JP5955674B2 - 褥瘡予防材及びこれを含む褥瘡予防用タンパク質水溶液 - Google Patents
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Description
このような現状から、装具面での褥瘡発症の予防を図るために、幾つかの提案がなされている。一般的に、寝具用のマット素材として利用されている発泡ポリウレタン等にあっては、その硬度の硬いものは部分的に体位の圧力が集中しがちで、褥瘡の発症を誘発する傾向がある。一方、柔らかい場合には圧力分散の効果があって、仙骨部位等への圧力集中は排除できるものの、患者の体位が沈み込むとともに屈曲してしまい、他の障害を誘発する等、いずれも二律背反的な技術的不完全さを有している(例えば、特許文献1及び2)。
また、皮膚弾性の向上により予防する方法がある。皮膚には、褥瘡になりやすい褥瘡後発部位と、褥瘡になりにくい褥瘡非好発部位がある。褥瘡好発部位(仙骨部、踵骨)は、弾性繊維(エラスチンやコラーゲン)が少なく、加齢とともに弾性繊維が減少し、皮膚弾性が低下する部位である。褥瘡非好発部位(腹部)は、好発部位よりも弾性繊維が多く、皮膚弾性が高いため、褥瘡になりにくいとされている(例えば、非特許文献1)。
そこで、褥瘡好発部位の皮膚弾性を向上させるために、特許文献3のような光生体刺激を用いた皮膚弾性の向上が用いられている。しかしながら、この方法は、褥瘡非好発部位の皮膚弾性と同程度にまで皮膚弾性を向上させることができるものではなく、褥瘡予防にはあまり効果がない。
また、弾性繊維であるエラスチンペプチドを経口投与して皮膚弾性を向上させる方法もある(非特許文献2)が、持続的な皮膚弾性の向上には繋がらない。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜2個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列。
また、本発明の褥瘡予防用タンパク質水溶液は、皮膚に注入することにより、皮膚弾性を向上させることができ、皮膚弾性が向上した状態を長期的に維持することができる。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜2個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列。
人工タンパク質(A)の全アミノ酸中のGAGAGS配列(1)が占める割合は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求める。
<GAGAGS配列(1)が占める割合>
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、人工タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、人工タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてGAGAGS配列(1)の占める割合を算出する。
GAGAGS配列(1)の占める割合(%)=[{GAGAGS配列(1)の数×6}/{(A)の全アミノ酸の数}×100
ポリペプチド鎖(S)において、GAGAGS配列(1)が連続する個数は、皮膚弾性を向上する及び長期的に皮膚弾性を維持する観点から、2〜100個が好ましく、さらに好ましくは2〜50個であり、特に好ましくは2〜10個である。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)、GVGVP配列(3)及びGAHGPAGPK配列(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜2個のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’)は、細胞親和性及び皮膚弾性を向上する観点から、GKGVP配列(7)、GKGKP配列(8)、及びGRGRP配列(10)からなる群より選ばれる1種以上の配列が好ましく、さらに好ましくはGKGVP配列(7)及び/又はGKGKP配列(8)である。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜20%がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖。
人工タンパク質(A)1分子中に、ポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、(VPGVG)b配列、(GVGVP)c配列及び(GAHGPAGPK)d配列からなる群から選ばれる1種を有してもよく、2種以上を有してもいい。
また、人工タンパク質(A)中にアミノ酸配列(X)が同種類のポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、上記(X)の連続する個数は、(Y)ごとに同一でも異なっていてもよい。すなわち、(X)の連続する個数b〜dが同じポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよく、b〜dが異なるポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよい。
ポリペプチド鎖(Y)としては、細胞親和性の観点から、(VPGVG)b配列及び/又は(GVGVP)c配列が好ましい。
ポリペプチド鎖(Y’)において、(Y)中の全アミノ酸のうちリシン及び/又はアルギニンで置換された割合は、人工タンパク質(A)の水溶性、細胞親和性及び皮膚弾性を向上する観点から、0.5〜10%が好ましく、さらに好ましくは1〜5%である。
(A)中の(Z)の含有量(重量%)は、(A)の分子量を基準として、細胞親和性の観点から、0〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜10重量%である。
