JP2022117483A - タンパク質のゲル化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、タンパク質のゲル化物を短時間で製造する方法を提供することにある。【解決手段】工程(1)を経てタンパク質(A)のゲル化物を得る前記ゲル化物の製造方法であって、前記タンパク質(A)が、VPGVG配列(1)、GVGVP配列(4)、GPP配列、GAP配列及びGAHGPAGPK配列(3)のうち少なくとも1つのアミノ酸配列(X)が2~200個連続したポリペプチド鎖を有する等、特定のアミノ酸配列を有しており、前記工程(1)において、前記タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0~80℃とする工程である製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質のゲル化物の製造方法に関する。
創傷部の組織を再生する方法として、特定のタンパク質を、患部にてゲル化(水分を含んだ状態で流動性を失った状態に変化)させ、組織再生用材料として用いる方法が知られている。(特許文献1)
しかしながら、特許文献1に記載の方法だとゲル化に時間がかかるため、簡便な方法で、短時間でゲル化させる方法が求められていた。
国際公開第2012/111438号
本発明の課題は、タンパク質のゲル化物を短時間で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、工程(1)を経てタンパク質(A)のゲル化物を得る前記ゲル化物の製造方法であって、
前記タンパク質(A)が、ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有し、
前記タンパク質(A)中の前記ポリペプチド鎖(Y)と前記ポリペプチド鎖(Y’)との合計個数が1~100個であり、
前記ポリペプチド鎖(Y)が、配列番号1に示されるアミノ酸配列であるVPGVG配列(1)、配列番号4に示されるアミノ酸配列であるGVGVP配列(4)、GPP配列、GAP配列及び配列番号3に示されるアミノ酸配列であるGAHGPAGPK配列(3)のうち少なくとも1つのアミノ酸配列(X)が2~200個連続したポリペプチド鎖であり、
前記ポリペプチド鎖(Y’)が、前記ポリペプチド鎖(Y)中の5%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であり、前記リシン及び前記アルギニンの合計個数が1~100個であり、
前記タンパク質(A)に含まれる前記アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数が、前記タンパク質(A)の全アミノ酸数を基準として20~90%であり、
前記アミノ酸配列(X’)が、前記アミノ酸配列(X)中の60%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列であり、
前記タンパク質(A)が、配列番号2に示されるアミノ酸配列であるGAGAGS配列(2)を有し、
前記タンパク質(A)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)が、1:0.5~1:20であり、
前記工程(1)が、前記タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0~80℃とする工程である製造方法である。
本発明の製造方法を用いることで、短時間でタンパク質のゲル化物を製造することができる。
本発明の製造方法は、工程(1)を経てタンパク質(A)のゲル化物を得る前記ゲル化物の製造方法であり、前記工程(1)は、前記タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0~80℃とする工程である。
前記タンパク質(A)は、ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有し、
前記タンパク質(A)中の前記ポリペプチド鎖(Y)と前記ポリペプチド鎖(Y’)との合計個数が1~100個である。
前記ポリペプチド鎖(Y)は、配列番号1に示されるアミノ酸配列であるVPGVG配列(1)、配列番号4に示されるアミノ酸配列であるGVGVP配列(4)、GPP配列、GAP配列及び配列番号3に示されるアミノ酸配列であるGAHGPAGPK配列(3)のうち少なくとも1つのアミノ酸配列(X)が2~200個連続したポリペプチド鎖である。
前記ポリペプチド鎖(Y’)は、前記ポリペプチド鎖(Y)中の5%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であり、前記リシン及び前記アルギニンの合計個数が1~100個である。
前記タンパク質(A)に含まれる前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数が前記タンパク質(A)の全アミノ酸数を基準として20~90%であり、前記アミノ酸配列(X’)は、前記アミノ酸配列(X)中の60%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列である。
本発明において、タンパク質のゲル化とは、タンパク質が水分を含んだ状態で、流動性を失った状態に変化することを指すものとする。
本発明の製造方法におけるタンパク質(A)のゲル化は、以下のメカニズムで進行しているものと推測される。
タンパク質(A)は水素結合により凝集しているが、適切な温度にすることで、水素結合が一旦開裂し、親水性が高いポリペプチド鎖(Y)及びポリペプチド鎖(Y’)が水を構造内部に抱き込んで、再度水素結合を形成することで、ゲル化が進行するものと考えられる。
前記のタンパク質(A)は、上述の通り、ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有する。そのため、タンパク質(A)のゲル化物は、優れた生体親和性を有し、かつ、本発明におけるゲル化物を適用する患部の伸縮に対応可能な適度な弾性を有する。
ポリペプチド鎖(Y)を構成するアミノ酸配列(X)の種類は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
アミノ酸配列(X)としては、生体適合性及びゲル化効率の観点から、VPGVG配列(1)及びGVGVP配列(4)が好ましい。
ポリペプチド鎖(Y)としては、具体的には、(VPGVG)配列、(GVGVP)配列及び(GAHGPAGPK)配列等が挙げられる。なお、b~dは、それぞれ、アミノ酸配列(X)の連続する個数であり、2~200の整数である。
タンパク質(A)1分子中に、ポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、ポリペプチド鎖(Y)は同一でも異なっていても良く、(VPGVG)配列、(GVGVP)配列及び(GAHGPAGPK)配列からなる群から選ばれる1種を有してもよく、2種以上を有しても良い。
また、タンパク質(A)中にポリペプチド鎖(Y)を複数有する場合は、アミノ酸配列(X)の連続する個数は、ポリペプチド鎖(Y)ごとに同一でも異なっていてもよい。すなわち、アミノ酸配列(X)の連続する個数b~dが同じポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよく、b~dが異なるポリペプチド鎖(Y)を複数有してもよい。
ポリペプチド鎖(Y)としては、生体適合性及びゲル化効率の観点から、(VPGVG)配列及び(GVGVP)配列が好ましい。
