JP2013249272A - 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 - Google Patents
皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013249272A JP2013249272A JP2012123984A JP2012123984A JP2013249272A JP 2013249272 A JP2013249272 A JP 2013249272A JP 2012123984 A JP2012123984 A JP 2012123984A JP 2012123984 A JP2012123984 A JP 2012123984A JP 2013249272 A JP2013249272 A JP 2013249272A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- skin elasticity
- sequence
- amino acid
- polypeptide chain
- protein
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【解決手段】人工タンパク質(A)からなる皮膚弾性向上材であって、(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、(A)の疎水性度が0.2〜1.5である皮膚弾性向上材。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)中の1〜100個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換されたアミノ酸の割合{(リシン及び/又はアルギニンに置換された個数)/((Y’)のアミノ酸の個数)×100%}が0.1%〜5%であるポリペプチド鎖。
【選択図】なし
Description
これまで皮膚外用剤の分野では、かかる皮膚弾性低下を防止するべく、多くの検討がなされている。例えば、真皮組織の主成分であるコラーゲンの変化について、真皮線維芽細胞を賦活し、加齢やストレスにより低下したコラーゲンの産生を促進又は亢進するような成分の探索(特許文献1及び特許文献2)や、コラーゲンの分解を抑制するような成分の探索(特許文献3)が盛んに行われている。しかしながら、コラーゲンの産生促進・減少抑制だけでは、皮膚弾性の向上・低下抑制には不十分である。皮膚弾性は、コラーゲン線維をエラスチン線維が支えることで得られるものであり、エラスチンの変化も皮膚弾性に大きく寄与するためである。
そこで、エラスチンの量の減少を抑える方法についての検討も行われている。例えば、エラスチンを分解する酵素であるエラスターゼの活性を阻害する皮膚外用材がある。しかしながら、加齢等で生体内機能が低下したためエラスチンが生体内で生合成される量が少ない場合は、エラスターゼの活性阻害だけでは皮膚弾性低下抑制の効果が望めないのが現状である。したがって、生体内機能に頼らず、外部から直接適用(注入)でき、エラスチンと同様の機能を持つ皮膚弾性向上のための成分(皮膚弾性向上材)が望まれている。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。
人工タンパク質(A)1分子中に、ポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、(VPGVG)b配列又は(GVGVP)c配列を有しても良く、(VPGVG)b配列及び(GVGVP)c配列を有しても良い。
また、人工タンパク質(A)中にアミノ酸配列(X)が同種類のポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、上記(X)の連続する個数は、(Y)ごとに同一でも異なっていてもよい。すなわち、上記b及びcが同じポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよく、(X)の連続する個数b及びcが異なるポリペプチド鎖(Y)を複数有してもいい。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)中の1〜5個のアミノ酸がK及び/又はRで置換され、アミノ酸の置換の割合[{(K及び/又はRで置換された個数)}/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]が20〜80%であるアミノ酸配列。
また、アミノ酸配列(X’)において、アミノ酸配列(X)中のアミノ酸の置換の割合[{(K及び/又はRで置換された個数)}/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]は、人工タンパク質(A)の水への溶解性の観点から、20〜60%が好ましい。
また、アミノ酸配列(X’)としては、人工タンパク質(A)の水への溶解性の観点から、GKGVP配列(4)、GKGKP配列(5)、GKGRP配列(6)及びGRGRP配列(7)からなる群より選ばれる少なくとも1種の配列が好ましく、さらに好ましくはGKGVP配列(4)及びGKGKP配列(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ポリペプチド鎖(Y’)において、(Y)中の置換されるアミノ酸の数は、(A)の水への溶解性及びコラーゲンとの親和性の観点から、1〜70個が好ましく、さらに好ましくは1〜30個である。
また、ポリペプチド鎖(Y’)は、(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であるが、(A)の水への溶解性の観点から、0.1〜4%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3%である。
