JP2023531168A - インスリンデグルデク誘導体およびその製造方法と使用 - Google Patents

インスリンデグルデク誘導体およびその製造方法と使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、インスリンデグルデク誘導体およびその製造方法を提供する。具体的に、本発明は、緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位およびインスリンデグルデク前駆体またはその活性断片を含む融合タンパク質を提供する。本発明の融合タンパク質は、発現量が顕著に向上し、融合タンパク質におけるインスリンデグルデク前駆体のタンパク質のフォールディングが正確で、生物活性を有する。そして、本発明の融合タンパク質における緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はプロテアーゼによって小さい断片に消化され、分子量が標的のタンパク質と大きく異なり、分離しやすい。また、本発明は、当該融合タンパク質を利用してインスリンデグルデクを製造する方法およびその中間体を製造する方法を提供する。

Description

技術分野
本発明は、生物医薬の分野に関し、より具体的に、インスリンデグルデク誘導体およびその使用に関する。
背景技術
糖尿病は、全世界の範囲内で人類の健康を脅かす疾患の一つである。中国では、人々の生活スタイルの変化および老齢化の加速とともに、糖尿病の罹患率は急速に上昇する傾向にある。糖尿病の急・慢性合併症、特に慢性合併症は複数の臓器に及び、障害につながり、致死率が高く、患者の心身の健康に大きく影響し、そして個人、家庭および社会に重い負担を背負わせる。
デンマークのノボノルディスク社によって創薬された組み換えインスリンデグルデク注射液「Tresiba」は、新規な長時間作用型インスリンアナログである。2013年1月に欧州連合によって1型および2型糖尿病患者の治療への使用が許可された。インスリンデグルデクは、構造上の特徴が一つのL-γ-Gluリンカーを介して組み換えヒトインスリン(B鎖30位のトレオニンが削除されたもの)のB鎖29位のリシンの側鎖のε-NH基を修飾剤のヘキサデカン二酸とカップリングさせてなることである。このような設計は、作用時間を延ばす独特な機序を提供する。当該インスリンアナログは、超長時間作用、低変異性、速効型インスリンと複合製剤にすることが可能といった利点があり、皮下注射されると六量体の構造になり、当該構造は貯蔵庫としてインスリンデグルデクの単量体を徐放することができ、これらの単量体はゆっくり持続的に吸収して利用される。
国内では、インスリンデグルデクの製造に関する報告が多く、一般的に、遺伝子組み換え技術によってインスリンデグルデクの主鎖(主鎖)を得た後、さらに液相合成方法によってtBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuという物質を連結してインスリンデグルデクを得るが、インスリンデグルデクの主鎖は保護されていない状態にあり、連結の過程において側鎖がN末端のアミノ基に結合しやすいため、不純物が発生し、精製が困難で収率が低いといった問題につながり、プロセスが複雑である。
そのため、当業者は新しい、より持効的なインスリン誘導体の開発に取り組んでいる。
発明の概要
本発明の目的は、インスリンデグルデク誘導体およびその使用を提供することにある。
本発明の第一の側面では、インスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質であって、N末端からC末端へ、式IIIで表される構造を有するものを提供する。
A-FP-TEV-R-G (III)
(式中において、
「-」はペプチド結合を表す。
Aは無しか、リードペプチドである。
FPは緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位である。
TEVは第一の酵素切断部位で、好ましくはTEV酵素の酵素切断部位である。
Rは酵素切断のためのアルギニンまたはリシンである。
Gはインスリンデグルデクの主鎖またはその活性断片である。
ここで、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位は2-6個の以下の群から選ばれるβシート単位を含む。)
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はu2-u3、u4-u5、u1-u2-u3、u3-u4-u5またはu4-u5-u6である。
もう一つの好適な例において、前記のGはBoc修飾されたインスリンデグルデク前駆体で、式IVで表される構造を有する。
GB-X-GA (IV)
(式中において、
「-」はペプチド結合を表す。
GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
Xは連結ペプチドで、好ましくは、前記連結ペプチドのアミノ酸配列がR、RR、RRR、あるいは配列番号4-7で示される。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。)
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はu3-u4-u5である。
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位のアミノ配列が配列番号9で示される。
もう一つの好適な例において、前記のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質のアミノ配列が配列番号1で示される。
もう一つの好適な例において、前記GBの29番目のリシンがN-ε-(t-ブトキシカルボニル)-リシンである。
もう一つの好適な例において、前記インスリンデグルデクの主鎖に含まれるインスリンデグルデクのB鎖は側鎖を含まない。
もう一つの好適な例において、前記GBは側鎖を含まない。
本発明の第二の側面では、インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質であって、N末端からC末端へ、式Iで表される構造を有するものを提供する。
A-FP-TEV-R-D (I)
(式中において、
「-」はペプチド結合を表す。
Aは無しか、リードペプチドである。
FPは緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位である。
TEVは第一の酵素切断部位で、好ましくはTEV酵素の酵素切断部位(たとえば、配列ENLYFQG(配列番号10)で示されるもの)である。
Rは酵素切断のためのアルギニンまたはリシンである。
DはBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖で、式IIで表される構造を有する。

(式中において、

はジスルフィド結合を表す。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
Xは連結ペプチドである。
GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
ここで、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位は2-6個の以下の群から選ばれるβシート単位を含む。)
もう一つの好適な例において、前記のRはトリプターゼおよびカルボキシペプチダーゼによる酵素切断のためのものである。
もう一つの好適な例において、前記インスリンデグルデクのB鎖のC末端は連結ペプチドを介してインスリンデグルデクのA鎖のN末端と連結している。
もう一つの好適な例において、前記連結ペプチドのアミノ酸配列がR、RR、RRR、あるいは配列番号4-7で示される(RRGSKR、RRAAKR、RRYPGDVKRまたはRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKR)。
もう一つの好適な例において、前記インスリンデグルデクのB鎖の7番目とA鎖の7番目(A7-B7)、B鎖の19番目とA鎖の20番目(A20-B19)の間に鎖間ジスルフィド結合が形成している。
もう一つの好適な例において、前記インスリンデグルデクのA鎖の6番目とA鎖の11番目(A6-A11)の間に鎖内ジスルフィド結合が形成している。
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はu2-u3、u4-u5、u1-u2-u3、u3-u4-u5またはu4-u5-u6である。
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はu3-u4-u5である。
もう一つの好適な例において、前記のBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖はA鎖およびB鎖を含み、かつA鎖とB鎖は鎖間ジスルフィド結合で連結し、好ましくは2つのジスルフィド結合で連結している。
もう一つの好適な例において、前記のA鎖は鎖内ジスルフィド結合を含む。
もう一つの好適な例において、前記リードペプチドの配列は配列番号8で示される。
本発明の第三の側面では、Boc修飾されたインスリンデグルデク前駆体であって、式IVで表される構造を有するものを提供する。
GB-X-GA (IV)
(式中において、
「-」はペプチド結合を表す。
GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
Xは連結ペプチドで、好ましくは、前記連結ペプチドのアミノ酸配列がR、RR、RRR、あるいは配列番号4-7で示される。
GAはインスリンデグルデクA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。)
本発明の第四の側面では、Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有するものを提供する。

