JP2016023239A - 廃プラスチックの油化方法およびセメント原料 - Google Patents

廃プラスチックの油化方法およびセメント原料 Download PDF

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【課題】低コストで安定して入手可能な材料を用いるにも拘わらず、油化率が十分に高く、しかも使用済みの触媒をセメント原料としてだけでなく、セメント焼成時の燃料としても有効に利用できる廃プラスチックの油化方法を提供すること。【解決手段】本発明の廃プラスチックの油化方法は、反応器1内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ7上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する工程と、撹拌手段3によって高炉水砕スラグ7中に前記廃プラスチックを混合し、前記廃プラスチックに高炉水砕スラグ7をまぶして、前記廃プラスチックを高炉水砕スラグ7との接触面において高温の高炉水砕スラグ7によって接触分解させガス化させて分解ガスを生成する工程と、前記分解ガスを冷却し分解油を生成する工程と、を備えることを特徴とする方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、廃プラスチックの油化方法およびセメント原料に関する。
家電プラスチックリサイクルにおいては、廃プラスチックの再商品化率は高まっている。しかし、選別が困難な混合プラスチックなどの低品質な廃家電プラスチックは、再商品化が困難であり、その処理方法や再利用方法が問題となっている。
一方で、容器包装プラスチックリサイクルにおいては、再商品化だけでなく、ケミカルリサイクルの1つである油化による再利用が進められている。しかし、家電プラスチックリサイクルでは、混合プラスチックなどの油化率(廃プラスチックから得られる油の廃プラスチックに対する比率)が不十分といったことが妨げとなり、油化による再利用はほとんど実施されていない。
そこで、混合プラスチックなどでも十分な油化率を達成できる技術が求められており、例えば、廃プラスチックを高温のFCC触媒(石油の流動接触分解(FCC:fluid catalytic cracking)プロセスで用いられる粒粉状に造粒された合成ゼオライト系の固体酸触媒)によって接触分解させガス化させる廃プラスチックの接触分解方法が提案されている(特許文献1)。
特開2010−13657号公報
しかしながら、特許文献1に記載の廃プラスチックの接触分解方法では、接触分解に用いるFCC触媒が比較的に高コストであるという問題がある。また、このFCC触媒は、その再生品であるFCC廃触媒を含めても、その発生量は年間約3万トンである。これに対し、低品質な廃家電プラスチックは、年間数十万トン発生するので、FCC廃触媒が安定して入手できなくなるという事態が生じるおそれもある。
また、特許文献1に記載の廃プラスチックの接触分解方法などでは、接触分解に用いた使用済みの触媒の有効な利用方法までは確立されていない。
そこで、本発明は、低コストで安定して入手可能な材料を用いるにも拘わらず、油化率が十分に高く、しかも使用済みの触媒をセメント原料としてだけでなく、セメント焼成時の燃料としても有効に利用できる廃プラスチックの油化方法、およびセメント原料を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のような廃プラスチックの油化方法およびセメント原料を提供するものである。
本発明の廃プラスチックの油化方法は、反応器内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する工程と、撹拌手段によって前記高炉水砕スラグ中に前記廃プラスチックを混合し、前記廃プラスチックに前記高炉水砕スラグをまぶして、前記廃プラスチックを前記高炉水砕スラグとの接触面において高温の前記高炉水砕スラグによって分解させて分解ガスを生成する工程と、前記分解ガスを冷却し分解油を生成する工程と、を備えることを特徴とする方法である。
本発明によれば、例えば混合プラスチックなどの廃プラスチックであっても、50質量%以上という十分に高い油化率で油化できる。また、従来方法で用いるFCC触媒は、その再生品であるFCC廃触媒を含めても、その発生量が年間数万トンである。これに対し、本発明で用いる高炉水砕スラグは、その発生量が年間数千万トンであるため、安定して入手可能であり、しかも低コストである。さらに、本発明の廃プラスチックの油化方法においては、使用済み高炉水砕スラグをセメント原料としてより有効に利用できる。すなわち、使用済み高炉水砕スラグは、高炉水砕スラグに炭素が吸着し、高カロリー化したものとなっており、セメント原料としての利用価値が使用前の高炉水砕スラグと比較して高まっている。
なお、高炉水砕スラグとは、銑鉄を製造する製銑過程で生成する溶融状態の高炉スラグに加圧水を噴射するなどして水砕し、急激に冷却したものである。
本発明の廃プラスチックの油化方法においては、前記高炉水砕スラグの量は、前記廃プラスチック100質量部に対して、15質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
高炉水砕スラグの量が前記範囲内であれば、油化率の更なる向上を図ることができる。
本発明のセメント原料は、反応器内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する工程と、撹拌手段によって前記高炉水砕スラグ中に前記廃プラスチックを混合し、前記廃プラスチックに前記高炉水砕スラグをまぶして、前記廃プラスチックを前記高炉水砕スラグとの接触面において高温の前記高炉水砕スラグによって分解させて分解ガスを生成する工程と、前記分解ガスを冷却し分解油を生成する工程と、を備える廃プラスチックの油化方法において、触媒として使用される際に副生成する炭素を吸着した使用済み高炉水砕スラグであることを特徴とするものである。
前記本発明の廃プラスチックの油化方法において、触媒として使用した使用済み高炉水砕スラグは、高炉水砕スラグに炭素が吸着し、高カロリー化したものとなっており、セメント原料としての利用価値が使用前の高炉水砕スラグと比較して高まっている。
本発明の一実施形態に係る廃プラスチックの油化装置を示す模式図。 実施例1〜6および比較例1における油化率の測定結果を示すグラフ。 実施例3および比較例1における油化率およびpHの測定結果を示すグラフ。 実施例3および比較例2における生成成分(分解油、ガス分、金属類、残渣)の量の測定結果を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[廃プラスチックの油化装置]
図1は、本発明の廃プラスチックの油化方法(実施形態)に用いる廃プラスチックの油化装置100を示す模式図である。
廃プラスチックの油化装置100は、反応器1と、加熱手段2と、撹拌手段3と、冷却器4と、油分貯留槽5と、分離器6と、を備えている。
反応器1は、例えば円筒状に形成されたものである。反応器1には、加熱手段2および撹拌手段3が設けられている。また、反応器1は、高炉水砕スラグ7などの温度を測定する温度計11と、キャリアガスを注入するキャリアガス注入口12と、原料を投入する原料投入口(図示省略)と、生成した分解ガスを吐出する分解ガス吐出口13と、を備えている。
加熱手段2は、原料投入口(図示省略)から予め投入された粒粉状の高炉水砕スラグ7を350℃〜500℃の温度域に加熱できる。本実施形態においては、加熱手段2として、温度制御の容易な電気加熱方式のヒータを採用している。
撹拌手段3としては、回転翼方式の撹拌機を採用している。反応器1内で高温に加熱された粒粉状の高炉水砕スラグ7上に破砕した廃プラスチックが投入され、撹拌手段3によって高温の高炉水砕スラグ7中に混合され、廃プラスチックに高温の粒粉状の高炉水砕スラグ7がまぶされ、廃プラスチックの表面において高温の高炉水砕スラグ7によって加熱され、分解反応が進行する。
冷却器4は、分解ガスの露点以下に冷却し液化することができるものであれば、特に限定されない。冷却器4としては、水などを冷媒とするものが挙げられる。冷却器4には、廃プラスチックの接触分解によって生成した分解ガスが、反応器1の分解ガス吐出口13から送出される。分解ガスは、キャリアガスとともに送出され、冷却器4によって液化され、油分(分解油)となる。
油分貯留槽5は、油分(分解油)を貯留し、分解油として回収する。
分離器6は、油分貯留槽5を通過した有機物を回収する。
[廃プラスチックの油化方法]
次に、本実施形態の廃プラスチックの油化方法について説明する。ここでは、上述した廃プラスチックの油化装置100を用いた廃プラスチックの油化方法を例に挙げて説明する。
本実施形態の廃プラスチックの油化方法は、以下説明する原料投入工程、廃プラスチック分解工程、および分解油生成工程を備える方法である。