人工タンパク質(A)において、同じアミノ酸配列(X)が繰り返し結合している部分はポリペプチド鎖(Y)1個とし、(X)とは異なる配列が結合するまでを1個とする。例えば、(GVGVP)100GAGAGS(VPGVG)20である場合、ポリペプチド鎖(Y)は(GVGVP)100と(VPGVG)20との2個である。また、人工タンパク質(A)の配列中の全てのK及びRを、他のアミノ酸(G、V又はP)に置きかえたときに、アミノ酸配列(X)が繰り返し結合しているものとなる部分をポリペプチド鎖(Y’)1個とし、(X)とは異なる配列が結合するまでを1個とする。例えば、(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3GAGAGS(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3には、2個のポリペプチド鎖(Y’)である(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3がある。
(A)の疎水性度は、(A)分子の疎水性の度合いを示すものであり、(A)分子を構成するそれぞれのアミノ酸の数(Mα)、それぞれのアミノ酸の疎水性度(Nα)及び(A)1分子中のアミノ酸の総数を、下記数式に当てはめることにより算出することができる。なお、それぞれのアミノ酸の疎水性度は、非特許文献(レ−ニンジャ−の新生化学 上,p.346−347)に下記の数値が記載されている。
疎水性度=Σ(Mα×Nα)/(MT)
Mα:(A)1分子中のそれぞれのアミノ酸の数
Nα:各アミノ酸の疎水性度
MT:(A)1分子中のアミノ酸の総数
A(アラニン):1.8
R(アルギニン):−4.5
N(アスパラギン):−3.5
D(アスパラギン酸):−3.5
C(システイン):2.5
Q(グルタミン):−3.5
E(グルタミン酸):−3.5
G(グリシン):−0.4
H(ヒスチジン):−3.2
I(イソロイシン):4.5
L(ロイシン):3.8
K(リシン):−3.9
M(メチオニン):1.9
F(フェニルアラニン):2.8
P(プロリン):−1.6
S(セリン):−0.8
T(トレオニン):−0.7
W(トリプトファン):−0.9
Y(チロシン):−1.3
V(バリン):4.2
例えば、(A)が(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)である場合、(A)の疎水性度={16(Gの数)×(−0.4)+15(Vの数)×4.2+8(Pの数)×(−1.6)+1(Kの数)×(−3.9)}/40(アミノ酸の総数)=1.00である。
GAGAGS配列(1)は、生体内難分解性の観点から、GAGAGS配列(1)が2〜100個連続して結合したポリペプチド鎖(S)を有していることが好ましい。
ポリペプチド鎖(S)において、配列(1)が連続する数は、生体内難分解性の観点から、2〜100個が好ましく、さらに好ましくは2〜50個であり、次にさらに好ましくは3〜40個であり、特に好ましくは4〜30個である。
(A)において、ポリペプチド鎖(S)を有する際、(A)1分子中に(S)を1つ以上有すればよいが、生体内難分解性の観点から、1〜20個が好ましく、さらに好ましくは3〜10個である。
以下に、各精製タグ(i)とそのタグを認識結合するリガンド(ii)との組み合わせの一例を示す。
(i−1)グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS) (ii−1)グルタチオン
(i−2)マルトース結合タンパク質(MBP) (ii−2)アミロース
(i−3)HQタグ (ii−3)ニッケル
(i−4)Mycタグ (ii−4)抗Myc抗体
(i−5)HAタグ (ii−5)抗HA抗体
(i−6)FLAGタグ (ii−6)抗FLAG抗体
(i−7)6×Hisタグ (ii−7)ニッケル又はコバルト
前記精製タグ配列の導入方法としては、発現用ベクターにおける人工タンパク質(A)をコードする核酸の5’又は3’末端に精製タグをコードする核酸を挿入する方法や市販の精製タグ導入用ベクターを使用する方法等が挙げられる。
<アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の含有量の測定法>
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、人工タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、人工タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量を測定する。
アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量(%)=[{アミノ酸配列(X)の分子量}×{アミノ酸配列(X)の数}+{アミノ酸配列(X’)の分子量}×{アミノ酸配列(X’)の数}]/{(A)の分子量}×100
なお、人工タンパク質(A)の分子質量は、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法により、測定サンプルを分離し、泳動距離を標準物質と比較する方法によって求められる。
(1)アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)の人工タンパク質
(1−1)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y1)中の1個のアミノ酸がK(リシン)で置換されたポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A1)であり、さらに好ましくは、(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)であるポリペプチド鎖(Y’11)及び(GAGAGS)4配列(9)であるポリペプチド鎖(S1−1)を有する人工タンパク質(A11)、ポリペプチド鎖(Y’11)及び(GAGAGS)2配列(11)であるポリペプチド鎖(S1−2)を有する人工タンパク質(A12)、並びにポリペプチド鎖(Y’11)、ポリペプチド鎖(S1−1)及びポリペプチド鎖(S1−2)を有する人工タンパク質(A13)である。