(式中において、

はジスルフィド結合を表す。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
GBはインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示され、かつ前記B鎖の29番目がN-ε-(t-ブトキシカルボニル)-リシンである。
本発明の第五の側面では、Boc修飾およびFmoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有するものを提供する。

(式中において、

はジスルフィド結合を表す。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
GBはインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示され、かつ前記B鎖の29番目がN-ε-(t-ブトキシカルボニル)-リシンである。
そして、前記A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されている。)
もう一つの好適な例において、前記のFmocはフルオレニルメトキシカルボニル基である。
本発明の第六の側面では、Fmoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有するものを提供する。

(式中において、

はジスルフィド結合を表す。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
GBはインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
そして、前記A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されている。)
もう一つの好適な例において、前記のFmocはフルオレニルメトキシカルボニル基である。
本発明の第七の側面では、インスリンデグルデクを製造する方法であって、
(A) 組み換え菌を利用して発酵を行い、インスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質を製造する工程、
(B) 前記のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質を利用し、インスリンデグルデクを製造する工程を含み、
ここで、前記のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質は本発明の第一の側面に記載の通りであることを特徴とする方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の工程(B)は、さらに、
(ia) 前記組み換え菌の発酵液から分離してインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質の封入体を得、前記の封入体を変性・再生した後、インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質を得る工程、
(ib) 前記のインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質に対して酵素切断処理を行うことにより、Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
(ii) 前記のBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対してFmoc修飾を行うことにより、FmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
(iii) 前記のFmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対して脱Boc処理を行うことにより、脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
(iv) 前記脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖をインスリンデグルデクの側鎖と反応させることにより、Fmoc修飾されたインスリンデグルデクを得る工程、ならびに
(v) 前記のFmoc修飾されたインスリンデグルデクに対して脱Fmoc処理および側鎖の脱OtBu処理を行うことにより、インスリンデグルデクを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(ib)では、トリプターゼおよびカルボキシペプチダーBを利用して酵素切断を行う。
もう一つの好適な例において、前記のBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖は本発明の第四の側面に記載の通りである。
もう一つの好適な例において、前記のFmoc修飾はインスリンデグルデクのB鎖およびA鎖のN末端に対する修飾である。
もう一つの好適な例において、前記のインスリンデグルデクの側鎖は以下の通りである。
もう一つの好適な例において、工程(ii)では、Fmoc-Osu、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)およびDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を入れることにより、Fmoc修飾を行う。
もう一つの好適な例において、入れるFmoc-OSuとDIPEAとBoc修飾されるインスリンデグルデクの主鎖のモル比が(3-6):(10-14):(0.8-1.2)、好ましくは(3.5-5.5):(11-13):(0.8-1.2)である。
もう一つの好適な例において、工程(ii)と工程(iii)の間に、さらに、製造されたFmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を精製する工程、好ましくは、メチル-t-ブチルエーテル/石油エーテルの混合液を利用して精製する工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(iii)では、さらに、
(a) 冷却しておいた0±5℃のTFA(トリフルオロ酢酸)溶液に化合物2を入れ、撹拌し、脱Boc処理を行い、脱Boc産物を製造する工程、
(b) 脱Boc産物に対して精製処理を行い、好ましくはメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテルの混合液を利用して精製することにより、固体の脱Boc産物、すなわち、脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(iv)では、DIPEAの存在下で、室温で前記反応を行う。
もう一つの好適な例において、工程(iv)では、DMFの中で前記反応を行う。
もう一つの好適な例において、前記脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖とインスリンデグルデクの側鎖とDIPEAのモル比が(0.8-1.2):(2-5):(4-10)、好ましくは1:2.5:10である。
もう一つの好適な例において、工程(v)では、ピぺリジンを含有するDMF溶液を入れ、脱Fmoc処理を行うことにより、前記のインスリンデグルデクを製造する。
もう一つの好適な例において、工程(v)では、製造されたインスリンデグルデクを精製する工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖は遺伝子組み換え技術を利用して製造される。
もう一つの好適な例において、工程(ib)の後に、さらに、2ステップの精製工程を含む。
もう一つの好適な例において、工程(ib)では、前記トリプターゼとインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質の質量比が1:3000-1:10000である。
もう一つの好適な例において、工程(ib)では、カルボキシペプチダーとインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質の質量比が1:5000-1:15000である。
もう一つの好適な例において、前記の組み換え菌にインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質を発現する発現カセットが含まれているか、組み込まれている。
もう一つの好適な例において、前記の方法は、以下の通りである。
もう一つの好適な例において、前記方法は、
(i) 本発明の第二の側面に記載のインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質を提供し、酵素切断して化合物1を得る工程、
(ii) 化合物1に対してFmoc修飾を行うことにより、化合物2を製造する工程、
(iii) 前記の化合物2に対して脱Boc処理を行うことにより、化合物3を製造する工程、
(iv) 化合物3をインスリンデグルデクの側鎖と反応させることにより、化合物4を製造する工程、ならびに
(v) 化合物4に対して脱Fmoc処理および側鎖の脱OtBu処理を行うことにより、化合物6で示されるインスリンデグルデクを製造する工程を含む。
本発明の第八の側面では、本発明の第七の側面に記載の方法によって製造されるインスリンデグルデク製剤を提供する。
もう一つの好適な例において、製造されるインスリンデグルデクは生物活性を有する。
本発明の第九の側面では、単離されたポリヌクレオチドであって、本発明の第一の側面に記載のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質、本発明の第二の側面に記載のインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質、本発明の第三の側面に記載のインスリンデグルデク前駆体、あるいは本発明の第四、五、六の側面に記載のインスリンデグルデクの主鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の第十の側面では、本発明の第九の側面に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
もう一つの好適な例において、前記のベクターは、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、トランスポゾン、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
本発明の第十一の側面では、本発明の第十の側面に記載のベクターを含有するか、あるいは染色体に外来の本発明の第九の側面に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた宿主細胞を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、大腸菌、枯草菌、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞またはこれらの組み合わせである。
本発明の第十二の側面では、本発明の第一の側面に記載のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質、本発明の第二の側面に記載のインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質、本発明の第三の側面に記載のインスリンデグルデク前駆体、あるいは本発明の第四、五、六の側面に記載のインスリンデグルデクの主鎖と、薬学的に許容される担体とを含む製剤または薬物組成物を提供する。
本発明の第十三の側面では、Fmoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式II’で表される構造を有するものを提供する。

