JP6003001B2 - 無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法 - Google Patents

無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法 Download PDF

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本発明は、石炭から灰分を除去した無灰炭を得るための無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法に関する。
無灰炭の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリー調製工程で得られたスラリーを加熱して溶剤に可溶な石炭成分(以下、溶剤可溶成分とも記載する)を抽出する抽出工程と、抽出工程で溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを重力沈降法により溶剤可溶成分を含む溶液部と溶剤に不溶な石炭成分(以下、溶剤不溶成分とも記載する)を含む固形分濃縮液とに沈降分離する分離工程と、分離工程で分離された溶液部から溶剤を分離して無灰炭(HPC)を得る無灰炭取得工程とを備えるものである。そして、スラリー調製工程にて得られたスラリーは、ポンプにより抽出工程に搬送される。
特開2009−227718号公報
ここで、石炭と溶剤とを混合してなるスラリーをポンプで搬送するためには、ポンプ閉塞防止のため石炭を細かく(例えば大部分の石炭の粒度が1mm未満となるように)粉砕する必要がある。したがって、特許文献1に記載の無灰炭の製造方法においても、原料となる石炭を細かく粉砕する粉砕工程を要する。しかしながら、石炭を細かく粉砕する場合には、溶剤不溶成分(固形分)の粒度も自ずと小さくなる。その結果、重力沈降法による沈降分離に多大な時間がかかり、分離装置である重力沈降槽が大型化する問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、石炭を細かく粉砕する工程を排除でき、沈降分離を効率化できる無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の無灰炭の製造装置は、溶剤を加熱する予熱器と、石炭と溶剤とを混合してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を抽出すると共に、前記石炭成分を含む溶液部を重力沈降法により分離する重力沈降槽と、前記予熱器を通り一端が前記重力沈降槽に接続される供給管と、前記供給管に設けられ、溶剤を前記重力沈降槽に搬送するポンプと、前記ポンプ及び前記予熱器よりも下流側の前記供給管に接続され、溶剤が逆流してこないように前記供給管への供給部を加圧して前記供給管に石炭を供給する石炭供給手段と、前記重力沈降槽にて分離された溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る溶剤分離器と、を備えるものである。
また、本発明の無灰炭の製造方法は、石炭と溶剤とを混合してなるスラリーから無灰炭を得る無灰炭の製造方法であって、溶剤を加熱する溶剤加熱工程と、前記溶剤加熱工程で加熱された溶剤が流れる供給管に、溶剤が逆流してこないように前記供給管への供給部を加圧して石炭を供給することにより、供給された石炭と溶剤とを混合してスラリーとする石炭混合工程と、前記石炭混合工程で得られたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を抽出すると共に、前記石炭成分を含む溶液部を重力沈降法により分離する抽出分離工程と、前記抽出分離工程で分離された溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、を備えるものである。
本発明によれば、石炭を細かく粉砕する工程を排除でき、沈降分離を効率化できる無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る無灰炭の製造装置を示す概略図である。 図1に示す重力沈降槽の外観図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る無灰炭の製造装置を示す概略図である。
(無灰炭の製造装置1の構成)