具体的には、GAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(9)のポリペプチド鎖(S1−1)を12個及びGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y11)中のV(バリン)のうち1個がK(リシン)に置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)(Y’11)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)1個が化学結合した構造を有する分子質量が約80kDaの配列(13)の人工タンパク質(SELP8K、疎水性度0.618);GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)のポリペプチド鎖(Y’11)をそれぞれ17個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約82kDaの配列(12)の人工タンパク質(SELP0K、疎水性度0.718)等である。
(1−2)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y2)を有する人工タンパク質(A2)であり、さらに好ましくは、GVGVP配列(3)が2個連続したポリペプチド鎖(Y21)及びGAGAGS配列(1)が6個連続したポリペプチド鎖(S2−1)を有する人工タンパク質(A21)であり、具体的には、ポリペプチド鎖(Y21)とポリペプチド鎖(S2−1)が結合したアミノ酸ブロック(L−1)が29個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約93kDaの配列(14)の人工タンパク質(SLP4.1、疎水性度0.47)である。
(1−3)GVGVP配列(3)が連続したポリペプチド鎖(Y1)中の2個のアミノ酸がK(リシン)で置換されたポリペプチド鎖(Y’3)を有する人工タンパク質(A3)であり、さらに好ましくは、GKGVP配列(4)が2個連続したポリペプチド鎖(Y’31)、GAGAGS配列(1)が6個結合したポリペプチド鎖(S2−1)及びGAGAGS配列(1)が10個結合したポリペプチド鎖(S2−2)を有する人工タンパク質(A31)である。
具体的には、ポリペプチド鎖(S2−1)にポリペプチド鎖(Y’31)が結合し、さらにポリペプチド鎖(S2−2)が結合したアミノ酸ブロック(L−2)が10個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約73kDaの配列(15)の人工タンパク質(SLP4.2、疎水性度0.2)等である。
(2−1)VPGVG配列(2)が連続したポリペプチド鎖(Y4)を有する人工タンパク質(A4)であり、具体的には、VPGVG配列(2)が160個連続したポリペプチド鎖(Y41)を有する分子質量が約65kDaの配列(16)の人工タンパク質(ELP1、疎水性度1.2)である。
(2−2)VPGVG配列(2)が4個連続したポリペプチド鎖(Y5−1)及びVPGVG配列(2)が8個連続したポリペプチド鎖(Y5−2)を有する人工タンパク質(A5)であり、さらに好ましくは、VPGVG配列(2)が4個連続したポリペプチド鎖(Y5−1)、VPGVG配列(2)が8個連続したポリペプチド鎖(Y5−2)及びGAGAGS配列(1)を有する人工タンパク質(A51)であり、具体的には、ポリペプチド鎖(Y5−1)にGAGAGS配列(1)が結合し、さらにポリペプチド鎖(Y5−2)が結合したアミノ酸ブロック(L−3)が40個繰り返し化学結合した構造を有する分子質量が約220kDaの配列(17)の人工タンパク質(ELP1.1、疎水性度1.12)である。
(1)人工タンパク質(A)及び水を所定量含む、後述する皮膚弾性向上用タンパク質溶液を4〜25℃で作製する。皮膚弾性向上用タンパク質溶液には、必要により無機塩及び/又はリン酸(塩)を含んでもよい。また、皮膚弾性向上用タンパク質溶液は、必要により皮膚に適用する直前に温めてもよい。
(2)皮膚に皮膚弾性向上用タンパク質溶液を適用する。
また、皮膚に適用する際の皮膚弾性向上用タンパク質溶液の温度は、皮膚弾性向上材の熱安定性及びハンドリング性の観点から、4〜80℃が好ましく、さらに好ましくは4〜60℃、次にさらに好ましくは25〜50℃、特に好ましくは30〜40℃である。
本発明において皮膚は、身体の外皮または被膜を意味し、真皮および表皮からなり、皮下組織上にあるものを意味する。
また、皮膚は、人の皮膚に限定されることなく、動物(ペットや家畜)の皮膚にも使用することができる。
また、本発明の皮膚弾性向上材は、水に溶解できるので、皮膚弾性向上材を含む水溶液を皮膚内部又は外部に投与することで、老化により低下した皮膚弾性の向上や皺を消失・予防することができ、顔面や腕部、脚部、胸部、頚部等の身体部分の緩み弛んだ肌を引き締めることができる。
皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の人工タンパク質(A)の含有量(重量%)は、効率よく皮膚弾性向上機能を発揮する観点から、皮膚弾性向上材及び水の合計重量を基準として、10〜30が好ましく、さらに好ましくは15〜30である。
皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の水の含有量(重量%)は、人工タンパク質(A)の溶解性の観点から、70〜90が好ましく、さらに好ましくは70〜85である。
無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム及び炭酸水素マグネシウム等が挙げられる。リン酸塩は無機塩に含まない。
皮膚弾性向上用タンパク質溶液中の塩の含有量(重量%)は、人間の体液と同等にするというの観点から、皮膚弾性向上用タンパク質溶液の重量を基準として0〜1.3が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.3であり、次にさらに好ましくは0.7〜1.1であり、特に好ましくは0.85〜0.95である。
皮膚弾性向上用タンパク質溶液中のリン酸(塩)としては、リン酸及びリン酸塩が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。