(式中において、

はジスルフィド結合を表す。
GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
GB’はインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示され、かつ前記B鎖の29番目のリシンにインスリンデグルデクの側鎖が連結している。
そして、前記A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されている。)
もう一つの好適な例において、前記のインスリンデグルデクの側鎖は以下の通りである。

もう一つの好適な例において、前記のインスリンデグルデクの側鎖はtBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuである。
図面の説明
図1は、プラスミドpBAD-FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)のマップを示す。 図2は、プラスミドpEvol-pylRs-pylTのマップを示す。 図3は、封入体の変性・再生後のBoc-インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動パターンを示す。 図4は、Boc-インスリンデグルデクの主鎖の逆相精製収集液のHPLC検出スペクトルを示す。 図5は、本発明のインスリンデグルデクの精製の最終産物のHPLC検出スペクトルを示す。
図6は、実施例4におけるBocデグルデクの主鎖(化合物1)のHPLC検出スペクトルを示す。 図7は、実施例4におけるBocデグルデクの主鎖(化合物1)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は5807.8で、理論分子量は5806.6である。 図8は、実施例5におけるFmoc、Bocで保護された主鎖(化合物2)のHPLC検出スペクトルを示す。ここで、HPLCスペクトルの純度は86.26%である。 図9は、実施例5におけるFmoc、Bocで保護された主鎖(化合物2)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は6150.3で、理論分子量は6251.1である。
図10は、実施例5におけるFmocで保護されたインスリンデグルデクの主鎖(化合物3)のHPLC検出スペクトルを示す。ここで、HPLCスペクトルの純度は83.02%である。 図11は、実施例5におけるFmocで保護されたインスリンデグルデクの主鎖(化合物3)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は6150.7で、理論分子量は6251.1である。 図12は、実施例5におけるFmoc、側鎖OtBuのインスリンデグルデク(化合物4)のHPLC検出スペクトルを示す。ここで、HPLCスペクトルの純度は66.64%である。 図13は、実施例5におけるFmoc、側鎖OtBuのインスリンデグルデク(化合物4)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は6660.0で、理論分子量は6660.8である。
図14は、実施例5における側鎖OtBuのインスリンデグルデク(化合物5)のHPLC検出スペクトルを示す。ここで、HPLCスペクトルの純度は74.37%である。 図15は、実施例5における側鎖OtBuのインスリンデグルデク(化合物5)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は6217.3で、理論分子量は6216.3である。 図16は、実施例5におけるインスリンデグルデク(化合物6)のHPLC検出スペクトルを示す。ここで、HPLCスペクトルの純度は63.12%である。 図17は、実施例5におけるインスリンデグルデク(化合物6)のLCMS検出スペクトルを示す。ここで、実測分子量は6104.0で、理論分子量は6104.9である。
具体的な実施形態
本発明者は、幅広く深く研究したところ、インスリンデグルデク誘導体およびその製造方法を見出した。具体的に、本発明は、緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位およびインスリンデグルデク前駆体またはその活性断片を含む融合タンパク質を提供する。本発明の融合タンパク質は、発現量が顕著に向上し、融合タンパク質におけるインスリンデグルデク前駆体のタンパク質のフォールディングが正確である。そして、本発明の融合タンパク質における緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はプロテアーゼによって小さい断片に消化され、分子量が標的のタンパク質と大きく異なり、分離しやすい。また、本発明は、当該融合タンパク質を利用してインスリンデグルデクを製造する方法および中間体を製造する方法を提供する。これに基づき、本発明を完成させた。
インスリンデグルデク
インスリンデグルデクは、新規な長時間作用型インスリンアナログである。2013年1月に欧州連合によって1型および2型糖尿病患者の治療への使用が許可された。インスリンデグルデクは、構造上の特徴が一つのL-γ-Gluリンカーを介して組み換えヒトインスリン(B鎖30位のトレオニンが削除されたもの)のB鎖29位のリシンの側鎖のε-NH基を修飾剤のヘキサデカン二酸とカップリングさせてなることである。このような設計は、作用時間を延ばす独特な機序を提供する。当該インスリンアナログは、超長時間作用、低変異性、速効型インスリンと複合製剤にすることが可能といった利点があり、皮下注射されると六量体の構造になり、当該構造は貯蔵庫としてインスリンデグルデクの単量体を徐放することができ、これらの単量体はゆっくり持続的に吸収して利用される。
インスリンデグルデク発現プラスミドの構築
標的遺伝子を持つFP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)断片を合成し、断片の両末端に制限酵素NcoIおよびXhoIの認識部位がある。当該配列はコドン最適化が行われ、機能タンパク質の大腸菌における高レベルの発現が実現できる。発現後、制限酵素NcoIおよびXhoIで発現ベクター「pBAD/His A(KanaR)」および「FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)」標的遺伝子を含有するプラスミドを酵素切断し、酵素切断産物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、さらにアガロースゲルDNA回収キットによって抽出し、最後にT4 DNAリガーゼによって2つのDNA断片を連結した。前記連結産物を化学法によって大腸菌Top10細胞に形質転換させ、前記形質転換された細胞を50μg/mLカナマイシン含有LB寒天培地(10g/L酵母トリプトン、5g/L酵母抽出物、10g/L NaCl、1.5%寒天)において一晩培養した。3つの生存集落を取り、5 mLの50μg/mLカナマイシン含有液体LB培地(10g/L酵母トリプトン、5g/L酵母抽出物、10g/L NaCl)において一晩培養し、プラスミドミニプレップキットによってプラスミドを抽出した。その後、前記抽出されたプラスミドをシーケンシングオリゴヌクレオチドプライマーである5’-ATGCCATAGCATTTTTATCC-3’でシーケンシングすることにより、正確に挿入したか、確認した。最終的に得られたプラスミドを「pBAD-FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)」と名付けた。
融合タンパク質
本発明では、緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位を利用し、2種類の融合タンパク質、すなわち、本発明の第一の側面に記載の1本鎖インスリンデグルデクを含むインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質および本発明の第二の側面に記載の2本鎖インスリンデグルデクを含むインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質を構築した。実は、本発明の2種類の融合タンパク質の保護範囲は一部が重なることがあり、たとえば、融合タンパク質に含まれる2本鎖の様態のインスリンデグルデクは、B鎖のC末端が連結ペプチドを介してA鎖のN末端と連結してもよく、鎖内ジスルフィド結合を含む1本鎖とされてもよい。
本発明の融合タンパク質に含まれる緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位FPは2-6個、好ましくは2-3個の以下の群から選ばれるβシート単位を含む。