ポリペプチド鎖(Y)は、アミノ酸配列(X)が2~200個連続した(上記b~dが2~200)ポリペプチド鎖であるが、水溶性、生体適合性、ゲル化効率の観点から、アミノ酸配列(X)が連続する個数は2~100個(上記b~dが2~100)が好ましく、更に好ましくは2~50個(上記b~dが2~50)、特に好ましくは2~40個(b~dが2~40)である。
ポリペプチド鎖(Y’)は、ポリペプチド鎖(Y)中の5%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であり、置換されたリシン及びアルギニンの合計個数が1~100個である。
ポリペプチド鎖(Y’)であるかどうかは、タンパク質(A)の配列中の全てのリシン(K)及びアルギニン(R)を、他のアミノ酸[グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、プロリン(P)又はヒスチジン(H)]に置きかえたときに、ポリペプチド鎖(Y)となるかによって判断する。
ポリペプチド鎖(Y’)において、置換されたリシン及び/又はアルギニンの割合は、水溶性、生体適合性、ゲル化効率の観点から、0.06%~5%であることが好ましく、0.5~5%が更に好ましく、特に好ましくは1~5%である。
また、ポリペプチド鎖(Y’)は、アミノ酸配列(X)中の60%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列(X’)を含んでいてもよい。
更に、ポリペプチド鎖(Y’)を構成するアミノ酸配列(X)及び/又はアミノ酸配列(X’)の種類は、それぞれ1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
アミノ酸配列(X’)として、具体的には、配列番号7に示されるアミノ酸配列であるGKGVP配列(7)、配列番号8に示されるアミノ酸配列であるGKGKP配列(8)、配列番号9に示されるアミノ酸配列であるGKGRP配列(9)及び配列番号10に示されるアミノ酸配列であるGRGRP配列(10)等が挙げられる。
アミノ酸配列(X’)は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、GKGVP配列(7)、GKGKP配列(8)及びGRGRP配列(10)からなる群から選ばれる少なくとも1種の配列が好ましく、更に好ましくはGKGVP配列(7)及びGKGKP配列(8)である。
タンパク質(A)1分子中のポリペプチド鎖(Y)とポリペプチド鎖(Y’)との合計個数は、1~100個である。また、これらの合計個数は、1~80個であることが好ましく、1~60個であることがより好ましい。
タンパク質(A)1分子中のポリペプチド鎖(Y)とポリペプチド鎖(Y’)との合計個数が上記範囲であると、水への溶解性、生体適合性及びゲル化効率の観点で好ましい。
なお、タンパク質(A)中に、アミノ酸配列(X)の種類及び/又は連続する個数が異なるポリペプチド鎖(Y)を有している場合は、それぞれを1個として数え、ポリペプチド鎖(Y)の個数はその合計である。ポリペプチド鎖(Y’)についても同様である。
本発明のゲル化物の製造方法において、タンパク質(A)に含まれるアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数がタンパク質(A)の全アミノ酸数を基準として20~90%である。
上記の割合が、20%未満の場合は、後に詳述するゲル化性能が悪化し、90%を超えると水溶性が悪化する。
上記の割合は、水への溶解性、生体適合性及びゲル化効率の観点から、25~90%が好ましく、52.5~90%が好ましく、更に好ましくは55~90%である。
上記の割合は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求めることができる。
<タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対するアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数の割合の測定法>
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法から2種類以上を用いて、タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてタンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及び全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数の合計個数の割合を算出する。
タンパク質(A)を構成する全てのアミノ酸配列(X)中のアミノ酸数及びタンパク質(A)を構成する全てのアミノ酸配列(X’)中のアミノ酸数の合計数の割合(%)=[{アミノ酸配列(X)の数}×{アミノ酸配列(X)中のアミノ酸数}+{アミノ酸配列(X’)の数}×{アミノ酸(X’)中のアミノ酸数}]/{タンパク質(A)中の全アミノ酸数}×100
タンパク質(A)は、配列番号2に示されるアミノ酸配列であるGAGAGS配列(2)を有する。
タンパク質(A)が、GAGAGS配列(2)が連続したポリペプチド鎖(S)を有する場合、生体適合性及びゲル化効率の観点から、ポリペプチド鎖(S)は、GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)であることが好ましい。
ポリペプチド鎖(S1)において、GAGAGS配列(2)が連続する個数は、ゲル化物の生体親和性の観点から、2~50個が好ましく、2~40個が更に好ましく、特に好ましくは2~30個であり、最も好ましくは2~10個である。
タンパク質(A)において、タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(2)中のアミノ酸数の割合[{タンパク質(A)中のGAGAGS配列(2)の数×6}/{タンパク質(A)中の全アミノ酸数}×100]は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、5~70%が好ましく、更に好ましくは5~50%であり、特に好ましくは5~45%である。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(2)中のアミノ酸数の割合は、プロテインシークエンサーによって求めることができる。具体的には、下記の測定法により求める。
<タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(2)中のアミノ酸数の割合>
特定のアミノ酸残基で切断出来る切断方法の2種類以上を用いて、タンパク質(A)を30残基以下程度まで分解する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した後、プロテインシークエンサーにてアミノ酸配列を読み取る。得られたアミノ酸配列からペプチドマッピングして、タンパク質(A)の全配列を決定する。その後、以下記載の測定式にてタンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(2)中のアミノ酸数の割合を算出する。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全てのGAGAGS配列(2)中のアミノ酸数の割合(%)=[{GAGAGS配列(2)の数×6}/{タンパク質(A)中の全アミノ酸の数}]×100