皮膚弾性向上用タンパク質溶液中のリン酸(塩)の含有量(重量%)は、タンパク質溶解性の観点から、皮膚弾性向上用タンパク質溶液の重量を基準として0〜0.30が好ましく、さらに好ましくは0.10〜0.30であり、次にさらに好ましくは0.12〜0.28であり、特に好ましくは0.14〜0.26である。
○SELP8Kの生産
特許第4088341号公報の実施例記載の方法に準じて、SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345を作製した。
作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションし、SELP8K生産株を得た。
30℃で生育させたSELP8K生産株の一夜培養液を使用して、250mlフラスコ中のLB培地50mlに接種した。カナマイシンを最終濃度50μg/mlとなるように加え、該培養液を30℃で攪拌しながら(200rpm)インキュベートした。培養液がOD600=0.8(吸光度計UV1700:島津製作所製を使用)となった時に、40mlを42℃に前もって温めたフラスコに移し、同じ温度で約2時間インキュベートした。該培養体を氷上で冷却し、培養液のOD600を測定した。大腸菌を遠心分離で集めた。集菌した大腸菌から人工タンパク質を取り出すために、超音波破砕(4℃、30秒×10回)をして溶菌した。
この大腸菌により産生された人工タンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した後、ポリフッ化ビニリデン膜にトランスファーした。その後、一次抗体に抗ラビットSELP8K抗体、2次抗体に抗ラビットIgG HRP標識抗体(GEヘルスケア社製)を用いたウエスタンブロット分析を行なった。該生成物の見かけ分子量は約80kDaであった。よってSELP8K生産株は、見かけ分子質量80,000の抗ラビットSELP8K抗体反応性を有するSELP8Kを生成したことが分かった。
上記で得たSELP8Kを、菌体溶解、遠心分離による不溶性細片の除去、及びアフィニティークロマトグラフィーにより大腸菌バイオマスから精製した。このようにして、皮膚弾性向上材である分子量が約80kDaの人工タンパク質(A−1)(SELP8K)を得た。
得られた人工タンパク質(A−1)を下記の手順で同定した。
抗ラビットSELP8K抗体及びC末端配列の6×Hisタグに対する抗ラビット6×His抗体(Roland社製)を用いたウエスタンブロットにより分析した。見かけ分子質量80,000のタンパク質バンドが、各抗体に抗体反応性を示した。また得られたタンパク質をアミノ分析供した結果、該生成物が、グリシン(43.7%),アラニン(12.3%),セリン(5.3%),プロリン(11.7%)及びバリン(21.2%)に富むものであった。また、該生成物はリシンを1.5%含んでいた。下記の表1は、精製された生成物の組成と、合成遺伝子配列から推測された予測理論組成との相関関係を示す。
したがって、SELP8K(A−1)がGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y)であり、(Y)中のVのうち1個がKに置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)(Y’11)を13個及びGAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(9)のポリペプチド鎖(S1−1)を12個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、GAGAGS配列(1)が2個連続した(GAGAGS)2配列(11)のポリペプチド鎖(S1−2)が化学結合した配列(13)の人工タンパク質であることを確認した。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「SELP0KをコードしたプラスミドpPT0364」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約82kDaの配列(12)の人工タンパク質(A−2)を得た。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「SLP4.1をコードしたpSY1398−1」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約93kDaの配列(14)の人工タンパク質(A−3)を得た。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「ELP1.1をコードしたプラスミドpPT0102−1」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約220kDaの配列(17)の人工タンパク質(A−4)を得た。
製造例1において、「SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345」に変えて、「ELP1をコードしたプラスミドpPT0102」を用いる以外は同様にして、皮膚弾性向上材である分子質量が約65kDaの配列(16)の人工タンパク質(A−5)を得た。
コラーゲン(井原水産社製)を比較用の皮膚弾性向上材として用いた。
人工タンパク質(A−1)〜(A−5)及びコラーゲンを、それぞれ水に溶解して20重量%の濃度にした皮膚弾性向上用タンパク質溶液(L−1)〜(L−6)を作成した。
モルモット(Hartley系)7週齢の背部を剃毛し、皮膚弾性向上用タンパク質溶液(L−1)〜(L−6)100μLをそれぞれ皮内投与した。3日後、14日後、28日後、56日後に背部を剃毛した後、皮膚弾性を測定した。皮膚弾性はキュートメーターSEM575(インテグラル社製)を用いて測定した。投与前の皮膚弾性を100%とした相対値で表し、結果を表2にまとめた。
一方、実施例1〜5の本発明の皮膚弾性向上材を投与したモルモットの皮膚弾性は100%以上であり、投与前の皮膚弾性よりも向上していることが分かる。したがって、皮膚弾性向上効果が高いことがわかる。また、実施例1〜4においては、56日後も112%以上であり、長期的に皮膚弾性を向上できることがわかる。
Claims (7)
- 人工タンパク質(A)からなる皮膚弾性向上材であって、