(A)中の(T)の含有量(重量%)は、(A)の分子量を基準として、皮膚弾性を向上する及び長期的に皮膚弾性を維持する観点から、0〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜5重量%である。
以下に、各精製タグ(i)とそのタグを認識結合するリガンド(ii)との組み合わせの一例を示す。
(i−1)グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS) (ii−1)グルタチオン
(i−2)マルトース結合タンパク質(MBP) (ii−2)アミロース
(i−3)HQタグ (ii−3)ニッケル
(i−4)Mycタグ (ii−4)抗Myc抗体
(i−5)HAタグ (ii−5)抗HA抗体
(i−6)FLAGタグ (ii−6)抗FLAG抗体
(i−7)6×Hisタグ (ii−7)ニッケル又はコバルト
前記精製タグ配列の導入方法としては、発現用ベクターにおける人工タンパク質(A)をコードする核酸の5’又は3’末端に精製タグをコードする核酸を挿入する方法や市販の精製タグ導入用ベクターを使用する方法等が挙げられる。
また、人工タンパク質(A)1分子中のGAGAGS配列(1)の含有量(重量%)は、細胞親和性、皮膚弾性を向上及び長期的に維持する観点から、(A)の分子量を基準として、5〜65重量%が好ましく、さらに好ましくは7〜55重量%である。
<GAGAGS配列(1)の含有量と、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量の測定法>
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、人工タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、人工タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてGAGAGS配列(1)、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量を算出する。
GAGAGS配列(1)の含有量(重量%)=[{GAGAGS配列(1)の分子量}×{GAGAGS配列(1)の数}]/{(A)の分子量}×100
アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計含有量(重量%)=[{アミノ酸配列(X)の分子量}×{アミノ酸配列(X)の数}+{アミノ酸配列(X’)の分子量}×{アミノ酸配列(X’)の数}]/{(A)の分子量}×100
また、ポリペプチド鎖(Y)及び/又は(Y’)並びにポリペプチド鎖(S)を含む場合、ポリペプチド鎖(S)を構成するGAGAGS配列(1)の数と、ポリペプチド鎖(Y)及び(Y’)を構成するアミノ酸配列(X)及び(X’)の数との比[配列(1):{(X)及び(X’)}]は、皮膚弾性の向上及び長期的に皮膚弾性を維持する観点から、1:1〜1:12が好ましく、さらに好ましくは1:1〜1:4である。
(A1)アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(3)である人工タンパク質
(1)GVGVP配列(3)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y1)中のアミノ酸がK(リシン)で置換されたポリペプチド鎖(Y’1)とGAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有する人工タンパク質
(1−1)GVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y11)の1個のアミノ酸がKで置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)(Y’11)と、GAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(S1)を有する人工タンパク質
具体的には、下記人工タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)4配列(5)を12個及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、(GAGAGS)2配列(14)が化学結合した分子量が約80kDaの配列(28)の人工タンパク質(SELP8Kポリマー)
(ii)(GAGAGS)2配列(14)及び(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)をそれぞれ17個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子量が約82kDaの配列(15)の人工タンパク質(SELP0Kポリマー)
具体的には、下記人工タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)8配列(16)及び(GVGVP)8配列(17)をそれぞれ12個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子量が約90kDaの配列(18)の人工タンパク質(SELP3ポリマー)
(ii)(GAGAGS)8配列(16)及び(GVGVP)40配列(19)をそれぞれ5個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子量が約110kDaの配列(20)の人工タンパク質(SELP6.1ポリマー)
(1)VPGVG配列(2)が2〜200個連続したポリペプチド鎖(Y2)とGAGAGS配列(1)を有する人工タンパク質
(i)GAGAGS配列(1)、(VPGVG)4配列(24)及び(VPGVG)8配列(25)をそれぞれ40個有し、これらが配列(24)、配列(1)、配列(25)の順に結合したブロックが40個化学結合してなる構造を有する分子量約200kDaの配列(26)の人工タンパク質(ELP1.1ポリマー)