図1に示すように、本発明に係る無灰炭の製造装置1は、溶剤タンク2と、ポンプ3と、予熱器4と、ロックホッパ5(石炭供給手段)と、重力沈降槽6と、溶剤分離器7、8とを有している。そして、溶剤タンク2と重力沈降槽6とは供給管10によって接続されている。
(ポンプ3)
ポンプ3は、溶剤タンク2に貯蔵された溶剤を供給管10を介して重力沈降槽6に搬送するものであり、供給管10に設けられている。溶剤はポンプ3により乱流状態で重力沈降槽6に搬送される。本願でいう「乱流状態」とは、例えばレイノルズ数Reが2100以上の状態を言い、より好ましくはレイノルズ数Reが4000以上の状態を言う。なお、溶剤は層流状態、即ち、レイノルズ数Reが2100未満の状態で搬送されてもよい。
(予熱器4)
予熱器4は、ポンプ3によって搬送された溶剤を加熱するものであり、ポンプ3よりも下流側の供給管10に設けられている。予熱器4は、溶剤を加熱できるものであれば特に限定されないが、一般的に熱交換器が用いられる。供給管10内を流れる溶剤は、予熱器4を通る際に熱交換することにより加熱される。また、予熱器4は、溶剤の分子量などにもよるが、例えば溶剤を毎分当たり10〜30℃の加熱速度で加熱できる能力のあるものが用いられる。なお、本実施形態においては、ポンプ3によって搬送された溶剤を加熱しているが、先に予熱器4にて加熱した溶剤をポンプ3で搬送するようにしてもよい。即ち、ポンプ3と予熱器4との配置が逆であってもよい。
(ロックホッパ5)
ロックホッパ5(石炭供給手段)は、内部が高圧(例えば、1.0〜5.0MPa)の供給管10内に石炭を供給する手段であり、ポンプ3及び予熱器4よりも下流側の供給管10に接続されている。ロックホッパ5から石炭が供給管10内に供給されることにより、供給管10内で溶剤と石炭とが混合される。
ロックホッパ5は、常圧状態で使用される常圧ホッパ11と、常圧状態と加圧状態で使用される加圧ホッパ12と、常圧ホッパ11と加圧ホッパ12とを接続する接続部に設けられる弁13と、加圧ホッパ12と供給管10とを接続する接続部に設けられる弁14とを有している。加圧ホッパ12には、窒素ガスなどのガスを供給する加圧ライン15と、当該ガスを排気する排気ライン16とが接続されている。
常圧ホッパ11に貯蔵された石炭は、弁14が閉の状態で弁13を開とすることにより、まず加圧ホッパ12に移送される(このとき加圧ホッパ12は常圧状態である)。次に、弁13を閉とし、加圧ライン15を介して窒素ガスなどのガスを加圧ホッパ12に供給する。その結果、加圧ホッパ12を含む弁13から弁14までの空間部(以下、供給部17と称する)が加圧され、加圧ホッパ12が加圧状態となる。この際、供給部17の圧力が供給管10内の圧力と同等又はそれ以上となるように加圧されることが好ましい。そして、弁14を開とすることにより、加圧ホッパ12内の石炭が供給管10に供給される。このように、ロックホッパ5の供給部17を加圧しているので、溶剤が供給管10からロックホッパ5に逆流することを防止しつつ、石炭を供給管10に供給することができる。なお、加圧ライン15及び排気ライン16は、供給部17のいずれかに接続されていればよく、必ずしも加圧ホッパ12に接続される必要はない。
ここで、弁13及び弁14としては、特に限定されるものではないが、例えばゲートバルブ、ボールバルブ、フラップ弁、ロータリーバルブ等を使用することができる。また、ロックホッパ5は、本実施形態の構成に限られず、溶剤が供給管10からロックホッパ5に逆流することを防止しつつ、石炭を供給管10に供給することができるものであれば、その他の構成としてもよい。また、ロックホッパ以外の石炭供給手段を使用してもよい。
(重力沈降槽6)
重力沈降槽6は、石炭と溶剤とを混合してなるスラリーから溶剤可溶成分を抽出すると共に、溶剤可溶成分が抽出されたスラリーを重力沈降法により溶剤可溶成分を含む溶液部と溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液とに分離する装置である。重力沈降法とは、重力を利用して固形分を沈降させて固液分離する分離方法である。重力沈降法では、スラリーを槽内に連続的に供給しながら、溶剤可溶成分を含む溶液部を上部から、溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液を下部から排出することができるので、連続的な分離処理が可能となる。
重力沈降槽6は、圧力容器であり、図2に示すように、円筒状の胴部6aと、胴部6aの下端側に設けられ下部に向かうにつれて縮径する構成の底部6bとからなる。なお、重力沈降槽6は、円筒形状に限定されるものではなく、その他形状でもよい。また、底部6bも下部に向かうにつれて縮径する構成に限定されるものではなく、単に圧力容器の底板を底部6bとしてもよい。
(供給管10)
供給管10は、溶剤タンク2と重力沈降槽6とを接続する供給管である。供給管10内では、予熱器4で加熱された溶剤とロックホッパ5から供給された石炭とが混合されスラリーとされる。また、供給管10内では、溶剤と石炭とが混合されるのと同時に溶剤可溶成分の抽出が行われる。なお、本実施形態においては、供給管10内及び重力沈降槽6内で溶剤可溶成分の抽出を行っているが、ロックホッパ5が接続される箇所から重力沈降槽6までの供給管10の長さを十分な長さとすることにより、供給管10内で抽出をほとんど完了させることも可能である。
供給管10は、溶剤タンク2と重力沈降槽6とを直接接続している。ここで「直接接続する」とは、溶剤タンク2から供給管10を介して搬送された溶剤が重力沈降槽6に供給されるまでの間に、溶剤がその他の装置に供給されることがないことを意味する。本実施形態においては、供給管10にポンプ3やロックホッパ5が設けられ、また供給管10は予熱器4内を通っているが、ポンプ3、予熱器4、及びロックホッパ5は、溶剤が供給される装置ではないので、「直接接続する」という文言を阻害するものではない。
また、供給管10の一端は、重力沈降槽6の下端部6cに接続されている。さらに詳しくは、底部6bに接続されている。下端部6cとは、重力沈降槽6の高さHに対して重力沈降槽6の下端から高さH×0.5までの範囲を言う。なお、底部6bは下端部6cの範囲内に含まれるものである。このように、供給管10の一端が重力沈降槽6の下端部6cに接続されているので、スラリーが重力沈降槽6の下部に沈降している溶剤不溶成分(固形分)に衝突しながら重力沈降槽6内に供給される。その結果、供給管10から重力沈降槽6内に供給されたスラリーに含まれる溶剤不溶成分が重力沈降槽6の下部に沈降している溶剤不溶成分に凝集されやすくなる。したがって、沈降分離速度が増し、沈降分離が効率化される。
さらに、供給管10の一端は、図2に示すとおり、重力沈降槽6の下端部6cに鉛直方向に接続されることが好ましい。即ち、供給管10内のスラリーが重力沈降槽6内に鉛直方向上向きに吐出されるように接続されていることを意味する。供給管10の一端が重力沈降槽6の下端部6cに鉛直方向に接続されているので、スラリーが重力沈降槽6の下部に沈降している溶剤不溶成分と向流するように衝突しながら重力沈降槽6内に供給され、溶剤不溶成分がより凝集されやすくなる。なお、向流とは、ここでは、供給されるスラリーの流れの向きが、既に重力沈降槽6内にあるスラリーの沈降方向と向かい合う状態を言う。
供給管10の一端は、重力沈降槽6の下端部6c以外に接続されていてもよい。例えば、重力沈降槽6の中間部(高さH×0.5〜高さH0.7までの範囲)に接続されていてもよい。この場合、溶剤不溶成分が凝集される効果を得つつ、スラリーを供給することによって生じる下部に沈降している溶剤不溶成分の撹拌を防止する効果も期待できる。さらに、重力沈降槽6の上部(高さH×0.7〜高さHまでの範囲)に接続されていてもよい(上部に接続するとは、重力沈降槽6の蓋6dに貫接することも含む)。この場合、スラリーが沈降するまでの時間を溶剤可溶成分の抽出時間に当てることができる。
(無灰炭の製造方法)
次に、本発明に係る無灰炭の製造方法について説明する。本発明に係る無灰炭の製造方法は、溶剤搬送工程、溶剤加熱工程、石炭混合工程、抽出分離工程、および無灰炭取得工程を有し、必要に応じて残渣炭取得工程をさらに有するものである。
(溶剤搬送工程)
溶剤搬送工程は、溶剤タンク2に貯蔵された溶剤をポンプ3により後工程に搬送する工程であり、溶剤は前記したとおり乱流状態(乱流化して)で後工程に搬送される。
ここで、溶剤は石炭を溶解するものであれば特に限定されないが、石炭由来の2環芳香族化合物が好適に用いられる。この2環芳香族化合物は基本的な構造が石炭の構造分子と類似していることから石炭との親和性が高く、比較的高い抽出率を得ることができる。石炭由来の2環芳香族化合物としては、例えば、石炭を乾留してコークスを製造する際の副生油の蒸留油であるメチルナフタレン油、ナフタレン油などを挙げることができる。
溶剤の沸点は、特に限定されないが、例えば抽出率、および、無灰炭取得工程あるいは残渣炭取得工程での溶剤回収率の観点から、180〜300℃、特に230〜280℃のものが好適に用いられる。一方、溶剤の沸点が180℃よりも低い場合には、無灰炭取得工程あるいは残渣炭取得工程で溶剤を回収する場合に揮発による損失が大きくなり、溶剤の回収率が低下するおそれがある。また、溶剤の沸点が300℃を超える場合にも、石炭と溶剤との分離が困難となり、溶剤の回収率が低下するおそれがある。
(溶剤加熱工程)
溶剤加熱工程は、ポンプ3により搬送された溶剤を加熱する工程であり、予熱器4にて行われる。より詳しくは、供給管10内を流れる溶剤が予熱器4を通る間に加熱が行われる。予熱器4にて加熱された溶剤の温度は、抽出率の向上の観点から、300〜450℃が好ましく、350〜420℃がより好ましい。なお、予熱器4を通る前の溶剤の温度は100℃程度である。予熱器4での加熱時間は特に限定されるものではないが、およそ10〜30分間である。したがって、溶剤は、およそ毎分当たり10〜30℃の加熱速度で加熱されることになる。溶剤加熱工程は高圧下で行われ、その圧力は、溶剤の蒸気圧などにもよるが、1.0〜5.0MPaの範囲が好ましい。圧力を溶剤の蒸気圧よりも高くしておかないと、溶剤が揮発して石炭の抽出が困難となるためである。
ここで、予熱器4にて加熱された溶剤の温度とは、予熱器4よりも下流側の供給管10内を流れる溶剤の温度のことを言い、より詳しくは、予熱器4よりも下流側、かつロックホッパ5との接続部分よりも上流側の供給管10内を流れる溶剤の温度のことを言う。ロックホッパ5から供給管10に供給された石炭と混合される直前の溶剤の温度と言うこともできる。
なお、本実施形態では、溶剤加熱工程は溶剤搬送工程よりも後に行われているが、ポンプ3と予熱器4との順序を入れ替えるなどして、溶剤加熱工程が溶剤搬送工程よりも先に行われるようにしてもよい。
(石炭混合工程)
石炭混合工程は、石炭と溶剤とを混合してスラリーとする工程であり、供給管10内で行われ、より詳しくは、供給管10とロックホッパ5との接続部分周辺で行われる。
石炭の原料としては、様々な品質の石炭を用いることができるが、例えば瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭が好適に用いられる。また、石炭の粒度においては、塊炭が使用される。本願でいう「塊炭」とは、全石炭に対する、粒度が5mm以上の石炭の重量割合が50%以上である石炭のことを言う。この塊炭は、細かく粉砕された石炭(例えば、全石炭に対する、粒度が1mm未満の石炭の重量割合が80%以上である石炭)に比べて石炭の粒度が大きいため、分離工程での分離速度が早まり、沈降分離を効率化することができる。石炭の粒度(粒径)が5mm以上であるか否かなど、石炭の粒径を検証する場合、例えば、JIS A 1102に規定されたふるい分け試験を用いることができる。なお、石炭の分離には例えば篩いを用いることができる。
ロックホッパ5から供給管10に供給された石炭は、供給管10内を流れる高温(300〜450℃、より好ましくは350〜420℃)の溶剤と混合され急速昇温される。「急速昇温」とは、例えば毎秒当たり10〜100℃の加熱速度で加熱されることを言い、予熱器4での加熱速度よりも速い。その結果、溶剤と石炭とが混合してなるスラリーの温度は数秒〜数十秒で300〜420℃程度となる(なお、石炭の顕熱分、スラリーの温度は予熱器4にて加熱された溶剤の温度よりも低下する)。
また、溶剤がポンプ3から乱流状態で搬送されるので、溶剤は供給管10内に供給された石炭に激しく衝突する。その結果、石炭がよく溶解され、抽出率が向上する。また、溶剤と石炭とがよく混合されたスラリーとなる。
(抽出分離工程)
抽出分離工程は、石炭混合工程で得られたスラリーから溶剤可溶成分を抽出すると共に、重力沈降法により溶剤可溶成分を含む溶液部と溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液とに分離する工程であり、主に重力沈降槽6により行われる。なお、前記したとおり溶剤可溶成分の抽出の一部又は全部を供給管10内で行ってもよい。分離された溶剤可溶成分を含む溶液部は、重力沈降槽6の上部に溜まり、必要に応じてフィルターユニット(不図示)にて濾過した後、溶剤分離器7に排出される。一方、溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液は、重力沈降槽6の下部に溜まり、溶剤分離器8に排出される。
ここで、溶剤可溶成分とは、溶剤に溶解され得る石炭成分であり、主として分子量が比較的小さく、架橋構造が発達していない石炭中の有機成分に由来するものである。また、溶剤不溶成分とは、溶剤により石炭成分の抽出を行っても、溶剤に溶解されずに残る灰分や当該灰分を含む石炭などの石炭成分であり、分子量が比較的大きく、架橋構造が発達した有機成分に由来するものである。
抽出分離工程でのスラリーの温度は、抽出率の向上の観点から、300〜420℃、より好ましくは350〜400℃である。即ち、石炭混合工程でのスラリーの温度を抽出分離工程においても維持するようにしている。300℃より低い温度では、石炭を構成する分子間の結合を弱めるには不十分であり、抽出率が低下する。一方、420℃より高い温度でも、石炭の熱分解反応が活発になり、生成した熱分解ラジカルの再結合が起こるため、抽出率が低下する。300〜420℃では、石炭を構成する分子間の結合が緩み、穏和な熱分解が起こり抽出率は高くなり、特に350〜400℃では、抽出率が最も高くなる。
抽出分離工程での圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜3.0MPaの範囲が好ましく、1.7〜2.3Mpaの範囲がより好ましい。重力沈降槽6内でスラリーを維持する時間は、特に制限されるものではないが、30〜120分間が好ましい。石炭として塊炭を使用しているので、沈降分離が効率化され、重力沈降槽6内でスラリーを維持する時間を短縮できる。
(無灰炭取得工程)
無灰炭取得工程は、分離工程で分離された溶剤可溶成分を含む溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭(HPC)を得る工程であり、溶剤分離器7で行われる。
蒸発分離とは、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を含む分離方法である。分離して回収された溶剤は予熱器4よりも上流側の供給管10へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離、回収により、溶液部から実質的に灰分を含まない無灰炭を得ることができる。無灰炭は、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また例えば原料炭よりも高い発熱量を示す。さらに、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、例えば原料炭よりも遥かに優れた性能(流動性)を示す。従って、無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。なお、無灰炭とは、灰分が5重量%以下、好ましくは3重量%以下のもののことをいう。
(残渣炭取得工程)
残渣炭(副生炭)取得工程は、必要に応じて実施され、分離工程で分離された溶剤不溶成分を含む固形分濃縮液から溶剤を蒸発分離して残渣炭(RC)を得る工程であり、溶剤分離器8で行われる。残渣炭は副生炭とも称される。
固形分濃縮液から溶剤を分離する方法としては、前記した無灰炭取得工程と同様に、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を含む分離方法を用いることができる。分離して回収された溶剤は予熱器4よりも上流側の供給管10へ循環して繰り返し使用することができる。溶剤の分離、回収により、固形分濃縮液から灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された残渣炭を得ることができる。残渣炭は、軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されているため、配合炭として用いた場合に、この配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害するようなものではない。従って、この残渣炭は、コークス原料の配合炭の一部として使用することもできる。なお、残渣炭は回収せずに廃棄してもよい。
(効果)
次に、無灰炭の製造装置1の効果を説明する。本発明の無灰炭の製造装置1は、ロックホッパ5(石炭供給手段)がポンプ3よりも下流側の供給管10に接続される。よって、従来技術(例えば、特許文献1)のように、石炭がポンプ3により搬送されることがないので、石炭を塊炭(全石炭に対する、粒度が5mm以上の石炭の重量割合が50%以上である石炭)のまま無灰炭の製造装置1に供給することができる。その結果、石炭を細かく粉砕する工程を排除することができると共に、重力沈降槽6による分離速度が増し、沈降分離を効率化できる。
また、ポンプ3により溶剤が乱流状態で重力沈降槽6に搬送される。よって、溶剤と石炭とが供給管10内でよく混合され、石炭成分の抽出が早く進む。したがって、抽出時間を短縮できる。
さらに、無灰炭の製造装置1は、ロックホッパ5(石炭供給手段)が予熱器4よりも下流側の供給管10に接続される。よって、予熱器4で加熱された高温の溶剤が通る供給管10内に石炭が供給され、石炭が急速昇温される。石炭が急速昇温されることで、溶剤可溶成分が抽出しやすくなる。したがって、抽出時間の短縮を図ることができる。
なお、溶剤可溶成分には、昇温により直ちに溶解する石炭成分と、昇温後例えば重力沈降槽6などでゆっくり熟成することにより溶解する石炭成分とがある。そして、急速昇温により、このゆっくり熟成することにより溶解する石炭成分が溶解しやすくなり、石炭の抽出時間が短縮される。
以上の効果により、沈降分離を効率化できると共に抽出時間を短縮することができる。その結果、重力沈降槽6を小型化でき、また、例えば抽出槽といった主に石炭成分の抽出を行う装置が不要となり、無灰炭の製造装置1の装置コスト、運転コストを削減できる。
また、供給管10の一端は、重力沈降槽6の下端部6cに接続される。よって、スラリーが重力沈降槽6の下部に沈降している溶剤不溶成分(固形分)に衝突しながら重力沈降槽6内に供給される。その結果、供給管10から重力沈降槽6内に供給されたスラリーに含まれる溶剤不溶成分が重力沈降槽6の下部に沈降している溶剤不溶成分に凝集されやすくなる。したがって、沈降分離速度が増し、沈降分離がさらに効率化される。
また、本発明の無灰炭の製造方法は、溶剤加熱工程と、石炭混合工程と、抽出分離工程と、無灰炭取得工程とを備える。上記の製造方法により、石炭を細かく粉砕する工程を排除することができ、無灰炭の沈降分離を効率化できるので、無灰炭を効率よく且つ安価に製造することができる。
さらに、石炭混合工程で得られたスラリーを重力沈降槽6の下端部6cに供給しているので、沈降分離をさらに効率化でき、無灰炭をさらに効率よく且つ安価に製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
1 無灰炭の製造装置
2 溶剤タンク
3 ポンプ
4 予熱器
5 ロックホッパ(石炭供給手段)
6 重力沈降槽
6c 下端部
7、8 溶剤分離器
10 供給管
17 供給部

Claims (4)

  1. 溶剤を加熱する予熱器と、
    石炭と溶剤とを混合してなるスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を抽出すると共に、前記石炭成分を含む溶液部を重力沈降法により分離する重力沈降槽と、
    前記予熱器を通り一端が前記重力沈降槽に接続される供給管と、
    前記供給管に設けられ、溶剤を前記重力沈降槽に搬送するポンプと、
    前記ポンプ及び前記予熱器よりも下流側の前記供給管に接続され、溶剤が逆流してこないように前記供給管への供給部を加圧して前記供給管に石炭を供給する石炭供給手段と、
    前記重力沈降槽にて分離された溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る溶剤分離器と、
    を備える、無灰炭の製造装置。
  2. 前記供給管が前記重力沈降槽の下端部に接続される、請求項1に記載の無灰炭の製造装置。
  3. 石炭と溶剤とを混合してなるスラリーから無灰炭を得る無灰炭の製造方法であって、
    溶剤を加熱する溶剤加熱工程と、
    前記溶剤加熱工程で加熱された溶剤が流れる供給管に、溶剤が逆流してこないように前記供給管への供給部を加圧して石炭を供給することにより、供給された石炭と溶剤とを混合してスラリーとする石炭混合工程と、
    前記石炭混合工程で得られたスラリーから溶剤に可溶な石炭成分を抽出すると共に、前記石炭成分を含む溶液部を重力沈降法により分離する抽出分離工程と、
    前記抽出分離工程で分離された溶液部から溶剤を蒸発分離して無灰炭を得る無灰炭取得工程と、
    を備える、無灰炭の製造方法。
  4. 前記抽出分離工程において、
    前記石炭混合工程で得られたスラリーを重力沈降槽の下端部に供給する、請求項3に記載の無灰炭の製造方法。
JP2013069034A 2013-03-28 2013-03-28 無灰炭の製造装置および無灰炭の製造方法 Active JP6003001B2 (ja)

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