(A)が、下記アミノ酸配列(X)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、
(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個であり、
(A)の疎水性度が0.2〜1.5である皮膚弾性向上材。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)又はGVGVP配列(3)。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜5%がリシン及び/又はアルギニンで置換され、置換したリシン及びアルギニンの合計個数が1〜100個であるポリペプチド鎖。 - 人工タンパク質(A)が、GAGAGS配列(1)が2〜50個連続したポリペプチド鎖(S)を有する請求項1に記載の皮膚弾性向上材。
- 人工タンパク質(A)1分子中の、GAGAGS配列(1)の個数とアミノ酸配列(X)及び下記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比率{配列(1):アミノ酸配列(X)及び(X’)の合計}が、1:2〜1:20である請求項2に記載の皮膚弾性向上材。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜5個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換され、アミノ酸の置換の割合[(リシン及び/又はアルギニンで置換された個数)/{(X’)のアミノ酸の個数}×100%]が20%〜80%であるアミノ酸配列。 - 人工タンパク質(A)のSDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法による分子量が15〜200kDaである請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。
- 人工タンパク質(A)が、アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)であるポリペプチド鎖(Y1)中の1個のアミノ酸がリシンで置換されたポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A1)である請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。
- 人工タンパク質(A)が、(GAGAGS)4配列(9)であるポリペプチド鎖(S1−1)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(10)であるポリペプチド鎖(Y’1)を有する人工タンパク質(A11)である請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚弾性向上材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚弾性向上材及び水を含有するタンパク質水溶液であって、タンパク質水溶液中の皮膚弾性向上材の含有量が5〜30重量%、水の含有量が70〜95重量%である皮膚弾性向上用タンパク質水溶液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012123984A JP6050609B2 (ja) | 2012-05-31 | 2012-05-31 | 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012123984A JP6050609B2 (ja) | 2012-05-31 | 2012-05-31 | 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013249272A true JP2013249272A (ja) | 2013-12-12 |
JP6050609B2 JP6050609B2 (ja) | 2016-12-21 |
Family
ID=49848319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012123984A Active JP6050609B2 (ja) | 2012-05-31 | 2012-05-31 | 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6050609B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014062048A (ja) * | 2012-09-19 | 2014-04-10 | Sanyo Chem Ind Ltd | コラーゲン産生促進剤、コラーゲン産生促進用培養液、抗老化剤、コラーゲン産生促進用ゲル、及び、コラーゲン産生用ゲルの製造方法 |
JP2015177968A (ja) * | 2014-02-27 | 2015-10-08 | 三洋化成工業株式会社 | 癒着防止剤及び癒着防止剤組成物 |
WO2018029762A1 (ja) * | 2016-08-08 | 2018-02-15 | 国立大学法人 九州工業大学 | 経皮吸収素材、並びに、経皮吸収式化粧品、及び、経皮吸収式薬剤 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01501755A (ja) * | 1986-11-04 | 1989-06-22 | シントロ コーポレイション | 合成dnaの構成および大ポリペプチドの合成におけるその使用 |
JPH11502537A (ja) * | 1995-05-05 | 1999-03-02 | プロテイン ポリマー テクノロジーズ インコーポレイテッド | 合成架橋を用いる組織接着剤 |
-
2012
- 2012-05-31 JP JP2012123984A patent/JP6050609B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01501755A (ja) * | 1986-11-04 | 1989-06-22 | シントロ コーポレイション | 合成dnaの構成および大ポリペプチドの合成におけるその使用 |