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位FPは、u8、u9、u2-u3、u4-u5、u8-u9、u1-u2-u3、u2-u3-u4、u3-u4-u5、u5-u6-u7、u8-u9-u10、u9-u10-u11、u3-u5-u7、u3-u4-u6、u4-u7-u10、u6-u8-u10、u1-u2-u3-u4、u2-u3-u4-u5、u3-u4-u3-u4、u3-u5-u7-u9、u5-u6-u7-u8、u1-u3-u7-u9、u2-u2-u7-u8、u7-u2-u5-u11、u3-u4-u7-u10、u1-I-u2、u1-I-u5、u2-I-u4、u3-I-u8、u5-I-u6、またはu10-I-u11から選ばれてもよい。
もう一つの好適な例において、前記の緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位はu3-u4-u5である。
もう一つの好適な例において、本発明の融合タンパク質は、下記式で表される構造を有する。
A-FP-TEV-R-G
(式中において、
「-」はペプチド結合を表す。
Aは無しか、リードペプチドである。
FPは緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位である。
TEVは酵素切断部位で、好ましくはTEV酵素の酵素切断部位(配列はENLYFQGで、配列番号4である)である。
Rは酵素切断部位である。
GはBoc修飾されたインスリンデグルデク前駆体で、下記式で表される構造を有する。
(B1F~B29Boc-K)- X-(A1G~A21N)
(式中において、
Xは連結ペプチドで、好ましくは、前記連結ペプチドのアミノ酸配列がR、RR、RRR、あるいは配列番号4-7で示される(RRGSKR、RRAAKR、RRYPGDVKRまたはRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKR)。))
本明細書で用いられるように、用語「融合タンパク質」は、さらに、上記活性を有する変異様態を含む。これらの変異様態は、1~3個(通常は1~2個、より好ましくは1個)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、ならびにC末端および/またはN末端における1個または複数個(通常は3個以内、好ましくは2個以内、より好ましくは1個以内)のアミノ酸の付加または欠失を含むが、これらに限定されない。たとえば、本分野において、機能が近い、または類似のアミノ酸で置換する場合、通常、蛋白質の機能を変えることがない。また、C末端および/またはN末端における1個または複数個のアミノ酸の付加または欠失により、通常、蛋白質の構造および機能が変わることもない。また、前記用語は、単量体と多量体の様態の本発明のポリペプチドを含む。当該用語は、さらに、線形および非線形のポリペプチド(たとえば、環状ペプチド)を含む。
本発明は、さらに、上記融合タンパク質の活性断片、誘導体および類似体を含む。本明細書で用いられるように、用語「断片」、「誘導体」および「類似体」とは、基本的に本発明の融合タンパク質の機能または活性を維持するポリペプチドをいう。本発明のポリペプチドの断片、誘導体および類似体は、(i)1個または複数個の保存的または非保存的なアミノ酸残基(好ましくは保存的なアミノ酸残基)が置換されたポリペプチドでもよく、あるいは(ii)1個または複数個のアミノ酸残基に置換基があるポリペプチドでもよく、あるいは(iii)ポリペプチドと別の化合物(たとえば、ポリエチレングリコールのようなポリペプチドの半減期を延ばす化合物)が融合してなるポリペプチドでもよく、あるいは(iv)付加のアミノ酸配列がこのポリペプチドに融合してなるポリペプチド(リーダー配列、分泌配列または6Hisなどのタグ配列と融合してなる融合タンパク質)でもよい。本明細書の開示に基づき、これらの断片、誘導体および類似体は当業者に公知の範囲に入っている。
一部の好適な活性誘導体は、本発明のアミノ酸配列と比較すると、3個以下、好ましくは2個以下、より好ましくは1個以下のアミノ酸が類似または近い性質を持つアミノ酸で置換されてなるポリペプチドをいう。これらの保存的突然変異のポリペプチドは、表Aのようにアミノ酸の置換を行って生成することが好ましい。
表A
また、本発明は、本発明の融合タンパク質の類似体を提供する。これらの類似体と本発明のポリペプチドの違いは、アミノ酸配列の違いでもよく、配列に影響を与えない修飾形態の違いでもよく、あるいは両者でもよい。類似体は、さらに、天然L-アミノ酸と異なる残基(たとえばD-アミノ酸)を有する類似体、および非天然または合成のアミノ酸(たとえばβ、γ-アミノ酸)を有する類似体を含む。もちろん、本発明のポリペプチドは、上記で挙げられた代表的なポリペプチドに限定されない。
また、本発明の融合タンパク質を修飾してもよい。修飾(通常は一次構造が変わらない)形態は、体内または体外のポリペプチドの化学的に誘導された形態、例えばアセチル化またはカルボキシ化を含む。修飾は、さらにグリコシル化、たとえばポリペプチドの合成および加工でまたはさらなる加工の工程でグリコシル化修飾を行ったポリペプチドも含む。このような修飾は、ポリペプチドをグルコシル化する酵素(たとえば哺乳動物のグリコシル化酵素または脱グリコシル化酵素)に露出させることによって完成する。修飾形態は、さらにリン酸化アミノ酸残基(たとえばリン酸チロシン、リン酸セリン、リン酸トレオニン)を有する配列を含む。さらに、修飾によって抗タンパク質加水分解性を向上させたポリペプチドまたは溶解性を改善したポリペプチドを含む。
用語「本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド」は、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドでもよく、さらに付加のコードおよび/または非コード配列を含むポリヌクレオチドでもよい。
本発明は、さらに、本発明と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは融合タンパク質の断片、類似体および誘導体をコードする上記ポリヌクレオチドの変異体に関する。これらのヌクレオチド変異体は、置換変異体、欠失変異体および挿入変異体を含む。本分野で知られているように、対立遺伝子変異体は、ポリヌクレオチドの代替形態で、1つまたは2つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または挿入でもよいが、実質的にそれによってコードされる融合タンパク質の機能が変わることはない。
本発明は、さらに、上記の配列とハイブリダイズし、かつ2つの配列の間に少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の相同性を有するポリヌクレオチドに関する。本発明は、特に、厳格な条件で本発明に係るポリヌクレオチドとハイブリダイズできるポリヌクレオチドに関する。本発明において、「厳格な条件」とは、(1)低いイオン強度および高い温度、たとえば0.2×SSC、0.1%SDS、60℃でのハイブリダイズおよび溶離、あるいは(2)ハイブリダイズ時変性剤、たとえば42℃で50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ胎児血清/0.1% Ficollなどを入れること、あるいは(3)2つの配列の間の相同性が少なくとも90%以上、好ましくは95%以上の時だけハイブリダイズすることである。
本発明の融合タンパク質およびポリヌクレオチドは、好ましくは分離された形態で提供し、より好ましくは均質に精製される。
本発明のポリヌクレオチドの全長配列は、通常、PCR増幅法、組み換え法または人工合成の方法で得られる。PCR増幅法について、本発明で公開された関連のヌクレオチド配列、特に読み枠によってプライマーを設計し、市販のcDNAライブラリーまたは当業者に既知の通常の方法によって調製されるcDNAライブラリーを鋳型とし、増幅して関連配列を得る。配列が長い場合、通常、2回または2回以上のPCR増幅を行った後、各回の増幅で得られた断片を正確な順でつなげる必要がある。
関連の配列を獲得すれば、組み換え法で大量に関連配列を獲得することができる。この場合、通常、その配列をベクターにクローンした後、細胞に導入し、さらに通常の方法で増殖させた宿主細胞から関連配列を単離して得る。
また、特に断片の長さが短い場合、人工合成の方法で関連配列を合成してもよい。通常、まず多数の小さい断片を合成し、そして連接させることにより、配列の長い断片を得ることができる。
現在、本発明のタンパク質(またはその断片、あるいはその誘導体)をコードするDNA配列は全部化学合成で獲得することがすでに可能である。さらに、このDNA配列を本分野で周知の各種の既知のDNA分子(あるいはベクターなど)や細胞に導入してもよい。
本発明のポリヌクレオチドを得るには、PCR技術でDNA/RNAを増幅する方法が好適に使用される。特にライブラリーから全長のcDNAを得ることが困難な場合、好適にRACE法(RACE-cDNA末端快速増幅法)を使用し、PCRに使用されるプライマーはここで公開された本発明の配列情報によって適切に選択し、かつ通常の方法で合成することができる。通常の方法、たとえばゲル電気泳動によって増幅されたDNA/RNA断片を単離、精製することができる。
発現ベクター
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、および本発明のベクターまたは本発明の融合タンパク質コード配列で遺伝子工学によって生成する宿主細胞、ならびに組み換え技術によって本発明に係るポリペプチドを生成する方法にも関する。
通常の組み換えDNA技術によって、本発明のポリヌクレオチド配列で組み換えの融合タンパク質を発現または生産することができる。一般的に、以下の工程を含む:
(1)本発明の本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド(または変異体)を使用し、あるいはこのポリヌクレオチドを含む組み換え発現ベクターを使用し、適切な宿主細胞を形質転換または形質導入する;
(2)適切な培地において宿主細胞を培養する;
(3)培地または細胞からタンパク質を分離し、精製する。
本発明において、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は組み換え発現ベクターに挿入してもよい。用語「組み換え発現ベクター」とは、本分野でよく知られている細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳動物ウイルス、たとえばアデノウイルス、レトロウイルスまたはほかのベクターである。宿主体内で安定して複製することができれば、どんなプラスミドおよびベクターでも使用できる。発現ベクターの重要な特徴の一つは、通常、複製起点、プロモーター、マーカー遺伝子および翻訳制御エレメントを含むことである。
本発明の融合タンパク質のコードDNA配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターの構築に当業者によく知られている方法を使用することができる。これらの方法は、体外組み換えDNA技術、DNA合成技術、体内組み換え技術などを含む。前記のDNA配列は、有効に発現ベクターにおける適切なプロモーターに連結し、mRNA合成を指導することができる。これらのプロモーターの代表的な例として、大腸菌のlacまたはtrpプロモーター、λファージのPLプロモーター、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーターを含む真核プロモーター、レトロウイルスのLTRsやほかの既知の制御可能な遺伝子の原核または真核細胞あるいはそのウイルスにおける発現されるプロモーターが挙げられる。発現ベクターは、さらに、翻訳開始用リボゾーム結合部位および転写ターミネーターを含む。
また、発現ベクターは、好ましくは1つまたは2つ以上の選択性マーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞を選択するための形質、たとえば真核細胞培養用のジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性および緑色蛍光タンパク質(GFP)、あるいは大腸菌用のテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性を提供する。
上記の適切なDNA配列及び適切なプロモーターまたは制御配列を含むベクターは、適切な宿主細胞を形質転換し、タンパク質を発現するようにすることができる。
宿主細胞は、原核細胞、たとえば細菌細胞、あるいは、低等真核細胞、たとえば酵母細胞、あるいは、高等真核細胞、たとえば哺乳動物細胞でもよい。代表例として、大腸菌、ストレプトマイセス属、ネズミチフス菌のような細菌細胞、酵母のような真菌細胞、植物細胞(たとえばオタネニンジン細胞)がある。
本発明のポリヌクレオチドが高等真核細胞において発現される場合、ベクターにエンハンサー配列を挿入すると転写が強化される。エンハンサーは、DNAのシスエレメントで、通常、約10~300bpで、プロモーターに作用して遺伝子の転写を強化する。例を挙げると、複製起点の後期側にある100~270bpのSV40エンハンサー、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーなどを含む。
当業者は、どうやって適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび宿主細胞を選択するか、よくわかる。
DNA組み換えによる宿主細胞の形質転換は当業者に熟知の通常の技術で行ってもよい。宿主が原核細胞、たとえば大腸菌である場合、DNAを吸収できるコンピテントセルは指数成長期後収集でき、CaCl法で処理し、用いられる工程は本分野では周知のものである。もう一つの方法は、MgClを使用する。必要により、形質転換はエレクトロポレーションの方法でもよい。宿主が真核生物の場合、リン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションのような通常の機械方法、リポフェクションなどのDNAトランスフェクションの方法が用いられる。
得られる形質転換体は通常の方法で培養し、本発明の遺伝子がコードするポリペプチドを発現することができる。用いられる宿主細胞によって、培養に用いられる培地は通常の培地を選んでもよい。宿主細胞の成長に適する条件で培養する。宿主細胞が適当の細胞密度に成長したら、適切な方法(たとえば温度転換もしくは化学誘導)で選んだプロモーターを誘導し、さらに細胞を培養する。
上記の方法における組み換えポリペプチドは細胞内または細胞膜で発現し、あるいは細胞外に分泌することができる。必要であれば、その物理・化学的特性およびほかの特性を利用して各種の単離方法で組み換えタンパク質を単離・精製することができる。これらの方法は、本分野の技術者に熟知である。これらの方法の例として、通用の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心、浸透圧ショック、超音波処理、超遠心、分子篩クロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびほかの各種の液体クロマトグラフィー技術、ならびにこれらの方法の組合せを含むが、これらに限定されない。
Fmoc修飾
生物医薬の分野において、ポリペプチドの用途が広がっており、アミノ酸がポリペプチド合成技術の基本の原料で、アミノ酸のいずれにもα-アミノ基およびカルボキシ基が含まれ、一部には、さらに、たとえば、ヒドロキシ基、アミノ基、グアニジル基や複素環など、側鎖の活性基が含まれているため、アミノ基および側鎖の活性基はペプチド連結反応においていずれも保護し、ポリペプチドの合成後、さらに保護基を脱離させる必要があり、そうしないと、アミノ酸の間違った連結および多くの副反応が生じることがある。
フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)は塩基に敏感な保護基で、濃アンモニア水またはジオキサン-メタノール-4N NaOH(30:9:1)およびピぺリジン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、1,4-ジオキサン、ピロリジンなどのアミン類の50%ジクロロメタン溶液において脱離させることができる。
炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの弱塩基性の条件において、一般的に、Fmoc-ClまたはFmoc-OSuでFmoc保護基を導入する。Fmoc-Clよりも、Fmoc-OSuのほうが反応条件の制御がしやすく、かつ副反応が少ない。Fmocは強い紫外線の吸収を有し、最大吸収波長が267nm(ε18950)、290nm(ε5280)、301nm(ε6200)であるため、紫外線吸収によって検出することができ、機器によるポリペプチドの自動合成に便利をもたらす。また、幅広い溶媒、試薬と兼用でき、機械的安定性が高く、多くのベクターおよび多くの活性化手段に使用できる。そのため、現在、ポリペプチドの合成において、最も使用されるのはFmoc保護基である。
Fmoc-OSu (9-フルオレニルメチルスクシンイミジルカーボネート)
インスリンデグルデクの側鎖
tBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuはインスリンデグルデクの側鎖である。

tBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBu
インスリンデグルデクの製造は、まず遺伝子組み換え技術によって29位のリシンがBocで保護されたインスリンデグルデクの主鎖を得、さらにインスリンデグルデクの側鎖であるtBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuを連結することにより、インスリンデグルデクを得る。
インスリンデグルデクの製造
本発明によって提供されるインスリンデグルデクの合成経路は以下に示すように、Boc-インスリンデグルデクの主鎖(化合物1)からFmoc修飾された化合物2を製造し、化合物2を脱Boc保護した後、化合物3を得、化合物3を活性化されたインスリンデグルデクの側鎖であるtBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuと反応させ、化合物4を得、さらに脱Fmoc反応して化合物5を得、側鎖からOtBu保護基を脱離させ、最後に化合物6であるインスリンデグルデクを得る。
具体的に、本発明では、インスリンデグルデクを製造する方法であって、
(i) Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を提供する工程、
(ii) 前記のBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対してFmoc修飾を行うことにより、FmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
(iii) 前記のFmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対して脱Boc処理を行い、そしてそれをインスリンデグルデクの側鎖と反応させることにより、Fmoc修飾されたインスリンデグルデクを得る工程、ならびに
(iv) 前記のFmoc修飾されたインスリンデグルデクに対して脱Fmoc処理および側鎖の脱OtBu処理を行うことにより、インスリンデグルデクを得る工程
を含む方法を提供する。
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1) 本発明によって生産されるBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖は、希釈、限外ろ過・液置換などの方法によって発酵液の上清における過剰な無機塩を除去する必要がない。次に、標的のペプチドを製造する過程において臭化シアンによる分解、酸化スルフィトリシス(Oxidative sulfitolysis)および関連する精製工程が必要ではない。
(2) 本発明の方法では、融合タンパク質に含まれるインスリンデグルデクの主鎖の比率が高く(融合比が増加し)、融合タンパク質におけるFPまたはA-FPにアルギニン、リシンが含まれ、プロテアーゼによって小さい断片に消化され、分子量が標的のタンパク質と大きく異なり、分離が容易で、クロマトグラフィーによるBoc-インスリンデグルデクの主鎖または類似体の前駆体の分離では、ワンステップの収率が70%以上で、通常の方法よりも3倍高く、そしてほとんどの色素が除去され、Boc-インスリンデグルデクの主鎖の収量が約1.5-1.8 g/Lである。本発明の合成プロセスでは、工程が三分の二以上簡略化され、プロセス時間および設備投資コストが低下する。
(3) 29位のBoc-リシンの保護により、本発明では、直接Fmoc保護との直交反応を利用し、インスリンデグルデクを合成することができる。
(4) 本発明の方法によって合成されるインスリンデグルデクはN末端の脂肪酸がアシル化する不純物がなく、下流の精製に有利で、コストが低下する。
(5) 固相合成と比べ、本発明の方法では、ラセミ体の不純物のポリペプチドが発生せず、そして大量の修飾アミノ酸を使用する必要がなく、大量の有機溶媒を使用することがなく、環境に対する汚染が小さく、コストがより低い。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に断らない限り、%と部は、重量で計算された。
実施例1 インスリンデグルデク発現菌株の構築および発現
インスリンデグルデク発現ベクターの構築は中国特許出願番号201910210102.9における実施例の記載を参照する。融合タンパク質FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)のDNA断片を、発現ベクターであるプラスミドpBAD/His A(NTCC社から購入、カナマイシン耐性)のaraBADプロモーターの下流のNcoI-XhoI部位にクローニングし、プラスミドpBAD-FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)を得た。プラスミドのマップは図1に示す。
さらに、pylRsのDNA配列を、発現ベクターであるプラスミドpEvol-pBpF(NTCC社から購入、クロラムフェニコール耐性)のaraBADプロモーターの下流のSpeI-SalI部位にクローニングし、同時にproKプロモーターの下流に、PCR方法によってリジル-tRNA合成酵素のtRNA(pylTcua)のDNA配列を挿入した。当該プラスミドはpEvol-pylRs-pylTと名付けられた。プラスミドのマップは図2に示す。
構築されたプラスミドpBAD-FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)およびpEvol-pylRs-pylTを大腸菌TOP10菌株に共形質転換させ、クリーニングしてインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質FP-TEV-R-インスリン(DesB30、Lys29Boc)を発現する組み換え大腸菌株を得た。

(配列番号1)
シード培地を調製し、接種し、二次培養を経て二次シード液を調製し、20 h培養し、OD600が180程度になり、発酵を終了させ、約3 Lの発酵液を得、遠心して約150 g/Lの湿潤菌体を得た。発酵液を遠心した後、破砕緩衝液を入れ、高圧ホモジナイザーで2回菌を破砕させ、遠心後、ツイン80およびEDTA-2Naなどを入れて洗浄し、そして水で1回洗浄し、遠心して沈殿を収集し、封入体を得た。発酵液1リットルあたりで最終的に湿重量が約40 gの封入体を得ることができ、封入体に含まれるのはインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質である。
実施例2 Boc-インスリンデグルデク前駆体封入体の変性・再生および酵素切断
実施例1で得られた封入体に重量体積比1:10(m/v)の比率で7.5-9.0 mol/Lの尿素溶解液を入れ、室温で撹拌して溶解させ、封入体溶解液の合計タンパク質濃度が10-25 mg/mLになるように制御し、NaOHでpHが11.0-11.8になるように調整し、2-15 mmol/Lのβ-メルカプトエタノールを入れて均一に撹拌した。封入体溶解液を0.2~1.0 mmol/L L-シスチン、5~20 mmol/L炭酸ナトリウム、5~20 mmol/Lグリシン、0.3~1.0 mmol/L EDTA-2Naを含有する再生緩衝液に滴下し、封入体溶解液を5-10倍希釈して再生させ、融合タンパク質再生液のpH値が10.5-11.8になるように維持し、温度が4-8℃になるように制御し、再生時間が10-20 hで、再生率が60%以上で(電気泳動検出は図3を参照する)、インスリンデグルデクのA鎖とインスリンデグルデクのB鎖の間にジスルフィド結合が含まれるインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質を得た。
Boc-インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質の再生液を取り、pHが8.0-9.5になるように調整し、組み換えトリプターゼと再生液の合計タンパク質量の比が1:3000-1:10000になるように組み換えトリプターゼを入れ、組み換えカルボキシペプチダーBと再生液の合計タンパク質量の比が1:5000-1:15000になるように組み換えカルボキシペプチダーBを入れ、15-25℃で20-40 h酵素切断を行い、最終的にBoc-インスリンデグルデクの主鎖を得たが、酵素切断率が70%超であった。
実施例3 Boc-インスリンデグルデクの主鎖の初歩的精製
限外ろ過で酵素切断液における不溶混合物を除去し、タンパク質の等電点の差より、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー技術によって実施例2で得られたBoc-インスリンデグルデクの主鎖に対して初歩的精製を行うことで、大半の不純物を除去し、Boc-インスリンデグルデクの主鎖のフィラー結合担持量が50 mg/mL未満になるように制御し、勾配溶離してBoc-インスリンデグルデクの主鎖を収集し、初歩的精製後のBoc-インスリンデグルデクの主鎖の純度が70%以上に達し、収率が85%超であった。
実施例4 Boc-インスリンデグルデクの主鎖の逆相クロマトグラフィー
実施例3で得られたBoc-インスリンデグルデクの主鎖の溶液は、C8クロマトグラフィーによって分離して精製した。トリフルオロ酢酸を含有する水溶液を移動相Aとし、トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル溶液を移動相Bとした。Boc-インスリンデグルデクの主鎖はC8フィラーと結合し、Boc-インスリンデグルデクの主鎖の仕込み量<10mg/mLになるように制御し、勾配溶離し、Boc-インスリンデグルデクの主鎖を収集した。実験結果から、逆相クロマトグラフィーによって収集されたBoc-インスリンデグルデクの主鎖の純度が≧90%で(HPLC検出図は図4を参照する)、収率が60%超であったことが示された。
実施例5 Boc-インスリンデグルデクの主鎖を利用したインスリンデグルデクの製造
実施例4で得られたBoc-インスリンデグルデクの主鎖である化合物1の乾燥品を取り(本例は仕込みモル比が30 mgの例である)、表1の比率でFmoc-Osu、DIPEAおよびDMFを入れ、8-12時間反応させ、FmocおよびBocで保護されたインスリンデグルデクの主鎖を得た。その後、反応系に0±5℃のメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)の混合溶媒を入れ、固体を沈殿させて遠心で分離し、メチル-t-ブチルエーテルと石油エーテル(3:1)の混合溶媒で沈殿を2-3回洗浄し、Fmocで保護された化合物2:DiFmoc-インスリン(DesB30、Lys29Boc)を得た。
表1 仕込みのモル比
冷却しておいた0±5℃のTFA溶液に化合物2を入れ、0.5-2.0 h撹拌し、反応混合物に冷却しておいた0±5℃のメチル-t-ブチルエーテルと石油エーテ(3:1)の混合溶液を入れ、沈殿させて遠心した。固体を30 mg/mlのメチル-t-ブチルエーテルで2-3回洗浄し、乾燥し、Bocが脱離した固体化合物3:DiFmoc-インスリン(DesB30、Lys29 NH)を得た。
Bocが脱離した化合物3を取り、DMF溶液に溶解させ、12 eqのDIPEAを入れ、pH8.0-9.0の条件において2.5 eqの側鎖化合物tBuO-Pal-Glu(OSu)-OtBuを入れ、反応混合物を室温でやさしく2-3時間撹拌した。反応終了後、0±5℃のメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)の混合溶媒を入れて固体産物を沈殿させ、2-3回洗浄し、乾燥し、白色の化合物4:DiFmoc-インスリン( tBuO-Pal-Glu-(Lys29NH)-OtBu、DesB30)を得た。
化合物4を取り、20%ピぺリジンを含有するDMF溶液を入れ、室温で0.5-2.0 h反応させた。そして、反応系に冷却した0±5℃のメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)のの混合溶液を入れて産物を沈殿させ、固体を遠心してメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)で3-5回洗浄し、乾燥し、Fmocが脱離した化合物5:インスリン( tBuO-Pal-Glu-(Lys29NH)-OtBu、DesB30)を得た。
Fmocが脱離した化合物5を取り、TFA(トリフルオロ酢酸)、TIS(トリイソプロピルシラン)およびDCM(ジクロロメタン)の混合溶液((90%TFA:10%TIS):DCM=1:2)を入れ、室温で振とうして2-4 h反応させ、側鎖のOtBu保護基を脱離させ、反応系に10-20倍体積の冷却した0±5℃のメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)の混合溶媒を入れ、沈殿を遠心し、固体をメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテル(3:1)の混合溶媒で3回以上洗浄し、吸引乾燥し、最終的にインスリンデグルデクを得た。
合成されたインスリンデグルデクはツーステップC8高圧逆相クロマトグラフィーにかけ、最終的に純度が99%超のインスリンデグルデクを得た(図5を参照する)。
比較例
実施例1のような方法によって融合タンパク質発現菌株の構築および発現を行ったが、相違点が発現のための融合タンパク質のアミノ酸配列が配列番号22で示されることのみである。

(配列番号22)
上記融合タンパク質には、インスリンデグルデクのB鎖およびA鎖、そしてgIIIシグナルペプチドが含まれている。
結果から、20 h培養し、OD600が140程度になり、発酵を終了させ、約3 Lの発酵液を得、遠心して約105 g/Lの湿潤菌体を得たことが示された。発酵液を遠心した後、破砕緩衝液を入れ、高圧ホモジナイザーで2回菌を破砕させ、そして遠心で沈殿を収集し、封入体を得た。発酵液1リットルあたりで最終的に湿重量が約30 gの封入体を得ることができ、封入体に含まれるのはインスリンデグルデクの融合タンパク質である。
上記結果から、通常の構造の融合タンパク質の発現と比べ、本発明の融合タンパク質は、発現量が顕著に向上し、そして融合タンパク質におけるインスリンデグルデクのタンパク質のフォールディングが正確で、生物活性を有することが示された。
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。

Claims (15)

  1. インスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質であって、N末端からC末端へ、式IIIで表される構造を有することを特徴とする、前記融合タンパク質。
    A-FP-TEV-R-G (III)
    (式中において、
    「-」はペプチド結合を表す。
    Aは無しか、リードペプチドである。
    FPは緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位である。
    TEVは第一の酵素切断部位で、好ましくはTEV酵素の酵素切断部位である。
    Rは酵素切断のためのアルギニンまたはリシンである。
    Gはインスリンデグルデクの主鎖またはその活性断片である。
    ここで、緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位は2-6個の以下の群から選ばれるβシート単位を含む。)
  2. 緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位が、u2-u3、u4-u5、u1-u2-u3、u3-u4-u5またはu4-u5-u6であることを特徴とする、請求項1に記載の融合タンパク質。
  3. Gが、Boc修飾されたインスリンデグルデク前駆体で、式IVで表される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の融合タンパク質。
    GB-X-GA (IV)
    (式中において、
    「-」はペプチド結合を表す。
    GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
    Xは連結ペプチドである。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。)
  4. インスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号1で示されることを特徴とする、請求項1に記載の融合タンパク質。
  5. インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質であって、N末端からC末端へ、式Iで表される構造を有することを特徴とする、前記融合タンパク質。
    A-FP-TEV-R-D (I)
    (式中において、
    「-」はペプチド結合を表す。
    Aは無しか、リードペプチドである。
    FPは緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位である。
    TEVは第一の酵素切断部位で、好ましくはTEV酵素の酵素切断部位である。
    Rは酵素切断のためのアルギニンまたはリシンである。
    DはBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖で、式IIで表される構造を有する。
    (式中において、

    はジスルフィド結合を表す。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
    Xは連結ペプチドである。
    GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
    ここで、緑色蛍光タンパク質のフォールディング単位は2-6個の以下の群から選ばれるβシート単位を含む。)
  6. Boc修飾されたインスリンデグルデク前駆体であって、式IVで表される構造を有することを特徴とする、前記インスリンデグルデク前駆体。
    GB-X-GA (IV)
    (式中において、
    「-」はペプチド結合を表す。
    GBは29番目がBoc修飾されたインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
    Xは連結ペプチドで、好ましくは、連結ペプチドのアミノ酸配列がR、RR、RRR、あるいは配列番号4-7で示される。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。)
  7. Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有することを特徴とする、前記インスリンデグルデクの主鎖。

    (式中において、

    はジスルフィド結合を表す。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
    GBはインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示され、かつB鎖の29番目のリシンがN-ε-(t-ブトキシカルボニル)-リシンである。)
  8. A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されていることを特徴とする、請求項7に記載の主鎖。
  9. Fmoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有することを特徴とする、前記インスリンデグルデクの主鎖。

    (式中において、

    はジスルフィド結合を表す。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
    GBはインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示される。
    そして、A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されている。)
  10. 単離されたポリヌクレオチドであって、請求項1に記載のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質、請求項5に記載のインスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質、請求項6に記載のインスリンデグルデク前駆体、あるいは請求項7または8に記載のインスリンデグルデクの主鎖をコードすることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
  11. インスリンデグルデクを製造する方法であって、
    (A) 組み換え菌を利用して発酵を行い、請求項1に記載のインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質を製造する工程、
    (B) インスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質を利用し、インスリンデグルデクを製造する工程
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  12. 工程(B)が、さらに、
    (ia) 組み換え菌の発酵液から分離してインスリンデグルデク前駆体の融合タンパク質の封入体を得、封入体を変性・再生した後、インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質を得る工程、
    (ib) インスリンデグルデクの主鎖の融合タンパク質に対して酵素切断処理を行うことにより、Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
    (ii) Boc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対してFmoc修飾を行うことにより、FmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
    (iii) FmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖に対して脱Boc処理を行うことにより、脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程、
    (iv) 脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖をインスリンデグルデクの側鎖と反応させることにより、Fmoc修飾されたインスリンデグルデクを得る工程、ならびに
    (v) Fmoc修飾されたインスリンデグルデクに対して脱Fmoc処理および側鎖の脱OtBu処理を行うことにより、インスリンデグルデクを得る工程
    を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(ii)では、Fmoc-Osu、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)およびDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を入れることにより、Fmoc修飾を行うことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 工程(iii)が、
    (a) FmocおよびBoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖を、冷却しておいたTFA(トリフルオロ酢酸)溶液に入れ、低温で撹拌し、脱Boc処理を行い、脱Boc産物を製造する工程、
    (b) 脱Boc産物に対して精製処理を行い、好ましくはメチル-t-ブチルエーテル/石油エーテルの混合液を利用して精製することにより、脱Bocされたインスリンデグルデクの主鎖を得る工程
    をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  15. Fmoc修飾されたインスリンデグルデクの主鎖であって、式IIで表される構造を有することを特徴とする、前記インスリンデグルデクの主鎖。

    (式中において、

    はジスルフィド結合を表す。
    GAはインスリンデグルデクのA鎖で、アミノ酸配列が配列番号3で示される。
    GB’はインスリンデグルデクのB鎖で、アミノ酸配列が配列番号2で示され、かつB鎖の29番目のリシンにインスリンデグルデクの側鎖が連結している。
    そして、A鎖およびB鎖のN末端がいずれもFmoc修飾されている。)
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