タンパク質(A)が、ポリペプチド鎖(Y)、ポリペプチド鎖(Y’)、GAGAGS配列(2)及びポリペプチド鎖(S)からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチド鎖を合計2個以上有する場合は、これらの間に、介在アミノ酸配列(Z)を有していてもいい。介在アミノ酸配列(Z)は、アミノ酸が1個又は2個以上結合したペプチド配列であって、GAGAGS配列(2)、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)ではないペプチド配列である。介在アミノ酸配列(Z)を構成するアミノ酸の数は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、1~30個が好ましく、更に好ましくは1~15個、特に好ましくは1~10個である。介在アミノ酸配列(Z)として、具体的には、配列番号11に示されるアミノ酸配列であるVAAGY配列(11)、配列番号12に示されるアミノ酸配列であるGAAGY配列(12)及びLGP配列等が挙げられる。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する全ての介在アミノ酸配列(Z)中のアミノ酸数の割合[Σ{(介在アミノ酸配列(Z)中のアミノ酸の数)×(介在アミノ酸配列(Z)の数)}/{タンパク質(A)中の全アミノ酸数}×100]は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、0~25%が好ましく、更に好ましくは0~22.5%であり、特に好ましくは0.01~15%である。
タンパク質(A)は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、GAGAGS配列(2)、アミノ酸配列(X)、アミノ酸配列(X’)及び介在アミノ酸配列(Z)以外にも、末端に末端アミノ酸配列(T)を有していてもよい。なお、末端アミノ酸配列(T)は、タンパク質(A)の片末端にあってもよく、両末端にあってもよい。
なお、末端アミノ酸配列(T)には、後述の精製タグは含まれない。
タンパク質(A)の末端の構造としては、ポリペプチド鎖(Y)に末端アミノ酸配列(T)が結合した構造であることが好ましい。末端アミノ酸配列(T)は、アミノ酸が1個又は2個以上結合したペプチド配列であって、GAGAGS配列(2)、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)ではないペプチド配列である。末端アミノ酸配列(T)を構成するアミノ酸の数は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、1~100個が好ましく、更に好ましくは1~50個、特に好ましくは1~40個である。末端アミノ酸配列(T)として、具体的には、配列番号13に示されるアミノ酸配列であるMDPVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASDPM配列(13)等が挙げられる。
タンパク質(A)中の全アミノ酸数に対する末端アミノ酸配列(T)のアミノ酸数の割合は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、0~25%が好ましく、更に好ましくは0~22.5%であり、特に好ましくは0.01~15%である。
タンパク質(A)は、後述の通り、生物工学的手法により細菌を用いて製造することがある。このような場合、発現させたタンパク質(A)の精製又は検出を容易にするために、タンパク質(A)は末端アミノ酸配列(T)の他に、N又はC末端に特殊なアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド(以下これらを「精製タグ」と称する)を有してもいい。精製タグとしては、アフィニティー精製用のタグが利用される。そのような精製タグとしては、ポリヒスチジンからなる6×Hisタグ、V5タグ、Xpressタグ、AU1タグ、T7タグ、VSV-Gタグ、DDDDKタグ、Sタグ、CruzTag09TM、CruzTag22TM、CruzTag41TM、Glu-Gluタグ、Ha.11タグ及びKT3タグ等がある。
以下に、各精製タグ(i)とそのタグを認識結合するリガンド(ii)との組み合わせの一例を示す。
(i-1)グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GTS) (ii-1)グルタチオン
(i-2)マルトース結合タンパク質(MBP) (ii-2)アミロース
(i-3)HQタグ (ii-3)ニッケル
(i-4)Mycタグ (ii-4)抗Myc抗体
(i-5)HAタグ (ii-5)抗HA抗体
(i-6)FLAGタグ (ii-6)抗FLAG抗体
(i-7)6×Hisタグ (ii-7)ニッケル又はコバルト
前記精製タグ配列の導入方法としては、発現用ベクターにおけるタンパク質(A)をコードする核酸の5’又は3’末端に精製タグをコードする核酸を挿入する方法や市販の精製タグ導入用ベクターを使用する方法等が挙げられる。
タンパク質(A)において、タンパク質(A)を構成する全ての介在アミノ酸配列(Z)中のアミノ酸数、タンパク質(A)を構成する全ての末端アミノ酸配列(T)中のアミノ酸数及び精製タグのアミノ酸数の合計数の割合は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、タンパク質(A)中の全アミノ酸数を基準として、0~25%が好ましく、更に好ましくは0~22.5%であり、特に好ましくは0.01~15%である。
タンパク質(A)において、ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)、GAGAGS配列(2)並びにポリペプチド鎖(S)を含む場合、生体適合性及びゲル化効率の観点から、ポリペプチド鎖(Y)又はポリペプチド鎖(Y’)と、GAGAGS配列(2)又はポリペプチド鎖(S)とが交互に化学結合していることが好ましい。
GAGAGS配列(2)の個数と、アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、1:0.5~1:20である。
また、ゲル化効率を更に向上させる観点から、1:1.5~1:20が好ましく、1:2~1:20が更に好ましく、1:2~1:15が特に好ましい。
好ましいタンパク質(A)の一部を以下に例示する。
(A1):アミノ酸配列(X)がGVGVP配列(4)であるタンパク質
(A11):GVGVP配列(4)が2~200個連続したポリペプチド鎖(Y1)中の1個のアミノ酸がリシン(K)で置換されたポリペプチド鎖(Y’1)を有するタンパク質
(A111)ポリペプチド鎖(Y’1)とGAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質
(A111-1):GVGVP配列(4)が8個連続した配列番号14に示されるアミノ酸配列である(GVGVP)配列(14)のポリペプチド鎖(Y11)の1個のアミノ酸がリシン(K)で置換された配列番号6に示されるアミノ酸配列である(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)であるポリペプチド鎖(Y’11)と、GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質
(A111-1-1):GAGAGS配列(2)が4個連続した配列番号5に示されるアミノ酸配列である(GAGAGS)配列(5)であるポリペプチド鎖(S1-1)と(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)配列(5)を12個及び(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、配列番号15に示されるアミノ酸配列である(GAGAGS)配列(15)が化学結合した分子質量が約80kDaの配列番号16に示されるアミノ酸配列である配列(16)のタンパク質(SELP8K)
(ii)(GAGAGS)配列(5)及び(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)をそれぞれ4個有し、これらが交互に化学結合してなる分子質量が約30kDaの配列番号27に示されるアミノ酸配列である配列(27)のタンパク質(SELP8K4)
(A111-1-2):GAGAGS配列(2)が2個連続した配列番号15に示されるアミノ酸配列である(GAGAGS)配列(15)であるポリペプチド鎖(S1-2)と(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)配列(15)及び(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)をそれぞれ17個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約82kDaの配列番号17に示されるアミノ酸配列である配列(17)のタンパク質(SELP0K)
(A111-2):GVGVP配列(4)が12個連続したポリペプチド鎖の1個のアミノ酸がリシン(K)で置換された配列番号18に示されるアミノ酸配列である(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(18)(Y’12)と、GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)を有するタンパク質
(A111-2-1):GAGAGS配列(2)が4個連続した配列番号19に示されるアミノ酸配列である(GAGAGS)配列(19)と(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(18)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)(GAGAGS)配列(19)を12個及び(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(18)を13個有し、これらが交互に化学結合してなるものに、(GAGAGS)配列(15)が化学結合した分子質量が約105kDaの配列番号20に示されるアミノ酸配列である配列(20)のタンパク質
(A2):アミノ酸配列(X)がVPGVG配列(1)であるタンパク質
(A21):VPGVG配列(1)が2~200個連続したポリペプチド鎖(Y2)とGAGAGS配列(2)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)GAGAGS配列(2)、配列番号24に示されるアミノ酸配列である(VPGVG)配列(24)及び配列番号25に示されるアミノ酸配列である(VPGVG)配列(25)をそれぞれ40個有し、これらが(VPGVG)配列(24)、GAGAGS配列(2)、(VPGVG)配列(25)の順に結合したブロックが40個化学結合してなる構造を有する分子質量約200kDaの配列番号26に示されるアミノ酸配列である配列(26)のタンパク質(ELP1.1)
(A3):GVGVP配列(4)が2~200個連続したポリペプチド鎖(Y1)とGAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質
具体的には、下記タンパク質が含まれる。
(i)配列番号21に示されるアミノ酸配列である(GAGAGS)配列(21)及び配列番号22に示されるアミノ酸配列である(GVGVP)40配列(22)をそれぞれ5個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約110kDaの配列番号23に示されるアミノ酸配列である配列(23)のタンパク質(SELP6.1)
(ii)(GAGAGS)配列(5)、及び、GVGVP配列(4)が2個連続した配列を、それぞれ15個有する分子量が40kDaの配列番号29に示されるアミノ酸配列である配列(29)のタンパク質(SELP3.1)
(iii)(GAGAGS)配列(21)及び(GVGVP)配列(14)をそれぞれ12個有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有する分子質量が約90kDaの配列(28)のタンパク質(SELP3)
前記のタンパク質(A)は、前記のタンパク質(A111)[好ましいのは配列(16)のタンパク質(SELP8K)、配列(17)のタンパク質(SELP0K)、配列(20)のタンパク質、配列(27)のタンパク質(SELP8K4)]、前記のタンパク質(A21)[好ましいのは配列(26)のタンパク質(ELP1.1)]、及び、前記のタンパク質(A3)[好ましいのは配列(23)のタンパク質(SELP6.1)、配列(29)のタンパク質(SELP3.1)、配列(28)のタンパク質(SELP3)]からなる群から選ばれる少なくとも1種のタンパク質であることが好ましく、配列(16)のタンパク質(SELP8K)、配列(17)のタンパク質(SELP0K)、配列(26)のタンパク質(ELP1.1)、配列(23)のタンパク質(SELP6.1)、配列(29)のタンパク質(SELP3.1)及び配列(28)のタンパク質(SELP3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のタンパク質であることが更に好ましい。
また、タンパク質(A)は、配列(16)のタンパク質(SELP8K)、配列(17)のタンパク質(SELP0K)、配列(20)のタンパク質、配列(27)のタンパク質(SELP8K4)、配列(26)のタンパク質(ELP1.1)、配列(23)のタンパク質(SELP6.1)、配列(29)のタンパク質(SELP3.1)又は配列(28)のタンパク質(SELP3)のアミノ酸配列と相同性が70%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質であっても良い。
また、この相同性は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
本発明におけるタンパク質(A)は、円二色性スペクトル法により求められるタンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計割合が、水溶性及びゲル化効率の観点から、60~85%であることが好ましく、更に好ましくは65~80%であり、特に好ましくは70~75%である。
タンパク質の配列が同じでも、タンパク質の作製方法、タンパク質の精製方法、タンパク質を溶解させる溶媒のpH及び溶媒の極性等により、タンパク質中のβターン構造とランダムコイル構造との合計割合は異なる。
上記割合を制御する方法としては特に限定されないが、以下の方法により増加又は低下させることができる。
上記割合を増加させる場合には、例えば、タンパク質(A)を例えば、単独のタンパク質(A)を過剰量の緩衝液で希釈してからリフォールディングさせる希釈リフォールディング法(大希釈法)が挙げられる。
また、上記割合を低下させる場合には、例えば、タンパク質(A)を変性剤や熱等により変性させる方法が挙げられる。
タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計割合は、下記測定法によって求める。
<タンパク質(A)中のβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合の測定方法>
タンパク質を0.3mg/mlとなるように脱イオン水(4℃)に溶解し、タンパク質の水溶液を作製する。作製したタンパク質の水溶液を円二色性スペクトル測定器(日本分光株式会社製、「J-820」)にて測定し(測定温度:4℃)、二次構造解析プログラム(JWSSE型:日本分光株式会社製)にてβターン構造の割合とランダムコイル構造の割合とを算出し、これらの合計をβターン構造とランダムコイル構造との合計の割合とする。
タンパク質(A)のSDS-PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法による分子質量は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、15~200kDaが好ましく、更に好ましくは30~150kDaであり、特に好ましくは70~120kDaである。
本発明において、タンパク質(A)の疎水性度は、水溶性、生体適合性及びゲル化効率の観点から、0.2~1.2であることが好ましく、更に好ましくは0.4~1.0であり、特に好ましくは0.42~0.80である。
タンパク質(A)の疎水性度は、タンパク質(A)分子の疎水性の度合いを示すものであり、タンパク質(A)分子を構成するそれぞれのアミノ酸残基の数(Mα)、それぞれのアミノ酸の疎水性度(Nα)及びタンパク質(A)1分子中のアミノ酸残基の総数(MT)を、下記数式に当てはめることにより算出することができる。なお、それぞれのアミノ酸の疎水性度は、非特許文献(アルバート・L.レーニンジャー、デビット・L.ネルソン、レ-ニンジャ-の新生化学 上、廣川書店、2010年9月、p.346-347)に記載されている下記の数値を用いる。
疎水性度=Σ(Mα×Nα)/(MT)
Mα:人工タンパク質(A)1分子中のそれぞれのアミノ酸残基の数
Nα:各アミノ酸の疎水性度
MT:人工タンパク質(A)1分子中のアミノ酸残基の総数
A(アラニン):1.8
R(アルギニン):-4.5
N(アスパラギン):-3.5
D(アスパラギン酸):-3.5
C(システイン):2.5
Q(グルタミン):-3.5
E(グルタミン酸):-3.5
G(グリシン):-0.4
H(ヒスチジン):-3.2
I(イソロイシン):4.5
L(ロイシン):3.8
K(リシン):-3.9
M(メチオニン):1.9
F(フェニルアラニン):2.8
P(プロリン):-1.6
S(セリン):-0.8
T(トレオニン):-0.7
W(トリプトファン):-0.9
Y(チロシン):-1.3
V(バリン):4.2
例えば、人工タンパク質(A)が(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)である場合、人工タンパク質(A)の疎水性度={16(Gの数)×(-0.4)+15(Vの数)×4.2+8(Pの数)×(-1.6)+1(Kの数)×(-3.9)}/40(アミノ酸残基の総数)=1.0である。
本発明のゲル化物は、上記のようなアミノ酸配列からなるタンパク質(A)に由来することから、生体内の酵素により分解されるため、生分解性に優れている。
本発明において、タンパク質(A)は、天然物からの抽出、有機合成法(酵素法、固相合成法及び液相合成法等)及び遺伝子組み換え法等によって得られる。有機合成法に関しては、「生化学実験講座1、タンパク質の化学IV(1981年7月1日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)」に記載されている方法、及び、「続生化学実験講座2、タンパク質の化学(下)(昭和62年5月20日、日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行)」に記載されている方法等が適用できる。遺伝子組み換え法に関しては、特許第3338441号公報に記載されている方法等が適用できる。天然物からの抽出、有機合成法及び遺伝子組み換え法はともに、タンパク質(A)を得られるが、アミノ酸配列を簡便に変更でき、安価に大量生産できるという観点等から、遺伝子組み換え法が好ましい。
本発明のタンパク質(A)の製造方法は、前記の通り、工程(1)を経てタンパク質(A)のゲル化物を得る製造方法である。
前記の工程(1)は、前記のタンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0~80℃とする工程である。
炭素数1~4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール及びtert-ブチルアルコール等が挙げられる。
0℃未満であると、ゲル化速度が遅くなる傾向があり、80℃を超えるとタンパク質の機能が低下するおそれがある。
上記の工程において、混合物の温度は、タンパク質の熱安定性及びハンドリング性の観点から、1~80℃が好ましく、更に好ましくは1~60℃、特に好ましくは25~50℃、最も好ましくは30~40℃である。
前記の工程(1)において、前記のタンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールの混合物を得る際、混合の順番は任意であるが、前記のタンパク質(A)を水に溶解させた後、前記の炭素数1~4のアルコールを混合して、混合物を得ることが好ましい。
前記の工程(1)は断続的に行っても良く、工程(1)と工程(1)との間に、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0℃未満又は80℃超とする工程(2)を実施しても良い。
本発明の製造方法において、工程(1)の時間(混合物を0~80℃にする時間の合計)は、0~180分であることが好ましい。なお、工程(1)の時間が0分であることは、0.5分(30秒)未満であることを意味する。また、工程(1)の時間が0分であることは、タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを混合して、0~80℃の混合物とした瞬間に、タンパク質(A)がゲル化する態様を含む。
また、工程(1)を複数回実施する場合、工程(1)の時間の合計は、0~180分であることが好ましい。
また、前記の工程(2)の時間の合計は、0~60分であることが好ましく、更に好ましくは0~30分であり、特に好ましくは0分である。
本発明の工程(1)は、ゲル化した時点(流動性を失った時点)で終了したとみなしてもよい。
また、本発明における工程(1)の終了に伴い、本発明の製造方法も終了した後に、ゲル化物を80℃以下(好ましくは-80~40℃)で保存しても良い。
前記の混合物は、タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコール以外に、無機塩及びリン酸(塩)を含んでいても良い。
前記の無機塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム及び炭酸水素マグネシウム等が挙げられる。なお、本願においてリン酸(塩)は無機塩に含まないものとする。
本願において、リン酸(塩)は、リン酸及び/又はリン酸塩を意味する。
リン酸(塩)としては、リン酸及びリン酸塩が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。