JPH11502537A (ja) * | 1995-05-05 | 1999-03-02 | プロテイン ポリマー テクノロジーズ インコーポレイテッド | 合成架橋を用いる組織接着剤 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
JPN6015052808; KUMAR, Manoj: 'Silk-elastin protein polymer: A multifunctional active ingredient for skin care' Journal of Cosmetic Science Vol.56, No.5, 2005, p.352-353 * |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014062048A (ja) * | 2012-09-19 | 2014-04-10 | Sanyo Chem Ind Ltd | コラーゲン産生促進剤、コラーゲン産生促進用培養液、抗老化剤、コラーゲン産生促進用ゲル、及び、コラーゲン産生用ゲルの製造方法 |
JP2015177968A (ja) * | 2014-02-27 | 2015-10-08 | 三洋化成工業株式会社 | 癒着防止剤及び癒着防止剤組成物 |
WO2018029762A1 (ja) * | 2016-08-08 | 2018-02-15 | 国立大学法人 九州工業大学 | 経皮吸収素材、並びに、経皮吸収式化粧品、及び、経皮吸収式薬剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6050609B2 (ja) | 2016-12-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5979673B2 (ja) | タンパク質水溶液 | |
MX338914B (es) | Polipeptidos biosinteticos de espira aleatoria de prolina/alanina y sus usos. | |
JP4423542B2 (ja) | 抗菌性ポリペプチド及びその利用 | |
Ferreira Cespedes et al. | Mechanism of action and relationship between structure and biological activity of Ctx-Ha: a new ceratotoxin-like peptide from Hypsiboas albopunctatus | |
EP2784081B1 (en) | Development of novel macromolecule transduction domain with improved cell permeability and method for using same | |
JP6050609B2 (ja) | 皮膚弾性向上材及び皮膚弾性向上用タンパク質溶液 | |
CN105683216B (zh) | 人源egf结构域蛋白及其应用 | |
CN105793419A (zh) | 修饰的kz144内溶素序列 | |
JP6383721B2 (ja) | 創傷治癒剤 | |
JP6496484B2 (ja) | 創傷治癒剤 | |
JP2013208425A (ja) | 組織再生用ゲル、組織再生用タンパク質溶液及び組織再生用ゲルの製造方法 | |
JP2018154578A (ja) | 抗炎症剤 | |
JP6730834B2 (ja) | タンパク質組成物 | |
JP6253875B2 (ja) | コラーゲン産生促進剤、コラーゲン産生促進用培養液、抗老化剤、コラーゲン産生促進用ゲル、及び、コラーゲン産生用ゲルの製造方法 | |
JP6334174B2 (ja) | 創傷治癒剤 | |
JPWO2019239751A1 (ja) | 細胞移植用組成物及び細胞移植方法 | |
JP5955674B2 (ja) | 褥瘡予防材及びこれを含む褥瘡予防用タンパク質水溶液 | |
JP6326287B2 (ja) | 創傷治癒剤 | |
JP2024053336A (ja) | 筋収縮能回復促進材料 | |
JP2022117483A (ja) | タンパク質のゲル化物の製造方法 | |
US20200002743A1 (en) | Control self-cleaving protein activity and application thereof | |
WO2024050567A2 (en) | Compositions comprising cxcl10-derived peptides and methods of use thereof | |
EP3862030A1 (en) | Meniscus regeneration material | |
JP2019073469A (ja) | 細胞賦活剤 | |
JP2013203682A (ja) | ヒトbZIPJUNのロイシンジッパー領域と結合するペプチド |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150305 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160112 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160809 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160929 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20161122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161125 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6050609 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |