JP2013095830A - 残渣炭成形物の製造方法 - Google Patents

残渣炭成形物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013095830A
JP2013095830A JP2011239166A JP2011239166A JP2013095830A JP 2013095830 A JP2013095830 A JP 2013095830A JP 2011239166 A JP2011239166 A JP 2011239166A JP 2011239166 A JP2011239166 A JP 2011239166A JP 2013095830 A JP2013095830 A JP 2013095830A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coal
solvent
water
molding
charcoal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011239166A
Other languages
English (en)
Inventor
Maki Hamaguchi
眞基 濱口
Noriyuki Okuyama
憲幸 奥山
Koji Sakai
康爾 堺
Takeharu Tanaka
丈晴 田中
Takanori Oka
高憲 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2011239166A priority Critical patent/JP2013095830A/ja
Publication of JP2013095830A publication Critical patent/JP2013095830A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Solid Fuels And Fuel-Associated Substances (AREA)

Abstract

【課題】粉塵の発生を抑制できる残渣炭成形物の製造方法を提供する。
【解決手段】石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、前記溶剤に可溶な成分を含む抽出液と、前記溶剤に不溶な成分を含む残渣とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収するとともに、前記残渣から前記溶剤を分離して残渣炭を回収する改質炭製造工程と、前記残渣炭を塊状に成形して残渣炭成形物とする成形工程と、を含み、前記成形工程において、前記残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液を塗布した金型を用いて成形することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、石炭を溶剤で抽出処理することで生じる残渣を用いた残渣炭成形物の製造方法に関する。
近年、低灰分の炭素材料の原料という観点で、いわゆる、無灰炭(ハイパーコール)の開発が活発に進められている。無灰炭とは、石炭を溶剤で抽出処理し、この溶剤に溶ける成分だけを分離して、その後、溶剤を除去することによって、製造されたものである(例えば、特許文献1参照)。この無灰炭は、構造的には、縮合芳香環が2ないし3環の比較的低分子量の成分から、5、6環程度の高分子量成分まで広い分子量分布を有する。また、無灰炭は、灰分が溶剤には溶けないため、実質的に灰分を含まず、加熱下で高い流動性を示し、熱流動性に優れる。石炭の中には粘結炭のように400℃前後で熱可塑性を示すものもあるが、無灰炭は、一般的に、原料石炭の品位に関わらず200〜300℃で溶融する(軟化溶融性がある)。そこで、この特性を生かしてコークス製造用バインダーとしての応用開発が進められており、また、近年においては、この無灰炭を炭素材料原料として用いることで炭素材料を製造することが試みられている。
この無灰炭の製造においては、石炭を溶剤で抽出処理し、溶剤に可溶な成分を含む溶液(抽出液)を分離することで、溶剤に不溶な成分を含む残渣が生じる。そして、この残渣から溶剤を除去し、残渣炭(副生炭)を得ることもできる(例えば、特許文献2参照)。残渣炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。従って、例えば、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として利用することも可能である。