前記の混合物が含有するタンパク質(A)の重量割合は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、混合物の重量を基準として5~45重量%であることが好ましく、5~42重量%であることが更に好ましい。
前記の混合物が含有する炭素数1~4のアルコールの重量割合は、生体適合性及びゲル化効率の観点から、混合物の重量を基準として0.1~55重量%であることが好ましく、0.5~53重量%であることが更に好ましい。
前記の混合物が含有する水の重量割合は、ゲル化効率の観点から、混合物の重量を基準として1~90重量%であることが好ましく、5~90重量%であることが更に好ましい。
本発明で得られるゲル化物は、組織再生用材料として用いることができるため、有用である。
本発明で得られるゲル化物を患部に適用する方法としては、前記のタンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物を患部に注入し[国際公開第2012/111438号におけるタンパク質(A)水溶液の患部への注入と同様の手法で注入]、混合物の温度を患部における体温にすることで、前記の工程(1)を患部において実施しゲル化物を患部で生成させる方法、及び、体外で前記の工程(1)を実施して得たゲル化物を患部に適用する方法等が挙げられる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、以下において部は重量部を表す。
<製造例1:タンパク質(A)の製造>
[SELP8Kの作製]
○SELP8K生産株の作製
特許第4088341号公報の実施例記載の方法に準じて、SELP8KをコードしたプラスミドpPTS0345を作製した。
作製したプラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションし、SELP8K生産株を得た。以下、このSELP8K生産株を用いて、ポリペプチド(A)の一種である(GAGAGS)配列(5)を12個及び(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)を13個有し、これらが交互に化学結合した構造を有する分子質量が約80kDaの配列(16)のポリペプチドであるSELP8K(ポリペプチド(A1))を生産する方法を示す。
○SELP8K生産株の培養
30℃で生育させたSELP8K生産株の一夜培養液を使用して、250mlフラスコ中のLB培地50mlに接種した。該LB培地に、カナマイシンを最終濃度50μg/mlとなるように加え培養液とし、該培養液を30℃で攪拌しながら(200rpm)インキュベートした。培養液の濁度がOD600=0.8(吸光度計UV1700:島津製作所製を使用)となった時に、該培養液40mlを、42℃に温められた別のフラスコに移し、42℃で約2時間培養した。その後、培養した培養液を氷上で冷却し、培養液の濁度OD600を測定し、遠心分離にて大腸菌を集菌した。
○SELP8Kの精製
集菌した大腸菌を用い、下記工程1:菌体溶解、工程2:遠心分離による不溶性細片の除去、工程3:硫安沈殿、工程4:限外濾過、工程5:陰イオン交換クロマトグラフィー、工程6:限外濾過、工程7:凍結乾燥により大腸菌バイオマスからタンパク質を精製した。このようにして、分子質量が約80kDaの精製したSELP8K(ポリペプチド(A1))を得た。
工程1:菌体溶解
集菌した大腸菌100gに対して、脱イオン水200gを加えて、高圧ホモジナイザー(55MPa)にて菌体溶解し、溶解した菌体を含む菌体溶解液を得た。その後、菌体溶解液を氷酢酸にてpH4.0に調整した。
工程2:遠心分離による不溶性細片の除去
さらに菌体溶解液を遠心分離(6300rpm、4℃、30分間)して、上清を回収した。
工程3:硫安沈殿
工程2で回収した上清に硫安濃度が25重量%となるように飽和硫安溶液を投入した。その後、8~12時間静置した後、遠心分離にて沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱イオン水に溶解した。次に、溶解した液に対して、硫安濃度が25重量%となるように飽和硫安溶液を投入した。その後、8~12時間静置した後、遠心分離にて沈殿物を回収した。回収した沈殿物を脱イオン水に溶解し、溶液を得た。
工程4:限外濾過
工程3で得た溶液を分子質量30,000カットの限外濾過装置(ホロファイバー:GEヘルスケア製)に供した。工程3で得た溶液に対して、20倍量の脱イオン水を用いて、限外濾過を実施し、限外濾過後のポリペプチド溶液を得た。
工程5:陰イオン交換クロマトグラフィー
ポリペプチドの濃度が20g/Lとなるように限外濾過後のポリペプチド溶液を、10mM酢酸ナトリウム緩衝液に加え、その後、陰イオン交換カラムHiPrepSP XL16/10(GEヘルスケア社製)をセットしたAKTAPrime(アマシャム社製)に供した。溶出液として500mM酢酸ナトリウム緩衝液を用いて、溶出画分を回収した。
工程6:限外濾過
工程5で得た溶出画分を上記「4:限外濾過」と同様にして処理し、限外濾過後のポリペプチド溶液を得た。
工程7:凍結乾燥
ポリペプチド濃度が3g/Lとなるように、工程6で得たポリペプチド溶液を脱イオン水で希釈し、水位が10mm以下となるようにステンレス製のバットに入れた。その後、凍結乾燥機(日本テクノサービス社製)に入れて、-30℃、24時間かけて凍結させた。凍結後、真空度が5Pa以下、-30℃で、110時間かけて1次乾燥、真空度が5Pa以下、30℃で、48時間かけて2次乾燥させ、SELP8K(タンパク質(A-1)、SDS-PAGE法による分子質量:80kDa)を得た。
○SELP8K(A-1)の同定
製造例A-1に係るタンパク質(A)を下記の手順で同定した。
ラビット抗SELP8K抗体及びC末端配列の6×Hisタグに対するラビット抗6×His抗体(Roland社製)を用いたウエスタンブロット法により分析した。ウエスタンブロット法の手順は下記の通りとした。見かけ分子質量80kDaの位置に、各抗体に抗体反応性を示すバンドが見られた。
また、アミノ酸分析システム(Prominence島津製作所製)を用いたアミノ酸組成分析より得られた製造例A1に係るタンパク質(A)のアミノ酸の組成比率(実測値)と、合成遺伝子配列から推測されるSELP8Kのアミノ酸の組成比率(理論値)を表1に示す。
これらから、製造例1に係るタンパク質(A)はGVGVP配列(4)が8個連続したポリペプチド鎖(Y)中のバリン(V)のうち1個がリシン(K)に置換された(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)のポリペプチド鎖(Y’2)を13個及びGAGAGS配列(2)が4個連続した(GAGAGS)配列(5)のポリペプチド鎖(S1-1)を12個有し、これらが交互に化学結合してなる配列(16)を有するタンパク質(SELP8K)であることを確認した。
なお、タンパク質(A-1)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-1)の全アミノ酸数を基準として52.9%であった。
また、前記タンパク質(A-1)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:2.1であった。
Figure 2022117483000001
<ウエスタンブロット法>