褥瘡予防用タンパク質水溶液中の水の含有量(重量%)は、皮膚弾性の向上及び皮膚への注入しやすさの観点から、70〜99.99重量%が好ましく、さらに好ましくは83.4〜99.9重量%、次にさらに好ましくは83.7〜99.4、特に好ましくは85〜99.3である。
褥瘡予防用タンパク質水溶液中の無機塩の含有量(重量%)は、人間の体液と同等にするというの観点から、褥瘡予防用タンパク質水溶液の重量を基準として0.5〜1.3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1重量%、特に好ましくは0.85〜0.95重量%である。
リン酸(塩)としては、リン酸及びリン酸塩が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。
褥瘡予防用タンパク質水溶液中のリン酸(塩)の含有量(重量%)は、皮膚弾性を向上する観点から、褥瘡予防用タンパク質水溶液の重量を基準として0.10〜0.30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.28重量%、特に好ましくは0.14〜0.26重量%である。
(1)本発明の褥瘡予防材及び水を4〜25℃で混合し、褥瘡予防用タンパク質水溶液(B)とする。(B)中には必要により塩及び/又はリン酸(塩)を含んでもいい。
注入方法としては、皮膚内に注入できれば特に制限はないが、褥瘡予防の観点から、注射針等で皮膚内に確実に注入することが好ましい。
[SELP8Kポリマーの生産]
特許第4088341号公報の実施例記載の方法に準じて、SELP8KをコードしたプラスミドpPT0345を作製した。
作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションし、SELP8K生産株を得た。以下、このSELP8K生産株を用いて、配列(28)の人工タンパク質(A)であるSELP8Kポリマーを生産する方法を示す。
30℃で生育させたSELP8K生産株の一夜培養液を使用して、250mlフラスコ中のLB培地50mlに接種した。カナマイシンを最終濃度50μg/mlとなるように加え、該培養液を30℃で攪拌しながら(200rpm)インキュベートした。培養液がOD600=0.8(吸光度計UV1700:島津製作所製を使用)となった時に、40mlを42℃に前もって温めたフラスコに移し、同じ温度で約2時間インキュベートした。インキュベートした培養液を氷上で冷却し、培養液のOD600を測定した。大腸菌を遠心分離で集めた。集菌した大腸菌からタンパク質ポリマーを取り出すために、超音波破砕(4℃、30秒×10回)をして溶菌した。
この大腸菌により産生されたタンパク質ポリマーを、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した後、ポリフッ化ビニリデン膜にトランスファーした。その後、一次抗体に抗ラビットSELP8K抗体、2次抗体に抗ラビットIgG HRP標識抗体(GEヘルスケア社製)を用いたウエスタンブロット分析を行なった。該生成物の見かけ分子質量は約80kDaであった。よってSELP8K生産株は、見かけ分子質量80kDaの抗ラビットSELP8K抗体反応性を有するSELP8Kポリマーを生成したことが分かった。
上記で得たSELP8Kポリマーを、菌体溶解、遠心分離による不溶性細片の除去、及びアフィニティークロマトグラフィーにより大腸菌バイオマスから精製した。このようにして、分子質量が約80kDaの人工タンパク質(A)であるSELP8Kポリマー(A1−1)を得た。(A1−1)を褥瘡予防材として用いた。
得られたSELP8Kポリマー(A1−1)を下記の手順で同定した。
抗ラビットSELP8K抗体及びC末端配列の6×Hisタグに対する抗ラビット6×His抗体(Roland社製)を用いたウエスタンブロットにより分析した。見かけ分子質量80,000のタンパク質バンドが、各抗体に抗体反応性を示した。また得られたタンパク質をアミノ分析供した結果、該生成物が、グリシン(43.7重量%),アラニン(12.3重量%),セリン(5.3重量%),プロリン(11.7重量%)及びバリン(21.2重量%)に富むものであった。また、該生成物はリジンを1.5重量%含んでいた。下記の表1は、精製された生成物の組成と、合成遺伝子配列から推測された予測理論組成との相関関係を示す。
したがって、SELP8Kポリマー(A1−1)はGVGVP配列(3)が8個連続したポリペプチド鎖(Y)においてVのうち1個がKに置換された(GVGVP)4GKGVP(GVGVP)3配列(6)のポリペプチド鎖(Y’11)を13個及びGAGAGS配列(1)が4個連続した(GAGAGS)4配列(9)のポリペプチド鎖(Y11)を12個有し、これらが交互に化学結合してなる配列(28)の人工タンパク質であることを確認した。
褥瘡予防材であるSELP8Kポリマー(A1−1)100mgを900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS、インビトロジェン社、リン酸濃度:1.68g/L、pH7.8)に溶解し、SELP8Kポリマー(A1−1)の10重量%水溶液(B−1)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「SELP8Kポリマー(A1−1)150mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「850μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、SELP8Kポリマー(A1−1)の15重量%水溶液(B−2)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「SELP8Kポリマー(A