特開2001−26791号公報 特許第4061351号公報
残渣炭は、保管や運搬等、取り扱いや利便性の観点から、粉状または粒状の残渣炭を塊状に成形した残渣炭成形物にして用いられることが考えられる。しかしながら、残渣炭成形物においては、保管時や運搬時、使用時等に、表層が剥離や剥脱し、粉塵が発生しやすいという問題がある。よって、残渣炭成形物においては、粉塵発生の観点から改善の余地があり、粉塵の発生を抑制できる残渣炭成形物の開発が望まれている。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、粉塵の発生を抑制できる残渣炭成形物の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明に係る残渣炭成形物の製造方法は、石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、前記溶剤に可溶な成分を含む抽出液と、前記溶剤に不溶な成分を含む残渣とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収するとともに、前記残渣から前記溶剤を分離して残渣炭を回収する改質炭製造工程と、前記残渣炭を塊状に成形して残渣炭成形物とする成形工程と、を含み、前記成形工程において、前記残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液を塗布した金型を用いて成形することを特徴とする。
このような製造方法によれば、改質炭製造工程において、石炭成分を溶剤抽出した後の残渣から、灰分および非溶解性の石炭成分を含む残渣炭が回収(すなわち製造)される。次に、成形工程において、残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液(ここでは、水溶性樹脂水溶液または水溶性樹脂エマルジョン)を塗布した金型を用いて成形することで、残渣炭成形物の表面に水溶性樹脂が塗布され、残渣炭成形物の表面に樹脂皮膜が形成される。このため、残渣炭成形物の表層が剥離や剥脱を起こしにくくなり、粉塵の発生が抑制される。さらに、残渣炭成形物の強度が向上する。
本発明に係る残渣炭成形物の製造方法によれば、粉塵の発生を抑制できる残渣炭成形物を得ることができる。また、成形と同時に水溶性樹脂を塗布できるので生産性が高くなるとともに、強度にも優れる残渣炭成形物とすることができる。さらに、残渣を有効利用することができるため、経済性が向上する。また、無灰炭を回収することで、経済性がさらに向上する。
本発明で使用する残渣炭を製造するための改質炭製造装置を模式的に示す構成図である。
次に、本発明に係る残渣炭成形物の製造方法ついて詳細に説明する。
本発明の残渣炭成形物は、残渣炭を塊状に成形して得られるものであるが、この残渣炭は、無灰炭を製造する過程で生じる残渣から製造されるものである。よって、本発明では、無灰炭を製造することを前提とする。なお、無灰炭および残渣炭は、石炭を改質することで得られた改質炭である。
ここで、残渣炭成形物の製造方法の各工程について具体的に説明する前に、図1に示す構成図を参照して、本発明に用いることができる改質炭製造装置の一例について簡単に説明する。
図1に示すように、かかる改質炭製造装置1は、溶剤を供給する溶剤供給槽2と、石炭を供給する石炭供給槽3と、溶剤供給槽2と石炭供給槽3とからの供給物を受けてスラリーを調製した後、当該スラリーから溶剤に可溶な成分(溶剤可溶成分)を抽出する抽出槽4と、溶剤可溶成分を含む溶剤(抽出液)と溶剤に不溶な成分を含む残渣とを分離する分離槽5と、分離槽5で分離した抽出液から溶剤を除去して無灰炭を回収する無灰炭回収槽6と、分離槽5で分離した残渣から溶剤を除去して残渣炭を回収する残渣炭回収槽7と、を備えている。
ここで、無灰炭回収槽6で抽出液から除去された溶剤は、再び溶剤供給槽2に戻して再利用してもよい。同様に、残渣炭回収槽7で残渣から除去された溶剤は、再び溶剤供給槽2に戻して再利用してもよい。無灰炭回収槽6で回収された無灰炭は、灰分が溶剤に溶解されないため実質的に灰分を含んでおらず、水分は概ね0.5質量%以下であり、また原料石炭よりも高い発熱量を示す。この無灰炭は、各種炭素材料の原料や、製鉄コークスおよび成形炭のバインダー等として使用することができる。なお、本発明においては、無灰炭について(実質的に)灰分を含んでいないとしている。灰分の含有量はもちろん0質量%であることが望ましいが、溶剤抽出を経て無灰炭を回収する関係上、不可避的に灰分が含有されてしまう。従って、本発明でいう無灰炭には、不可避的に含有される微量の灰分の含有は許容される。無灰炭に許容される灰分の含有量の上限は3質量%、好ましくは1.5質量%、より好ましくは1質量%である。