ウエスタンブロット用サンプル20μLに3×SDS処理バッファ[150mM Tris HCl(pH6.8)、300mM ジチオスレイトール、6重量% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.3重量% ブロモフェノールブルー、及び30重量% グリセロールを含む]10μLを添加して95℃で5分間加温し、泳動用試料を調製した。この泳動用試料15μLを用いてSDS-PAGEを行った。泳動後のゲルをフッ化ポリビニリデンメンブレンにトランスファー(以下、「メンブレン」と略記)し、これをブロッキングバッファ[20mM Tris(pH7.6)、137mM NaCl、0.1重量% Tween20、及び5重量% スキムミルクを含む]に浸漬して1時間室温で振蕩することによりメンブレンのブロッキング処理を行った。ブロッキング処理後、メンブレンをTBS-T[20mM Tris(pH7.6)、137mM NaCl、及び0.1重量% Tween20を含む]で2分間洗浄した。次に、メンブレンを一次抗体溶液(一次抗体:抗SELP8K抗体及び抗His-tag抗体(Rockland社製)をTBS-Tで500分の1に希釈した溶液)に浸漬し、4℃で一晩静置して抗体反応を行った。反応後、このメンブレンをTBS-Tで5分間、4回洗浄した後、一次抗体に結合可能であり且つ標識酵素として西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させた二次抗体の溶液(二次抗体:ECL anti-rabbit IgG HRP linked F(ab’)2 fragment(GEヘルスケア社製)をTBS-Tで2000分の1に希釈した溶液)にメンブレンを浸漬し、30分間室温で静置して抗体反応を行った。反応後、メンブレンをTBS-Tで5分間、4回洗浄した後、ECL-Advance Western Blotting Detection Kit(GEヘルスケア社製)により酵素反応を行った。ルミノメーターForECL(GEヘルスケア社製)を用いて、高感度インスタント黒白フィルム(富士フイルム株式会社製)に感光させ、バンドを可視化した。
<製造例2>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP0Kをコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(17)の人工タンパク質(A)であるSELP0Kポリマー(A-2)[SDS-PAGE法による分子質量:82kDa]を得た。
なお、タンパク質(A-2)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-2)の全アミノ酸数を基準として65.4%であった。
また、前記タンパク質(A-2)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:4であった。
<製造例3>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP3をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(28)の人工タンパク質(A)であるSELP3ポリマー(A-3)[SDS-PAGE法による分子質量:90kDa]を得た。
なお、タンパク質(A-3)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-3)の全アミノ酸数を基準として44.1%であった。
また、前記タンパク質(A-3)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:1であった。
<製造例4>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「ELP1.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(26)の人工タンパク質(A)であるELP1.1ポリマー(A-4)[SDS-PAGE法による分子質量:200kDa]を得た。
なお、タンパク質(A-4)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-4)の全アミノ酸数を基準として89.1%であった。
また、前記タンパク質(A-4)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:12であった。
<製造例5>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP6.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(23)の人工タンパク質(A)であるSELP6.1ポリマー(A-5)[SDS-PAGE法による分子質量:110kDa]を得た。
なお、タンパク質(A-5)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-5)の全アミノ酸数を基準として77.3%であった。
また、前記タンパク質(A-5)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:5であった。
<製造例6>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SELP3.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(29)の人工タンパク質(A)であるSELP3.1ポリマー(A-6)[SDS-PAGE法による分子質量:40kDa]を得た。
なお、タンパク質(A-6)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A-6)の全アミノ酸数を基準として26.6%であった。
また、前記タンパク質(A-6)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:0.5であった。
<比較製造例1>
製造例1の「タンパク質(A)の製造」において、「SELP8Kをコードしたプラスミド」に代えて「SLP4.1をコードしたプラスミド」とする以外は同様にして、配列番号(30)の人工タンパク質(A)であるSLP4.1ポリマー(A’-1)[SDS-PAGE法による分子質量:93kDa]を得た。
なお、SLP4.1は、GAGAGS配列(2)が6個連続した配列、及び、GVGVP配列(4)が2個連続した配列を、それぞれ29個有し、これらが交互に化学結合した配列番号30に示されるアミノ酸配列である配列(30)のタンパク質である。
なお、タンパク質(A’-1)に含まれる前記のアミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数は、タンパク質(A’-1)の全アミノ酸数を基準として20.7%であった。
また、前記タンパク質(A’-1)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)は、1:0.3であった。
<実施例1~108及び比較例1~39:タンパク質(A)のゲル化物の製造>
マイクロチューブに、表2~8に記載の種類のタンパク質(A)及び25℃の脱イオン水を表2~8に記載の重量で投入し、37℃でボルテックスミキサーを用いて混合した。
次に、上記のマイクロチューブに、タンパク質(A)及び脱イオン水以外の成分として、表2~8に記載の成分(37℃)を、表2~8に記載の重量で投入し、ボルテックスミキサーを用いて混合し、反応に用いる37℃の混合物を製造した。その後、37℃で温調し、温調開始直後及びその後10分おきに、以下の基準でゲル化の有無を確認した。(各実施例につき、エタノールを添加する試験、メタノールを添加する試験、1-プロパノールを添加する試験の3種をそれぞれ実施した。また、比較実験として、酢酸を添加する試験も実施した。)
最初にゲル化したことを確認した時間(温調開始から、最初にゲル化を確認するまでに経過した時間)を表2~8に示す(なお、190分経過してもゲル化を確認できなかった場合は、×と記載した)。
なお、ゲル化の有無は、以下の基準で判定した。
ゲル化有り:混合物が入ったマイクロチューブ容器を転倒し、溶液が垂れない場合はゲル化しているとした。
未ゲル化:混合物が入ったマイクロチューブ容器を転倒し、溶液が垂れる場合はゲル化しないと判断した。
<実施例109~114及び比較例40:タンパク質(A)のゲル化物の製造>
マイクロチューブに、表9に記載の種類のタンパク質(A)及び25℃の脱イオン水を表9に記載の重量で投入し、1℃でボルテックスミキサーを用いて混合した。
次に、上記のマイクロチューブに、タンパク質(A)及び脱イオン水以外の成分として、表9に記載の成分(1℃)を、表9に記載の重量で投入し、ボルテックスミキサーを用いて混合し、反応に用いる1℃の混合物を製造した。その後、1℃で温調し、温調開始直後及びその後10分おきに、実施例1と同じ基準でゲル化の有無を確認した。(各実施例につき、エタノールを添加する試験、メタノールを添加する試験、1-プロパノールを添加する試験の3種をそれぞれ実施した。また、比較実験として、酢酸を添加する試験も実施した。)
最初にゲル化したことを確認した時間(温調開始から、最初にゲル化を確認するまでに経過した時間)を表9に示す(なお、190分経過してもゲル化を確認できなかった場合は、×と記載した)。
<実施例115~120及び比較例41:タンパク質(A)のゲル化物の製造>
マイクロチューブに、表10に記載の種類のタンパク質(A)及び25℃の脱イオン水を表10に記載の重量で投入し、60℃でボルテックスミキサーを用いて混合した。
次に、上記のマイクロチューブに、タンパク質(A)及び脱イオン水以外の成分として、表10に記載の成分(60℃)を、表10に記載の重量で投入し、ボルテックスミキサーを用いて混合し、反応に用いる60℃の混合物を製造した。その後、60℃で温調し、温調開始直後及びその後10分おきに、実施例1と同じ基準でゲル化の有無を確認した。(各実施例につき、エタノールを添加する試験、メタノールを添加する試験、1-プロパノールを添加する試験の3種をそれぞれ実施した。また、比較実験として、酢酸を添加する試験も実施した。)
最初にゲル化したことを確認した時間(温調開始から、最初にゲル化を確認するまでに経過した時間)を表10に示す。
Figure 2022117483000002
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Figure 2022117483000009
Figure 2022117483000010
炭素数1~4のアルコール(メタノール、エタノール又は1-プロパノール)を添加した実施例1~120は、上記の化合物を添加していない比較例1~18及び40~41と比較して、ゲル化速度が飛躍的に向上していることが分かる。
また、「GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計」の比が「1:0.5~1:20」の範囲外である比較例19~36も、炭素数1~4のアルコールを添加していない比較例37~39と比較して、ゲル加速度は上昇している。一方、上記の比が「1:0.5~1:20」の範囲内である実施例1~120におけるゲル化速度の上昇度合(上記の化合物を添加していない比較例1~18及び40~41からの上昇)は、比較例19~36における上昇度合よりも、大きく上回っていることが分かる。
本発明の製造方法は、タンパク質(A)を短時間でゲル化させることができ、ゲル化物は組織再生用材料として用いることができるため、有用である。

Claims (4)

  1. 工程(1)を経てタンパク質(A)のゲル化物を得る前記ゲル化物の製造方法であって、
    前記タンパク質(A)が、ポリペプチド鎖(Y)及び/又はポリペプチド鎖(Y’)を有し、
    前記タンパク質(A)中の前記ポリペプチド鎖(Y)と前記ポリペプチド鎖(Y’)との合計個数が1~100個であり、
    前記ポリペプチド鎖(Y)が、配列番号1に示されるアミノ酸配列であるVPGVG配列(1)、配列番号4に示されるアミノ酸配列であるGVGVP配列(4)、GPP配列、GAP配列及び配列番号3に示されるアミノ酸配列であるGAHGPAGPK配列(3)のうち少なくとも1つのアミノ酸配列(X)が2~200個連続したポリペプチド鎖であり、
    前記ポリペプチド鎖(Y’)が、前記ポリペプチド鎖(Y)中の5%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたポリペプチド鎖であり、前記リシン及び前記アルギニンの合計個数が1~100個であり、
    前記タンパク質(A)に含まれる前記アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)を構成するアミノ酸の合計個数が、前記タンパク質(A)の全アミノ酸数を基準として20~90%であり、
    前記アミノ酸配列(X’)が、前記アミノ酸配列(X)中の60%以下のアミノ酸がリシン及び/又はアルギニンで置換されたアミノ酸配列であり、
    前記タンパク質(A)が、配列番号2に示されるアミノ酸配列であるGAGAGS配列(2)を有し、
    前記タンパク質(A)1分子中の、前記GAGAGS配列(2)の個数と、前記アミノ酸配列(X)及び前記アミノ酸配列(X’)の合計個数との比(GAGAGS配列(2):アミノ酸配列(X)及びアミノ酸配列(X’)の合計)が、1:0.5~1:20であり、
    前記工程(1)が、前記タンパク質(A)、水及び炭素数1~4のアルコールを含有する混合物の温度を0~80℃とする工程である製造方法。
  2. 前記タンパク質(A)が、前記GVGVP配列(4)が2~200個連続したアミノ酸配列中の1個のアミノ酸がリシンで置換されたポリペプチド鎖(Y’1)と前記GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質(A111)、
    前記VPGVG配列(1)が2~200個連続したポリペプチド鎖(Y2)と前記GAGAGS配列(2)とを有するタンパク質(A21)、及び、
    前記GVGVP配列(4)が2~200個連続したポリペプチド鎖(Y1)と前記GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質(A3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のタンパク質である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記タンパク質(A111)が、配列番号6に示される(GVGVP)GKGVP(GVGVP)配列(6)であるポリペプチド鎖(Y’11)と、前記GAGAGS配列(2)が2~200個連続したポリペプチド鎖(S1)とを有するタンパク質(A111-1)である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記タンパク質(A)のSDS-PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法による分子質量が15~200kDaである請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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