原料投入工程においては、反応器1内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ7上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する。
高炉水砕スラグ7の加熱温度は、350℃〜500℃であることが必要であるが、400℃〜480℃であることが好ましく、410℃〜430℃であることがより好ましい。加熱温度が前記下限未満では、油分に含まれるワックス分は少なくなる傾向にあるが、分解時間が長くなる傾向にある。他方、加熱温度が前記上限を超えると、分解時間は短くなる傾向にあるが、熱分解をし易くなるために、油分に含まれるワックス分が多くなる傾向にある。また、加熱温度が前記範囲内であれば、油化率を高くできる。
廃プラスチックとしては、都市ゴミや産業廃棄物などが挙げられ、特に限定されない。本実施形態においては、家電プラスチックのように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主成分とするものを用いる。
廃プラスチックは、破砕されたものであればよく、形状は制限されない。具体的には、粒粉状、ビーズ状、フレーク状、チップ状、ペレット状などであればよい。
高炉水砕スラグ7の量は、油化率の観点から、廃プラスチック100質量部に対して、15質量部以上60質量部以下であることが好ましく、20質量部以上55質量部以下であることがより好ましく、25質量部以上50質量部以下であることが更により好ましく、25質量部以上40質量部以下であることが特に好ましい。
また、高炉水砕スラグ7の量は、反応器1の内容積に対して20vol%以上60vol%以下であることが好ましい。高炉水砕スラグ7の量が前記下限未満では、高炉水砕スラグ7に接触する廃プラスチックの量が減少し、分解処理時間が長くなり処理効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、頻繁に高炉水砕スラグ7や分解残渣を排出しなければならなくなり、作業が煩雑化する傾向にある。
廃プラスチック分解工程においては、撹拌手段3によって高炉水砕スラグ7中に廃プラスチックを混合し、この廃プラスチックに高炉水砕スラグ7をまぶす。
撹拌手段3における回転翼の回転数は、特に制限されないが、例えば、10rpm〜1000rpmであり、好ましくは30rpm〜500rpmである 廃プラスチックに高炉水砕スラグ7をまぶしたことにより、この廃プラスチックを高炉水砕スラグ7との接触面において高温の高炉水砕スラグ7によって接触分解させガス化させて分解ガスを生成する。
なお、廃プラスチックは、常圧下で接触分解するのが好ましい。加圧すると廃プラスチックが気化し難くなり炭化し易くなるためである。ただし、廃プラスチックの炭化を防止するため、反応器1内を減圧して廃プラスチックの接触分解温度を低下させてもよい。
分解油生成工程においては、まず、前記廃プラスチック分解工程により生成した分解ガスが、反応器1のキャリアガス注入口12から注入されたキャリアガスとともに、分解ガス吐出口13から吐出する。
キャリアガスとしては、ヘリウムなどの希ガス、窒素、二酸化炭素などを用いるほか、分解ガスを利用することができる。また、キャリアガスの流量は、反応器1の容量に応じて異なり、特に制限されない。例えば、反応器1の容量が500mLである場合には、0.05L/min〜0.5L/minであればよい。
そして、反応器1から吐出した分解ガスを、冷却器4により冷却して、分解油を生成する。その後、生成された分解油を、油分貯留槽5に貯留し、分解油として回収する。一方で、油分貯留槽5を通過した有機物は、分離器6で回収され、それ以外の有機物やキャリアガスは、廃プラスチックの油化装置100から吐出される。以上のようにして、廃プラスチックを油化できる。
[セメント原料]
次に、本実施形態のセメント原料について説明する。
本実施形態のセメント原料は、上述した廃プラスチックの油化方法において、触媒として使用された使用済み高炉水砕スラグである。
このように触媒として使用された使用済み高炉水砕スラグは、高炉水砕スラグに炭素が吸着し、高カロリー化したものとなっており、セメント焼成時の燃料としての役割を付加されたセメント原料としての利用価値が使用前の高炉水砕スラグと比較して高まっている。
使用済み高炉水砕スラグは、従来からセメントのケイ酸質材料として用いられており、石灰質材料と混合することでセメントを形成できる。
使用済み高炉水砕スラグの平均粒子径は、特に制限されないが、通常0.3mm以上5mm以下である。
本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、例えば混合プラスチックなどの廃プラスチックであっても、50質量%以上という十分に高い油化率で油化できる。
(2)従来方法で用いるFCC触媒は、その再生品であるFCC廃触媒を含めても、その発生量が年間約3万トンである。これに対し、本実施形態で用いる高炉水砕スラグは、その発生量が年間数千万トンであるため、安定して入手可能であり、しかも低コストである。
(3)本実施形態によれば、使用済み高炉水砕スラグをセメント原料として有効に利用できる。すなわち、使用済み高炉水砕スラグは、高炉水砕スラグに炭素が吸着し、高カロリー化したものとなっており、セメント原料としての利用価値が使用前の高炉水砕スラグと比較して高まっている。
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前述の実施形態では、反応器として内部撹拌型のものを採用したが、ロータリキルン型(回転ドラム形式)のものを採用してもよい。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた高炉水砕スラグおよびFCC廃触媒の一般的な組成を下記表1に示す。また、廃プラスチックの試料として、下記の混合プラスチックを用いた。
(混合プラスチックの組成)
ポリプロピレン(PP):38.7質量%
ポリスチレン(PS):21.4質量%
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS):19.6質量%
ポリ塩化ビニル(PVC):10.3質量%
ポリウレタン(PU):4.1質量%
金属類:5.9質量%
Figure 2016023239
[実施例1]
図1に示す廃プラスチックの油化装置100を用いて、粒粉状の高炉水砕スラグ7を原料投入口から5g投入し(混合プラスチック100質量部に対し6.7質量部)、反応器1内で加熱手段2を作動させて420℃に加熱する。その後、この高温の高炉水砕スラグ7中に粒粉状またはフレーク状の混合プラスチックを原料投入口から75g投入し、撹拌手段3を500rpmで回転させ、粒粉状の高炉水砕スラグ7と粒粉状またはフレーク状の混合プラスチックを混合し撹拌し、混合プラスチックに高温の高炉水砕スラグ7をまぶして、分解反応を進行させた。分解反応は、大気圧下に400℃〜450℃で進行するようにした。分解ガスを、Nガス(流量:0.2L/min)をキャリアガスとして冷却器4(冷却温度:7〜11℃)に送り、冷却し液化して、油分貯留槽5にて油分(分解油)を採取した。
なお、油分貯留槽5を通過した有機物は、分離器6で回収し定量分析し、それ以外の有機物やキャリアガスは、廃プラスチックの油化装置100から吐出される。吐出されたガスについては、GC−FID(ガスクロマトグラフ−火炎イオン化検出器)により、沸点の低いメタン、エタンなどの有機物を定量分析する。
[実施例2〜6]
高炉水砕スラグ7の投入量を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、廃プラスチックから油分(分解油)を採取した。なお、油分貯留槽5を通過した有機物についても実施例1と同様の分析を行った。
実施例2:10g(混合プラスチック100質量部に対し13.3質量部)
実施例3:20g(混合プラスチック100質量部に対し26.7質量部)
実施例4:30g(混合プラスチック100質量部に対し40.0質量部)
実施例5:40g(混合プラスチック100質量部に対し53.3質量部)
実施例6:50g(混合プラスチック100質量部に対し66.7質量部)
[比較例1〜2]
高炉水砕スラグ7に代えて、それぞれFCC廃触媒10g(比較例1)またはFCC廃触媒5g(比較例2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、廃プラスチックから油分(分解油)を採取した。なお、油分貯留槽5を通過した有機物についても実施例1と同様の分析を行った。
[廃プラスチックの油化方法の評価]
実施例1〜実施例6および比較例1で廃プラスチックの油化を行った場合の油化率の結果を図2に示す。なお、油化率は、下記数式(F1)により算出できる。
油化率(質量%)=[分解油の回収量(g)/{試料の質量(g)−残渣中の金属量(g)}]×100 ・・・(F1)
図2に示すように、高炉水砕スラグを用いて廃プラスチックの油化を行った場合(実施例1〜6)は、FCC廃触媒を用いて廃プラスチックの油化を行った場合(比較例1)と同等の油化率を達成できることが確認された。また、実施例3および実施例4の結果から、高炉水砕スラグの量が、混合プラスチック100質量部に対して、26.7質量部〜40質量部の範囲内であれば、油化率が特に優れていることが分かった。
以上のように、高炉水砕スラグがFCC廃触媒と同様に十分な油化率を達成できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、前記表1に示すように、高炉水砕スラグおよびFCC廃触媒は、それぞれSiOおよびAlを主成分として含有している。SiOおよびAlは、石油の接触触媒法で触媒と使用されており、分解と同時に異性化を起こさせて枝状の炭化水素の多い高オクタン価のガソリンを生産できる。これと同様の作用により、廃プラスチックの分解が促進され、流動性の高い油の回収率を向上でき、十分な油化率を達成できるものと本発明者らは推察する。
実施例3および比較例1で得られた分解油のpHを測定した。そして、実施例3および比較例1における油化率およびpHの測定結果を図3に示す。
図3に示すように、実施例3および比較例1で得られた分解油のpHは、それぞれ7.0と8.25であり、両方ともにほぼ中性を示すことが確認された。また、実施例3および比較例1で得られた分解油の油化率についても、両方ともに60質量%以上を達成できることが確認された。
実施例3および比較例2で廃プラスチックの油化を行った場合の生成成分(分解油、ガス分、金属類、残渣)の量を測定し、その測定結果を図4に示す。
図4に示すように、高炉水砕スラグを用いている場合(実施例3)には、ガス成分の発生量が5質量%程度と低いことが確認された。これに対し、FCC廃触媒を用いている場合(比較例2)には、ガス成分の発生量が20質量%程度と高くなることが分かった。
本発明の廃プラスチックの油化方法によれば、廃プラスチックを効率よく油化でき、従来は困難であった廃家電プラスチックも効率よく油化できる。また、触媒として使用した使用済み高炉水砕スラグは、セメント原料としてだけでなく、セメント焼成時の燃料としても有効に利用できる。そのため、本発明の廃プラスチックの油化方法は、家電プラスチックリサイクルの技術として特に有用である。
1…反応器
2…加熱手段
3…撹拌手段
4…冷却器
5…油分貯留槽
6…分離器
7…高炉水砕スラグ
100…廃プラスチックの油化装置

Claims (3)

  1. 反応器内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する工程と、
    撹拌手段によって前記高炉水砕スラグ中に前記廃プラスチックを混合し、前記廃プラスチックに前記高炉水砕スラグをまぶして、前記廃プラスチックを前記高炉水砕スラグとの接触面において高温の前記高炉水砕スラグによって分解させて分解ガスを生成する工程と、
    前記分解ガスを冷却し分解油を生成する工程と、
    を備えることを特徴とする廃プラスチックの油化方法。
  2. 請求項1に記載の廃プラスチックの油化方法において、
    前記高炉水砕スラグの量は、前記廃プラスチック100質量部に対して、15質量部以上60質量部以下である
    ことを特徴とする廃プラスチックの油化方法。
  3. セメント原料であって、
    反応器内で350℃〜500℃の温度域に予め加熱した熱媒体としての粒粉状の高炉水砕スラグ上に破砕した廃プラスチックを原料として投入する工程と、
    撹拌手段によって前記高炉水砕スラグ中に前記廃プラスチックを混合し、前記廃プラスチックに前記高炉水砕スラグをまぶして、前記廃プラスチックを前記高炉水砕スラグとの接触面において高温の前記高炉水砕スラグによって分解させて分解ガスを生成する工程と、
    前記分解ガスを冷却し分解油を生成する工程と、を備える廃プラスチックの油化方法において、触媒として使用される際に副生成する炭素を吸着した使用済み高炉水砕スラグである
    ことを特徴とするセメント原料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023068810A1 (en) * 2021-10-20 2023-04-27 Sk Innovation Co., Ltd. Pyrolysis method of waste plastics using waste resources

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