一方、残渣炭回収槽7で回収された残渣炭は、溶剤に溶解しなかった灰分を含む。この残渣炭は、灰分が含まれるものの水分が皆無であり、発熱量も十分に有している。従って、例えば、コークス原料の配合炭の一部として使用することができ、また、コークス原料炭とせずに、各種の燃料用として利用することも可能である。
以下、このような構成の改質炭製造装置1を例にして、本発明に係る残渣炭成形物の製造方法の一実施形態について説明する。ここで、改質炭製造装置1において、溶剤供給槽2は、溶剤を貯蔵し、この溶剤を抽出槽4へ供給する槽であり、石炭供給槽3は、石炭を貯蔵し、この石炭を抽出槽4へ供給する槽である。抽出槽4は、溶剤と石炭とを混合して溶剤に可溶な石炭成分を抽出する槽であり、分離槽5は、抽出後の混合物を抽出液と残渣に分離する槽である。無灰炭回収槽6は、抽出液から溶剤を分離して無灰炭を回収する槽であり、残渣炭回収槽7は、残渣から溶剤を分離して残渣炭を回収する槽である。
残渣炭成形物の製造方法は、改質炭製造工程と、成形工程と、を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<改質炭製造工程>
本発明の改質炭製造工程は、残渣炭を回収する工程である。さらに、無灰炭を回収する工程でもある。すなわち改質炭製造工程は、残渣炭回収工程と、無灰炭回収工程とからなる。具体的には、まず、石炭供給槽3から供給された石炭と、溶剤供給槽2から供給された溶剤とを混合して前記石炭から前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出槽4で抽出する。その後、分離槽5で抽出液と残渣に分離し、残渣炭回収槽7で前記残渣から前記溶剤を分離して残渣炭を回収する。さらにここでは、無灰炭回収槽6で前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収する。
ここで、抽出液とは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液をいい、残渣とは、溶剤に不溶な石炭成分(灰分を含む石炭すなわち灰炭)を含む溶質をいう。
改質炭(無灰炭および残渣炭)を得る方法は、公知の方法を用いることができ、溶剤種や製造条件は、石炭の性状や、炭素材料等、使用用途の原料としての設計を鑑みて、適宜選択されるものである。典型的な方法は、石炭に対して大きな溶解力を持つ溶媒、多くの場合、芳香族溶剤(水素供与性あるいは非水素供与性の溶剤)と石炭を混合して、それを加熱し、石炭中の有機成分を抽出する、という方法である。しかし、より高効率、かつ安価に改質炭を得るため、例えば、次の方法により改質炭を製造することが好ましい。その方法では、まず、抽出槽4において、石炭供給槽3から供給された石炭と、溶剤供給槽2から供給された非水素供与性溶剤とを混合した混合物(スラリー)を加熱して、非水素供与性溶剤に可溶な石炭成分を抽出する。次に、分離槽5において、抽出後のスラリーを抽出液と残渣に分離する。そして、無灰炭回収槽6において、前記抽出液から、前記非水素供与性溶剤を分離することで無灰炭を回収する。また、残渣炭回収槽7において、前記残渣から、前記非水素供与性溶剤を分離することで残渣炭を回収する。
原料とする石炭(以下、原料石炭ともいう)としては、特に制限はなく、抽出率(無灰炭回収率)の高い瀝青炭でもよいし、より安価な劣質炭(亜瀝青炭、褐炭)でもよい。なお、石炭はできるだけ小さい粒子に粉砕しておくのが好ましく、粒径(最大長さ)1mm以下とするのが好ましい。
非水素供与性溶剤は、主に石炭の乾留生成物から精製した、2環芳香族を主とする溶剤である石炭誘導体である。この非水素供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分(ここでは石炭成分)の割合(以下、抽出率ともいう)が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。非水素供与性溶剤の主たる成分としては、2環芳香族であるナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等が挙げられ、その他、非水素供与性溶剤の成分としては、脂肪族側鎖をもつナフタレン類、アントラセン類、フルオレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。
非水素供与性溶剤を使用して加熱抽出することにより、石炭の抽出率を高めることができる。また、極性溶剤とは違い、容易に溶剤を回収することができるため、溶剤を循環使用しやすい。さらに、高価な水素や触媒等を用いる必要がないため、安価なコストで石炭を可溶化して改質炭を得ることができ、経済性の向上を図ることができる。
溶剤に対する石炭濃度は、原料石炭の種類にもよるが、乾燥炭基準で10〜50質量%の範囲が好ましく、20〜35質量%の範囲がより好ましい。溶剤に対する石炭濃度が10質量%未満では、溶剤の量に対し、溶剤に抽出する石炭成分の割合が少なくなり、経済的ではない。一方、石炭濃度は高いほど好ましいが、50質量%を超えると、調製したスラリーの粘度が高くなり、スラリーの移動や抽出液と残渣との分離が困難となりやすい。
スラリーの加熱温度は、300〜450℃の範囲とするのが好ましい。加熱温度をこの範囲とすることにより、石炭を構成する分子間の結合が緩み、緩和な熱分解が起こり、抽出率が最も高くなる。加熱温度が300℃未満では、石炭を構成する分子間の結合を弱めるのに不十分となりやすく、抽出率が向上しにくい。一方、450℃を超えると、石炭の熱分解反応が非常に活発になり、生成した熱分解ラジカルの再結合が起こるため、抽出率が向上しにくく、また、石炭の変質が起こりにくくなる。なお、より好ましくは、300〜400℃である。
加熱時間(抽出時間)は、溶解平衡に達するまでの時間が規準であるが、それを実現することは経済的に不利である。従って、石炭の粒子径、溶剤の種類等の条件によって異なるので一概には言えないが、通常は10〜60分程度である。加熱時間が10分未満では、石炭成分の抽出が不十分となりやすく、一方、60分を超えても、それ以上抽出が進行しないため、経済的ではない。
非水素供与性溶剤に可溶な石炭成分の抽出は、不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。酸素に接触すると、発火する恐れがあるため危険であり、また、水素を用いた場合には、コストが高くなるためである。
用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
このようにして石炭成分を抽出した後のスラリーを抽出液と残渣に分離する。
スラリーを抽出液と残渣とに分離する方法としては、各種の濾過方法や遠心分離による方法が一般的に知られている。しかしながら、濾過による方法ではフィルタの頻繁な交換が必要であり、また、遠心分離による方法では未溶解石炭成分による閉塞が起こりやすく、これらの方法を工業的に実施するのは困難である。従って、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法を用いることが好ましい。これにより、重力沈降槽の上部からは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液である抽出液(以下、上澄み液ともいう)を、重力沈降槽の下部からは溶剤に不溶な石炭成分を含む溶質である残渣(以下、固形分濃縮液ともいう)を得ることができる。なお、抽出液と残渣は、完全に分離するのが理想的であるが、抽出液の一部に残渣が混入したり、残渣の一部に抽出液が混入する場合もある。
そして、この上澄み液(抽出液)から、非水素供与性溶剤を分離することにより、無灰炭を得る。また、固形分濃縮液(残渣)から、非水素供与性溶剤を分離することにより、残渣炭を得る。
上澄み液や固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭を得ることができる。また、固形分濃縮液からは、灰分を含む残渣炭を得ることができる。なお、残渣炭の回収と無灰炭の回収は、どちらを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。そして、このようにして改質炭製造装置1で製造された残渣炭は、成形工程に供される。
ここで、固形分濃縮液から回収して得られた残渣炭は、粉状であり、粒径(最大長さ)は0.2〜1.0mm程度である。ただし、残渣炭の中には、粒径(一次粒径)が0.2〜1.0mm程度の粒子が凝集した二次粒子も合わせて存在する。この二次粒子の粒径(二次粒径)は、残渣炭の回収条件にもよるが、例えば、0.2〜50mm程度である。また、残渣炭の灰分濃度は10〜20質量%程度であり、残渣炭の水分量は、0.2〜3.0質量%である。
<成形工程>
成形工程は、前記残渣炭を塊状に成形して残渣炭成形物とする工程である。
ここで、残渣炭成形物とは、残渣炭を塊状に成形することで得られた、所定の立体構造を持つ成形体のことである。
残渣炭の成形は、後記するように、所定濃度の水溶性樹脂含有液を塗布した金型に、残渣炭と水との混合物を充填すること以外は、公知の方法により行うことができる。例えば、圧縮成形や、2ロール式タブレット成形等の成形機を用いて残渣炭成形物を成形することができる。なお、微粉砕して高圧プレスすれば比較的容易に成形体を得ることができる。また、炭素繊維等の適当な充填材や、改質炭製造工程で副生する軽質分等を添加混合して用いてもよい。なお、残渣炭成形物は、残渣炭成形物の80%以上を残渣炭が占めるような、残渣炭が主成分の成形物である。
次に、改質炭製造工程で回収された残渣炭を成形するまでの工程の一例について説明する。
まず、回収された残渣炭をホッパーに投入する。この残渣炭は、蒸留法や蒸発法等により溶剤を除去しているため、例えば、温度が200℃程度であり、水分量が0.2〜3.0質量%程度の乾燥状態である。次に、ホッパー中の残渣炭をミキサーに投入し、スプレーにより残渣炭に水をかけて所定温度に冷却するとともに、水分・湿度調整を行う。これにより、残渣炭と水との混合物を、最適な水分濃度および成形温度に調整する。なお、このミキサーでの攪拌により、残渣炭の粒子が粉砕されるため、粒径調整も行うことができる。そして、この最適な水分濃度および成形温度に調整した混合物を成形機に投入して成形体とする。このようにして、残渣炭を残渣炭成形物とする。
成形工程においては、残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液(水溶性樹脂水溶液または水溶性樹脂エマルジョン)を塗布した金型を用いて成形する。これにより、残渣炭成形物の表面に樹脂皮膜が形成される。樹脂皮膜の厚みは、0.1〜0.5mm程度である。
なお、水溶性樹脂水溶液とは、水溶性樹脂が水に溶けた状態の樹脂水溶液をいい、水溶性樹脂エマルジョンとは、水溶性樹脂が水に完全に溶解していなくても、例えば乳状のような、水溶性樹脂の溶け残りが微粒子状で分散している液体をいう。本発明では、水溶性樹脂の水溶液、および、エマルジョンのどちらを使用してもよく、また、これらの効果は同等である。
残渣炭と混合する水としては、特に規定されるものではなく、水道水等の一般的に用いられる水でよい。また、混合物の水分濃度は、特に規定されるものではないが、2〜13質量%が好ましい。水分濃度とは、残渣炭と水との全体の質量に対する水の質量であり、残渣炭に、前記したバインダーや充填材、軽質分等を添加する場合には、これらを含めた全体の質量に対する水の質量である。
水分濃度が2質量%以上であれば、粒子間接着が十分となり、残渣炭成形物から粉塵が生じにくくなる。一方、13質量%以下であれば、余剰水分が粒子間に水膜を作って接着阻害することがなく、残渣炭成形物から粉塵がより生じにくくなる。従って、水分濃度は、2〜13質量%とするのが好ましい。より好ましくは、4〜9質量%である。液体状態の水には、主たるバインダーとして残渣炭同士をつなぐ効果がある。また、水が蒸発する際に残渣炭の熱を奪うので、発火を防ぐ安定化効果がある(潜熱効果)。なお、成形時に、水分濃度が2〜13質量%になるようにして成形すると、その結果物である残渣炭成形物の水分量も、ほぼ同様に水分濃度が2〜13質量%になる。
残渣炭と水との混合方法は、特に限定されるものではなく、前記したように、例えば、ミキサーに残渣炭を入れ、これに所定の水分濃度となるようにスプレー等により水を加えて、攪拌することにより行えばよい。なお、残渣炭はできるだけ小さい粒子に粉砕しておくのが好ましく、粒径(最大長さ)1mm以下とするのが好ましい(二次粒径を1mm以下に粉砕する)。
水溶性樹脂と混合する水としては、特に規定されるものではなく、水道水等の一般的に用いられる水でよい。水溶性樹脂含有液の水溶性樹脂濃度は、0.2〜5.0質量%が好ましい。水溶性樹脂濃度とは、水溶性樹脂と水との全体の質量に対する水溶性樹脂の質量である。なお、エマルジョンのものであっても、水に溶解した水溶性樹脂と、溶け残った水溶性樹脂の合計の濃度が0.2〜5.0質量%であればよい。また、残渣炭成形物全体に対する水溶性樹脂の濃度は、100〜10000ppmが好ましい。この範囲であれば、残渣炭成形物から粉塵がより生じにくく、残渣炭成形物の強度がより向上しやすくなる。
水溶性樹脂濃度が0.2質量%以上であれば、皮膜がより強固に形成されるため、残渣炭成形物から粉塵がより生じにくくなる。一方、5.0質量%以下であれば、粘度が高すぎず、使用しやすいため、好ましい。従って、水溶性樹脂濃度は、0.2〜5.0質量%とするのが好ましい。
水溶性樹脂とは、水に溶解する樹脂のことであり、水に完全に溶解する樹脂の他、完全に溶解しなくても、例えば乳状のような、水溶性樹脂の溶け残りが微粒子状で分散した状態のエマルジョンとなる樹脂も含むものである。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、フェノール樹脂、リグニン等を好適に用いることができる。また、エポキシエマルジョン,酢酸ビニルエマルジョン等も用いることができる。その他、公知の水溶性樹脂としては、天然ポリマー系として、グアガム,カラギーナン,アルギン酸ナトリウム,コーンスターチ澱粉,寒天,ゼラチン,にかわ,マンナン,ペクチン,デキストラン,プルランキサンタンガム,コロイドイチ硫酸ナトリウム,ヒアルロン酸ナトリウムが挙げられる。半合成ポリマーとして、カルボキシルメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキエチルセルロース,カチオン化グアガム等が挙げられる。合成ポリマーとして、カルボキビニルポリマー,ポリアクリル酸部分中和物,ポリビニルピロリドンポリエチレンオキシド,ポリアクリルアミド,ポリエチレンイミン,ポリビニルピロリドン等が挙げられる。エマルジョン系として、自己乳化型ポリオレフィン,共重合ナイロンエマルジョン,共重合ポリエステルエマルジョン,ポリオレフィン系エマルジョン等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、水溶液やエマルジョンにできる樹脂であれば、どのようなものでもよい。
この水溶性樹脂に水を加えて溶解し、水溶性樹脂濃度が0.2〜5.0質量%の水溶性樹脂含有液とする。この水溶性樹脂含有液は、水溶性樹脂濃度が0.2〜5.0質量%のため、粘度が低く液体状(エマルジョンも含む)である。
水溶性樹脂と水との混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ミキサーに水溶性樹脂を入れ、これに所定の水溶性樹脂濃度となるように水を加えて、攪拌することにより行えばよい。
そして、成形機の金型には、水溶性樹脂含有液を予め塗布しておく。
金型への塗布の方法としては、例えば、刷毛による塗布や、スプレー等が挙げられる。
塗布量は、金型に充填する残渣炭に対して、0.05〜5.0質量%が好ましい。0.05質量%以上であれば、水溶性樹脂含有液を塗布する効果が十分に発揮されやすい。一方、5.0質量%を超えても、その効果は飽和するため、5.0質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.1〜1.0質量%である。
成形体との接触面となる成形金型の表面は、常時、水溶性樹脂含有液で覆われている事が好ましい。これにより、連続的かつ安定的に、残渣炭成形物の表面に樹脂皮膜を形成することができる。成形金型の表面が、常時、水溶性樹脂含有液で覆われた状態を持続させるには、例えば、成形金型の表面に樹脂液が連続的に流れるように樹脂液を連続的に注入したり、一定時間毎に成形金型の表面に樹脂を噴霧したりする方法が考えられる。より、具体的には、ダブルロール成形機を用いる場合には、回転し続ける各ロール金型の表面に水溶性樹脂含有液をスプレー等により吹きつける方法等が挙げられる。
成形時における残渣炭の温度は特に限定されるものではないが、30〜120℃であることが好ましい。残渣炭の温度が30℃以上であれば、成形体の強度が向上し、成形が容易となる。また、120℃以下、好ましくは100℃未満であれば、水分調整がしやすくなり、取り扱いが容易となる。なお、より好ましくは50〜90℃である。なお、必要に応じて、成形機に投入する前に、例えばヒーターやスチーム等を用いて保温をしてもよい。また、成形の際の圧力は、例えば、0.5〜3トン/cmとすればよい。
以上のように、本発明では、残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液を塗布した金型に充填して成形体とすることで、残渣炭成形物の表面に樹脂皮膜が形成される。そして、残渣炭成形物は、表面に樹脂皮膜が形成されていることで、保管時や運搬時、使用時等に、残渣炭成形物の表層が剥離や剥脱しにくく、粉塵が発生しにくくなるといった優れた効果を奏する。
このようにして製造された残渣炭成形物は、前記した残渣炭の用途と同様に、コークス原料の配合炭の一部として、あるいは、各種の燃料用として利用することができる。
以上説明したように、本発明の残渣炭成形物の製造方法は、改質炭製造工程、成形工程を含むものである。しかし、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、原料石炭を粉砕する石炭粉砕工程や、ごみ等の不要物を除去する除去工程や、残渣炭を乾燥させる残渣炭乾燥工程等、他の工程を含めてもよい。
また、改質炭製造工程における改質炭の製造方法は、無灰炭および残渣炭を製造(回収)するための一例であり、この方法に限定するものではない。すなわち、本発明に用いることができる残渣炭を製造できるものであれば、他の方法であってもよく、前記の改質炭製造工程における各条件は、他の条件であってもよい。
次に、本発明に係る残渣炭成形物の製造方法について、実施例、比較例を挙げて具体的に説明する。
[残渣炭の製造]
まず、以下の方法により、残渣炭を製造した。
オーストラリア産瀝青炭を原料石炭とし、この原料石炭5kgに対し、4倍量(20kg)の溶剤(1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを1.2MPaの窒素で加圧して、内容積30Lのバッチ式オートクレーブ中370℃、1時間の条件で抽出処理した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄み液と固形分濃縮液とに分離し、固形分濃縮液から蒸留法で溶剤を分離・回収して、残渣炭を得た。なお、分離・回収して得た残渣炭の水分量は、1.5質量%である。
この残渣炭1kgを、粒径(最大長さ)が1mm以下になるように粉砕して成形工程に供した。
[成形工程]
粉砕した残渣炭に、水分濃度が5.0質量%となるように水を加えて、Vミキサーで10分間混合した。
次に、この混合物を金型に入れ、圧力をかけながら10秒加熱することで、タブレット(残渣炭成形物)を成形した。
金型には、表1に示す、所定の樹脂種および濃度の水溶性樹脂含有液を刷毛で塗布した。なお、No.5は、水溶性樹脂含有液を塗布しなかった。
成形条件は以下のとおりである。
温度: 50℃
圧力: 1トン/cm
金型: 直径20mm
充填量: 6グラム
なお、上記実施例では、圧縮成形装置を用いる方法で説明したが、ダブルロール成形やロールコンパクション法など公知の連続成形法を用いることも可能である。その場合、金型への水溶性樹脂含有液の塗布は、ロールコートやスプレーなどの公知の方法で行うことができる。
このようにして製造したタブレットについて、強度の指標として圧壊試験、および、粉塵発生の抑制の指標としてアブレージョン試験を行った。
[圧壊試験]
圧壊試験は、円筒状のタブレットの中心軸に対して垂直の方向に圧縮荷重をかけて、破壊に至る荷重を測定することにより行った。そして、圧壊荷重が30kg以上のものを、強度に優れるとした。
[アブレージョン試験]
アブレージョン試験は、まず、直径250mmの円筒容器に上記タブレット20個を入れ、30RPMで10分間回転させた。その後、このタブレットを目開き5.66mmの篩いで篩って、篩い下に落下した粉体を秤量することにより行った。そして、粉体がタブレット全体の質量に対して10質量%以下のものを、粉塵の発生を十分に抑制できるとして合格とした。
この試験結果を表1に示す。なお、表1において、本発明の範囲を満たさないもの、および、評価基準を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 2013095830
表1に示すように、No.1〜4は、本発明の範囲を満たすため、粉体が少なかった。また、強度にも優れていた。
一方、No.5は、水溶性樹脂含有液を用いていないため、粉体が過剰であった。
以上、本発明について、実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 改質炭製造装置
2 溶剤供給槽
3 石炭供給槽
4 抽出槽
5 分離槽
6 無灰炭回収槽
7 残渣炭回収槽

Claims (1)

  1. 石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後、前記溶剤に可溶な成分を含む抽出液と、前記溶剤に不溶な成分を含む残渣とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収するとともに、前記残渣から前記溶剤を分離して残渣炭を回収する改質炭製造工程と、
    前記残渣炭を塊状に成形して残渣炭成形物とする成形工程と、
    を含み、
    前記成形工程において、前記残渣炭と水とを混合した混合物を、水溶性樹脂含有液を塗布した金型を用いて成形することを特徴とする残渣炭成形物の製造方法。
JP2011239166A 2011-10-31 2011-10-31 残渣炭成形物の製造方法 Pending JP2013095830A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011239166A JP2013095830A (ja) 2011-10-31 2011-10-31 残渣炭成形物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011239166A JP2013095830A (ja) 2011-10-31 2011-10-31 残渣炭成形物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013095830A true JP2013095830A (ja) 2013-05-20

Family

ID=48618138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011239166A Pending JP2013095830A (ja) 2011-10-31 2011-10-31 残渣炭成形物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013095830A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2013226908B2 (en) Coal blend briquette and process for producing same, and coke and process for producing same
KR101209465B1 (ko) 팜 잔사유를 이용한 석탄의 개질방법
US9382493B2 (en) Ash-free coal production method
JP5636356B2 (ja) 無灰炭成形物の製造方法
JP5128351B2 (ja) 炭素材料の製造方法
JP5879222B2 (ja) 副生炭成形物の製造方法
JP5739785B2 (ja) 残渣炭成形物の製造方法
JP5635962B2 (ja) 残渣炭成形物の製造方法
JP2013095830A (ja) 残渣炭成形物の製造方法
JP6003001B2 (ja) 無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法
JP6454260B2 (ja) 無灰炭の製造方法
US9714394B2 (en) Method for producing ashless coal
JP5719283B2 (ja) 副生炭成形物の製造方法
JP2013112808A (ja) 副生炭混合成形炭およびその製造方法
TW201418448A (zh) 含有鐵之焦炭的製造方法及含有鐵之焦炭
JP6028361B2 (ja) 改質炭の製造方法
JP2014065823A (ja) 無灰炭の製造方法
JP5976616B2 (ja) 改質石炭の製造方法
JP5852521B2 (ja) 副生炭を主原料とするコークスの製造方法
JP7403945B2 (ja) コークス炉装入炭の製造方法
JP3311291B2 (ja) プラスチックの処理設備
KR101504836B1 (ko) 탄재 내장 브리켓의 제조장치 및 이를 이용한 제조방법
JP6026367B2 (ja) 改質石炭の製造方法
JP6199020B2 (ja) 無灰炭の製造方法
JPH11292976A (ja) プラスチックの処理方法および該処理方法で得られる固体燃料、鉱石用還元剤