1−1)10mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「990μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、SELP8Kポリマー(A1−1)の1重量%水溶液(B−3)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「SELP8Kポリマー(A1−1)1mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「999μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、SELP8Kポリマー(A1−1)の0.1重量%水溶液(B−4)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「SELP8Kポリマー(A1−1)250mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「750μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、SELP8Kポリマー(A1−1)の25重量%水溶液(B−5)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「SELP8Kポリマー(A1−1)0.1mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「999.9μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、SELP8Kポリマー(A1−1)の0.01重量%水溶液(B−6)を作製した。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP0Kをコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(15)の人工タンパク質(A)であるSELP0Kポリマー(A1−2)を得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「SELP0Kポリマー(A1−2)」を用いる以外は同様にして、SELP0Kポリマー(A1−2)の10重量%水溶液(B−7)を作製した。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP3をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(18)の人工タンパク質(A)であるSELP3ポリマー(A1−4)を得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「SELP3ポリマー(A1−4)」を用いる以外は同様にして、SELP3ポリマー(A1−4)の10重量%水溶液(B−8)を作製した。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「ELP1.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(26)のELP1.1ポリマーを得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「ELP1.1ポリマー」を用いる以外は同様にして、ELP1.1ポリマーの10重量%水溶液(B−9)を作製した。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP6.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(20)のSELP6.1ポリマーを得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「SELP6.1ポリマー」を用いる以外は同様にして、SELP6.1ポリマーの10重量%水溶液(B−10)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に変えて「エラスチンペプチド(日本バイオコン株式会社、品名:タラエラスチン)」を用いる以外は同様にして、エラスチンペプチドの10重量%水溶液(B’−1)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「エラスチンペプチド10mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「990μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、エラスチンペプチドの1重量%水溶液(B’−2)を作製した。
「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に変えて「コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製、品名:コラーゲンペプチド)」を用いる以外は同様にして、コラーゲンペプチドの10重量%水溶液(B’−3)を作製した。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)100mg」に変えて「コラーゲンペプチド10mg」とし、「900μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」に変えて「990μLの4℃のリン酸緩衝液(PBS)」とする以外は同様にして、コラーゲンペプチドの1重量%水溶液(B’−4)を作製した。
リン酸緩衝液(PBS)を水溶液(B’−5)とした。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP3.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(27)のSELP3.1ポリマーを得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「SELP3.1ポリマー」を用いる以外は同様にして、(GAGAGS)4配列(9)及び(GVGVP)2配列(22)をそれぞれ15個有する分子量が40kDaの配列(27)のSELP3.1ポリマーの10重量%水溶液(B’−6)を作製した。
実施例1の「SELP8Kポリマーの生産」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SLP4.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(23)のSLP4.1ポリマーを得た。
実施例1の「褥瘡予防用タンパク質水溶液の作製」において、「SELP8Kポリマー(A1−1)」に代えて「SLP4.1ポリマー」を用いる以外は同様にして、(GAGAGS)6配列(21)及び(GVGVP)2配列(22)をそれぞれ29個有する分子量が120kDaの配列(23)のSLP4.1ポリマーの10重量%水溶液(B’−7)を作製した。
健常モルモット♀ std Hartley(日本エスエルシー社製)7週齢を麻酔下で除毛し、実施例1で得られたSELP8Kポリマー(A1−1)の10重量%水溶液(B−1)を背部皮膚内(10×10mm)に50μl注入した。注入部にガーゼをのせ、ガーゼをナイロン糸で注入部周囲と固定した。
その後、10日、30日後にキュートメーター(インテグラル社製)を用いて、注入部の皮膚弾性ならびに皮膚柔軟性を測定した。
評価は、キュートメーターで測定した皮膚弾性及び皮膚柔軟性の実測値を下記式にあてはめ、褥瘡非好発部位である腹部の皮膚弾性及び皮膚柔軟性を100%とした場合に、注入部の皮膚が腹部の皮膚弾性及び皮膚柔軟性にどれだけ近似しているかで行った。結果を表2に示す。
注入部の皮膚弾性(%)=(注入部の皮膚弾性実測値/腹部の皮膚弾性実測値)×100
注入部の皮膚柔軟性(%)=(注入部の皮膚柔軟性実測値/腹部の皮膚柔軟性実測値)×100
また、褥瘡予防材の水溶液中の濃度が同濃度である実施例1及び7〜10と、GAGAGS配列(1)が占める割合が60%よりも多い比較例6及び7との比較から、GAGAGS配列(1)が占める割合が60%以下であることで、皮膚弾性を向上する効果が極めて高いことが分かる。さらに、皮膚柔軟性も向上でき、褥瘡予防材として優れることが分かる。
以上のことから、本願発明の褥瘡予防材は、皮膚弾性を向上させることができ、皮膚弾性が向上した状態を長期的に維持することができることがわかる。さらに、本発明の褥瘡予防材は、皮膚弾性だけでなく、皮膚柔軟性も向上させることができることがわかる。
Claims (7)
- GAGAGS配列(1)と、下記アミノ酸配列(X)及び/又は下記アミノ酸配列(X’)とを有する人工タンパク質(A)からなる褥瘡予防材であって、
(A)の全アミノ酸中のGAGAGS配列(1)が占める割合[{(A)中のGAGAG
S配列(1)の数×6}/(A)の全アミノ酸の数×100]が5〜60%である褥瘡予
防材であって、
人工タンパク質(A)が、(GAGAGS) 4 配列(5)及び(GVGVP) 4 GKGVP(GVGVP) 3 配列(6)、(GAGAGS) 2 配列(14)及び(GVGVP) 4 GKGVP(GVGVP) 3 配列(6)、(GAGAGS) 8 配列(16)及び(GVGVP) 8 配列(17)、GAGAGS配列(1)及び(VPGVG) 4 配列(24)及び(VPGVG) 8 配列(25)又は(GAGAGS) 8 配列(16)及び(GVGVP) 40 配列(19)を有する人工タンパク質である褥瘡予防材。
アミノ酸配列(X):VPGVG配列(2)及びGVGVP配列(3) からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸配列。
アミノ酸配列(X’):アミノ酸配列(X)の1〜2個のアミノ酸がリシン及び/又はア
ルギニンで置換されたアミノ酸配列。 - GAGAGS配列(1)の個数とアミノ酸配列(X)及び(X’)の合計個数との比率{
配列(1):アミノ酸配列(X)及び(X’)の合計}が1:1〜1:12である請求項
1に記載の褥瘡予防材。 - 人工タンパク質(A)1分子中の、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計
含有量が、(A)の分子量を基準として35〜95重量%であり、GAGAGS配列(1
)の含有量が(A)の分子量を基準として5〜65重量%である請求項1又は2に記載の
褥瘡予防材。 - 人工タンパク質(A)が、アミノ酸配列(X)の1種が2〜200個連続したポリペプチ
ド鎖(Y)及び/又は下記ポリペプチド鎖(Y’)を有し、
(A)中の(Y)と(Y’)との合計個数が1〜100個である請求項1〜3のいずれか
に記載の褥瘡予防材。
ポリペプチド鎖(Y’):(Y)の全アミノ酸の0.1〜20%がリシン及び/又はアル
ギニンで置換されたポリペプチド鎖。 - 人工タンパク質(A)が、GAGAGS配列(1)が2〜200個連続したポリペプチド
鎖(S)を有する請求項1〜4のいずれかに記載の褥瘡予防材。 - タンパク質ポリマー(A)のSDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
)法による分子量が15〜200kDaである請求項1〜5のいずれかに記載の褥瘡予防
材。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の褥瘡予防材及び水を含む褥瘡予防用タンパク質水溶液で
あって、褥瘡予防用タンパク質水溶液の重量を基準として、褥瘡予防材が0.01〜30
重量%、水が70〜99.99重量%である褥瘡予防用タンパク質水溶液。
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