2006の工業分析法に規定される揮発分定量方法で求めたものであり、灰分(mass%,dry)は、同じくこの工業分析方法に規定される条件で加熱灰化したときに残留する灰の量の質量分率を表しており、いずれも試料を気乾(JIS M8811-2000)した後、107℃で1時間乾燥させてから求めたものである。一方、C及びHは、それぞれJIS M8813−2004の元素分析方法に規定される方法によって求めた無水無灰ベースの質量分率(mass%,daf)を表す。また、これらの試験用石炭1〜20について、JIS M8816−1992に規定される反射率測定方法によって、ビトリニットの平均最大反射率Ro(%)を算出した。その際、1つの試験用石炭の値を求めるにあたり、凡そ10〜15日間の時間を要した。
Figure 2020012762
また、これらの試験用石炭1〜20をそれぞれ温度T=1000℃まで加熱した際に発生する水素ガスの合計量について、図1に示したガスモニタリング装置を用いて、次のようにして測定した。石英製ボートに乗せた50mgの石炭試料(粉体)5を約40mlの内容積を有した石英製炉心管4に入れ、管状電気炉6により室温から昇温速度6℃/minで1000℃まで加熱した。その際、ガス精製器2及び流量計3を通じてキャリアガス1として窒素を100ml/min(ガス圧:0.1MPa)の流量で流して、炉心管4内の石炭試料5が一定の窒素気流中にて加熱されるようにした。そして、石炭試料5から発生した水素ガス(H2)は、半導体(SnO2)式の水素ガスセンサー8により連続的に測定し(測定間隔は1秒)、水素ガス濃度(石炭試料50mgから発生した水素ガス濃度:ppm)を求めた。このときの水素ガス発生プロファイルの一例を図2に示す。また、水素ガスセンサー8で検出された水素ガスについて、予め標準ガスで作成した検量線をもとに、室温から1000℃まで加熱したときに各石炭から発生した水素ガスの合計量を求めて、単位質量あたり(石炭試料50mgあたり)の水素ガス発生量(H2:ml/50mg)とした。結果を表1に示す。
そこで、試験用石炭1〜20について、先ずは、上記のようにして求めた単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を水素発生指数(以下「指数A」と呼ぶ)として、この水素発生指数Aとビトリニット反射率Roとの関係をグラフにすると図3に示したとおりとなる。このグラフから分かるように、これらは良好な相関性を有しており、ビトリニット反射率(平均最大反射率)Ro(%)を横軸(x)とし、水素発生指数A(H2:ml/50mg)を縦軸(y)とすると、下記式(1)の相関式で表すことができる。
y=12.8x+8.3 (決定係数R2=0.9653) ・・・(1)
また、水素発生指数として、上記単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)で除したH2/Hdaf(以下「指数B」と呼ぶ)を用いた場合のグラフを図4に示すと共に、上記単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)で除したH2/(H/C)(以下「指数C」と呼ぶ)を用いた場合のグラフを図5に示す。これらのグラフにおいても水素発生指数(B、C)とビトリニット反射率Roとがそれぞれ良好な相関性を示しており、図4については下記式(2)の相関式で表すことができ、図5については下記式(3)の相関式で表すことができる。なお、図3〜5で得られたグラフについて、決定係数R2を高い順に並べると相関式(3)、(1)、(2)の順になる。
y=3.5x+0.54 (決定係数R2=0.9612) ・・・(2)
y=28.6x+0.97 (決定係数R2=0.9694) ・・・(3)
ちなみに、石炭の特性を評価する上で一般的に用いられる揮発分(VM)とビトリニット反射率Roとの関係について、試験用石炭1〜20で調べた結果は図9に示したグラフのとおりである(決定係数R2=0.9355)。これと比較すると、上記水素発生指数A、B及びCを用いたときの方が、いずれもビトリニット反射率Roとの相関が良いことが分かる。
一方で、試験用石炭1〜20のうち、JISに規定される方法で測定したビトリニット反射率Roが0.85以下のものだけを選び出し、上記水素発生指数A、B及びCを用いて、それぞれビトリニット反射率Roとの関係をグラフにすると図6、7及び8に示したとおりになる。ここで、図6の相関式は下記式(4)で表すことができ、同様に、図7については下記式(5)、図8については下記式(6)でそれぞれ表すことができ、決定係数R2を高い順に並べると相関式(6)、(5)、(4)の順になる。
y=7.2x+12.1 (決定係数R2=0.5479) ・・・(4)
y=2.1x+1.5 (決定係数R2=0.7679) ・・・(5)
y=27.3x+4.2 (決定係数R2=0.9144) ・・・(6)
ちなみに、ビトリニット反射率Roが0.85以下の場合についても、その試験用石炭の揮発分(VM)とビトリニット反射率Roとの関係を調べた結果は図10に示したグラフのとおりである(決定係数R2=0.8338)。
以上のように、本発明によれば、石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数とビトリニット反射率Roとが良好な相関性を示すことから、実石炭について石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数を求めることで、より簡便かつ迅速にビトリニット反射率Roを求めることができるようになる。特に、水素発生指数を求めるにあたっては、石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)の測定に要する時間がおよそ3時間であり、その他は、JISで規定される工業分析や元素分析の結果を利用することができることから、JISに規定される方法に比べて、大幅に時間を短縮してビトリニット反射率Roを求めることができる。しかも、本発明によれば、測定者の熟練度や技量等に影響されずにより客観的な結果の推定値を得ることができるようになる。
1:キャリアガス、2:ガス精製器、3:流量計、4:炉心管、5:試料(石炭)、6:管状電気炉、7:タールトラップ、8:水素ガスセンサー、9:レコーダー。

Claims (3)

  1. 石炭のビトリニット反射率Roを推定する方法であって、
    予め、ビトリニット反射率Roが既知の複数の試験用石炭について、コークスを製造する際の乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、試験用石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)を求めて、この水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数とビトリニット反射率Roとの相関式を得ておき、
    ビトリニット反射率Roが未知の実石炭について、前記乾留温度Tまで加熱して発生する水素ガスの合計量を測定して、実石炭の単位質量あたりの水素ガス発生量(H2)に基づく水素発生指数を求めて、前記相関式からビトリニット反射率Roを推定することを特徴とするビトリニット反射率Roの推定方法。
  2. 前記水素発生指数が、水素ガス発生量(H2)を無水無灰ベースでの石炭中の全水素量(Hdaf)で除したものである請求項1に記載のビトリニット反射率Roの推定方法。
  3. 前記水素発生指数が、水素ガス発生量(H2)を石炭中の水素と炭素との原子数比(H/C)で除したものである請求項1に記載のビトリニット反射率Roの推定方法。
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